説明

スクリュー駆動搬送装置

【課題】構成を簡素化しつつ、搬送体がスクリュー軸を円滑に乗り継ぐことができ、高速に連続して搬送することができるスクリュー駆動搬送装置を提供することである。
【解決手段】搬送体120の係合部がスクリュー軸110の螺旋溝130に係合して搬送されるスクリュー駆動搬送装置において、スクリュー軸110が搬送方向に複数直列に配置され、それぞれのスクリュー軸110の駆動手段130が隣接するスクリュー軸110と回転速度及び回転位相を電気的に同期させる同期制御手段を有するように構成されていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円周面に螺旋状の送り部材を有するスクリュー軸を回転駆動し、搬送体の係合部を送り部材に係合して搬送体を搬送するスクリュー駆動搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送体を外部からの駆動力により移動させて搬送する搬送装置として、一対のレールと、一対のレールの間に平行に設けられたスクリュー軸と、レール上を走行する車輪とスクリュー軸の螺旋状の送り部材に係合する係合部を備えた台車状の搬送体からなり、スクリュー軸を回転駆動して搬送体がレール上を移動するように構成されたスクリュー駆動搬送装置が知られている。
【0003】
これらのスクリュー駆動搬送装置500は、図12乃至図14に示すように、基礎部501上に敷設された左右一対のガイドレール502と、両ガイドレール502間のカバー体503内に設けられたスクリュー軸510と、車輪521を有し両ガイドレール502に支持案内されて走行自在な搬送体520からなる。
【0004】
搬送体520には係合ローラ523がガイド体522に案内されて昇降自在に設けられ、スクリュー軸510には螺旋板511が円筒面に螺旋状に設けられており、搬送体520の係合ローラ523がスクリュー軸510の螺旋板511に上部から係合した状態でスクリュー軸510が図示しない駆動手段により回転駆動されることで、搬送体520がガイドレール502に支持案内されて走行する。
【0005】
また、スクリュー駆動搬送装置500は、図14に示すように、スクリュー軸510の螺旋板511のピッチP1、P2を部分により異なるように形成することで、スクリュー軸510の回転速度を変化させずに搬送体520の走行速度を変化させるように構成されており、搬送体520の係合ローラ523を昇降させて螺旋板511と係合ローラ523の係合・離脱が可能な構成とすることで、搬送体520の走行・停止を選択できるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、円周面に螺旋状の送り部材を有するスクリュー軸を回転駆動し、搬送体の係合部を螺旋状の送り部材に係合して搬送体を搬送するスクリュー駆動搬送装置において、スクリュー軸が搬送方向に複数直列に配置されたものも公知である。
【0007】
これらのスクリュー駆動搬送装置600は、図15乃至図17に示すように、左右一対のガイドレール602と、両ガイドレール602間に設けられたスクリュー軸610と、車輪621を有し両ガイドレール602に支持案内されて走行自在な搬送体620からなる。
【0008】
スクリュー軸610は、閉ループ形状の搬送経路650に沿って複数設けられており、チェーンコンベヤ604が、該搬送経路605の全経路に渡る両ガイドレール602間に併設されている。
【0009】
搬送体620には係合ローラ623が設けられ、スクリュー軸610には螺旋板611が円筒面に螺旋状に設けられており、搬送体620の係合ローラ623がスクリュー軸610の螺旋板611に上部から係合した状態でスクリュー軸610を回転駆動すると、搬送体620がガイドレール602に支持案内されて走行する。
【0010】
さらに、搬送体620には上下に揺動するフック625が設けられ、チェーンコンベヤ604にはドッグ605が設けられており、搬送体620のフック625がチェーンコンベヤ604のドッグ605に上部から係合した状態でチェーンコンベヤ604を駆動すると、搬送体620がガイドレール602に支持案内されて走行する。
【0011】
これらのスクリュー駆動搬送装置600の搬送動作について以下に説明する。
待機位置651a、651b、651c、651dにある搬送体620は、キャリッジローラ626がキャリッジレール606により持ち上げられ、キャリッジリンク627は上方に揺動し、連動してフック625は持ち上がるため、フック625はチェーンコンベヤ604のドッグ605から離れ搬送体620は停止する。
【0012】
待機位置651a、651b、651c、651dにある搬送体620はスクリュー軸610a、610b、610c、610dが停止中に、それぞれシリンダ607a、607b、607c、607dに押され挿入位置652a、652b、652c、652dに進み、挿入位置のスクリュー軸610a、610b、610c、610dの螺旋板611にその係合ローラ623を押し付けられた状態で停止する。
【0013】
この状態でスクリュー軸610a、610b、610c、610dを回転させるとそれぞれの螺旋板611にそれぞれの係合ローラ623が係合し、スクリュー軸610a、610b、610c、610dの回転により搬送体620が進行する。
搬送体520は、それぞれ停止位置653a乃至653iに停止して所定の作業を行いながら、離脱位置654まで搬送される。離脱位置654に達すると係合ローラ623はスクリュー軸610a、610b、610c、610dから離脱する。
【0014】
搬送体520が離脱位置654に達すると係合ローラ623はスクリュー軸610a、610b、610c、610dから離脱するとともに、キャリッジレール606からキャリッジローラ626が離脱し、キャリッジリンク627が下方に揺動してフック625が下がるため、チェーンコンベヤ604のドッグ605がフック625と係合して、搬送体520はチェーンコンベヤ604の牽引を受け前進する(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平9−58463号公報(第3乃至4頁、図1、図3、図6)
【特許文献2】特開2001−122422号公報(第4頁、図2、図3、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、前段で説明した従来のスクリュー駆動搬送装置500は、ピッチの異なる区間を設けることで位置により走行速度を変化させたり、スクリュー軸の回転速度を制御することで走行速度を変化させたりすることで搬送体の走行を制御することは可能であるが、複数の搬送体を同時に走行させる場合は、それぞれの搬送体の走行を独立して制御を行うことができないという問題があった。
【0016】
また、後段で説明した従来のスクリュー駆動搬送装置600は、複数のスクリュー軸の回転速度を独立して制御することにより、複数の搬送体を同時に走行させ、それぞれの搬送体の走行を独立して制御を行うことが可能であるが、搬送体が複数のスクリュー軸間を乗り継ぐ際には、スクリュー軸による走行駆動が行われない区間を設定して、当該区間に他の駆動手段を備える必要があり、装置全体が複雑となるという問題があった。
【0017】
さらに、従来のスクリュー駆動搬送装置600は、搬送体がスクリュー軸間を乗り継ぐ際のスクリュー軸から他の駆動手段、他の駆動手段から次のスクリュー軸への乗り継ぎ時に、搬送体は一旦停止させる必要があり、高速に連続して搬送を行うことが困難であるという問題があった。
【0018】
本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、装置の構成を簡素化しつつ、複数の搬送体を同時に走行させ、それぞれの搬送体の走行を独立して制御可能とするとともに、搬送体がスクリュー軸を円滑に乗り継ぐことができ、高速に連続して搬送することができるスクリュー駆動搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本請求項1に係る発明は、円周面に螺旋状の送り部材を有するスクリュー軸と、該スクリュー軸を回転駆動する駆動手段と、前記螺旋状の送り部材に係合する係合部を有し前記スクリュー軸の回転により搬送される搬送体とを有するスクリュー駆動搬送装置において、前記スクリュー軸が、搬送方向に複数直列に配置され、前記駆動手段が、複数設けられて前記複数のスクリュー軸を独立して回転駆動可能に構成されるとともに、隣接するスクリュー軸の回転速度及び回転位相を電気的に同期させる同期制御手段を有することにより、前記課題を解決するものである。
【0020】
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載されたスクリュー駆動搬送装置の構成に加えて、前記駆動手段が、モータと該モータを制御するモータ制御手段を有するとともに、
前記同期制御手段が、隣接する前記モータの回転信号から隣接するスクリュー軸の回転速度及び回転位相を同期させるように演算し、前記モータ制御手段に速度指令信号を出力するように構成されていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0021】
本請求項3に係る発明は、請求項2に記載されたスクリュー駆動搬送装置の構成に加えて、前記モータが、パルスジェネレータ付き誘導モータからなり、前記モータ制御手段が、インバータ手段からなることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0022】
本請求項4に係る発明は、請求項3に記載されたスクリュー駆動搬送装置の構成に加えて、前記同期制御手段が、複数のモータ毎に搬送体の位置指令信号を入力としパルスジェネレータの信号をフィードバック入力としてPID制御により速度指令信号を生成してインバータ手段に出力する制御ループを構成することにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0023】
本請求項5に係る発明は、請求項4に記載されたスクリュー駆動搬送装置の構成に加えて、前記同期制御手段が、隣接するモータの一方の制御ループに他方のモータのパルスジェネレータの信号をさらに入力して、該隣接するモータの位相差をフィードバックするよう構成されていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明のスクリュー駆動搬送装置は、円周面に螺旋状の送り部材を有するスクリュー軸と、該スクリュー軸を回転駆動する駆動手段と、前記螺旋状の送り部材に係合する係合部を有し前記スクリュー軸の回転により搬送される搬送体とを有するスクリュー駆動搬送装置において、スクリュー軸が、搬送方向に複数直列に配置されていることにより、複数のスクリュー軸をそれぞれ独立して制御することができるため、複数の搬送体を同時に走行させた場合、スクリュー軸毎に独立して制御を行うことにより、搬送体の走行を個別に制御することが可能となるとともに、以下のような格別の効果を奏することができる。
【0025】
すなわち、本請求項1に係る発明のスクリュー駆動搬送装置は、駆動手段が複数設けられて複数のスクリュー軸を独立して回転駆動可能に構成されるとともに、隣接するスクリュー軸の回転速度及び回転位相を電気的に同期させる同期制御手段を有することにより、搬送体がスクリュー軸間を乗り継ぐ際に他の駆動手段を介する必要がないため、装置の構成を簡素化しつつ、円滑に乗り継ぐことができるとともに、乗り継ぎのために一旦停止する必要がないため、搬送体を高速に連続して搬送することができる。
【0026】
そして、本請求項2に係る発明のスクリュー駆動搬送装置は、請求項1に係るスクリュー駆動搬送装置が奏する効果に加えて、駆動手段がモータと該モータを制御するモータ制御手段を有するとともに、同期制御手段がモータの回転信号から隣接するスクリュー軸の回転速度及び回転位相を同期させるように演算し、モータ制御手段に速度指令信号を出力するように構成されていることにより、隣接するスクリュー軸の回転速度及び回転位相を電気的に正確に制御することができるため、装置全体の構成を簡素化しつつ、搬送体がスクリュー軸間を円滑に乗り継ぐことができる。
【0027】
また、本請求項3に係る発明のスクリュー駆動搬送装置は、請求項2に係るスクリュー駆動搬送装置が奏する効果に加えて、モータがパルスジェネレータ付き誘導モータからなり、モータ制御手段がインバータ手段からなることにより、汎用のモータ及びモータ制御装置を採用することができ、装置全体の構成がさらに簡素化される。
【0028】
また、本請求項4に係る発明のスクリュー駆動搬送装置は、請求項3に係るスクリュー駆動搬送装置が奏する効果に加えて、同期制御手段が、複数のモータ毎に搬送体の位置指令信号を入力としパルスジェネレータの信号をフィードバック入力としてPID制御により速度指令信号を生成してインバータ手段に出力する制御ループを構成することにより、モータの回転速度及び回転位相をさらに正確に円滑に制御することができる。
【0029】
さらに、本請求項5に係る発明のスクリュー駆動搬送装置は、請求項4に係るスクリュー駆動搬送装置が奏する効果に加えて、同期制御手段が、隣接するモータの一方の制御ループに他方のモータのパルスジェネレータの信号をさらに入力して、該隣接するモータの位相差をフィードバックするよう構成されていることにより、隣接するスクリュー軸の回転速度及び回転位相をさらに正確に同期させることができるため、搬送体がスクリュー軸間をさらに円滑に乗り継ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明のスクリュー駆動搬送装置は、円周面に螺旋状の送り部材を有するスクリュー軸と、該スクリュー軸を回転駆動する駆動手段と、螺旋状の送り部材に係合する係合部を有しスクリュー軸の回転により搬送される搬送体とを有するスクリュー駆動搬送装置において、スクリュー軸が搬送方向に複数直列に配置され、駆動手段が複数設けられて複数のスクリュー軸を独立して回転駆動可能に構成されるとともに、隣接するスクリュー軸の回転速度及び回転位相を電気的に同期させる同期制御手段を有しており、複数の搬送体を同時に走行させ、それぞれの搬送体の走行を独立して制御を行うことを可能とするとともに、装置の構成を簡素化しつつ、搬送体がスクリュー軸を円滑に乗り継ぐことができ、高速に連続して搬送することができるという効果を発揮するものであれば、その具体的な実施態様は如何なるものであっても何ら構わない。
【0031】
すなわち、本発明のスクリュー駆動搬送装置の複数のスクリュー軸は、それぞれ独立して回転駆動されるものであれば、全て同じ長さでも良く、異なる長さでも良い。また、複数の同じ長さのスクリュー軸を連結して異なる長さのものとして使用しても良い。
また、本発明のスクリュー駆動搬送装置の駆動手段は、独立して回転駆動されるスクリュー軸に1つずつ設けても良く、複数ずつ設けても良い。
【実施例】
【0032】
以下に、本発明の実施例であるスクリュー駆動搬送装置について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置の斜視図であり、図2は、本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置の側面図であり、図3は、本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置の搬送体の平面図であり、図4は、本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置の搬送体の正面図であり、図5は、本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置の搬送体の側面図であり、図6は、本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置の平面図であり、図7は、本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置の制御動作説明図であり、図8は、本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置の配置説明図であり、図9は、本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置のスクリュー軸の側面図であり、図10は、本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置のスクリュー軸の断面図であり、図11は、本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置のスクリュー軸の展開図である。
【0033】
本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置100は、図1、図2に示すように、基礎部101上に敷設された左右一対のガイドレール102と、両ガイドレール102に設けられたスクリュー軸110と、車輪121を有し両ガイドレール102に支持案内されて走行自在な搬送体120と、モータ131と該モータ131の回転をスクリュー軸110に伝達する回転伝達手段140とからなる駆動手段130から構成されており、図8に示すように、スクリュー軸110が搬送方向に複数直列に配置されるとともに、駆動手段130も複数設けられている。
【0034】
搬送体120は、図3乃至図5に示すように、物品を載置可能でガイドレール102に支持案内される車輪121を有する搬送体フレーム124を備え、該搬送体フレーム124の下部に、係合ローラ123を有するガイド体122が設けられている。
【0035】
係合ローラ123は、スクリュー軸110に側方から係合するようにガイド体122に保持され、ガイド体122は少なくとも搬送体フレーム124の走行方向の前方に1対と後方に一対の二対設けられ、各々のガイド体の対は、スクリュー軸110の螺旋の半ピッチ前後でかつ左右両側に係合ローラ123が位置するように設けられている。
【0036】
また、走行方向の前方の一対のガイド体122A、122Bと走行方向の後方の一対のガイド体122C、122Dとの間隔は、複数直列に配置されたスクリュー軸110の隣り合う二つのスクリュー軸110の間隔より広く設定されている。
【0037】
モータ131はスクリュー軸110の側方離れた位置で、モータ131の回転は回転伝達手段140によりスクリュー軸110に伝えられるように構成されており、図6に示すように、モータ131の出力軸132をスクリュー軸110と直交するように配置することで、隣接するスクリュー軸110を駆動するモータ131を並行に隣接して配置している。
【0038】
回転伝達手段140は、モータ131側から順に、モータ131の出力軸132が継手146を介してギヤボックス141と接続され、ギヤボックス141が自在継手144を介してドライブシャフト142と接続され、ドライブシャフト142が自在継手145を介して最終ギヤ143と接続され、最終ギヤ143の出力がスクリュー軸110を駆動するように構成されている。
【0039】
ドライブシャフト142は、伸縮自在に構成されており、両端が自在継手144、145を介して接続されていることにより、駆動源であるモータ131及びギヤボックス141とスクリュー軸110との相対位置関係が設置スペースに合わせて変更可能に構成されている。
【0040】
モータ131及びギヤボックス141が側方に離れた位置に設置されていることにより、中間にドライブシャフト142のみ貫通する壁等を設けて搬送ラインと隔離することが可能であり、搬送ラインをモータ131やギヤボックス141の発熱、発火、発塵等の影響から遮断することが可能となる。
また、図8に示すように、スクリュー軸110の片側に駆動手段130を備えても良く、両側に備えても良い。
【0041】
各スクリュー軸110を駆動するモータ131は汎用の誘導モータで構成され内部にパルスジェネレータ134を備えており、図7、図8に示すように、インバータ手段133に接続されて回転制御される。
そして、上位制御部135が各インバータ手段133に速度指令信号を出力することにより、複数の搬送体120の位置や速度の制御を行ったり、搬送体120がスクリュー軸110を円滑に乗り継ぐように同期制御を行ったりする。
【0042】
スクリュー軸110は、図9乃至図11に示すように、円筒状の軸本体112の円周面に螺旋板111A、11Bを螺旋状に立設してなる。
2枚の螺旋板111A、111Bは、一定の間隔をおいて設けられ、当該間隙が搬送体120の係合ローラ123が係合する螺旋溝113として機能する。
【0043】
スクリュー軸110の両端部には、螺旋溝113の端部以外の部分を閉塞するように2枚の螺旋板111A、111Bと連続する端部板111Cが設けられている。
また、端部板111Cは2枚の螺旋板111A、111Bのピッチよりも小さな僅かな螺旋状をなしている。
【0044】
以上のように構成された本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置100の動作について以下に説明する。
本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置100は、図8に示すように、上流からスクリュー軸110A、110B、110C、110D、110E、110F、110G、110H、110Jが直列に配置されており、スクリュー軸110A、110B、110C、110D、110G、110H、110Jはそれぞれモータ131A、131B、131C、131D、131G、131H、131Jにそれぞれ駆動され、スクリュー軸110D、110E、110Fは直接回転結合されて一体に回転するように構成されている。
【0045】
まず、スクリュー軸110Aにより搬送体120が搬送される際、図7に示すように、上位制御部135は、モータ131Aの回転を制御するため該搬送体120の搬送パターンに応じた位置指令を基に、モータ131Aのパルスジェネレータ134Aの信号をフィードバック入力としてPID制御により速度指令信号を生成してインバータ手段133Aに出力する。
インバータ手段133Aは該速度指令信号に基づいてモータ131Aを駆動制御することで、搬送体120はあらかじめ定められた位置・速度に従ってスクリュー軸110Aにより搬送される。
【0046】
搬送体120がスクリュー軸110Aから110Bに乗り継ぐ際は、搬送体120の先端の係合ローラ123Aがスクリュー軸110Bに達する前に、上位制御部135は、上記モータ131Aの駆動制御に加えて、モータ131Bの回転を制御するため該搬送体120の搬送パターンに応じた位置指令を基に、モータ131Bのパルスジェネレータ134Bの信号をフィードバック入力とするとともに、モータ131Aのパルスジェネレータ134Aの信号とモータ131Bのパルスジェネレータ134Bの信号の位相差をフィードバック入力してPID制御により速度指令信号を生成してインバータ手段133Bに出力することで、同期制御手段が構成される。
そして、インバータ手段133Bが該速度指令信号に基づいてモータ131Bを駆動制御することで、スクリュー軸110Bはスクリュー軸110Aと正確に位相、速度が同期さる。
【0047】
このように、スクリュー軸110Aとスクリュー軸110Bは正確に位相、速度が同期するように制御されるため、搬送体120の走行方向の前方の一対のガイド体122A、122Bと走行方向の後方の一対のガイド体122C、122Dとの間隔は、隣り合う二つのスクリュー軸110の間隔より広く設定されていることにより、搬送体120の後端の係合ローラ123C、123Dがスクリュー軸110Aの螺旋溝113により走行している状態で、先端の係合ローラ123A、123Bは円滑にスクリュー軸110Bの螺旋溝113に係合する。
【0048】
搬送体120がさらに走行し、後端の係合ローラ123Dがスクリュー軸110Aの螺旋溝113を離脱すると、上位制御部135は、モータ131Aのパルスジェネレータ134Aの信号と131Bのパルスジェネレータ134Bの信号の位相差のフィードバックを解除してインバータ手段133Bに出力する速度指令信号を生成し、モータ131Bを独立して制御することで、搬送体120の走行はスクリュー軸110Bにより独立して制御可能となる。
【0049】
これらのモータ131の制御動作を、それぞれのスクリュー軸110に対して独立して行うとともに、乗り継ぎ時に同期制御の動作を行うことにより、装置の構成を簡素化しつつ、複数の搬送体120を同時に走行させ、それぞれの搬送体120の走行を独立して制御することができるとともに、搬送体120がそれぞれのスクリュー軸110を円滑に乗り継ぐことができ、高速に連続して搬送することができるなど、その効果は甚大である。
【0050】
上記実施例では、搬送体120の走行を独立して制御する区間に応じて同一の長さのスクリュー軸110を適宜組み合わせているが、異なる長さのスクリュー軸を配置しても良い。
【0051】
また、上記実施例ではモータ131のPID制御は、図7に示すように、位置指令に対する微分成分と、位置指令とパルスジェネレータ信号の差分の比例成分と、位置指令とパルスジェネレータ信号の差分の積分成分の和に比例ゲイン乗じた信号から速度指令を生成するものであるが、他のフィードバック制御ループであっても良い。
【0052】
また、上記実施例では、モータにパルスジェネレータ付き誘導モータを採用し、モータ制御手段にインバータ手段を採用しているが、モータにパルスジェネレータ付きサーボモータを採用し、モータ制御手段にサーボモータ制御手段を採用しても良く、また、他の種類のモータおよび制御手段を採用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置の斜視図。
【図2】本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置の側面図。
【図3】本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置の搬送体の平面図。
【図4】本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置の搬送体の正面図。
【図5】本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置の搬送体の側面図。
【図6】本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置の平面図。
【図7】本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置の制御動作説明図。
【図8】本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置の配置説明図。
【図9】本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置のスクリュー軸の側面図。
【図10】本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置のスクリュー軸の断面図。
【図11】本発明の一実施例であるスクリュー駆動搬送装置のスクリュー軸の展開図。
【図12】従来のスクリュー駆動搬送装置の斜視図。
【図13】従来のスクリュー駆動搬送装置の断面図。
【図14】従来のスクリュー駆動搬送装置の側面図。
【図15】従来の他のスクリュー駆動搬送装置の断面図。
【図16】従来の他のスクリュー駆動搬送装置の配置説明図。
【図17】従来の他のスクリュー駆動搬送装置の側面説明図。
【符号の説明】
【0054】
100,500,600 ・・・スクリュー駆動搬送装置
101,501 ・・・基礎部
102,502,602 ・・・ガイドレール
503 ・・・カバー体
604 ・・・チェーンコンベヤ
605 ・・・ドッグ
606 ・・・キャリッジレール
607 ・・・シリンダ
110,510,610 ・・・スクリュー軸
111,511,611 ・・・螺旋板
112 ・・・軸本体
113 ・・・螺旋溝
120,520,620 ・・・搬送体
121,521,621 ・・・車輪
122,522 ・・・ガイド体
123,523,623 ・・・係合ローラ
124 ・・・搬送体フレーム
624 ・・・キャリッジ
625 ・・・フック
626 ・・・キャリッジローラ
627 ・・・キャリッジリンク
130 ・・・駆動手段
131 ・・・モータ
132 ・・・出力軸
133 ・・・インバータ手段
134 ・・・パルスジェネレータ
135 ・・・上位制御部
140 ・・・回転伝達手段
141 ・・・ギヤボックス
142 ・・・ドライブシャフト
143 ・・・最終ギヤ
144 ・・・自在継手
145 ・・・自在継手
146 ・・・継手
650 ・・・搬送経路
651 ・・・待機位置
652 ・・・挿入位置
653 ・・・停止位置
654 ・・・離脱位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円周面に螺旋状の送り部材を有するスクリュー軸と、該スクリュー軸を回転駆動する駆動手段と、前記螺旋状の送り部材に係合する係合部を有し前記スクリュー軸の回転により搬送される搬送体とを有するスクリュー駆動搬送装置において、
前記スクリュー軸が、搬送方向に複数直列に配置され、
前記駆動手段が、複数設けられて前記複数のスクリュー軸を独立して回転駆動可能に構成されるとともに、隣接するスクリュー軸の回転速度及び回転位相を電気的に同期させる同期制御手段を有することを特徴とするスクリュー駆動搬送装置。
【請求項2】
前記駆動手段が、モータと該モータを制御するモータ制御手段を有するとともに、
前記同期制御手段が、前記モータの回転信号から隣接するスクリュー軸の回転速度及び回転位相を同期させるように演算し、前記モータ制御手段に速度指令信号を出力するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のスクリュー駆動搬送装置。
【請求項3】
前記モータが、パルスジェネレータ付き誘導モータからなり、
前記モータ制御手段が、インバータ手段からなることを特徴とする請求項2に記載のスクリュー駆動搬送装置。
【請求項4】
前記同期制御手段が、複数のモータ毎に搬送体の位置指令信号を入力としパルスジェネレータの信号をフィードバック入力としてPID制御により速度指令信号を生成してインバータ手段に出力する制御ループを構成することを特徴とする請求項3に記載のスクリュー駆動搬送装置。
【請求項5】
前記同期制御手段が、隣接するモータの一方の制御ループに他方のモータのパルスジェネレータの信号をさらに入力し、該隣接するモータの位相差をフィードバックするよう構成されていることを特徴とする請求項4に記載のスクリュー駆動搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−111459(P2010−111459A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284239(P2008−284239)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】