説明

スクアラミンジラクテートの多形塩形態および無定形塩形態

本発明は、スクアラミン塩を選択すること、それらの合成の方法、それらの治療使用および製造に関するそれらの利点、生成物安定性ならびに毒性に関する。より詳細には、本出願は、スクアラミンのジラクテートの種々の形態、および神経血管形成および内皮細胞増殖を阻害することにおけるそれらの有用性に関する。本発明は特に、3β−(N−[3−アミノプロピル]−1,4−ブタンジアミン)−7α,24R−ジヒドロキシ−5α−コレスタン−24−サルフェートのジラクテート塩の無定形形態に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、その全体が本明細書によって参考として援用される米国仮出願第60/674,531号の利益を主張している。本出願は、米国特許出願第10/268,660号(2002年10月11日に出願)および米国特許第5,192,756号(1993年3月9日発行)、同第6,262,283号(2001年7月17日発行)および同第6,610,866号(2003年8月26日発行)に関係し、その各々は、その全体が参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の分野)
本発明は、スクアラミン塩を選択すること、それらの合成の方法、それらの治療使用および製造、産物安定性および毒性に関するそれらの利点に関する。より詳細には、本出願は、スクアラミンのジラクテート塩の種々の形態、および新血管形成および内皮細胞増殖を阻害することにおけるそれらの有用性に関する。
【0003】
(発明の背景)
いくつかのアミノステロール組成物が、コザメ(dogfish shark)、Squalus acanthiasの肝臓から単離されている。1つのこのようなアミノステロールは、スクアラミン(3β−(N−[3−アミノプロピル]−1,4−ブタンジアミン)−7α,24R−ジヒドロキシ−5α−コレスタン−24−サルフェート)であり、その化学的構造は図1に示される。C−24位に硫酸基を含むこのアミノステロールは、Zasloffらによる特許文献1の主題であり、これは、スクアラミンの抗生物質性質を記載している。その発見以来、しかし、スクアラミンのいくつかの興味深い性質が示されている。最も注目すべきは、それらの全体が参考として援用される特許文献2(1998年8月11日に発行された)および特許文献3(1998年2月24日に発行された)に記載されるように、スクアラミンは、内皮細胞の成長を阻害し得、そしてそれ故、抗血管形成薬剤として機能する。眼における新血管形成の処置のため、および癌の処置のための抗血管形成薬剤としてのスクアラミンの使用が、米国特許出願第09/985,417号(1998年11月24日に出願された)特許文献4(2000年11月14日に発行された)および特許文献5(2003年7月22日に発行された)に開示され、これらはまた、それらの全体が参考として援用される。
【0004】
スクアラミンを合成する方法は、例えば、特許文献6(2001年7月17日に発行された)、特許文献7(2003年8月26日に発行された)、特許文献8(1998年8月11日に発行された)および米国特許出願第10/268,660号に記載されている。これらの米国特許および特許出願は、それらの全体が参考として援用される。
【特許文献1】米国特許第5,192,756号明細書
【特許文献2】米国特許第5,792,653号明細書
【特許文献3】米国特許第5,721,226号明細書
【特許文献4】米国特許第6,147,060号明細書
【特許文献5】米国特許第6,596,712号明細書
【特許文献6】米国特許第6,262,283号明細書
【特許文献7】米国特許第6,610,866号明細書
【特許文献4】米国特許第5,792,635号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スクアラミンは、先に、内皮細胞の増殖を阻害することが報告され、そしてそれ故、血管形成インヒビターとして有用であることが見出されているけれども、患者に容易に投与され得る形態、特に、貯蔵の際の熱的安定性および最小の毒性を示す、治療的に活性で可溶性の塩の形態にあるスクアラミン、およびこれらの塩の製造のための経済的な方法に対する必要性がなお存在している。従って、これらの要求を満足し、そして血管形成を特異的に阻害するスクアラミンの塩の識別が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、内皮細胞増殖を阻害し、そしてそれ故、血管形成を調節するスクアラミンの種々の塩形態に関する。本発明はまた、これらの塩を含む組成物、および、例えば、哺乳動物、特にヒトにおける癌、腫瘍増殖、アテローム性動脈硬化症、加齢性黄斑変性、糖尿病性網膜症障害、黄斑浮腫および炎症性疾患のような血管形成依存性疾患を処置するためのそれらの使用の方法に関する。
【0007】
本発明の1つの局面は、スクアラミン(3β−(N−[3−アミノプロピル]−1,4−ブタンジアミン)−7α,24R−ジヒドロキシ−5α−コレスタン−24−サルフェート)のジラクテート塩の無定形形態または結晶形態である。
【0008】
本発明の1つの実施形態では、このジラクテート塩の結晶形態は、溶媒化合物として存在する。別の実施形態では、この結晶形態は、水和物として存在し、そしてさらなる実施形態では、このジラクテート塩は、溶媒化合物および水和物として存在する。
【0009】
本発明の別の局面は、そのような処置の必要な哺乳動物における癌を処置または予防する方法であり、この動物に治療的に有効な量の上記ジラクテート塩の無定形形態または結晶形態を投与する工程を包含する。
【0010】
本発明の別の局面は、そのような処置の必要な哺乳動物における新血管形成を処置または予防する方法であり、この動物に治療的に有効な量の上記ジラクテート塩の無定形形態または結晶形態を投与する工程を包含する。
【0011】
選択される実施形態では、この新血管形成は、眼におけるか、消化管におけるか、または心臓血管系における。
【0012】
好ましい実施形態では、この眼における新血管形成は、加齢性黄斑変性、糖尿病性網膜症障害、眼の腫瘍、網膜中心静脈閉塞、糖尿病性黄斑浮腫(DME)または病的近視から生じる。
【0013】
好ましい実施形態では、上記哺乳動物はヒトである。
【0014】
1つの実施形態では、上記治療的に有効な量は、約0.01〜約10mg/kg体重であり、そしてより好ましくは、約0.01〜約1mg/kg体重である。
【0015】
1つの実施形態では、上記ジラクテート塩の結晶形態は、主要回折角度を有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0016】
本発明の別の局面は、非結晶形態からスクアラミンジラクテートの結晶形態の調製のためのプロセスであり、少なくとも2つの溶媒を含む溶媒系中に非結晶スクアラミンジラクテートを溶解する工程、次いで、スクアラミンジラクテートがこの溶媒系から結晶するまで、この溶媒系を過飽和する工程を包含する。異なる実施形態では、過飽和は、この溶媒系を冷却すること、この溶媒系の容量を減少すること、少なくとも2つの溶媒の少なくとも1つの溶媒、またはその組み合わせのさらなる量を添加することによる。
【0017】
好ましい実施形態では、上記少なくとも2つの溶媒の少なくとも1つは、2−プロパノール、エタノール、水または2−ブタノールである。
【0018】
本発明の別の実施形態は、HPLC精製ステップの必要性をなくす製造プロセスの一部として結晶化スクアラミンジラクテートの産生のための新たな方法を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本明細書で用いられるとき、用語「無定形」は、はっきりした結晶構造を欠く化合物の形態をいう。
【0020】
本明細書で用いられるとき、用語「多形」は、化合物の結晶形態の1つ、または1つ以上の結晶形態を有する化合物をいう。
【0021】
本明細書で用いられるとき、用語「有機アルコール」は、1つ以上の結合した水酸基をもつ有機化合物をいう。
【0022】
本明細書で用いられるとき、用語「溶媒化合物」は、結晶構造の一部として溶媒分子を含むスクアラミンの結晶形態をいう。この場合、この溶媒は水ではない。
【0023】
本明細書で用いられるとき、用語「水和物」は、結晶構造の一部として水を含むスクアラミンの結晶形態をいう。
【0024】
本明細書で用いられるとき、用語「スクアラミン」は、化学名3β−(N−[3−アミノプロピル]−1,4−ブタンジアミン)−7α,24R−ジヒドロキシ−5α−コレスタン−24−サルフェートをもつ図1に示される化合物を含む。
【0025】
本明細書で用いられるとき、用語「アミノステロール」は、ステロイド核に直接または間接的に結合した少なくとも1つの水酸基および1つのアミノ基をもつ化合物をいう。
【0026】
本明細書で用いられるとき、用語「血管形成」は、新たな血管の形成をいい、そして血管形成剤は、この活性を促進する化合物である。
【0027】
本明細書で用いられるとき、用語「抗血管形成」は、新たな血管形成の予防、または新たに形成された血管の破壊をいい、そしてこれら性質の1つまたは両方を示す薬剤を含む。
【0028】
本明細書で用いられるとき、用語「新血管形成」は、異常組織(例えば、腫瘍組織におけるような)中、または異常位置(例えば、眼のいくつかの症状におけるような)中の新たな血管の形成をいう。
【0029】
本明細書で用いられるとき、用語「黄斑変性」は、すべての形態の黄斑変性を包含することが意図され、そして、特に初老期に生じ通常両眼に影響する中央視野の漸進的損失を含む。通常乾燥形態と称される、黄斑変性のゆっくり進行する形態は、黄斑中の黄色の堆積物の蓄積および黄斑の菲薄化によって特に特徴付けられる。通常湿潤形態と称される黄斑変性の急速に進行する形態は、黄斑の下に形成された新たな血管からの出血および流体漏失によって生成される瘢痕によって特徴付けられる。黄斑変性は、湿潤形態または乾燥形態のいずれかとして存在し得る。
【0030】
本明細書で用いられるとき、用語「糖尿病性網膜症障害」は、長期間糖尿病で生じる網膜変化を含み、そして網膜中の新たに形成された血管、微小動脈瘤からの斑点状の出血、および鋭く規定された蝋のような滲出液によって特徴付けられる。
【0031】
本明細書で用いられるとき、用語「治療的な有効な」量は、疾患の進行を全体的または部分的に阻害するか、または疾患の1つ以上の症状を少なくとも部分的に緩和する薬剤または2つ以上の薬剤の組み合わせの量である。治療的に有効な量はまた、予防的に有効である量であり得る。治療的に有効である量は、患者のサイズおよび性別、処置されるべき疾患、症状の重篤度および求められる結果に依存する。所定の患者について、治療的に有効な量は、当業者に公知の方法によって決定され得る。
【0032】
(一般)
スクアラミンは、抗血管形成性質および抗生物質性質を示すことが示され、そして動物中、好ましくは哺乳動物中、そしてより好ましくはヒトにおける、固形腫瘍成長および転移、アテローム性動脈硬化症、加齢性黄斑変性、糖尿病性網膜症障害、新血管形成緑内障、網膜虚血、黄斑浮腫、炎症性疾患などのような新たな血管の成長に関連する疾患の処置のために有用である。
【0033】
スクアラミンのスペルミジン側鎖中に存在する3つの塩基性窒素原子は、種々の酸で処理されるとき、塩を形成する。この側鎖中の1つの窒素原子は、C24でスルホン酸によって中和され、その一方、その他の2つの窒素原子はフリーであり、添加された酸と塩を形成する。このようなスクアラミンの塩は、制限されないで、ジヒドロクロライド、ジアセテート、ジトリフルオロアセテート、ジグルコネートおよびジラクテートを含む。種々のスクアラミンの塩のそれらの毒性および安定性に基づく比較は、ジラクテート塩が好ましい塩であることを示す。本発明の1つの実施形態は、スクアラミンの無定形ジラクテート塩に関する。以下に記載されるように、このジラクテート塩は、イオン交換クロマトグラフィー、ついで凍結乾燥により無定形形態、または異なるアルコール溶媒からの沈殿により種々の結晶形態で調製され得る。本発明の別の局面は、スクアラミンジラクテートの無定形形態および結晶形態の調製のための方法に関する。2−プロパノールから結晶化されたジラクテート塩の完全なX線構造が決定され、スクアラミン分子の不斉中心にある立体化学を3β、5α、7αおよび24Rとして決定した。
【0034】
本発明の別の実施形態は、スクアラミンジラクテートの種々の結晶形態に関する。1つの特定の実施形態は、2−プロパノールから沈殿されたスクアラミンジラクテートの結晶形態であり、これは、12.5、16.6および18.8度にある主要回折ピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。別の特定の実施形態は、エタノールから沈殿されたスクアラミンジラクテートの結晶形態に関し、これは、10.2、13.0および16.6度にある主要回折ピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。別の特定の形態は、2−ブタノールから沈殿された結晶に関し、これは、13.1、17.7および18.3度にある主要回折ピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。別の特定の形態は、エタノール−水から沈殿された結晶に関し、これは、12.6、15.7および18.8度にある主要回折ピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。スクアラミンジラクテートの結晶形態は、溶媒分子が結晶構造内に取り込まれる溶媒化合物として存在し得る。例として、溶媒がエタノールを含むとき、この結晶はエタノール分子を含み得る。別の実施形態では、この溶媒化合物は水を含み得、そして結晶は、結晶構造中に水を含む水和物であり得る。別の実施形態では、結晶は、溶媒化合物および水和物の両方であり得る。
【0035】
本発明の別の実施形態は、再結晶化されたスクアラミンジラクテートの生産のための新規な方法を含む。この新規な方法は、米国特許第6,262,283号に記載される方法を利用してヒドロキシ保護ケトステロール(例えば、保護基(PG)が−OC(O)−Phである場合化合物36)を生成し;これは、次に、アジドスペルミンと反応され、対応するイミンを生成し;次に、例えば、NaBHで還元し、保護および非保護7−アルコールの混合物としてアジドアミノステロールを生成し;次に、メタノール性水酸化カリウムでの直接処理、Raneyニッケルの存在下の水素添加が続き、粗製スクアラミンを生成する。HPLCによる精製およびイオン交換クロマトグラフィーによるジラクテート塩への変換よりはむしろ、粗製スクアラミンは、エタノール中に溶解され、そして2倍過剰の乳酸が添加される。結晶スクアラミンジラクテートは、次いで、水、そして必要に応じてスクアラミンジラクテートシード結晶の添加により溶液から沈殿される。最終精製は、次いで、好ましくは4%の水を含む水性エタノールから1回以上の再結晶化によって達成される。この新規プロセスは、より古い方法より良好な収率およびよりきれいな産物を生じ、そしてHPLC精製ステップをなくすことに起因してかなりのコスト節約を生じる。
【0036】
本発明のスクアラミン塩、そして特に任意のその形態にあるスクアラミンジラクテートは、単独または薬学的組成物の一部として投与され得る。本発明によるインビトロまたはインビボにおける使用のための薬学的組成物は、薬学的に用いられる得る調製物中への活性化合物のプロセッシングを容易にする賦形剤および補助剤を含む1つ以上の生理学的に受容可能なキャリアを用いて従来様式で処方され得る。適切な処方物は、選択される投与の経路に依存する。キャリアまたは賦形剤の例は、制限されないで、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、スターチ、セルロース誘導体、ゼラチンおよびポリエチレングリコールのようなポリマーを含む。
【0037】
本発明のスクアラミン塩のための薬学的キャリアの1つの例は、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマーおよび水相を含む共溶媒系である。この共溶媒系の比率は、上記組成物の溶解度および毒性特徴に有害に影響することなくかなり変動され得る。さらに、上記共溶媒構成要素の同一性はかなり変動され得;例えば、その他の低毒性の非極性界面活性剤がポリソルベート80の代わりに用いられ得;ポリエチレングリコールのフラクションサイズが変動され得;そして/またはその他の生体適合性ポリマーが、ポリエチレングリコールを置換し得、例えば、ポリビニルピロリドンおよび糖類または多糖類、例えばデキストロースがある。
【0038】
キャリアに加え、本発明の薬学的組成物はまた、必要に応じて安定化剤、保存剤および/またはアジュバントを含み得る。例えば、代表的なキャリア、安定化剤およびアジュバントは、当業者に公知であり、その全体が参考として援用されるRemington:The Science and Practice of Pharmacy、Lippincott、Williams&Wilkins(2000)を参照のこと。
【0039】
必要に応じて、当業者に公知のその他の治療が、本発明のスクアラミン塩の投与と組み合わされ得る。1つ以上のアミノステロールが、単一組成物中に存在し得る。
【0040】
本発明のスクアラミン塩のインビトロ投与は、処置の経過全体で、1用量、複数用量、連続的または周期的に行われ得る。用量は、単一または分割された毎日の用量で約0.01mg/kg〜約10mg/kg、好ましくは約0.01mg/kg〜約1mg/kg、そして最も好ましくは約0.1mg/kg〜約1mg/kgの範囲である。投与の最も有効な手段および投薬量を決定する方法は、当業者に周知であり、そして治療のために用いられる組成物、治療の目的、処置される標的細胞および処置される患者とともに変動する。単一または複数の投与は、処置する医師によって選択される用量レベルおよびパターンで実施され得る。
【0041】
本発明のスクアラミン塩を含む薬学的組成物は、経口、直腸、鼻内、局所(経皮、エアロゾル、眼、頬および舌下を含む)、非経口(皮下、筋肉内、静脈内を含む)、腹腔内および肺を含む任意の適切な経路によって投与され得る。好ましい経路は、受容体の状態および年齢、および処置される疾患とともに変動することが認識される。例えば、加齢性黄斑変性の処置には、例えば、投与の好ましい経路は、局所、皮下、筋肉内および/または静脈内である。
【0042】
経口投与には、本発明のスクアラミンの塩は、それらを、当該分野で周知の薬学的に受容可能な塩と組み合わせることにより容易に処方され得る。このようなキャリアは、本発明の化合物を、処置される患者による経口摂取のために、錠剤、ピル、糖衣丸、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁物などとして処方されることを可能にする。経口使用のための薬学的調製物は、上記活性化合物を、固形賦形剤とともに、所望であれば適切な補助剤を添加した後、必要に応じて得られる混合物を砕き、そして顆粒の混合物をプロセッシングして得られ得、錠剤または糖衣丸を得る。適切な賦形剤は、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖のような充填剤;トウモロコシスターチ、小麦スターチ、コメスターチ、ポテトスターチ、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロレースナトリウムおよびポリビニルピロリドン(PVP)のようなセルロース調製物を含む。所望であれば、崩壊剤が添加され得、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはアルギン酸ナトリウムのようなその塩がある。
【0043】
本発明のスクアラミン塩の局所投与のための薬学的組成物は、例えば、軟膏、クリーム、懸濁物、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾルまたはオイルのような従来の眼科学的に適合するビヒクル中に処方され得る。これらのビヒクルは、ベンザルコニウムクロライドのような適合性保存剤、ポリソルベート80のような界面活性剤、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびヒアルロン酸のようなリポソームまたはポリマーを含み得、これらは、粘度を増加するために用いられ得る。眼の疾患には、好ましい局所処方物は、本発明のアミノステロールの少なくとも1つを含む軟膏、ゲル、クリームまたは眼ドロップである。
【0044】
吸入法による投与には、本発明のスクアラミン塩は、適切な推進剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフロオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、二酸化炭素またはその他の適切なガスの使用とともに、圧力パックまたは噴霧器からエアロゾルスプレー提示の形態で便利に送達される。加圧エアロゾルの場合には、投薬量単位は、計測された量を送達するためのバルブを提供することによって決定され得る。吸入器または注入器における使用のための例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジが、上記化合物およびラクトースまたはスターチのような適切な粉末ベースの粉末混合物を含んで処方され得る。
【0045】
上記スクアラミン塩は、注入、例えば、ボーラス注入または連続注入による非経口投与のために処方され得る。注入のための処方物は、単位用量形態、例えば、アンプルで、または複数用量コンテナで、添加された保存剤とともに提示され得る。この組成物は、オイル状ビヒクルまたは水性ビヒクル中の懸濁物、溶液またはエマルジョンのような形態をとり得、そして緩衝物、静細菌剤、懸濁剤、安定化剤、厚肥剤、増粘剤またはそれらの混合物のような処方剤を含み得る。
【0046】
非経口投与のための薬学的処方物は、水溶性形態にある活性化合物の水溶液を含む。さらに、上記活性化合物の懸濁物は、オイル注入懸濁物として調製され得る。適切な脂肪親和性溶媒またはビヒクルは、ゴマ油のような脂肪酸、またはエチルオレエートまたはトリグリセリドまたはリポソームのような合成脂肪酸エステルを含む。水性注入懸濁物は、カルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランのような懸濁物の粘度を増加する物質を含み得る。必要に応じて、この懸濁物はまた、適切な安定化剤、または上記化合物の可溶性を増加する薬剤を含み得、高度に濃縮された溶液の調製を可能にする。好ましい実施形態では、本発明のスクアラミン塩は、非経口的に投与される前に、デキストロースのような5%糖溶液中に溶解される。
【0047】
注入には、本発明のスクアラミン塩は、水溶液中、好ましくは、Hanks溶液、Ringer溶液または生理食塩水緩衝液のような生理学的に適合可能な緩衝液中に処方され得る。経粘膜投与には、透過される障壁に適切な浸透剤が処方物中で用いられ得る。このような浸透剤は、一般に、当該技術分野で公知である。
【0048】
スクアラミン塩はまた、例えば、ココアバターまたはその他のグリセリドのような従来の坐剤ベースを含む、坐剤または保持浣腸剤のような直腸処方物に処方され得る。
【0049】
スクアラミン塩はまた、少なくとも1つのさらなる治療薬剤と組み合わされ得る。例示の薬剤は、例えば、抗癌剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗血管形成剤または眼における新血管形成の別の処置を含む。
【0050】
さらなる説明なくして、当業者は、先行する説明および以下の例示の実施例を用い、本発明の化合物を作製および利用し、そして請求項に記載の方法を実施すると考えられる。以下の実施例は、それ故、本発明の好ましい実施形態を詳細に指摘し、そしていかなる様式においても本開示の残りを制限すると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0051】
(実施例1−無定形スクアラミンジラクテートの調製)
粗製スクアラミンを、米国特許第6,262,283号、同第6,610,866号および米国特許出願第10/268,660号に記載の方法に従って調製した。この組成のスクアラミンは、水に溶かし、トリフルオロ酢酸(TFA)で酸性にし、そして次にC18YMC ODS−AQカラムまたは等価物、および二元溶媒系を用いる逆相HPLCによって精製した。このHPLCクロマトグラフィーは、薬物物質仕様に合致する産物のフラクションを集めるために実施された。純粋なスクアラミンTFA塩のフラクションを塩変換の前に濃縮した。
【0052】
スクアラミンTFAのスクアラミンジラテート塩への変換は、TFA塩のAmberchrom樹脂またはその等価物への吸着によって実施された。この樹脂を、次いで、水中の1%アセトニトリル、水中の重炭酸ナトリウムおよび1%アセトニトリル;そして最終的に水中に溶解された過剰のL−(+)乳酸で徹底的に洗浄した。スクアラミンのジラクテート塩は、水中のアセトニトリルの%の段階的増加で溶出された。スクアラミンジラクテートを含むフラクションをプールし、濃縮し、そして凍結乾燥した。乳酸およびスクアラミンの対する材料の分析は、スクアラミンのモルあたり2モルの乳酸の比を示した。凍結乾燥されたスクアラミンジラクテートの特徴付けは、以下に記載される。
【0053】
(X線回折粉末パターン)
凍結乾燥されたスクアラミンジラクテートのサンプルに対する粉末x線回折走査は、このサンプルをポリカーボネートフィルムで覆って4.0〜45.0゜(USP法<941>に従って2θ)で実施された。直接関係のあるデータは図2中に示され、そして以下の表に要約される。これらのデータは、少ないか、または部分的結晶性を示す2〜3のピークとともに無定形ハローを示す。
【0054】
【数1】

(熱重量分析)
熱重量分析は、USP<891>により、温度の関数として標本の重量の決定を含む。スクアラミンジラクテートのサンプルは、湿度制御されたグローブボックス中の窒素雰囲気中で調製された。分析は、TGA7/DXInstrument ControllerおよびPhris Software Version4.01を備えたPerkin Elemer TGA7を用いて終了した。窒素、NFを20mL/分の流速で用いた。サンプルは、より良好感度を生成するために10℃/分制御された速度で暖め、そしてより良好な解像度を獲得するために180℃の最終温度まで2℃/分で暖めた。2℃/分走査についての結果は、図3に示され、そしてデータは、以下の表に要約される。このデータは、2.32%の単一の重量損失および136.9℃の温度における分解の開始を示す。
【0055】
【数2】

(示差走査熱量測定法)
サンプルを、高温示差走査熱量測定によって、そして1分あたり2℃および10℃で稼動して分析した。1分あたり2℃の走査速度の間に獲得された熱移動がより正確であると考えられ、そしてこの結論において反映された算出である。列挙されるすべての事象は、そうでないことが注記されなければ、吸熱温度ピーク温度である。さらなる事象の例は、発熱事象を示す「Exo」または相遷移を示す「Tg」を含む。特定の走査について注目に値する熱事象の欠如は、「なし」によって示される。凍結乾燥されたスクアラミンジラクテートの分析の間に、発熱事象は、2℃/分における走査の間に52.7℃の開始温度で検出された。10℃/分における走査の間に62.0℃の温度で起こる相遷移(Tg)事象は、2℃/分で走査されるとき、対応する熱事象を有さなかった。相遷移は、構造を軟化および変化する乾燥材料の無定形部分の指標である。2つの吸熱事象は、2℃/分での走査の間にピーク温度127.7℃および157.7℃で観察された。凍結乾燥されたスクアラミンジラクテートに対する吸熱事象にともなう比熱における最大の変化は、10℃/分走査の間に166.51℃で観察された8.15J/gの比熱における変化であった。この吸熱事象にともなう比熱における変化は、その材料を溶融するために必要なエネルギーの量に相関される。この2℃/分の結果は、図4に示され、そして以下の表に要約される。
【0056】
【数3】

(実施例2−マウスにおけるMSI−1256(スクアラミン)の異なる塩形態(ジトリフルオロアセテート、ジラクテート、ジグルコース、ジアセテート)の5日の繰り返し静脈内注入の局所的刺激性の研究)
要約:スクアラミン(2.5mg/kg/日)の種々の塩形態の5日の繰り返し注入は、マウスの尾の腫脹、挫傷および過敏を引き起こした。スクアラミンジラクテートおよびスクアラミンジグルコネートでの処置は、スクアラミンジアセテートおよびスクアラミンジトリフロオロアセテートでの処置よりわずかにより良好に耐えられたが、腫脹、挫傷および過敏が、0.25mg/mL溶液を用いる2.5mg/kg/日の用量で繰り返し投与されたすべての注入されたスクアラミンの塩形態で観察された。
【0057】
目的:CD−1BR(登録商標)マウスの尾におけるスクアラミン塩形態の5日の反復用量の局所的刺激性を決定すること。
【0058】
材料および方法:(動物):48匹の雄CD−1(登録商標)BRマウス(Charles River Lab)。研究開始時の平均体重は20.6グラムであった。(収容環境):マウスを硬木チップ敷きわら、およびワイヤのふたを備えたプラスチックマウスボックス中の群(最大10匹/ボックス)として収容した。これら動物は、瓶およびリブ中の飼料(Purina Mouse Chow)および水に接近させた。これらボックスは、一過性にフィルターを通した部屋の空気を供給したアイソレーターラック中に収容した。これら動物を収容した部屋は、12時間オン/12時間オフの光サイクルにし、そして制御された温度(範囲:67〜76゜F)および湿度(範囲:40〜70%相対湿度)にした。
【0059】
試験物品:
スクアラミンジトリフルオロアセテート、69.7%活性成分
スクアラミンジアセテート、80.0%活性成分
スクアラミンジラクテート、76.0%活性成分
スクアラミンジグルコネート、55.5%活性成分
マガイニン−2−アミド、陽性コントロール
ビヒクル:水中の5%デキストロース(D5W)(BaxterI.V.バッグ、滅菌)
溶液調製物:スクアラミンジトリフルオロアセテート塩の0.36mg/mL(0.25mg/mLスクアラミンジトリフルオロアセテート活性成分に相当)溶液をD5W中に調製した。スクアラミンジアセテート塩の0.31mg/mL溶液(0.25mg/mLジアセテート活性成分に相当)をD5W中に調製した。スクアラミンジラクテート塩0.33mg/mL溶液(0.25mg/mLスクアラミンジラクテート活性成分に相当)をD5W中に調製した。スクアラミンジグルコネート塩の0.45mg/mL溶液(0.25mg/mLスクアラミンジグルコネート活性成分に相当)をD5W中に調製した。マガイニン−2−アミド(陽性コントロール)の1.0mg/mL溶液をD5W中に調製した。
【0060】
プロトコール:マウスをランダムに6つの群に割り当て(8マウス/群)、そしてD5Wまたはスクアラミン塩の溶液の毎日の静脈内(i.v.)注入を、5日間の間(研究日0、1、2、3、および4)尾静脈中に受けた。D5W、またはスクアラミン塩の0.25mg/mL溶液を用いる10mL/kg体重の注入用量は、D5W群(グループ1)のマウスについて0mg/kg/日の、そしてすべてのスクアラミン塩処置マウスについて2.5mg/kg/日の用量を生じた。8匹のマウスの1つのグループは、先に局所的尾刺激剤であると決定された、試験物品マガイニン−2−アミドを陽性コントロールとして受けた(10mg/kg/日;1mg/mL溶液の10mL/kg/日)。挫傷または腫脹(浮腫)の重篤度が、注入の省略を正当化する場合、試験物品で注入しなかった。生存をモニターし、そして臨床兆候をスクアラミンの投与の5日間毎日、そして最後の用量の4日後(研究8日)観察した。刺激性、浮腫、および腫脹の臨床兆候は、各注入の後、1、2、3、および4日、約24時間後に、そしてその日の注入の直前に現れた。マガイニン−2−アミドを除くすべての試験物品の溶液のpHは、研究日3にチェックされた。(この研究の全体で同じ溶液が用いられたので、すべての研究日で類似のpHであると仮定される。)
結果:尾静脈中にスクアラミンの種々の塩形態の繰り返された静脈内(i.v.)用量を投与された動物は、研究2日までに、刺激を受け、腫脹し(浮腫)そして/または挫傷をうけた尾を有した。挫傷を受け、そして浮腫のあるマウスの尾数、および挫傷および浮腫のの重篤度は、注入の回数に直接関連した。回復を評価するために、尾は、最後の注入の4日目である研究8日に観察された。8日では、グループ3および4におけるマウスの尾(それぞれ、ジラクテート塩形態およびおよびジグルコネート塩形態を受けた)は、わずかに刺激を受け、そして挫傷した。グループ5および6におけるマウスの尾(それぞれ、ジアセテート塩形態およびおよジトリフルオロアセテート塩形態を受けた)は、わずかに刺激を受け、そして挫傷した。グループ5において1匹のマウス(1/8)の尾は、壊死性であった。グループ6では、1匹(1/8)のマウスの尾は落ち、そして1匹(1/8)のマウスの尾はまた壊死性であった。グループ2(陽性コントロール)のマウスは、投与の間に尾中にわずかまたは中程度の浮腫を示し(1日、2日、3日および4日に1/8、3/8、5/8および5/8)、そして8日までに回復した。スクアラミン塩形態のすべての溶液のpHは約6であった。
【0061】
結論:スクアラミンのすべての塩形態の繰り返し注入は、マウス尾の腫脹(浮腫)、挫傷および刺激を引き起こした。臨床症状は、スクアラミンジラクテートおよびスクアラミンジクルコネートのでの処置は、スクアラミンジラクテートおよびスクアラミンジトリフルオロアセテートでの処置より良好に耐性であった。従って、スクアラミンジラクテート塩とスクアラミンジグルコネート塩の試験されたその他のスクアラミン塩の予期せぬ利点は、レシピエントにより、特に静脈内投与の部位で経験される、より少ない静脈刺激、すなわち、より少ない毒性である。
【0062】
(実施例3−スクアラミンの4つの塩形態の加速された安定性研究)
4週間継続する加速された安定性研究(温度に基づく)を、4つの異なる塩形態のスクアラミンについて実施した。これら4つの塩形態は:ジヒドロクロライド、ジアセテート、ジラクテートおよびD−ジグルコネートであった。これらサンプルを、40℃、60℃および80℃に置いた。以下の表は、総積分面積に基づく主要ピークスクアラミンの%純度の結果を要約する。この分析は、o−フタルジアルデヒド誘導体化サンプルの逆相HPLCを用いて実施された。
【0063】
【表1】

表1は、高められた温度で各塩形態が経時的にどのように分解されたのかを示す。この安定性研究の結果は、スクアラミンジラクテートが、特にジアセテート塩およびジグルコネート塩と比較して、漸増する重篤な条件下で驚くべきことに安定であることを示す。(実施例2に示されるような)その低い毒性と組み合わされたスクアラミンジラクテートのこの有利な安定性は、さらなる開発のためにスクアラミンジラクテート塩形態を選択することで重要な因子であった。
【0064】
(実施例4 2−プロパノールからの結晶スクアラミンジラクテートの調製)
無定形スクアラミンジラクテートの過飽和溶液は、過剰のスクアラミンジラクテートを、10mlの2−プロパノール+100μlの水の混合物中で加熱することによって生成された。この過剰のスクアラミンジラクテートは、濾過により除去され、そしてこの溶液を−20℃まで冷却した。白色の針状の沈殿が形成され、上澄液を除去し、そして固形分を減圧デシケーター中で乾燥した。得られる結晶材料は、室温で覆わないで1時間放置したとき重量が増加しなかったので非吸湿性であることが観察された。
【0065】
(単一結晶X線回折パターン決定)
X線研究に適切な単一結晶を、上記のような2−プロパノールおよび水の溶液から得た。0.025、0.10、および1.10mmの寸法をもつ最も大きい結晶を研究のために選択した。この結晶を、モリブデン照射およびCCD面積検出器を備えたNoinus Kappa CCD器具上に載せた。結晶を、液体窒素によって冷却された窒素流れを用いて173゜Kまで冷却した。予備測定は、θにおいて22゜を超えては非常に弱く、しかもこの結晶は、単斜晶系スペース群に属したことを示した。キラル異性体の鑑別を増大するために、低級結晶系(すなわち三斜晶系)でデータを集めることを決定した。このデータは、結晶を、結晶の回転の度あたり500秒間曝すことによって収集した。全部のデータ収集には、32時間を要した。このデータを処理し、回折パターンの最終強度を得、そしてすべての特有の測定は、Friedelの法則を適用することなく別個に維持された。
【0066】
空間群分析は、系統的不在はないことを示した。回折パターン分析は、上記結晶が非中心空間群およびb軸に沿った可能な2つの折り畳み対称に属することを示し、P2空間群に属し得ることを示唆した。これらすべては、キラル分子について予期されるものと一致し、これは、中心空間群に属することはなく、そしてミラーまたはグライド対称を有しない。強度分析は、このデータは、θのより高い角度で弱くなったことを示した。21〜22゜のθ範囲における平均強度は、平均バックグラウンドの丁度1.9倍であった。しかし、適切な絶対的配座(キラリティー)をもつ分子構造を提供するに十分に強かった。
【0067】
上記構造は、データ分析によって示唆された空間群P2における直接方法によつて容易に解釈された。示差Fourierに続く最小2乗法による構造の洗練は、溶媒分子の存在を示した。多くの水分子および1つの無秩序2−プロパノール分子が検出された。このら分子の占領は、洗練により確認され、もそして1つの水分子は、ほんの半分(50%)の占有を有することが見出された。すべての非水素原子は、異方性パラメーター(ADP)で洗練にされた。炭素に結合した水素原子、そして窒素原子は、算出された位置に含められた。水酸基および水分子については、示差Fourierで理にかなった原子が見出されたときのみ、それらは含められた。示差Fourierから理にかなった原子が位置されなかった無秩序2−プロパノール分子について、および酸素については、算出に含められなかった。上記の洗練は、6119の強度データおよび洗練された612のパラメーターを用いた。最終の残存因子(R因子)は、0.087であり、これは、この分子の構造を明瞭に証明する。
【0068】
カチオン性窒素およびビロキシ酸素におけるいくつかの極性(電子を欠く)水素がある。アニオン性中心にはいくつかの電子に富む酸素がまたある。これは、水素結合形成のネットワークに至る。また、多くの水分子がこの水素結合ネットワークに加わる。詳細は以下に記載される。
【0069】
【数4】

上記距離は、非水素原子間で与えられ、そして利用可能な場合、それを通じて結合が形成される水素が括弧に示される。スクアラミンジラクテートの結晶構造は図5に示される。
【0070】
単位セルは、水和形態の単一結晶Xデータから決定された。それは、P2対称、Z=2、および以下の寸法:a=19.3999Å、b=6.5443Å、c=20.9854Å、α=γ=90゜、β=92.182ÅおよびV=2662.3Åを備えた単斜晶系であった。
【0071】
(X線回折粉末パターン)
2−プロパノールから結晶化されたスクアラミンジラクテートのサンプルに対する粉末X線回折操作を、サンプルをポリカーボネートフィルムによって覆いながら、4.0〜45.0゜(USP方法<941>に従って2θ)で実施した。別個の結晶ピークからなる直接関係のあるデータは図6に示され、そして結晶材料を示す。
【0072】
【数5】

(熱重量分析)
熱重量分析は、USP<891>に従って温度の関数として標本の重量の決定を含む。サンプルは、湿度を制御したグローブボックス中窒素雰囲気下で調製された。分析は、TAC7/DX Instrument ControllerおよびPyris Software Version4.01を備えたPerkin Elemer TGA7を用いて行った。窒素、NFを、20mL/分の流速で用いた。サンプルを、10℃/分の制御された速度で暖めてより良好な感度を生成し、そしてより良好な解像を獲得するために2℃/分で最終温度180℃まで暖めた。この結晶化された材料は、2つの別個の揮発性重量損失事象を有していた。初期事象は、1.38%の重量損失を生じた。第2の事象は、1.54%の平均重量損失を生じ、ピーク事象は、2℃/分で試験されたとき103.6℃の温度で観察された。サンプルによって生じた総重量損失は2.92%であった。この2つの別個の重量損失事象は、水の結合形態がサンプルマトリックス内に存在したことを示唆する。最初の損失は、マトリックス表面に吸着された揮発性成分が追い払われることに起因する可能性が高い。第2の重量損失事象は、103.6℃のピーク温度で、結晶水和物である可能性が高かったサンプルマトリックスにともなう吸収された水の放出に起因して起こった。この特定温度におけるサンプルからの湿度の第2の別個の放出は、結晶材料の大部分の分解を示唆する。2℃/分走査についての結果は、図7に示され、そしてこのデータは、以下の表に要約される。
【0073】
【数6】

(鑑別走査熱量計)
サンプルを、高温鑑別走査熱量計によって分析し、そして2゜および10℃/分で稼動した。2℃/分の走査速度の間に獲得された熱遷移は、より正確であると考えられ、そして結論に反映された算出である。列挙されたすべての事象は、そうでないことが注記されなければ、吸熱ピーク温度である。さらなる事象の例は、発熱事象を示す「Exo」または相移行を示す「Tg」を含む。特定の走査に対して注目すべき熱事象の欠如は、「なし」によって示される。この結晶化材料について2℃/分におけるDSCによって特徴付けられた第1の熱事象は、73.6℃の温度で生じた吸熱事象であった。吸熱事象は、結晶化材料の最初の溶融に起因し得る。最も顕著な熱事象は、107.3℃の温度で起こったさらなる吸熱事象であった。この吸熱事象は、この特定の材料のTGA走査の間の103.6℃のピーク重量損失温度と一致する。3つのさらなる発熱事象が、温度126.6℃、157.3℃、および164.1℃で生じた。2℃/分走査の結果は、図8に示され、そして以下の表に要約される。
【0074】
【数7】

(実施例5−エタノールからの結晶スクアラミンジラクテートの調製)
無定形スクアラミンジラクテートの過飽和溶液は、10mlのエタノール+100μlの水の混合物中で過剰のスクアラミンジラクテートを90℃まで加熱することによって生成された。この過剰のスクアラミンジラクテートは、濾過により除き、そしてこの溶液を−20℃まで冷却した。白色の針状の沈殿物が形成され、上澄液を除き、そして固形分を減圧デシケーター中で乾燥した。
【0075】
(X線回折粉末パターン)
エタノールから結晶化されたスクアラミンジラクテートのサンプルに対する粉末X線回折操作を、サンプルをポリカーボネートフィルムによって覆いながら、4.0〜45.0゜(USP方法<941>に従って2θ)で実施した。別個の結晶ピークからなる直接関係のあるデータは図9に示され、そして以下の、そして結晶材料を示す表に要約される。
【0076】
【数8】

(熱重量分析)
熱重量分析は、USP<891>に従って温度の関数として標本の重量の決定を含む。サンプルは、湿度を制御したグローブボックス中窒素雰囲気下で調製された。分析は、TAC7/DX Instrument ControllerおよびPyris Software Version4.01を備えたPerkin Elemer TGA7を用いて行った。窒素、NFを、20mL/分の流速で用いた。サンプルを、10℃/分の制御された速度で暖めてより良好な感度を生成し、そしてより良好な解像を獲得するために2℃/分で最終温度180℃まで暖めた。このスクアラミンジラクテートは、2つの別個の揮発性重量損失事象を有していた。初期事象は、2.99%の重量損失を生じた。第2の事象は、1.49%の平均重量損失を生じ、ピーク事象は、2℃/分で試験されたとき106.7℃の温度で観察された。サンプルによって生じた総重量損失は4.48%であった。この2つの別個の重量損失事象は、水の結合形態がサンプルマトリックス内に存在したことを示唆する。最初の損失は、マトリックス表面に吸着された揮発性成分が追い払われることに起因する可能性が高い。第2の重量損失事象は、106.7℃のピーク温度で、結晶水和物である可能性が高かったサンプルマトリックスにともなう吸収された水の放出に起因して起こった。この特定温度におけるサンプルからの湿度の第2の別個の放出は、結晶材料の大部分の分解を示唆する。分解の開始に関する温度は、TGAを用いて同様に決定された。このサンプル材料についての分解温度までの平均の開始152.3℃であった。2℃/分走査についての結果は、図10に示され、そしてこのデータは、以下の表に要約される。
【0077】
【数9】

(鑑別走査熱量計)
サンプルを、高温鑑別走査熱量計によって分析し、そして2゜および10℃/分で稼動した。2℃/分の走査速度の間に獲得された熱遷移は、より正確であると考えられ、そして結論に反映された算出である。列挙されたすべての事象は、そうでないことが注記されなければ、吸熱ピーク温度である。さらなる事象の例は、発熱事象を含む「Exo」または相移行を示す「Tg」を含む。特定の走査に対して注目すべき熱事象の欠如は、「なし」によって示される。この結晶化材料について2℃/分におけるDSCによって特徴付けられた第1のそして最も重要な熱事象は、112.3℃の温度で生じた吸熱事象であった。吸熱事象は、結晶化材料の最初の溶融に起因し得る。この吸熱事象は、この特定の材料のTGA走査の間の106.7℃のピーク重量損失温度と一致する。2つのさらなる発熱事象が、温度144.7℃、および175.4℃で生じた。10℃/分の走査の間に141.1℃および151.6℃の温度で生じる吸熱事象は、2℃/分で走査されたとき対応する熱事象は有さなかった。この材料の走査の間に観察された熱事象は、結晶材料の溶融を示す。この材料の2℃/分の間に観察された最も顕著な吸熱事象は、112.4℃のピーク温度で生じ、比熱18.16J/gにおける変化を生じた。吸熱事象にともなう比熱における変化は、その材料を溶融するために必要なエネルギーの量に関係する。それ故、112.4℃の温度で生じるこの吸熱事象は、最も安定な結晶材料が存在することを提示すると考えられる。2℃/分走査の結果は、図11に示され、そして以下の表に要約される。
【0078】
【数10】

(実施例6−エタノールから沈殿された結晶スクアラミンジラクテートの安定性)
実施例5に記載されたように、無定形スクアラミンジラクテートおよびエタノールから再沈殿されたスクアラミンジラクテートのサンプルは、シンチレーションバイアル中に配置され、そしてオーブン中70℃で3日間加熱された。各加熱でストレスを与えられたサンプルの一部分を、次いで、ELSD検出を備えたHPLCによって分析し、そしてストレスのない材料のHPLC分析と比較した。HPLC分析の結果は以下の表に示される。
【0079】
【数11】

この結果は、無定形スクアラミンが熱でストレスを受けるとき、ラクチルアミド不純物の%が有意に増加するが、結晶化された材料では有意な増加はないことを示す。本発明者らは、それ故、スクアラミンジラクテートの再結晶化は、この材料の安定性を改善するための方法であると結論する。この改善された安定性は、結晶スクアラミンジラクテートおよびその種々の処方物の調製および貯蔵に有利である。
【0080】
(実施例7 2−ブタノールからの結晶スクアラミンジラクテートの調製)
無定形スクアラミンジラクテートの過飽和溶液は、10mlのブタノール+100μlの水の混合物中で過剰のスクアラミンジラクテートを90℃まで加熱することによって生成された。この過剰のスクアラミンジラクテートは、濾過により除き、そしてこの溶液を−20℃まで冷却した。白色の針状の沈殿物が形成され、上澄液を除き、そして固形分を減圧デシケーター中で乾燥した。
【0081】
(X線回折粉末パターン)
2−ブタノールから結晶化されたスクアラミンジラクテートのサンプルに対する粉末X線回折操作を、サンプルをポリカーボネートフィルムによって覆いながら、4.0〜45.0゜(USP方法<941>に従って2θ)で実施した。別個の結晶ピークからなる直接関係のあるデータは図12に示され、そして以下の、そして結晶材料を示す表に要約される。
【0082】
【数12】

(熱重量分析)
熱重量分析は、USP<891>に従って温度の関数として標本の重量の決定を含む。サンプルは、湿度を制御したグローブボックス中窒素雰囲気下で調製された。分析は、TAC7/DX Instrument ControllerおよびPyris Software Version4.01を備えたPerkin Elemer TGA7を用いて行った。窒素、NFを、20mL/分の流速で用いた。サンプルを、10℃/分の制御された速度で暖めてより良好な感度を生成し、そしてより良好な解像を獲得するために2℃/分で最終温度180℃まで暖めた。このスクアラミンジラクテートは、2つの別個の揮発性重量損失事象を有していた。初期事象は、2.69%の重量損失を生じた。第2の事象は、3.34%の平均重量損失を生じ、ピーク事象は、2℃/分で試験されたとき101.8℃の温度で観察された。サンプルによって生じた総重量損失は6.03%であった。この2つの別個の重量損失事象は、水の結合形態がサンプルマトリックス内に存在したことを示唆する。最初の損失は、マトリックス表面に吸着された揮発性成分が追い払われることに起因する可能性が高い。第2の重量損失事象は、101.8℃のピーク温度で、結晶水和物である可能性が高かったサンプルマトリックスにともなう吸収された水の放出に起因して起こった。この特定温度におけるサンプルからの湿度の第2の別個の放出は、結晶材料の大部分の分解を示唆する。分解の開始に関する温度は、TGAを用いて同様に決定された。このサンプル材料についての分解温度までの平均の開始145.0℃であった。2℃/分走査についての結果は、図13に示され、そしてこのデータは、以下の表に要約される。
【0083】
【数13】

(鑑別走査熱量計)
サンプルを、高温鑑別走査熱量計によって分析し、そして2゜および10℃/分で稼動した。2℃/分の走査速度の間に獲得された熱遷移は、より正確であると考えられ、そして結論に反映された算出である。列挙されたすべての事象は、そうでないことが注記されなければ、吸熱ピーク温度である。さらなる事象の例は、発熱事象を含む「Exo」または相移行を示す「Tg」を含む。特定の走査に対して注目すべき熱事象の欠如は、「なし」によって示される。この材料について2℃/分におけるDSCによって特徴付けられた第1の熱事象は、45.7℃の温度で生じたガラス転移(Tg)事象であった。ガラス転移事象は、しばしば、ある量の無定形材料に起因し得る。吸熱事象は、100.2℃の温度で検出され、19.99J/gの比熱における変化を生じた。吸熱事象は、結晶化材料の初期溶融に起因する。吸熱事象にともなう比熱における変化は、その材料を溶融するために必要なエネルギーの量に関連する。この吸熱事象は、この特定の材料のTGA走査の間の101.8℃のピーク重量損失温度と一致する。それ故、この100.2℃の温度で生じるこの吸熱事象は、最も安定な結晶材料が存在することを提示すると考えられる。2つのさらなる発熱事象が、146.2℃および177.1℃の温度で検出された。10℃/分走査の間の153.8℃の温度で生じる吸熱事象は、2℃/分で走査されるとき対応する熱事象を有さなかった。2℃/分走査の結果は、図14に示され、そして以下の表に要約される。
【0084】
【数14】

(実施例8−結晶スクアラミンジラクテートの製造のための改良された方法)
化合物36を、米国特許第6,262,283号および同第6,610,866号ならびに米国特許出願第10/268,660号に記載の方法に従って調製した。約490.0グラム(2.0モル)のアジドスペルミジンジヒドロクロライドを周囲温度で22.5Lのピリジン中に溶解した。約8.0L(4.0モル)のメトキシドナトリウム−メタノール溶液の0.5M溶液を添加し、そしてこの混合物を約0.5時間攪拌した。約641.0グラム(1.0モル)の化合物36を添加し、そしてこの反応混合物をさらに2時間の間攪拌した。この反応混合物を減圧下で濃縮乾燥して(最大43℃/171mbar)水を除き、約11.28Lのピリミジンを添加し、そしてこの溶媒を、再び減圧下で蒸留して除いた(最大43℃/171mbar)。約22.5Lのメタノールを添加し、そして得られる懸濁物を約−75℃未満まで冷却した。約114グラム(3.0モル)の水素化ホウ素ナトリウムを添加し、そしてこの反応混合物を約−75℃未満で、化合物36がHPLCによって分析されるときに変換されるまで攪拌した。この混合物を約15〜約25℃まで加熱し、そして次に2.7Lの蒸留水をこの溶液に添加した。この溶液を減圧下で、65℃未満の温度で約26.8Lの最終容量まで濃縮した。約13.4Lの2−ブタノールを添加し、そしてこの混合物を攪拌し、その後層に分離させた。下層の水相は、このバッチの終わりに除去して捨てた。(もし分離しない場合、この混合物にMTBEを加え(5Lまで)層の分離を補助した。)有機相を2.7Lの蒸留水で洗浄し、水相を17.2Lの2−ブタノールで逆洗し、そしてこれら2つの2−ブタノール相を合わせた。この有機部分である粗製の化合物40を、減圧下で乾燥するまで濃縮し、さらなる精製なくしてスクアラミンの調製のために用いた。約796.18グラム(1.0モル)の粗製化合物40を5.7Lのメタノールに溶解し、そして約280グラム(5.0モル)の水酸化カリウムを添加した。この反応混合物を還流(約64℃)で、すべての化合物40が消費されるまで加熱した。約198グラムのRaneyニッケル触媒を添加し、そしてこの反応混合物を、化合物38が、TLCによって分析されたとき、消費されるまで2〜3barの水素圧力の下15〜25℃の温度で水素化された。この反応混合物を、濾過助剤としてのCelite545を用いて濾過し、触媒を除去した。濾過ケーキは、800mLのメタノールで2回洗浄され、そして合わせた濾液および洗浄液は、約60℃未満の温度で減圧下6.7Lの容量まで濃縮された。約18.8Lの2−ブタノールをこの濃縮された溶液に添加し、そしてこの溶液を約60℃未満で約5.36Lまで減圧下で濃縮した。約13.4Lのメチルt−ブチルエーテルを添加し、そしてこの溶液を約−5℃未満まで冷却した。沈殿した産物を集め、濾過ケーキを1.3Lのメチルt−ブチルエーテルで2回洗浄し、そして産物を減圧下約25〜35℃で乾燥した。合計490グラムの粗製スクアラミンを得、75.5%の収率を示した。粗製スクアラミンのためのこの合成スキームを図15中に示す。
【0085】
再結晶化:約650グラム(1.0モル)の粗製スクアラミンを、110.5Lのエタノール中に混合し、濁った溶液を形成した。この溶液をフィルター助剤で被覆したフィルターを通じて濾過し、そしてフィルターケーキを650mlのエタノールで洗浄した。約494mlの水および約360.3グラム(4.0モル)のL−(+)乳酸を攪拌しながら濾過溶液に添加した。得られる溶液は、0.22μmフィルターを通じて濾過し、そして容器およびフィルターを650mlのエタノールで洗浄した。濾液を攪拌することなく少なくとも12時間の間約0〜5℃まで冷却し、そして次に約100mgの再結晶化スクアラミンジラクテートのシード結晶を添加した。この溶液は、攪拌することなく少なくとも48時間以上約0〜約5℃に維持し、そして次に得られる沈殿物を約5℃未満で攪拌し、均一な懸濁物を形成した。これら固形分を集め、そしてフィルターケーキを650mlの冷(0〜5℃)エタノールで洗浄した。産物を減圧下約40℃(±2℃)で乾燥し、合計614g(76.0%収率)の結晶化スクアラミンジラクテートを得た。粗製スクアラミンジラクテートのこの合成スキームは図16に示される。
【0086】
約1kgの結晶化または再結晶化スクアラミンジラクテートを18Lのエノタールおよび760mlの水と組み合わせた。この懸濁物を攪拌しながら約40〜50℃まで加熱して溶液を形成し、そして次に0.22μmフィルターを通じて濾過した。容器およびフィルターを1Lのエタノールで洗浄し、そして全部の濾液を少なくとも約12時間の間20℃(±2℃)に冷却した。約100mgの再結晶化スクアラミンジラクテートのシード結晶を添加し、この溶液を攪拌することなく少なくとも48時間以上約20℃(±2℃)で維持した。得られる沈殿物を攪拌して均一な懸濁物を形成し、そして固形分を集めた。フィルターケーキを1.0Lの冷(0〜5℃)エタノールで洗浄し、そして産物を減圧下約40℃(±2℃)で乾燥し、合計900グラム(90.0%収率)の再結晶化スクアラミンジラクテートを得た。
【0087】
このプロセスによって産生された結晶スクアラミンジラクテートの分析は、以下の表中に示される。
【0088】
【数15】

上記の実施例1に記載のように決定されたX線回折粉末パターンは、図17に示され、そして主要ピークの強度は、以下の表に示される。
【0089】
【数16】

この粉末パターンは、たとえ、スクアラミンジラクテートが、実施例5におけるように、エタノール/水から再結晶化されたとしても、異なる多形形態が生成されたことを示す(図9および17を比較のこと)。これは、実施例5では1%の水であるのに対しこの製造プロセスでは4%水の使用、およびこの材料は−20℃の代わりに20℃で結晶化された事実に起因するようである。この製造プロセスからの再結晶化された材料は一水和物であるKarl Fisher滴定からもまた明らかである。この新規な製造プロセスまた、米国特許第6,262,283号に記載されるプロセスより良好な収率およびより純粋な産物を生じる。
【0090】
本発明を、種々の材料、手順および実施例を参照して本明細書中に記載し、そして説明したが、本発明が、その目的のために選択された材料および手順の特定の組み合わせに制限されないことが理解される。このような詳細の多くの改変例が、当業者によって認識されるように包含される。本出願の全体で引用されるすべての特許、特許出願、およびその他の参考文献は、それらの全体が参考として本明細書中に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1は、スクアラミンの構造を示す。
【図2】図2は、凍結乾燥スクアラミンジラクテートのx線回折粉末パターンを示す。
【図3】図3は、凍結乾燥スクアラミンジラクテートの熱重量走査を示す。
【図4】図4は、凍結乾燥スクアラミンジラクテートの示差走査熱量計プロフィールを示す。
【図5】図5は、2−プロパノールからのスクアラミンジラクテートの結晶構造を示す。
【図6】図6は、2−プロパノールから結晶化されたスクアラミンジラクテートのx線回折粉末パターンを示す。
【図7】図7は、2−プロパノールから結晶化されたスクアラミンジラクテートの熱重量走査を示す。
【図8】図8は、2−プロパノールから結晶化されたスクアラミンジラクテートの示差走査熱量計プロフィールを示す。
【図9】図9は、エタノールから結晶化されたスクアラミンジラクテートのx線回折粉末パターンを示す。
【図10】図10は、エタノールから結晶化されたスクアラミンジラクテートの熱重量走査を示す。
【図11】図11は、エタノールから結晶化されたスクアラミンジラクテートの示差走査熱量計プロフィールを示す。
【図12】図12は、2−ブタノールから結晶化されたスクアラミンジラクテートのx線回折粉末パターンを示す。
【図13】図13は、2−ブタノールから結晶化されたスクアラミンジラクテートの熱重量走査を示す。
【図14】図14は、2−ブタノールから結晶化されたスクアラミンジラクテートの示差走査熱量計プロフィールを示す。
【図15】図15は、スクアラミンの生産のための新規な方法を描写するスキームである。
【図16】図16は、スクアラミンジラクテートの生産のための新規な方法を描写するスキームである。
【図17】図17は、スクアラミンジラクテートの新たに記載された合成によって生産された再結晶化スクアラミンジラクテートのx線回折粉末パターンを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3β−(N−[3−アミノプロピル]−1,4−ブタンジアミン)−7α,24R−ジヒドロキシ−5α−コレスタン−24−サルフェートのジラクテート塩の無定形形態。
【請求項2】
処置の必要な哺乳動物において癌を処置または防ぐ方法であって、
該哺乳動物に治療的な有効な量の請求項1に記載のジラクテート塩の無定形形態を投与する工程、を包含する、方法。
【請求項3】
処置の必要な哺乳動物において新血管形成を処置または防ぐ方法であって、
該哺乳動物に治療的な有効な量の請求項1に記載のジラクテート塩の無定形形態を投与する工程、を包含する、方法。
【請求項4】
前記新血管形成が、眼の中にある、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記新血管形成が、消化管の中にある、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記新血管形成が、心臓血管系の中にある、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記眼の中にある新血管形成が、加齢性黄斑変性から生じる、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記眼の中にある新血管形成が、糖尿病性網膜症障害から生じる、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記眼の中にある新血管形成が、眼の腫瘍から生じる、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記眼の中にある新血管形成が、中央網膜静脈閉塞から生じる、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記眼の中にある新血管形成が、黄斑浮腫(DME)から生じる、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記眼の中にある新血管形成が、病的近視から生じる、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項14】
前記治療的に有効な量が、約0.01〜約10mg/kg体重である、請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項15】
前記治療的に有効な量が、約0.01〜約1mg/kg体重である、請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項16】
前記3β−(N−[3−アミノプロピル]−1,4−ブタンジアミン)−7α,24R−ジヒドロキシ−5α−コレスタン−24−サルフェートのジラクテート塩の結晶形態。
【請求項17】
前記塩が、溶媒化合物として存在する、請求項16に記載のジラクテート塩の結晶形態。
【請求項18】
前記塩が、水和物として存在する、請求項16に記載のジラクテート塩の結晶形態。
【請求項19】
前記塩が、溶媒化合物および水和物として存在する、請求項16に記載のジラクテート塩の結晶形態。
【請求項20】
前記塩のX線粉末回折が、12.5゜、16.6゜および18.8゜の主要回折角度を有する、請求項16に記載のジラクテート塩の結晶形態。
【請求項21】
前記塩のX線粉末回折が、10.2゜、13.0゜および16.6゜の主要回折角度を有する、請求項16に記載のジラクテート塩の結晶形態。
【請求項22】
前記塩のX線粉末回折が、13.1゜、17.7゜および18.3゜の主要回折角度を有する、請求項16に記載のジラクテート塩の結晶形態。
【請求項23】
前記塩のX線粉末回折が、12.6゜、15.7゜および18.8゜の主要回折角度を有する、請求項16に記載のジラクテート塩の結晶形態。
【請求項24】
スクアラミンジラクテートの非結晶形態から結晶形態を調製するプロセスであって、
非結晶スクアラミンジラクテートを、少なくとも2つの溶媒を含む溶媒系に溶解する工程、次いで、
該溶媒系を、該スクアラミンジラクテートが該溶媒系から結晶化するまで過飽和する工程、を包含する、プロセス。
【請求項25】
前記過飽和が、該溶媒系を冷却すること、該溶媒系の容量を減少すること、前記少なくとも2つの溶媒の少なくとも1つ溶媒のさらなる量を添加すること、またはそれらの組み合わせによって行われる、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
前記少なくとも2つの溶媒の少なくとも1つ溶媒が、2−プロパノール、エタノール、水または2−ブタノールである、請求項24または請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
処置の必要な哺乳動物において癌を処置または予防する方法であって、
該動物に、治療的に有効な量の請求項16、17、18、19、20、21、22または23のいずれか1項に記載のジラクテート塩の結晶形態を投与する工程を包含する、方法。
【請求項28】
処置の必要な哺乳動物において新血管形成を処置または予防する方法であって、
該動物に、治療的に有効な量の請求項16、17、18、19、20、21、22または23のいずれか1項に記載のジラクテート塩の結晶形態を投与する工程を包含する、方法。
【請求項29】
前記新血管形成が、眼の中にある、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記新血管形成が、消化管の中にある、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記新血管形成が、心臓血管系の中にある、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記眼の中にある新血管形成が、加齢性黄斑変性から生じる、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記眼の中にある新血管形成が、眼の腫瘍から生じる、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記眼の中にある新血管形成が、糖尿病性網膜症障害から生じる、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記眼の中にある新血管形成が、中央網膜静脈閉塞から生じる、請求項4に記載の方法。
【請求項36】
前記眼の中にある新血管形成が、黄斑浮腫(DME)から生じる、請求項4に記載の方法。
【請求項37】
前記眼の中にある新血管形成が、病的近視から生じる、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項27または請求項28に記載の方法。
【請求項39】
スクアラミンジラクテートの調製のためのプロセスであって:
式1の保護されたケトステロールをアジドスペルミジンで処理し、式2の対応するイミン中間体を提供する工程;
該イミン中間体を式3の対応するアジドアミノステロールに還元する工程であって、ここで、7−ヒドロキシ部分が保護されるかまたは保護されない形態であり得る工程;
該アジドアミノステロールをスクアラミンに水素添加する工程;および
該スクアラミンを乳酸で処理し、式4のスクアラミンジラクテートを提供する工程、を包含する、プロセス。
【請求項40】
前記式1の保護基(PG)が、−O−C(O)−Phである、請求項39に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2008−539243(P2008−539243A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509005(P2008−509005)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/015468
【国際公開番号】WO2006/116309
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(501097189)ジェネーラ・コーポレーション (9)
【Fターム(参考)】