説明

スタンドおよび表示装置

【課題】スピーカが設けられたスタンドの強度を維持しつつスピーカの振動により表示部が振動することを回避するスタンド等を提供すること。
【解決手段】表示装置の表示部を支持し、スピーカを備えるスタンドは、支柱を有し、支柱の外部にダイキャストが取り付けられ、そのダイキャストにスピーカが取り付けられ、スピーカは、緩衝材を備えるネジ止め部を介してダイキャストに取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカが設けられたスタンドおよびそのスタンドを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビ、パーソナル・コンピュータ等の薄型表示装置において、スピーカは一般に、表示パネル等の表示部の筐体内部に固定したり、表示部の筐体の後部中央部分に設けられる。
【0003】
しかし、取付スペースや取付位置の制約等から、スピーカで発生した振動を表示部の筐体に伝達させるのを完全に防止するのは困難である。このため、スピーカで発生した振動をコントロールすることが必要となる。
なぜならスピーカの振動が表示部の筐体に伝達されると、筐体の構成部材が振動してしまうおそれがあるからである。
【0004】
ここで、関連技術として表示パネル等の表示部の筐体内部ではなく、表示装置のスタンドの支柱の内部にスピーカを設けることで、表示装置に備わるスピーカの振動により表示部が振動してしまうことを防止する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−154084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の関連技術では、スタンドの支柱の内部は中空となり強度が保てないという問題点がある。また、スタンドの構造が複雑となり製造工数やコストが増大するという問題がある。さらに、表示部の筐体の後部中央部分に設けられる一般的な構成の場合、振動は筐体全体で吸収されて目立たなくなる。一方、スタンドの支柱部分は通常、強固な補正をされていない。そのため支柱部分で振動が発生した場合、振動は吸収されずに筐体へ伝達され、筐体が大きく振動するという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、スピーカが設けられたスタンドの強度を維持しつつスピーカの振動により表示部が振動することを回避するスタンドおよび表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスタンドは、表示装置の表示部を支持し、スピーカを備えるスタンドであって、
該スタンドは支柱を有し、
前記支柱の外部にダイキャストが取り付けられ、該ダイキャストにスピーカが取り付けられ、
前記スピーカは、緩衝材を備えるネジ止め部を介して前記ダイキャストに取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の表示装置は、上記のスタンドを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スピーカが設けられたスタンドの強度を維持しつつスピーカの振動により表示部が振動することを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る表示装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る表示装置の正面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る表示装置の側面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る表示装置の通常状態の背面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るスタンドリアカバーを取り外した状態の側面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るスタンドリアカバーを取り外した状態の背面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るダンパーゴム部分に着目した拡大斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るウーファーユニットを取り外した状態の側面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るウーファーユニットを取り外した状態の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1に示す本実施の形態における表示装置10は、表示部20と、スタンド30とから構成されている。表示装置10は、パーソナル・コンピュータ、液晶テレビ、PDP(Plasma Display Panel)テレビ等であってよい。また、表示部20は、液晶パネルやPDP等の薄型表示パネルを備え、筐体により囲われていてよく、表示装置10がパーソナル・コンピュータの場合はここに本体が格納される。なお、表示部20とスタンド30とは、ネジ等により接合され、スタンド30により表示部20が支持されている。
【0013】
また、図2に示すように、表示装置10は、低周波数の音域を出力する低音用のスピーカ(以下、「ウーファーユニット」という)40をスタンド30に設け、中高周波数の音域を出力する中高音用のスピーカ41、42を表示部20の左右に内蔵して構成している。また、表示装置10は、音声出力回路(図示せず)を有し、音声出力回路は、例えば、中高音用のスピーカ41、42に、200Hz以上の周波数の音声信号を出力し、ウーファーユニット40に、200Hz未満の周波数の音声信号を出力する。ここでは、ウーファーユニット40は6ワットであり、中高音用のスピーカ41、42はそれぞれ3ワットであり合計12ワットの電力に対する振動に対応する必要がある。
本実施の形態のように、ウーファーユニット40の出力を中高音用のスピーカ41、42よりも大きくした場合、ウーファーユニット40の音が、表示部20の振動の主な原因となるので、中高音用のスピーカ41、42よりも強固な振動対策が必要となる。このようにウーファーユニット40をスタンド30に設けたのは、低周波数の音域は比較的指向性が低いため、取り付け位置をさほど問題としないからである。一方、中高周波数の音域の音を出力する中高音用のスピーカ41、42を表示部20の筐体内部に設けることで、ステレオ音声出力が可能となり、またステレオ感の調整が容易となる。
【0014】
つづいて、図3から図9を用いて、スタンド30について詳しく説明する。
図3は表示装置10の側面図である。破線で表した部分が表示部20で実線部分がスタンド30である。スタンド30はスタンドリアカバー31と、スタンドフロントカバーを兼ねる支柱32と、接合部33と、台座であるスタンドベース34とを備えている。なお、表示部20とスタンド30とは、接合部33を用いてネジ等により接合されている。支柱32の内部に設けられた回転機構によりスタンド30を固定したまま表示部20の角度を変えるためのチルト・スイベル動作が可能となる。支柱32は、接合部33とスタンドベース34との間の部分であり図中ではその一部分はスタンドフロントカバーとなっている。
【0015】
図4は、図3に示した状態における表示装置10の特にスタンド30部分のみの背面図である。スタンドリアカバー31は、ネジ等により支柱32にネジ止めされている。なお、ネジ等の数は限定されず、スタンドリアカバー31が支柱32に固定されればどのような固着形態であってもよい。
【0016】
図5は、図3に示した状態における表示装置10のスタンドリアカバー31を取り外した状態の表示装置10の側面図である。スタンド30はさらにウーファーユニット40と、ダイキャスト36とを備えている。なお、ウーファーユニット40とダイキャスト36とは、ネジ等により接合されているがウーファーユニット40に突設されたネジ止め部38にダンパーゴム37がかまされている。ダンパーゴム37については後述する。
【0017】
図6は、図5に示した状態における表示装置10の特にスタンド30部分のみの背面図である。ウーファーユニット40は、ネジ止め部38に対する4箇所のネジによりダイキャスト36にネジ止めされている。ここで4箇所としたのはウーファーユニット40のパワーを考慮して、強度・バランスに優れているからである。4箇所に限定されず、任意の数箇所であってよく、また、穴でなく棒状等であってもよい。また、本実施形態では、ウーファーユニット40の上下に2つのネジ止め部38を各々設け、計4つのネジ止め部38に対する4箇所のネジにより、ウーファーユニット40がダイキャスト36にネジ止めされる構成にした。しかし、上下に各々設けた2つのネジ止め部38を連結した棒状のネジ止め部38をウーファーユニット40の上下に各々設け、計2つのネジ止め部38に対する4箇所のネジにより、ウーファーユニット40がダイキャスト36にネジ止めされる構成にすることも可能である。
【0018】
ダイキャスト36は、アルミ・鉄などの板金である。
ウーファーユニット40は、ダイキャスト36がなくても支柱32に取り付けることができるが、ウーファーユニット40は重量があるため支柱32に強度が必要となる。強度がなければウーファーユニット40に基づく振動により表示装置10全体が振動してしまうこととなる。そこで、ダイキャスト36により支柱32に強度を生み出し、ウーファーユニット40に基づく振動の表示部20への伝達を低減している。なお、ダイキャスト36がプラスチック等の材質であると、支柱32に必要な強度が足りなく、ダイキャスト36と支柱32とが一緒に振動し、振動がさらに増幅してしまうので不適切なことが多い。
【0019】
図7(a)は、図5に示した状態における表示装置10の特にダンパーゴム37部分に着目した拡大斜視図である。ウーファーユニット40とダイキャスト36とは、ネジ等により接合されているがウーファーユニット40に突設されたネジ止め部38とネジとの間にダンパーゴム37がかまされている。ここでは、ネジ止め部38の前後にそれぞれゴムが設けられる構成(ゴム自体は前後で一体である)としているが、前後いずれか一方であってもよい。なお、ゴム以外の素材であってもよく、例えばシリコンまたはばねなどの弾性体等が考えられる。このような防振または吸振機能を有する緩衝材により、スタンド30と表示部20との間の振動伝達が防止される。
【0020】
図7(a)では、ネジ止め部38の前後にそれぞれダンパーゴム37が設けられる構成(但し、ダンパーゴム37自体は図7(b)に示すように前後で一体型になっている)にした。しかし、ネジ止め部38の前後の何れか一方にダンパーゴム37が設けられる構成にすることも可能である。
【0021】
また、図7(a)では、ダンパーゴム37を設け、スタンド30と表示部20との間の振動伝達を防止することにした。しかし、ダンパーゴム37以外の素材や構成であっても良く、例えば、シリコン、ばねなどの防振または吸振機能を有する緩衝部材を設け、スタンド30と表示部20との間の振動伝達を防止するように構築することも可能である。
【0022】
ウーファーユニット40は、ダンパーゴム37がなくてもネジ止め部38によりダイキャスト36に直接取り付けることができるが、それでは、ウーファーユニット40の振動が直接ダイキャスト36に伝わることとなる。そこで、ダンパーゴム37によりウーファーユニット40から発生する振動を減衰した上でダイキャスト36に伝達し、振動の総量も低減している。また、図7(b)に示すように、一体型になった構造のダンパーゴム37を用いることで、ネジ止め部38とネジとが直接接触する部分を無くし、ウーファーユニット40に基づく振動をダイキャスト36へ適切に伝達し易くすることにしている。
【0023】
図8は、図5に示した状態における表示装置10のウーファーユニット40を取り外した状態の表示装置10の側面図である。ダイキャスト36には、ウーファーユニット40を接合するためのネジ等の受け部分が突設されている。
【0024】
図9は、図8に示した状態における表示装置10の特にスタンド30部分のみの背面図である。ダイキャスト36は、ネジ等により支柱32にネジ止めされている。なお、ここでもネジ止め部分にダンパーゴム等の緩衝材がかまされていてもよい。これによりさらに振動伝達を低減する効果を奏する。
【0025】
上記の実施の形態におけるスタンドリアカバー31および支柱32のスタンドフロントカバー部分は、カバー内部の構造の保護等を目的として設けられるものであり、これらのカバーが設けられない構成である表示装置10も考えられる。
【0026】
なお、上記の実施の形態における表示装置10は、スタンドリアカバー31を設ける構成にした。しかし、スタンドリアカバー31は、カバー内部の構造(ダイキャスト36や、ウーファーユニット40)の保護等を目的として設けられるものであるため、スタンドリアカバー31を設けない構成にすることも可能である。
【0027】
また、上記の実施の形態における支柱32は、スタンドフロントカバーを兼ねる構成にしたが、支柱32に対し、フロントカバーとなる部材を別途設ける構成にすることも可能である。
【0028】
なお、上述する実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0029】
10 表示装置
20 表示部
30 スタンド
31 スタンドリアカバー
32 支柱
33 接合部
34 スタンドベース
36 ダイキャスト
37 ダンパーゴム
38 ネジ止め部
40 ウーファーユニット
41、42 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の表示部を支持し、スピーカを備えるスタンドであって、
該スタンドは支柱を有し、
前記支柱の外部にダイキャストが取り付けられ、該ダイキャストにスピーカが取り付けられ、
前記スピーカは、緩衝材を備えるネジ止め部を介して前記ダイキャストに取り付けられていることを特徴とするスタンド。
【請求項2】
前記ダイキャストは、緩衝材を備えるネジ止め部を介して前記支柱に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のスタンド。
【請求項3】
前記支柱の内部に回転機構を備えることを特徴とする請求項1または2記載のスタンド。
【請求項4】
前記スピーカは、周波数の低い音を出力するウーファーであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のスタンド。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のスタンドを備えることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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