説明

スッポン成分原液製造方法

【課題】灰汁による臭みを抑制してスッポン原液を生成できるスッポン原液製造方法を提供する。
【解決手段】スッポン原液製造方法は、第1工程ST01乃至第6工程ST06を実行する。スッポン生肉SRを水Wに浮遊して加熱し、スッポン生肉SRから灰汁を水Wに抽出して、スッポン灰汁抜肉SBを生成する。スッポン灰汁抜肉SBを清酒Rに浮遊して加熱し、スッポン灰汁抜肉SBのスッポン成分Sを清酒Rに抽出して、スッポン成分抽出液SPを生成する。スッポン生成抽出液SPにバナジウム水WKを添加し、加熱沸騰して、スッポン原液SGを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スッポン生肉からスッポン成分原液を生成するスッポン成分原液製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からスッポンは、滋養強壮(疲労回復、老化防止等)に効果を発揮する食品として知られ、スッポン成分を抽出して、スッポン鍋料理やスッポン飲料水等に用いられている。
【0003】
スッポン成分を抽出する技術として、特許文献1に開示する技術は、スッポンを小片に破砕して、スッポンの血液を除去した後、鍋に水を入れてその中でスッポンの小片を煮沸し、スッポン成分を水(熱湯)に抽出している。スッポン成分を抽出した熱湯(水)は、濾過することで不純物を分離して、スッポン抽出液に生成される。
【0004】
しかし、特許文献1に開示する技術では、スッポン成分を抽出した熱湯を濾過しても、熱湯中に溶け出した灰汁を除去しきれず、スッポン抽出液に渋み、苦み及び臭み等が残る虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3167945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、灰汁による渋み、苦み及び臭み等が残らないスッポン成分原液を生成でき、一度に大量のスッポン成分原液を生成できるスッポン成分原液製造方法を提供することにある。
本発明は、スッポン成分、清酒及びバナジウム水で組成されるスッポン成分原液を生成することで、幅広い用途に使用できるスッポン成分原液製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る請求項1は、[A]スッポン生肉を水に浸漬して、前記水に浮遊する第1工程と、[B]前記スッポン生肉、及び前記水を同時に加熱し、該加熱に伴って、前記スッポン生肉の灰汁を前記水に抽出して、スッポン灰汁抜肉を生成する第2工程と、[C]前記スッポン灰汁抜肉を、前記水及び灰汁から分離し、該スッポン灰汁抜肉を清酒に浸漬して、前記清酒に浮遊する第3工程と、[D]前記スッポン灰汁抜肉、及び前記清酒を同時に加熱し、該加熱に伴って、前記スッポン灰汁抜肉の成分を前記清酒に抽出しつつ前記清酒を蒸発させて、スッポン成分抽出液を生成する第4工程と、[E]前記スッポン成分抽出液、及び前記スッポン灰汁抜肉を分離し、該スッポン成分抽出液にバナジウム水を含む希釈水を添加する第5工程と、[F]前記希釈水を添加した前記スッポン成分抽出液を加熱沸騰して、スッポン成分原液を生成する第6工程を含んでなることを特徴とするスッポン成分原液製造方法である。
【0008】
本発明に係る請求項2は、前記第1工程は、30〜50kg重量のスッポン生肉を水に浸漬して、前記水に浮遊してなり、前記30〜50kg重量のスッポン生肉に対して、前記第2工程乃至第6工程を実行することを特徴とする請求項1に記載のスッポン成分原液製造方法である。
【0009】
本発明に係る請求項3は、前記第5工程において、前記スッポン成分抽出液に添加する前記希釈水は、前記第4工程の前記清酒の蒸発量と同等量にしていることを特徴とするスッポン成分原液製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る請求項1では、第1工程及び第2工程において、スッポン生肉及び水を同時に加熱することで、スッポン生肉の灰汁を水に抽出して、スッポン灰汁抜肉を生成する。第3工程及び第4工程において、スッポン灰汁抜肉を、水及び灰汁から分離し、スッポン灰汁抜肉及び清酒を同時に加熱することで、スッポン灰汁抜肉のスッポン成分を清酒に抽出して、スッポン成分抽出液を生成する。これにより、灰汁抜をしたスッポン灰汁抜肉からスッポン成分を清酒に抽出しているので、清酒中にスッポンの灰汁が残存することを抑制でき、渋み、苦み及び臭み等の残らないスッポン成分抽出液を生成できる。
第5工程及び第6工程において、スッポン成分抽出液にバナジウム水等の希釈水を添加し、更に加熱沸騰して、スッポン成分原液を生成する。これにより、スッポン生成抽出液を希釈水で適度な濃度に希釈し、加熱殺菌しつつ清酒のアルコールを飛ばすことができ、渋み、苦み及び臭み等の残らないスッポン成分原液を生成できる。
第2工程において、スッポン生肉を水に浮遊して加熱することで、スッポン生肉の煮崩れが起こることなく、十分に灰汁を水に抽出できる。第4工程において、スッポン灰汁抜肉を清酒に浮遊して加熱することで、スッポン灰汁抜肉の煮崩れが起こることなく、スッポン成分を十分に抽出でき、スッポン灰汁抜肉は、清酒によって軟らかくなり、煮崩れも起こらないので、食用スッポン肉に供することができ、同時にスッポン成分原液、及び食用のスッポン灰汁抜肉を得ることが可能となる。
スッポン成分原液は、スッポン灰汁抜肉のスッポン成分を清酒に抽出し、バナジウム水等の希釈水で生成しており、清酒以外の昆布や生姜等の調味料を使用していないので、和風、中華及び洋風のスープ、及びスッポン飲料等、幅広い用途に使用でき、清酒のアルコールは、第4工程及び第6工程の加熱によって十分に飛ばすことができ、和風、中華及び洋風のスープやスッポン飲料等の味付けに影響を与えない。
スッポンの灰汁とは、渋み、苦み及び臭み(不快な臭い)等の元になる成分で、スッポン生肉の血、侵出液に含まれるタンパク質、遊離アミノ酸等である。
スッポン灰汁抜肉とは、スッポン生肉を加熱して(煮込んで)、灰汁を抜いた煮込み肉である。
スッポン成分とは、スッポン灰汁抜肉に含まれる必須アミノ酸、タンパク質、コラーゲン、コンドロイチン、ビタミンB群(B1、B2、B6、B12)、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、鉄等の組成である。
【0011】
本発明に係る請求項2によれば、請求項1と同様にして、第1工程乃至第6工程を30〜50kg重量のスッポン生肉に対して実行することで、30〜50kg重量のスッポン生肉から渋み、苦み及び臭み等の残らないスッポン成分原液を生成でき、30〜50kg重量のスッポン生肉に相当する大量のスッポン灰汁抜肉を浸漬、浮遊する大量の清酒に対して、大量のスッポン灰汁抜肉からスッポン成分を抽出できるので、一度に大量のスッポン成分原液及び食用のスッポン灰汁抜肉を得ることができる。
30〜50kg重量のスッポン生肉に対して、第1工程乃至第6工程を実行することで、大量のスッポン成分原液、及び大量のスッポン灰汁抜肉を効率良く、生成でき、手軽で安価なものになる。これにより、スッポン成分原液を安価に生成して、和風料理、中華料理、洋風料理のスープ、調味料の他に、各種のスッポン飲料等に使用でき、スッポン鍋料理の限らず、幅広い用途に使用できることなる。
【0012】
本発明に係る請求項3によれば、スッポン成分原液において、清酒と希釈水の配合関係を同等量にできる。これにより、スッポン成分原液の清酒濃度(アルコール濃度)を希釈水で薄めることで、清酒の味覚、嗅覚等を最適にしたスッポン成分原液を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】スッポン成分原液製造方法に関し、第1工程乃至第6工程を示すフローチャート図である。
【図2】スッポン成分原液製造方法に関し、第1工程を示す図であって、(a)はスッポン生肉及び水を収納する調理鍋の斜視図、(b)は図2(a)のA−A断面図である。
【図3】スッポン成分原液製造方法に関し、第2工程を示す図であって、(a)はスッポン生肉及び水を加熱する調理鍋の断面図、(b)はスッポン灰汁抜肉、水及び灰汁を示す調理鍋の断面図である。
【図4】スッポン成分原液製造方法に関し、第3工程を示す図であって、(a)はスッポン灰汁抜肉、水及び灰汁を分離する調理鍋の断面図、(b)は洗浄する調理鍋を示す断面図である。
【図5】スッポン成分原液製造方法に関し、第3工程を示す図であって、スッポン灰汁抜肉及び清酒を収納する調理鍋の断面図である。
【図6】スッポン成分原液製造方法に関し、第4工程を示す図であって、(a)はスッポン灰汁抜肉及び清酒を加熱する調理鍋の断面図、(b)はスッポン成分抽出液を生成する調理鍋の断面図である。
【図7】スッポン成分原液製造方法に関し、第5工程を示す図であって、(a)はスッポン成分抽出液及びスッポン灰汁抜肉を分離する調理鍋の断面図、(b)はスッポン成分抽出液にバナジウム水を添加する調理鍋の断面図である。
【図8】スッポン成分原液製造方法に関し、第6工程を示す図であって、(a)はバナジウム水を添加したスッポン成分抽出液を加熱沸騰する調理鍋の断面図、(b)はスッポン成分原液を生成した調理鍋の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るスッポン成分原液製造方法について、図1乃至図8を参照して説明する。
【0015】
図1において、スッポン成分原液製造方法は、第1工程乃至第6工程(ST01〜ST06)を実行して、スッポン生肉(SR)からスッポン成分(S)を含有するスッポン成分原液(SG)を生成する。
スッポン成分原液製造方法は、スッポン成分(S)、清酒(R)及びバナジウム水(WK:希釈水)で組成されるスッポン成分原液(SG)を生成し、同時に食用のスッポン灰汁抜肉(SB)を生成する。
スッポン成分原液製造方法は、一度に大量のスッポン成分原液(SG)及び食用のスッポン灰汁抜肉(SB)を生成する。
【0016】
第1工程(ST01)は、スッポン生肉(SR)を水(W)に浸漬して、スッポン生肉(SR)を水(W)に浮遊する水浸漬工程である。
【0017】
第2工程(ST02)は、第1工程(ST01)のスッポン生肉(SR)及び水(W)を同時に加熱し、該加熱に伴って、スッポン生肉(SR)の灰汁(A)を水(W)に抽出して、スッポン灰汁抜肉(SB)を生成する灰汁抜工程である。
第2工程(ST02)において、スッポン生肉(SR)及び水(W)の加熱は、スッポン生肉(SR)の煮崩れを抑制するため、スッポン生肉(SR)を水(W)に浮遊して行う。
【0018】
第3工程(ST03)は、第2工程(ST02)のスッポン灰汁抜肉(SB)を水(W)及び灰汁(A)から分離し、該スッポン灰汁抜肉(SB)を清酒(R)に浸漬して、スッポン灰汁抜肉(SB)を清酒(R)に浮遊する清酒浸漬工程である。
【0019】
第4工程(ST04)は、第3工程(ST03)のスッポン灰汁抜肉(SB)及び清酒(R)を同時に加熱し、該加熱に伴って、スッポン灰汁抜肉(SB)のスッポン成分(S)を清酒(R)に抽出しつつ清酒(R)を蒸発させて、スッポン成分抽出液(SP)を生成する成分抽出工程である。
第4工程(ST04)において、スッポン灰汁抜肉(SB)及び清酒(R)の加熱は、スッポン灰汁抜肉(SR)の煮崩れを防止するため、スッポン灰汁抜肉(SR)を清酒(R)に浮遊して行う。
【0020】
第5工程(ST05)は、第4工程(ST04)のスッポン灰汁抜肉(SB)及びスッポン成分抽出液(SP)を分離し、該スッポン成分抽出液(SP)にバナジウム水を含む希釈水(WK)を添加する希釈工程である。
スッポン成分抽出液(SP)から分離したスッポン灰汁抜肉(SB)は、食用スッポン肉に供される。
【0021】
第6工程(ST06)は、第5工程(ST05)の希釈水(WK)を添加したスッポン成分抽出液(SP)を加熱沸騰して、スッポン成分原液(SG)を生成する加熱沸騰工程である。
【0022】
次に、スッポン成分原液製造方法の第1工程乃至第6工程(ST01〜ST06)の具体例について、図2乃至図8を参照して説明する。
【0023】
<1>第1工程(ST01:水浸漬工程)
図2において、第1工程(ST01)は、複数片のスッポン生肉(SR)を調理鍋(2:調理容器)内に投入し、水(W)を調理鍋(2)内に注入する。
複数片のスッポン生肉(SR)は、多数匹のスッポンを捌いて、スッポンの内臓、甲羅、骨及び皮等を除いた部位であって、一度に大量のスッポン成分原液(SG)及び食用のスッポン灰汁抜肉(SB)を生成するために、例えば、30〜50kg重量を用意する。
水(W)の注入量は、30〜50kg重量のスッポン生肉(SR)を水(W)に浮遊できる量であって、例えば、100リットルを用意する。
【0024】
第1工程(ST01)は、図2(b)に示すように、調理鍋(2)内において、30〜50kg重量の複数片のスッポン生肉(SR)を水(W)に浸漬して、スッポン生肉(SR)を水(W)に浮遊する。
なお、調理鍋(2)は、30〜50kg重量のスッポン生肉(SR)、及び100リットルの水(W)を収納できる容積である。
【0025】
<2>第2工程(ST02:灰汁抜工程)
図3において、第2工程(ST02)は、調理鍋(2)を火にかけて、調理鍋(2)内のスッポン生肉(SR)及び水(W)を同時に加熱し、スッポン生肉(SR)の灰汁(A)を水(W)に抽出する。
複数片のスッポン生肉(SR)の灰汁(A)は、加熱に伴って、図3(b)に示すように、調理鍋(2)の沸騰する水(W:熱湯)に溶け出し、水(W)に抽出される。スッポン生肉(SR)の灰汁(A)は、渋み、苦み、臭み(不快な臭い)等の元になる成分で、例えば、スッポン生肉(SR)の血、浸出液に含まれるタンパク質、遊離アミノ酸等である。
【0026】
第2工程(ST02)は、図3に示すように、複数片のスッポン生肉(SR)を水(W)に浮遊して加熱する。複数片のスッポン生肉(SR)を水(W)に浮遊して加熱することで、各スッポン生肉(SR)は、調理鍋(2)に接触することなく、水(W)で覆われる状態になり、各スッポン生肉(SR)全体から確実、十分に灰汁(A)を水(W)に抽出できる。更に、スッポン生肉(SR)の煮崩れを起こすことなく、複数片のスッポン灰汁抜肉(SB)を生成できる。
スッポン灰汁抜肉(SB)とは、スッポン生肉(SR)を煮込んで、灰汁(A)を抜いた煮込み肉である。なお、複数片のスッポン生肉(SR)の煮込み時間は、スッポン生肉(SR)の重量に応じて調整され、各スッポン生肉(SR)の灰汁(A)を確実、十分に水(W)に抽出できる時間とする。
【0027】
<3>第3工程(ST03:清酒浸漬工程)
図4において、第3工程(ST03)は、調理鍋(2)の火を止め、調理鍋(2)から複数片のスッポン灰汁抜肉(SR)を取出して、各スッポン灰汁抜肉(SR)を水(W)及び灰汁(A)から分離する。そして、調理鍋(2)内の水(W)及び灰汁(A)は廃棄する。調理鍋(2)から取出した複数片のスッポン灰汁抜片(SB)は、各スッポン灰汁抜肉(SB)に灰汁(A)が付着する時、水洗浄して灰汁(A)を除去しても良い。
第3工程(ST03)は、スッポン灰汁抜肉(SR)を水(W)及び灰汁(A)から分離すると、図4(b)に示すように、調理鍋(2)を洗浄して、調理鍋(2)に付着する灰汁(A)等を除去する。
【0028】
第3工程(ST03)は、調理鍋(2)を洗浄すると、図5に示すように、複数片のスッポン灰汁抜肉(SB)を調理鍋(2)に投入し、清酒(R:料理酒)を調理鍋(2)に注入する。
複数片のスッポン灰汁抜肉(SB)の総重量は、スッポン生肉(SR):30〜50kg重量に相当し、灰汁(A)及び浸出液を抽出した量だけ軽量になる。このため、清酒(R)の注入量は、複数片のスッポン灰汁抜肉(SB)を清酒(R)に浮遊できる量、例えば、100リットルを用意する。
【0029】
第3工程(ST03)は、図5に示すように、調理鍋(2)内において、複数片のスッポン灰汁抜肉(SB)を清酒(R)に浸漬して、各スッポン灰汁抜肉(SB)を清酒(R)に浮遊する。
なお、複数片のスッポン灰汁抜肉(SB)を投入し、清酒(R)を注入する調理鍋(2)は、第3工程で洗浄した調理鍋(2)に限定されず、別に用意した調理鍋を使用することができる。
【0030】
<4>第4工程(ST04:成分抽出工程)
図6において、第4工程(ST04)は、調理鍋(2)を火にかけて、調理鍋(2)内の複数片のスッポン灰汁抜肉(SR)及び清酒(R)を同時に加熱する。
第4工程(ST04)では、調理鍋(2)内の各スッポン灰汁抜肉(SR)及び清酒(R)を2時間半弱火で煮詰める。複数片のスッポン灰汁抜肉(SR)及び清酒(R)の煮詰めにおいて、各スッポン灰汁抜肉(SR)から溶け出す細かい灰汁(A1)を除去する。
スッポン灰汁抜肉(SR)のスッポン成分(S)は、加熱に伴って、沸騰する清酒(R)に抽出し、清酒(R)はアルコールを飛ばしつつ蒸発する。これにより、スッポン成分(S)及び清酒(R)で組成されるスッポン成分抽出液(SP)を生成し、清酒(R)を蒸発することによって濃縮したスッポン成分抽出液(SP)とする。スッポン成分(S)は、各スッポン灰汁抜肉(SB)に含まれる必須アミノ酸、タンパク質、コラーゲン、コンドロイチン、ビタミンB群(B1、B2、B6、B12)、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、鉄等で組成される。
【0031】
第4工程(ST04)は、図4に示すように、スッポン灰汁抜肉(SB)を清酒(R)に浮遊して加熱する。複数片のスッポン灰汁抜肉(SB)を清酒(R)に浮遊して加熱することで、各スッポン灰汁抜肉(SB)は、調理鍋(2)に接触することなく、各スッポン灰汁抜肉(SB)全体から確実、十分にスッポン成分(S)を清酒(R)に抽出できる。更に、スッポン灰汁抜肉(SB)の煮崩れを起こすことなく、スッポン生肉(SR)を清酒(R)で軟らかくできる。
第4工程(ST04)では、図4(b)に示すように、複数片のスッポン灰汁抜肉(SB)及び清酒(R)を2時間半弱火で煮詰めることで、清酒(R)の量を半分程度(約50リットル)にし、清酒(R)の蒸発量が半分程度になると、火を止めて調理鍋(2)内のスッポン成分抽出液(SP)及び複数片のスッポン灰汁抜肉(SB)を自然冷却する。
【0032】
<5>第5工程(ST05:希釈工程)
図7において、第5工程(ST05)は、調理鍋(2)から複数片のスッポン灰汁抜肉(SR)を取出して、スッポン成分抽出液(SP)及び各スッポン灰汁抜肉(SR)を分離する。複数片のスッポン灰汁抜肉(SR)は、定量毎に真空パック等の包装が施され、食用として出荷する。
なお、第5工程(ST05)において、スッポン成分抽出液(SP)からスッポン灰汁抜肉(SB)を十分に分離するため、各スッポン灰汁抜肉(SP)を調理鍋(2)から取出した後、スッポン成分抽出液(SP)を濾過しても良く、スッポン成分抽出液(SP)及び各スッポン灰汁抜肉(SB)を同時に濾過しても良い。
【0033】
第5工程(ST05)は、調理鍋(2)から複数片のスッポン灰汁抜肉(SR)を取出すと、図7(b)に示すように、バナジウム水(WK:希釈水)を調理鍋(2)内に注入して、スッポン成分抽出液(SP)に添加する。
バナジウム水(WK)に添加する希釈水(WK)は、第4工程(ST04)の清酒(R)の蒸発量と同等量にして、スッポン成分抽出液(SP)を適度な濃度に希釈する。
なお、スッポン成分抽出液(SP)に添加する希釈水(WK)は、バナジウム水に限定されず、天然水(ミネラルウォータ)等を使用でき、希釈水(WK)の添加量も適宜選択することで、スッポン成分抽出液(SP)の濃度を調整する。また、スッポン成分抽出液(SP)に希釈水(WK)を添加することなく、スッポン成分原液(SP)として使用もできる。
【0034】
<6>第6工程(ST05:加熱沸騰工程)
図8において、第6工程(ST05)は、調理鍋(2)を火にかけて、バナジウム水(WK)を添加したスッポン成分抽出液(SP)を加熱沸騰する。これにより、スッポン成分抽出液(SP)を加熱殺菌し、更に清酒(R)のアルコールを飛ばす。
【0035】
第6工程(ST05)は、スッポン成分抽出液(SP)を加熱沸騰すると、図8(b)に示すように、自然冷却して、スッポン成分原液(SG)を生成する。
スッポン成分原液(SG)は、スッポン成分(S)、50リットルの清酒(R)及び50リットルのバナジウム水(WK:希釈水)で組成される。
【0036】
スッポン成分原液製造方法において、第1工程乃至第6工程(ST01〜ST06)では、水(W)又は清酒(R)と同時に、複数片のスッポン生肉(SR)又は複数片のスッポン灰汁抜肉(SB)を加熱することで、灰汁が残らず、渋み、苦み及び臭み等のないスッポン成分原液(SG)を生成できる。
第1工程乃至第6工程(ST01〜ST06)では、スッポン成分原液(SG)及び食用のスッポン灰汁抜肉(SB)を同時に生成できる。スッポン灰汁抜肉(SB)は、スッポン生肉(SR)を水(W)及び清酒(R)に浮遊して加熱(煮込む)ことで生成されるので、煮崩れなく、軟らかく、しかも渋み、苦み及び臭み等が残らなく、食べ易い食用肉にできる。
【0037】
第1工程乃至第6工程(ST01〜ST06)によれば、30〜50kg重量の複数片のスッポン生肉(SR)を水(W)と同時に加熱し、30〜50kg重量に相当する複数片のスッポン灰汁抜肉を清酒(R)と同時に加熱することで、一度に大量のスッポン成分原液(SG)及び食用のスッポン灰汁抜肉(SB)を生成できるので、安価なスッポン成分原液(SG)を提供できることになる。
【0038】
スッポン成分原液(SG)及びスッポン灰汁抜肉(SB)を一度に大量に生成できるので、スッポン成分原液(SG)及びスッポン灰汁抜肉(SB)は、スッポン鍋料理に安価に提供できる。
【0039】
スッポン成分原液(GS)は、スッポン成分(S)、清酒(R)及びバナジウム水(WK)で組成され、昆布や生姜等の調味料を添加していない。従って、各種のスッポン飲料、和風料理、洋風料理及び中華料理のスープ等、幅広い用途に使用でき、スッポン飲料毎の味付け、スープ毎の味付けに調整できる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、スッポン生肉からスッポン成分、清酒及びバナジウム水で組成されるスッポン成分原液を製造するのに好適である。
【符号の説明】
【0041】
A 灰汁
R 清酒
W 水
SB スッポン灰汁抜肉
SG スッポン成分原液
SP スッポン成分抽出液
SR スッポン生肉
WK 希釈水(バナジウム水)
ST01 第1工程
ST02 第2工程
ST03 第3工程
ST04 第4工程
ST05 第5工程
ST06 第6工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
[A]スッポン生肉を水に浸漬して、前記水に浮遊する第1工程と、
[B]前記スッポン生肉、及び前記水を同時に加熱し、
該加熱に伴って、前記スッポン生肉の灰汁を前記水に抽出して、スッポン灰汁抜肉を生成する第2工程と、
[C]前記スッポン灰汁抜肉を、前記水及び前記灰汁から分離し、
該スッポン灰汁抜肉を清酒に浸漬して、前記清酒に浮遊する第3工程と、
[D]前記スッポン灰汁抜肉、及び前記清酒を同時に加熱し、
該加熱に伴って、前記スッポン灰汁抜肉の成分を前記清酒に抽出しつつ前記清酒を蒸発させて、スッポン成分抽出液を生成する第4工程と、
[E]前記スッポン成分抽出液、及び前記スッポン灰汁抜肉を分離し、
該スッポン成分抽出液にバナジウム水を含む希釈水を添加する第5工程と、
[F]前記希釈水を添加した前記スッポン成分抽出液を加熱沸騰して、スッポン成分原液を生成する第6工程を、
含んでなることを特徴とするスッポン成分原液製造方法。
【請求項2】
前記第1工程は、
30〜50kg重量のスッポン生肉を水に浸漬して、前記水に浮遊してなり、
前記30〜50kg重量のスッポン生肉に対して、前記第2工程乃至第6工程を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載のスッポン成分原液製造方法。
【請求項3】
前記第5工程において、
前記スッポン成分抽出液に添加する前記希釈水は、前記第4工程の前記清酒の蒸発量と同等量にしている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスッポン成分原液製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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