説明

スクリュー圧縮装置付きシュレッダ

【課題】簡単な構成で、圧縮効率が高く、後処理の簡単なスクリュー圧縮装置付きシュレッダを提案する。
【解決手段】筐体上段に細断機を内装するシュレッダ本体と、細断屑をホッパで受け、軸方向の排出口から排出するスクリュー搬送機と、排出口に接続する細断屑収納袋と、収納袋を囲んで筐体側面に設置し、収納袋の拡張を規制するガード板と、収納袋を載置する台車とからスクリュー圧縮装置付きシュレッダを構成する。スクリュー搬送機は、ホッパを有し、スクリュー刃で細断屑を軸方向に搬送するもので、移動可能な載置台に設置し、排出口の向きを水平方向から上方向に任意の角度で設定可能である。ガード板は、三方の側壁板で収納袋を囲むように筐体側面に取付け、前側端部を係止固定具で固定し、後板に設けた蝶番によって前側を開放可能とし、上面に押さえ棒を架設し、前側角部に一部切除面を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、不要書類を細断するとともに、その細断屑を同時に圧縮、梱包するスクリュー圧縮装置付きシュレッダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、資源再利用の観点から、オフィスや各家庭から排出される書類、雑誌、段ボール等は回収業者によって回収され、再パルプ化して再生紙製品に加工されることが多くなっている。この場合、オフィスから排出される廃棄書類等は、機密性を必要とするものも多く、廃棄に先立ち、シュレッダで細かく破断した後に排出される。
【0003】
シュレッダによる細断屑は嵩高くなるため、保管や運搬にコストを要する。そこで、最近では、圧縮装置付きシュレッダによって、廃棄書類等を細断後、同時に圧縮、固形化して排出することが行われている。
【0004】
従来の圧縮装置付きシュレッダは、いわゆるバッチ式で、細断屑をシリンダー内に貯留し、一定量に達するとプレス機によって圧縮し、排出するようにしていた。しかしこの方式では、圧縮作業中はシュレッダの細断操作を中止しなければならないという問題がある。
【0005】
そのため、例えば、特許文献1から特許文献3に提案されているように、スクリューフィーダーを用いたものがある。この方式ではシュレッダの細断を中止することなく連続的に圧縮作業ができるので、処理効率が高くなる利点がある。
【0006】
【特許文献1】実公平1−43173号公報
【特許文献2】実開平3−102240号公報
【特許文献3】特開2000−135597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の処理装置は、破断機の下に先向漸縮径スクリュー羽根を有するスクリュープレスが横設され、その先に円筒状押出ダイが連設されたもので、上記スクリュープレスと押出ダイにより被処理廃棄物が圧縮固形化されるようにしたものである。しかしながら、この処理装置では、注水手段により水を供給して破断屑を結着させる必要があり、先向漸縮径スクリュー羽根を採用したり、ダイの押出口径を可変とするなど、全体構造が比較的複雑となるものであり、さらに、排出された固形化物の処理については言及されていないものであった。
【0008】
また、特許文献2のシュレッダは、細断機の下にスクリュー等から成る屑送出手段と、細断屑の中空誘導部材と、袋状の屑収納容器を外装ケースに収容したものである。しかしながら、この装置では、屑送出手段の送出力で細断屑を圧縮するようにしたものであるから、圧縮効率が悪く、収容量が限定されるものであり、ケース内に屑収納容器を有するため、容器の交換に手間を要するものであった。
【0009】
さらに、特許文献3の細断・圧縮固形化装置は、筒状ケーシング内にフィードスクリューを備えるとともに、ケーシングの軸方向端部に送り方向に向かうに従って漸次径小となる筒状体を連通させた圧縮固形化装置をシュレッダの下方に配置したものである。しかしながら、この装置では、漸次径小となる筒状体の部分で細断屑を圧縮、固形化するもので、筒状体の口径を変更するために複数の油圧シリンダを必要とするなど、全体構成が複雑となるものであった。
【0010】
本発明は、上記従来発明の問題点に鑑みなされたもので、比較的簡単な構成により、圧縮効率が高く、また袋の交換等の後処理の簡単なスクリュー圧縮装置付きシュレッダを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、スクリュー圧縮装置付きシュレッダを、筐体上段に細断機を内装するシュレッダ本体と、この細断機の直下に設置され、細断屑をホッパで受け、軸方向先端の排出口から排出するスクリュー搬送機と、上記排出口に接続する細断屑収納袋と、上記細断屑収納袋を囲んで上記筐体側面に設置し、細断屑収納袋の周囲および上方への拡張を規制するガード板と、上記細断屑収納袋を載置する移動自在な台車とから構成するという手段を採用した。
【0012】
そして、上記細断機は、モーターで駆動する2軸回転刃からなるものとした。
【0013】
また、スクリュー搬送機は、上方に開口するホッパを有し、モーターで回転駆動するスクリュー刃で細断屑を軸方向に搬送するものであり、移動可能な載置台に設置するとともに、排出口の向きを水平方向から上方向に任意の角度で設定可能であるものとした。
【0014】
さらに、このスクリュー搬送機は、その排出口を、シュレッダ本体の筐体側面からガード板内に臨ませて、筐体側面の斜め後方かつ上方向に設置するようにした。
【0015】
また、上記細断屑収納袋は、ガード板内に可及的に収納可能な大きさであり、側面にスクリュー搬送機の排出口に接続可能な接続口を設け、上面開口の上縁には延長片を設け、この延長片の上端周囲の締結紐で絞縮して該開口を閉塞するものとした。
【0016】
また、上記ガード板は、三方の側壁板で細断屑収納袋を囲むようにシュレッダ本体の筐体側面に取付け、前側端部を係止固定具で固定するとともに、後板に設けた蝶番によって前側を開放可能としたものであり、上面に押さえ棒を架設し、前側角部に一部切除面を形成したものとした。
【0017】
また、上記台車は、ガード板の下方にキャスターを介して自在に移動可能に設置したものとした。
【発明の効果】
【0018】
上記構成からなる本発明のスクリュー圧縮装置付きシュレッダは、細断機で細断した不要書類の細断屑をスクリュー搬送機を介して収集し、細断屑収納袋に圧縮、搬送し、ガード板により拡張が規制された収納袋内に圧縮、梱包するものである。
【0019】
そして、スクリュー搬送機は、移動可能であり、排出口の向きを上方向に設定可能であるので、排出口を、シュレッダ本体の筐体側面からガード板内に臨ませて、筐体側面の斜め後方かつ上方向に設置するようにして、収納袋内に細断屑の流れを形成し、効率よく圧縮、収納できるようにしている。
【0020】
このとき、細断屑収納袋の大きさはガード板内に可及的に収納可能であり、ガード板の三方側壁板と上面の押さえ棒によりその拡張が規制されるので、スクリュー搬送機から細断屑を送り続けることで、収納袋内に細断屑は圧縮、梱包される。
【0021】
また、ガード板は蝶番を介して前側が大きく開放可能であるので、細断屑収納袋の交換作業が容易である。さらに、ガード板の前側角部に切除面を形成しているので、ガード板が収納袋の角部と干渉することがなく、その開放が容易であるとともに、シュレッダー搬送機の排出口から排出された細断屑を斜め後方に案内して、収納袋内に一定方向の流れを形成するのに貢献し、細断屑の圧縮効率を向上させる。
【0022】
また、細断屑収納袋は台車に載置し自在に移動可能としているので、載せ替えの手間なく容易に他の場所に移動可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係るスクリュー圧縮装置付きシュレッダの好ましい実施形態を、添付した図面に従って説明する。図1は本発明装置の全体斜視図、図2は一部切欠・省略して示す正面図、図3は同様に一部切欠・省略して示す平面図である。
【0024】
各図において、1はシュレッダ本体で、モーターで駆動する2軸回転刃からなる細断機1aを上段に内装し、書類等を細断するものである。2はシュレッダ本体1の前面に取り付けた書類載置台で、正面の書類投入口3から不要書類等を投入する。かかる構成は従来公知の書類細断機とほぼ同様の構成であり、従来は細断機の直下に細断屑収納袋を設置している。4はスクリュー搬送機で、上記シュレッダ本体1の筐体内の上記細断機1aの細断屑排出部の直下に設ける。このスクリュー搬送機4の上面には、上方を大きく開口したホッパ5を設け、細断機1aから落下する細断屑を受けるものである。6はモーター7により回転駆動するスクリュー刃で、上記ホッパ5で受けた細断屑を回転しながら軸方向(筐体の側面方向)に搬送するものである。8はスクリュー搬送機4の軸方向の先端に設けられる筒状の排出口で、下述する細断屑収納袋を取付ける。そして、細断屑を収納袋内に搬送し続けることによって、細断屑を袋内に圧縮収納できる。
【0025】
上記スクリュー搬送機4は、キャスター9で移動可能な載置台10に設置されており、その排出口8の向きを、水平方向(0度)から上方向に約10度の範囲で任意の角度に設定可能になっている。
【0026】
11は上記シュレッダ本体1の筐体の側面に取付けるガード板で、図5に示すように、平面視略コの字状として三方の側壁板で細断屑収納袋を囲むように設ける一方、後板の端部と中間部に設ける蝶番12、12を介して、前側を大きく開放可能としたものである。また、前板の端部は、係止固定具13を介してシュレッダ本体1の筐体側面に固定するようにしている。さらに、上面には複数の押さえ棒14(図では2本)を架設する。これにより、スクリュー搬送機の稼働時には、細断屑収納袋の周囲方向および上方向への拡張を規制して、細断屑を圧縮して収容できるようにし、収納袋の交換時には前側を大きく開いて交換作業が容易になるようにしている。
【0027】
なお、実際には、ガード板11の枠体は、前側角部を斜めに一部切欠して、切除面11aを形成している。これは、細断屑収納袋が満杯のときにガード板11を開く場合、前側角部が直角になっていると、収納袋の角部が枠体前側と干渉してガード板11を開くことができないからである。従って、かかる干渉を防止するためには、切除面11aの形状は、図示したように直線状に切欠する場合のほか、上記蝶番12を中心とした連続する円弧状に形成したものであってもよい。
【0028】
次に、15はガード板11の下方に設置する台車であって、キャスター15aにより自在に移動可能としたものである。即ち、装置稼働時には細断屑収納袋を載置して、細断屑を圧縮収納し、細断後は、ガード板11を開けばそのまま収納袋を移動することができるようにしている。
【0029】
図4は細断屑収納袋16の一例を示し、上記ガード板11の枠体内に可及的に収容可能な大きさの袋本体16aの側面に、上記スクリュー搬送機4の排出口8に取付可能な筒状の接続口17を設けたものである。この接続口17の先端にはスリット17aを設け、排出口8への取り付けを容易とするとともに、その基端部分に面ファスナー等からなる取付けバンド17bを設け、排出口8へ確実に取付けることができるようにしている。また、袋の上面は開放するとともに、上縁に延長片18を延設し、この延長片18の上端周囲に設けた締結紐19によって、開口部を絞縮して閉塞可能としている。この開口部は、最終的に細断屑の排出に利用するものであるが、この開口部から直接、別途細断した細断屑を投入することも可能である。さらに、袋本体16aの上縁には上記ガード板11に取付けるための掛け輪20、20・・・を設けるとともに、吊下運搬が可能なように取り手21を設けている。
【0030】
なお、上記ガード板11と細断屑収納袋16の大きさは相対的な関係にあり、収納袋の大きさはガード板11の内寸法とほぼ同一であることが好ましい。また、これにより、ガード板11と細断屑収納袋16を対で取り替えるようにすれば、収納袋の可能収納量を変更できるので、シュレッダ本体1の基本構成を代えることなく、使用環境や事業所等の規模に応じて適切な収容量を選択でき、経済的である。
【0031】
続いて、上記構成に係る本発明のスクリュー圧縮装置付きシュレッダの使用手順および作用について説明する。
【0032】
先ず、細断屑収納袋16を台車15に載せるとともに、掛け輪20を利用してガード板11内に設置する。接続口17をスクリュー搬送機4の排出口8に被せ、取付けバンド17bを緊縮して確実に固定する。一方、収納袋16の上面は締結紐19を絞縮して閉塞する。そして、ガード板11を閉めて係止固定具13で固定する。これによって、収納袋16は周囲と上面をガード板11で規制される状態となる。
【0033】
一方、スクリュー搬送機4は、上記収納袋16を取付けた排出口8を筐体の側面からガード板11内に臨ませて設置するが、図3に示すように、排出口8をガード板11内の手前側に位置させ、かつ、少し後側に角度を付けて配置する。また、図2に示すように、水平方向に対して上向きに角度を付けて設置する。上述のように、スクリュー搬送機4は細断屑を収納袋16内に搬送し続けることで、圧縮収納するようにするものであるが、その排出口8の角度を収納袋16に対して斜め後方かつ上方向に設定することによって、図3に示すように、細断屑の矢印方向の流れを形成し、効率よく圧縮収納できるようになるものである。この場合、ガード板11の切除面11aの角度も、上記流れの形成に貢献している。なお、上記排出口8の設置角度(前後方向及び上下方向)は、細断する不要書類の紙質や細断サイズ等によって、適正なものを選択し設定することができる。
【0034】
上記状態でシュレッダ本体1に不要書類を投入し、細断機1aで細断すると、細断屑はホッパ5を介してスクリュー搬送機4に収集され、スクリュー刃6の回転により軸方向に圧縮搬送され、順次細断屑収納袋16に押し込まれる。このとき、細断屑は上記流れによって収納袋内を移動しつつ圧縮されるが、収納袋16は周面と上面をガード板11で規制されているので、ガード板11の大きさ以上に膨れあがることはなく、細断屑は圧縮されつつ収納袋16に蓄積される。スクリュー搬送機4には図示しないセンサーが設けられており、細断屑収納袋16内が満杯となって一定の負荷を検知すると、スクリュー搬送機4の作動は停止し、その旨が報知される。
【0035】
細断屑収納袋16が満杯になると、ガード板11を開き細断屑収納袋16を取り出す。この場合、ガード板11の前面側に切除面11aが設けられているので、ガード板11は収納袋16の角部と干渉することなくスムースに開放される。スクリュー搬送機4の排出口8から接続口17を外し、その端部を折り曲げ、絞縮する等して細断屑がこぼれ落ちないようにする。その後は、袋16が自在に移動する台車15に乗っているので、比較的容易に任意の場所に移動させることができる。なお、上記台車15に代えて、フォークリフト用のパレットを使用してフォークリフトで移動するようにしてもよい。
【0036】
このような手順により、不要書類は順次細断され、収納袋16に圧縮収納される。このとき、細断作業を中断することなく、細断と圧縮を同時に行うことが可能であり、スクリュー搬送機4の排出口8の方向を、袋に対して斜め後方でかつ上向きに設置することにより、袋内に細断屑の対流が発生し、効率よく圧縮、収納されていく。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るスクリュー圧縮装置付きシュレッダの全体斜視図である。
【図2】本装置を一部切欠・省略して示す正面図である。
【図3】本装置を一部切欠・省略して示す平面図である。
【図4】細断屑収納袋の一例を示す斜視図である。
【図5】ガード板の開放態様の説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1 シュレッダ本体
1a 細断機
4 スクリュー搬送機
5 ホッパ
6 スクリュー刃
7 モーター
8 排出口
10 載置台
11 ガード板
11a 切除面
12 蝶番
13 係止固定具
14 押さえ棒
15 台車
15a キャスター
16 細断屑収納袋
17 接続口
18 延長片
19 締結紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体上段に細断機を内装するシュレッダ本体と、この細断機の直下に設置され、細断屑をホッパで受け、軸方向先端の排出口から排出するスクリュー搬送機と、上記排出口に接続する細断屑収納袋と、上記細断屑収納袋を囲んで上記筐体側面に設置し、細断屑収納袋の周囲および上方への拡張を規制するガード板と、上記細断屑収納袋を載置する移動自在な台車とからなることを特徴とするスクリュー圧縮装置付きシュレッダ。
【請求項2】
細断機は、モーターで駆動する2軸回転刃からなる請求項1記載のスクリュー圧縮装置付きシュレッダ。
【請求項3】
スクリュー搬送機は、上方に開口するホッパを有し、モーターで回転駆動するスクリュー刃で細断屑を軸方向に搬送するものであり、移動可能な載置台に設置するとともに、排出口の向きを水平方向から上方向に任意の角度で設定可能である請求項1又は請求項2記載のスクリュー圧縮装置付きシュレッダ。
【請求項4】
スクリュー搬送機は、その排出口を、シュレッダ本体の筐体側面からガード板内に臨ませて、筐体側面の斜め後方かつ上方向に設置したものである請求項1から請求項3のいずれか1項記載のスクリュー圧縮装置付きシュレッダ。
【請求項5】
細断屑収納袋は、ガード板内に可及的に収納可能な大きさであり、側面にスクリュー搬送機の排出口に接続可能な接続口を設け、上面開口の上縁には延長片を設け、この延長片の上端周囲の締結紐で絞縮して該開口を閉塞するものである請求項1から請求項4のいずれか1項記載のスクリュー圧縮装置付きシュレッダ。
【請求項6】
ガード板は、三方の側壁板で細断屑収納袋を囲むようにシュレッダ本体の筐体側面に取付け、前側端部を係止固定具で固定するとともに、後板に設けた蝶番によって前側を開放可能としたものであり、上面に押さえ棒を架設し、前側角部に一部切除面を形成したものである請求項1から請求項5のいずれか1項記載のスクリュー圧縮装置付きシュレッダ。
【請求項7】
台車は、ガード板の下方にキャスターを介して自在に移動可能に設置したものである請求項1から請求項6のいずれか1項記載のスクリュー圧縮装置付きシュレッダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−61385(P2009−61385A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231028(P2007−231028)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(390006921)ナカバヤシ株式会社 (58)
【Fターム(参考)】