スタジオシステム
【課題】上記従来の撮影方法では、円周スクリーンの外にスタッフなどがいるため完全円周スクリーンを使用することが難しい。また逆に半円周スクリーンを使用すると、スクリーンがない部分についてはバックの背景を入れることができず、全周囲に背景があるような映像は撮影できない、という課題がある。
【解決手段】上記課題解決のため、本発明は以下のような構成を備えることで半円周スクリーンを使用しながらも、全周囲で背景映像をバックとする映像を撮影することができるスタジオシステムを提供する。具体的に、撮影対象を載せるための円形ターンテーブルと、前記円形ターンテーブルの端部に沿って設立されているスクリーンと、スクリーンを背景として撮影対象を撮影するため、円形ターンテーブルの外に立脚する撮影カメラと、を備えたスタジオシステムを提供する。
【解決手段】上記課題解決のため、本発明は以下のような構成を備えることで半円周スクリーンを使用しながらも、全周囲で背景映像をバックとする映像を撮影することができるスタジオシステムを提供する。具体的に、撮影対象を載せるための円形ターンテーブルと、前記円形ターンテーブルの端部に沿って設立されているスクリーンと、スクリーンを背景として撮影対象を撮影するため、円形ターンテーブルの外に立脚する撮影カメラと、を備えたスタジオシステムを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影対象の全周囲などにあたかも背景があるかのように撮影することができるスタジオシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタジオ内で所定の背景をバックとした映像を撮影しようとする場合、所定の背景を再現するセットを組んで撮影する方法などで実現することができる。しかし、そのようなセットを組むためには費用、時間、労力などがかかってしまう。そこで、スタジオ内にスクリーンを円周状に立てて、その内部にて被写体を撮影するとともにスクリーンに映像を投影する、あるいは撮影後に映像内の(ブルーバック)スクリーンに対してクロマキー合成処理をすることなどによって、安価かつ容易にスタジオ内で所定の背景をバックとした映像を撮影することができる。
【特許文献1】特開2004−56742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来の撮影方法には以下のような課題がある。すなわち撮影スタジオ内には、撮影の演出や管理をするディレクターをはじめとする現場スタッフがおり、円周スクリーンの外から円周スクリーン内部の被写体やカメラワークなどに対して指示を送る必要がある。また照明やその他機材も円周スクリーンの外に配置しておく必要がある。そのため完全円周スクリーン(円周が閉じているスクリーン)を使用する場合、円周スクリーン内の様子が把握できず指示が出しづらい、あるいは上手く照明やその他機材を円周スクリーン内部にて機能させることが難しい、といった課題である。
【0004】
また、逆に半円周スクリーン(円周の一部が開いているスクリーン)を使用すると、スクリーンがない部分についてはバックの背景を入れることができず、全周囲に背景があるような映像は撮影できないことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることで半円周スクリーンを使用しながらも、全周囲で背景映像をバックとする映像を撮影することができるスタジオシステムを提供する。具体的に、撮影対象を載せるための円形ターンテーブルと、前記円形ターンテーブルの端部に沿って設立されているスクリーンと、スクリーンを背景として撮影対象を撮影するため、円形ターンテーブルの外に立脚する撮影カメラと、を備えたスタジオシステムである。
【0006】
すなわち、スクリーンの開き部分にバックの背景映像が必要な場合は、カメラとは独立して動く円形ターンテーブルに被写体を載せて回転させることで被写体の角度を変えて、バックにスクリーンのある状態で映像を撮影する、という具合である。
【0007】
また上記構成を基本として、撮影カメラを円形ターンテーブル外部のテレスコピッククレーンに吊るして撮影するよう構成されたスタジオシステムも提供する。具体的に、上記構成に加えて、前記撮影カメラを前記円形ターンテーブル上空の任意位置に移動可能なように吊下げる前記ターンテーブル外に配置されるテレスコピッククレーンをさらに有するスタジオシステムである。
【0008】
また上記構成において、スクリーンに対して円形ターンテーブルの回転と同期させて背景映像を投影する機能をさらに備えるスタジオシステムも提供する。具体的に、上記構成に加えて、前記円形ターンテーブルを駆動する駆動部と、前記スクリーンに映像を投影する投影部と、利用者からの操作入力を受け付ける操作入力部と、受け付けた操作入力に応じて駆動部と投影部とを同期制御する同期制御部と、を有するスタジオシステムである。
【0009】
また上記構成に加えて、さらに撮影カメラの映像と置換用映像とを合成する第一合成部と、クロマキー置換可能な映像を投影する投影部に備えられたクロマキー投影手段と、第一合成部にて合成に利用する置換用映像およびスクリーン用のクロマキー置換可能な映像を出力する第一置換用映像出力部と、同期制御部に備えられ第一置換用映像出力部をも同期制御する第一置換同期制御手段と、を有する請求項3に記載のスタジオシステムも提供する。
【0010】
また、上記構成において投影部を有さず、その替わりに、前記スクリーンはクロマキー用スクリーンであり、撮影カメラの映像と置換用映像とを合成する第二合成部と、第二合成部にて合成に利用する置換用映像を出力する第二置換用映像出力部と、同期制御部に備えられ第二置換用映像出力部をも同期制御する第二置換同期制御手段と、を有するスタジオシステムも提供する。
【発明の効果】
【0011】
以上のような構成をとる本発明によって、ディレクターなどが半円周スクリーンの開いている箇所から内部の様子を視認することもでき、また、照明やその他機材を機能させることができるとともに、被写体をあらゆる角度から撮影してもそのバックに背景があるかのような、例えば全円周の映像であっても撮影することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。なお、実施例1は、主に請求項1について説明する。また、実施例2は、主に請求項2について説明する。また、実施例3は、主に請求項3、6について説明する。また、実施例4は、主に請求項4、7について説明する。また、実施例5は、主に請求項5、8について説明する。
【0013】
≪実施例1≫
【0014】
<概要>
【0015】
図1は、本実施例のスタジオシステムによる映像撮影の概要、および構成の一例を説明するための図である。この図にあるように、本実施例のスタジオシステムでは、「円形ターンテーブル」(0101)が設けられ、その上に被写体が載せられている。また、この円形ターンテーブルの端部に沿って半周状の「スクリーン」(0102)が設立されており、また、円形ターンテーブルの回転に影響されない外側に「撮影カメラ」(0103)が備えられている。そして、半周状スクリーンの開いている側に撮影の演出などの指示を出すディレクターやその他スタッフがおり、また照明機材ははじめとする各種撮影用の機材がセッティングされている。
【0016】
ここで、撮影しながらカメラを半周させてバックにスクリーンが無い別の角度から被写体を撮影しようとする。そのような場合、本実施例のスタジオシステムでは、カメラを回転させる替わりに「円形ターンテーブル」を回転駆動させることで、その上に載っている被写体を回転させる。そして円形ターンテーブルの回転に影響されない外側に設置されている「撮影カメラ」で「スクリーン」を背景とする映像の撮影を行う。
【0017】
そして、例えば「スクリーン」をブルーバックスクリーンとして、撮影した映像に後から背景映像をクロマキー合成することで、被写体を中心としてその全周囲を背景に含めた映像を撮影する、という具合である。あるいは、映像の撮影時点で「スクリーン」に対してターンテーブルの回転と同期して遷移する背景映像を投影することで、被写体を中心としてその全周囲を背景に含めた映像を撮影するよう構成しても良い。
【0018】
<構成>
【0019】
以下、本実施例のスタジオシステムにおける構成要件である、上記の「円形ターンテーブル」(0101)と、「スクリーン」(0102)と、「撮影カメラ」(0103)とについて、その一例をさらに詳細に説明する。
【0020】
「円形ターンテーブル」(0101)は、撮影対象を載せるための、円形のターンテーブルである。そして、この「円形ターンテーブル」に被写体を載せて回転させることで、撮影カメラを大きく動かさずとも様々な角度から、常に後述のスクリーンが背景となるように被写体を撮影することができる。
【0021】
「スクリーン」(0102)は、円形ターンテーブルの端部の一部に沿って設立されているスクリーンである。具体的に、このスクリーンは例えば図1に示すような半円筒状のスクリーンが挙げられる。その他にも、図2に示すような半円錐台状や逆半円錐台状のスクリーンであっても良い。
【0022】
そして、このスクリーンが円形ターンテーブル端部の一部に沿って設立された「開放形状」であることで、そのスクリーンが省かれた方向にスタッフや撮影機材などを配置する領域を確保することができる。
【0023】
また、本実施例では前述のように円形ターンテーブルの回転を利用するため、被写体の全方向撮影などに際して撮影カメラを全回転などさせる必要が無い。スクリーンが半(開放形状の)円筒状などであっても、その開放部分を避けて常にスクリーンを背景とした映像を撮影することができる、という具合である。
【0024】
またこの「スクリーン」は、例えばクロマキー合成用のブルーバックなどの所定単一色のスクリーンであっても良い。その場合には、撮影後の映像に含まれるブルーバック部分に撮影カメラの回転に合わせて遷移する背景映像をクロマキー合成し、全方向から撮影したかのような全周囲映像などを作成することができる。
【0025】
あるいは実施例3にて後述するように、撮影時点でこの「スクリーン」に対してターンテーブルの回転と同期して遷移する背景映像を投影することで、全方向から撮影したかのような全周囲映像などを作成することもできる。
【0026】
「撮影カメラ」(0103)は、前記スクリーンを背景として撮影対象を撮影するため、円形ターンテーブルの外に立脚するカメラをいう。そして本発明では、このように撮影カメラが円形ターンテーブルの外に立脚しているので、ターンテーブルの回転の影響を受けずに撮影することができる、という具合である。なお、「円形ターンテーブルの外に立脚」するための方法としては、例えば図1に示すように天井部分から吊り下げて配置する方法や、スクリーン開放側の円形ターンテーブルの外に配置する方法などが挙げられる。
【0027】
<効果の簡単な説明>
【0028】
以上のように本実施例のスタジオシステムによって、ディレクターなどがスクリーンの開放部分から内部の様子を視認したり、照明やその他機材を機能させたりすることができるとともに、被写体のバックの全周囲に背景があるかのような映像を撮影することができる。
【0029】
≪実施例2≫
【0030】
<概要>
【0031】
図3は、本実施例のスタジオシステムによる映像撮影の概要、および構成の一例を説明するための図である。この図にあるように、本実施例のスタジオシステムでは、上記実施例を基本として「円形ターンテーブル」(0301)が設けられ、また、この円形ターンテーブルの端部に沿って半周状の「スクリーン」(0302)が設立されており、また「撮影カメラ」(0303)が備えられている。
【0032】
そして本実施例の特徴点は、この図にあるように撮影カメラが「テレスコピッククレーン」(0304)に吊り下げられている点である。
【0033】
<構成>
【0034】
以下、本実施例のスタジオシステムにおける構成要件である「テレスコピッククレーン」(0304)について、その一例をさらに詳細に説明する。なお、その他の「円形ターンテーブル」、「スクリーン」、「撮影カメラ」についてはすでに記載済みであるのでその説明が省略する。
【0035】
「テレスコピッククレーン」(0304)は、撮影カメラを前記円形ターンテーブル上空の任意位置に移動可能なように吊下げ、前記ターンテーブル外に配置されることを特徴とする。なお、「テレスコピッククレーン」とは、撮影カメラを吊り下げる腕部分が軸の方向に伸縮する機能を備えるクレーンをいう。したがってターンテーブルの外から撮影カメラが吊り下げられた腕部分を伸縮させることで、図4に示すようにターンテーブルの回転中であっても、その回転の影響を受けることなく被写体のクローズアップ映像や、望遠映像などを撮影することができる。
【0036】
また、図5に示すようにテレスコピッククレーンで撮影カメラを前記円形ターンテーブル上空の任意位置、例えば図中A,B,C,Dなどに移動可能であるため、スクリーンを背景としつつ様々な映像を撮影することができるので、画面変化を多様に付けた撮影を行うことができる。
【0037】
<効果の簡単な説明>
【0038】
以上のように本実施例のスタジオシステムによって、円形ターンテーブルの回転の影響を受けることなく被写体のクローズアップ映像や、望遠映像などを様々な角度から撮影することができるので、画面変化を多様に付けた撮影を行うことができる。
【0039】
≪実施例3≫
【0040】
<概要>
【0041】
図6は、本実施例のスタジオシステムにおける全周囲映像などの撮影方法の一例を表す概念図である。この図6(a)にあるように、ターンテーブル上に出演者Aがいる状態でターンテーブルを右回転させる。すると、図6(b)に示すように、出演者Aはカメラに対して右回転することになる。そして、それとともにスクリーンに投影されている背景映像Bも、その回転に同期して右方向に遷移した映像とする。そして、図6(c)にあるように、さらにターンテーブルの回転を続けていき、かつ背景映像Bの遷移も同様に同期して行うことで、あたかも出演者などの全周囲にも撮影物があるかのような映像を生成することができる、という具合である。
【0042】
以上のように本実施例のスタジオシステムでは、スクリーンに対し、ターンテーブルの回転に同期して遷移する背景映像を投影することで、リアリティのある全周囲映像などを撮影することができる。
【0043】
<機能的構成>
【0044】
図7は、本実施例のスタジオシステムにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「スタジオシステム」(0700)は、上記実施例1を基本として、「円形ターンテーブル」(0701)と、「スクリーン」(0702)と、「撮影カメラ」(0703)と、を備える。また実施例2を基本として、図示しない「テレスコピッククレーン」に「撮影カメラ」が吊り下げられていても構わない。なお、これら構成要件は、上記実施例にて記載済みであるので説明は省略する。
【0045】
そして、本実施例の特徴点は、スタジオシステムがさらに「駆動部」(0704)と、「投影部」(0705)と、「操作入力部」(0706)と、「同期制御部」(0707)と、を有する点である。
【0046】
なお、以下に記載する本スタジオシステムの機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの両方として実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUや主メモリ、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ、CDやDVDなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブなど)、情報入力に利用される入力デバイス、印刷機器や表示装置、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェース、通信用インターフェース、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、ユーザーインターフェース用アプリケーションなどが挙げられる。
【0047】
そして主メモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェースなどから入力されメモリやハードディスク上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、上記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。また、この発明はシステムとして実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、及び同製品を記録媒体に固定した記録媒体も、当然にこの発明の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0048】
「駆動部」(0704)は、前記円形ターンテーブルを駆動する機能を有し、例えば大型モータなどの回転動力器やその回転制御機構などで実現することができる。そして、駆動部にて円形ターンテーブルの回転タイミングや回転速度、回転方向などの駆動制御を行うことで、その回転と、後述する投影される背景映像の遷移などとを同期するよう制御することができる。
【0049】
「投影部」(0705)は、前記スクリーン(0702)に映像を投影する機能を有し、例えば、背景映像などを再生する再生装置と、その再生映像をスクリーンに投影するレンズなどを備えた投影機などによって実現することができる。このように投影部にてスクリーンに背景映像などを投影することで、本来背景の無いスタジオ内にて所望の背景の映像を撮影することができる。
【0050】
「操作入力部」(0706)は、利用者からの操作入力を受け付ける機能を有し、例えば操作パネルなどの入力デバイスやGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)によって実現することができる。そしてこの操作入力部にて、ディレクターなどが所望するタイミングで、その回転方向や回転スピードなどを指定する操作入力を受け付けることで、次の同期制御部の機能が実行されることになる。
【0051】
「同期制御部」(0707)は、受け付けた操作入力に応じて駆動部と投影部とを同期制御する機能を有し、例えばCPUなどの演算装置などによって実現することができる。また、「駆動部と投影部との同期制御」とは、具体的に駆動部での円形ターンテーブルの回転タイミング、方向、スピードなどと、投影部にて投影される映像の遷移タイミング、方向、スピードなどを同期させることをいう。
【0052】
図8は、この駆動部と投影部との同期制御の一例を表す図である。この図にあるよう撮影カメラを移動せずに、撮影カメラをαからβに移動したかのような映像を撮影したい。しかし、実際にカメラを移動させると、スクリーンの長さが足りず、背景映像βが切れて撮影されてしまうことになる。
【0053】
そこで、まず撮影カメラをαの位置に配置し、被写体のx側面と背景映像αが写るよう撮影する。そして、円形テーブルを矢印方向に回転させることで被写体も回転し、撮影カメラでは被写体のy側面が撮影される事になる。また、その回転タイミング、方向、スピードと同期して、スクリーンに投影する映像をαからβに遷移するよう制御する。このようにして、実際には撮影カメラをα位置に固定しつつ、被写体αの周囲をカメラが移動して撮影したかのような映像を撮影することができる、という具合である。
【0054】
<処理の流れ>
【0055】
図9は、本実施例のスタジオシステムにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、上記のような計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。
【0056】
この図にあるように、まず、撮影対象を載せた円形ターンテーブルを駆動し回転させる(ステップS0901)。また、円形ターンテーブルの端部に沿って設立されているスクリーンに背景などの映像を投影する(ステップS0902)。そして、操作パネルなどを利用した操作入力を受け付ける(ステップS0903)と、前記円形ターンテーブルの回転駆動の例えばタイミング、方向、スピードなどと、前記スクリーンの映像投影の例えば遷移のタイミング、方向、スピードなどと、を同期するよう制御し(ステップS0904)、撮影カメラで映像を撮影する(ステップS0905)。
【0057】
<効果の簡単な説明>
【0058】
以上のように本実施例のスタジオシステムによって、スクリーンに対し、ターンテーブルの回転に同期して遷移するなどする背景映像を投影するができる。したがってよりリアリティのある全周囲映像などを撮影することができる。
【0059】
≪実施例4≫
【0060】
<概要>
【0061】
本実施例は、上記実施例3を基本として、円形ターンテーブルを回転させ、またその回転に同期して半円周スクリーンに映像を投影することで、あたかも全周囲に背景があるかのような映像を撮影するスタジオシステムである点は同様である。そして、本実施例の特徴点は、スクリーンに投影する映像が、実施例3のような背景映像そのものなどではなく、撮影後に実行する背景映像のクロマキー合成の際に置換可能なモノクロの背景映像である点である。
【0062】
具体的に、通常のクロマキー合成の際にはスクリーンをブルーバックスクリーンなどとして撮影し、撮影された映像中のブルーの色を抜き背景映像を置換することで映像の合成を行う。しかし、それでは実際の撮影時には背景が全く無いことになり、例えば出演者が背景を指し示すなどの動作をする際には、出演者が想像しながら当該動作を行う必要があり、そのため不自然な動きになってしまうなどの可能性があった。
【0063】
そこで本実施例では、クロマキー置換可能なモノクロの背景映像を投影することで、出演者はスクリーンのモノクロ背景映像を視認しながら動作をすることができる。そしてそのモノクロ背景映像はクロマキー置換可能な映像であるので、撮影後のクロマキー合成できれいな背景映像を合成することができる、という具合である。
【0064】
そして、さらに本実施例では、クロマキー置換可能なモノクロ映像と、合成部におけるクロマキー合成への背景映像出力を同期させる事で、撮影と同時にクロマキー処理が実行できることをもう一つの特徴とする。
【0065】
<機能的構成>
【0066】
図10は、本実施例のスタジオシステムにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「スタジオシステム」(1000)は、上記実施例3を基本として、「円形ターンテーブル」(1001)と、「スクリーン」(1002)と、「撮影カメラ」(1003)と、「駆動部」(1004)と、「投影部」(1005)と、「操作入力部」(1006)と、「同期制御部」(1007)と、を備える。またその他にも図示しない「テレスコピッククレーン」に「撮影カメラ」が吊り下げられていても構わない。なお、これら構成要件は、上記実施例にて記載済みであるので説明は省略する。
【0067】
そして、本実施例の特徴点は、スタジオシステムがさらに「第一合成部」(1008)と、「クロマキー投影手段」(1009)と、「第一置換用映像出力部」(1010)と、「第一置換同期制御手段」(1011)と、を有する点である。
【0068】
「第一合成部」(1008)は、撮影カメラの映像と置換用映像とを合成する機能を有し、CPUなどの演算装置や映像合成プログラムなどによって実現することができる。具体的に、この第一合成部での合成処理は「クロマキー合成」、すなわち特定色(クロマ)の領域を背景映像に置換する事で背景映像を合成する処理により実現される。そして後述するように本実施例のスタジオシステムでは、従来のようなクロマの領域をブルーバックスクリーンを利用して構成するのでは無く、単色で輝度を表すモノクロ色で背景を示すクロマキー置換用の映像が投影された無彩色などのスクリーンを利用して構成することを特徴とする。
【0069】
図11は、第一合成部におけるクロマキー合成処理の一例を説明するための概念図である。この図11(a)にあるように、本実施例では後述するクロマキー投影手段からスクリーンに対してクロマキー置換可能なモノクロ(単色)で輪郭などが示される背景映像が投影されている。そしてこの第一合成部では、クロマキー合成処理によってそのモノクロ画像の置換処理を行い、図11(b)に示すように色付の背景映像を合成する、という具合である。なお、クロマ領域を背景映像に置換するクロマキー技術そのものは従来技術と同様であるのでその説明は省略する。
【0070】
「クロマキー投影手段」(1009)は、投影部(1005)に備えられ、クロマキー置換可能な映像を投影する機能を有する。「クロマキー置換可能な映像」とは、具体的には特定色の「スクリーン」に対してスクリーンと同じ特定色で、かつ輝度を変化させたモノクロ映像などがあげられる。このようにスクリーンの特定色と同色でかつ輝度が異なるモノクロ映像を投影することで、出演者は合成される背景の輪郭などを視認しながら演技ができる。そしてさらに撮影後に映像に対してクロマキー置換による色のついた背景映像の合成を行うことができる。
【0071】
なおクロマキー投影手段からの投影は、上記のように特定色のスクリーンに対してモノクロ背景映像を投影する以外に、例えば無彩色(例えば白など)のスクリーンに対してモノクロ映像を投影すると共にスクリーン全体が特定色となるような映像を投影するよう構成しても良い。
【0072】
「第一置換用映像出力部」(1010)は、第一合成部(1008)にて合成に利用する置換用映像およびスクリーン用のクロマキー置換可能な映像を出力する機能を有する。具体的に、合成に利用する置換用映像(すなわち色付の完全な背景映像)と、クロマキー置換可能な映像(モノクロの背景映像)とは、色に関する情報以外は同一の映像情報である。したがって、後述する第一置換同期制御部にて両映像の出力タイミングを同期する、すなわちクロマキー投影手段からの投影タイミングと第一合成部での合成タイミング(第一合成部への背景映像出力タイミング)とを同期させることができるため、リアルタイムにクロマキー合成処理を実行することができる。
【0073】
なお、この第一置換用映像出力部では、「合成に利用する置換用映像」と「スクリーン用のクロマキー置換可能な映像」とを別個に保持し、出力するよう構成しても良いし、一の映像ソースのみを保持しておき、出力に際して色情報を適宜設定することで両映像情報を生成し別々に出力するよう構成しても良い。
【0074】
「第一置換同期制御手段」(1011)は、同期制御部(1007)に備えられ、第一置換用映像出力部をも同期制御する機能を有する。なお「第一置換用映像出力部の同期制御」とは、前述のとおり「合成に利用する置換用映像」と「クロマキー置換可能な映像」との出力タイミングや再生スピードなどを同期制御することをいい、具体的にCPUなどの演算装置から当該同期制御用の命令信号を第一置換用映像出力部に対して送信することで実現できる。
【0075】
以上のようにして、本実施例のスタジオシステムでは、クロマキー置換可能なモノクロの背景映像を投影することで、出演者はスクリーンのモノクロ背景映像を視認しながら動作をすることができる。そしてそのモノクロ背景映像はクロマキー置換可能な映像であるので、撮影後のクロマキー合成できれいな背景映像を合成することができる。そして、さらに、クロマキー置換可能なモノクロ映像と合成部におけるクロマキー合成への背景映像出力を同期させる事で、撮影と同時にクロマキー処理を実行することができる。
【0076】
<処理の流れ>
【0077】
図12は、本実施例のスタジオシステムにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、上記のような計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。
【0078】
この図12にあるように、まず、撮影対象を載せた円形ターンテーブルを駆動し回転させる(ステップS1201)。また、円形ターンテーブルの端部に沿って設立されているスクリーンにクロマキー置換可能な映像を投影する(ステップS1202)。そして、操作パネルなどを利用した操作入力を受け付ける(ステップS1203)と、前記円形ターンテーブルの回転駆動の例えばタイミング、方向、スピードなどと、前記スクリーンのクロマキー置換可能な映像投影の例えば遷移のタイミング、方向、スピードなどと、を同期するよう制御し(ステップS1204)、撮影カメラで映像を撮影する(ステップS1205)。
【0079】
つづいて前記クロマキー置換可能な映像投影と同期させて置換用映像を出力し(ステップS1205)、最後に前記撮影カメラで撮影した映像と前記出力された置換用映像とを合成する(ステップS1206)。
【0080】
<効果の簡単な説明>
【0081】
以上のように本実施例のスタジオシステムによって、クロマキー置換可能なモノクロの背景映像を投影することで、出演者はスクリーンのモノクロ背景映像を視認しながら動作をすることができる。そしてそのモノクロ背景映像はクロマキー置換可能な映像であるので、撮影後のクロマキー合成できれいな背景映像を合成することができる。そして、さらに、クロマキー置換可能なモノクロ映像と合成部におけるクロマキー合成への背景映像出力を同期させる事で、撮影と同時にクロマキー処理を実行することができる。
【0082】
≪実施例5≫
【0083】
<概要>
【0084】
本実施例は、上記実施例3を基本としつつ、背景映像などを投影するための投影部を省略し、替わりにブルーバックスクリーンなどのクロマキー合成用スクリーンを利用して、撮影した映像に対しクロマキー合成することで全周囲などの映像を撮影するスタジオシステムである。そして本実施例では、クロマキー合成処理用に出力される背景映像などの出力と、円形ターンテーブルの回転駆動とが同期するよう制御することで、実施例4同様に、映像撮影と合成処理のタイミングの同期を図ることができる。したがってリアルタイムでのクロマキー合成処理が可能であることを特徴とする。
【0085】
<機能的構成>
【0086】
図13は、本実施例のスタジオシステムにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「スタジオシステム」(1300)は、上記実施例3を基本として、「円形ターンテーブル」(1301)と、「スクリーン」(1302)と、「撮影カメラ」(1303)と、「駆動部」(1304)と、「操作入力部」(1305)と、「同期制御部」(1306)と、を備える。ただし、実施例3と異なり「投影部」は有していない。また、「スクリーン」がクロマキー用のスクリーンであることも特徴とする。
【0087】
そして、本実施例の特徴点は、スタジオシステムがさらに「第二合成部」(1307)と、「第二置換用映像出力部」(1308)と、「第二置換同期制御手段」(1309)と、を有する点である。
【0088】
「第二合成部」(1307)は、撮影カメラの映像と置換用映像とを合成する機能を有する。なお、ブルーバックスクリーンなどのクロマキー用スクリーンを背景とする映像に置換用映像を合成する技術は通常のクロマキー合成処理と同様であるのでその詳細な説明は省略する。ただし、この第二合成部では、以降の構成要件の作用によってそのクロマキー合成を映像の撮影と同時にリアルタイムで実行することができることを特徴とする。
【0089】
「第二置換用映像出力部」(1308)は、第二合成部(1307)にて合成に利用する置換用映像を出力する機能を有する。なお「合成に利用する置換用映像」とは、実施例4にて説明した通り色付の完全な背景映像をいう。
【0090】
「第二置換同期制御手段」(1309)は、同期制御部(1306)に備えられ、第二置換用映像出力部(1308)をも同期制御する機能を有する。したがって、第二置換同期制御手段によってクロマキー合成処理用に第二合成部に出力される背景映像などの出力タイミング、映像の遷移方向、再生スピードなどと、円形ターンテーブルの回転タイミング、方向、スピードなどとが同期制御されることになる。したがって、第二合成部において処理用に入力される撮影映像と背景映像とをリアルタイムに処理することができる、という具合である。
【0091】
<処理の流れ>
【0092】
図14は、本実施例のスタジオシステムにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、上記のような計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。
【0093】
この図14にあるように、まず、撮影対象を載せた円形ターンテーブルを駆動し回転させる(ステップS1401)。そして、操作パネルなどを利用した操作入力を受け付ける(ステップS1402)と、撮影カメラで映像を撮影する(ステップS1403)。
【0094】
つづいて前記円形ターンテーブルの回転駆動の例えばタイミング、方向、スピードなどと同期させて、置換用映像を合成処理用回路に出力し(ステップS1404)、前記撮影カメラで撮影した映像と前記出力された置換用映像とを合成する(ステップS1405)。
【0095】
<効果の簡単な説明>
【0096】
以上のように本実施例のスタジオシステムによって、クロマキー合成処理用に出力される背景映像などの出力と、円形ターンテーブルの回転駆動とが同期するよう制御することができる。したがって撮影映像と合成処理のタイミングの同期を図ることができ、リアルタイムでのクロマキー合成処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】実施例1のスタジオシステムによる映像撮影の概要および構成の一例を説明するための図
【図2】実施例2のスタジオシステムのスクリーンの形態の一例を表す概念図
【図3】実施例2のスタジオシステムによる映像撮影の概要および構成の一例を説明するための図
【図4】実施例2のスタジオシステムのテレスコピッククレーンによる撮影の一例を説明するための図
【図5】実施例2のスタジオシステムのテレスコピッククレーンによる撮影カメラの円形ターンテーブル上空任意位置への移動の一例を表す概念図
【図6】実施例3のスタジオシステムにおける全周囲映像などの撮影方法の一例を表す概念図
【図7】実施例3のスタジオシステムにおける機能ブロックの一例を表す図
【図8】実施例3のスタジオシステムの駆動部と投影部との同期制御の一例を表す図
【図9】実施例3のスタジオシステムにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【図10】実施例4のスタジオシステムにおける機能ブロックの一例を表す図
【図11】実施例4のスタジオシステムの第一合成部におけるクロマキー合成処理の一例を説明するための概念図
【図12】実施例4のスタジオシステムにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【図13】実施例5のスタジオシステムにおける機能ブロックの一例を表す図
【図14】実施例5のスタジオシステムにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【符号の説明】
【0098】
0101 円形ターンテーブル
0102 スクリーン
0103 撮影カメラ
0704 駆動部
0705 投影部
0706 操作入力部
0707 同期制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影対象の全周囲などにあたかも背景があるかのように撮影することができるスタジオシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタジオ内で所定の背景をバックとした映像を撮影しようとする場合、所定の背景を再現するセットを組んで撮影する方法などで実現することができる。しかし、そのようなセットを組むためには費用、時間、労力などがかかってしまう。そこで、スタジオ内にスクリーンを円周状に立てて、その内部にて被写体を撮影するとともにスクリーンに映像を投影する、あるいは撮影後に映像内の(ブルーバック)スクリーンに対してクロマキー合成処理をすることなどによって、安価かつ容易にスタジオ内で所定の背景をバックとした映像を撮影することができる。
【特許文献1】特開2004−56742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来の撮影方法には以下のような課題がある。すなわち撮影スタジオ内には、撮影の演出や管理をするディレクターをはじめとする現場スタッフがおり、円周スクリーンの外から円周スクリーン内部の被写体やカメラワークなどに対して指示を送る必要がある。また照明やその他機材も円周スクリーンの外に配置しておく必要がある。そのため完全円周スクリーン(円周が閉じているスクリーン)を使用する場合、円周スクリーン内の様子が把握できず指示が出しづらい、あるいは上手く照明やその他機材を円周スクリーン内部にて機能させることが難しい、といった課題である。
【0004】
また、逆に半円周スクリーン(円周の一部が開いているスクリーン)を使用すると、スクリーンがない部分についてはバックの背景を入れることができず、全周囲に背景があるような映像は撮影できないことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることで半円周スクリーンを使用しながらも、全周囲で背景映像をバックとする映像を撮影することができるスタジオシステムを提供する。具体的に、撮影対象を載せるための円形ターンテーブルと、前記円形ターンテーブルの端部に沿って設立されているスクリーンと、スクリーンを背景として撮影対象を撮影するため、円形ターンテーブルの外に立脚する撮影カメラと、を備えたスタジオシステムである。
【0006】
すなわち、スクリーンの開き部分にバックの背景映像が必要な場合は、カメラとは独立して動く円形ターンテーブルに被写体を載せて回転させることで被写体の角度を変えて、バックにスクリーンのある状態で映像を撮影する、という具合である。
【0007】
また上記構成を基本として、撮影カメラを円形ターンテーブル外部のテレスコピッククレーンに吊るして撮影するよう構成されたスタジオシステムも提供する。具体的に、上記構成に加えて、前記撮影カメラを前記円形ターンテーブル上空の任意位置に移動可能なように吊下げる前記ターンテーブル外に配置されるテレスコピッククレーンをさらに有するスタジオシステムである。
【0008】
また上記構成において、スクリーンに対して円形ターンテーブルの回転と同期させて背景映像を投影する機能をさらに備えるスタジオシステムも提供する。具体的に、上記構成に加えて、前記円形ターンテーブルを駆動する駆動部と、前記スクリーンに映像を投影する投影部と、利用者からの操作入力を受け付ける操作入力部と、受け付けた操作入力に応じて駆動部と投影部とを同期制御する同期制御部と、を有するスタジオシステムである。
【0009】
また上記構成に加えて、さらに撮影カメラの映像と置換用映像とを合成する第一合成部と、クロマキー置換可能な映像を投影する投影部に備えられたクロマキー投影手段と、第一合成部にて合成に利用する置換用映像およびスクリーン用のクロマキー置換可能な映像を出力する第一置換用映像出力部と、同期制御部に備えられ第一置換用映像出力部をも同期制御する第一置換同期制御手段と、を有する請求項3に記載のスタジオシステムも提供する。
【0010】
また、上記構成において投影部を有さず、その替わりに、前記スクリーンはクロマキー用スクリーンであり、撮影カメラの映像と置換用映像とを合成する第二合成部と、第二合成部にて合成に利用する置換用映像を出力する第二置換用映像出力部と、同期制御部に備えられ第二置換用映像出力部をも同期制御する第二置換同期制御手段と、を有するスタジオシステムも提供する。
【発明の効果】
【0011】
以上のような構成をとる本発明によって、ディレクターなどが半円周スクリーンの開いている箇所から内部の様子を視認することもでき、また、照明やその他機材を機能させることができるとともに、被写体をあらゆる角度から撮影してもそのバックに背景があるかのような、例えば全円周の映像であっても撮影することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。なお、実施例1は、主に請求項1について説明する。また、実施例2は、主に請求項2について説明する。また、実施例3は、主に請求項3、6について説明する。また、実施例4は、主に請求項4、7について説明する。また、実施例5は、主に請求項5、8について説明する。
【0013】
≪実施例1≫
【0014】
<概要>
【0015】
図1は、本実施例のスタジオシステムによる映像撮影の概要、および構成の一例を説明するための図である。この図にあるように、本実施例のスタジオシステムでは、「円形ターンテーブル」(0101)が設けられ、その上に被写体が載せられている。また、この円形ターンテーブルの端部に沿って半周状の「スクリーン」(0102)が設立されており、また、円形ターンテーブルの回転に影響されない外側に「撮影カメラ」(0103)が備えられている。そして、半周状スクリーンの開いている側に撮影の演出などの指示を出すディレクターやその他スタッフがおり、また照明機材ははじめとする各種撮影用の機材がセッティングされている。
【0016】
ここで、撮影しながらカメラを半周させてバックにスクリーンが無い別の角度から被写体を撮影しようとする。そのような場合、本実施例のスタジオシステムでは、カメラを回転させる替わりに「円形ターンテーブル」を回転駆動させることで、その上に載っている被写体を回転させる。そして円形ターンテーブルの回転に影響されない外側に設置されている「撮影カメラ」で「スクリーン」を背景とする映像の撮影を行う。
【0017】
そして、例えば「スクリーン」をブルーバックスクリーンとして、撮影した映像に後から背景映像をクロマキー合成することで、被写体を中心としてその全周囲を背景に含めた映像を撮影する、という具合である。あるいは、映像の撮影時点で「スクリーン」に対してターンテーブルの回転と同期して遷移する背景映像を投影することで、被写体を中心としてその全周囲を背景に含めた映像を撮影するよう構成しても良い。
【0018】
<構成>
【0019】
以下、本実施例のスタジオシステムにおける構成要件である、上記の「円形ターンテーブル」(0101)と、「スクリーン」(0102)と、「撮影カメラ」(0103)とについて、その一例をさらに詳細に説明する。
【0020】
「円形ターンテーブル」(0101)は、撮影対象を載せるための、円形のターンテーブルである。そして、この「円形ターンテーブル」に被写体を載せて回転させることで、撮影カメラを大きく動かさずとも様々な角度から、常に後述のスクリーンが背景となるように被写体を撮影することができる。
【0021】
「スクリーン」(0102)は、円形ターンテーブルの端部の一部に沿って設立されているスクリーンである。具体的に、このスクリーンは例えば図1に示すような半円筒状のスクリーンが挙げられる。その他にも、図2に示すような半円錐台状や逆半円錐台状のスクリーンであっても良い。
【0022】
そして、このスクリーンが円形ターンテーブル端部の一部に沿って設立された「開放形状」であることで、そのスクリーンが省かれた方向にスタッフや撮影機材などを配置する領域を確保することができる。
【0023】
また、本実施例では前述のように円形ターンテーブルの回転を利用するため、被写体の全方向撮影などに際して撮影カメラを全回転などさせる必要が無い。スクリーンが半(開放形状の)円筒状などであっても、その開放部分を避けて常にスクリーンを背景とした映像を撮影することができる、という具合である。
【0024】
またこの「スクリーン」は、例えばクロマキー合成用のブルーバックなどの所定単一色のスクリーンであっても良い。その場合には、撮影後の映像に含まれるブルーバック部分に撮影カメラの回転に合わせて遷移する背景映像をクロマキー合成し、全方向から撮影したかのような全周囲映像などを作成することができる。
【0025】
あるいは実施例3にて後述するように、撮影時点でこの「スクリーン」に対してターンテーブルの回転と同期して遷移する背景映像を投影することで、全方向から撮影したかのような全周囲映像などを作成することもできる。
【0026】
「撮影カメラ」(0103)は、前記スクリーンを背景として撮影対象を撮影するため、円形ターンテーブルの外に立脚するカメラをいう。そして本発明では、このように撮影カメラが円形ターンテーブルの外に立脚しているので、ターンテーブルの回転の影響を受けずに撮影することができる、という具合である。なお、「円形ターンテーブルの外に立脚」するための方法としては、例えば図1に示すように天井部分から吊り下げて配置する方法や、スクリーン開放側の円形ターンテーブルの外に配置する方法などが挙げられる。
【0027】
<効果の簡単な説明>
【0028】
以上のように本実施例のスタジオシステムによって、ディレクターなどがスクリーンの開放部分から内部の様子を視認したり、照明やその他機材を機能させたりすることができるとともに、被写体のバックの全周囲に背景があるかのような映像を撮影することができる。
【0029】
≪実施例2≫
【0030】
<概要>
【0031】
図3は、本実施例のスタジオシステムによる映像撮影の概要、および構成の一例を説明するための図である。この図にあるように、本実施例のスタジオシステムでは、上記実施例を基本として「円形ターンテーブル」(0301)が設けられ、また、この円形ターンテーブルの端部に沿って半周状の「スクリーン」(0302)が設立されており、また「撮影カメラ」(0303)が備えられている。
【0032】
そして本実施例の特徴点は、この図にあるように撮影カメラが「テレスコピッククレーン」(0304)に吊り下げられている点である。
【0033】
<構成>
【0034】
以下、本実施例のスタジオシステムにおける構成要件である「テレスコピッククレーン」(0304)について、その一例をさらに詳細に説明する。なお、その他の「円形ターンテーブル」、「スクリーン」、「撮影カメラ」についてはすでに記載済みであるのでその説明が省略する。
【0035】
「テレスコピッククレーン」(0304)は、撮影カメラを前記円形ターンテーブル上空の任意位置に移動可能なように吊下げ、前記ターンテーブル外に配置されることを特徴とする。なお、「テレスコピッククレーン」とは、撮影カメラを吊り下げる腕部分が軸の方向に伸縮する機能を備えるクレーンをいう。したがってターンテーブルの外から撮影カメラが吊り下げられた腕部分を伸縮させることで、図4に示すようにターンテーブルの回転中であっても、その回転の影響を受けることなく被写体のクローズアップ映像や、望遠映像などを撮影することができる。
【0036】
また、図5に示すようにテレスコピッククレーンで撮影カメラを前記円形ターンテーブル上空の任意位置、例えば図中A,B,C,Dなどに移動可能であるため、スクリーンを背景としつつ様々な映像を撮影することができるので、画面変化を多様に付けた撮影を行うことができる。
【0037】
<効果の簡単な説明>
【0038】
以上のように本実施例のスタジオシステムによって、円形ターンテーブルの回転の影響を受けることなく被写体のクローズアップ映像や、望遠映像などを様々な角度から撮影することができるので、画面変化を多様に付けた撮影を行うことができる。
【0039】
≪実施例3≫
【0040】
<概要>
【0041】
図6は、本実施例のスタジオシステムにおける全周囲映像などの撮影方法の一例を表す概念図である。この図6(a)にあるように、ターンテーブル上に出演者Aがいる状態でターンテーブルを右回転させる。すると、図6(b)に示すように、出演者Aはカメラに対して右回転することになる。そして、それとともにスクリーンに投影されている背景映像Bも、その回転に同期して右方向に遷移した映像とする。そして、図6(c)にあるように、さらにターンテーブルの回転を続けていき、かつ背景映像Bの遷移も同様に同期して行うことで、あたかも出演者などの全周囲にも撮影物があるかのような映像を生成することができる、という具合である。
【0042】
以上のように本実施例のスタジオシステムでは、スクリーンに対し、ターンテーブルの回転に同期して遷移する背景映像を投影することで、リアリティのある全周囲映像などを撮影することができる。
【0043】
<機能的構成>
【0044】
図7は、本実施例のスタジオシステムにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「スタジオシステム」(0700)は、上記実施例1を基本として、「円形ターンテーブル」(0701)と、「スクリーン」(0702)と、「撮影カメラ」(0703)と、を備える。また実施例2を基本として、図示しない「テレスコピッククレーン」に「撮影カメラ」が吊り下げられていても構わない。なお、これら構成要件は、上記実施例にて記載済みであるので説明は省略する。
【0045】
そして、本実施例の特徴点は、スタジオシステムがさらに「駆動部」(0704)と、「投影部」(0705)と、「操作入力部」(0706)と、「同期制御部」(0707)と、を有する点である。
【0046】
なお、以下に記載する本スタジオシステムの機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの両方として実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUや主メモリ、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ、CDやDVDなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブなど)、情報入力に利用される入力デバイス、印刷機器や表示装置、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェース、通信用インターフェース、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、ユーザーインターフェース用アプリケーションなどが挙げられる。
【0047】
そして主メモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェースなどから入力されメモリやハードディスク上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、上記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。また、この発明はシステムとして実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、及び同製品を記録媒体に固定した記録媒体も、当然にこの発明の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0048】
「駆動部」(0704)は、前記円形ターンテーブルを駆動する機能を有し、例えば大型モータなどの回転動力器やその回転制御機構などで実現することができる。そして、駆動部にて円形ターンテーブルの回転タイミングや回転速度、回転方向などの駆動制御を行うことで、その回転と、後述する投影される背景映像の遷移などとを同期するよう制御することができる。
【0049】
「投影部」(0705)は、前記スクリーン(0702)に映像を投影する機能を有し、例えば、背景映像などを再生する再生装置と、その再生映像をスクリーンに投影するレンズなどを備えた投影機などによって実現することができる。このように投影部にてスクリーンに背景映像などを投影することで、本来背景の無いスタジオ内にて所望の背景の映像を撮影することができる。
【0050】
「操作入力部」(0706)は、利用者からの操作入力を受け付ける機能を有し、例えば操作パネルなどの入力デバイスやGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)によって実現することができる。そしてこの操作入力部にて、ディレクターなどが所望するタイミングで、その回転方向や回転スピードなどを指定する操作入力を受け付けることで、次の同期制御部の機能が実行されることになる。
【0051】
「同期制御部」(0707)は、受け付けた操作入力に応じて駆動部と投影部とを同期制御する機能を有し、例えばCPUなどの演算装置などによって実現することができる。また、「駆動部と投影部との同期制御」とは、具体的に駆動部での円形ターンテーブルの回転タイミング、方向、スピードなどと、投影部にて投影される映像の遷移タイミング、方向、スピードなどを同期させることをいう。
【0052】
図8は、この駆動部と投影部との同期制御の一例を表す図である。この図にあるよう撮影カメラを移動せずに、撮影カメラをαからβに移動したかのような映像を撮影したい。しかし、実際にカメラを移動させると、スクリーンの長さが足りず、背景映像βが切れて撮影されてしまうことになる。
【0053】
そこで、まず撮影カメラをαの位置に配置し、被写体のx側面と背景映像αが写るよう撮影する。そして、円形テーブルを矢印方向に回転させることで被写体も回転し、撮影カメラでは被写体のy側面が撮影される事になる。また、その回転タイミング、方向、スピードと同期して、スクリーンに投影する映像をαからβに遷移するよう制御する。このようにして、実際には撮影カメラをα位置に固定しつつ、被写体αの周囲をカメラが移動して撮影したかのような映像を撮影することができる、という具合である。
【0054】
<処理の流れ>
【0055】
図9は、本実施例のスタジオシステムにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、上記のような計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。
【0056】
この図にあるように、まず、撮影対象を載せた円形ターンテーブルを駆動し回転させる(ステップS0901)。また、円形ターンテーブルの端部に沿って設立されているスクリーンに背景などの映像を投影する(ステップS0902)。そして、操作パネルなどを利用した操作入力を受け付ける(ステップS0903)と、前記円形ターンテーブルの回転駆動の例えばタイミング、方向、スピードなどと、前記スクリーンの映像投影の例えば遷移のタイミング、方向、スピードなどと、を同期するよう制御し(ステップS0904)、撮影カメラで映像を撮影する(ステップS0905)。
【0057】
<効果の簡単な説明>
【0058】
以上のように本実施例のスタジオシステムによって、スクリーンに対し、ターンテーブルの回転に同期して遷移するなどする背景映像を投影するができる。したがってよりリアリティのある全周囲映像などを撮影することができる。
【0059】
≪実施例4≫
【0060】
<概要>
【0061】
本実施例は、上記実施例3を基本として、円形ターンテーブルを回転させ、またその回転に同期して半円周スクリーンに映像を投影することで、あたかも全周囲に背景があるかのような映像を撮影するスタジオシステムである点は同様である。そして、本実施例の特徴点は、スクリーンに投影する映像が、実施例3のような背景映像そのものなどではなく、撮影後に実行する背景映像のクロマキー合成の際に置換可能なモノクロの背景映像である点である。
【0062】
具体的に、通常のクロマキー合成の際にはスクリーンをブルーバックスクリーンなどとして撮影し、撮影された映像中のブルーの色を抜き背景映像を置換することで映像の合成を行う。しかし、それでは実際の撮影時には背景が全く無いことになり、例えば出演者が背景を指し示すなどの動作をする際には、出演者が想像しながら当該動作を行う必要があり、そのため不自然な動きになってしまうなどの可能性があった。
【0063】
そこで本実施例では、クロマキー置換可能なモノクロの背景映像を投影することで、出演者はスクリーンのモノクロ背景映像を視認しながら動作をすることができる。そしてそのモノクロ背景映像はクロマキー置換可能な映像であるので、撮影後のクロマキー合成できれいな背景映像を合成することができる、という具合である。
【0064】
そして、さらに本実施例では、クロマキー置換可能なモノクロ映像と、合成部におけるクロマキー合成への背景映像出力を同期させる事で、撮影と同時にクロマキー処理が実行できることをもう一つの特徴とする。
【0065】
<機能的構成>
【0066】
図10は、本実施例のスタジオシステムにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「スタジオシステム」(1000)は、上記実施例3を基本として、「円形ターンテーブル」(1001)と、「スクリーン」(1002)と、「撮影カメラ」(1003)と、「駆動部」(1004)と、「投影部」(1005)と、「操作入力部」(1006)と、「同期制御部」(1007)と、を備える。またその他にも図示しない「テレスコピッククレーン」に「撮影カメラ」が吊り下げられていても構わない。なお、これら構成要件は、上記実施例にて記載済みであるので説明は省略する。
【0067】
そして、本実施例の特徴点は、スタジオシステムがさらに「第一合成部」(1008)と、「クロマキー投影手段」(1009)と、「第一置換用映像出力部」(1010)と、「第一置換同期制御手段」(1011)と、を有する点である。
【0068】
「第一合成部」(1008)は、撮影カメラの映像と置換用映像とを合成する機能を有し、CPUなどの演算装置や映像合成プログラムなどによって実現することができる。具体的に、この第一合成部での合成処理は「クロマキー合成」、すなわち特定色(クロマ)の領域を背景映像に置換する事で背景映像を合成する処理により実現される。そして後述するように本実施例のスタジオシステムでは、従来のようなクロマの領域をブルーバックスクリーンを利用して構成するのでは無く、単色で輝度を表すモノクロ色で背景を示すクロマキー置換用の映像が投影された無彩色などのスクリーンを利用して構成することを特徴とする。
【0069】
図11は、第一合成部におけるクロマキー合成処理の一例を説明するための概念図である。この図11(a)にあるように、本実施例では後述するクロマキー投影手段からスクリーンに対してクロマキー置換可能なモノクロ(単色)で輪郭などが示される背景映像が投影されている。そしてこの第一合成部では、クロマキー合成処理によってそのモノクロ画像の置換処理を行い、図11(b)に示すように色付の背景映像を合成する、という具合である。なお、クロマ領域を背景映像に置換するクロマキー技術そのものは従来技術と同様であるのでその説明は省略する。
【0070】
「クロマキー投影手段」(1009)は、投影部(1005)に備えられ、クロマキー置換可能な映像を投影する機能を有する。「クロマキー置換可能な映像」とは、具体的には特定色の「スクリーン」に対してスクリーンと同じ特定色で、かつ輝度を変化させたモノクロ映像などがあげられる。このようにスクリーンの特定色と同色でかつ輝度が異なるモノクロ映像を投影することで、出演者は合成される背景の輪郭などを視認しながら演技ができる。そしてさらに撮影後に映像に対してクロマキー置換による色のついた背景映像の合成を行うことができる。
【0071】
なおクロマキー投影手段からの投影は、上記のように特定色のスクリーンに対してモノクロ背景映像を投影する以外に、例えば無彩色(例えば白など)のスクリーンに対してモノクロ映像を投影すると共にスクリーン全体が特定色となるような映像を投影するよう構成しても良い。
【0072】
「第一置換用映像出力部」(1010)は、第一合成部(1008)にて合成に利用する置換用映像およびスクリーン用のクロマキー置換可能な映像を出力する機能を有する。具体的に、合成に利用する置換用映像(すなわち色付の完全な背景映像)と、クロマキー置換可能な映像(モノクロの背景映像)とは、色に関する情報以外は同一の映像情報である。したがって、後述する第一置換同期制御部にて両映像の出力タイミングを同期する、すなわちクロマキー投影手段からの投影タイミングと第一合成部での合成タイミング(第一合成部への背景映像出力タイミング)とを同期させることができるため、リアルタイムにクロマキー合成処理を実行することができる。
【0073】
なお、この第一置換用映像出力部では、「合成に利用する置換用映像」と「スクリーン用のクロマキー置換可能な映像」とを別個に保持し、出力するよう構成しても良いし、一の映像ソースのみを保持しておき、出力に際して色情報を適宜設定することで両映像情報を生成し別々に出力するよう構成しても良い。
【0074】
「第一置換同期制御手段」(1011)は、同期制御部(1007)に備えられ、第一置換用映像出力部をも同期制御する機能を有する。なお「第一置換用映像出力部の同期制御」とは、前述のとおり「合成に利用する置換用映像」と「クロマキー置換可能な映像」との出力タイミングや再生スピードなどを同期制御することをいい、具体的にCPUなどの演算装置から当該同期制御用の命令信号を第一置換用映像出力部に対して送信することで実現できる。
【0075】
以上のようにして、本実施例のスタジオシステムでは、クロマキー置換可能なモノクロの背景映像を投影することで、出演者はスクリーンのモノクロ背景映像を視認しながら動作をすることができる。そしてそのモノクロ背景映像はクロマキー置換可能な映像であるので、撮影後のクロマキー合成できれいな背景映像を合成することができる。そして、さらに、クロマキー置換可能なモノクロ映像と合成部におけるクロマキー合成への背景映像出力を同期させる事で、撮影と同時にクロマキー処理を実行することができる。
【0076】
<処理の流れ>
【0077】
図12は、本実施例のスタジオシステムにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、上記のような計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。
【0078】
この図12にあるように、まず、撮影対象を載せた円形ターンテーブルを駆動し回転させる(ステップS1201)。また、円形ターンテーブルの端部に沿って設立されているスクリーンにクロマキー置換可能な映像を投影する(ステップS1202)。そして、操作パネルなどを利用した操作入力を受け付ける(ステップS1203)と、前記円形ターンテーブルの回転駆動の例えばタイミング、方向、スピードなどと、前記スクリーンのクロマキー置換可能な映像投影の例えば遷移のタイミング、方向、スピードなどと、を同期するよう制御し(ステップS1204)、撮影カメラで映像を撮影する(ステップS1205)。
【0079】
つづいて前記クロマキー置換可能な映像投影と同期させて置換用映像を出力し(ステップS1205)、最後に前記撮影カメラで撮影した映像と前記出力された置換用映像とを合成する(ステップS1206)。
【0080】
<効果の簡単な説明>
【0081】
以上のように本実施例のスタジオシステムによって、クロマキー置換可能なモノクロの背景映像を投影することで、出演者はスクリーンのモノクロ背景映像を視認しながら動作をすることができる。そしてそのモノクロ背景映像はクロマキー置換可能な映像であるので、撮影後のクロマキー合成できれいな背景映像を合成することができる。そして、さらに、クロマキー置換可能なモノクロ映像と合成部におけるクロマキー合成への背景映像出力を同期させる事で、撮影と同時にクロマキー処理を実行することができる。
【0082】
≪実施例5≫
【0083】
<概要>
【0084】
本実施例は、上記実施例3を基本としつつ、背景映像などを投影するための投影部を省略し、替わりにブルーバックスクリーンなどのクロマキー合成用スクリーンを利用して、撮影した映像に対しクロマキー合成することで全周囲などの映像を撮影するスタジオシステムである。そして本実施例では、クロマキー合成処理用に出力される背景映像などの出力と、円形ターンテーブルの回転駆動とが同期するよう制御することで、実施例4同様に、映像撮影と合成処理のタイミングの同期を図ることができる。したがってリアルタイムでのクロマキー合成処理が可能であることを特徴とする。
【0085】
<機能的構成>
【0086】
図13は、本実施例のスタジオシステムにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の「スタジオシステム」(1300)は、上記実施例3を基本として、「円形ターンテーブル」(1301)と、「スクリーン」(1302)と、「撮影カメラ」(1303)と、「駆動部」(1304)と、「操作入力部」(1305)と、「同期制御部」(1306)と、を備える。ただし、実施例3と異なり「投影部」は有していない。また、「スクリーン」がクロマキー用のスクリーンであることも特徴とする。
【0087】
そして、本実施例の特徴点は、スタジオシステムがさらに「第二合成部」(1307)と、「第二置換用映像出力部」(1308)と、「第二置換同期制御手段」(1309)と、を有する点である。
【0088】
「第二合成部」(1307)は、撮影カメラの映像と置換用映像とを合成する機能を有する。なお、ブルーバックスクリーンなどのクロマキー用スクリーンを背景とする映像に置換用映像を合成する技術は通常のクロマキー合成処理と同様であるのでその詳細な説明は省略する。ただし、この第二合成部では、以降の構成要件の作用によってそのクロマキー合成を映像の撮影と同時にリアルタイムで実行することができることを特徴とする。
【0089】
「第二置換用映像出力部」(1308)は、第二合成部(1307)にて合成に利用する置換用映像を出力する機能を有する。なお「合成に利用する置換用映像」とは、実施例4にて説明した通り色付の完全な背景映像をいう。
【0090】
「第二置換同期制御手段」(1309)は、同期制御部(1306)に備えられ、第二置換用映像出力部(1308)をも同期制御する機能を有する。したがって、第二置換同期制御手段によってクロマキー合成処理用に第二合成部に出力される背景映像などの出力タイミング、映像の遷移方向、再生スピードなどと、円形ターンテーブルの回転タイミング、方向、スピードなどとが同期制御されることになる。したがって、第二合成部において処理用に入力される撮影映像と背景映像とをリアルタイムに処理することができる、という具合である。
【0091】
<処理の流れ>
【0092】
図14は、本実施例のスタジオシステムにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、上記のような計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。
【0093】
この図14にあるように、まず、撮影対象を載せた円形ターンテーブルを駆動し回転させる(ステップS1401)。そして、操作パネルなどを利用した操作入力を受け付ける(ステップS1402)と、撮影カメラで映像を撮影する(ステップS1403)。
【0094】
つづいて前記円形ターンテーブルの回転駆動の例えばタイミング、方向、スピードなどと同期させて、置換用映像を合成処理用回路に出力し(ステップS1404)、前記撮影カメラで撮影した映像と前記出力された置換用映像とを合成する(ステップS1405)。
【0095】
<効果の簡単な説明>
【0096】
以上のように本実施例のスタジオシステムによって、クロマキー合成処理用に出力される背景映像などの出力と、円形ターンテーブルの回転駆動とが同期するよう制御することができる。したがって撮影映像と合成処理のタイミングの同期を図ることができ、リアルタイムでのクロマキー合成処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】実施例1のスタジオシステムによる映像撮影の概要および構成の一例を説明するための図
【図2】実施例2のスタジオシステムのスクリーンの形態の一例を表す概念図
【図3】実施例2のスタジオシステムによる映像撮影の概要および構成の一例を説明するための図
【図4】実施例2のスタジオシステムのテレスコピッククレーンによる撮影の一例を説明するための図
【図5】実施例2のスタジオシステムのテレスコピッククレーンによる撮影カメラの円形ターンテーブル上空任意位置への移動の一例を表す概念図
【図6】実施例3のスタジオシステムにおける全周囲映像などの撮影方法の一例を表す概念図
【図7】実施例3のスタジオシステムにおける機能ブロックの一例を表す図
【図8】実施例3のスタジオシステムの駆動部と投影部との同期制御の一例を表す図
【図9】実施例3のスタジオシステムにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【図10】実施例4のスタジオシステムにおける機能ブロックの一例を表す図
【図11】実施例4のスタジオシステムの第一合成部におけるクロマキー合成処理の一例を説明するための概念図
【図12】実施例4のスタジオシステムにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【図13】実施例5のスタジオシステムにおける機能ブロックの一例を表す図
【図14】実施例5のスタジオシステムにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【符号の説明】
【0098】
0101 円形ターンテーブル
0102 スクリーン
0103 撮影カメラ
0704 駆動部
0705 投影部
0706 操作入力部
0707 同期制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影対象を載せるための円形ターンテーブルと、
前記円形ターンテーブルの端部の一部に沿って設立されているスクリーンと、
前記スクリーンを背景として撮影対象を撮影するため、円形ターンテーブルの外に立脚する撮影カメラと、
を備えたスタジオシステム。
【請求項2】
前記撮影カメラを前記円形ターンテーブル上空の任意位置に移動可能なように吊下げる前記ターンテーブル外に配置されるテレスコピッククレーンをさらに有する請求項1に記載のスタジオシステム。
【請求項3】
前記円形ターンテーブルを駆動する駆動部と、
前記スクリーンに映像を投影する投影部と、
利用者からの操作入力を受け付ける操作入力部と、
受け付けた操作入力に応じて駆動部と投影部とを同期制御する同期制御部と、
を有する請求項1または2に記載のスタジオシステム。
【請求項4】
撮影カメラの映像と置換用映像とを合成する第一合成部と、
クロマキー置換可能な映像を投影する投影部に備えられたクロマキー投影手段と、
第一合成部にて合成に利用する置換用映像およびスクリーン用のクロマキー置換可能な映像を出力する第一置換用映像出力部と、
同期制御部に備えられ第一置換用映像出力部をも同期制御する第一置換同期制御手段と、を有する請求項3に記載のスタジオシステム。
【請求項5】
投影部を有さず、
前記スクリーンはクロマキー用スクリーンであり、
撮影カメラの映像と置換用映像とを合成する第二合成部と、
第二合成部にて合成に利用する置換用映像を出力する第二置換用映像出力部と、
同期制御部に備えられ第二置換用映像出力部をも同期制御する第二置換同期制御手段と、を有する請求項3に記載のスタジオシステム。
【請求項6】
撮影対象を載せるための円形ターンテーブルと、前記円形ターンテーブルの端部に沿って設立されているスクリーンと、前記スクリーンを背景として撮影対象を撮影するため、円形ターンテーブルの外に立脚する撮影カメラと、を備えたスタジオシステムにおける撮影方法であって、
前記円形ターンテーブルを駆動する駆動ステップと、
前記スクリーンに映像を投影する投影ステップと、
利用者からの操作入力を受け付ける操作入力ステップと、
受け付けた操作入力に応じて駆動ステップと投影ステップとを同期制御する同期制御ステップと、
を計算機に実行させる撮影方法。
【請求項7】
撮影カメラの映像と置換用映像とを合成する第一合成ステップと、
クロマキー置換可能な映像を投影する前記投影ステップに含まれるクロマキー投影ステップと、
第一合成ステップにて合成に利用する置換用映像およびスクリーン用のクロマキー置換可能な映像を出力する第一置換用映像出力ステップと、
同期制御ステップに含まれ第一置換用映像出力ステップをも同期制御する第一置換同期制御ステップと、をさらに計算機に実行させる請求項6に記載の撮影方法。
【請求項8】
投影ステップを実行せず、
前記スクリーンはクロマキー用スクリーンであり、
撮影カメラの映像と置換用映像とを合成する第二合成ステップと、
第二合成ステップにて合成に利用する置換用映像を出力する第二置換用映像出力ステップと、
同期制御ステップに含まれ第二置換用映像出力ステップをも同期制御する第二置換同期制御ステップと、をさらに計算機に実行させる請求項6に記載の撮影方法。
【請求項1】
撮影対象を載せるための円形ターンテーブルと、
前記円形ターンテーブルの端部の一部に沿って設立されているスクリーンと、
前記スクリーンを背景として撮影対象を撮影するため、円形ターンテーブルの外に立脚する撮影カメラと、
を備えたスタジオシステム。
【請求項2】
前記撮影カメラを前記円形ターンテーブル上空の任意位置に移動可能なように吊下げる前記ターンテーブル外に配置されるテレスコピッククレーンをさらに有する請求項1に記載のスタジオシステム。
【請求項3】
前記円形ターンテーブルを駆動する駆動部と、
前記スクリーンに映像を投影する投影部と、
利用者からの操作入力を受け付ける操作入力部と、
受け付けた操作入力に応じて駆動部と投影部とを同期制御する同期制御部と、
を有する請求項1または2に記載のスタジオシステム。
【請求項4】
撮影カメラの映像と置換用映像とを合成する第一合成部と、
クロマキー置換可能な映像を投影する投影部に備えられたクロマキー投影手段と、
第一合成部にて合成に利用する置換用映像およびスクリーン用のクロマキー置換可能な映像を出力する第一置換用映像出力部と、
同期制御部に備えられ第一置換用映像出力部をも同期制御する第一置換同期制御手段と、を有する請求項3に記載のスタジオシステム。
【請求項5】
投影部を有さず、
前記スクリーンはクロマキー用スクリーンであり、
撮影カメラの映像と置換用映像とを合成する第二合成部と、
第二合成部にて合成に利用する置換用映像を出力する第二置換用映像出力部と、
同期制御部に備えられ第二置換用映像出力部をも同期制御する第二置換同期制御手段と、を有する請求項3に記載のスタジオシステム。
【請求項6】
撮影対象を載せるための円形ターンテーブルと、前記円形ターンテーブルの端部に沿って設立されているスクリーンと、前記スクリーンを背景として撮影対象を撮影するため、円形ターンテーブルの外に立脚する撮影カメラと、を備えたスタジオシステムにおける撮影方法であって、
前記円形ターンテーブルを駆動する駆動ステップと、
前記スクリーンに映像を投影する投影ステップと、
利用者からの操作入力を受け付ける操作入力ステップと、
受け付けた操作入力に応じて駆動ステップと投影ステップとを同期制御する同期制御ステップと、
を計算機に実行させる撮影方法。
【請求項7】
撮影カメラの映像と置換用映像とを合成する第一合成ステップと、
クロマキー置換可能な映像を投影する前記投影ステップに含まれるクロマキー投影ステップと、
第一合成ステップにて合成に利用する置換用映像およびスクリーン用のクロマキー置換可能な映像を出力する第一置換用映像出力ステップと、
同期制御ステップに含まれ第一置換用映像出力ステップをも同期制御する第一置換同期制御ステップと、をさらに計算機に実行させる請求項6に記載の撮影方法。
【請求項8】
投影ステップを実行せず、
前記スクリーンはクロマキー用スクリーンであり、
撮影カメラの映像と置換用映像とを合成する第二合成ステップと、
第二合成ステップにて合成に利用する置換用映像を出力する第二置換用映像出力ステップと、
同期制御ステップに含まれ第二置換用映像出力ステップをも同期制御する第二置換同期制御ステップと、をさらに計算機に実行させる請求項6に記載の撮影方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−224832(P2009−224832A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64022(P2008−64022)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(505344720)株式会社アイデンティファイ (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(505344720)株式会社アイデンティファイ (7)
【Fターム(参考)】
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