説明

スキャナモーター

【課題】低振動及び低騷音を実現し、高強度締結を可能にし、製造コストを節減するスキャナモーターを提供する。
【解決手段】磁気ディスクまたは多面鏡160を搭載するためのローターケース170;ローターケース170を軸支する回転可能な回転軸140;回転軸140を回転可能に支持するための中空の円筒状ベアリング130;ベアリング130を支持するためにベアリング130の外周面に装着されたベアリングホルダー120;ローターケース170を回転させる電場を形成するためにベアリングホルダー120の外周面に装着されたステータ121;回転軸140の外周面に挿着されてローターケース170の上部に装着され、外周部は多面鏡160と結合されるハウジングシャフト150;ハウジングシャフト150の内部に形成され、熔接の際に発生する応力を吸収し、多面鏡160の平面度の変化を減らすことができるホール空間部;及びホール空間部の外縁部と多面鏡160を固定結合する結合部180を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナモーターに係り、より詳しくはレーザービームプリンターやスキャナのような光学技術を利用した出力装置に使用されて、多面鏡を回転させるスキャナモーターに関する。
【背景技術】
【0002】
光学技術を利用した出力装置がますます小型化、高速化していくにつれて、多面鏡などが核心部品である光学反射装置を駆動するためのアクチュエータに要求される性能は高くなっており、特に高速回転運動の際に振動及び騷音に対する対策の必要性が高まっている。
【0003】
スキャナモーターは、レーザービームプリンターなどに設置され、光源から出てくる光ビームを偏向させて走査するように多面鏡を高速で回転させるための装置であって、高速で回転する多面鏡がスキャナモーターに固定結合されなければならない。このような従来のスキャナモーターが図4に概略的に示されている。
【0004】
図4に示すように、従来技術によるスキャナモーター10は、スキャナモーター10の上部に設置される多面鏡11、及び多面鏡11をスキャナモーター10に結合するためのスプリング12で構成され、このような従来技術は特許文献1にも記載されている。
【0005】
スキャナモーター10は、ベアリングホルダー(図示せず)の外周面に設置されて、外部電源が印加されるステータ(図示せず)とローターケース14の内周面に設置されるローターマグネット15との間で生じる力でハウジングシャフト13を回転させる。
【0006】
ハウジングシャフト13は、多面鏡11を搭載するためのものであり、ハウジングシャフト13の下部にはローターケース14が装着される。
【0007】
ハウジングシャフト13は、全体的に円盤状のもので、その上に多面鏡11が搭載され、中央部位に回転軸16が固定挿設される。ハウジングシャフト13の上部にはスプリング12が押し付けられて多面鏡11の上部を固定させる。
【0008】
ローターケース14は、ハウジングシャフト13の下側面にコーキング工程によって固定結合され、その内周壁には、ステータ(図示せず)と向かい合うように、ローターマグネット15が設置される。
【0009】
多面鏡11は、スキャナモーター10のハウジングシャフト13に固定設置されて回転され、レーザービームプリンターなどの装置においてレーザービームを反射させる。ここで、多面鏡11は、ハウジングシャフト13に設置されるスプリング12によって上面の少なくとも一部が圧迫されてハウジングシャフト13に固定される。
【0010】
スプリング12は、多面鏡11の上面を圧迫してハウジングシャフト13に固定的に結合する。
【0011】
しかしながら、前述したような構成を持つスキャナモーター10は、回転軸16と多面鏡11の水平状態を確保するために、多面鏡11の支持部であるハウジングシャフト13を機械加工して使用しており、スプリング12と多面鏡11の間の締結力が低いため、外部から印加される強い衝撃によってスプリング12及び多面鏡11が離脱することがあるという問題点があった。
【0012】
また、前述したような構成を持つスキャナモーター10は、回転軸16と多面鏡11の水平状態を確保するために、多面鏡11の支持部であるハウジングシャフト13を機械加工して使用しており、スプリング12と多面鏡11の間の締結力が低いため、外部から印加される強い衝撃によってスプリング12及び多面鏡11が離脱することがあるという問題点があった。
【0013】
したがって、高速回転の際、多面鏡11の遊動及び構成部品の干渉を最小化し、回転不均衡を防止して振動と騷音を減らすとともに、製造コストを節減することができるスキャナモーターに対する研究が至急の実情であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】大韓民国特許公開第2003−84148号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、前述したような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、低振動及び低騷音を実現することができ、高強度締結が可能であり、製造コストを節減することができるスキャナモーターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前述した本発明の目的を達成するために、本発明は、磁気ディスクまたは多面鏡を搭載するためのローターケース;前記ローターケースを軸支する回転可能な回転軸;前記回転軸を回転可能に支持するための中空の円筒状ベアリング;前記ベアリングを支持するために前記ベアリングの外周面に装着されたベアリングホルダー;前記ローターケースを回転させる電場を形成するために前記ベアリングホルダーの外周面に装着されたステータ;前記回転軸の外周面に挿着されて前記ローターケースの上部に装着され、外周部は前記多面鏡と結合されるハウジングシャフト;前記ハウジングシャフトの内部に形成され、熔接の際に発生する応力を吸収し、前記多面鏡の平面度の変化を減らすことができるホール空間部;及び前記ホール空間部の外縁部と前記多面鏡を固定結合する結合部;を含むことを特徴とするスキャナモーターを提供する。
【0017】
前記結合部は、レーザー溶接機で熔接して形成されることが好ましい。
【0018】
前記ホール空間部は、前記多面鏡の面の位置に対応して形成され、前記多面鏡の面数と同数で形成されていることが好ましく、また、前記ホール空間部は、前記多面鏡の面数の整数倍で形成されることが好ましい。
【0019】
前記ホール空間部は、外径が内径より大きい扇形であることが好ましく、また、前記ホール空間部は、円形であってもよい。
【0020】
本発明の特徴及び利点は添付図面に基づいた以降の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【0021】
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は通常的で辞書的な意味に解釈されてはいけなく、発明者がその自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されなければならない。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、スキャナモーターのハウジングシャフトが、多面鏡の面数と同数または整数倍のホール空間部を形成し、ホール空間部の外縁部と多面鏡を熔接することで、熔接の際に発生する応力をホール空間部が吸収してハウジングシャフト及びローターケースの変形を防止し多面鏡の平面度の変化を減らすことができる。
【0023】
また、本発明によれば、スプリングのような固定部材が別に必要でないので、部品数が減少して製造コストが節減され、高速回転の際に回転不均衡または部品干渉による騷音が発生しなくて低振動及び低騷音を実現するスキャナモーターを提供することができる。
【0024】
更に、本発明によれば、ハウジングシャフトのホール空間部が熔接の際に発生する応力を吸収するので、レーザー熔接のような高強度締結のための熔接が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明によるスキャナモーターを示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施例によるハウジングシャフトの拡大図である。
【図3】本発明の第2実施例によるハウジングシャフトの拡大図である。
【図4】従来技術によるスキャナモーターの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の目的、利点及び特徴は添付図面を参照する以下の詳細な説明及び好適な実施例からもっと明らかになろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際して、同じ構成要素には、たとえ異なる図面に表示されていても、できるだけ同一符号を付けることにする。また、本発明の説明において、関連の公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにすることができると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例によるスキャナモーターについて詳細に説明する。
【0028】
図1は本発明の好適な第1実施例によるスキャナモーターの断面図、図2は図1に示すスキャナモーターに使用される多面鏡160とハウジングシャフト150の平面図である。
【0029】
以下、これらの図面を参照して本実施例によるスキャナモーター100について説明する。
【0030】
図1及び図2に示すように、本実施例によるスキャナモーター100は、固定部、及び固定部によって回転可能に支持される回転部を含むものである。なお、固定部は、ベースプレート110、ベアリングホルダー120、ベアリング130、及びステータ121を持つものである。
【0031】
ベースプレート110は、スキャナモーター100を全体的に支持するためのもので、上面に、ステータ121を電気的に制御するための回路基板(図示せず)が設置され、中央部位に、ベースプレート110の上面及び下面から挟支するようにベアリングホルダー120が固定結合される。
【0032】
ベアリングホルダー120は、その内部に収容されるベアリング130を固定支持するためのもので、全体的に中空円筒状に形成されてベースプレート110に固定結合され、外周面にはステータ121が取り付けられる。
【0033】
ステータ121は、外部電源を印加されて電場を形成するためのもので、コア及びコアに巻線されるコイルからなるものである。
【0034】
コアは、ベアリングホルダー120の外周面に固定設置され、スキャナモーター100の薄型化のために、ベースプレート110に近接して設置されることが好ましい。
コイルは、外部電源で電場を形成することで、ローターケース170のローターマグネット171との間で形成される磁気力でローターケース170を回転させる。
【0035】
ベアリング130は、その内径部に挿入される回転軸140を回転可能に支持するためのもので、中空円筒状に形成され、その外周面がベアリングホルダー120の内周面に密着して設置される。また、ベアリング130は、回転軸140との間に、円滑な回転のための潤滑剤を内包している。
【0036】
一方、回転部は、回転軸140、ハウジングシャフト150、多面鏡160及びローターケース170を含んでなるものである。
【0037】
回転軸140は、回転部全体を軸支するためのもので、ベアリング130の内径部に挿入され、ベアリング130によって回転可能に支持される。
【0038】
ハウジングシャフト150は、多面鏡160に結合部180で固定されて回転駆動されるもので、回転軸140の外径に挿入され、ローターケース170の上部に装着される。
【0039】
図2に示すように、第1実施例によるハウジングシャフト150は、多面鏡160のようなアルミニウム材質で短時間に締結加工することができる。また、締結の後、内部応力の発生が少なく、高強度締結のためのレーザー熔接が可能である。
【0040】
ハウジングシャフト150の内部には、中心軸を基準として、多面鏡160の面の位置に対応して形成され、多面鏡160の面数と同数または整数倍のホール空間部151が形成される。
【0041】
ホール空間部151は、熔接時の応力をハウジングシャフト150の内部で吸収するようにして、多面鏡160の平面度の変化を減らすことができる。
【0042】
ホール空間部151は、形状の制限がないが、扇形または円形が好ましく、ハウジングシャフト150と多面鏡160が分離ないし離脱しないように結合された結合部180が形成される。
【0043】
結合部180は、ホール空間部151の外縁部と多面鏡160の間をレーザー溶接機で熔接するかあるいは接着剤で結合することによって形成される。
【0044】
結合部180は、ハウジングシャフト150と多面鏡160を結合させることで多面鏡160が離脱することを防止することにより、従来多面鏡160を固定させるのに要求されたスプリングのような固定部材が不要である。
【0045】
したがって、固定部材による不均衡変形及び部品間の干渉による騷音が発生しないので、低振動及び低騷音のスキャナモーターを成すことに寄与するだけでなく、部品数の減少で製造コストを節減することができる。
【0046】
多面鏡160は、光源(図示せず)から来る光ビームを偏向させて走査するためのもので、中心ホールがハウジングシャフト150の外周面に嵌合される。
【0047】
ローターケース170は磁気ディスクまたは多面鏡を搭載するためのもので、回転軸140の外周面に中心の開口部が嵌合されて回転し、多面鏡160を支持する上部と、内部に環状のローターマグネット171が設置される側部とからなる。
【0048】
尚、ローターケース170は、好ましくは磁性体からプレス加工で形成される。
【0049】
ローターケース170の内部に装着されたローターマグネット171は、ステータ121と向かい合うように設けられ、ステータ121との間で発生する力でモーターを回転させる。
【0050】
図3は、本発明の好適な第2実施例によるハウジングシャフト150aの拡大図である。
【0051】
本実施例は、円形のホール空間部151aが形成されることを除き、第1実施例と同様であるので、重複説明は省略する。
【0052】
ホール空間部151aは、ハウジングシャフト150の内部に中心軸を基準として多面鏡160の面の位置に対応して形成され、多面鏡160の面数と同数または整数倍で形成される。
【0053】
ホール空間部151aは、熔接時の応力をハウジングシャフト150の内部で吸収するようにして、ローターケース170の変形を防止し、多面鏡160の平面度の変化を減らすことができる。
【0054】
このように、本発明のスキャナモーター100のハウジングシャフト150は、多面鏡160の面数と同数あるいは多面鏡160の面数の整数倍のホール空間部151が形成され、ホール空間部151の外縁部と多面鏡160が熔接されることにより、熔接時に発生する応力をホール空間部151が吸収してハウジングシャフト150及びローターケース170の変形を防止し、多面鏡160の平面度の変化を減らすことができる。
【0055】
次の表1は、図2及び図3に示すように、多面鏡160の面数と同数のホール空間部151が形成された本発明によるハウジングシャフト150と従来のハウジングシャフトをそれぞれ多面鏡160とレーザー熔接した後、多面鏡160の平面度の変化量を測定した実験データである。
【0056】
【表1】

【0057】
表1に示すように、多面鏡160の面数と同数のホール空間部151が形成されたハウジングシャフト150を備える本発明のスキャナモーターは、従来のスキャナモーターに比べると、多面鏡160の平面度の変化量が平均値に比べておよそ40%以上減少されたことを確認することができた。
【0058】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのもので、本発明による放熱パッケージ基板及びその製造方法はこれに限定されなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を持った者によって多様な変形及び改良が可能であろう。本発明の単純な変形ないし変更はいずれも本発明の範疇内に属するもので、本発明の具体的な保護範囲は特許請求範囲によって明らかに決まるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、レーザービームプリンターやスキャナのような光学技術を利用した出力装置において、多面鏡を回転させるスキャナモーターに適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
100 スキャナモーター
110 ベースプレート
120 ベアリングホルダー
130 ベアリング
140 回転軸
150 ハウジングシャフト
160 多面鏡
170 ローターケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ディスクまたは多面鏡を搭載するためのローターケース;
前記ローターケースを軸支する回転可能な回転軸;
前記回転軸を回転可能に支持するための中空の円筒状ベアリング;
前記ベアリングを支持するために前記ベアリングの外周面に装着されたベアリングホルダー;
前記ローターケースを回転させる電場を形成するために前記ベアリングホルダーの外周面に装着されたステータ;
前記回転軸の外周面に挿着されて前記ローターケースの上部に装着され、外周部は前記多面鏡と結合されるハウジングシャフト;
前記ハウジングシャフトの内部に形成され、熔接の際に発生する応力を吸収し、前記多面鏡の平面度の変化を減らすことができるホール空間部;及び
前記ホール空間部の外縁部と前記多面鏡を固定結合する結合部;を含むことを特徴とするスキャナモーター。
【請求項2】
前記結合部が、レーザー溶接機で熔接して形成されたことを特徴とする請求項1に記載のスキャナモーター。
【請求項3】
前記ホール空間部が、前記多面鏡の面の位置に対応して形成され、前記多面鏡の面数と同数で形成されたことを特徴とする請求項1に記載のスキャナモーター。
【請求項4】
前記ホール空間部が、前記多面鏡の面数の整数倍で形成されたことを特徴とする請求項1に記載のスキャナモーター。
【請求項5】
前記ホール空間部が、外径が内径より大きい扇形であることを特徴とする請求項1に記載のスキャナモーター。
【請求項6】
前記ホール空間部が、円形であることを特徴とする請求項1に記載のスキャナモーター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−13656(P2011−13656A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220342(P2009−220342)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】