説明

スケジュール作成方法及びスケジュール作成プログラム、並びにスケジュール作成装置

【課題】新規オーダーが注文された場合に、スケジュールの内容が大きく変わるのを防止して既に作成されたスケジュールに基づいて再スケジュールを行う。
【解決手段】 新規オーダーの納期と、その製品を製造するために通過する工程とその順序と各工程で使用する設備と各工程の作業時間と設備間の搬送時間に関するオーダー情報を登録し(S1)、新規オーダーの各工程と前回計画の各工程について作業時間と搬送時間に基づいた最遅開始時刻を算出する(S2)。前回計画の開始時刻を取得し(S3)、前回計画の開始時刻(X軸)と最遅開始時刻(Y軸)に関する近似曲線を算出する(S4)。近似曲線上の新規オーダーの最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻を基準時刻として算出し(S5)、基準時刻を新規オーダーの前回計画の開始時刻とみなして、再スケジュールを実行し(S6)、結果を出力する(S7)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規オーダーが注文された場合に、スケジューラを用いて、既に作成されたスケジュールに基づいて再スケジュールを行うスケジュール作成方法及びスケジュール作成プログラム、並びにスケジュール作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スケジューラを用いて、1つ以上のオーダーについて、当該オーダーの製品を製造するのに必要な工程を、使用する設備に割り付けてスケジュールを作成した後、進捗状況に合わせて、実績情報と既に作成されたスケジュール(以下、「前回計画」と称する。)に基づいて、再スケジュールを行う作業が行われている。そして、再スケジュールにおいては、前回計画と再スケジュールにより新たに作成されるスケジュールの内容が大きく変わるのを防止するために、前回計画における各工程の開始時刻を比較し、開始時刻が早い順に工程を使用する設備に割り付けている。
【0003】
一方、スケジューラを用いて、1つ以上のオーダーについて、当該オーダーの製品を製造するのに必要な工程を、割付可能な資源に割り付けてスケジュールを作成した後、新規オーダーが注文された場合も上記と同様に、既に作成されたスケジュールに対して、新規オーダーの製品を製造するのに必要な工程を、使用する設備に割り付けて、再スケジュールを行う必要がある。この場合、新規オーダーは前回計画に含まれていないため、前回計画の開始時刻がない。そのため、新規オーダーの各工程に関しては、割付可能な設備に関して前回計画で時系列に沿って割り付けられた1つまたは複数の工程を参照して、優先順に関する基本的なルールに基づいてどの順番で割り付けるかを決定することにより、新規オーダーの各工程の前回計画の開始時刻を算出する手法が考えられている。ここで、優先順に関する基本的なルールとは、納期を遵守するために予め設定される優先度のことであって、最遅開始時刻(オーダーの納期を基準に全工程をバックワードで配置し、各工程の作業時間と前後工程間の搬送時間に基づいて算出した各工程の最も遅い開始時刻を意味する。)の早い順、或いは、最遅開始時刻が早く且つ残り工程数が多い順が想定される。
【0004】
しかしながら、前回計画において、以下の理由により、各設備について割付可能な各工程が上述した優先順に関する基本的なルールの順番に並んでいるとは限らない。
・作成されたスケジュールに対して人の意思で修正がなされた上で前回計画として保存されている。これは、例えば、特許文献1に示すように、作成されたスケジュールに対して、所定のオーダーの工程がスケジュール表示画面上で移動されたり、入れ替えられたりすることにより、前回計画が修正され、前回計画の開始時刻と最遅開始時刻の順番が異なる。
・作成されたスケジュールに基づく前工程が現時点で終了していない。これは、例えば、現在時刻において未処理のオーダー1の連続する第1工程と第2工程と別のオーダー2の第1工程とが存在し、オーダー1の第1工程を処理することができる設備が設備M1であり、オーダー1の第2工程及びオーダー2の第1工程を処理することができる設備が設備M2であって、オーダー1の第2工程の最遅開始時刻がオーダー2の第1工程の最遅開始時刻よりも早い場合が考えられる。この場合、まず、オーダー1の第1工程が設備M1に割り付けられ、オーダー2の第1工程が設備M2に割り付けられる。その後に、オーダー1の第1工程に搬送時間を加えた後の時間帯に、オーダー1の第2工程が設備M2に割り付けられるため、設備M2において、オーダー1の第2工程とオーダー2の第1工程とが、前回計画の開始時刻と最遅開始時刻の順番が異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−157124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、上記手法では、前回計画において優先順に関する基本的なルールの順番に並ばず、順番から外れてしまっている工程(外れ工程)の前回計画の開始時刻に引きずられて、新規オーダーの前回計画の開始時刻が計算されてしまい、納期遵守のための優先順に関する基本的なルールに基づいた再スケジュールができないという問題が生じてしまう。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、新規オーダーが注文された場合に、スケジューラを用いて、納期遵守のための優先順に関する基本的なルールを考慮しつつ、既に作成されたスケジュールと新たに作成されるスケジュールの内容が大きく変わるのを防止して、既に作成されたスケジュールに基づいて再スケジュールを行うスケジュール作成方法及びスケジュール作成プログラム、並びにスケジュール作成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るスケジュール作成方法は、複数のオーダーについて、納期と、その製品を製造するために通過する工程とその順序と、各工程で使用する設備と、各工程の作業時間と、設備間の搬送時間とがオーダー情報として記憶され、オーダー毎の各工程の最も遅い開始時刻である最遅開始時刻が早い順に、前記各工程に関して使用する設備と開始時刻と終了時刻とが決定されて既に作成されたスケジュールである前回計画に対して、新たに注文された新規オーダーを追加して再スケジュールを行うスケジュール作成方法であって、計算機の演算部により実行される処理が、前記新規オーダーに関して、新規オーダーの納期と、新規オーダーの製品を製造するために通過する工程とその順序と、各工程で使用する設備と、各工程の作業時間とを、前記オーダー情報として記憶するオーダー情報記憶ステップと、前記オーダー情報及び前記設備間の搬送時間に基づいて、前記前回計画及び前記新規オーダーの工程毎に最遅開始時刻を算出して、最遅開始時刻として記憶する最遅開始時刻算出ステップと、前記前回計画に基づいて、前記前回計画の各工程について開始時刻を取得して、前回計画の開始時刻として記憶する前回計画の開始時刻取得ステップと、前記前回計画の各工程に関する前記最遅開始時刻及び前記前回計画の開始時刻に基づいて、前記前回計画の開始時刻をX軸、前記最遅開始時刻をY軸として、前記設備毎に当該設備に割り付けられた前記前回計画の各工程をプロットし、前記設備毎の前記前回計画の開始時刻と前記最遅開始時刻に関する近似曲線を計算する近似曲線算出ステップと、前記新規オーダーの各工程の前記最遅開始時刻と、前記近似曲線に基づいて、前記新規オーダーの各工程を割付可能な設備の前記近似曲線上の前記新規オーダーの各工程の前記最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻の過去方向の隣の工程と未来方向の隣の工程の間の時間を前記新規オーダーの各工程の基準時刻として算出し、算出した前記新規オーダーの各工程の基準時刻を前記新規オーダーの各工程の前回計画の開始時刻とみなして前回計画の開始時刻に記憶する基準時刻算出ステップと、1台の前記設備で複数の工程を同時に作業することができない制約と、ある工程と次工程との間には前記搬送時間が空いているという制約を考慮して、前記前回計画の開始時刻が早い順に、前記前回計画の各工程及び前記新規オーダーの各工程の全工程を使用する設備に割り付けて、再スケジュールを実行する再スケジュール実行ステップと、作成された前記再スケジュールの結果をスケジュール情報に記憶して出力する最新スケジュール結果出力ステップと、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るスケジュール作成プログラムは、複数のオーダーについて、納期と、その製品を製造するために通過する工程とその順序と、各工程で使用する設備と、各工程の作業時間と、設備間の搬送時間とがオーダー情報として記憶され、オーダー毎の各工程の最も遅い開始時刻である最遅開始時刻が早い順に、前記各工程に関して使用する設備と開始時刻と終了時刻とが決定されて既に作成されたスケジュールである前回計画に対して、新たに注文された新規オーダーを追加して再スケジュールを行うスケジュール作成プログラムであって、前記新規オーダーに関して、新規オーダーの納期と、新規オーダーの製品を製造するために通過する工程とその順序と、各工程で使用する設備と、各工程の作業時間とを、前記オーダー情報として記憶するオーダー情報記憶ステップと、前記オーダー情報及び前記設備間の搬送時間に基づいて、前記前回計画及び前記新規オーダーの工程毎に最遅開始時刻を算出して、最遅開始時刻として記憶する最遅開始時刻算出ステップと、前記前回計画に基づいて、前記前回計画の各工程について開始時刻を取得して、前回計画の開始時刻として記憶する前回計画の開始時刻取得ステップと、前記前回計画の各工程に関する前記最遅開始時刻及び前記前回計画の開始時刻に基づいて、前記前回計画の開始時刻をX軸、前記最遅開始時刻をY軸として、前記設備毎に当該設備に割り付けられた前記前回計画の各工程をプロットし、前記設備毎の前記前回計画の開始時刻と前記最遅開始時刻に関する近似曲線を計算する近似曲線算出ステップと、前記新規オーダーの各工程の前記最遅開始時刻と、前記近似曲線に基づいて、前記新規オーダーの各工程を割付可能な設備の前記近似曲線上の前記新規オーダーの各工程の前記最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻の過去方向の隣の工程と未来方向の隣の工程の間の時間を前記新規オーダーの各工程の基準時刻として算出し、算出した前記新規オーダーの各工程の基準時刻を前記新規オーダーの各工程の前回計画の開始時刻とみなして前回計画の開始時刻に記憶する基準時刻算出ステップと、1台の前記設備で複数の工程を同時に作業することができない制約と、ある工程と次工程との間には前記搬送時間が空いているという制約を考慮して、前記前回計画の開始時刻が早い順に、前記前回計画の各工程及び前記新規オーダーの各工程の全工程を使用する設備に割り付けて、再スケジュールを実行する再スケジュール実行ステップと、作成された前記再スケジュールの結果をスケジュール情報に記憶して出力する最新スケジュール結果出力ステップと、を有し、計算機において演算部により読み出して各ステップの処理を実行させることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るスケジュール作成装置は、計算機の演算部を用いて、複数のオーダーについて、納期と、その製品を製造するために通過する工程とその順序と、各工程で使用する設備と、各工程の作業時間と、設備間の搬送時間とがオーダー情報として記憶され、オーダー毎の各工程の最も遅い開始時刻である最遅開始時刻が早い順に、前記各工程に関して使用する設備と開始時刻と終了時刻とが決定されて既に作成されたスケジュールである前回計画に対して、新たに注文された新規オーダーを追加して再スケジュールを行うスケジュール作成装置であって、前記新規オーダーに関して、新規オーダーの納期と、新規オーダーの製品を製造するために通過する工程とその順序と、各工程で使用する設備と、各工程の作業時間とを、前記オーダー情報として記憶するオーダー情報記憶部と、前記オーダー情報及び前記設備間の搬送時間に基づいて、前記前回計画及び前記新規オーダーの工程毎に最遅開始時刻を算出して、最遅開始時刻として記憶する最遅開始時刻算出部と、前記前回計画に基づいて、前記前回計画の各工程について開始時刻を取得して、前回計画の開始時刻として記憶する前回計画の開始時刻取得部と、前記前回計画の各工程に関する前記最遅開始時刻及び前記前回計画の開始時刻に基づいて、前記前回計画の開始時刻をX軸、前記最遅開始時刻をY軸として、前記設備毎に当該設備に割り付けられた前記前回計画の各工程をプロットし、前記設備毎の前記前回計画の開始時刻と前記最遅開始時刻に関する近似曲線を計算する近似曲線算出部と、前記新規オーダーの各工程の前記最遅開始時刻と、前記近似曲線に基づいて、前記新規オーダーの各工程を割付可能な設備の前記近似曲線上の前記新規オーダーの各工程の前記最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻の過去方向の隣の工程と未来方向の隣の工程の間の時間を前記新規オーダーの各工程の基準時刻として算出し、算出した前記新規オーダーの各工程の基準時刻を前記新規オーダーの各工程の前回計画の開始時刻とみなして前回計画の開始時刻に記憶する基準時刻算出部と、1台の前記設備で複数の工程を同時に作業することができない制約と、ある工程と次工程との間には前記搬送時間が空いているという制約を考慮して、前記前回計画の開始時刻が早い順に、前記前回計画の各工程及び前記新規オーダーの各工程の全工程を使用する設備に割り付けて、再スケジュールを実行する再スケジュール実行部と、作成された前記再スケジュールの結果をスケジュール情報に記憶して出力する最新スケジュール結果出力部と、を有することを特徴とする。
【0011】
これによると、前回計画において、前回計画の開始時刻が最遅開始時刻の早い順に並んでいない場合であっても、新規オーダーの各工程について、設備毎の前回計画の開始時刻と最遅開始時刻に関する近似曲線に基づいて算出された基準時刻が、前回計画の開始時刻とみなされ、前回計画の各工程と新規オーダーの各工程の全工程について、前回計画の開始時刻が早い順に使用する設備に割り付けられて再スケジュールが行われる。従って、納期遵守のための優先順に関する基本的なルール(最遅開始時刻の早い順)を考慮しつつ、既に作成されたスケジュールと新たに作成されるスケジュールの内容が大きく変わるのを防止した再スケジュールを作成することができる。
ここで、近似曲線とは、y = a + bxの式で表される線形近似線を意味し、データ系列の傾向や方向性を視覚的に表したものであって、本発明では、前回計画の開始時刻をX軸、最遅開始時刻をY軸として、設備毎に当該設備に割り付けられた前回計画の各工程をプロットしたデータ群に関して、前回計画の開始時刻と最遅開始時刻の前後関係を示すために使用するものである。
【0012】
ここで、本発明に係るスケジュール作成方法及びスケジュール作成プログラム、並びにスケジュール作成装置では、前記基準時刻は、前記近似曲線上の前記新規オーダーの各工程の前記最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻として算出する、或いは、前記近似曲線上の前記新規オーダーの各工程の前記最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻に基づいて、(前回計画の開始時刻が過去方向の隣の工程の前回計画の開始時刻+前回計画の開始時刻が未来方向の隣の工程の前回計画の開始時時刻)/2として算出して良い。
【0013】
これにより、新規オーダーの各工程の基準時刻が、近似曲線上の最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻として、或いは、近似曲線上の最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻に基づいて、(前回計画の開始時刻が過去方向の隣の工程の前回計画の開始時刻+前回計画の開始時刻が未来方向の隣の工程の前回計画の開始時時刻)/2として算出される。従って、近似曲線上の最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻に基づいて、前回計画の開始時刻が過去方向の隣の工程と、前回計画の開始時刻が未来方向の隣の工程との間で、新規オーダーの各工程の基準時刻が具体的に決定される。
【0014】
また、本発明に係るスケジュール作成方法及びスケジュール作成プログラム、並びにスケジュール作成装置では、前記前回計画は、前記最遅開始時刻が早く、且つ、残り工程数の多い順に前記各工程に関して使用する設備と開始時刻と終了時刻とが決定されて良い。
【0015】
これにより、納期遵守のための優先順に関する基本的なルールが、最遅開始時刻の早い順であって、且つ、残り工程数の多い順である場合に、本発明を適用することができる。
【0016】
尚、本発明に係る生産計画作成プログラムは、リムーバブル型記録媒体やハードディスクなどの固定型記録媒体に記録して配布可能である他、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して配布可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のスケジュール作成方法及びスケジュール作成プログラム、並びにスケジュール作成装置は、適切なタイミングで、適切な作業者に交代して作業する計画を立案できると共に、納期遅れや、全オーダーに対するリードタイム(=全オーダーの第1工程の開始時刻のうち最も早い開始時刻−全オーダーの最終工程の終了時刻の中で最も遅い終了時刻)を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係るスケジュール作成装置のブロック図である。
【図2】本実施形態に係るスケジュール作成方法の処理の手順について説明したフローチャートである。
【図3】本実施形態の一例としてオーダーの納期とオーダーの各工程の最遅開始時刻との関係を示す図である。
【図4】本実施形態の一例として前回計画の開始時刻をX軸、最遅開始時刻をY軸として算出された近似曲線に基づいて、新規オーダーの各工程の最遅開始時刻12と、それに対応する前回計画の開始時刻とを示す図である。
【図5】本実施形態の一例として、新規オーダーを含む複数のオーダーの工程と割付リストとの関係を示す図である。
【図6】本実施形態の一例として、割付リストを更新する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係るスケジュール作成方法及びスケジュール作成プログラム、並びにスケジュール作成装置を実施するための形態について、具体的な一例に即して説明する。
【0020】
尚、以下に説明するものは、例示したものにすぎず、本発明に係るスケジュール作成方法及びスケジュール作成プログラム、並びにスケジュール作成装置の適用限界を示すものではない。すなわち、本発明に係るスケジュール作成方法及びスケジュール作成プログラム、並びにスケジュール作成装置は、下記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな変更が可能なものである。
【0021】
本実施形態では、既に作成されたスケジュールである前回計画に対して、新たに注文された新規オーダーを追加して再スケジュールを行う場合を想定している。従って、以下説明するオーダー情報11には、既に、複数のオーダーについて、納期と、その製品を製造するために通過する工程とその順序と、各工程で使用する設備と、各工程の作業時間と、設備間の搬送時間とがオーダー情報として記憶されている。また、以下説明するスケジュール情報14には、以下説明するスケジューラ26により、オーダー毎の各工程の最も遅い開始時刻である最遅開始時刻が早い順に、各工程に関して使用する設備と開始時刻と終了時刻とが決定されて既に作成されたスケジュールである前回計画が記憶されている。
【0022】
まず、本実施形態に係るスケジュール作成装置について、図1に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るスケジュール作成装置のブロック図である。スケジュール作成装置1は、演算部と、記憶部と、入力部と、出力部と、から構成されて、計算機上に実装される。ここで、図1に示されているスケジュール作成装置1の各部(演算部、記憶部、入力部、及び、出力部)は、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等の計算機によって構成されている。かかる計算機には、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、CD−ROMの駆動装置などのハードウェアが収納されており、ハードディスクには、プログラム(このプログラムは、リムーバブルな記憶媒体に記録しておくことにより、様々なコンピュータにインストールすることが可能である)を含む各種のソフトウェアが記録されている。そして、これらのハードウェア及びソフトウェアが組み合わされることによって、上述の各部が構築されている。
【0023】
図1に示すように、スケジュール作成装置1は、オーダー情報11と、スケジュール情報12と、新規オーダー情報記憶部21と、最遅開始時刻算出部22と、前回計画の開始時刻取得部23と、近似曲線算出部24と、基準時刻算出部25と、スケジューラ26と、最新スケジュール結果出力部26と、から構成される。
【0024】
新規オーダー情報記憶部21は、新たに注文された新規オーダーに関して、新規オーダーの納期と、新規オーダーの製品を製造するために通過する工程とその順序と、各工程で使用する設備と、各工程の作業時間とを、オーダー情報11として外部から登録されて記憶するためのものである。また、上述の通り、オーダー情報11には、前回計画においてスケジュール作成の対象となったオーダーについて、納期と、その製品を製造するために通過する工程とその順序と、各工程で使用する設備と、各工程の作業時間と、設備間の搬送時間とが既に記憶されている。ここで、前回計画においてスケジュール作成の対象となったオーダーについてのオーダー情報11は、前回計画におけるスケジュール作成時に、図示しない入力部(キーボード等)から入力されたり、リムーバブルな記憶媒体に記録されて与えられたり、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して与えられたりして、記憶装置や補助記憶装置等に記憶される。
オーダー情報11として、具体的には、表1に例示する納期、表2に例示する通過する工程とその順序及び各工程で使用する設備、表3に例示する工程の作業時間、表4に例示する設備間の搬送時間が記憶される。ここで、表1〜3に示す具体例において、オーダー1,2を前回計画において対象となったオーダー、オーダー3を新規オーダーとしている。
【0025】
【表1】

【0026】
【表2】

【0027】
【表3】

【0028】
【表4】

【0029】
最遅開始時刻算出部22は、オーダー情報11に基づいて、各オーダーの工程毎に最遅開始時刻を算出して、最遅開始時刻12として記憶するためのものである。ここで、各工程の最遅開始時刻は、オーダー毎の各工程の最も遅い開始時刻を意味し、図3に例示するように、オーダー毎に、オーダーの納期を基準に全工程を時系列に通過順序の順にバックワードで配置し(ここでは設備は考慮せず)、各工程の作業時間と設備間の搬送時間に基づいて算出する。また、最遅開始時刻算出部22では、新たに注文された新規オーダーの各工程と前回計画において複数の設備に割り付けられた工程の内の計画開始時刻である現時点で未処理の各工程(以下、前回計画の各工程と称する。)について、最遅開始時刻を計算する。
【0030】
前回計画の開始時刻取得部23は、既に作成されてスケジュール情報12に記憶されたスケジュール、即ち、前回計画に基づいて、前回計画の各工程について、開始時刻を取得して、前回計画の開始時刻13として記憶するためのものである。尚、既に作成されてスケジュール情報14に記憶されたスケジュールには、スケジュール作成の対象となったオーダーの各工程について、使用する設備、開始時刻(即ち、前回計画の開始時刻)、終了時刻が記憶されている。
【0031】
近似曲線算出部24は、前回計画の各工程に関する最遅開始時刻12及び前回計画の開始時刻13に基づいて、前回計画の開始時刻をX軸、最遅開始時刻をY軸として、設備毎に当該設備に割り付けられた前回計画の各工程をプロットし、設備毎の前回計画の開始時刻(X軸)と最遅開始時刻(Y軸)に関する近似曲線を計算するためのものである。ここで、近似曲線は、y=ax+bとして、a及びbの値を、次式に基づいて算出して、前回計画の開始時刻と最遅開始時刻の前後関係を示すために使用する。尚、次式において、nは当該設備に割り付けられた工程の数を表し、iは当該設備に割り付けられた工程について前回計画の開始時刻(x軸)の早い順番(1〜n)を意味する。
【0032】
【数1】

【0033】
基準時刻算出部25は、新規オーダーの各工程の最遅開始時刻12と、近似曲線算出部24で算出された近似曲線に基づいて、前回計画の開始時刻をX軸、最遅開始時刻をY軸として、新規オーダーの各工程を割付可能な設備の近似曲線において、新規オーダーの各工程の最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻を求め、求めた前回計画の開始時刻を新規オーダーの各工程の基準時刻として算出し、算出した新規オーダーの各工程の基準時刻を新規オーダーの各工程の前回計画の開始時刻とみなして前回計画の開始時刻13に記憶するためのものである。
尚、基準時刻は、新規オーダーの各工程の最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻として算出しても良いし、新規オーダーの各工程の最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻に基づいて、(前回計画の開始時刻が過去方向の隣の工程の前回計画の開始時刻+前回計画の開始時刻が未来方向の隣の工程の前回計画の開始時時刻)/2として算出しても良く、新規オーダーの各工程の最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻の過去方向の隣の工程と未来方向の隣の工程の間の時間として算出されればよい。
具体的には、図4に示すように、新規オーダーが第1工程〜第4工程あり、設備M1に割り付けられる工程が第1工程であって、設備M1に割り付いている前回計画の各工程がW1〜W5まで存在する場合、設備M1の近似曲線における新規オーダーの第1工程の最遅開始時刻(図4中の星印)に対応する前回計画の開始時刻に基づいて、(前回計画の開始時刻が過去方向の隣の工程W3の前回計画の開始時刻x3+前回計画の開始時刻が未来方向の隣の工程W4の前回計画の開始時時刻x4)/2を、基準時刻として算出する。そして、新規オーダーの第2工程〜第4工程に関しても、第1工程と同様に基準時刻を算出する。
【0034】
スケジューラ(再スケジュール実行部)26は、前回計画の開始時刻13に基づいて、所定の制約条件を考慮して、前回計画の各工程及び新規オーダーの各工程の全工程を使用する設備に割り付けて、再スケジュールを実行するためのものである。ここで、所定の制約条件とは、1台の設備で、複数の工程を同時に作業することができない制約と、ある工程と次工程との間には、最低搬送時間(設備間の搬送時間)が空いているという制約である。具体的には、スケジューラ26は、図5に例示するように、まず、前回計画の各工程及び新規オーダーの各工程の中から、オーダー単位で、通過順序が最も早い工程を抽出して割付リストに登録する(図5では、オーダー1の工程W1-1/M1、オーダー2の工程W2-1/M1、オーダー3の工程W3-1/M2)。そして、割付リストの中で、前回計画の開始時刻が最も早い工程を選択する。次に、選択した工程を、「前工程の終了時刻+前工程と当該工程との間の搬送時間」(第1工程の場合は、計画開始時刻)以降の当該設備の割付可能時間に割り付ける。即ち、選択した工程について、使用する設備、開始時刻、終了時刻が決定される。そして、図6に例示するように、オーダー単位で、通過順序が割り付けた工程の次の工程(図6では、オーダー1の工程W1-1/M1の次工程である工程W1-2/M3)を割付リストに登録する。このように、全ての工程を順番に割り付けていく。尚、図5及び図6において、工程をW(オーダー番号)-(通過工程順)/(当該工程で使用する設備)として表現している。また、図5の例においては、オーダー1、2を前回計画において対象となったオーダーで、オーダー3を新規オーダーとしている。
【0035】
再スケジュール結果出力部27は、スケジューラ26によって作成された再スケジュールの結果(全工程について決定された、使用する設備、開始時刻、終了時刻)をスケジュール情報14に記憶すると共に、図示しないディスプレイ、プリンタ等の出力部に出力するためのものである。
【0036】
次に、本実施形態に係るスケジュール作成方法の処理の手順について、図2に基づいて、説明する。図2は、本実施形態に係るスケジュール作成方法の処理の手順について説明したフローチャートである。
尚、以下で説明する本実施形態に係るスケジュール作成方法の処理は、計算機においても同様に、スケジュール作成プログラムとしてCPUにより読み出して実行することができる。また、このスケジュール作成プログラムは、リムーバブルな記憶媒体に記録しておくことにより、様々な計算機の記憶装置にインストールすることが可能である。
【0037】
図2に示すように、計算機において、新たに注文された新規オーダーに関して、新規オーダーの納期と、新規オーダーの製品を製造するために通過する工程とその順序と、各工程で使用する設備と、各工程の作業時間とを、外部から登録されて、オーダー情報11として記憶部に記憶する。(S1:オーダー情報記憶ステップ)。ここで、記憶部には、オーダー情報11として、前回計画においてスケジュール作成の対象となったオーダーについて、納期と、その製品を製造するために通過する工程とその順序と、各工程で使用する設備と、各工程の作業時間と、設備間の搬送時間とが既に記憶されている記憶部に記憶されている。尚、本ステップは、上述したスケジュール作成装置1の新規オーダー情報記憶部21及びオーダー情報11に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0038】
そして、オーダー情報11に基づいて、各オーダーの工程毎に最遅開始時刻を算出して、最遅開始時刻12として記憶するためのものである(S2:最遅開始時刻算出ステップ)。尚、本ステップは、上述したスケジュール作成装置1の最遅開始時刻算出部22に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0039】
次に、既に作成されてスケジュール情報14に記憶されたスケジュール、即ち、前回計画に基づいて、前回計画の各工程について、開始時刻を取得して、前回計画の開始時刻13として記憶する(S3:前回計画の開始時刻取得ステップ)。尚、本ステップは、上述したスケジュール作成装置1の前回計画の開始時刻取得部23に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0040】
そして、前回計画の各工程に関する最遅開始時刻12及び前回計画の開始時刻13に基づいて、前回計画の開始時刻をX軸、最遅開始時刻をY軸として、設備毎に当該設備に割り付けられた前回計画の各工程をプロットし、設備毎の前回計画の開始時刻(X軸)と最遅開始時刻(Y軸)に関する近似曲線を計算する(S4:近似曲線算出ステップ)。尚、本ステップは、上述したスケジュール作成装置1の近似曲線算出部24に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0041】
次に、新規オーダーの各工程の最遅開始時刻12と、ステップS4で算出された近似曲線に基づいて、前回計画の開始時刻をX軸、最遅開始時刻をY軸として、新規オーダーの各工程を割付可能な設備の近似曲線において、新規オーダーの各工程の最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻を求め、求めた前回計画の開始時刻を新規オーダーの各工程の基準時刻として算出し、算出した新規オーダーの各工程の基準時刻を新規オーダーの各工程の前回計画の開始時刻とみなして前回計画の開始時刻13に記憶する(S5:基準時刻算出ステップ)。尚、本ステップは、上述したスケジュール作成装置1の基準時刻算出部25に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0042】
そして、前回計画の開始時刻13に基づいて、所定の制約条件を考慮して、前回計画の各工程及び新規オーダーの各工程の全工程を使用する設備に割り付けて、再スケジュールを実行する(S6:再スケジュール実行ステップ)。尚、本ステップは、上述したスケジュール作成装置1のスケジューラ26に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0043】
最後に、ステップS6によって作成された再スケジュールの結果をスケジュール情報14に記憶すると共に、図示しないディスプレイ、プリンタ等の出力部に出力し(S7:最新スケジュール結果出力ステップ)、スケジュール作成方法の処理を終了する。尚、本ステップは、上述したスケジュール作成装置1の再スケジュール結果出力部27に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0044】
このように、本実施形態のスケジュール作成装置及びスケジュール作成方法、並びにスケジュール作成プログラムによれば、前回計画において、前回計画の開始時刻が最遅開始時刻の早い順に並んでいない場合であっても、新規オーダーの各工程について、設備毎の前回計画の開始時刻と最遅開始時刻に関する近似曲線に基づいて算出された基準時刻が、前回計画の開始時刻とみなされ、前回計画の各工程と新規オーダーの各工程の全工程について、前回計画の開始時刻が早い順に使用する設備に割り付けられて再スケジュールが行われる。従って、納期遵守のための優先順に関する基本的なルール(最遅開始時刻の早い順)を考慮しつつ、既に作成されたスケジュールと新たに作成されるスケジュールの内容が大きく変わるのを防止した再スケジュールを作成することができる。
【0045】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな変更が可能なものである。
【0046】
例えば、上記実施形態では、スケジュール情報14には、スケジューラ26により、オーダー毎の各工程の最も遅い開始時刻である最遅開始時刻が早い順に、各工程に関して使用する設備と開始時刻と終了時刻とが決定されて既に作成されたスケジュールである前回計画が記憶されているが、それに限らず、オーダー毎の各工程の最も遅い開始時刻である最遅開始時刻が早い順であって、且つ、残り工程数の多い順に、各工程に関して使用する設備と開始時刻と終了時刻とが決定されて既に作成されたスケジュールである前回計画が記憶されてよい。これによって、最遅開始時刻が同じ工程の優先順が決定されて、より納期を遵守するスケジュールが作成される。
【符号の説明】
【0047】
1 スケジュール作成装置
12 スケジュール情報
21 オーダー情報記憶部
22 最遅開始時刻算出部
23 前回計画の開始時刻取得部
24 近似曲線算出部
25 基準時刻算出部
26 スケジューラ(再スケジュール実行部)
27 再スケジュール結果出力部
S1 オーダー情報記憶ステップ
S2 最遅開始時刻算出ステップ
S3 前回計画の開始時刻取得ステップ
S4 近似曲線算出ステップ
S5 基準時刻算出ステップ
S6 再スケジュール実行ステップ
S7 再スケジュール結果出力ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のオーダーについて、納期と、その製品を製造するために通過する工程とその順序と、各工程で使用する設備と、各工程の作業時間と、設備間の搬送時間とがオーダー情報として記憶され、オーダー毎の各工程の最も遅い開始時刻である最遅開始時刻が早い順に、前記各工程に関して使用する設備と開始時刻と終了時刻とが決定されて既に作成されたスケジュールである前回計画に対して、新たに注文された新規オーダーを追加して再スケジュールを行うスケジュール作成方法であって、
計算機の演算部により実行される処理が、
前記新規オーダーに関して、新規オーダーの納期と、新規オーダーの製品を製造するために通過する工程とその順序と、各工程で使用する設備と、各工程の作業時間とを、前記オーダー情報として記憶するオーダー情報記憶ステップと、
前記オーダー情報及び前記設備間の搬送時間に基づいて、前記前回計画及び前記新規オーダーの工程毎に最遅開始時刻を算出して、最遅開始時刻として記憶する最遅開始時刻算出ステップと、
前記前回計画に基づいて、前記前回計画の各工程について開始時刻を取得して、前回計画の開始時刻として記憶する前回計画の開始時刻取得ステップと、
前記前回計画の各工程に関する前記最遅開始時刻及び前記前回計画の開始時刻に基づいて、前記前回計画の開始時刻をX軸、前記最遅開始時刻をY軸として、前記設備毎に当該設備に割り付けられた前記前回計画の各工程をプロットし、前記設備毎の前記前回計画の開始時刻と前記最遅開始時刻に関する近似曲線を計算する近似曲線算出ステップと、
前記新規オーダーの各工程の前記最遅開始時刻と、前記近似曲線に基づいて、前記新規オーダーの各工程を割付可能な設備の前記近似曲線上の前記新規オーダーの各工程の前記最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻の過去方向の隣の工程と未来方向の隣の工程の間の時間を前記新規オーダーの各工程の基準時刻として算出し、算出した前記新規オーダーの各工程の基準時刻を前記新規オーダーの各工程の前回計画の開始時刻とみなして前回計画の開始時刻に記憶する基準時刻算出ステップと、
1台の前記設備で複数の工程を同時に作業することができない制約と、ある工程と次工程との間には前記搬送時間が空いているという制約を考慮して、前記前回計画の開始時刻が早い順に、前記前回計画の各工程及び前記新規オーダーの各工程の全工程を使用する設備に割り付けて、再スケジュールを実行する再スケジュール実行ステップと、
作成された前記再スケジュールの結果をスケジュール情報に記憶して出力する最新スケジュール結果出力ステップと、
を有することを特徴とするスケジュール作成方法。
【請求項2】
前記基準時刻は、前記近似曲線上の前記新規オーダーの各工程の前記最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻として算出する、或いは、前記近似曲線上の前記新規オーダーの各工程の前記最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻に基づいて、(前回計画の開始時刻が過去方向の隣の工程の前回計画の開始時刻+前回計画の開始時刻が未来方向の隣の工程の前回計画の開始時時刻)/2として算出することを特徴とする請求項1に記載のスケジュール作成方法。
【請求項3】
前記前回計画は、前記最遅開始時刻が早く、且つ、残り工程数の多い順に前記各工程に関して使用する設備と開始時刻と終了時刻とが決定されることを特徴とする請求項1または2に記載のスケジュール作成方法。
【請求項4】
複数のオーダーについて、納期と、その製品を製造するために通過する工程とその順序と、各工程で使用する設備と、各工程の作業時間と、設備間の搬送時間とがオーダー情報として記憶され、オーダー毎の各工程の最も遅い開始時刻である最遅開始時刻が早い順に、前記各工程に関して使用する設備と開始時刻と終了時刻とが決定されて既に作成されたスケジュールである前回計画に対して、新たに注文された新規オーダーを追加して再スケジュールを行うスケジュール作成プログラムであって、
前記新規オーダーに関して、新規オーダーの納期と、新規オーダーの製品を製造するために通過する工程とその順序と、各工程で使用する設備と、各工程の作業時間とを、前記オーダー情報として記憶するオーダー情報記憶ステップと、
前記オーダー情報及び前記設備間の搬送時間に基づいて、前記前回計画及び前記新規オーダーの工程毎に最遅開始時刻を算出して、最遅開始時刻として記憶する最遅開始時刻算出ステップと、
前記前回計画に基づいて、前記前回計画の各工程について開始時刻を取得して、前回計画の開始時刻として記憶する前回計画の開始時刻取得ステップと、
前記前回計画の各工程に関する前記最遅開始時刻及び前記前回計画の開始時刻に基づいて、前記前回計画の開始時刻をX軸、前記最遅開始時刻をY軸として、前記設備毎に当該設備に割り付けられた前記前回計画の各工程をプロットし、前記設備毎の前記前回計画の開始時刻と前記最遅開始時刻に関する近似曲線を計算する近似曲線算出ステップと、
前記新規オーダーの各工程の前記最遅開始時刻と、前記近似曲線に基づいて、前記新規オーダーの各工程を割付可能な設備の前記近似曲線上の前記新規オーダーの各工程の前記最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻の過去方向の隣の工程と未来方向の隣の工程の間の時間を前記新規オーダーの各工程の基準時刻として算出し、算出した前記新規オーダーの各工程の基準時刻を前記新規オーダーの各工程の前回計画の開始時刻とみなして前回計画の開始時刻に記憶する基準時刻算出ステップと、
1台の前記設備で複数の工程を同時に作業することができない制約と、ある工程と次工程との間には前記搬送時間が空いているという制約を考慮して、前記前回計画の開始時刻が早い順に、前記前回計画の各工程及び前記新規オーダーの各工程の全工程を使用する設備に割り付けて、再スケジュールを実行する再スケジュール実行ステップと、
作成された前記再スケジュールの結果をスケジュール情報に記憶して出力する最新スケジュール結果出力ステップと、
を有し、計算機において演算部により読み出して各ステップの処理を実行させることを特徴とするスケジュール作成プログラム。
【請求項5】
前記基準時刻は、前記近似曲線上の前記新規オーダーの各工程の前記最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻として算出する、或いは、前記近似曲線上の前記新規オーダーの各工程の前記最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻に基づいて、(前回計画の開始時刻が過去方向の隣の工程の前回計画の開始時刻+前回計画の開始時刻が未来方向の隣の工程の前回計画の開始時時刻)/2として算出することを特徴とする請求項4に記載のスケジュール作成プログラム。
【請求項6】
前記前回計画は、前記最遅開始時刻が早く、且つ、残り工程数の多い順に前記各工程に関して使用する設備と開始時刻と終了時刻とが決定されることを特徴とする請求項4または5に記載のスケジュール作成プログラム。
【請求項7】
計算機の演算部を用いて、複数のオーダーについて、納期と、その製品を製造するために通過する工程とその順序と、各工程で使用する設備と、各工程の作業時間と、設備間の搬送時間とがオーダー情報として記憶され、オーダー毎の各工程の最も遅い開始時刻である最遅開始時刻が早い順に、前記各工程に関して使用する設備と開始時刻と終了時刻とが決定されて既に作成されたスケジュールである前回計画に対して、新たに注文された新規オーダーを追加して再スケジュールを行うスケジュール作成装置であって、
前記新規オーダーに関して、新規オーダーの納期と、新規オーダーの製品を製造するために通過する工程とその順序と、各工程で使用する設備と、各工程の作業時間とを、前記オーダー情報として記憶するオーダー情報記憶部と、
前記オーダー情報及び前記設備間の搬送時間に基づいて、前記前回計画及び前記新規オーダーの工程毎に最遅開始時刻を算出して、最遅開始時刻として記憶する最遅開始時刻算出部と、
前記前回計画に基づいて、前記前回計画の各工程について開始時刻を取得して、前回計画の開始時刻として記憶する前回計画の開始時刻取得部と、
前記前回計画の各工程に関する前記最遅開始時刻及び前記前回計画の開始時刻に基づいて、前記前回計画の開始時刻をX軸、前記最遅開始時刻をY軸として、前記設備毎に当該設備に割り付けられた前記前回計画の各工程をプロットし、前記設備毎の前記前回計画の開始時刻と前記最遅開始時刻に関する近似曲線を計算する近似曲線算出部と、
前記新規オーダーの各工程の前記最遅開始時刻と、前記近似曲線に基づいて、前記新規オーダーの各工程を割付可能な設備の前記近似曲線上の前記新規オーダーの各工程の前記最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻の過去方向の隣の工程と未来方向の隣の工程の間の時間を前記新規オーダーの各工程の基準時刻として算出し、算出した前記新規オーダーの各工程の基準時刻を前記新規オーダーの各工程の前回計画の開始時刻とみなして前回計画の開始時刻に記憶する基準時刻算出部と、
1台の前記設備で複数の工程を同時に作業することができない制約と、ある工程と次工程との間には前記搬送時間が空いているという制約を考慮して、前記前回計画の開始時刻が早い順に、前記前回計画の各工程及び前記新規オーダーの各工程の全工程を使用する設備に割り付けて、再スケジュールを実行する再スケジュール実行部と、
作成された前記再スケジュールの結果をスケジュール情報に記憶して出力する最新スケジュール結果出力部と、
を有することを特徴とするスケジュール作成装置。
【請求項8】
前記基準時刻は、前記近似曲線上の前記新規オーダーの各工程の前記最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻として算出する、或いは、前記近似曲線上の前記新規オーダーの各工程の前記最遅開始時刻に対応する前回計画の開始時刻に基づいて、(前回計画の開始時刻が過去方向の隣の工程の前回計画の開始時刻+前回計画の開始時刻が未来方向の隣の工程の前回計画の開始時時刻)/2として算出することを特徴とする請求項7に記載のスケジュール作成装置。
【請求項9】
前記前回計画は、前記最遅開始時刻が早く、且つ、残り工程数の多い順に前記各工程に関して使用する設備と開始時刻と終了時刻とが決定されることを特徴とする請求項7または8に記載のスケジュール作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−109681(P2013−109681A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255765(P2011−255765)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】