スイッチ
【課題】 シート状のスイッチにおいて、端子部と接点とを互いに電気的につないでいる経路の一部が断線しても、人の着座等、非対象物の検出が不可能となるおそれを少なくする。
【解決手段】 フィルム状基材3とフィルム状スペーサ5とフィルム状部材7とを順に重ねて構成されたフィルム状のスイッチ1において、上記フィルム状基材3の上記スペーサ5側の面に設けられた複数の第1の接点部9A〜9Fと、上記フィルム状基材3に設けられた第1の端子部と、上記フィルム状基材3に設けられ、上記第1の端子部と上記第1の各接点部9A〜9Fとを互いに導通接続している導通経路13とを有し、上記導通経路13に一部が還状に構成されている。
【解決手段】 フィルム状基材3とフィルム状スペーサ5とフィルム状部材7とを順に重ねて構成されたフィルム状のスイッチ1において、上記フィルム状基材3の上記スペーサ5側の面に設けられた複数の第1の接点部9A〜9Fと、上記フィルム状基材3に設けられた第1の端子部と、上記フィルム状基材3に設けられ、上記第1の端子部と上記第1の各接点部9A〜9Fとを互いに導通接続している導通経路13とを有し、上記導通経路13に一部が還状に構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチに係り、特に、フィルム状の基材とフィルム状のスペーサとフィルム状の部材とを順に重ね合わせて構成されているシート状のスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
図13は、従来のスイッチ100の概略構成を示す図であり、図14は、図13のXIVA−XIVB断面を示す図であり、図15は、上記スイッチ100を構成するフィルム状基材(フィルム)102の概略構成を示す図であり、図16は、上記スイッチ100を構成するスペーサ104の概略構成を示す図である。
【0003】
従来のスイッチ100は、図14で示すように、絶縁体よりなるスペーサ104(図16参照)を間にして、このスペーサ104の一方の面にフィルム状基材(フィルム)102(図15参照)を配置し、上記スペーサ104の他方の面にフィルム状部材(他方のフィルム)106を配置して構成されている。
【0004】
なお、上記フィルム状基材102と、上記フィルム状部材(他方のフィルム)106とは同様に構成されている。
【0005】
上記スイッチ100は、たとえば、人が着座可能なシートの表皮の裏側に配して使用され、シートに着座した乗員の体重により動作し、シートへ乗員が着座しているか否かを検出する着座検出装置として使用される。
【0006】
乗員の着座を検知するため、図14に示すように、上記フィルム状基材102の上記フィルム状部材106側の面(内側の面)には、複数の電極(接点部)110A〜110Fがそれぞれ離れて設けられている。
【0007】
上記各電極(接点部)110A〜110Fは、上記内側の面に配線された導線(導通経路)108で互いに電気的に接続されており、上記導線108の一方の側には、上記スイッチ100を他の電気機器に接続するための第1の端子部(図示せず)が設けられている。
【0008】
また、上記フィルム状基材102と同様に、上記フィルム状部材106の上記フィルム状基材102側の面(内側の面)には、複数の電極(接点部)114A〜114Fがそれぞれ離れて設けられている。
【0009】
上記各電極(接点部)114A〜114Fは、上記内側の面に配線された導線(導通経路)112で互いに電気的に接続されており、上記導線112の一方の側には、上記スイッチ100を他の電気機器に接続するための第2の端子部(図示せず)が設けられている。
【0010】
上記スペーサ104は、上記フィルム状基材102と同様な形状に形成されていると共に、複数の貫通孔116を備えている。上記各貫通孔116は、上記各電極110A〜110F、114A〜114Fが設けられている位置に対応する位置に設けられている。
【0011】
そして、上記各電極110A〜110F、114A〜114Fが常時は離間しているが、乗員の着座時に上記フィルム状基材102、上記フィルム状部材106が撓んで上記各電極110A〜110F、114A〜114Fが接触し(たとえば、電極110Aと電極114Aとが互いに接触し)、各導線108、112が互いに電気的に導通接続され、着座を検知することができる。
【0012】
上記各導線108、112は、上記端子部側から離れる方向へ向かう途中で複数に枝分かれして設けられていると共に、上記各電極110A〜110F、114A〜114Fは、枝分かれして延伸している配線部位に設けられている(図15参照)。
【0013】
すなわち、1グループとしての電極110A〜110Cは直列的に接続され、同様に、1グループとしての電極110D〜110Fも直列的に接続され、1グループとしての電極114A〜114Cも直列的に接続され、1グループとしての電極114D〜114Fも直列的に接続されている。
【0014】
なお、上記従来のスイッチ100に関連するスイッチとして特許文献1に記載にスイッチが知られている。
【特許文献1】特開平9−315199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、上記従来のスイッチ100では、枝分かれして延伸している各配線部位のそれぞれに、各接点部110A〜110C、110D〜110F、114A〜114C、114D〜114Fが直列的に設けられているので、たとえば、図13に示す「×」印MK11のところで、導線108や導線112が断線すると、この断線した部位よりも先端部側に存在する各接点部110A〜110C、114A〜114Cでは、上記各接点部110A〜110C、114A〜114が接触しても(たとえば、接点部110Aと接点部114Aとが互いに接触しても)、図示しない各端子部同士が互いに導通しないので、着座を検出することができないという欠点がある
すなわち、上記従来のスイッチ100では、導線108、112が1箇所でも断線すると、人の着座等、非対象物を検出することができない場合があるという問題がある。
【0016】
なお、上記問題は、枝分かれしていないスイッチ(たとえば、各接点部が直列に配置されているスイッチ)においても発生する問題である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1に記載の発明は、フィルム状のスペーサを間にして、このスペーサの一方の面にフィルム状基材を配置し、上記スペーサの他方の面にフィルム状部材を配置して構成されているフィルム状のスイッチにおいて、上記フィルム状基材の上記スペーサ側の面に設けられた複数の第1の接点部と、上記フィルム状基材に設けられた第1の端子部と、上記フィルム状基材に設けられ、上記第1の端子部と上記第1の各接点部とを互いに電気的に導通接続している第1の導通経路と、上記フィルム状部材の上記スペーサ側の面に、上記第1の各接点部と対向して設けられた複数の第2の接点部と、上記フィルム状部材に設けられた第2の端子部と、上記フィルム状部材に設けられ、上記第2端子部と上記第2の各接点部とを互いに電気的に導通接続している第2の導通経路とを有し、上記フィルム状基材、上記フィルム状部材の少なくとも一方が撓んで、上記第1の接点部と上記第2の接点部とが互いに接触し、上記第1の端子部と上記第2の端子部とが互いに電気的に導通するように構成されていると共に、上記第1の導通経路の少なくとも一部が環状に形成されており、この環状に形成されている導通経路上に、上記第1の各接点部のうちの適数の接点部が設けられているスイッチである。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチにおいて、上記第1の各接点部の総てが、上記環状に形成された導通経路上に設けられているスイッチである。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のスイッチにおいて、上記フィルム状基材は、上記第1の導通経路の幅よりも広い幅で帯状に形成されていると共に、上記環状に形成された導通経路に応じた部位が環状に形成されており、上記スペーサと上記フィルム状部材とが、上記フィルム状基材とほぼ同じ形状に形成されているスイッチである。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のスイッチにおいて、上記スイッチを補強するために、上記フィルム状部材、上記スペーサ、上記フィルム状部材のうちの少なくとも1つに、上記環状に形成されている部位の一部と、上記環状に形成されている部位の他の一部とを互いにつないでいる帯状の部位が設けられているスイッチである。
【0021】
請求項5に記載の発明は、フィルム状のスペーサを間にして、このスペーサの一方の面にフィルム状基材を配置し、上記スペーサの他方の面にフィルム状部材を配置して構成されているフィルム状のスイッチにおいて、上記フィルム状基材の上記スペーサ側の面に設けられた複数の第1の接点部と、上記フィルム状基材に設けられた第1の端子部と、上記フィルム状基材に設けられ、上記第1の端子部と上記第1の各接点部とを互いに電気的に導通接続している第1の導通経路と、上記フィルム状基材の上記スペーサ側の面に、上記第1の各接点部から僅かに離れて設けられた複数の第2の接点部と、上記フィルム状基材に、上記第1の端子部から離れて設けられた第2の端子部と、上記フィルム状基材に上記第1の導通経路から離れて設けられ、上記第2端子部と上記第2の各接点部とを互いに電気的に導通接続している第2の導通経路と、上記フィルム状部材の上記スペーサ側の面に、上記第1の各接点部のそれぞれと上記第2の各接点部のそれぞれとで構成された各接点対に対向して設けられた複数の第3の接点部とを有し、上記フィルム状基材、上記フィルム状部材の少なくとも一方が撓んで、上記第1の接点部と上記第2の接点部とが上記第3の接点部に接触し、上記第1の端子部と上記第2の端子部とが互いに電気的に導通するように構成されていると共に、上記第1の導通経路の少なくとも一部が環状に形成されており、この環状に形成されている導通経路上に、上記第1の各接点部のうちの適数の接点部が設けられているスイッチである。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のスイッチにおいて、上記第1の各接点部の総てが、上記環状に形成された導通経路上に設けられているスイッチである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、フィルム状の基材にフィルム状のスペーサを重ね合わせ、このスペーサにフィルム状の部材を重ね合わせて構成された薄い膜状のスイッチにおいて、上記フィルム状基材や上記フィルム状部材に設けられた端子部と接点部とを互いに電気的につないでいる導通経路の一部が断線しても、人の着座等、非対象物の検出が不可能となるおそれが少ないという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るスイッチ1の概略構成を示す図であり、図2は、上記スイッチ1を構成するフィルム状基材3の概略構成を示す図であり、図3は、上記スイッチ1を構成するスペーサ5の概略構成を示す図である。
【0025】
また、図1におけるXIVA―XIVB断面は、上記従来のスイッチ100と同様に、図14に示すようになっている。
【0026】
スイッチ1は、PET等の絶縁体よりなるフィルム状のスペーサ5(図3参照)を間にして、このスペーサ5の一方の面にPEN等の絶縁体よりなるフィルム状基材3(図2参照)を配置し、上記スペーサ5の他方の面に、上記フィルム状基材3とは同様に構成されているフィルム状部材(他方のフィルム)7(図2参照)を配置して、全体的構成としてフィルム状に構成されている(図1、図14参照)。
【0027】
上記スイッチ1は、上記従来のスイッチ100と同様に、たとえば、人が着座可能なシートの表皮の裏側に配され、シートに着座した乗員の体重により動作し、シートへ乗員が着座しているか否かを検出する着座検出装置として使用される。
【0028】
乗員の着座を検知するために、上記フィルム状基材3の上記フィルム状部材7側の面(内側の面)には、複数の第1の接点部9A〜9Fが互いに離れて設けられており、上記第1の各接点部9A〜9Fは、上記フィルム状基材3の上記内側の面に配線された第1の導通経路13により、第1の各接点部9A〜9Fがループ状になるように、互いに電気的に接続(導通接続)されており、上記第1の導通経路13の一方の側には、上記スイッチ1を他の電気機器に接続するための第1の端子部(図示せず)が設けられている(図2参照)。
【0029】
換言すれば、上記第1の導通経路13の少なくとも一部が環状(ループ状)に形成されており、この環状に形成されている導通経路13上に、上記第1の各接点部9A〜9Fの総てが設けられている。
【0030】
なお、上記第1の各接点部9A〜9Fのうちの適数の接点部(たとえば、接点部9A〜9D)のみを、上記環状に形成されている導通経路13上に設けてもよい。
【0031】
また、上記フィルム状部材7の上記フィルム状基材3側の面(内側の面)には、上記第1の各接点部9A〜9Fと対向する位置に、複数の第2の接点部11A〜11Fが設けられており、上記第2の各接点部11A〜11Fは、上記フィルム状部材7の上記内側の面に配線された第2の導通経路15により、第2の各接点部11A〜11Fがループ状になるように、互いに電気的に接続(導通接続)されており、上記第2の導通経路15の一方の側には、上記スイッチ1を他の電気機器に接続するための第2の端子部(図示せず)が設けられている(図2参照)。
【0032】
換言すれば、上記第2の導通経路15の少なくとも一部が環状(ループ状)に形成されており、この環状に形成されている導通経路15上に、上記第2の各接点部11A〜11Fの総てが設けられている。
【0033】
なお、上記第1の各接点部9A〜9Fのうちの適数の接点部のみを、上記環状に形成されている導通経路13上に設けたことに応じて、上記第2の各接点部11A〜11Fのうちの適数の接点部(たとえば、接点部11A〜11D)のみを、上記第1の各接点部9A〜9F上記環状に形成されている導通経路15上に設けてもよい。
【0034】
上記スペーサ5は、上記フィルム状基材3と同様の形状に形成されていると共に、複数の貫通孔17A〜17Fを備えている。上記各貫通孔17A〜17Fは、上記各接点部9A〜9F、11A〜11Fが形成されている位置に対応する位置に設けられている(図1、図3参照)。
【0035】
そして、上記各接点部9A〜9F、11A〜11Fが常時は離間しているが、乗員の着座時に上記フィルム状基材3、上記フィルム状部材7の少なくとも一方が撓んで上記各電極9A〜9F、11A〜11Fが接触し(たとえば、電極9Aと電極11Aとが互いに接触し)、各導線13、15が互いに電気的に導通接続され、着座を検知することができるようになっている(図14参照)。
【0036】
ここで、上記第1の導通経路13、上記第2の導通経路15についてより詳しく説明する。
【0037】
上記第1の導通経路13は、図2に示すように、細長く延びて形成され、上記第1の端子部(図示せず)から先端部(第1の端子部から離反する側)に向かう途中の部位23Aで複数に枝分かれしており、上記第1の各接点部9A〜9Fは、上記枝分かれしている枝分かれ部位23Aよりも先端部側で上記第1の導通経路13上に(上記第1の導通経路13の途中に)設けられている。
【0038】
また、上記第1の導通経路13は、この第1の導通経路13の先端部同士を互いに電気的に導通接続するための先端部側導通経路25を備えて環状(ループ状)に形成されている。
【0039】
そして、上記第1の導通経路13の上記枝分かれ部位23Aよりも先端部側(環状に形成されている先端部側)では、上述したように、上記第1の各接点部9A〜9Fの総てが、上記先端部側導通経路25と上記第1の導通経路13の枝分かれした部位とで環状に形成された導通経路上に設けられている
すなわち、上記第1の接点部9Aと上記枝分かれ部位23Aとを直接的に接続している第1の導通経路13の部位13Aと、上記第1の接点部9Aと上記枝分かれ部位23Aとを、第1の各接点部9B〜9Fを介して接続している第1の導通経路13の部位13Bとによって、上記第1の接点部9Aは、上記枝分かれ部位23Aよりも先端部側では、2本の導通経路で上記枝分かれ部位23Aまで電気的に導通接続されている。
【0040】
また、上記他の第1の各接点部9B〜9Fも、第1の接点部9Aと同様に2本の導通経路で電気的に導通接続されている。
【0041】
上記フィルム状部材7における上記第2の各接点部11A〜11Fは、上記フィルム状部材7における上記第1の各接点部9A〜9Fと同様に配置され、かつ、上記第2の導通経路15も上記第1の導通経路13とほぼ同じ形状に形成されている。
【0042】
したがって、同一機能を奏する構成要素には、フィルム状基材3に対応した符号を対応して付することにより、重複した説明は省略する。
【0043】
次に、フィルム状基材3、スペーサ5、フィルム状部材7について説明する。
【0044】
上記フィルム状基材3は、上記第1の導通経路13の幅L1よりも広い幅L3で長く延びて帯状に形成されており、上記第1の導通経路13は、帯状のフィルム状基材3の幅のほぼ中央部に配置されている。また、上記帯状のフィルム状基材3は、上記第1の導通経路13とほぼ同じ形状で複数に枝分かれして先端部側で環状に形成されている(図2参照)。
【0045】
すなわち、上記第1の導通経路13のうちで環状に形成された部位に応じた上記フィルム状基材3の部位が環状に形成されている。
【0046】
上記フィルム状基材3の形態についてより詳しく説明する。
【0047】
図2に示すように、上記フィルム状基材3は、比較的幅の広い帯状(短冊状)の基端側部3Aを備えている。この基端側部3Aの先端部には、基端側部3Aの幅よりも狭い幅のループ状の帯状部3Bが設けられており、この帯状部3Bの長手方向で間隔をあけて、大径の拡大部3Cが複数設けられている。
【0048】
そして、上記フィルム状基材3の基端側部3Aおよび帯状部3Bの幅方向の中央部に、第1の導通経路13が設けられている。また、上記第1の導通経路13の上記拡大部3Cに対応する部分のそれぞれには、各端子部9A〜9Fが設けられている。
【0049】
なお、上記フィルム状部材7も上記フィルム基材3と同様に構成されている。
【0050】
また、図3に示すように、スペーサ5の外径形状は、上記フィルム状基材3の外形形状と同様に構成されており、スペーサ5の拡大部には、貫通孔17A〜17Fが形成されている。なお、上記貫通孔の代わりに、切り欠きを設けてもよい。
【0051】
上記構成において、スペーサ5を間にして、フィルム状基材3とフィルム状部材7とを各接点部9A〜9F、11A〜11Fが内側にくるように接着すると、フィルム状基材3の第1の各接点部9A〜9Fと、フィルム状部材7の第2の各接点部11A〜11Fは、スペーサ5の各貫通孔17A〜17Fを間にして対向した状態にあり、かつ、スペーサ5の厚さによって互いが離れた状態にある。
【0052】
そして、人の着座等による外力で、スイッチ1(フィルム状基材3やフィルム状部材7)が撓むと、第1の各接点部9A〜9Fと第2の各接点部11A〜11Fが接触し、フィルム状基材3の端子部とフィルム状部材7の端子部とが互いに電気的に導通するようになっている。
【0053】
ここで、スイッチ1を、回路図を用いて表すと、たとえば図4に示すようになる。
【0054】
なお、図4では、第1の端子部27と第2の端子部29とが表示されている。また、図4において、第1の端子部27の近くで第1の導通経路13が交わっているが、換言すれば、第1の端子部27の近傍よりも先端部側(上記第1の端子部27から離れる側)で第1の導通経路13が環状に形成されているが、このように環状に形成されている第1の導通経路13に代えて、第1の端子部27に直接接続する導通経路13Dを設けてもよい。
【0055】
すなわち、第1の導通経路13の総てを環状に形成し、この環状に形成された導通経路上に第1の各接点部9A〜9Fと第1の端子部27とを設けてもよい。
【0056】
同様に、第2の端子部29の近くで第2の導通経路15が交わっているが、換言すれば、第2の端子部29の近傍よりも先端部側(上記第2の端子部29から離れる側)で第2の導通経路15が環状に形成されているが、このように環状に形成されている第2の導通経路15に代えて、第2の端子部29に直接接続する導通経路15Dを設けてもよい。
【0057】
さらに、図6に示すように、スイッチ1において、第1の各接点部9A〜9Eのうちの一部の接点部9B、9Cを環状の導通経路上の設けるための導通経路25Bや、第2の各接点部11A〜11Eのうちの一部の接点部11B、11Cを環状の導通経路上の設けるための導通経路26Bを設けてもよい。
【0058】
すなわち、第1の各接点部9A〜9Eを互いに接続している第1の導通経路13の少なくとも一部が複数の導通経路で構成され、第2の各接点部11A〜11Eを互いに接続している第2の導通経路15の少なくとも一部が複数の導通経路で構成されているようにしてもよい。
【0059】
スイッチ1によれば、上記第1の各接点部9A〜9Fが、第1の導通経路13のうちで、環状に形成された導通経路上に設けられているので、上記第1の導通経路13の一部が断線しても、人の着座等非対象物の検出が不可能となるおそれが少ない。
【0060】
すなわち、たとえば、図1に示す「×」印MK1のところで第1の導通経路13が断線した状態で、第1の接点部9Aと第2の接点部11Aとが互いに接触した場合、図2に示す導通経路(各接点部9B〜9Fを通る導通経路)13Bを介して、第1の接点部9Aと第1の端子部とが互いに電気的に導通し、図2に示す第2の導通経路15Bを介して、第2の接点部11Aと第2の端子部とが互いに電気的に導通するので、人の着座等非対象物の検出が不可能となるおそれを回避することができる。
【0061】
同様に、スイッチ1によれば、上記第2の各接点部11A〜11Fが、第2の導通経路15のうちで、環状に形成された導通経路上に設けられているので、上記第2の導通経路15の一部が断線しても、人の着座等非対象物の検出が不可能となるおそれが少ない。
【0062】
なお、図5(スイッチ1の変形例であるスイッチの回路図)に示すように、スイッチ1において、接点部9Gや、接点部9Gのみと第1の導通経路13とを互いに電気的に導通させるための専用導通経路13Cや、接点部11Gや、接点部11Gのみと第2の導通経路15とを互いに電気的に導通させるための専用導通経路15Cを設けてもよい。このように構成しても、第1の導通経路13の1箇所が断線した場合、第2の導通経路15の1箇所が断線した場合において、非対象物の検出が不能になるという事態を回避することができる。また、環状部分が座席において、変形の大きいところに配することにより、非対象物の検出が不能になるという事態を回避することができる。
【0063】
また、スイッチ1では、上記フィルム状基材3、上記スペーサ5、上記フィルム状部材7が帯状に長く延びて形成されているので、上記フィルム状基材3、上記スペーサ5、上記フィルム状部材7の幅が広くまた孔等を有しない1枚のフィルム状に形成されている場合(たとえば、大きな長方形状でシート状に形成されている場合)に比べ、スイッチが変形しやすくなっており、着座シートに設置し乗員が着座シートに座った場合、シートと共に容易に変形し、上記乗員に違和感を与えるおそれを回避することができる。
【0064】
また、スイッチ1では、上記フィルム状基材3、上記スペーサ5、上記フィルム状部材7が、ループ状に形成されているので、スイッチ1の外力に対する強度が高くなっている。
【0065】
したがって、スイッチ1を、シートの部位のうちで、乗員の臀部が載る部位よりも、頭部が当接するヘッドレストの部位(臀部が載る部位よりも変形量が少ない部位)に好適に使用し、強度の高いスイッチで乗員の頭部を検出するようにするとよい。
【0066】
さらに、スイッチ1では、上記導通経路25、26が上記枝分かれをしている各導通経路13、15の先端部同士を互いに電気的に導通しているので、これによって形成されるループ(環状部位)内に、総ての第1の接点部9A〜9F、11A〜11Fが設けられることになり、各導通経路13、15の一部の断線による非対象物の検出が不能という事態をさらに一層回避することができる。
【0067】
なお、スイッチ1を、図7に示すスイッチ1aのような構成にしてもよい。
【0068】
この構成は、図1に示したスイッチ1において、各接点部を互いに接続する複数の各導通経路35A〜35F、39A〜39Fを設けた構成である。
【0069】
上記各導通経路35A〜35Fは、上記スイッチ1aのフィルム状基材3aに設けられており、また、上記各導通経路35A〜35Fは、中央の部位33から第1の各接点部9A〜9Fにつながっている。さらに、上記各導通経路35A〜35Fが設けられていることに応じて、上記フィルム状基材3aには、上記各導通経路35A〜35Fを設けるために、長く延びた帯状の各接続部位36A〜36Fが設けられている。
【0070】
また、上記各導通経路39A〜39Fは、上記スイッチ1aのフィルム状部材7aに設けられており、上記各導通経路39A〜39Fは、中央の部位37から第2の各接点部11A〜11Fにつながっている。さらに、上記各導通経路39A〜39Fが設けられていることに応じて、上記フィルム状部材7aには、上記各導通経路39A〜39Fを設けるために長く延びた帯状の各接続部位40A〜40Fが設けられている。
【0071】
したがって、スイッチ1aでは、「×」印MK3および「×」印MK5のところのように、複数の箇所で導通経路が断線しても、人の着座等非対象物の検出が不可能となるおそれが少ない。
【0072】
また、図8に示すスイッチ1bのような構成にしてもよい。
【0073】
スイッチ1bでは、フィルム状基材3bの枝分かれして延伸している帯状の中間の部位41同士を互いにつないで上記フィルム状基材3bを補強する帯状の補強部位(上記導通経路が設けられていない補強部位)43が、上記フィルム状基材3bに設けられている。
【0074】
すなわち、帯状の補強部位43が、上記フィルム状基材3bの環状に形成されている部位の一部と、上記環状に形成されている部位の他の一部とを互いにつないでいる
なお、スイッチ1bにおいて、スペーサ5bやフィルム状部材7bにも、同様な補強部位を設けてもよい。
【0075】
次に、4セルタイプの各スイッチ1c〜1eについて説明する。
【0076】
図9は、4セルタイプのスイッチ(接点部対が4つ設けられているスイッチ)1cの概略構成を示す図である。
【0077】
スイッチ1cは、接点部対が4つになっている点が上記スイッチ1とは異なり、その他の点は、上記スイッチ1とほぼ同様に構成されている。
【0078】
ここで接点部対とは、フィルム状基材3cに設けられている接点部と、この接点部に対向してフィルム状部材7cに設けられ、フィルム状基材3c、フィルム状部材7cの少なくとも一方が撓んで、上記フィルム状基材3cに設けられている接点部と接触する接点部との組をいう。たとえば、スイッチ1における第1の接点部9Aと第2の接点部11Aとの組をいう。
【0079】
スイッチ1cの接点部対45A〜45Dは、長方形の頂点の位置に存在し、各導通経路47A〜47Dが長方形の辺の位置に存在している。なお、上記各導通経路47A〜47Dは、フィルム状基材3c、フィルム状部材7cのそれぞれに設けられている。
【0080】
図10に示すスイッチ1dは、上記スイッチ1cに導通経路51を加えたものである。なお導通経路51は、導通経路47Aの中間部と、この導通経路47Aに対向している導通経路47Cの中間部とを互いに接続するように設けられている。
【0081】
図11は、上記スイッチ1cに、2本の導通経路53を加えたものである。なお各導通経路53は、長方形の対角線に応じた位置に設けられており、上記各導通経路53の中央部は、互いに電気的に導通している。
【0082】
なお、上記各スイッチ1b〜1eにおいても、上記スイッチ1とほぼ同様な効果を得ることができる。さらに、スイッチ1bによれば、補強部位43が上記フィルム状基材等に設けられているので、スイッチの強度や剛性を容易に高めることができる。
【0083】
[第2の実施形態]
図12は、本発明の第2の実施形態に係るスイッチ1fの回路図を示す図である。
【0084】
スイッチ1fでは、フィルム状基材に、第1の端子部27と、第1の各接点部9A〜9Eと、一部がループ状(還状)に形成された第1の導通経路13とを設けると共に、上記フィルム状基材に、第2の端子部29と、上記第1の各接点部9A〜9Eとは僅かに離れている第2の各接点部11A〜11Eと、一部がループ状(還状)に形成された第2の導通経路15とを設け、さらに、スイッチ1と同様にスペーサを介して設けられたフィルム状部材に、各接点部31A〜31Eが設けられている点が、上記第1の実施形態に係るスイッチ1と異なり、その他の点は、スイッチ1とほぼ同様に構成されている。
【0085】
上記各接点部31A〜31Eは、上記フィルム状基材の上記フィルム状部材側(スペーサ側)の面に、上記第1の各接点部9A〜9Eのそれぞれと上記第2の各接点部11A〜11Eのそれぞれとで構成された各接点対に対向して設けられている。
【0086】
たとえば、第1の接点部9Aと第2の接点部11Aとで構成された接点対に対向して第3の接点31Aが設けられている。
【0087】
また、上記第1の各接点部9A〜9Eの総てが上記第1の導通経路13のうちの還状に形成された部位の上に設けられており、上記第2の各接点部11A〜11Eの総てが上記第2の導通経路15のうちの還状に形成された部位の上に設けられている。
【0088】
そして、乗員が着座したときに、上記フィルム状部材が撓んで、第1の各接点部9A〜9Eと第2の各接点部11A〜11Eとが、各接点部31A〜31Eに接触し、上記第1の端子部27と上記第2の端子部29とが互いに電気的に導通するようになっている。すなわち、たとえば、上記第1の接点部9Aと上記第2の接点部11Aとが、上記接点部31Aを介して電気的に導通するようになっている。
【0089】
このように構成することにより、第1の導通経路13や第2の導通経路15の一箇所が断線しても、スイッチ1と同様に、人の着座等非対象物の検出が不可能となるおそれが少ない。
【0090】
なお、上記第1の各接点部9A〜9Eのうちの一部の適数の接点部が上記第1の導通経路13のうちの還状に形成された部位の上に設けられ、上記第2の各接点部11A〜11Eのうちの一部の適数の接点部が上記第2の導通経路15のうちの還状に形成された部位の上に設けられているようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るスイッチの概略構成を示す図である。
【図2】スイッチを構成するフィルム状基材の概略構成を示す図である。
【図3】スイッチを構成するスペーサの概略構成を示す図である。
【図4】スイッチの回路図である。
【図5】スイッチの変形例を示す回路図である。
【図6】スイッチの変形例を示す回路図である。
【図7】スイッチの変形例を示す図である。
【図8】スイッチの変形例を示す図である。
【図9】スイッチの変形例を示す図である。
【図10】スイッチの変形例を示す図である。
【図11】スイッチの変形例を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るスイッチの回路図を示す図である。
【図13】従来のスイッチの概略構成を示す図である。
【図14】図13のXIVA−XIVB断面を示す図である。
【図15】従来のスイッチを構成するフィルム状基材の概略構成を示す図である。
【図16】従来のスイッチを構成するスペーサの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0092】
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f スイッチ
3 フィルム状基材
5 スペーサ
7 フィルム状部材
9A〜9F、11A〜11F 接点部
13、15 導通経路
27、29 端子部
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチに係り、特に、フィルム状の基材とフィルム状のスペーサとフィルム状の部材とを順に重ね合わせて構成されているシート状のスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
図13は、従来のスイッチ100の概略構成を示す図であり、図14は、図13のXIVA−XIVB断面を示す図であり、図15は、上記スイッチ100を構成するフィルム状基材(フィルム)102の概略構成を示す図であり、図16は、上記スイッチ100を構成するスペーサ104の概略構成を示す図である。
【0003】
従来のスイッチ100は、図14で示すように、絶縁体よりなるスペーサ104(図16参照)を間にして、このスペーサ104の一方の面にフィルム状基材(フィルム)102(図15参照)を配置し、上記スペーサ104の他方の面にフィルム状部材(他方のフィルム)106を配置して構成されている。
【0004】
なお、上記フィルム状基材102と、上記フィルム状部材(他方のフィルム)106とは同様に構成されている。
【0005】
上記スイッチ100は、たとえば、人が着座可能なシートの表皮の裏側に配して使用され、シートに着座した乗員の体重により動作し、シートへ乗員が着座しているか否かを検出する着座検出装置として使用される。
【0006】
乗員の着座を検知するため、図14に示すように、上記フィルム状基材102の上記フィルム状部材106側の面(内側の面)には、複数の電極(接点部)110A〜110Fがそれぞれ離れて設けられている。
【0007】
上記各電極(接点部)110A〜110Fは、上記内側の面に配線された導線(導通経路)108で互いに電気的に接続されており、上記導線108の一方の側には、上記スイッチ100を他の電気機器に接続するための第1の端子部(図示せず)が設けられている。
【0008】
また、上記フィルム状基材102と同様に、上記フィルム状部材106の上記フィルム状基材102側の面(内側の面)には、複数の電極(接点部)114A〜114Fがそれぞれ離れて設けられている。
【0009】
上記各電極(接点部)114A〜114Fは、上記内側の面に配線された導線(導通経路)112で互いに電気的に接続されており、上記導線112の一方の側には、上記スイッチ100を他の電気機器に接続するための第2の端子部(図示せず)が設けられている。
【0010】
上記スペーサ104は、上記フィルム状基材102と同様な形状に形成されていると共に、複数の貫通孔116を備えている。上記各貫通孔116は、上記各電極110A〜110F、114A〜114Fが設けられている位置に対応する位置に設けられている。
【0011】
そして、上記各電極110A〜110F、114A〜114Fが常時は離間しているが、乗員の着座時に上記フィルム状基材102、上記フィルム状部材106が撓んで上記各電極110A〜110F、114A〜114Fが接触し(たとえば、電極110Aと電極114Aとが互いに接触し)、各導線108、112が互いに電気的に導通接続され、着座を検知することができる。
【0012】
上記各導線108、112は、上記端子部側から離れる方向へ向かう途中で複数に枝分かれして設けられていると共に、上記各電極110A〜110F、114A〜114Fは、枝分かれして延伸している配線部位に設けられている(図15参照)。
【0013】
すなわち、1グループとしての電極110A〜110Cは直列的に接続され、同様に、1グループとしての電極110D〜110Fも直列的に接続され、1グループとしての電極114A〜114Cも直列的に接続され、1グループとしての電極114D〜114Fも直列的に接続されている。
【0014】
なお、上記従来のスイッチ100に関連するスイッチとして特許文献1に記載にスイッチが知られている。
【特許文献1】特開平9−315199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、上記従来のスイッチ100では、枝分かれして延伸している各配線部位のそれぞれに、各接点部110A〜110C、110D〜110F、114A〜114C、114D〜114Fが直列的に設けられているので、たとえば、図13に示す「×」印MK11のところで、導線108や導線112が断線すると、この断線した部位よりも先端部側に存在する各接点部110A〜110C、114A〜114Cでは、上記各接点部110A〜110C、114A〜114が接触しても(たとえば、接点部110Aと接点部114Aとが互いに接触しても)、図示しない各端子部同士が互いに導通しないので、着座を検出することができないという欠点がある
すなわち、上記従来のスイッチ100では、導線108、112が1箇所でも断線すると、人の着座等、非対象物を検出することができない場合があるという問題がある。
【0016】
なお、上記問題は、枝分かれしていないスイッチ(たとえば、各接点部が直列に配置されているスイッチ)においても発生する問題である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1に記載の発明は、フィルム状のスペーサを間にして、このスペーサの一方の面にフィルム状基材を配置し、上記スペーサの他方の面にフィルム状部材を配置して構成されているフィルム状のスイッチにおいて、上記フィルム状基材の上記スペーサ側の面に設けられた複数の第1の接点部と、上記フィルム状基材に設けられた第1の端子部と、上記フィルム状基材に設けられ、上記第1の端子部と上記第1の各接点部とを互いに電気的に導通接続している第1の導通経路と、上記フィルム状部材の上記スペーサ側の面に、上記第1の各接点部と対向して設けられた複数の第2の接点部と、上記フィルム状部材に設けられた第2の端子部と、上記フィルム状部材に設けられ、上記第2端子部と上記第2の各接点部とを互いに電気的に導通接続している第2の導通経路とを有し、上記フィルム状基材、上記フィルム状部材の少なくとも一方が撓んで、上記第1の接点部と上記第2の接点部とが互いに接触し、上記第1の端子部と上記第2の端子部とが互いに電気的に導通するように構成されていると共に、上記第1の導通経路の少なくとも一部が環状に形成されており、この環状に形成されている導通経路上に、上記第1の各接点部のうちの適数の接点部が設けられているスイッチである。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチにおいて、上記第1の各接点部の総てが、上記環状に形成された導通経路上に設けられているスイッチである。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のスイッチにおいて、上記フィルム状基材は、上記第1の導通経路の幅よりも広い幅で帯状に形成されていると共に、上記環状に形成された導通経路に応じた部位が環状に形成されており、上記スペーサと上記フィルム状部材とが、上記フィルム状基材とほぼ同じ形状に形成されているスイッチである。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のスイッチにおいて、上記スイッチを補強するために、上記フィルム状部材、上記スペーサ、上記フィルム状部材のうちの少なくとも1つに、上記環状に形成されている部位の一部と、上記環状に形成されている部位の他の一部とを互いにつないでいる帯状の部位が設けられているスイッチである。
【0021】
請求項5に記載の発明は、フィルム状のスペーサを間にして、このスペーサの一方の面にフィルム状基材を配置し、上記スペーサの他方の面にフィルム状部材を配置して構成されているフィルム状のスイッチにおいて、上記フィルム状基材の上記スペーサ側の面に設けられた複数の第1の接点部と、上記フィルム状基材に設けられた第1の端子部と、上記フィルム状基材に設けられ、上記第1の端子部と上記第1の各接点部とを互いに電気的に導通接続している第1の導通経路と、上記フィルム状基材の上記スペーサ側の面に、上記第1の各接点部から僅かに離れて設けられた複数の第2の接点部と、上記フィルム状基材に、上記第1の端子部から離れて設けられた第2の端子部と、上記フィルム状基材に上記第1の導通経路から離れて設けられ、上記第2端子部と上記第2の各接点部とを互いに電気的に導通接続している第2の導通経路と、上記フィルム状部材の上記スペーサ側の面に、上記第1の各接点部のそれぞれと上記第2の各接点部のそれぞれとで構成された各接点対に対向して設けられた複数の第3の接点部とを有し、上記フィルム状基材、上記フィルム状部材の少なくとも一方が撓んで、上記第1の接点部と上記第2の接点部とが上記第3の接点部に接触し、上記第1の端子部と上記第2の端子部とが互いに電気的に導通するように構成されていると共に、上記第1の導通経路の少なくとも一部が環状に形成されており、この環状に形成されている導通経路上に、上記第1の各接点部のうちの適数の接点部が設けられているスイッチである。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のスイッチにおいて、上記第1の各接点部の総てが、上記環状に形成された導通経路上に設けられているスイッチである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、フィルム状の基材にフィルム状のスペーサを重ね合わせ、このスペーサにフィルム状の部材を重ね合わせて構成された薄い膜状のスイッチにおいて、上記フィルム状基材や上記フィルム状部材に設けられた端子部と接点部とを互いに電気的につないでいる導通経路の一部が断線しても、人の着座等、非対象物の検出が不可能となるおそれが少ないという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るスイッチ1の概略構成を示す図であり、図2は、上記スイッチ1を構成するフィルム状基材3の概略構成を示す図であり、図3は、上記スイッチ1を構成するスペーサ5の概略構成を示す図である。
【0025】
また、図1におけるXIVA―XIVB断面は、上記従来のスイッチ100と同様に、図14に示すようになっている。
【0026】
スイッチ1は、PET等の絶縁体よりなるフィルム状のスペーサ5(図3参照)を間にして、このスペーサ5の一方の面にPEN等の絶縁体よりなるフィルム状基材3(図2参照)を配置し、上記スペーサ5の他方の面に、上記フィルム状基材3とは同様に構成されているフィルム状部材(他方のフィルム)7(図2参照)を配置して、全体的構成としてフィルム状に構成されている(図1、図14参照)。
【0027】
上記スイッチ1は、上記従来のスイッチ100と同様に、たとえば、人が着座可能なシートの表皮の裏側に配され、シートに着座した乗員の体重により動作し、シートへ乗員が着座しているか否かを検出する着座検出装置として使用される。
【0028】
乗員の着座を検知するために、上記フィルム状基材3の上記フィルム状部材7側の面(内側の面)には、複数の第1の接点部9A〜9Fが互いに離れて設けられており、上記第1の各接点部9A〜9Fは、上記フィルム状基材3の上記内側の面に配線された第1の導通経路13により、第1の各接点部9A〜9Fがループ状になるように、互いに電気的に接続(導通接続)されており、上記第1の導通経路13の一方の側には、上記スイッチ1を他の電気機器に接続するための第1の端子部(図示せず)が設けられている(図2参照)。
【0029】
換言すれば、上記第1の導通経路13の少なくとも一部が環状(ループ状)に形成されており、この環状に形成されている導通経路13上に、上記第1の各接点部9A〜9Fの総てが設けられている。
【0030】
なお、上記第1の各接点部9A〜9Fのうちの適数の接点部(たとえば、接点部9A〜9D)のみを、上記環状に形成されている導通経路13上に設けてもよい。
【0031】
また、上記フィルム状部材7の上記フィルム状基材3側の面(内側の面)には、上記第1の各接点部9A〜9Fと対向する位置に、複数の第2の接点部11A〜11Fが設けられており、上記第2の各接点部11A〜11Fは、上記フィルム状部材7の上記内側の面に配線された第2の導通経路15により、第2の各接点部11A〜11Fがループ状になるように、互いに電気的に接続(導通接続)されており、上記第2の導通経路15の一方の側には、上記スイッチ1を他の電気機器に接続するための第2の端子部(図示せず)が設けられている(図2参照)。
【0032】
換言すれば、上記第2の導通経路15の少なくとも一部が環状(ループ状)に形成されており、この環状に形成されている導通経路15上に、上記第2の各接点部11A〜11Fの総てが設けられている。
【0033】
なお、上記第1の各接点部9A〜9Fのうちの適数の接点部のみを、上記環状に形成されている導通経路13上に設けたことに応じて、上記第2の各接点部11A〜11Fのうちの適数の接点部(たとえば、接点部11A〜11D)のみを、上記第1の各接点部9A〜9F上記環状に形成されている導通経路15上に設けてもよい。
【0034】
上記スペーサ5は、上記フィルム状基材3と同様の形状に形成されていると共に、複数の貫通孔17A〜17Fを備えている。上記各貫通孔17A〜17Fは、上記各接点部9A〜9F、11A〜11Fが形成されている位置に対応する位置に設けられている(図1、図3参照)。
【0035】
そして、上記各接点部9A〜9F、11A〜11Fが常時は離間しているが、乗員の着座時に上記フィルム状基材3、上記フィルム状部材7の少なくとも一方が撓んで上記各電極9A〜9F、11A〜11Fが接触し(たとえば、電極9Aと電極11Aとが互いに接触し)、各導線13、15が互いに電気的に導通接続され、着座を検知することができるようになっている(図14参照)。
【0036】
ここで、上記第1の導通経路13、上記第2の導通経路15についてより詳しく説明する。
【0037】
上記第1の導通経路13は、図2に示すように、細長く延びて形成され、上記第1の端子部(図示せず)から先端部(第1の端子部から離反する側)に向かう途中の部位23Aで複数に枝分かれしており、上記第1の各接点部9A〜9Fは、上記枝分かれしている枝分かれ部位23Aよりも先端部側で上記第1の導通経路13上に(上記第1の導通経路13の途中に)設けられている。
【0038】
また、上記第1の導通経路13は、この第1の導通経路13の先端部同士を互いに電気的に導通接続するための先端部側導通経路25を備えて環状(ループ状)に形成されている。
【0039】
そして、上記第1の導通経路13の上記枝分かれ部位23Aよりも先端部側(環状に形成されている先端部側)では、上述したように、上記第1の各接点部9A〜9Fの総てが、上記先端部側導通経路25と上記第1の導通経路13の枝分かれした部位とで環状に形成された導通経路上に設けられている
すなわち、上記第1の接点部9Aと上記枝分かれ部位23Aとを直接的に接続している第1の導通経路13の部位13Aと、上記第1の接点部9Aと上記枝分かれ部位23Aとを、第1の各接点部9B〜9Fを介して接続している第1の導通経路13の部位13Bとによって、上記第1の接点部9Aは、上記枝分かれ部位23Aよりも先端部側では、2本の導通経路で上記枝分かれ部位23Aまで電気的に導通接続されている。
【0040】
また、上記他の第1の各接点部9B〜9Fも、第1の接点部9Aと同様に2本の導通経路で電気的に導通接続されている。
【0041】
上記フィルム状部材7における上記第2の各接点部11A〜11Fは、上記フィルム状部材7における上記第1の各接点部9A〜9Fと同様に配置され、かつ、上記第2の導通経路15も上記第1の導通経路13とほぼ同じ形状に形成されている。
【0042】
したがって、同一機能を奏する構成要素には、フィルム状基材3に対応した符号を対応して付することにより、重複した説明は省略する。
【0043】
次に、フィルム状基材3、スペーサ5、フィルム状部材7について説明する。
【0044】
上記フィルム状基材3は、上記第1の導通経路13の幅L1よりも広い幅L3で長く延びて帯状に形成されており、上記第1の導通経路13は、帯状のフィルム状基材3の幅のほぼ中央部に配置されている。また、上記帯状のフィルム状基材3は、上記第1の導通経路13とほぼ同じ形状で複数に枝分かれして先端部側で環状に形成されている(図2参照)。
【0045】
すなわち、上記第1の導通経路13のうちで環状に形成された部位に応じた上記フィルム状基材3の部位が環状に形成されている。
【0046】
上記フィルム状基材3の形態についてより詳しく説明する。
【0047】
図2に示すように、上記フィルム状基材3は、比較的幅の広い帯状(短冊状)の基端側部3Aを備えている。この基端側部3Aの先端部には、基端側部3Aの幅よりも狭い幅のループ状の帯状部3Bが設けられており、この帯状部3Bの長手方向で間隔をあけて、大径の拡大部3Cが複数設けられている。
【0048】
そして、上記フィルム状基材3の基端側部3Aおよび帯状部3Bの幅方向の中央部に、第1の導通経路13が設けられている。また、上記第1の導通経路13の上記拡大部3Cに対応する部分のそれぞれには、各端子部9A〜9Fが設けられている。
【0049】
なお、上記フィルム状部材7も上記フィルム基材3と同様に構成されている。
【0050】
また、図3に示すように、スペーサ5の外径形状は、上記フィルム状基材3の外形形状と同様に構成されており、スペーサ5の拡大部には、貫通孔17A〜17Fが形成されている。なお、上記貫通孔の代わりに、切り欠きを設けてもよい。
【0051】
上記構成において、スペーサ5を間にして、フィルム状基材3とフィルム状部材7とを各接点部9A〜9F、11A〜11Fが内側にくるように接着すると、フィルム状基材3の第1の各接点部9A〜9Fと、フィルム状部材7の第2の各接点部11A〜11Fは、スペーサ5の各貫通孔17A〜17Fを間にして対向した状態にあり、かつ、スペーサ5の厚さによって互いが離れた状態にある。
【0052】
そして、人の着座等による外力で、スイッチ1(フィルム状基材3やフィルム状部材7)が撓むと、第1の各接点部9A〜9Fと第2の各接点部11A〜11Fが接触し、フィルム状基材3の端子部とフィルム状部材7の端子部とが互いに電気的に導通するようになっている。
【0053】
ここで、スイッチ1を、回路図を用いて表すと、たとえば図4に示すようになる。
【0054】
なお、図4では、第1の端子部27と第2の端子部29とが表示されている。また、図4において、第1の端子部27の近くで第1の導通経路13が交わっているが、換言すれば、第1の端子部27の近傍よりも先端部側(上記第1の端子部27から離れる側)で第1の導通経路13が環状に形成されているが、このように環状に形成されている第1の導通経路13に代えて、第1の端子部27に直接接続する導通経路13Dを設けてもよい。
【0055】
すなわち、第1の導通経路13の総てを環状に形成し、この環状に形成された導通経路上に第1の各接点部9A〜9Fと第1の端子部27とを設けてもよい。
【0056】
同様に、第2の端子部29の近くで第2の導通経路15が交わっているが、換言すれば、第2の端子部29の近傍よりも先端部側(上記第2の端子部29から離れる側)で第2の導通経路15が環状に形成されているが、このように環状に形成されている第2の導通経路15に代えて、第2の端子部29に直接接続する導通経路15Dを設けてもよい。
【0057】
さらに、図6に示すように、スイッチ1において、第1の各接点部9A〜9Eのうちの一部の接点部9B、9Cを環状の導通経路上の設けるための導通経路25Bや、第2の各接点部11A〜11Eのうちの一部の接点部11B、11Cを環状の導通経路上の設けるための導通経路26Bを設けてもよい。
【0058】
すなわち、第1の各接点部9A〜9Eを互いに接続している第1の導通経路13の少なくとも一部が複数の導通経路で構成され、第2の各接点部11A〜11Eを互いに接続している第2の導通経路15の少なくとも一部が複数の導通経路で構成されているようにしてもよい。
【0059】
スイッチ1によれば、上記第1の各接点部9A〜9Fが、第1の導通経路13のうちで、環状に形成された導通経路上に設けられているので、上記第1の導通経路13の一部が断線しても、人の着座等非対象物の検出が不可能となるおそれが少ない。
【0060】
すなわち、たとえば、図1に示す「×」印MK1のところで第1の導通経路13が断線した状態で、第1の接点部9Aと第2の接点部11Aとが互いに接触した場合、図2に示す導通経路(各接点部9B〜9Fを通る導通経路)13Bを介して、第1の接点部9Aと第1の端子部とが互いに電気的に導通し、図2に示す第2の導通経路15Bを介して、第2の接点部11Aと第2の端子部とが互いに電気的に導通するので、人の着座等非対象物の検出が不可能となるおそれを回避することができる。
【0061】
同様に、スイッチ1によれば、上記第2の各接点部11A〜11Fが、第2の導通経路15のうちで、環状に形成された導通経路上に設けられているので、上記第2の導通経路15の一部が断線しても、人の着座等非対象物の検出が不可能となるおそれが少ない。
【0062】
なお、図5(スイッチ1の変形例であるスイッチの回路図)に示すように、スイッチ1において、接点部9Gや、接点部9Gのみと第1の導通経路13とを互いに電気的に導通させるための専用導通経路13Cや、接点部11Gや、接点部11Gのみと第2の導通経路15とを互いに電気的に導通させるための専用導通経路15Cを設けてもよい。このように構成しても、第1の導通経路13の1箇所が断線した場合、第2の導通経路15の1箇所が断線した場合において、非対象物の検出が不能になるという事態を回避することができる。また、環状部分が座席において、変形の大きいところに配することにより、非対象物の検出が不能になるという事態を回避することができる。
【0063】
また、スイッチ1では、上記フィルム状基材3、上記スペーサ5、上記フィルム状部材7が帯状に長く延びて形成されているので、上記フィルム状基材3、上記スペーサ5、上記フィルム状部材7の幅が広くまた孔等を有しない1枚のフィルム状に形成されている場合(たとえば、大きな長方形状でシート状に形成されている場合)に比べ、スイッチが変形しやすくなっており、着座シートに設置し乗員が着座シートに座った場合、シートと共に容易に変形し、上記乗員に違和感を与えるおそれを回避することができる。
【0064】
また、スイッチ1では、上記フィルム状基材3、上記スペーサ5、上記フィルム状部材7が、ループ状に形成されているので、スイッチ1の外力に対する強度が高くなっている。
【0065】
したがって、スイッチ1を、シートの部位のうちで、乗員の臀部が載る部位よりも、頭部が当接するヘッドレストの部位(臀部が載る部位よりも変形量が少ない部位)に好適に使用し、強度の高いスイッチで乗員の頭部を検出するようにするとよい。
【0066】
さらに、スイッチ1では、上記導通経路25、26が上記枝分かれをしている各導通経路13、15の先端部同士を互いに電気的に導通しているので、これによって形成されるループ(環状部位)内に、総ての第1の接点部9A〜9F、11A〜11Fが設けられることになり、各導通経路13、15の一部の断線による非対象物の検出が不能という事態をさらに一層回避することができる。
【0067】
なお、スイッチ1を、図7に示すスイッチ1aのような構成にしてもよい。
【0068】
この構成は、図1に示したスイッチ1において、各接点部を互いに接続する複数の各導通経路35A〜35F、39A〜39Fを設けた構成である。
【0069】
上記各導通経路35A〜35Fは、上記スイッチ1aのフィルム状基材3aに設けられており、また、上記各導通経路35A〜35Fは、中央の部位33から第1の各接点部9A〜9Fにつながっている。さらに、上記各導通経路35A〜35Fが設けられていることに応じて、上記フィルム状基材3aには、上記各導通経路35A〜35Fを設けるために、長く延びた帯状の各接続部位36A〜36Fが設けられている。
【0070】
また、上記各導通経路39A〜39Fは、上記スイッチ1aのフィルム状部材7aに設けられており、上記各導通経路39A〜39Fは、中央の部位37から第2の各接点部11A〜11Fにつながっている。さらに、上記各導通経路39A〜39Fが設けられていることに応じて、上記フィルム状部材7aには、上記各導通経路39A〜39Fを設けるために長く延びた帯状の各接続部位40A〜40Fが設けられている。
【0071】
したがって、スイッチ1aでは、「×」印MK3および「×」印MK5のところのように、複数の箇所で導通経路が断線しても、人の着座等非対象物の検出が不可能となるおそれが少ない。
【0072】
また、図8に示すスイッチ1bのような構成にしてもよい。
【0073】
スイッチ1bでは、フィルム状基材3bの枝分かれして延伸している帯状の中間の部位41同士を互いにつないで上記フィルム状基材3bを補強する帯状の補強部位(上記導通経路が設けられていない補強部位)43が、上記フィルム状基材3bに設けられている。
【0074】
すなわち、帯状の補強部位43が、上記フィルム状基材3bの環状に形成されている部位の一部と、上記環状に形成されている部位の他の一部とを互いにつないでいる
なお、スイッチ1bにおいて、スペーサ5bやフィルム状部材7bにも、同様な補強部位を設けてもよい。
【0075】
次に、4セルタイプの各スイッチ1c〜1eについて説明する。
【0076】
図9は、4セルタイプのスイッチ(接点部対が4つ設けられているスイッチ)1cの概略構成を示す図である。
【0077】
スイッチ1cは、接点部対が4つになっている点が上記スイッチ1とは異なり、その他の点は、上記スイッチ1とほぼ同様に構成されている。
【0078】
ここで接点部対とは、フィルム状基材3cに設けられている接点部と、この接点部に対向してフィルム状部材7cに設けられ、フィルム状基材3c、フィルム状部材7cの少なくとも一方が撓んで、上記フィルム状基材3cに設けられている接点部と接触する接点部との組をいう。たとえば、スイッチ1における第1の接点部9Aと第2の接点部11Aとの組をいう。
【0079】
スイッチ1cの接点部対45A〜45Dは、長方形の頂点の位置に存在し、各導通経路47A〜47Dが長方形の辺の位置に存在している。なお、上記各導通経路47A〜47Dは、フィルム状基材3c、フィルム状部材7cのそれぞれに設けられている。
【0080】
図10に示すスイッチ1dは、上記スイッチ1cに導通経路51を加えたものである。なお導通経路51は、導通経路47Aの中間部と、この導通経路47Aに対向している導通経路47Cの中間部とを互いに接続するように設けられている。
【0081】
図11は、上記スイッチ1cに、2本の導通経路53を加えたものである。なお各導通経路53は、長方形の対角線に応じた位置に設けられており、上記各導通経路53の中央部は、互いに電気的に導通している。
【0082】
なお、上記各スイッチ1b〜1eにおいても、上記スイッチ1とほぼ同様な効果を得ることができる。さらに、スイッチ1bによれば、補強部位43が上記フィルム状基材等に設けられているので、スイッチの強度や剛性を容易に高めることができる。
【0083】
[第2の実施形態]
図12は、本発明の第2の実施形態に係るスイッチ1fの回路図を示す図である。
【0084】
スイッチ1fでは、フィルム状基材に、第1の端子部27と、第1の各接点部9A〜9Eと、一部がループ状(還状)に形成された第1の導通経路13とを設けると共に、上記フィルム状基材に、第2の端子部29と、上記第1の各接点部9A〜9Eとは僅かに離れている第2の各接点部11A〜11Eと、一部がループ状(還状)に形成された第2の導通経路15とを設け、さらに、スイッチ1と同様にスペーサを介して設けられたフィルム状部材に、各接点部31A〜31Eが設けられている点が、上記第1の実施形態に係るスイッチ1と異なり、その他の点は、スイッチ1とほぼ同様に構成されている。
【0085】
上記各接点部31A〜31Eは、上記フィルム状基材の上記フィルム状部材側(スペーサ側)の面に、上記第1の各接点部9A〜9Eのそれぞれと上記第2の各接点部11A〜11Eのそれぞれとで構成された各接点対に対向して設けられている。
【0086】
たとえば、第1の接点部9Aと第2の接点部11Aとで構成された接点対に対向して第3の接点31Aが設けられている。
【0087】
また、上記第1の各接点部9A〜9Eの総てが上記第1の導通経路13のうちの還状に形成された部位の上に設けられており、上記第2の各接点部11A〜11Eの総てが上記第2の導通経路15のうちの還状に形成された部位の上に設けられている。
【0088】
そして、乗員が着座したときに、上記フィルム状部材が撓んで、第1の各接点部9A〜9Eと第2の各接点部11A〜11Eとが、各接点部31A〜31Eに接触し、上記第1の端子部27と上記第2の端子部29とが互いに電気的に導通するようになっている。すなわち、たとえば、上記第1の接点部9Aと上記第2の接点部11Aとが、上記接点部31Aを介して電気的に導通するようになっている。
【0089】
このように構成することにより、第1の導通経路13や第2の導通経路15の一箇所が断線しても、スイッチ1と同様に、人の着座等非対象物の検出が不可能となるおそれが少ない。
【0090】
なお、上記第1の各接点部9A〜9Eのうちの一部の適数の接点部が上記第1の導通経路13のうちの還状に形成された部位の上に設けられ、上記第2の各接点部11A〜11Eのうちの一部の適数の接点部が上記第2の導通経路15のうちの還状に形成された部位の上に設けられているようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るスイッチの概略構成を示す図である。
【図2】スイッチを構成するフィルム状基材の概略構成を示す図である。
【図3】スイッチを構成するスペーサの概略構成を示す図である。
【図4】スイッチの回路図である。
【図5】スイッチの変形例を示す回路図である。
【図6】スイッチの変形例を示す回路図である。
【図7】スイッチの変形例を示す図である。
【図8】スイッチの変形例を示す図である。
【図9】スイッチの変形例を示す図である。
【図10】スイッチの変形例を示す図である。
【図11】スイッチの変形例を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るスイッチの回路図を示す図である。
【図13】従来のスイッチの概略構成を示す図である。
【図14】図13のXIVA−XIVB断面を示す図である。
【図15】従来のスイッチを構成するフィルム状基材の概略構成を示す図である。
【図16】従来のスイッチを構成するスペーサの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0092】
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f スイッチ
3 フィルム状基材
5 スペーサ
7 フィルム状部材
9A〜9F、11A〜11F 接点部
13、15 導通経路
27、29 端子部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状のスペーサを間にして、このスペーサの一方の面にフィルム状基材を配置し、上記スペーサの他方の面にフィルム状部材を配置して構成されているフィルム状のスイッチにおいて、
上記フィルム状基材の上記スペーサ側の面に設けられた複数の第1の接点部と;
上記フィルム状基材に設けられた第1の端子部と;
上記フィルム状基材に設けられ、上記第1の端子部と上記第1の各接点部とを互いに電気的に導通接続している第1の導通経路と;
上記フィルム状部材の上記スペーサ側の面に、上記第1の各接点部と対向して設けられた複数の第2の接点部と;
上記フィルム状部材に設けられた第2の端子部と;
上記フィルム状部材に設けられ、上記第2端子部と上記第2の各接点部とを互いに電気的に導通接続している第2の導通経路と;
を有し、上記フィルム状基材、上記フィルム状部材の少なくとも一方が撓んで、上記第1の接点部と上記第2の接点部とが互いに接触し、上記第1の端子部と上記第2の端子部とが互いに電気的に導通するように構成されていると共に、上記第1の導通経路の少なくとも一部が環状に形成されており、この環状に形成されている導通経路上に、上記第1の各接点部のうちの適数の接点部が設けられていることを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチにおいて、
上記第1の各接点部の総てが、上記環状に形成された導通経路上に設けられていることを特徴とするスイッチ。
【請求項3】
請求項2に記載のスイッチにおいて、
上記フィルム状基材は、上記第1の導通経路の幅よりも広い幅で帯状に形成されていると共に、上記環状に形成された導通経路に応じた部位が環状に形成されており、
上記スペーサと上記フィルム状部材とが、上記フィルム状基材とほぼ同じ形状に形成されていることを特徴とするスイッチ。
【請求項4】
請求項3に記載のスイッチにおいて、
上記スイッチを補強するために、上記フィルム状部材、上記スペーサ、上記フィルム状部材のうちの少なくとも1つに、上記環状に形成されている部位の一部と、上記環状に形成されている部位の他の一部とを互いにつないでいる帯状の部位が設けられていることを特徴とするスイッチ。
【請求項5】
フィルム状のスペーサを間にして、このスペーサの一方の面にフィルム状基材を配置し、上記スペーサの他方の面にフィルム状部材を配置して構成されているフィルム状のスイッチにおいて、
上記フィルム状基材の上記スペーサ側の面に設けられた複数の第1の接点部と;
上記フィルム状基材に設けられた第1の端子部と;
上記フィルム状基材に設けられ、上記第1の端子部と上記第1の各接点部とを互いに電気的に導通接続している第1の導通経路と;
上記フィルム状基材の上記スペーサ側の面に、上記第1の各接点部から僅かに離れて設けられた複数の第2の接点部と;
上記フィルム状基材に、上記第1の端子部から離れて設けられた第2の端子部と;
上記フィルム状基材に上記第1の導通経路から離れて設けられ、上記第2端子部と上記第2の各接点部とを互いに電気的に導通接続している第2の導通経路と;
上記フィルム状部材の上記スペーサ側の面に、上記第1の各接点部のそれぞれと上記第2の各接点部のそれぞれとで構成された各接点対に対向して設けられた複数の第3の接点部と;
を有し、上記フィルム状基材、上記フィルム状部材の少なくとも一方が撓んで、上記第1の接点部と上記第2の接点部とが上記第3の接点部に接触し、上記第1の端子部と上記第2の端子部とが互いに電気的に導通するように構成されていると共に、上記第1の導通経路の少なくとも一部が環状に形成されており、この環状に形成されている導通経路上に、上記第1の各接点部のうちの適数の接点部が設けられていることを特徴とするスイッチ。
【請求項6】
請求項5に記載のスイッチにおいて、
上記第1の各接点部の総てが、上記環状に形成された導通経路上に設けられていることを特徴とするスイッチ。
【請求項1】
フィルム状のスペーサを間にして、このスペーサの一方の面にフィルム状基材を配置し、上記スペーサの他方の面にフィルム状部材を配置して構成されているフィルム状のスイッチにおいて、
上記フィルム状基材の上記スペーサ側の面に設けられた複数の第1の接点部と;
上記フィルム状基材に設けられた第1の端子部と;
上記フィルム状基材に設けられ、上記第1の端子部と上記第1の各接点部とを互いに電気的に導通接続している第1の導通経路と;
上記フィルム状部材の上記スペーサ側の面に、上記第1の各接点部と対向して設けられた複数の第2の接点部と;
上記フィルム状部材に設けられた第2の端子部と;
上記フィルム状部材に設けられ、上記第2端子部と上記第2の各接点部とを互いに電気的に導通接続している第2の導通経路と;
を有し、上記フィルム状基材、上記フィルム状部材の少なくとも一方が撓んで、上記第1の接点部と上記第2の接点部とが互いに接触し、上記第1の端子部と上記第2の端子部とが互いに電気的に導通するように構成されていると共に、上記第1の導通経路の少なくとも一部が環状に形成されており、この環状に形成されている導通経路上に、上記第1の各接点部のうちの適数の接点部が設けられていることを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチにおいて、
上記第1の各接点部の総てが、上記環状に形成された導通経路上に設けられていることを特徴とするスイッチ。
【請求項3】
請求項2に記載のスイッチにおいて、
上記フィルム状基材は、上記第1の導通経路の幅よりも広い幅で帯状に形成されていると共に、上記環状に形成された導通経路に応じた部位が環状に形成されており、
上記スペーサと上記フィルム状部材とが、上記フィルム状基材とほぼ同じ形状に形成されていることを特徴とするスイッチ。
【請求項4】
請求項3に記載のスイッチにおいて、
上記スイッチを補強するために、上記フィルム状部材、上記スペーサ、上記フィルム状部材のうちの少なくとも1つに、上記環状に形成されている部位の一部と、上記環状に形成されている部位の他の一部とを互いにつないでいる帯状の部位が設けられていることを特徴とするスイッチ。
【請求項5】
フィルム状のスペーサを間にして、このスペーサの一方の面にフィルム状基材を配置し、上記スペーサの他方の面にフィルム状部材を配置して構成されているフィルム状のスイッチにおいて、
上記フィルム状基材の上記スペーサ側の面に設けられた複数の第1の接点部と;
上記フィルム状基材に設けられた第1の端子部と;
上記フィルム状基材に設けられ、上記第1の端子部と上記第1の各接点部とを互いに電気的に導通接続している第1の導通経路と;
上記フィルム状基材の上記スペーサ側の面に、上記第1の各接点部から僅かに離れて設けられた複数の第2の接点部と;
上記フィルム状基材に、上記第1の端子部から離れて設けられた第2の端子部と;
上記フィルム状基材に上記第1の導通経路から離れて設けられ、上記第2端子部と上記第2の各接点部とを互いに電気的に導通接続している第2の導通経路と;
上記フィルム状部材の上記スペーサ側の面に、上記第1の各接点部のそれぞれと上記第2の各接点部のそれぞれとで構成された各接点対に対向して設けられた複数の第3の接点部と;
を有し、上記フィルム状基材、上記フィルム状部材の少なくとも一方が撓んで、上記第1の接点部と上記第2の接点部とが上記第3の接点部に接触し、上記第1の端子部と上記第2の端子部とが互いに電気的に導通するように構成されていると共に、上記第1の導通経路の少なくとも一部が環状に形成されており、この環状に形成されている導通経路上に、上記第1の各接点部のうちの適数の接点部が設けられていることを特徴とするスイッチ。
【請求項6】
請求項5に記載のスイッチにおいて、
上記第1の各接点部の総てが、上記環状に形成された導通経路上に設けられていることを特徴とするスイッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−19118(P2006−19118A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195418(P2004−195418)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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