説明

ステップ着脱構造及びステップ着脱方法

【課題】 簡単に着脱し、かつ、安全性を向上させるとともに、部外者の昇降を確実に防止する。
【解決手段】 ステップ部材5をステップ支持具6に取り付ける際には、上方から基板8を収納支持部14へ挿入して収納する。ステップ部材5がステップ支持具6に取り付けられている時には、正面部15及び底部17が、基板8を抑えるとともに、側部16が基板8の側方への変位を規制して、例えば、昇降ステップ9にかかる荷重に抗して、ステップ部材5を支持する。ステップ部材5をステップ支持具6から取り外すときには、ステップ部材5を上方へ持ち上げて、基板8を収納支持部14から引き抜く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、鉄塔等の構造物に昇降ステップを着脱自在に取り付けるためのステップ着脱構造及びステップ着脱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、送電線等が取り付けられる鉄塔には、保守点検等を行う際に、作業者が昇降するためのステップボルトが取り付けられている。ただ、作業者等の関係者以外の部外者の昇降塔を防ぐために、地表略2m以下の高さの部位は、ステップボルトは、常時取り外されており、鉄塔上部での作業の都度、携帯したステップボルトを取り付けて、作業者が昇降し、作業終了後に、取り外すこととしている。
【0003】
しかしながら、ナット等の固定具を用いて、ステップボルトを鉄塔の主柱材に固定する必要があり、取付け時及び取外し時に手間がかかるという問題がある。また、作業を急ぐ場合等に、固定具による十分な締付けがなされず、締付けが弱かったり、締付けが緩む虞があり、ステップボルトに荷重がかかった場合に、例えば、ステップボルトが斜めに傾いて作業員が足を滑らせて怪我を負う事態が起こる可能性があり、安全性を確保することが困難であるという問題がある。
【0004】
このため、ステップボルトに抜止め用の爪を出没自在に設けて、主柱材のボルト挿通孔にステップボルトを差し込んだ際に爪を突出させ、爪と位置決め用のナットとで主柱材を挟むことで固定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、予め、主柱材に、ステップを係止するステップ係止ボルトを取り付けておき、作業時に、平坦面を備えたステップをステップ係止ボルトに取り付ける技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−63605号公報
【特許文献2】特開2007−177473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来技術においては、例えば、特許文献1に記載された技術では、十分な強度が得られず、安全性を確保することが困難であるという問題がある。また、例えば、特許文献2に記載された技術では、ステップ係止ボルトを用いて部外者が昇降可能となるという問題がある。
【0007】
この発明は、前記の課題を解決し、簡単に着脱し、かつ、安全性を向上させることができるとともに、部外者の昇降を確実に防止することができるステップ着脱構造及びステップ着脱方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、足場としてのステップを構造物に着脱自在に取り付けるためのステップ着脱構造であって、前記ステップを有するステップ部材が、前記構造物に取り付けられたステップ支持手段に、着脱自在に取り付けられ、前記ステップ部材は、基体と、前記基体に突設された前記ステップとを有し、前記ステップ支持手段は、前記構造物に取り付けられる取付け部と、前記基体を収納した状態で支持する収納支持部とを有していることを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明では、ステップ部材は、基体と、基体に突設されたステップとを有し、ステップ支持手段は、構造物に取り付けられる取付け部と、基体を収納した状態で支持する収納支持部とを有し、ステップ支持手段が、構造物に取付け部を介して取り付けられ、基体が収納支持部に収納された状態で、ステップ部材がステップ支持手段に取り付けられる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載のステップ着脱構造であって、前記基体は、板状部材からなり、前記収納支持部は、前記基体を挿抜するための開口と、前記ステップとの干渉を避けるための切欠き部とが形成され、前記基体に対応した寸法の内部空間を有する箱形部材からなっていることを特徴としている。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のステップ着脱構造であって、前記ステップ支持手段は、前記構造物に形成された係止部に係止されて当該ステップ支持手段を前記構造物に取り付けるための被係止部を有していることを特徴としている。
【0012】
請求項4の発明は、足場としてのステップを構造物に着脱自在に取り付けるためのステップ着脱方法であって、前記構造物にステップ支持手段を取り付ける第1の工程と、前記ステップ支持手段に、基体と、前記基体に突設された前記ステップを有するステップ部材を取り付ける第2の工程と、前記ステップ支持手段から、前記ステップ部材を取り外す第3の工程とを含み、前記第1の工程では、前記構造物に取り付けられる取付け部と、前記基体を収納した状態で支持する収納支持部とを有する前記ステップ支持手段を、前記取付け部を介して前記構造物に取り付け、前記第2の工程では、前記収納支持部に前記基体を挿入して、前記ステップ支持手段に、前記ステップ部材を取り付け、前記第3の工程では、前記収納支持部から前記基体を引き抜いて、前記ステップ支持手段から、前記ステップ部材を取り外すことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、ステップ部材は、基体と、基体に突設されたステップとを有し、ステップ支持手段は、構造物に取り付けられる取付け部と、基体を収納した状態で支持する収納支持部とを有し、ステップ支持手段が、構造物に取付け部を介して取り付けられ、基体が収納支持部に収納された状態で、ステップ部材がステップ支持手段に取り付けられるので、簡単に着脱し、かつ、安全性を向上させることができるとともに、例えば、ステップ部材を持たぬ者の構造物への昇降を確実に防止することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、収納支持部は、基体を挿抜するための開口と切欠き部とを有しているので、基体を収納支持部に対して容易に挿抜して、ステップ部材をステップ支持手段に対して簡単に着脱することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、ステップ支持手段は、被係止部を有しているので、構造物に対して簡単に着脱でき、例えば、ステップ部材及びステップ支持手段を持たぬ者の構造物への昇降を確実に防止することができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、ステップ支持手段が、構造物に取付け部を介して取り付けられ、基体が収納支持部に収納された状態で、ステップ部材がステップ支持手段に取り付けられるので、簡単に着脱し、かつ、安全性を向上させることができるとともに、例えば、ステップ部材を持たぬ者の構造物への昇降を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施の形態1による昇降ステップ着脱構造の構成を示す斜視図である。
【図2】図1のA―A線に沿った断面図である。
【図3】図1のB―B線に沿った断面図である。
【図4】同昇降ステップ着脱構造のステップ部材がステップ支持具を介して取り付けられる鉄塔の構成を一部破断して示す図である。
【図5】図4のC部を拡大して示す拡大図である。
【図6】同ステップ部材の同ステップ支持具に対する着脱方法を説明するための分解斜視図である。
【図7】この発明の実施の形態2による昇降ステップ着脱構造の構成を示す正面図である。
【図8】図7のD―D線に沿った断面図である。
【図9】図7のE―E線に沿った断面図である。
【図10】この発明の実施の形態3による昇降ステップ着脱構造の構成を示す分解斜視図である。
【図11】この発明の実施の形態1の変形例による昇降ステップ着脱構造の構成を示す正面図である。
【図12】図11のF−F線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1による昇降ステップ着脱構造の構成を示す斜視図、図2は、図1のA―A線に沿った断面図、図3は、図1のB―B線に沿った断面図、図4は、同昇降ステップ着脱構造のステップ部材がステップ支持具を介して取り付けられる鉄塔の構成を一部破断して示す図、図5は、図4のC部を拡大して示す拡大図、図6は、同ステップ部材の同ステップ支持具に対する着脱方法を説明するための分解斜視図である。
【0020】
図1、図4及び図5に示すように、送電線等が取り付けられる鉄塔1を構成する塔脚としての主柱材2の下部には、ステップ部材5が、ステップ支持具6を介して着脱自在に取り付けられる。ステップ支持具6は、図4に示すように、地表から所定の高さ(例えば、略2m)までの間の主柱材2に固定され、図5に示すように、例えば山形鋼からなる主柱材2の互いに略直交する両片板部3,4に、長さ方向に沿って所定の間隔(例えば、略450mm)H0で千鳥足状に左右で交互に高さを違えて配置される。
【0021】
この実施の形態の昇降ステップ着脱構造7は、図1に示すように、主柱材2に固定されたステップ支持具6の収納支持部14に、ステップ部材5の基板8が上方から挿入可能とされ、かつ、上方へ引抜可能とされることで、ステップ部材5がステップ支持具6に対して着脱自在となるように取り付けられるとともに、取り付けられた状態では、収納支持部14に基板8が収納されて、例えば、昇降ステップ9にかかる荷重に抗してステップ部材5が支持されるように概略構成されている。
【0022】
ステップ部材5は、図1乃至図3に示すように、例えば、略矩形状の平板からなる基板8と、基板8の上部から立設され、所定の外径(例えば、略15mm)及び長さ(例えば、略150mm〜略200mm)の棒状部材からなる昇降ステップ9と、基板8の下部と昇降ステップ9の先端部との間に掛け渡され、昇降ステップ9を支持する棒状部材からなる補強支持部11とを有している。ここで、基板8と昇降ステップ9、基板8及び昇降ステップ9と補強支持部11とは、例えば溶接等により接合されている。
【0023】
また、ステップ支持具6は、図1乃至図3に示すように、主柱材2に固定される固定板13と、基板8が収納され、ステップ部材5を支持する収納支持部14とが一体化されて、概略構成されている。固定板13は、上部にボルトM1が挿通される挿通孔13aが形成され、挿通孔13aと、主柱材2の例えば片板部3に形成された挿通孔3aとにボルトM1が挿通された状態で、ボルトM1の軸部の雄ねじ部とナットM2の雌ねじ部との螺合によって締め付けられ、主柱材2に固定される。収納支持部14は、上部に開口が形成された外形薄型直方体の箱形形状を呈し、正面部15と、側部16と、底部17とを有している。正面部15には、昇降ステップ9及び補強支持部11との干渉を避けるための切欠き部15aが形成されている。
【0024】
収納支持部14は、基板8に対応した寸法及び形状に成形され、基板8が収納可能な程度の容積を有している。収納支持部14は、上部に開口が設けられ、かつ、正面部15に切欠き部15aが形成されていることで、基板8が上方から挿入可能とされ、かつ、上方へ引抜可能とされ、着脱自在な構造とされている。ステップ部材5が装着されている状態では、正面部15及び底部17が、基板8を抑えるとともに、側部16が基板8の側方への変位を規制して、例えば、昇降ステップ9にかかる荷重に抗して、ステップ部材5を支持する。ここで、特に、基板8と正面部15とは、比較的大きな接触面積で、接触するので、強度の向上に寄与する。
【0025】
次に、図6を用いて、ステップ部材5のステップ支持具6への取付方法及びステップ部材5のステップ支持具6からの取外方法(すなわち、着脱方法)について説明する。図6に示すように、この実施の形態では、ステップ支持具6は、予め主柱材2の下部に取り付けられる。保守作業時等には、作業員は、携行しているステップ部材5を、ステップ支持具6に取り付けてから、鉄塔1に昇る。ステップ部材5をステップ支持具6に取り付ける際には、上方から基板8を収納支持部14へ挿入して収納する。ステップ支持具6の収納支持部14には、上部に開口が設けられ、かつ、正面部15に切欠き部15aが形成されていることで、基板8が上方から容易に挿入可能とされている。
【0026】
このように、基板8を収納支持部14へ挿入して収納するのみで、ステップ部材5のステップ支持具6への取付けが完了する。ステップ部材5がステップ支持具6に取り付けられている時には、正面部15及び底部17が、基板8を抑えるとともに、側部16が基板8の側方への変位を規制して、例えば、昇降ステップ9にかかる荷重に抗して、ステップ部材5を支持する。
【0027】
作業員が保守作業等を終えて、鉄塔1を降りる場合に、ステップ部材5をステップ支持具6から取り外すときには、ステップ部材5を上方へ持ち上げて、基板8を収納支持部14から引き抜く。このように、基板8を収納支持部14から引き抜くのみで、ステップ部材5のステップ支持具6からの取外しが完了する。作業員は、引き抜いたステップ部材5を携行して持ち帰る。
【0028】
こうして、この実施の形態の構成によれば、基板8を収納支持部14へ挿入して収納するのみで、ステップ部材5のステップ支持具6への取付けが完了し、また、基板8を収納支持部14から引き抜くのみで、ステップ部材5のステップ支持具6からの取外しが完了するため、ボルトやナット等の固定具を用いて締め付けて、固定する必要がなくなるので、簡単かつ迅速にステップ部材5を着脱することができる。
【0029】
また、ステップ部材5が装着されている状態では、正面部15及び底部17が、基板8を抑えるとともに、側部16が基板8の側方への変位を規制して、例えば、昇降ステップ9にかかる荷重に抗して、ステップ部材5を支持するので、荷重がかかったときに、昇降ステップ9が傾く等のステップ部材5の変位を抑えることができ、かつ、ボルトやナット等の固定具を用いないので、取付不具合等を防止することができ、安全性を向上させることができる。同時に、ステップ支持具6の収納支持部14を、外形薄型直方体の箱形形状とすることによって、部外者の鉄塔1への昇降を防止することができる。
【0030】
また、部品点数を減らすことができるので、部品の落下等による紛失を防止することができる。また、補強支持部11を設けて昇降ステップ9を支持するので、安全強度を一段と向上させることができる。また、主柱材2に形成した既存の挿通孔3a等を用いて、ステップ支持具6を主柱材2に取り付けることができるので、鉄塔1を新設する場合のほか、従来の鉄塔1にも適用することができる。
【0031】
(実施の形態2)
図7は、この発明の実施の形態2による昇降ステップ着脱構造の構成を示す正面図、図8は、図7のD―D線に沿った断面図、図9は、図7のE―E線に沿った断面図である。この実施の形態の構成が上述した実施の形態1の構成と大きく異なるところは、ステップ支持具を、固定具を用いることなく主柱材に対して着脱自在に構成した点である。
【0032】
図7乃至図9に示すように、この実施の形態のステップ支持具21は、主柱材2に取り付けられる取付け板22と、ステップ部材5の基板8が収納され、ステップ部材5を支持する収納支持部23と、収納支持部23の側方に延設され、主柱材2のそれぞれ片板部4の頂部側の外面及び片板部3の端部を抑える抑え部24,25と、取付け板22の裏面側に鉤状に形成され、係止部を構成する片板部3の挿通孔3aに挿通されて係止されステップ支持具21を主柱材2に取り付けるための被係止部26とが一体化されて概略構成されている。
【0033】
収納支持部23は、上部に開口が形成された外形薄型直方体の箱形形状を呈し、正面部27と、側部28と、底部29とを有している。正面部27には、昇降ステップ9及び補強支持部11との干渉を避けるための切欠き部27aが形成されている。また、被係止部26は、弾性的に変形可能とされている。
【0034】
ステップ支持具21を主柱材2に取り付ける際には、片板部3の挿通孔3aに、被係止部26を挿入して主柱材2に係止させて、かつ、抑え部24,25を、それぞれ、主柱材2のそれぞれ片板部4の頂部側の外面及び片板部3の端部を抑えるように主柱材2に嵌め込む。これによって、ステップ支持具21の側方の変位や、例えば、挿通孔3aの形成位置の周りの回転変位が抑えられる。なお、ステップ支持具21は、予め主柱材2に取り付けておいても良いし、作業員がステップ部材5とともに携行して、その都度、主柱材2に取り付けても良い。
【0035】
この実施の形態の構成によれば、上述した実施の形態1と略同様の効果を得ることができる。加えて、ステップ支持具21も主柱材2に対して簡単に着脱することができる。したがって、例えば、ステップ部材5とともに携行して、その都度、主柱材2に取り付けることによって、部外者の鉄塔1への昇降を確実に防止することができる。
【0036】
また、抑え部24,25を、それぞれ、主柱材2に嵌め込むことによって、ステップ支持具21の側方の変位や、例えば、挿通孔3aの形成位置の周りの回転変位を抑えて、ステップ支持具21を確実に主柱材2に取り付け、ステップ部材5の変位も抑えることができる。
【0037】
(実施の形態3)
図10は、この発明の実施の形態3による昇降ステップ着脱構造の構成を示す分解斜視図である。この実施の形態の構成が上述した実施の形態1の構成と大きく異なるところは、ステップ部材の基板をステップ支持具に対して側方から挿抜可能とした点、及び昇降ステップをコの字形とした点である。
【0038】
図10に示すように、この実施の形態のステップ部材31は、鉄塔1の主柱材2の下部に、ステップ支持具32を介して着脱自在に取り付けられる。昇降ステップ着脱構造33は、主柱材2に固定されたステップ支持具32の収納支持部39に、ステップ部材31の基板34が側方(正面側から見て右方)から挿入可能とされ、かつ、側方へ引抜可能とされることで、ステップ部材31がステップ支持具32に対して着脱自在となるように取り付けられるとともに、取り付けられた状態では、収納支持部39に基板34が収納されて、例えば、昇降ステップ35にかかる荷重に抗してステップ部材31が支持されるように概略構成されている。
【0039】
ステップ部材31は、図10に示すように、例えば、略矩形状の平板からなる基板34と、基板34の上部から立設され、例えば棒状部材が外形コの字形(C形)に成形されてなる昇降ステップ35と、昇降ステップ35の先端部位に一端が接合され、ステップ支持具32に取り付けられた状態で昇降ステップ35を支持する板状部材からなる補強支持部36とを有している。ここで、基板34と昇降ステップ35、昇降ステップ35と補強支持部36の一端とは、例えば溶接等により接合されている。また、補強支持部36の他端は、基板34には固定されず、補強支持部36は、一端側の接合部位の周りに弾性的に若干回動可能なように昇降ステップ35に接合されている。補強支持部36の他端部は、ステップ支持具32に取り付けられた状態では、ステップ支持具32の溝部41bに差し込まれる。
【0040】
また、ステップ支持具32は、主柱材2に固定される固定板38と、基板34が収納され、ステップ部材31を支持する収納支持部39とが一体化されて、概略構成されている。固定板38は、上部にボルトM1が挿通される挿通孔が形成され、ボルトM1の軸部の雄ねじ部とナットM2の雌ねじ部との螺合によって締め付けられ、主柱材2に固定される。収納支持部39は、側部(正面側から見て右側部)に開口が形成された外形薄型直方体の箱形形状を呈し、正面部41と、側部42と、底部43とを有している。正面部41には、昇降ステップ35との干渉を避けるための切欠き部41aと、補強支持部36の他端部を差し込むための溝部41bとが形成されている。
【0041】
この実施の形態の構成によれば、基板34を収納支持部39へ挿入して収納するのみで、ステップ部材31のステップ支持具32への取付けが完了し、また、基板34を収納支持部39から引き抜くのみで、ステップ部材31のステップ支持具32からの取外しが完了するため、ボルトやナット等の固定具を用いて締め付けて、固定する必要がなくなるので、簡単かつ迅速にステップ部材31を着脱することができる。
【0042】
また、ステップ部材31が装着されている状態では、正面部41及び底部43が、基板34を抑え、補強支持部36を介して昇降ステップ35を抑えるとともに、側部42が基板34の側方への変位を規制して、例えば、昇降ステップ35にかかる荷重に抗して、ステップ部材31を支持するので、荷重がかかったときに、昇降ステップ35が傾く等のステップ部材31の変位を抑えることができ、かつ、ボルトやナット等の固定具を用いないので、取付不具合等を防止することができ、安全性を向上させることができる。
【0043】
また、部品点数を減らすことができるので、部品の落下等による紛失を防止することができる。また、板状の補強支持部36を設けて昇降ステップ35を支持するので、安全強度を一段と向上させることができる。また、コの字形の昇降ステップ35を設けたので、作業員は、容易にかつ円滑に昇降することができる。
【0044】
以上、この発明の実施の形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、上述した実施の形態では、ステップ部材において、平板状の基板を用いる場合について述べたが、図11及び図12に示すように、昇降ステップ55の根元部に鍔状部54を設けても良い。この昇降ステップ着脱構造53において、ステップ部材51は、鍔状部54と、棒状部材からなる昇降ステップ55とを有している。また、ステップ支持具52は、主柱材2に固定される固定板57と、鍔状部54が収納され、ステップ部材51を支持する収納支持部58とが一体化されて、概略構成されている。固定板57は、上部にボルトM1が挿通される挿通孔が形成され、挿通孔57aと、主柱材2の例えば片板部3に形成された挿通孔3aとにボルトM1が挿通された状態で、ボルトM1の軸部の雄ねじ部とナットM2の雌ねじ部との螺合によって締め付けられ、主柱材2に固定される。収納支持部58は、上部に開口が形成された外形薄型直方体の比較的浅い箱形形状を呈し、正面部59と、側部61と、底部62とを有している。正面部59には、昇降ステップ55との干渉を避けるための切欠き部59aが形成されている。このように、特にステップ部材51の構成を簡略化し、小型化することで、携帯容易とすることができる。
【0045】
また、単一の収納支持部を設ける場合について述べたが、複数設けても良い。例えば、一対のL字状部材の垂下部位を収納する一対の円筒状の収納支持部をステップ支持具に設けて、布状部材の昇降ステップを一対のL字状部材の水平部位間に掛け渡して、折り畳み可能なステップ部材を着脱するようにしても良い。また、布状部材に代えて、紐状部材や帯状部材を用いても良い。また、マンホール等において、地表から下方で作業を行うための昇降ステップにも適用できる。また、ステップ支持具の収納支持部や、ステップ部材の基板の形状は、平板状と限らず、曲面状であっても良く、構造物の曲面状の取付部位にも適用することができる。また、例えば、実施の形態1では、ステップ支持具を、固定具を用いて主柱材に取り付ける場合について述べたが、溶接によって固定しても良い。また、収納支持部において、開口側で角部を滑らかにしてテーパを施すようにしても良い。また、実施の形態2では、溝部41bに代えて、補強支持部36の端部を受ける突起部を設けるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
ステップ支持具の取付対象として、山形鋼のほか、溝形鋼や、H形鋼、I形鋼、Z形鋼、平鋼等にも適用することができる。また、構造物として、鉄塔の主柱材のほか、橋梁や、電柱においても適用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 鉄塔(構造物)
2 主柱材
5,31,51 ステップ部材
6,21,32,52 ステップ支持具(ステップ支持手段)
7,33,53 昇降ステップ着脱構造(ステップ着脱構造)
8,34 基板(基体)
9,35,55 昇降ステップ(ステップ)
11,36 補強支持部
13,38,57 固定板(取付け部)
14,23,39,58 収納支持部
15a,27a,41a,59a 切欠き部
22 取付け板(取付け部)
26 被係止部
54 鍔状部(基体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足場としてのステップを構造物に着脱自在に取り付けるためのステップ着脱構造であって、
前記ステップを有するステップ部材が、前記構造物に取り付けられたステップ支持手段に、着脱自在に取り付けられ、
前記ステップ部材は、基体と、前記基体に突設された前記ステップとを有し、前記ステップ支持手段は、前記構造物に取り付けられる取付け部と、前記基体を収納した状態で支持する収納支持部とを有している
ことを特徴とするステップ着脱構造。
【請求項2】
前記基体は、板状部材からなり、前記収納支持部は、前記基体を挿抜するための開口と、前記ステップとの干渉を避けるための切欠き部とが形成され、前記基体に対応した寸法の内部空間を有する箱形部材からなっていることを特徴とする請求項1に記載のステップ着脱構造。
【請求項3】
前記ステップ支持手段は、前記構造物に形成された係止部に係止されて当該ステップ支持手段を前記構造物に取り付けるための被係止部を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のステップ着脱構造。
【請求項4】
足場としてのステップを構造物に着脱自在に取り付けるためのステップ着脱方法であって、
前記構造物にステップ支持手段を取り付ける第1の工程と、前記ステップ支持手段に、基体と、前記基体に突設された前記ステップを有するステップ部材を取り付ける第2の工程と、前記ステップ支持手段から、前記ステップ部材を取り外す第3の工程とを含み、
前記第1の工程では、前記構造物に取り付けられる取付け部と、前記基体を収納した状態で支持する収納支持部とを有する前記ステップ支持手段を、前記取付け部を介して前記構造物に取り付け、
前記第2の工程では、前記収納支持部に前記基体を挿入して、前記ステップ支持手段に、前記ステップ部材を取り付け、
前記第3の工程では、前記収納支持部から前記基体を引き抜いて、前記ステップ支持手段から、前記ステップ部材を取り外すことを特徴とするステップ着脱方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−166645(P2010−166645A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4899(P2009−4899)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】