説明

スクイズ容器用キャップ

【課題】容器本体をスクイズする前の内容液の漏出や液垂れを効果的に回避できると共に、容器本体をスクイズしてから内容液が吐出されるまでの時間や、トラップルームに残留した内容液を回収する時間を短縮できるスクイズ容器用キャップを提供する。
【解決手段】スクイズ変形可能な容器本体12の口首部12aに取り付けて用いられて、注出ノズル19の先端の吐出口13aから内容液を吐出させるスクイズ容器用キャップ10であって、注出ノズル19が立設する天面部10aの下面側に、中空の有底筒体15による液溜め用のトラップルーム14が設けられている。有底筒体15の底部15aに、容器本体12とトラップルーム14との間の内容液の流入流出口17が開口形成されており、有底筒体15の底部15aには、注出ノズル19への注出口16の直下部分を含む領域において底面15bよりも高くなった上げ底部18が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクイズ容器用キャップに関し、特に、スクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体の口首部に取り付けて用いられるスクイズ容器用キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
スクイズ容器は、容器本体の胴部を手で把持してスクイズ(圧搾)することで容器本体を変形させて、内容液をノズルの先端の吐出口から吐出箇所に向けて所定量吐出させるものである。スクイズ容器は、通常、内容液の補充や交換ができるように、スクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体の口首部に、注出ノズルを有するキャップを着脱可能に取り付けて用いる場合が多い。このようなスクイズ容器では、例えば注出ノズルの先端の吐出口を覆う外蓋を取り外した後に、把持したスクイズ容器を傾倒又は倒立させて吐出口を吐出箇所に向けた状態で、容器本体をスクイズすることにより、内容液を所定量吐出させる。
【0003】
このようなスクイズ容器は、スクイズした状態を開放すると、容器本体の変形が元に戻って内部が負圧になる、いわゆるバックサクション効果によって液が吸引されることにより、注出ノズルの先端の吐出口周囲に残った内容液を容器本体の内部に引き戻すことができる。
【0004】
一方、スクイズ容器は、容器本体の胴部を把持して傾倒又は倒立させると、容器本体の内圧や内容液の自重によって、容器本体をスクイズしなくても、内容液が注出ノズルの先端の吐出口から漏出したり液垂れしたりする場合がある。このような予期しない内容液の漏出や液垂れは、スクイズ容器の外観の汚れや使用時の手の汚れ等の要因になることから、注出ノズルが立設するキャップの天面部の下面側に、中空の有底筒体による液溜め用のトラップルームを設けることで、内容液の漏出や液垂れを防止する技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−226377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、キャップの天面部の下面側に設けられた有底筒体の周壁部の上端寄り位置に、内容液の注出時にトラップルーム内に内容液を流入させるための液流入穴が、周方向に間隔をおいて複数開口形成されており、周壁部の下端寄り位置には、トラップルーム内に残留した内容液を容器本体へ戻すための小径の液戻し穴が、一箇所に開口形成されている。また、キャップの天面部から立設する注出ノズルは、天面部の下面側にも突出していて、この突出部分の下端面が注出口として開口しており、液流入穴の形成位置は、容器の正立状態でこの突出部分の下端面の注出口よりも上側に位置するように設定されている。
【0007】
そして、特許文献1では、スクイズ容器の使用時に、これを逆さまに倒立させた状態で把持して容器本体を押圧することで、内容液は、液流入穴を介してトラップルームに流入すると共に、流入した内容液は、倒立した注出ノズルの突出部分の下端面の注出口を超えて溜まることで、始めて注出口から注出ノズルを経てこれの先端の吐出口から吐出されることになる。これによって、容器本体をスクイズする前の内容液の漏出や液垂れを、効果的に回避することが可能になる。
【0008】
また、特許文献1では、内容液の注出後、スクイズ容器を正立状態に復帰させると、トラップルームに残留した内容液は、有底筒体の周壁部の下端寄り位置に形成された小径の液戻し穴から容器本体の内部へと戻される。
【0009】
しかしながら、特許文献1のスクイズ容器に取り付けて用いられるキャップは、トラップルームの存在によって、容器本体をスクイズする前の、予期しない内容液の漏出や液垂れを効果的に回避できる一方で、トラップルームは相当の大きさの中空部となっているため、例えば容器本体をスクイズした後に内容液が注出ノズルの吐出口から吐出されるまでの時間がかかり過ぎたり、トラップルームに残留した内容液が容器本体に回収されるまでの時間がかかり過ぎたりするといった、種々の使い難さを生じることになる。
【0010】
特に、スクイズ容器を逆さまに倒立させた状態とすることなく、傾倒させたままの状態で容器本体をスクイズして使用する場合には、トラップルームの内部に内容液が流入し難くなって、内容液が吐出されるまでの時間がさらに増大することになる。
【0011】
本発明は、相当の大きさの中空部であるトラップルームを有効利用して容器本体をスクイズする前の内容液の漏出や液垂れを効果的に回避できると共に、容器本体をスクイズしてから内容液が吐出されるまでの時間や、トラップルームに残留した内容液が容器本体に回収される時間を短縮して、使い易さを向上させることのできるスクイズ容器用キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、スクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体の口首部に取り付けて用いられ、該容器本体の胴部のスクイズ変形により注出ノズルの先端の吐出口から内容液を吐出させるスクイズ容器用キャップであって、当該キャップの前記注出ノズルが立設する天面部の下面側に、中空の有底筒体による液溜め用のトラップルームが設けられており、前記有底筒体の底部に、前記容器本体と前記トラップルームとの間の内容液の流入口及び流出口を兼ねる流入流出口が開口形成されており、前記有底筒体の底部には、前記注出ノズルへの注出口の直下部分を含む領域において底面よりも高くなった上げ底部が形成されているスクイズ容器用キャップを提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のスクイズ容器用キャップによれば、相当の大きさの中空部であるトラップルームを有効利用して容器本体をスクイズする前の内容液の漏出や液垂れを効果的に回避できると共に、容器本体をスクイズしてから内容液が吐出されるまでの時間や、トラップルームに残留した内容液が容器本体に回収される時間を短縮して、使い易さを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の好ましい第1実施形態に係るスクイズ容器用キャップを取り付けたスクイズ容器の断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るスクイズ容器用キャップを構成する有底筒体の(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図3】容器本体をスクイズすることで、トラップルームを介して注出口から注出ノズルへ内容液を注出させる状況を説明するスクイズ容器用キャップの略示断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るスクイズ容器用キャップを構成する有底筒体の(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るスクイズ容器用キャップを構成する有底筒体の(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図6】図5の有底筒体によるトラップルームを介して注出口から注出ノズルへ内容液を注出させる状況を説明するスクイズ容器用キャップの略示断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係るスクイズ容器用キャップを構成する有底筒体の(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係るスクイズ容器用キャップを構成する有底筒体の(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図9】他の形態の有底筒体を例示する(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図10】他の形態の有底筒体を例示する(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図11】他の形態の有底筒体を例示する(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図12】他の形態の有底筒体を例示する(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図13】他の形態の有底筒体を例示する(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図14】他の形態の有底筒体を例示する(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の好ましい第1実施形態に係るスクイズ容器用キャップ10を取り付けたスクイズ容器11の断面図である。図1に示すように、スクイズ容器用キャップ10は、スクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体12の口首部12aに取り付けて用いられる。スクイズ容器用キャップ10は、先端に吐出口13aが開口形成された注出ノズル19を有しており、使用者が容器本体12の胴部12bを把持してスクイズ容器11を傾倒又は倒立させることで注出ノズル19の先端の吐出口13aを吐出箇所に向けた後に、容器本体12の胴部12bをスクイズ(圧搾)し容器本体12を変形させることにより、内容液を胴部12bからスクイズ容器用キャップ10の注出ノズル19に送り出して、吐出口13aから所定量吐出させることができる。また、スクイズ容器用キャップ10は、天面部10aの下面側に液溜め用のトラップルーム14を備えることで、注出ノズル19の吐出口13aを吐出箇所に向けた後、容器本体12の胴部12bをスクイズするまでの間に、内容液が容器本体12の内圧や内容液の自重によって吐出口13aから漏出したり液垂れしたりするのを回避できる機能を備える。さらに、スクイズ容器用キャップ10は、胴部12bをスクイズした際には、内容液をスムーズに吐出させる機能を備えると共に、トラップルーム14に残留した内容液を容器本体12にスムーズに回収させる機能を備える。
【0016】
すなわち、本第1実施形態に係るスクイズ容器用キャップ10は、スクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体12の口首部12aに取り付けて用いられ、容器本体12の胴部12bのスクイズ変形により注出ノズル19の先端の吐出口13aから内容液を吐出させるキャップである。スクイズ容器用キャップ10には、当該キャップ10の注出ノズル19が立設する天面部10aの下面側に、中空の有底筒体15による液溜め用のトラップルーム14が設けられている。また、有底筒体15の底部15aに、容器本体12とトラップルーム14との間の内容液の流入口及び流出口を兼ねる流入流出口17が開口形成されており、有底筒体15の底部15aには、図2(a),(b)にも示すように、注出ノズル19への注出口16の直下部分を含む領域において底面15cよりも高くなった上げ底部18が形成されている。
【0017】
また、本第1実施形態のスクイズ容器用キャップ10では、注出ノズル19への注出口16は、天面部10aの中央部分に開口形成されており(図1参照)、上げ底部18は、この天面部10aの中央部分の直下部分を通って直径方向に帯状に延設する段部として形成されている(図2(b)参照)。
【0018】
さらに、本第1実施形態のスクイズ容器用キャップ10では、図1に示すように、注出ノズル19への注出口16が、天面部10aの下面側に突出する注出ノズル19の内側突出部分19aの下端開口として開口しており、流入流出口17は、底部15aにおける上げ底部18を挟んだ両側の底面15cに各々開口形成されている。
【0019】
本発明の容器本体12に収容可能な内容液としては、計量して使用する液状組成物が含まれ、例えば衣料用液体洗浄剤、柔軟剤、漂白剤、液体入浴剤等が挙げられる。また、食油、調味料等の液状の食品であっても良い。
【0020】
本第1実施形態では、容器本体12は、スクイズ変形可能な可撓性を有するボトル形状のプラスチック容器であって、図1に示すように、内容液が収容される胴部12bと、胴部12bの上端部から上方に突出して形成された、上端が開口面となった口首部12aとからなる。口首部12aには、スクイズ容器用キャップ10が、公知の各種の螺合手段や嵌合手段を介して着脱可能に装着される。また、容器本体12は、公知の各種の合成樹脂を用いて、例えばブロー成形によって容易に形成することができる。
【0021】
スクイズ容器用キャップ10は、例えばプラスチック製の成形品であって、円形の天面部10aと、天面部10aの周縁部分から一体として下方に延設する、円環スカート形状の周壁部10bとを含んで構成される。天面部10aには、これの中央部分から上方に突出して、注出ノズル19が設けられている。本実施形態では、注出ノズル19は、内径が例えば6mm程度の円筒形状のノズルとなっており、天面部10aから垂直に立設すると共に、下端部分が天面部10aを越えて下面側に突出して、内側突出部分19aを形成している。注出ノズル19の中空内部は、内容液を注出させる吐出流路13となっている。注出ノズル19の先端には吐出口13aが、内側突出部分19aの下端には注出口16が、内径が例えば6mm程度の円形開口として形成されている。
【0022】
なお、注出ノズル19の吐出口13aは、これを開閉可能に覆う公知の各種の蓋体(図示せず)によって、適宜閉塞しておくことが可能である。
【0023】
また、スクイズ容器用キャップ10の円環スカート形状の周壁部10bには、例えば内側面に雌ネジ突条が設けられており、この雌ネジ突条が、例えば容器本体12の口首部12aの外周面に設けられた雄ネジ突条に螺合されることにより、キャップ10が着脱可能に口首部12aに装着される。さらに、周壁部10bの内側に同心状に配置されて、天面部10aの下面から下方に向かって突出する装着スリーブ20が一体として設けられている。この装着スリーブ20の内側に、中空の有底筒体15を下方から嵌め込むように装着して係止することで、天面部10aの下面側に、液溜め用のトラップルーム14が形成される。装着スリーブ20の形状としては、周壁部10bに同心状に配置される、環状のスリーブや、複数の係止リブ等を周方向にスリーブ状に連設配置した構造のものすることができる。また、この装着スリーブ20の下端内側面には、有低筒体15を嵌め込んだ際にこれの下端周縁部が係止される係止用のリブを設けても良い。
【0024】
トラップルーム14を形成するための有底筒体15は、図2(a),(b)に示すように、例えばプラスチック製の成形品であって、装着スリーブ20の内周面形状と密着可能な外周面形状を備える、直径が例えば30mm程度、高さが例えば10〜20mm程度の大きさの円筒形状の筒体周壁部15bと、流入流出口17が開口形成された底部15aとが一体成形された、上端が開口面となった中空の装着部材である。有底筒体15の直径および高さは、例えばトラップルーム14での内容液の保留性や容器本体12のスクイズ性、および1回のスクイズ操作により吐出されるべき内容液の容量、さらに容器本体12の口首部12aの内径との関係から決めることができる。
【0025】
本第1実施形態では、有底筒体15の底部15aには、これの中央部分を直径方向に横断して、矩形断面形状を有する上げ底部18が、両側の底面15cから一段高くなった段部として設けられている。矩形断面形状の上げ底部18の幅Bは、注出口16の直径に対し同じか、少し広いことが好ましい。例えば、注出口16の内径が6mm程度であって、有底筒体15の直径が30mm程度で高さが10〜20mmであれば、上げ底部18は、幅Bが6〜10mm程度、高さHが5〜10mm程度の矩形断面形状として設けることができる。また、注出ノズル19の内側突出部分19aの下端開口として開口している注出口16と、これの直下部分の上げ底部18の上面との間の間隔P(図1参照)は、例えば3〜10mm程度となるように上下方向に絞られた状態となっている。
【0026】
また、本第1実施形態では、上げ底部18を挟んだ両側の、上げ底部18よりも一段低い平坦な底面15cには、筒体周壁部15bに近接する周縁部分に、例えば円形の流入流出口17が、上げ底部18と垂直に交差する直径方向の両端部分に配設されて、各々開口形成されている。
【0027】
ここで、本第1実施形態では、有底筒体15の底部15aに形成された2箇所の流入流出口17の合計の開口面積は、注出ノズル19への注出口16の開口面積の25〜300%の大きさとなっていることが好ましい。有底筒体15の底部15aに形成された流入流出口17の開口面積が注出口16の開口面積と比べて大き過ぎると、容器本体12からトラップルーム14に内容液が多量に流入し易くなって、トラップルーム14による液溜め機能が充分に発揮されなくなる。流入流出口17の開口面積が注出口16の開口面積と比べて小さ過ぎると、トラップルーム14に内容液が流入し難くなって、容器本体12をスクイズしても内容液をスムーズに吐出させることができなくなると共に、トラップルーム14に残留した内容液を容器本体12にスムーズに回収させることができなくなる。流入流出口17の合計の開口面積と注出口16の開口面積の割合を上記範囲とすることにより、後述するトラップルーム14による液溜め機能と、容器本体12をスクイズした際に内容液をスムーズに吐出させる機能と、トラップルーム14に残留した内容液を容器本体12にスムーズに回収させる機能とを、バランスよく効果的に発揮させることが可能になる。この観点から、流入流出口17の合計の開口面積は、注出口16の開口面積に対して75〜200%の大きさとなっていることが更に好ましく、100〜150%の大きさとなっていることが特に好ましい。
【0028】
そして、上述の構成を有する本第1実施形態のスクイズ容器用キャップ10によれば、相当の大きさの中空部であるトラップルーム14を有効利用して容器本体12をスクイズする前の内容液の漏出や液垂れを効果的に回避することが可能になると共に、容器本体12をスクイズしてから内容液が吐出されるまでの時間や、トラップルーム14に残留した内容液が容器本体12に回収される時間を短縮して、使い易さを向上させることが可能になる。
【0029】
すなわち、本第1実施形態のスクイズ容器用キャップ10によれば、天面部10aの下面側に有底筒体15によるトラップルーム14が設けられており、有底筒体15の底部15aに流入流出口17が開口形成されており、また有底筒体15の底部15aには、注出ノズル19への注出口16の直下部分を含む領域において底面15bよりも高くなった上げ底部18が形成されている。これによって、スクイズ容器11の使用時に、例えば注出ノズル19を下方に配置して傾倒させた状態で容器本体12をスクイズすることで内容液を吐出させる際に、スクイズ容器11を傾倒させてからスクイズするまでの例えば1〜3秒程度の僅かな間、図3に示すように、容器本体12から注出ノズル19に向かう内容液を、流入流出口17を介して適度な流量でトラップルーム14に流入させて、相当の大きさの中空部となっているトラップルーム14に一旦液溜めして滞留させることが可能になるので、容器本体12の内圧や内容液の自重による、予期しない内容液の漏出や液垂れを効果的に回避することが可能になる。
【0030】
また、容器本体12がスクイズされる時には、内容液は、流入流出口17を介して適度な流量でトラップルーム14に流入して、トラップルームの内部に相当程度の量が既に滞留していることに加えて、注出ノズル19への注出口16の直下部分の領域に上げ底部18が形成されていることで、注出口16の直下部分の底部15aとの間の間隔Pが上下方向に絞られた状態となっているので、トラップルームの内部に流入した内溶液は、注出口16へ向かう流入経路が形成され易くなって迅速に注出口16に流入することにより、注出ノズル19の吐出流路13及び吐出口13aを介して内容液をスムーズに吐出させることが可能になる。
【0031】
さらに、スクイズ操作を解放してスクイズ容器11を再び正立状態に戻せば、トラップルーム14に残留した内容液は、注出ノズル19への注出口16の直下部分の領域に上げ底部18が形成されていることで、底部15aの底面15cに配設された流入流出口17に向けてスムーズに流下して行くとともに、相当の開口面積を有する流入流出口17から容器本体12にスムーズに回収されることになる。
【0032】
本第1実施形態では、注出ノズル19への注出口16の直下部分の領域に上げ底部18が形成されていることで、内容液は、流入流出口17から上げ底部18に沿う一種の迂回流路を経て注出口16に流れることに加え、流入流出口17の位置は、必然的に平面視して注出口16とずれた位置に配設されるので、スクイズ容器11の使用時に、スクイズ容器11を例えば急な傾きで傾倒させたり、逆さまに倒立させた状態としても、流入流出口17から注出口16へ直接向う内容液の流れが生じるのを回避することが可能になり、これによってトラップルーム14による液溜め機能をより効果的に発揮させることが可能になる。
【0033】
さらにまた、本第1実施形態では、注出ノズル19への注出口16が、天面部10aの下面側に突出する注出ノズル19の内側突出部分19aの下端開口として開口しているので、流入流出口17から流入した内容液は、注出口16へ向かって直接流れ込まずに、トラップルーム14内に留まってから吐出されるために、液垂れを抑制することが可能になる。
【0034】
図4(a),(b)は、本発明の第2実施形態に係るスクイズ容器用キャップを構成する、天面部10aの下面側にトラップルーム14を形成するための有底筒体21を示すものである。本第2実施形態によれば、スクイズ容器用キャップは、有底筒体21以外の部分は、上記第1実施形態のスクイズ容器用キャップ10と同じ構成を備えており、有底筒体21は、上記第1実施形態の有底筒体15と略同様の構成を備えている。すなわち、本第2実施形態では、有底筒体21は、底部21aと円筒形状の筒体周壁部21bとが一体成形された中空の装着部材であり、上げ底部18は直径方向に帯状に延設する段部として形成されている。そして、本第2実施形態では、流入流出口22は、底面21cに形成されておらず、上げ底部18の両側の側面18aにおける、底面21cに近接する部分である側面基端部に各々開口形成されている。
【0035】
そして、本第2実施形態のスクイズ容器用キャップによっても、上記第1実施形態のスクイズ容器用キャップ10と同様の作用効果を奏する他、流入流出口22が上げ底部18の側面基端部に開口形成されているので、流入流出口22から流入した内容液は、有底筒体21内で上げ底部18に沿って回り込むような流路が形成されることによって、上記第1実施形態に比べてトラップルーム14による液溜め機能と、容器本体12をスクイズした際に内容液をスムーズに吐出させる機能と、トラップルーム14に残留した内容液を容器本体12にスムーズに回収させる機能とを、さらにバランスよく発揮させることが可能になる。
【0036】
図5(a),(b)は、本発明の第3実施形態に係るスクイズ容器用キャップを構成する、天面部10aの下面側にトラップルーム14を形成するための有底筒体23を示すものである。本第3実施形態によれば、スクイズ容器用キャップは、有底筒体23以外の部分は、上記第1実施形態のスクイズ容器用キャップ10と同じ構成を備えており、有底筒体23は、上記第2実施形態の有底筒体21と略同様の構成を備えている。すなわち、本第2実施形態では、有底筒体23は、底部23aと円筒形状の筒体周壁部23bとが一体成形された中空の装着部材であり、上げ底部18は直径方向に帯状に延設する段部として形成され、上げ底部18の両側の側面18aにおける、底面23cに近接する部分である側面基端部に流入流出口22が形成され、上げ底部18から注出ノズル19の内側突出部分19aの下端開口(注出口16)を超える高さ位置まで立設して、一方の流入流出口22と注出口16との間の部分に、障壁24が設けられている。
【0037】
そして、本第3実施形態のスクイズ容器用キャップによっても、上記第1実施形態のスクイズ容器用キャップ10と同様の作用効果を奏する他、一方の流入流出口22と注出口16との間の部分に障壁24が設けられていることにより、例えば図6に示すように、障壁24が設けられた側の一方の流入流出口22が上側に配置されるようにスクイズ容器11を傾倒させて容器本体12をスクイズする際に、当該一方の流入流出口22から注出口16へ直接向う内容液の流れを障壁24によって遮断することで、スクイズ容器11がスクイズされるまでの間の予期しない内容液の漏出や液垂れを、さらに効果的に回避することが可能になる。
【0038】
図7(a),(b)は、本発明の第4実施形態に係るスクイズ容器用キャップを構成する、天面部10aの下面側にトラップルーム14を形成するための有底筒体25を示すものである。本第4実施形態によれば、スクイズ容器用キャップは、有底筒体25以外の部分は、上記第1実施形態のスクイズ容器用キャップ10と同じ構成を備えており、有底筒体25は、上記第3実施形態の有底筒体23と略同様の構成を備えている。すなわち、本第4実施形態では、有底筒体25は、底部25aと円筒形状の筒体周壁部25bとが一体成形された中空の装着部材であり、上げ底部18は直径方向に帯状に延設する段部として形成され、上げ底部18の両側の側面18aにおける、底面25cに近接する部分である側面基端部に流入流出口22が形成され、一方の流入流出口22と注出口16との間の部分に、障壁24が設けられていることに加えて、直径方向に帯状に延設する上げ底部18の上方空間は、その両端部分で有底筒体25の筒体周壁部25bの内周面が略コの字断面形状を有する内側突出部26として径方向内側に突出していることにより、直径方向の間隔が狭められている。
【0039】
そして、本第4実施形態のスクイズ容器用キャップによっても、上記第1実施形態のスクイズ容器用キャップ10と同様の作用効果を奏する他、直径方向に帯状に延設する上げ底部18の上方空間は、その両端部分で内側突出部26が突出していることで直径方向の間隔が狭められているので、注出ノズル19への注出口16の直下部分の空間が小さくなって、トラップルーム14の内部に流入した内溶液の注出口16へ向かう流入経路がさらに形成され易くなることにより、内容液をさらにスムーズに吐出させることが可能になる。
【0040】
図8(a),(b)は、本発明の第5実施形態に係るスクイズ容器用キャップを構成する、天面部10aの下面側にトラップルーム14を形成するための有底筒体27を示すものである。本第4実施形態によれば、スクイズ容器用キャップは、有底筒体27以外の部分は、上記第1実施形態のスクイズ容器用キャップ10と同じ構成を備えており、有底筒体27は、上記第4実施形態の有底筒体25と略同様の構成を備えている。すなわち、本第5実施形態では、有底筒体27は、底部27aと円筒形状の筒体周壁部27bとが一体成形された中空の装着部材であり、上げ底部18は直径方向に帯状に延設する段部として形成され、上げ底部18の両側の側面18aにおける、底面27cに近接する部分である側面基端部に流入流出口22が形成され、直径方向に帯状に延設する上げ底部18の上方空間の両端部分で有底筒体27の筒体周壁部27bの内周面が略コの字断面形状を有する内側突出部26として径方向内側に突出ており、一方の流入流出口22と注出口16との間の部分に、障壁24が設けられていることに加えて、有底筒体27の底部27aの上げ底部18から一段下がった底面27cは、筒体周壁部27b側から上げ底部18の側面基端部の流入流出口22に向けて下り勾配となった傾斜面となっている。また、上げ底部18の上面もまた、障壁24が設けられた側から反対側に向けて下り勾配となった傾斜面となっている。
【0041】
そして、本第5実施形態のスクイズ容器用キャップによっても、上記第1実施形態のスクイズ容器用キャップ10と同様の作用効果を奏する他、底部27aの底面27cが流入流出口22に向けて下り勾配となった傾斜面となっており、また上げ底部18の上面が傾斜面となっているので、トラップルーム14に残留した内容液を流入流出口17に向けてよりスムーズに流下させて、流入流出口17から容器本体12に内容液をさらにスムーズに回収することが可能になる。
【0042】
本発明は、スクイズ容器用キャップの注出口16の直下部分に上げ底部18が形成されているのであれば、上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、注出ノズルへの注出口は、天面部の中央部分に開口している必要は必ずしもなく、中央部分からずれた位置に開口していても良い。
【0043】
さらに、上げ底部は、中央部分の直下部分を通って直径方向に帯状に延設する段部として形成する他に、注出口16の直下部分に形成する態様として、例えば図9〜図14に示すように、その他の種々の形状に形成することができる。ずなわち、図9(a),(b)に示す有底筒体28では、上げ底部29は、平面円形の有底筒体28の底部の略半円部分の領域に形成されている。図10(a),(b)に示す有底筒体30では、上げ底部31は、2段構成で形成されている。図11(a),(b)に示す有底筒体32では、上げ底部33は、円弧状に彎曲する断面形状で、平面円形の有底筒体32の底部の略半円部分の領域に形成されている。図12(a),(b)に示す有底筒体34では、上げ底部35は、略半円の断面形状で、直径方向に帯状に延設する段部として形成されている。
【0044】
また、図13(a),(b)に示す有底筒体36では、上げ底部29は、平面円形の有底筒体36の底部の中央部分で、扁平な有天円筒状に突出する段部として形成されている。図14(a),(b)に示す有底筒体38では、上げ底部39は、略半円の断面形状で、平面円形の有底筒体36の底部の中央部分において、ドーム状に突出して形成されている。これらの有底筒体28,30,32,34,36,38によっても、上記各実施形態と同様のスクイズ容器用キャップ10の一部となって、上記各実施形態と同様の作用効果が奏される。
【符号の説明】
【0045】
10 スクイズ容器用キャップ
10a 天面部
11 スクイズ容器
12 容器本体
12a 口首部
13 吐出流路
13a 吐出口
14 トラップルーム
15,21,23,25,27,28,30,32,34,36,38 有底筒体
15a,21a,23a,25a,27a 有底筒体の底部
15b,21b,23b,25b,27b 有底筒体の筒体周壁部
15c,21c,23c,25c,27c 有底筒体の底面
16 注出ノズルへの注出口
17,22 流入流出口
18,29,31,33,35,37,39 上げ底部
19 注出ノズル
19a 内側突出部分
20 装着スリーブ
24 障壁
26 有底筒体の内側突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体の口首部に取り付けて用いられ、該容器本体の胴部のスクイズ変形により注出ノズルの先端の吐出口から内容液を吐出させるスクイズ容器用キャップであって、
当該キャップの前記注出ノズルが立設する天面部の下面側に、中空の有底筒体による液溜め用のトラップルームが設けられており、
前記有底筒体の底部に、前記容器本体と前記トラップルームとの間の内容液の流入口及び流出口を兼ねる流入流出口が開口形成されており、
前記有底筒体の底部には、前記注出ノズルへの注出口の直下部分を含む領域において底面よりも高くなった上げ底部が形成されているスクイズ容器用キャップ。
【請求項2】
前記流入流出口は、前記上げ底部の側面基端部に開口形成されている請求項1記載のスクイズ容器用キャップ。
【請求項3】
前記注出ノズルへの注出口が、前記天面部の下面側に突出する前記注出ノズルの内側突出部分の下端開口として開口している請求項1又は2記載のスクイズ容器用キャップ。
【請求項4】
前記上げ底部から前記注出ノズルの内側突出部分の下端開口を超える高さ位置まで立設して、前記流入流出口と前記注出口との間の部分に、障壁が設けられている請求項3記載のスクイズ容器用キャップ。
【請求項5】
前記注出ノズルへの注出口は、前記天面部の中央部分に開口形成されており、前記上げ底部は、前記中央部分の直下部分を通って直径方向に帯状に延設する段部として形成されている請求項1〜4のいずれかに記載のスクイズ容器用キャップ。
【請求項6】
前記直径方向に帯状に延設する前記上げ底部の上方空間は、その両端部分で前記有底筒体の内周面が径方向内側に突出していることにより、直径方向の間隔が狭められている請求項5記載のスクイズ容器用キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−235944(P2011−235944A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110492(P2010−110492)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】