説明

ステッカーの製作方法および画像形成装置

【課題】インクを吐出する記録ヘッドを備えた画像形成装置を利用し、必ずしも台紙を必要としない新規なステッカーの製作方法を提供する。
【解決手段】インクジェット式の記録ヘッドから離型紙の表面に、前記表面から離型可能なインクを吐出し、当該インクを硬化させる。前記インクが硬化してなる鏡像のイメージの上に白色インクを吐出し、当該白色インクを硬化させることによって、白色インク層を形成する。カッティングヘッドによって、前記イメージの輪郭に沿って、前記イメージおよび白色インク層をカットする。前記白色インク層の上に、接着剤を塗布する。カットした部分を離型紙から離型することによって、ステッカーが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステッカーの製作方法および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリンター等の画像形成装置を利用してステッカーを製作する方法が知られている。特許文献1には、下記のような方法が開示されている。この方法ではまず、図8(a)に示すように、プリンターによって、キャリアシート101の表面101aにイメージ102を印刷する。続いて、図8(b)に示すように、キャリアシート101およびイメージ102の上に、接着剤103を塗布する。次に、図8(c)に示すように、接着剤103の上に台紙104を載せ、イメージ102が接着剤103と共に台紙104に接着されるように、台紙104を上方から加圧する。その後、キャリアシート101を取り外す。すると、図8(d)に示すように、台紙104とイメージ102との間の接着剤103が残り、台紙104付きのステッカー100が得られる。なお、ステッカー100は、イメージ102と接着剤103とからなる。使用の際には、ステッカー100を台紙104から剥がし、ステッカー100の接着剤103側を所定の場所に貼り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−516803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のステッカーの製作方法では、台紙104が必要不可欠である。すなわち、接着剤103およびイメージ102を台紙104にいったん転写し、それからキャリアシート101を台紙104から剥がさなければ、ステッカー100を製作することができない。
【0005】
また、キャリアシート101を台紙104から剥がしたときに、イメージ102の裏側の接着剤103のみが残り、その他の接着剤103はキャリアシート101と共に台紙104から剥がれなければならない。そのため、そのような性質を有する接着剤103しか用いることができず、利用可能な接着剤103が限定されてしまう。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、必ずしも台紙を必要としない新規なステッカーの製作方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、より多くの種類の接着剤が利用可能なステッカーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るステッカーの製作方法は、インクジェット式の記録ヘッドから支持材の表面に、前記表面から離型可能なインクを吐出し、前記インクが硬化してなり且つ鏡像のイメージを含むインク硬化体を前記表面上に形成する第1のステップと、少なくとも前記イメージの表面に接着剤を塗布する第2のステップと、を備えた方法である。
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、所定の方向に移動可能に形成され、支持材の表面に当該表面から離型可能なインクを吐出するインクジェット式の記録ヘッドと、所定の方向に移動可能に形成され、カッターを有するカッティングヘッドと、前記支持材と前記記録ヘッドとを前記所定の方向と交差する方向に相対移動させ、且つ、前記支持材と前記カッティングヘッドとを前記所定の方向と交差する方向に相対移動させる移動機構と、前記記録ヘッドから前記インクを吐出させると共に、前記支持材と前記記録ヘッドとが相対移動するように前記移動機構を制御することによって、前記インクが硬化してなり且つ鏡像のイメージを含むインク硬化体を前記支持材の前記表面に形成する第1の制御部と、前記支持材と前記カッティングヘッドとが相対移動するように前記移動機構を制御しつつ、前記カッティングヘッドに前記インク硬化体の一部をカットさせる第2の制御部とを含む制御装置と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、必ずしも台紙を必要としない新規なステッカーの製作方法を提供することができる。また、本発明によれば、ステッカーの製作の際に、より多くの種類の接着剤が利用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置の斜視図である。
【図2】(a)および(b)はインクジェットヘッドおよびカッティングヘッドの正面図である。
【図3】画像形成装置の制御系のブロック図である。
【図4】ステッカーの製作方法のフローチャートである。
【図5】(a)〜(f)はステッカーの製作方法を説明する図であり、左側の図は平面図、右側の図は断面図をそれぞれ表している。
【図6】接着剤を塗布するヘッドの正面図である。
【図7】(a)および(b)は、離型紙およびイメージの断面図である。
【図8】(a)〜(d)は、従来のステッカーの製作方法を説明するためのイメージ等の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態1>
図1に示すように、実施形態1に係る画像形成装置1は、インクジェットヘッド10とカッティングヘッド20とを備えている。詳細は後述するが、インクジェットヘッド10およびカッティングヘッド20は、図示Y方向に移動可能に構成されている。以下では、Y方向を主走査方向または左右方向といい、Y方向と直交する方向であるX方向を副走査方向または前後方向という。
【0012】
画像形成装置1は、印刷時およびカット時に離型紙50を支持するプラテン2を備えている。プラテン2には、グリッドローラ3が設けられている。グリッドローラ3は、フィードモータ61(図1では図示せず。図3参照)によって駆動される。プラテン2の上方には、ガイドレール5が設けられている。ガイドレール5は左右方向に延びている。ガイドレール5の下部には、ピンチローラ4a,4bが設けられている。ピンチローラ4a,4bは、ガイドレール5に対して上下方向に揺動自在に取り付けられている。ピンチローラ4a,4bは、グリッドローラ3に対向している。離型紙50がピンチローラ4a,4bとグリッドローラ3との間に挟み込まれた状態でグリッドローラ3が回転すると、離型紙50は前方または後方に搬送されることになる。
【0013】
図2(a)に示すように、インクジェットヘッド10はキャリッジ11を介してガイドレール5に支持されている。カッティングヘッド20は、キャリッジ21を介してガイドレール5に支持されている。キャリッジ11およびキャリッジ21は、ガイドレール5に対し、左右方向に移動自在に係合している。
【0014】
図2(a)に示すように、キャリッジ21には、ソレノイド22を介してカッター23が取り付けられている。ソレノイド22は、コントローラ60(図3参照)によって制御される。ソレノイド22がON/OFFされると、カッター23は上下方向に移動して離型紙50に接触し、あるいは離型紙50から離間する。キャリッジ21の右側には、磁石によって構成される連結部材24が固定されている。
【0015】
キャリッジ21の背面上部には、左右方向に延びるワイヤー6の一部が固定されている。ワイヤー6は、スキャンモータ62(図3参照)に接続されている。スキャンモータ62が回転すると、ワイヤー6が左右方向に変位する。これにより、キャリッジ21は左右方向に移動することになる。なお、スキャンモータ62は、コントローラ60によって制御される。
【0016】
インクジェットヘッド10のキャリッジ11には、インクジェット式の記録ヘッド12が支持されている。ここでは、5つの記録ヘッド12a,12bがキャリッジ11に支持されている。このうちの4つの記録ヘッド12aは、互いに異なる4つの色のインクを吐出する。これらの記録ヘッド12aは、いわゆるプロセスカラーインクを吐出することによって、離型紙50の表面にカラーのイメージを形成する。他の1つの記録ヘッド12bは、白色インクを吐出し、上記イメージの上に白色のインク層を形成する。なお、記録ヘッド12bが吐出するインクは白色インクに限らず、透明インク等の他のインクであってもよい。記録ヘッド12aの個数は4個に限定されず、記録ヘッド12bの個数も1個に限定されない。記録ヘッド12aは、モノクロのイメージを形成するものであってもよい。また、インクジェットヘッド10は、離型紙50上にイメージを形成するための記録ヘッド12aと、そのイメージ上にインク層を形成するための記録ヘッド12bとに加え、他の記録ヘッドを備えていてもよい。
【0017】
記録ヘッド12a,12bから吐出される各インクは、紫外線を受けることによって硬化する性質を有するインク、すなわち紫外線硬化インクである。このインクは、離型紙50の表面に浸透しないインクであり、硬化した後に離型紙50から容易に剥がせる性質を有している。すなわち、このインクは、離型紙50の表面から離型可能なインクである。なお、本実施形態では、イメージを支持する支持材として離型紙50を用いているが、支持材は離型紙50に限定されない。支持材として他の材料、例えば、インクに侵されない樹脂、ガラス、基材に塗布された離型剤等を用いることも可能である。
【0018】
キャリッジ11の左側および右側には、紫外線照射装置13a,13bが設けられている。紫外線照射装置13a,13bの種類は何ら限定されないが、本実施形態では、紫外線照射装置13a,13bは紫外線を照射するLED(図示せず)を備えたものである。ただし、紫外線照射装置13a,13bは、ハロゲンランプ等の他の照射体を備えたものであってもよい。紫外線照射装置13a,13bは、紫外線を下向きに照射する。これにより、プラテン2上の離型紙50に紫外線が照射され、離型紙50上の紫外線硬化インクが硬化する。左側の紫外線照射装置13aの左側には、磁石によって構成される連結部材14が設けられている。この連結部材14は、カッティングヘッド20の連結部材24に対し、着脱自在に連結する。本実施形態では、連結部材14,24は、磁力を利用するものである。ただし、連結部材14,24は磁力を利用するものに限られず、係合部材等の他の構成を備えたものであってもよい。右側の紫外線照射装置13bの右側には、L字状に形成された受け金具15が設けられている。
【0019】
プラテン2の左右両端部には、サイドフレーム7L,7Rが配置されている。ガイドレール5は、両サイドフレーム7L,7Rに支持されている。右側のサイドフレーム7Rには、インクジェットヘッド10を待機位置にロックするためのロック装置30が設けられている。ロック装置30は、紫外線照射装置13bの受け金具15に引っ掛けられる受け金具31と、受け金具31をロック位置(図2(b)参照)と非ロック位置(図2(a)参照)との間で移動させるソレノイド32(図3参照)とを備えている。ソレノイド32は、コントローラ60によって制御される。
【0020】
図2(a)に示すように、インクジェットヘッド10による印刷を行う場合には、受け金具31が非ロック位置に設定される。カッティングヘッド20のキャリッジ21が右方に移動し、連結部材24と連結部材14とが接触すると、キャリッジ21とキャリッジ11とが連結される。その結果、インクジェットヘッド10は、カッティングヘッド20と共に左右方向に移動可能となる。一方、カッティングヘッド20によるカッティングの際には、図2(b)に示すように、インクジェットヘッド10が待機位置に位置付けられ、ロック装置30の受け金具31がロック位置に設定される。これにより、インクジェットヘッド10の移動が阻止される。キャリッジ21が左方へ移動すると、連結部材24と連結部材14とが離反し、キャリッジ21とキャリッジ11との連結が解除される。その結果、インクジェットヘッド10が待機位置に待機した状態で、カッティングヘッド20が左右方向に移動可能となる。
【0021】
図1に示すように、画像形成装置1は、上側の筐体を構成する上カバー8を備えている。サイドフレーム7Lの左側、サイドフレーム7R(図2(a)参照)の右側には、サイドカバー9L,9Rがそれぞれ設けられている。右側のサイドカバー9Rの前面には、操作パネル35が配置されている。プラテン2の下方には、キャスター付きのスタンド36が設けられている。
【0022】
図3に示すように、コントローラ60は、図示しないCPU、ROM、およびRAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されている。コントローラ60は、インターフェース63を介して外部コンピュータ70に接続される。コントローラ60は、外部コンピュータ70からの指令を受け、フィードモータ61、スキャンモータ62、ロック装置30のソレノイド32、カッティングヘッド20のソレノイド22、インクジェットヘッド10の記録ヘッド12、および紫外線照射装置13a,13bを制御する。外部コンピュータ70には、キーボードやマウス等からなる入力装置71と、液晶ディスプレイ等からなる表示装置72とが接続されている。なお、本実施形態では、外部コンピュータ70を用いることとしたが、外部コンピュータ70は必ずしも必要ではない。操作パネル35を介して入力された指令に基づいて、コントローラ60のみで上記各制御を実行してもよい。
【0023】
次に、画像形成装置1を用いたステッカーの製作方法について説明する。図4は、ステッカーの製作方法のフローチャートである。まず、ステップS1において、離型紙50上に所定の鏡像のイメージを形成する。詳しくは、グリッドローラ3が離型紙50を順次前方へ搬送しながら、インクジェットヘッド130が左右方向に移動する。そして、プロセスカラー用の記録ヘッド12aがインクを吐出し、紫外線照射装置13a,13bが紫外線を適宜照射する。これにより、吐出されたインクが硬化し、図5(a)に示すように、離型紙50上に鏡像のイメージ51が形成される。
【0024】
次に、ステップS2に進み、イメージ上に白色インク層を形成する。具体的には、まず、グリッドローラ3を逆転させ、離型紙50をいったん後方に引き戻す。そして、離型紙50が印刷開始位置まで戻ると、グリッドローラ3が離型紙50を順次前方へ搬送しながら、インクジェットヘッド10が左右方向に移動する。記録ヘッド12bは白色インクを吐出し、紫外線照射装置13a,13bが紫外線を照射する。これにより、図5(b)に示すように、イメージ51の上に白色インク層52が形成される。これらイメージ51および白色インク層52は、インク硬化体56となる。本実施形態では、イメージ51の上に白色インク層52を重ねることとしたので、インク硬化体56の厚みを増すことができる。なお、白色インク層52は一層に限られず、複数の層であってもよい。すなわち、イメージ51の上に白色インクを塗り重ねるようにしてもよい。
【0025】
本実施形態では、イメージ51を形成した後、離型紙50をいったん後方へ引き戻してから、白色インクを吐出するようにした。しかし、イメージ51の形成と白色インク層52の形成とを、同一の走査にて連続して行ってもよい。すなわち、プロセスカラー用の記録ヘッド12aからインクを吐出して硬化させ、その後、離型紙50を前方に搬送せずに記録ヘッド12bから白色インクを1回または複数回吐出し、その白色インクを硬化させるようにしてもよい。離型紙50を順次前方へ搬送しながらこのような動作を繰り返すことにより、離型紙50の上にイメージ51と白色インク層52とを積層させることができる。
【0026】
ステップS2の後はステップS3に進み、イメージの輪郭をカットする。具体的には、まず、カッティングヘッド20をインクジェットヘッド10から切り離す(図2(b)参照)。次に、離型紙50を前後方向に搬送しつつ、カッティングヘッド20を左右方向に移動させ、イメージ51およびイメージ51上の白色インク層52の周囲をカットする(図5(c)参照)。これにより、接着剤が塗布されていない状態のステッカー、すなわちステッカー本体55が得られる。
【0027】
次にステップS4に進み、ステッカー本体55を画像形成装置1から取り出し、ステッカー本体55の表面に接着剤53を塗布する(図5(d)参照)。詳しくは、白色インク層52の表面に接着剤53を塗布する。接着剤53の種類は特に限定されず、公知の種々の接着剤を利用することができる。例えば、いわゆるスプレーのり等を好適に用いることができる。なお、接着剤53は、ステッカー本体55にのみ選択的に塗布してもよく、白色インク層52の全面に塗布してもよい。接着剤53を選択的に塗布することとすれば、接着剤53の無駄をなくすことができる。一方、接着剤53を白色インク層52の全面に塗布することとすれば、接着剤53を塗布する作業を簡単化することができる。ここでは、接着剤53を白色インク層52の全面に塗布することとする。
【0028】
次にステップS5に進み、接着剤53が塗布されたステッカー本体55を離型紙50から離型させる。言い換えると、ステッカー本体55を離型紙50から引き剥がす。これにより、ステッカー本体55と接着剤53とからなるステッカー58が得られる(図5(e)参照)。
【0029】
図5(f)に示すように、ステッカー58の使用時には、ステッカー58の接着剤53側を所定の箇所65に貼り付ける。これにより、イメージ51は、白色インク層52を背景として表側に位置することになる。
【0030】
なお、コントローラ60は、ステップS1およびステップS2を実行するときに、本発明の「第1の制御部」として機能する。また、コントローラ60は、ステップS3を実行するときに、本発明の「第2の制御部」として機能する。
【0031】
以上のように、本実施形態によれば、ステッカー58の製作の過程において、必ずしも台紙は必要ではない。また、前述した従来技術(図8(c)参照)のように、キャリアシート101を剥がすと一部の接着剤のみが選択的に剥がれるような工夫を施す必要がない。そのため、利用可能な接着剤が限定されず、より多くの種類の接着剤を利用することができる。
【0032】
なお、ステッカー58の使用方法は特に限定されない。ステッカー58を離型紙50に保持された状態で運び、使用場所にてステッカー58を離型紙50から引き剥がし、所定の箇所65に貼り付けるようにしてもよい。また、離型紙50から引き剥がしたステッカー58をいったん台紙(図示せず)に貼り、その台紙に保持された状態でステッカー58を使用場所まで運ぶようにしてもよい。この場合、使用場所においてステッカー58を上記台紙から引き剥がし、所定の箇所65に貼り付けることになる。このように本実施形態では、ステッカー58の製作に際して台紙は必要ではないが、ステッカー58の使用に際して台紙を利用するようにしてもよい。
【0033】
本実施形態によれば、離型紙50の表面に浸透しないインクによって、インク硬化体56(すなわち、イメージ51および白色インク層52)を形成することとした。そのため、ステップS5において、ステッカー本体55を離型紙50から容易に離型させることができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、紫外線硬化インクによってインク硬化体56を形成することとした。そのため、ステッカー本体55を離型紙50から更に容易に離型させることができる。また、紫外線硬化インクが硬化してなるステッカー本体55は、それ自体で取り扱いが容易である。そのため、ステッカー本体55を支持するための台紙がなくても、ステッカー本体55のみを容易に取り扱うことができる。
【0035】
なお、本実施形態では、イメージ51の上に白色インク層52を形成することとしたが、白色インク層52は必ずしも必要ではない。イメージ51のみでステッカー本体55を構成してもよい。ただし、本実施形態によれば、イメージ51の上に白色インク層52を形成することとしたので、ステッカー本体55の厚みを大きくすることができる。そのため、ステッカー本体55の離型紙50からの離型、並びにステッカー58の取り扱いを、より一層容易にすることができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、イメージ51の輪郭に沿って、イメージ51およびその上の白色インク層52をカットすることとしている。そのため、離型紙50からのステッカー本体55の離型を、より容易に行うことができる。
【0037】
なお、本実施形態では、接着剤53を塗布する前に、イメージ51および白色インク層52をカットすることとした。しかし、接着剤53の塗布と上記カットとの順序は特に限定されない。上記カットは、接着剤53を塗布した後に行ってもよく、接着剤53を塗布している途中に行ってもよい。
【0038】
また、本実施形態では、白色インク層52はイメージ51よりも広い面積にわたって形成されていた。しかし、白色インク層52は、イメージ51と同じ面積、あるいはイメージ51よりも狭い面積にわたって形成されていてもよい。本実施形態では、上記カットはイメージ51の輪郭に沿って行われていたが、カットの態様は何ら限定されない。例えば、イメージ51の一部を切り抜くようにしてもよい。
【0039】
<実施形態2>
実施形態1では、画像形成装置1によってステッカー本体55が製作された後、ステッカー本体55に接着剤53を塗布する作業は、画像形成装置1の外部で行われる。これに対し、実施形態2は、接着剤53を塗布する装置が画像形成装置1に内蔵され、接着剤53を塗布する作業が画像形成装置1によって行われるものである。
【0040】
図6に示すように、実施形態2に係る画像形成装置1は、接着剤を塗布するヘッド40を備えている。ヘッド40は、ガイドレール5に係合するキャリッジ41と、キャリッジ41に支持された噴射スプレー45とを備えている。キャリッジ41はガイドレール5に沿って左右方向に移動自在に構成されている。図示は省略するが、キャリッジ41はカッティングヘッド20のキャリッジ21(図2(a)および図2(b)参照)と着脱自在に構成されている。着脱のための機構は特に限定されず、例えば、前述の連結部材14,24と同様の構成を用いることができる。
【0041】
噴射スプレー45は、ホース42を介してタンク43に接続されている。タンク43には、接着剤53が貯留されている。噴射スプレー45は、コントローラ60(図3参照)によって制御される。
【0042】
実施形態2においては、前述のステップS1〜S3を実行した後、グリッドローラ3を逆転させ、離型紙50をいったん後方に引き戻す。そして、離型紙50が印刷開始位置まで戻ると、グリッドローラ3が離型紙50を順次前方へ搬送しながら、ヘッド40が左右方向に移動する。この際、噴射スプレー45は接着剤53を噴射する。これにより、前述のステップS4が実行される。なお、この際、コントローラ60は本発明の「第3の制御部」として機能する。
【0043】
実施形態2に係る画像形成装置1によれば、前述のステップS1〜S3だけでなく、ステップS4の処理も行うことができる。すなわち、1台の画像形成装置1によって、イメージ51の印刷、イメージ51のカット、および接着剤53の塗布を行うことができる。
【0044】
<実施形態3>
前述したように、前記各実施形態では、離型紙50の表面に鏡像のイメージ51を形成する。イメージ51の裏面、すなわち離型紙50と接触している面は、ステッカー58の使用時には外部から視認される面、言い換えると表面となる。ここで、イメージ51の裏面の状態は、離型紙50の表面の状態に依存する。離型紙50の表面が滑らかであれば、イメージ51の裏面も滑らかな状態となる。一方、離型紙50の表面に凹凸があれば、イメージ51の裏面にも凹凸が生じる。
【0045】
そこで、図7(a)に示すように、表面50aが滑らかな離型紙50を用いることにより、イメージ51の裏面51aを滑らかに形成することができ、ひいては光沢感の大きなステッカー58を得ることができる。例えば、表面50aがイメージ51の表面51bよりも滑らかな離型紙50を用いることにより、イメージ51の裏面51aを表面51bよりも滑らかに形成することができ、より光沢感のあるステッカー58を得ることができる。すなわち、表面がいわゆるグロス調のステッカー58を製作することができる。
【0046】
一方、図7(b)に示すように、凹凸が大きい表面50aを有する離型紙50を用いることにより、イメージ51の裏面51aに凹凸を形成することができる。これにより、光沢感の小さなステッカー58を得ることができる。例えば、表面50aがイメージ51の表面51bよりも粗い離型紙50を用いることにより、イメージ51の裏面51aを表面51bよりも粗くすることができ、より光沢感の少ないステッカー58を得ることができる。すなわち、表面がいわゆるマット調のステッカー58を製作することができる。
【0047】
離型紙50の表面の凹凸は、一種の模様と考えることができる。離型紙50の表面の凹凸は、視認できない程度の細かいものであってもよいが、視認可能な大きなものであってもよい。離型紙50の表面に、視認可能な模様が形成されていてもよい。これにより、多様な形態のステッカー58を製作することが可能となる。
【0048】
<他の実施形態>
前記実施形態に係る画像形成装置1では、インクジェットヘッド10、カッティングヘッド20、または接着剤53を塗布するヘッド40は、主走査方向Yに移動可能に構成され、離型紙50は副走査方向Xに搬送されるようになっていた。しかし、各ヘッド10,20,40と離型紙50とは、主走査方向Yおよび副走査方向Xに関して相対移動可能であればよく、それらを相対移動させる移動機能は何ら限定されない。例えば、各ヘッド10,20,40を主走査方向Yに移動可能に支持するガイドレール5を、副走査方向Xに移動可能に構成してもよい。
【0049】
インクジェットヘッド10または接着剤53を塗布するヘッド40は、必ずしも主走査方向Yに移動可能に構成されていなくてもよい。上記ヘッド10,40は、主走査方向Yに延び、主走査方向Yの全域にわたってインクまたは接着剤53を一斉に吐出または噴射するものであってもよい。
【0050】
紫外線照射装置13aまたは13bは、必ずしも主走査方向Yに移動可能に構成されていなくてもよい。例えば、紫外線照射装置13aおよび13bのいずれか一方は、インクジェットヘッド10よりも前方において、主走査方向Yに延びるように配置されていてもよい。
【0051】
前記実施形態では、紫外線が照射されると硬化するインクを用いた。しかし、本発明に係るインクの種類は紫外線硬化インクに限定されない。例えば、熱を加えることによって硬化するインクを用いることもできる。インクを硬化させる手段も紫外線照射装置13a,13bに限定される訳ではない。また、インクの種類によっては、自然乾燥させることによって硬化させることもできる。そのような場合には、インクを強制的に硬化させる手段は必ずしも必要ではない。
【符号の説明】
【0052】
1 画像形成装置
2 プラテン
3 グリッドローラ(移動機構)
5 ガイドレール
10 インクジェットヘッド
12 記録ヘッド
20 カッティングヘッド
23 カッター
40 接着剤を塗布するヘッド(他のヘッド)
45 噴射スプレー
50 離型紙(支持材)
51 イメージ
52 白色インク層
53 接着剤
55 ステッカー本体
56 インク硬化体
58 ステッカー
60 コントローラ(制御装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット式の記録ヘッドから支持材の表面に、前記表面から離型可能なインクを吐出し、前記インクが硬化してなり且つ鏡像のイメージを含むインク硬化体を前記表面上に形成する第1のステップと、
少なくとも前記イメージの表面に接着剤を塗布する第2のステップと、
を備えたステッカーの製作方法。
【請求項2】
前記第2のステップの前、後、または途中に、前記インク硬化体の一部をカットするカッティングステップを備えている、請求項1に記載のステッカーの製作方法。
【請求項3】
前記カッティングステップは、前記イメージの輪郭に沿って前記インク硬化体をカットするステップである、請求項2に記載のステッカーの製作方法。
【請求項4】
前記第1のステップは、前記記録ヘッドから前記イメージを形成するためのインクを吐出するステップと、前記記録ヘッドから前記イメージの上に他のインク層を形成するためのインクを吐出するステップと、を含んでいる請求項1〜3のいずれか一つに記載のステッカーの製作方法。
【請求項5】
前記インクは、紫外線が照射されると硬化する紫外線硬化インクである、請求項1〜4のいずれか一つに記載のステッカーの製作方法。
【請求項6】
前記支持材の表面は、前記イメージの表面よりも滑らかに形成されている、請求項1〜5のいずれか一つに記載のステッカーの製作方法。
【請求項7】
前記支持材の表面に模様が形成されている、請求項1〜5のいずれか一つに記載のステッカーの製作方法。
【請求項8】
所定の方向に移動可能に形成され、支持材の表面に当該表面から離型可能なインクを吐出するインクジェット式の記録ヘッドと、
所定の方向に移動可能に形成され、カッターを有するカッティングヘッドと、
前記支持材と前記記録ヘッドとを前記所定の方向と交差する方向に相対移動させ、且つ、前記支持材と前記カッティングヘッドとを前記所定の方向と交差する方向に相対移動させる移動機構と、
前記記録ヘッドから前記インクを吐出させると共に、前記支持材と前記記録ヘッドとが相対移動するように前記移動機構を制御することによって、前記インクが硬化してなり且つ鏡像のイメージを含むインク硬化体を前記支持材の前記表面に形成する第1の制御部と、前記支持材と前記カッティングヘッドとが相対移動するように前記移動機構を制御しつつ、前記カッティングヘッドに前記インク硬化体の一部をカットさせる第2の制御部とを含む制御装置と、
を備えた画像形成装置。
【請求項9】
接着剤を塗布する他のヘッドを備え、
前記制御装置は、前記他のヘッドに少なくとも前記イメージの表面に接着剤を塗布させる第3の制御部を含んでいる、請求項8に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−137923(P2011−137923A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296975(P2009−296975)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000116057)ローランドディー.ジー.株式会社 (163)
【Fターム(参考)】