説明

スイッチ

【課題】 各構成部品に高い部品精度,組立精度を必要とせず、製造が容易なスイッチを提供する。
【解決手段】 片持ち支持された可動接触片14の自由端部に位置する可動接点14aを固定接点11a,12aに接離可能に対向させた接点機構10と、前記接点機構10をインサート成形し、上下方向から可動接触片14および固定接点11a,12aを目視可能なベース20と、上面に操作溝61を有し、前記ベース20に上方から嵌合される箱形のカバー60と、長軸部52の軸心を中心として上方側に操作部54を突出するとともに、下方側にカム部51を形成し、前記長軸部52を前記カバー60の対向する両側側壁に回動可能に軸支するとともに、前記カバー60の操作溝61から前記操作部54を操作可能に突出させた操作レバー50と、前記操作レバー50の長軸部52にコイル部41を挿通され、前記操作レバー50に復帰力を付与する復帰バネ40と、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチ、特に、直立した操作レバーを2方向に回動させて接点を開閉するスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチとしては、例えば、直立した操作レバー18を2方向に交互に回動し、カム16,17を介して可動接点15を弾性変形させることにより、2回路を開閉するものがある(特許文献1参照)
【0003】
また、他のスイッチとしては、例えば、直立した操作レバー16を2方向に交互に回動し、摺動体17を介して可動接点15を弾性変形させることにより、2回路を開閉するものがある(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−150885号公報
【特許文献2】特開2003−132765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述のスイッチはいずれもカム16,17あるいは摺動体17を介して前記可動接点15を駆動するものであるので、所望の動作特性を確保しようとすると、累積誤差を小さくする必要があり、各構成部品に高い部品精度,組立精度を必要とする。特に、前述のスイッチはいずれも前記可動接点15を復帰バネに兼用しているので、前記可動接点15の形状が複雑になりやすく、高い部品精度で製造することが容易でなく、動作特性にバラツキが生じやすいという問題点がある。
【0005】
本発明は、前記問題点に鑑み、各構成部品に高い部品精度,組立精度を必要とせず、製造が容易なスイッチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明にかかるスイッチは、前記課題を解決すべく、片持ち支持された可動接触片の自由端部に位置する可動接点を固定接点に接離可能に対向させた接点機構と、前記接点機構をインサート成形し、上下方向から可動接触片および固定接点を目視可能なベースと、上面に操作溝を有し、前記ベースに上方から嵌合される箱形のカバーと、回動軸部の軸心を中心として上方側に操作部を突出するとともに、下方側にカム部を形成し、前記回動軸部を前記カバーの対向する両側側壁に回動可能に軸支するとともに、前記カバーの操作溝から前記操作部を操作可能に突出させた操作レバーと、前記操作レバーの回動軸部にコイル部を挿通され、前記操作レバーに復帰力を付与する復帰バネと、からなり、前記操作レバーの操作部に水平方向から負荷された外力に基づき、前記復帰バネのバネ力に抗して前記操作レバーを回動することにより、前記カム部が前記可動接触片を駆動し、可動接点を固定接点に接離させる構成としてある。
【0007】
本発明によれば、操作レバーに一体化したカム部で可動接触片を直接駆動するので、従来例よりも累積誤差が小さい。このため、従来例と同等の動作特性を得るために高い部品精度,組立精度を必要とせず、製造が容易なスイッチが得られる。特に、操作レバーを復帰させる復帰バネを可動接触片と別体としてあるので、可動接触片の形状が簡単になり、製造が容易となる。
【0008】
本発明にかかる実施形態としては、復帰バネの両端部をカバーの天井面に圧接させることにより、操作レバーが直立するように支持してもよい。
本実施形態によれば、復帰バネのバネ力で操作レバーが常時、直立するように付勢されることになり、操作レバーにガタツキが生じない。
【0009】
本発明にかかる他の実施形態としては、前記ベースの上下面のうち、少なくとも下面にシートを貼着一体化して接点機構を仕切る構成であってもよい。
本実施形態によれば、接点機構を仕切るので、プリント基板に実装する際のフラックスの侵入を防止できる。特に、ベースの上下面にシートを貼着一体化すれば、接点機構を所定の空間内に密閉できるので、塵埃や腐蝕性ガス等の侵入を確実に防止できる。このため、動作不良を防止でき、接触信頼性が向上するとともに、寿命を伸ばすことができる。
【0010】
異なる実施形態としては、ベースの上面のうち、湾曲した可動接触片に倣う膨出面を前記可動接触片の両側に形成し、前記膨出面に上面シートを貼着一体化しておいてもよい。
本実施形態によれば、湾曲する可動接触片に倣うように上面シートをベースの上面に貼着一体化できる。このため、可動接触片に対する操作用リブの動作が滑らかとなり、スムーズな接点開閉を行うことができるとともに、シートの破損を防止でき、寿命が伸びる。
【0011】
別の実施形態としては、下面シートが表裏面に粘着剤を塗布した両面テープであってもよい。
本実施形態によれば、本願発明にかかるスイッチをプリント基板に実装する際に仮固定できるので、作業性が向上するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明にかかるスイッチの実施形態を図1ないし図8の添付図面に従って説明する。
本実施形態は、図2および図3に示すように、2回路を開閉できる接点機構10を備えた枠状ベース20と、前記ベース20の上下面に貼着一体化される下面シート30および上面シート31と、復帰バネ40を組み付ける操作レバー50と、カバー60とから構成されている。なお、本実施形態にかかるスイッチ本体は、巾1.8mm、長さ3.5mm、高さ2.0mmの外形寸法を有する。
【0013】
前記接点機構10は、図4に示すように、3本一組のリード片11,12,13から構成されている。前記リード片11,12は、その自由端部をそれぞれ固定接点11a,12aとしてある。一方、略T字形の前記リード片13は、その中央部から延在した湾曲する可動接触片14の自由端部を可動接点14aとしてある。
【0014】
そして、前記リード片11,12,13をそれぞれ位置決めして前記ベース20にインサート成形することにより、前記ベース20の開口部21内で、対向する前記固定接点11aと前記固定接点12aとの間に、前記可動接触片14の可動接点14aが接離可能に対向する。特に、無負荷状態であれば、前記可動接点14aが前記固定接点11aに常時圧接している。そして、前記ベース20の対向する両外側面から前記リード片11,12,13の端子部11b,12b,13bが側方にそれぞれ突出し、図示しないプリント基板に表面実装可能となっている。
【0015】
前記枠状ベース20は、図4に示すように、前記開口部21の上面両側縁部に、前記可動接触片14の曲率にほぼ等しい曲率を有する膨出面22,22をそれぞれ形成してある。さらに、前記ベース20の対向する両外側面のうち、略中央部に係合用突部23,23をそれぞれ突設してあるとともに、同一方向側縁部に係止用爪部24,24をそれぞれ突設してある。
【0016】
前記下面シート30および前記上面シート31は、ポリイミド系、フッ素樹脂系の絶縁シートである。そして、前記下面シート30を前記ベース20の底面中央部に貼着一体化するとともに、前記上面シート31を前記膨出面22,22に貼着一体化することにより、前記固定接点11a,12aおよび可動接触片14が開口部21内に密閉される。前記膨出面22に前記上面シート31が貼着一体化されるので、前記上面シート31自体が湾曲する前記可動接触片14に倣うように湾曲する。
【0017】
前記復帰バネ40は、図2に示すように、コイル部41から引き出した両端部42,43を後述するカバーの60の天井面に当接させることにより、後述する操作レバー40に復帰力を付与するものである。
【0018】
前記操作レバー50は、図5に示すように、側方に長軸部52および短軸部53を同一軸心上に突出させる一方、前記軸心の下方側にカム部51を一体成形してあるとともに、その上方側に操作部54を突出させてある。さらに、前記長軸部52および短軸部53の先端面は組み付けを容易にするためのテーパ面52a,53aとなっている。また、前記長軸部52の基部近傍には前記復帰バネ40の両端部42,43に圧接する押圧部55を平行に延在してある。さらに、前記押圧部55は、その片側基部に補強用鍔部56を一体成形してある。そして、前記長軸部52に前記復帰バネ40を挿通することにより、前記復帰バネ40の両端部42,43に前記押圧部55が当接可能となる。
【0019】
前記カバー60は、図6に示すように、前記ベース20の上面を被覆できる箱形状を有し、上面に前記操作レバー50の操作部54が回動可能に突出する操作溝61を設けてある。さらに、前記操作溝61内の両側縁部には前記操作部54を位置規制するための位置規制用舌片62a,62bを折り曲げて形成してある。また、前記カバー60は、その対向する両側面に、前記操作レバー50の長軸部52および短軸部53を回転自在に軸支する軸孔63a,63bをそれぞれ形成してある。さらに、前記カバー60の下方開口部の対向する両側縁部のうち、略中央部に係合部64をそれぞれ設けてあるとともに、同一方向側縁部に係止用舌片65をそれぞれ設けてある。
【0020】
本実施形態にかかるスイッチを組み立てるには、図2に示すように、接点機構10をインサート形成したベース20の底面に底面シート30を貼着一体化するとともに、前記ベース20の膨出面22に上面シート31を貼着一体化する。
【0021】
一方、前記操作レバー50の長軸部52に前記復帰バネ40のコイル部41を挿通した後、前記カバー60の下方開口部から前記操作レバー50を挿入し、長軸部52および短軸部53のテーパ面52a,53aを前記カバー60の内側面に沿って圧入する。これにより、前記長軸部52,短軸部53が前記軸孔63a,63bにそれぞれ嵌合し、回動可能に軸支されるとともに、前記復帰バネ40の両端部42,43が前記カバー60の天井面に圧接する。このため、前記操作レバー50を回動可能に軸支できるだけでなく、復帰バネ40のバネ力でガタツキなく、かつ、直立するように支持できる。
【0022】
ついで、前記ベース20に前記カバー60を上方から組み付け、係合用突部23に係合部64を係合するとともに、前記係止用爪部24に係止用舌片65を係止することにより、組立作業が完了する。
【0023】
本実施形態では、図7Aに示すように、組立完了したスイッチの復帰バネ40の両端部42,43が前記カバー60の天井面に圧接するので、操作レバー50が直立するとともに、前記操作レバー50のカム部51が上面シート31を介して可動接触片14を押し下げている。このため、可動接点14aは固定接点11a、12aのほぼ中間に位置し、両者から開離した状態になっている。
【0024】
そして、図7Bに示すように、前記操作レバー50を左方向(反時計回り方向)に押し倒すと、押圧部55が復帰バネ40の一端部43を押し下げるとともに、カム部51が長軸部52を中心に反時計方向に回転する。このため、前記カム部51が上面シート31から離れ、可動接触片14に対する押圧が解除され、可動接点14aが固定接点11aに接触する。さらに、操作レバー50が押し込まれると、カム部51が上面シート31から完全に離れ、可動接点14aが固定接点11aに所定の接点圧で圧接するとともに、前記操作レバー50の操作部54が前記カバー60の位置規制用舌片62aに当接して位置規制される(図7C)。
【0025】
ついで、前述の負荷を解除すると、復帰バネ40のバネ力で操作レバー50が押し戻され、前記可動接触片14が元の位置に復帰するので、可動接点14aが固定接点11aから開離し、元の中立位置に戻る。
【0026】
次に、図8に示すように、前記操作レバー50を右方向(時計回り方向)に押し倒すと、押圧部55が復帰バネ40の一端部42を押し下げるとともに、カム部51が長軸部52を中心として時計方向に回転する。このため、カム部51が上面シート31を介して可動接触片14を押し下げるので、可動接点14aは固定接点12aに接触する(図8B)。さらに、操作レバー50が押し込まれると、可動接点14aが固定接点12aに所定の接点圧で圧接するとともに、前記操作レバー50の操作部54が前記カバー60の位置規制用舌片62bに接触して位置規制される(図8C)。
【0027】
ついで、前述の負荷を解除すると、復帰バネ40のバネ力で操作レバー50が押し戻され、前記可動接触片14が元の位置に復帰し、可動接点14aが固定接点12aから開離し、元の中立位置に戻る。このため、本実施形態にかかるスイッチによれば、操作レバー50を操作することにより、2回路を交互に開閉できるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は前述のスイッチに限らず、他のスイッチに適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明にかかるスイッチの実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】図1で示したスイッチの分解斜視図である。
【図3】図1で示したスイッチの異なる角度から見た分解斜視図である。
【図4】図4Aは接点機構を組み込んだベースの斜視図、図4Bは接点機構の斜視図、図4Cは接点機構を組み込んだベースの異なる角度から見た斜視図である。
【図5】図5A、5Bおよび5Cは図1で示した操作レバーを示す正面図、斜視図、異なる角度からみた斜視図である。
【図6】図1で示したカバーの斜視図である。
【図7】図7Aないし図7Cは操作レバーの左方向への操作前、操作中および操作後をそれぞれ示す断面図である。
【図8】図8Aないし図8Cは操作レバーの右方向への操作前、操作中および操作後をそれぞれ示す断面図である。
【符号の説明】
【0030】
10:接点機構
11,12,13:リード片
11a,12a:固定接点
14:可動接触片
14a:可動接点
20:ベース
21:開口部
22:膨出面
23:係合用突部
24:係止用爪部
30:下面シート
31:上面シート
40:復帰バネ
41:コイル部
42,43:端部
50:操作レバー
51:カム部
52:長軸部
53:短軸部
52a,53a:テーパ面
54:操作部
55:押圧部
56:補強用鍔部
60:カバー
61:操作溝
62a,62b:位置規制用舌片
63a,63b:軸孔
64:係合部
65:係止用舌片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片持ち支持された可動接触片の自由端部に位置する可動接点を固定接点に接離可能に対向させた接点機構と、
前記接点機構をインサート成形し、上下方向から可動接触片および固定接点を目視可能なベースと、
上面に操作溝を有し、前記ベースに上方から嵌合される箱形のカバーと、
回動軸部の軸心を中心として上方側に操作部を突出するとともに、下方側にカム部を形成し、前記回動軸部を前記カバーの対向する両側側壁に回動可能に軸支するとともに、前記カバーの操作溝から前記操作部を操作可能に突出させた操作レバーと、
前記操作レバーの回動軸部にコイル部を挿通され、前記操作レバーに復帰力を付与する復帰バネと、からなり、
前記操作レバーの操作部に水平方向から負荷された外力に基づき、前記復帰バネのバネ力に抗して前記操作レバーを回動することにより、前記カム部が前記可動接触片を駆動し、可動接点を固定接点に接離させることを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
復帰バネの両端部をカバーの天井面に圧接させることにより、操作レバーが直立するように支持したことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記ベースの上下面のうち、少なくとも下面にシートを貼着一体化して接点機構を仕切ることを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチ。
【請求項4】
ベースの上面のうち、湾曲した可動接触片に倣う膨出面を前記可動接触片の両側に形成し、前記膨出面に上面シートを貼着一体化したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のスイッチ。
【請求項5】
下面シートが表裏面に粘着剤を塗布した両面テープであることを特徴とする請求項3または4に記載のスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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