スキャンシステム,画像読取装置および情報処理装置
【課題】第三者のスキャンデータの閲覧を確実に回避し,信頼性が高いスキャンシステム,画像読取装置および情報処理装置を提供すること。
【解決手段】スキャンシステム100は,複数のユーザアカウントをログオフすることなく切り替えて使用することができるPC1a内に複数のスキャンアプリ52a,52bが存在する。また,MFP2は,PC1aとの間にリンクが確立した後,スキャン開始ボタン313の押下を待って原稿の読み取りを開始する。各スキャンアプリは,ログインユーザの各々の管理下にあり,スキャン開始ボタン313の押下の後,スキャナ部31が読み取った画像データを取得している。さらに,スキャンシステム100は,リンクが確立された状態である場合に,そのリンクを確立させたスキャンアプリによって画像データの取得が可能になる。
【解決手段】スキャンシステム100は,複数のユーザアカウントをログオフすることなく切り替えて使用することができるPC1a内に複数のスキャンアプリ52a,52bが存在する。また,MFP2は,PC1aとの間にリンクが確立した後,スキャン開始ボタン313の押下を待って原稿の読み取りを開始する。各スキャンアプリは,ログインユーザの各々の管理下にあり,スキャン開始ボタン313の押下の後,スキャナ部31が読み取った画像データを取得している。さらに,スキャンシステム100は,リンクが確立された状態である場合に,そのリンクを確立させたスキャンアプリによって画像データの取得が可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,スキャナ等の読取装置で読み取った画像情報を情報処理装置に送信するスキャンシステムに関する。さらに詳細には,原稿を読み取る画像読取装置,複数のユーザアカウントをログオフすることなく切り替えて使用することができる情報処理装置,およびそれらを利用したスキャンシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,図1に示すように,パーソナルコンピュータ(PC)1a,1b,1cと,原稿を読み取るスキャナ機能を備えた複合機能周辺機器(MFP)2とをネットワーク40を介して接続し,MFP2で読み取ったデータを所定のPCに送信するスキャンシステムが構築されている。
【0003】
例えば,特許文献1に開示された画像データ送信システムでは,プッシュスキャン機能およびプルスキャン機能に関する技術が開示されている。「プッシュスキャン機能」とは,MFPの操作に基づいて原稿をスキャンし,そのスキャンデータをユーザの指定したPCに自動的に送信する機能のことである。一方,「プルスキャン機能」とは,PCの操作に基づいて原稿をスキャンし,そのスキャンデータをスキャン指示を送信したPCに自動的に送信する機能のことである。
【特許文献1】特開2004−215009号公報
【0004】
また,近年,ログオフすることなく複数のユーザアカウントを切り替えて使用することができるPCが実用化されている。例えば,アップル社製のPCでは,「ファストユーザスイッチ」というログオフすることなく複数のユーザによって1台のPCを共用できる機能が設けられている。また,マイクロソフト社のオペレーティングシステム(OS)であるMicrosoftWindows(登録商標)でも,ログオフすることなくユーザを切り替える機能が提供されている。
【0005】
このようなユーザ切替え機能を有するPCでは,ユーザアカウントごとにアプリケーションやその他のリソースを管理している。そして,あるユーザAがログインしていた状態でログオフすることなくユーザBがログインした場合,ユーザBのアカウントがアクティブな状態で動作し,ユーザAのアカウントがバックグラウンドで動作する。このとき,ユーザAが利用していたアプリケーションは終了しない。そして,ユーザAのアカウントに戻す際には,ユーザBのアカウントを終了させる必要がない。このように,アプリケーションを終了せずにアカウントを切り替えることで,迅速なユーザの切替えが可能になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなユーザ切替え機能を有するPCがスキャンシステムを構成するPCとして接続されていると,次のような問題が生じる。すなわち,スキャナを備えるMFPからスキャンデータをPCに送信する際には,送信先であるPCを選択して送信する。その際,MFPとしては,PC側でどのユーザがアクティブになっているかは不明である。一方,PCとしては,アクティブとなっているユーザがデータを取得する。そのため,PC側でアクティブになっているユーザと,スキャナ側で操作するユーザとが異なる場合,スキャナを操作するユーザにとっては第三者にデータを送信してしまうことになり,スキャンデータを閲覧されてしまう。
【0007】
特許文献1に開示された画像データ送信システムでは,複数のPCからのスキャン命令の競合を回避し,ユーザにより指定されたPC以外のPCへスキャンデータが送信されることを防止している。しかし,PC内のアカウントが切り替えられる場合は,スキャナ側のユーザが自身の管理下であると想定したPCであるにも拘わらず,送信者と受信者とが合致しない状態が生じることが考えられる。
【0008】
本発明は,前記した従来のスキャンシステムが有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,第三者のスキャンデータの閲覧を確実に回避し,信頼性が高いスキャンシステム,画像読取装置および情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題の解決を目的としてなされたスキャンシステムは,原稿の読み取りを行う権限を確立する確立手段と,原稿を読み取る読取手段と,複数のログインユーザの各々の管理下にあり,確立手段によって権限が確立された状態である場合に,読取手段が読み取った画像データを取得する取得手段とを備えることを特徴としている。
【0010】
本発明のスキャンシステムは,複数のユーザアカウントをログオフすることなく切り替えて使用することができる情報処理装置内に複数の取得手段が存在する。また,本スキャンシステムでは,確立手段によって権限を確立させた後に待機状態となり,読取手段と取得手段との通信を維持する。そして,読取手段は,原稿の読み取り権限が確立した後,原稿の読み取り開始の指令を待って原稿の読み取りを開始する。また,取得手段は,ログインユーザの各々の管理下にあり,読取手段への操作を基に,読取手段が読み取った画像データを取得する。
【0011】
さらに,本発明のスキャンシステムは,確立手段によって権限が確立された状態である場合に,読取手段が読み取った画像データの取得が可能になる。一方で,確立手段は,あるログインユーザによって権限が確立している場合に,他のログインユーザによる権限の確立を制限する。これにより,権限が確立された取得手段を管理するユーザのみが画像データを受け取ることになり,確立されていないユーザは画像データを受け取らない。つまり,第三者への画像データの送信が防止される。
【0012】
また,本発明のスキャンシステムの読取手段は,権限が確立された状態にある取得手段を管理するユーザであることを照合する照合機能を有し,原稿の読み取りを開始する前にユーザの照合を行うこととするとよりよい。
【0013】
すなわち,本発明のスキャンシステムでは,取得手段側で権限を確立させた後,読取手段側で原稿の読み取り(スキャン)を開始する。そこで,権限を確立させた後,スキャンを開始するまでの間に他のユーザが読取手段でのスキャンを開始してしまうことも考えられる。その場合,ログインユーザは第三者のデータを受け取ることになる。そこで,パスワード等の照合機能によってユーザを照合し,第三者によるスキャンを防止する。これにより,画像データの漏洩を防ぐことができる。
【0014】
また,本発明のスキャンシステムは,確立手段によって権限が確立されている状態であることを報知する報知手段を備えることとするとよりよい。すなわち,他のユーザによって既に権限が確立されていた場合に,その旨を報知する。報知する方法としては,例えばエラーメッセージ表示が適用可能である。報知先は,読取手段側であっても取得手段側であっても,さらにはその両方であってもよい。これにより,ユーザが権限の確立状態を把握でき,利便性が向上する。
【0015】
また,上記の報知手段が報知する内容には,確立手段によって権限が確立された状態にある取得手段を管理するログインユーザの情報が含まれることとするとよりよい。ログインユーザの情報(例えば,ログインユーザ名やスキャン開始時間)を含むことで,どのユーザによって権限が確立されているかを把握でき,より利便性が向上する。
【0016】
また,本発明のスキャンシステムは,所定の条件を満たすことで確立手段によって確立された権限を解除することとするとよりよい。これにより,長期間,特定のユーザに占有されることを回避できる。所定の条件としては,例えばタイムアウト,スキャン回数,ユーザによるリセット指示が適用可能である。
【0017】
また,本発明は,原稿を読み取り,読み取った画像を情報処理装置に転送する機能を有する画像読取装置であって,情報処理装置からのログインユーザごとの問い合わせに対し,原稿の読み取りを行う権限を確立する送信側確立手段と,原稿を読み取る読取手段と,読取手段によって読み取られた画像データを,権限が確立された状態である情報処理装置に転送する転送手段とを備え,読取手段は,権限が確立した後,原稿の読み取り開始の指令を待って原稿の読み取りを開始することを特徴とする画像読取装置を含んでいる。
【0018】
また,本発明は,複数のユーザアカウントをログオフすることなく切り替えて使用する機能を有する情報処理装置であって,原稿の読み取り機能を備えた画像読取装置に問い合わせ,原稿の読み取りを行う権限を確立する受信側確立手段と,複数のログインユーザの各々の管理下にあり,受信側確立手段によって権限が確立された状態である場合に,画像読取装置が読み取った画像データを取得する取得手段とを備えることを特徴とする情報処理装置を含んでいる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば,第三者のスキャンデータの閲覧を確実に回避し,信頼性が高いスキャンシステム,画像読取装置および情報処理装置が実現している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下,本発明にかかるスキャンシステムを具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,スキャナ機能を備えたMFPと,スキャンデータの受け取り先であるPCとがネットワークで接続されたスキャンシステムに本発明を適用したものである。
【0021】
[スキャンシステムの構成]
本形態のスキャンシステム100は,図1に示すように,情報端末装置としてのPC1a,1b,1cと,原稿を読み取るスキャナ機能を有するMFP2とを備えている。スキャンシステム100では,各PC1a,1b,1cとMFP2とがLAN40のLANケーブルに接続されている。なお,スキャンシステム100を構成するMFPは1台に限るものではなく,複数台接続してもよい。また,スキャンシステム100を構成するPCも3台に限定するものではなく,何台接続してもよい。また,各PCとMFP2との接続は,有線LANケーブルに限らず,USBケーブル,その他のシリアル通信ケーブル,パラレル通信ケーブル,さらには無線LAN等の無線通信経路とすることも可能である。
【0022】
PC1aは,図2に示すように,各種演算処理を実行するCPU11と,当該PC1の起動時にCPU11が行う起動処理のプログラム(BIOS)等を記憶したROM12と,CPU11が各種処理を行う際に一時的な記憶領域として利用されるRAM13と,各種のプログラムやデータを記憶したハードディスクドライブ(HDD)14とを有している。
【0023】
また,PC1aは,キーボードやマウス等からなる操作部15と,液晶ディスプレイ等からなる表示部16と,MFP2との間で信号のやりとりを行うプリンタポートインターフェース17(パラレルインターフェース,USBインターフェース等)と,LAN,インターネット等のネットワークを介して信号のやりとりを行うネットワークインターフェース18とを有している。
【0024】
さらに,PC1aのHDD14には,オペレーティングシステム(OS)や,画像データを編集可能なアプリケーション(例えば,文書作成ソフト,作図ソフト,表計算ソフト,写真データ編集ソフト等)や,MFP2に印刷データを送信するプリンタドライバが記憶されている。また,プッシュスキャンやプルスキャンの実行時にMFP2から送られてくる画像データを処理するプログラムが記憶されている。なお,PC1b,1cについても同様の構成になっている。
【0025】
MFP2は,各種演算処理を実行するCPU21と,当該MFP2の起動時にCPU21が行う起動処理のプログラム等を記憶したROM22と,CPU21が各種処理を行う際に一時的な記憶領域として利用されるRAM23と,各種のプログラムやデータ等を記憶したハードディスクドライブ(HDD)24とを有している。
【0026】
さらに,MFP2のHDD24には,プッシュスキャンやプルスキャンの実行時に画像データを取得し,指定されたPCにその画像データを送信するプログラムが記憶されている。また,HDD24には,MFP2に接続されたPCやそのPCに組み込まれているアプリケーションソフト等の情報を格納する登録情報データベースが記憶されている。
【0027】
図3は,登録情報データベースの一例を示している。本形態の登録情報データベースは,MFP2に接続されているPCの名称またはPCが接続されているインターフェース(送信先)の名称,当該PCに組み込まれているアプリケーションソフト(メールソフトや画像編集ソフト等),当該PCのIPアドレス,当該PCに関するポート番号,画像データを保持する時間に関連するタイムアウト値から構成されている。
【0028】
また,MFP2は,当該MFP2の筐体外部に配設された複数のボタンからなる操作部25と,同じく筐体外部に配設された液晶表示パネル等からなる表示部26と,外部情報端末との間で信号のやりとりを行うプリンタポートインターフェース27(パラレルインターフェース,USBインターフェース等)と,LAN,インターネット等のネットワークを介して信号のやりとりを行うネットワークインターフェース28とを有している。
【0029】
操作部25には,プッシュスキャンの設定を行うためのスキャン設定ボタンや,プッシュスキャンにおける原稿の読み取りを開始する操作を行うためのスキャン開始ボタンや,原稿の読み取りを中止する操作を行うためのキャンセルボタン等が設けられている。また表示部26には,図4に示すように,プッシュスキャンの実行時に画像データを送信するPCを選択する選択画面が表示される。
【0030】
さらに,MFP2は,記録媒体としての用紙やOHPシートに画像を形成する印字部30を有している。印字部30は,電子写真方式,インクジェット方式,その他の一般的な画像形成方式を採用していればよい。また,カラー画像の形成が可能であっても,モノクロ画像専用であってもよい。
【0031】
さらに,MFP2は,原稿を読み取り,読み取った原稿の画像データを作成するスキャナ部31を有している。原稿の読取方式としては,フラットベッド(原稿固定走査)方式と,ADF(Automatic Document Feeder)(原稿移動走査)方式とがあり,それぞれの読取方式に対応した機構を有している。なお,本実施例では,プッシュスキャンやプルスキャンの実行時,ADF方式にて原稿を読み取る構成として説明することとする。
【0032】
[スキャンシステムのアプリケーションの構成]
続いて,スキャンシステム100のアプリケーションの構成について説明する。
【0033】
スキャンシステム100では,図5に示すように,MFP2側に,原稿の読み取りを指示し,スキャナ部31にて作成された画像データを指定されたPCに送信するスキャナアプリケーション310(以下,「スキャナアプリ310」とする)が組み込まれている。
【0034】
また,スキャナアプリ310は,スキャンの設定を行うスキャン設定ボタン311,スキャンの中止を指示するスキャン中止ボタン312,スキャンの開始を指示するスキャン開始ボタン313の押下を監視している。また,スキャナアプリ310は,パスワードの認証を行うパスワード認証部314を備えている。スキャナアプリ310は,パスワード認証部314が行うパスワードの照合によって,第三者によるスキャナ部31の操作を規制している。
【0035】
一方,PC1aは,複数のユーザアカウントをログオフすることなく切り替えて使用することができるものであり,各ユーザアカウントごとにメモリ上の作業領域50a,50bが割り当てられる。そして,PC1aには,MFP2のスキャナアプリ310に問い合わせ,画像データを取得するスキャンアプリケーション(以下,「スキャンアプリ」とする)が組み込まれている。以下,作業領域50aに読み出されたスキャンアプリをスキャンアプリ52aとする。また,作業領域50bに読み出されたスキャンアプリをスキャンアプリ52bとする。
【0036】
また,スキャンアプリ52a,52bは,プッシュスキャンないしプルスキャンについての各種の設定が可能である。例えば,プッシュスキャンの設定では,図6に示すように,スキャン回数やタイムアウト値等を設定することができる。また,ユーザの認証を行うためのパスワードを設定することができる。
【0037】
本スキャンシステム100では,MFP2からの画像データを受け取る場合,1つのスキャンアプリがスキャナアプリ310との間でドライバを専有するように接続(リンク)を確立する。本形態では,つまり,本スキャンシステム100では,リンクが確立されているスキャンアプリのみがMFP2に対しての通信を維持し続け,当該スキャンアプリのみが画像データを受け取ることになる。リンクの確立手順については後述する。
【0038】
なお,図5中では,スキャナアプリ310とスキャンアプリ52aとが直接データのやりとりを行っているが,このやりとりはネットワークI/F18,28を介しLAN40上で行われる。
【0039】
[スキャンの動作]
続いて,本スキャンシステム100によって行われるスキャン処理の動作シーケンスを,図7を参照しつつ説明する。なお,以下の説明では,PC1aにユーザAとユーザBとがログインしており,ユーザAがアクティブユーザであり,ユーザAがスキャンを行うものとする。また,ユーザAがスキャン動作を行う際には,スキャンアプリ52a,スキャナアプリ310があらかじめ起動されているものとする。
【0040】
まず,スキャンを行う準備動作として,画像データを受け取るユーザ(以下,「リンクユーザ」とする)であるユーザAの管理下にあるスキャンアプリ52aとスキャナアプリ310との間でリンクを確立する。すなわち,スキャンアプリ52a側からスキャナアプリ310にリンクの確立を要求する。
【0041】
スキャナアプリ310では,PC1aに対するリンクを確立し,リンク完了通知をスキャンアプリ52aに対して行う。これにより,ユーザAに画像データを取得する権限が与えられ,ユーザA以外のユーザの画像データの取得動作を制限する。リンクの確立後は,MFP2に対して画像データの送信を要求し続けることになるが,事実上,MFP2にてスキャン開始ボタン313が押下されるまで当該要求には応じない状態(以下,待機状態ともいう)となる。
【0042】
なお,既にリンクが確立状態である(すなわち,他のユーザとの間でリンクが確立している)と,リンクの確立に失敗し,ユーザAは画像データの取得が制限される。
【0043】
次に,スキャンの本動作として,MFP2のスキャナ部31のADFに原稿を載置する。原稿の載置はリンクを確立する前であってもよい。そして,スキャン開始ボタン313を押下する。これにより,スキャナアプリ310は,スキャナ部31に原稿を読み取らせ,原稿の画像データを作成する。スキャナ部31で作成された画像データは,PC1a(リンクの確立先)に送られる。スキャンアプリ52aは,その画像データを取得する。
【0044】
画像データの読み取り終了後などの所定の条件を満たした際は,スキャナアプリ310がPC1aのリンクを解除する。そして,PC1aに対してリンク解除通知を行う。これにより,スキャンアプリ52aのリンクが解除され,ユーザA以外のユーザの画像データの取得動作が可能になる。
【0045】
[スキャンアプリの動作]
続いて,前述したスキャンシステム100のスキャン動作を実現する各アプリケーションの動作を詳細に説明する。はじめに,スキャンアプリ52の動作について,図8のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0046】
まず,スキャンを行う準備動作の処理として,スキャンを指示したユーザであることを認証するためのパスワードを設定する(S101)。すなわち,本形態のスキャンシステム100では,PC1a側でリンクを確立させた後,MFP2側でスキャンを開始する。そこで,リンクを確立させた後,スキャンを開始するまでの間に他のユーザがMFP2でのスキャンを開始してしまうことも考えられる。その場合,ユーザAが第三者のデータを受け取ることになる。そこで,パスワードを設定し,第三者のスキャナ部31での操作を制限する。そして,パスワードを認証した後にスキャンを開始することで,所望の原稿が読み取られ,その原稿の画像データがPC1a(リンクの確立先)に送られる。なお,パスワードの設定は任意であり,設定がなければパスワードは設定されない。
【0047】
次に,スキャナ部31でのスキャン回数やタイムアウト値を設定する(S102)。スキャン回数の設定は任意であり,設定がなければスキャン回数は1回となる。なお,S101の処理とS102の処理とは逆順であってもよい。
【0048】
次に,スキャナアプリ310に対して,リンクの確立通知を行う(S103)。その後,スキャナアプリ310からリンク完了通知を受け取った場合(S104:YES)には,リンクに成功したとして,S105の処理に移行する。
【0049】
一方,リンク完了通知を受け取らなかった場合(S104:NO)には,エラーメッセージを表示する(S111)。リンク完了通知を受け取らない理由としては,他のユーザによって既にリンク確立状態にあることが考えられる。その場合,図9に示すようなエラーメッセージを表示し,ユーザAに他のユーザが使用中であることを認知させる。この他の理由として,通信タイムアウトの場合には,その旨をエラーメッセージとして表示する。このように,リンクの確立に失敗すると,自身のスキャン動作が制限される。
【0050】
なお,図9中では「他のユーザ」が使用中であることを表示しているが,より具体的な情報をエラーメッセージとして表示してもよい。例えば,リンク中通知とともにリンクユーザのユーザ名を受け取る構成とし,そのユーザ名を表示してもよい。
【0051】
S105の処理以降は,スキャンの本動作となる。まず,MFP2から送信される画像データを取得する(S105)。なお,所定時間内に画像データを受信しなかった場合には,タイムアウトとしてリンク解除通知を出力する。その際,S111の処理と同様に,タイムアウトしたことをメッセージとして表示してもよい。
【0052】
次に,リンク解除通知が有るか否かを判断する(S106)。リンク解除通知は,画像データの送信終了後の他,強制的なリンク解除指示として,例えばユーザAによるスキャンの中止指示が該当する。このようなリンク解除指示が有る場合(S106:YES)には,本処理を終了する。
【0053】
リンク解除通知がない場合(S106:NO)には,S105の処理に戻って画像データの取得を繰り返す。これにより,画像データの受信がS102の処理による設定スキャン回数分だけ行われる。
【0054】
すなわち,本スキャンアプリ52aは,リンクが確立されれば,スキャナアプリ310からのスキャン通知の受信が可能になり,画像データを受け取ることができる。一方,リンクユーザとしてリンクが確立されなければ,スキャナアプリ310からの画像データの受信ができない。
【0055】
[スキャナアプリの動作]
続いて,スキャナアプリ310の動作について,図10のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0056】
まず,リンク確立通知を受信したか否かを判断する(S201)。リンク確立通知を受信していなければ(S201:NO),本処理を終了する。リンク確立通知を受信していれば(S201:YES),S202の処理に移行する。
【0057】
次に,既に他のユーザによってリンクが確立されているか否かを判断する(S202)。リンク確立中の場合(S202:YES)には,リンク確立中であることを通知し(S211),本処理を終了する。なお,リンク確立中通知には,確立中であることを認識させる信号の他,リンク確立中のユーザの情報を通知してもよい。例えば,リンクユーザのユーザ名やそのユーザのスキャン開始時間等を通知してもよい。
【0058】
リンク確立中でなければ(S202:NO),リンクを確立してリンクユーザをユーザAとする(S203)。これにより,ユーザAのスキャンアプリ52aがMFP2からの画像データを受け取ることが可能になる。また,リンク要求元以外のPC(本形態ではPC1a以外のPC)からのスキャン要求が制限される。その後,MFP2がユーザAによるスキャンの開始待ちである旨をMPF2の表示部26に報知する(S204)。
【0059】
具体的には,図11に示すように,スキャンのスキャン待機中であることを表示する。その際,例えば,どのユーザによっての指示か,あるいはタイムアウトまで残り何秒なのかを表示することで,他のユーザの不信感を解消することができる。
【0060】
次に,リンク確立通知をスキャンアプリ52aに対して行う(S205)。その後,画像データを取得し,その画像データをPC1aに送信するスキャン実行処理を行う(S206)。S206の処理の詳細については後述する。
【0061】
S206の処理による画像データの取得および送信が終了した後,リンクを解除する(S207)。すなわち,ユーザAの専有状態を解除し,他のユーザのリンク確立を許可する。その後,リンク解除をPC1aに通知し(S208),本処理を終了する。
【0062】
次に,S206の処理によるスキャン実行処理について,図12のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0063】
まず,スキャン開始ボタン313が押下されたか否かを判断する(S301)。スキャン開始ボタン313が押下されていなければ(S301:NO),タイムアウトか否かを判断する(S311)。タイムアウトでなければ(S311:NO),スキャン開始ボタン313の押下を検知し続ける。タイムアウトになった場合には(S311:YES),本処理を終了する。
【0064】
次に,スキャン開始ボタン313が押下された場合は(S301:YES),スキャンを実行するに際し,パスワードが設定されているか否かを判断する(S302)。パスワードが設定されていなければ(S302:NO),S303およびS304の処理をバイパスしてS305の処理に移行する。パスワードが設定されていれば(S302:YES),MFP2の操作者にパスワードの入力を促し,入力されたパスワードと前述したS101を介して設定されたパスワードとを照合する(S303)。
【0065】
次に,パスワードの照合に成功したか否かを判断する(S304)。パスワードの照合に失敗した場合には(S304:NO),S301の処理に戻ってスキャンボタンの押下を待つ。
【0066】
一方,パスワードの照合に成功した場合には(S304:YES),スキャナ部31での原稿の読み取りを指示する(S305)。そして,スキャンされた原稿の画像データを取得し,当該画像データを指定されたPCに送信する(S306)。スキャナアプリ310にとっては,送り先のPCのログインユーザまでは認識しておらず,リンクの確立状態に従って画像データを指定されたPCに送信する。
【0067】
次に,前述したS102を介して設定された設定スキャン回数分のスキャンを実行したか否かを判断する(S307)。設定スキャン回数分のスキャンを実行した場合(S307:YES)には,本処理を終了する。
【0068】
一方,設定スキャン回数分のスキャンを実行していない場合(S307:NO)には,強制的なリンク解除指示が有るか否かを判断する(S308)。強制的なリンク解除指示としては,例えばユーザAによるスキャンの中止指示が該当する。このようなリンク解除指示が有る場合(S308:YES)には,本処理を終了する。リンク解除指示がなければ,S301の処理に戻って次回のスキャン開始ボタン313の押下を待つ。
【0069】
スキャナアプリ310は,ユーザAがリンクユーザとしてリンク確立状態になっている場合,図13に示すように,仮にユーザBがアクティブなユーザになったとしても,ユーザAとの間でリンクの確立状態を継続する。さらには,ユーザBのリンクの確立を拒否する(S211)。これにより,ユーザAがリンクユーザとしてリンク確立状態になっていれば,ユーザAのみが画像データを受信できるようになる。よって,他のユーザへのデータの送信が抑制される。
【0070】
以上詳細に説明したように本形態のスキャンシステム100は,複数のユーザアカウントをログオフすることなく切り替えて使用することができるPC1a内に複数のスキャンアプリ52a,52bが存在する。また,スキャンシステム100では,リンクを確立させた後にスキャン開始ボタン313が押下されるまで待機状態となり,PC1aとMFP2との通信を維持する。そして,MFP2は,スキャン開始ボタン313の押下が確認されてから原稿の読み取りを開始する。各スキャンアプリ52は,ログインユーザの各々の管理下にあり,スキャン開始ボタン313の押下の後,スキャナ部31が読み取った画像データを取得している。
【0071】
さらに,スキャンシステム100は,リンクが確立された状態である場合に,そのリンクを確立させたスキャンアプリ52によって画像データの取得が可能になる。一方で,あるログインユーザによってリンクが確立している場合に,他のログインユーザによるリンクの確立を制限する。これにより,リンクが確立されたスキャンアプリ52を管理するユーザのみが画像データを受け取ることになり,リンクが確立されていないユーザは画像データを受け取らない。つまり,第三者への画像データの送信が防止される。よって,第三者のスキャンデータの閲覧を確実に回避し,信頼性が高いスキャンシステム,画像読取装置および情報処理装置が実現される。
【0072】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,画像形成装置としてはMFPに限るものではなく,コピー機,FAX,あるいはスキャナ機能を有するプリンタ等であってもよい。また,情報処理装置としてはPCに限るものではなく,ワークステーション,携帯情報端末装置等であってもよい。
【0073】
また,リンクが確立している状態では,MFP2を近々利用するユーザがいる状態である。そこで,リンクが確立している状態では,スキャナ部31を利用する処理(例えば,コピー処理)を受け付けないようにしてもよい。
【0074】
また,リンクを確立する際に原稿の読取手段をフラットベッドにするかADFにするか選択するように構成し,リンクが確立されている状態では選択されていない読取手段の利用を制限するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施の形態に係るスキャンシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係るスキャンシステム構成するPCおよびMFPの詳細構成を示すブロック図である。
【図3】MFPのHDDに登録される登録情報データベースの一例を示す図である。
【図4】MFPの表示部に表示される選択画面の一例を示す図である。
【図5】実施の形態に係るスキャンシステムのアプリケーションの構成を示すブロック図(アクティブ:ユーザA,リンク:ユーザA)である。
【図6】スキャンアプリの設定ダイアログの一例を示す図である。
【図7】実施の形態に係るスキャンの動作シーケンスを示す図である。
【図8】実施の形態に係るスキャンアプリケーションの動作を示すフローチャートである。
【図9】リンク確立失敗時におけるエラーメッセージの一例を示す図である。
【図10】実施の形態に係るスキャナアプリケーションの動作を示すフローチャートである。
【図11】スキャナアプリのスキャン待機中の表示の一例を示す図である。
【図12】スキャナアプリケーションのスキャン実行処理の動作を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態に係るスキャンシステムのアプリケーションの構成を示すブロック図(アクティブ:ユーザB,リンク:ユーザA)である。
【符号の説明】
【0076】
1a パーソナルコンピュータ
2 複合機能周辺機器
31 スキャナ部
310 スキャナアプリケーション
313 スキャン開始ボタン
314 パスワード認証部
50a 作業領域
52a スキャンアプリケーション
【技術分野】
【0001】
本発明は,スキャナ等の読取装置で読み取った画像情報を情報処理装置に送信するスキャンシステムに関する。さらに詳細には,原稿を読み取る画像読取装置,複数のユーザアカウントをログオフすることなく切り替えて使用することができる情報処理装置,およびそれらを利用したスキャンシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,図1に示すように,パーソナルコンピュータ(PC)1a,1b,1cと,原稿を読み取るスキャナ機能を備えた複合機能周辺機器(MFP)2とをネットワーク40を介して接続し,MFP2で読み取ったデータを所定のPCに送信するスキャンシステムが構築されている。
【0003】
例えば,特許文献1に開示された画像データ送信システムでは,プッシュスキャン機能およびプルスキャン機能に関する技術が開示されている。「プッシュスキャン機能」とは,MFPの操作に基づいて原稿をスキャンし,そのスキャンデータをユーザの指定したPCに自動的に送信する機能のことである。一方,「プルスキャン機能」とは,PCの操作に基づいて原稿をスキャンし,そのスキャンデータをスキャン指示を送信したPCに自動的に送信する機能のことである。
【特許文献1】特開2004−215009号公報
【0004】
また,近年,ログオフすることなく複数のユーザアカウントを切り替えて使用することができるPCが実用化されている。例えば,アップル社製のPCでは,「ファストユーザスイッチ」というログオフすることなく複数のユーザによって1台のPCを共用できる機能が設けられている。また,マイクロソフト社のオペレーティングシステム(OS)であるMicrosoftWindows(登録商標)でも,ログオフすることなくユーザを切り替える機能が提供されている。
【0005】
このようなユーザ切替え機能を有するPCでは,ユーザアカウントごとにアプリケーションやその他のリソースを管理している。そして,あるユーザAがログインしていた状態でログオフすることなくユーザBがログインした場合,ユーザBのアカウントがアクティブな状態で動作し,ユーザAのアカウントがバックグラウンドで動作する。このとき,ユーザAが利用していたアプリケーションは終了しない。そして,ユーザAのアカウントに戻す際には,ユーザBのアカウントを終了させる必要がない。このように,アプリケーションを終了せずにアカウントを切り替えることで,迅速なユーザの切替えが可能になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなユーザ切替え機能を有するPCがスキャンシステムを構成するPCとして接続されていると,次のような問題が生じる。すなわち,スキャナを備えるMFPからスキャンデータをPCに送信する際には,送信先であるPCを選択して送信する。その際,MFPとしては,PC側でどのユーザがアクティブになっているかは不明である。一方,PCとしては,アクティブとなっているユーザがデータを取得する。そのため,PC側でアクティブになっているユーザと,スキャナ側で操作するユーザとが異なる場合,スキャナを操作するユーザにとっては第三者にデータを送信してしまうことになり,スキャンデータを閲覧されてしまう。
【0007】
特許文献1に開示された画像データ送信システムでは,複数のPCからのスキャン命令の競合を回避し,ユーザにより指定されたPC以外のPCへスキャンデータが送信されることを防止している。しかし,PC内のアカウントが切り替えられる場合は,スキャナ側のユーザが自身の管理下であると想定したPCであるにも拘わらず,送信者と受信者とが合致しない状態が生じることが考えられる。
【0008】
本発明は,前記した従来のスキャンシステムが有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,第三者のスキャンデータの閲覧を確実に回避し,信頼性が高いスキャンシステム,画像読取装置および情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題の解決を目的としてなされたスキャンシステムは,原稿の読み取りを行う権限を確立する確立手段と,原稿を読み取る読取手段と,複数のログインユーザの各々の管理下にあり,確立手段によって権限が確立された状態である場合に,読取手段が読み取った画像データを取得する取得手段とを備えることを特徴としている。
【0010】
本発明のスキャンシステムは,複数のユーザアカウントをログオフすることなく切り替えて使用することができる情報処理装置内に複数の取得手段が存在する。また,本スキャンシステムでは,確立手段によって権限を確立させた後に待機状態となり,読取手段と取得手段との通信を維持する。そして,読取手段は,原稿の読み取り権限が確立した後,原稿の読み取り開始の指令を待って原稿の読み取りを開始する。また,取得手段は,ログインユーザの各々の管理下にあり,読取手段への操作を基に,読取手段が読み取った画像データを取得する。
【0011】
さらに,本発明のスキャンシステムは,確立手段によって権限が確立された状態である場合に,読取手段が読み取った画像データの取得が可能になる。一方で,確立手段は,あるログインユーザによって権限が確立している場合に,他のログインユーザによる権限の確立を制限する。これにより,権限が確立された取得手段を管理するユーザのみが画像データを受け取ることになり,確立されていないユーザは画像データを受け取らない。つまり,第三者への画像データの送信が防止される。
【0012】
また,本発明のスキャンシステムの読取手段は,権限が確立された状態にある取得手段を管理するユーザであることを照合する照合機能を有し,原稿の読み取りを開始する前にユーザの照合を行うこととするとよりよい。
【0013】
すなわち,本発明のスキャンシステムでは,取得手段側で権限を確立させた後,読取手段側で原稿の読み取り(スキャン)を開始する。そこで,権限を確立させた後,スキャンを開始するまでの間に他のユーザが読取手段でのスキャンを開始してしまうことも考えられる。その場合,ログインユーザは第三者のデータを受け取ることになる。そこで,パスワード等の照合機能によってユーザを照合し,第三者によるスキャンを防止する。これにより,画像データの漏洩を防ぐことができる。
【0014】
また,本発明のスキャンシステムは,確立手段によって権限が確立されている状態であることを報知する報知手段を備えることとするとよりよい。すなわち,他のユーザによって既に権限が確立されていた場合に,その旨を報知する。報知する方法としては,例えばエラーメッセージ表示が適用可能である。報知先は,読取手段側であっても取得手段側であっても,さらにはその両方であってもよい。これにより,ユーザが権限の確立状態を把握でき,利便性が向上する。
【0015】
また,上記の報知手段が報知する内容には,確立手段によって権限が確立された状態にある取得手段を管理するログインユーザの情報が含まれることとするとよりよい。ログインユーザの情報(例えば,ログインユーザ名やスキャン開始時間)を含むことで,どのユーザによって権限が確立されているかを把握でき,より利便性が向上する。
【0016】
また,本発明のスキャンシステムは,所定の条件を満たすことで確立手段によって確立された権限を解除することとするとよりよい。これにより,長期間,特定のユーザに占有されることを回避できる。所定の条件としては,例えばタイムアウト,スキャン回数,ユーザによるリセット指示が適用可能である。
【0017】
また,本発明は,原稿を読み取り,読み取った画像を情報処理装置に転送する機能を有する画像読取装置であって,情報処理装置からのログインユーザごとの問い合わせに対し,原稿の読み取りを行う権限を確立する送信側確立手段と,原稿を読み取る読取手段と,読取手段によって読み取られた画像データを,権限が確立された状態である情報処理装置に転送する転送手段とを備え,読取手段は,権限が確立した後,原稿の読み取り開始の指令を待って原稿の読み取りを開始することを特徴とする画像読取装置を含んでいる。
【0018】
また,本発明は,複数のユーザアカウントをログオフすることなく切り替えて使用する機能を有する情報処理装置であって,原稿の読み取り機能を備えた画像読取装置に問い合わせ,原稿の読み取りを行う権限を確立する受信側確立手段と,複数のログインユーザの各々の管理下にあり,受信側確立手段によって権限が確立された状態である場合に,画像読取装置が読み取った画像データを取得する取得手段とを備えることを特徴とする情報処理装置を含んでいる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば,第三者のスキャンデータの閲覧を確実に回避し,信頼性が高いスキャンシステム,画像読取装置および情報処理装置が実現している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下,本発明にかかるスキャンシステムを具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,スキャナ機能を備えたMFPと,スキャンデータの受け取り先であるPCとがネットワークで接続されたスキャンシステムに本発明を適用したものである。
【0021】
[スキャンシステムの構成]
本形態のスキャンシステム100は,図1に示すように,情報端末装置としてのPC1a,1b,1cと,原稿を読み取るスキャナ機能を有するMFP2とを備えている。スキャンシステム100では,各PC1a,1b,1cとMFP2とがLAN40のLANケーブルに接続されている。なお,スキャンシステム100を構成するMFPは1台に限るものではなく,複数台接続してもよい。また,スキャンシステム100を構成するPCも3台に限定するものではなく,何台接続してもよい。また,各PCとMFP2との接続は,有線LANケーブルに限らず,USBケーブル,その他のシリアル通信ケーブル,パラレル通信ケーブル,さらには無線LAN等の無線通信経路とすることも可能である。
【0022】
PC1aは,図2に示すように,各種演算処理を実行するCPU11と,当該PC1の起動時にCPU11が行う起動処理のプログラム(BIOS)等を記憶したROM12と,CPU11が各種処理を行う際に一時的な記憶領域として利用されるRAM13と,各種のプログラムやデータを記憶したハードディスクドライブ(HDD)14とを有している。
【0023】
また,PC1aは,キーボードやマウス等からなる操作部15と,液晶ディスプレイ等からなる表示部16と,MFP2との間で信号のやりとりを行うプリンタポートインターフェース17(パラレルインターフェース,USBインターフェース等)と,LAN,インターネット等のネットワークを介して信号のやりとりを行うネットワークインターフェース18とを有している。
【0024】
さらに,PC1aのHDD14には,オペレーティングシステム(OS)や,画像データを編集可能なアプリケーション(例えば,文書作成ソフト,作図ソフト,表計算ソフト,写真データ編集ソフト等)や,MFP2に印刷データを送信するプリンタドライバが記憶されている。また,プッシュスキャンやプルスキャンの実行時にMFP2から送られてくる画像データを処理するプログラムが記憶されている。なお,PC1b,1cについても同様の構成になっている。
【0025】
MFP2は,各種演算処理を実行するCPU21と,当該MFP2の起動時にCPU21が行う起動処理のプログラム等を記憶したROM22と,CPU21が各種処理を行う際に一時的な記憶領域として利用されるRAM23と,各種のプログラムやデータ等を記憶したハードディスクドライブ(HDD)24とを有している。
【0026】
さらに,MFP2のHDD24には,プッシュスキャンやプルスキャンの実行時に画像データを取得し,指定されたPCにその画像データを送信するプログラムが記憶されている。また,HDD24には,MFP2に接続されたPCやそのPCに組み込まれているアプリケーションソフト等の情報を格納する登録情報データベースが記憶されている。
【0027】
図3は,登録情報データベースの一例を示している。本形態の登録情報データベースは,MFP2に接続されているPCの名称またはPCが接続されているインターフェース(送信先)の名称,当該PCに組み込まれているアプリケーションソフト(メールソフトや画像編集ソフト等),当該PCのIPアドレス,当該PCに関するポート番号,画像データを保持する時間に関連するタイムアウト値から構成されている。
【0028】
また,MFP2は,当該MFP2の筐体外部に配設された複数のボタンからなる操作部25と,同じく筐体外部に配設された液晶表示パネル等からなる表示部26と,外部情報端末との間で信号のやりとりを行うプリンタポートインターフェース27(パラレルインターフェース,USBインターフェース等)と,LAN,インターネット等のネットワークを介して信号のやりとりを行うネットワークインターフェース28とを有している。
【0029】
操作部25には,プッシュスキャンの設定を行うためのスキャン設定ボタンや,プッシュスキャンにおける原稿の読み取りを開始する操作を行うためのスキャン開始ボタンや,原稿の読み取りを中止する操作を行うためのキャンセルボタン等が設けられている。また表示部26には,図4に示すように,プッシュスキャンの実行時に画像データを送信するPCを選択する選択画面が表示される。
【0030】
さらに,MFP2は,記録媒体としての用紙やOHPシートに画像を形成する印字部30を有している。印字部30は,電子写真方式,インクジェット方式,その他の一般的な画像形成方式を採用していればよい。また,カラー画像の形成が可能であっても,モノクロ画像専用であってもよい。
【0031】
さらに,MFP2は,原稿を読み取り,読み取った原稿の画像データを作成するスキャナ部31を有している。原稿の読取方式としては,フラットベッド(原稿固定走査)方式と,ADF(Automatic Document Feeder)(原稿移動走査)方式とがあり,それぞれの読取方式に対応した機構を有している。なお,本実施例では,プッシュスキャンやプルスキャンの実行時,ADF方式にて原稿を読み取る構成として説明することとする。
【0032】
[スキャンシステムのアプリケーションの構成]
続いて,スキャンシステム100のアプリケーションの構成について説明する。
【0033】
スキャンシステム100では,図5に示すように,MFP2側に,原稿の読み取りを指示し,スキャナ部31にて作成された画像データを指定されたPCに送信するスキャナアプリケーション310(以下,「スキャナアプリ310」とする)が組み込まれている。
【0034】
また,スキャナアプリ310は,スキャンの設定を行うスキャン設定ボタン311,スキャンの中止を指示するスキャン中止ボタン312,スキャンの開始を指示するスキャン開始ボタン313の押下を監視している。また,スキャナアプリ310は,パスワードの認証を行うパスワード認証部314を備えている。スキャナアプリ310は,パスワード認証部314が行うパスワードの照合によって,第三者によるスキャナ部31の操作を規制している。
【0035】
一方,PC1aは,複数のユーザアカウントをログオフすることなく切り替えて使用することができるものであり,各ユーザアカウントごとにメモリ上の作業領域50a,50bが割り当てられる。そして,PC1aには,MFP2のスキャナアプリ310に問い合わせ,画像データを取得するスキャンアプリケーション(以下,「スキャンアプリ」とする)が組み込まれている。以下,作業領域50aに読み出されたスキャンアプリをスキャンアプリ52aとする。また,作業領域50bに読み出されたスキャンアプリをスキャンアプリ52bとする。
【0036】
また,スキャンアプリ52a,52bは,プッシュスキャンないしプルスキャンについての各種の設定が可能である。例えば,プッシュスキャンの設定では,図6に示すように,スキャン回数やタイムアウト値等を設定することができる。また,ユーザの認証を行うためのパスワードを設定することができる。
【0037】
本スキャンシステム100では,MFP2からの画像データを受け取る場合,1つのスキャンアプリがスキャナアプリ310との間でドライバを専有するように接続(リンク)を確立する。本形態では,つまり,本スキャンシステム100では,リンクが確立されているスキャンアプリのみがMFP2に対しての通信を維持し続け,当該スキャンアプリのみが画像データを受け取ることになる。リンクの確立手順については後述する。
【0038】
なお,図5中では,スキャナアプリ310とスキャンアプリ52aとが直接データのやりとりを行っているが,このやりとりはネットワークI/F18,28を介しLAN40上で行われる。
【0039】
[スキャンの動作]
続いて,本スキャンシステム100によって行われるスキャン処理の動作シーケンスを,図7を参照しつつ説明する。なお,以下の説明では,PC1aにユーザAとユーザBとがログインしており,ユーザAがアクティブユーザであり,ユーザAがスキャンを行うものとする。また,ユーザAがスキャン動作を行う際には,スキャンアプリ52a,スキャナアプリ310があらかじめ起動されているものとする。
【0040】
まず,スキャンを行う準備動作として,画像データを受け取るユーザ(以下,「リンクユーザ」とする)であるユーザAの管理下にあるスキャンアプリ52aとスキャナアプリ310との間でリンクを確立する。すなわち,スキャンアプリ52a側からスキャナアプリ310にリンクの確立を要求する。
【0041】
スキャナアプリ310では,PC1aに対するリンクを確立し,リンク完了通知をスキャンアプリ52aに対して行う。これにより,ユーザAに画像データを取得する権限が与えられ,ユーザA以外のユーザの画像データの取得動作を制限する。リンクの確立後は,MFP2に対して画像データの送信を要求し続けることになるが,事実上,MFP2にてスキャン開始ボタン313が押下されるまで当該要求には応じない状態(以下,待機状態ともいう)となる。
【0042】
なお,既にリンクが確立状態である(すなわち,他のユーザとの間でリンクが確立している)と,リンクの確立に失敗し,ユーザAは画像データの取得が制限される。
【0043】
次に,スキャンの本動作として,MFP2のスキャナ部31のADFに原稿を載置する。原稿の載置はリンクを確立する前であってもよい。そして,スキャン開始ボタン313を押下する。これにより,スキャナアプリ310は,スキャナ部31に原稿を読み取らせ,原稿の画像データを作成する。スキャナ部31で作成された画像データは,PC1a(リンクの確立先)に送られる。スキャンアプリ52aは,その画像データを取得する。
【0044】
画像データの読み取り終了後などの所定の条件を満たした際は,スキャナアプリ310がPC1aのリンクを解除する。そして,PC1aに対してリンク解除通知を行う。これにより,スキャンアプリ52aのリンクが解除され,ユーザA以外のユーザの画像データの取得動作が可能になる。
【0045】
[スキャンアプリの動作]
続いて,前述したスキャンシステム100のスキャン動作を実現する各アプリケーションの動作を詳細に説明する。はじめに,スキャンアプリ52の動作について,図8のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0046】
まず,スキャンを行う準備動作の処理として,スキャンを指示したユーザであることを認証するためのパスワードを設定する(S101)。すなわち,本形態のスキャンシステム100では,PC1a側でリンクを確立させた後,MFP2側でスキャンを開始する。そこで,リンクを確立させた後,スキャンを開始するまでの間に他のユーザがMFP2でのスキャンを開始してしまうことも考えられる。その場合,ユーザAが第三者のデータを受け取ることになる。そこで,パスワードを設定し,第三者のスキャナ部31での操作を制限する。そして,パスワードを認証した後にスキャンを開始することで,所望の原稿が読み取られ,その原稿の画像データがPC1a(リンクの確立先)に送られる。なお,パスワードの設定は任意であり,設定がなければパスワードは設定されない。
【0047】
次に,スキャナ部31でのスキャン回数やタイムアウト値を設定する(S102)。スキャン回数の設定は任意であり,設定がなければスキャン回数は1回となる。なお,S101の処理とS102の処理とは逆順であってもよい。
【0048】
次に,スキャナアプリ310に対して,リンクの確立通知を行う(S103)。その後,スキャナアプリ310からリンク完了通知を受け取った場合(S104:YES)には,リンクに成功したとして,S105の処理に移行する。
【0049】
一方,リンク完了通知を受け取らなかった場合(S104:NO)には,エラーメッセージを表示する(S111)。リンク完了通知を受け取らない理由としては,他のユーザによって既にリンク確立状態にあることが考えられる。その場合,図9に示すようなエラーメッセージを表示し,ユーザAに他のユーザが使用中であることを認知させる。この他の理由として,通信タイムアウトの場合には,その旨をエラーメッセージとして表示する。このように,リンクの確立に失敗すると,自身のスキャン動作が制限される。
【0050】
なお,図9中では「他のユーザ」が使用中であることを表示しているが,より具体的な情報をエラーメッセージとして表示してもよい。例えば,リンク中通知とともにリンクユーザのユーザ名を受け取る構成とし,そのユーザ名を表示してもよい。
【0051】
S105の処理以降は,スキャンの本動作となる。まず,MFP2から送信される画像データを取得する(S105)。なお,所定時間内に画像データを受信しなかった場合には,タイムアウトとしてリンク解除通知を出力する。その際,S111の処理と同様に,タイムアウトしたことをメッセージとして表示してもよい。
【0052】
次に,リンク解除通知が有るか否かを判断する(S106)。リンク解除通知は,画像データの送信終了後の他,強制的なリンク解除指示として,例えばユーザAによるスキャンの中止指示が該当する。このようなリンク解除指示が有る場合(S106:YES)には,本処理を終了する。
【0053】
リンク解除通知がない場合(S106:NO)には,S105の処理に戻って画像データの取得を繰り返す。これにより,画像データの受信がS102の処理による設定スキャン回数分だけ行われる。
【0054】
すなわち,本スキャンアプリ52aは,リンクが確立されれば,スキャナアプリ310からのスキャン通知の受信が可能になり,画像データを受け取ることができる。一方,リンクユーザとしてリンクが確立されなければ,スキャナアプリ310からの画像データの受信ができない。
【0055】
[スキャナアプリの動作]
続いて,スキャナアプリ310の動作について,図10のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0056】
まず,リンク確立通知を受信したか否かを判断する(S201)。リンク確立通知を受信していなければ(S201:NO),本処理を終了する。リンク確立通知を受信していれば(S201:YES),S202の処理に移行する。
【0057】
次に,既に他のユーザによってリンクが確立されているか否かを判断する(S202)。リンク確立中の場合(S202:YES)には,リンク確立中であることを通知し(S211),本処理を終了する。なお,リンク確立中通知には,確立中であることを認識させる信号の他,リンク確立中のユーザの情報を通知してもよい。例えば,リンクユーザのユーザ名やそのユーザのスキャン開始時間等を通知してもよい。
【0058】
リンク確立中でなければ(S202:NO),リンクを確立してリンクユーザをユーザAとする(S203)。これにより,ユーザAのスキャンアプリ52aがMFP2からの画像データを受け取ることが可能になる。また,リンク要求元以外のPC(本形態ではPC1a以外のPC)からのスキャン要求が制限される。その後,MFP2がユーザAによるスキャンの開始待ちである旨をMPF2の表示部26に報知する(S204)。
【0059】
具体的には,図11に示すように,スキャンのスキャン待機中であることを表示する。その際,例えば,どのユーザによっての指示か,あるいはタイムアウトまで残り何秒なのかを表示することで,他のユーザの不信感を解消することができる。
【0060】
次に,リンク確立通知をスキャンアプリ52aに対して行う(S205)。その後,画像データを取得し,その画像データをPC1aに送信するスキャン実行処理を行う(S206)。S206の処理の詳細については後述する。
【0061】
S206の処理による画像データの取得および送信が終了した後,リンクを解除する(S207)。すなわち,ユーザAの専有状態を解除し,他のユーザのリンク確立を許可する。その後,リンク解除をPC1aに通知し(S208),本処理を終了する。
【0062】
次に,S206の処理によるスキャン実行処理について,図12のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0063】
まず,スキャン開始ボタン313が押下されたか否かを判断する(S301)。スキャン開始ボタン313が押下されていなければ(S301:NO),タイムアウトか否かを判断する(S311)。タイムアウトでなければ(S311:NO),スキャン開始ボタン313の押下を検知し続ける。タイムアウトになった場合には(S311:YES),本処理を終了する。
【0064】
次に,スキャン開始ボタン313が押下された場合は(S301:YES),スキャンを実行するに際し,パスワードが設定されているか否かを判断する(S302)。パスワードが設定されていなければ(S302:NO),S303およびS304の処理をバイパスしてS305の処理に移行する。パスワードが設定されていれば(S302:YES),MFP2の操作者にパスワードの入力を促し,入力されたパスワードと前述したS101を介して設定されたパスワードとを照合する(S303)。
【0065】
次に,パスワードの照合に成功したか否かを判断する(S304)。パスワードの照合に失敗した場合には(S304:NO),S301の処理に戻ってスキャンボタンの押下を待つ。
【0066】
一方,パスワードの照合に成功した場合には(S304:YES),スキャナ部31での原稿の読み取りを指示する(S305)。そして,スキャンされた原稿の画像データを取得し,当該画像データを指定されたPCに送信する(S306)。スキャナアプリ310にとっては,送り先のPCのログインユーザまでは認識しておらず,リンクの確立状態に従って画像データを指定されたPCに送信する。
【0067】
次に,前述したS102を介して設定された設定スキャン回数分のスキャンを実行したか否かを判断する(S307)。設定スキャン回数分のスキャンを実行した場合(S307:YES)には,本処理を終了する。
【0068】
一方,設定スキャン回数分のスキャンを実行していない場合(S307:NO)には,強制的なリンク解除指示が有るか否かを判断する(S308)。強制的なリンク解除指示としては,例えばユーザAによるスキャンの中止指示が該当する。このようなリンク解除指示が有る場合(S308:YES)には,本処理を終了する。リンク解除指示がなければ,S301の処理に戻って次回のスキャン開始ボタン313の押下を待つ。
【0069】
スキャナアプリ310は,ユーザAがリンクユーザとしてリンク確立状態になっている場合,図13に示すように,仮にユーザBがアクティブなユーザになったとしても,ユーザAとの間でリンクの確立状態を継続する。さらには,ユーザBのリンクの確立を拒否する(S211)。これにより,ユーザAがリンクユーザとしてリンク確立状態になっていれば,ユーザAのみが画像データを受信できるようになる。よって,他のユーザへのデータの送信が抑制される。
【0070】
以上詳細に説明したように本形態のスキャンシステム100は,複数のユーザアカウントをログオフすることなく切り替えて使用することができるPC1a内に複数のスキャンアプリ52a,52bが存在する。また,スキャンシステム100では,リンクを確立させた後にスキャン開始ボタン313が押下されるまで待機状態となり,PC1aとMFP2との通信を維持する。そして,MFP2は,スキャン開始ボタン313の押下が確認されてから原稿の読み取りを開始する。各スキャンアプリ52は,ログインユーザの各々の管理下にあり,スキャン開始ボタン313の押下の後,スキャナ部31が読み取った画像データを取得している。
【0071】
さらに,スキャンシステム100は,リンクが確立された状態である場合に,そのリンクを確立させたスキャンアプリ52によって画像データの取得が可能になる。一方で,あるログインユーザによってリンクが確立している場合に,他のログインユーザによるリンクの確立を制限する。これにより,リンクが確立されたスキャンアプリ52を管理するユーザのみが画像データを受け取ることになり,リンクが確立されていないユーザは画像データを受け取らない。つまり,第三者への画像データの送信が防止される。よって,第三者のスキャンデータの閲覧を確実に回避し,信頼性が高いスキャンシステム,画像読取装置および情報処理装置が実現される。
【0072】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,画像形成装置としてはMFPに限るものではなく,コピー機,FAX,あるいはスキャナ機能を有するプリンタ等であってもよい。また,情報処理装置としてはPCに限るものではなく,ワークステーション,携帯情報端末装置等であってもよい。
【0073】
また,リンクが確立している状態では,MFP2を近々利用するユーザがいる状態である。そこで,リンクが確立している状態では,スキャナ部31を利用する処理(例えば,コピー処理)を受け付けないようにしてもよい。
【0074】
また,リンクを確立する際に原稿の読取手段をフラットベッドにするかADFにするか選択するように構成し,リンクが確立されている状態では選択されていない読取手段の利用を制限するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施の形態に係るスキャンシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係るスキャンシステム構成するPCおよびMFPの詳細構成を示すブロック図である。
【図3】MFPのHDDに登録される登録情報データベースの一例を示す図である。
【図4】MFPの表示部に表示される選択画面の一例を示す図である。
【図5】実施の形態に係るスキャンシステムのアプリケーションの構成を示すブロック図(アクティブ:ユーザA,リンク:ユーザA)である。
【図6】スキャンアプリの設定ダイアログの一例を示す図である。
【図7】実施の形態に係るスキャンの動作シーケンスを示す図である。
【図8】実施の形態に係るスキャンアプリケーションの動作を示すフローチャートである。
【図9】リンク確立失敗時におけるエラーメッセージの一例を示す図である。
【図10】実施の形態に係るスキャナアプリケーションの動作を示すフローチャートである。
【図11】スキャナアプリのスキャン待機中の表示の一例を示す図である。
【図12】スキャナアプリケーションのスキャン実行処理の動作を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態に係るスキャンシステムのアプリケーションの構成を示すブロック図(アクティブ:ユーザB,リンク:ユーザA)である。
【符号の説明】
【0076】
1a パーソナルコンピュータ
2 複合機能周辺機器
31 スキャナ部
310 スキャナアプリケーション
313 スキャン開始ボタン
314 パスワード認証部
50a 作業領域
52a スキャンアプリケーション
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の読み取りを行う権限を確立する確立手段と,
前記原稿を読み取る読取手段と,
複数のログインユーザの各々の管理下にあり,前記確立手段によって権限が確立された状態である場合に,前記読取手段が読み取った画像データを取得する取得手段とを備えることを特徴とするスキャンシステム。
【請求項2】
請求項1に記載するスキャンシステムにおいて,
前記読取手段は,前記権限が確立した後,原稿の読み取り開始の指令を待って原稿の読み取りを開始することを特徴とするスキャンシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載するスキャンシステムにおいて,
前記読取手段は,前記権限が確立された状態にある取得手段を管理するユーザであることを照合する照合機能を有し,原稿の読み取りを開始する前にユーザの照合を行うことを特徴とするスキャンシステム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載するスキャンシステムにおいて,
前記確立手段は,あるログインユーザによって権限が確立している場合に,他のログインユーザによる権限の確立を制限することを特徴とするスキャンシステム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載するスキャンシステムにおいて,
前記確立手段によって前記権限が確立されている状態であることを報知する報知手段を備えることを特徴とするスキャンシステム。
【請求項6】
請求項5に記載するスキャンシステムにおいて,
前記報知手段が報知する内容には,前記確立手段によって権限が確立された状態にある取得手段を管理するログインユーザの情報が含まれることを特徴とするスキャンシステム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載するスキャンシステムにおいて,
所定の条件を満たすことで前記確立手段によって確立された権限を解除すること特徴とするスキャンシステム。
【請求項8】
原稿を読み取り,読み取った画像を情報処理装置に転送する機能を有する画像読取装置において,
情報処理装置からのログインユーザごとの問い合わせに対し,原稿の読み取りを行う権限を確立する送信側確立手段と,
前記原稿を読み取る読取手段と,
前記読取手段によって読み取られた画像データを,前記権限が確立された状態である情報処理装置に転送する転送手段とを備え,
前記読取手段は,前記権限が確立した後,原稿の読み取り開始の指令を待って原稿の読み取りを開始することを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
複数のユーザアカウントをログオフすることなく切り替えて使用する機能を有する情報処理装置において,
原稿の読み取り機能を備えた画像読取装置に問い合わせ,原稿の読み取りを行う権限を確立する受信側確立手段と,
複数のログインユーザの各々の管理下にあり,前記受信側確立手段によって権限が確立された状態である場合に,前記画像読取装置が読み取った画像データを取得する取得手段とを備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項1】
原稿の読み取りを行う権限を確立する確立手段と,
前記原稿を読み取る読取手段と,
複数のログインユーザの各々の管理下にあり,前記確立手段によって権限が確立された状態である場合に,前記読取手段が読み取った画像データを取得する取得手段とを備えることを特徴とするスキャンシステム。
【請求項2】
請求項1に記載するスキャンシステムにおいて,
前記読取手段は,前記権限が確立した後,原稿の読み取り開始の指令を待って原稿の読み取りを開始することを特徴とするスキャンシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載するスキャンシステムにおいて,
前記読取手段は,前記権限が確立された状態にある取得手段を管理するユーザであることを照合する照合機能を有し,原稿の読み取りを開始する前にユーザの照合を行うことを特徴とするスキャンシステム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載するスキャンシステムにおいて,
前記確立手段は,あるログインユーザによって権限が確立している場合に,他のログインユーザによる権限の確立を制限することを特徴とするスキャンシステム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載するスキャンシステムにおいて,
前記確立手段によって前記権限が確立されている状態であることを報知する報知手段を備えることを特徴とするスキャンシステム。
【請求項6】
請求項5に記載するスキャンシステムにおいて,
前記報知手段が報知する内容には,前記確立手段によって権限が確立された状態にある取得手段を管理するログインユーザの情報が含まれることを特徴とするスキャンシステム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載するスキャンシステムにおいて,
所定の条件を満たすことで前記確立手段によって確立された権限を解除すること特徴とするスキャンシステム。
【請求項8】
原稿を読み取り,読み取った画像を情報処理装置に転送する機能を有する画像読取装置において,
情報処理装置からのログインユーザごとの問い合わせに対し,原稿の読み取りを行う権限を確立する送信側確立手段と,
前記原稿を読み取る読取手段と,
前記読取手段によって読み取られた画像データを,前記権限が確立された状態である情報処理装置に転送する転送手段とを備え,
前記読取手段は,前記権限が確立した後,原稿の読み取り開始の指令を待って原稿の読み取りを開始することを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
複数のユーザアカウントをログオフすることなく切り替えて使用する機能を有する情報処理装置において,
原稿の読み取り機能を備えた画像読取装置に問い合わせ,原稿の読み取りを行う権限を確立する受信側確立手段と,
複数のログインユーザの各々の管理下にあり,前記受信側確立手段によって権限が確立された状態である場合に,前記画像読取装置が読み取った画像データを取得する取得手段とを備えることを特徴とする情報処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−55314(P2009−55314A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219799(P2007−219799)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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