説明

ステレオ写真解析機

【課題】 ステレオ写真解析機における測量図作成を容易にして測量精度を高める。
【解決手段】 視差を有するステレオカメラで指標を撮影する。解析機は撮影された複数のペア写真を読込む。2組のペア写真をモニタの接続写真表示領域CPD1、CPD2に表示する。自動ボタンATBを押すと指標の画像座標とマークを検出する。対応付けボタンを押すと、同一のマークに基づいて2つの画像における同一の指標の座標を対応付ける。算出開始ボタンPSBを押すと、2つの画像における指標の座標に基づいて、変換パラメータを算出する。変換パラメータを算出した2組のペア写真の測量点の座標を変換パラメータにより変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、写真測量における画像処理に関する。
【背景技術】
【0002】
写真測量は地図の作成に広く使用されており、交通事故の現場検証等の局所的な状況の記録において極めて有効な手段として活用されている。従来の写真測量は2台のカメラを離間しつつ固定したステレオカメラを使用し、両カメラで撮影した1組のペア画像から各測量点の3次元座標を算出する。このような写真測量方法においては、ペア画像をステレオ写真解析機に読込ませ、ペア画像に共通に写込まれた測量点の3次元座標を求め、測量図を作成している。測量が広範囲に渡る場合は多数のペア画像が用いられ、ペア画像毎にそれぞれ得られる測量図を接続している。
【0003】
測量図の接続を簡便に行うために2つ以上の地点標示器上の目印を2組のペア画像両方に写しておき、ステレオ写真解析機において、マウス等の入力手段を用いたマニュアル作業によって2組のペア画像に写込まれた目印を指定することにより、測量図の接続が行われている(特許文献1参照)。
【0004】
しかし、接続するペア画像が多くなると目印を指定するマニュアル作業は煩雑であり、接続に時間がかかっていた。また、接続精度は全体の測量精度に影響を及ぼすので、接続を行うオペレータの熟練度によって全体の測量精度にも影響を与えていた。
【特許文献1】特開2001−21351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明ではステレオカメラにより撮影されたペア画像により得られる多数の測量図の接続を簡便にかつ迅速に行うステレオ写真解析機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のステレオ写真解析機は、2以上のカメラを有するステレオカメラにより撮影され複数の指標が写る写真群をデジタルデータとして取得する取得手段と、写真群の各々の写真に写る指標について各々の写真を基準とした座標を認識する認識手段と、認識手段により認識された指標についての各々の写真を基準とした座標に基づいて、写真群を撮影した撮影位置を基準とした指標の座標である指標座標を演算する演算手段と、同一の指標についての第1撮影位置を基準とした座標系における指標座標である第1指標座標と第1撮影位置と異なる第2撮影位置を基準とした座標系における指標座標である第2指標座標とを指標毎に対応付ける対応付け手段と、対応付け手段により対応付けられた同一の指標についての第1指標座標と第2指標座標との複数の組合せに基づいて第1撮影位置を基準とした座標系における座標と第2撮影位置を基準とした座標系における座標とを基準となる単一の第1・2基準座標系における座標に変換するための第1・2変換パラメータを算出する変換値算出手段とを備えることを特徴としている。
【0007】
指標がそれぞれ異なる識別情報を備え、認識手段が指標毎の識別情報を指標に対応した指標座標と関連付けて認識し、対応付け手段が認識手段により認識された第1指標座標と関連付けられた識別情報である第1識別情報と第2指標座標と関連付けられた識別情報である第2識別情報との同一の指標についての組合わせに基づいて対応付けを行うことが好ましい。さらに、写真群に含まれる写真の画像を表示するモニタと、モニタに表示される写真群に含まれる写真の画像上の任意の点あるいは領域を指定する入力手段とを備え、認識手段が入力手段により指定された領域内あるいは指定された領域近傍において第1識別情報および第1指標座標あるいは第2識別情報および第2指標座標を認識することが好ましい。
【0008】
あるいは、写真群に含まれる写真の画像を表示するモニタと、モニタに表示される写真群に含まれる写真の画像上の任意の点あるいは領域を指定する入力手段とを備え、対応付け手段が入力手段により第1撮影位置から撮影された第1写真群に含まれる写真の画像上で指定された領域内の指標と同一の指標を第2撮影位置から撮影された第2写真群に含まれる写真の画像上において領域指定することにより同一の指標についての第1指標座標と第2指標座標とを対応付けることが好ましい。さらに、認識手段が入力手段により指定された領域内あるいは指定された領域近傍において第1識別情報および第1指標座標あるいは第2識別情報および第2指標座標を認識することが好ましい。
【0009】
また、演算手段が、測量を行う測量点として入力手段により指定された点についての各々の写真を基準とした座標に基づいて写真群を撮影した撮影位置を基準とした測量点の座標である測量点座標を演算し、変換値算出手段により算出された変換パラメータに基づいて測量点座標を基準座標系における座標に変換する変換手段を備えることが好ましい。
【0010】
対応付け手段が同一の指標についての第2指標座標と第1撮影位置および第2撮影位置と異なる第3撮影位置を基準とした座標系における指標座標である第3指標座標とを指標毎に対応付け可能であり、変換値算出手段が対応付け手段により対応付けられた同一の指標についての第2指標座標と第3指標座標との複数の組合せに基づいて、第2撮影位置を基準とした座標系における座標と第3撮影位置を基準とした座標系における座標とを基準となる単一の第2・3基準座標系における座標に変換するための第2・3変換パラメータを算出可能であり、第1・2変換パラメータと第2・3変換パラメータとに基づいて第3撮影位置を基準とした座標系における座標を第1・2基準座標系における座標に変換する複合変換手段を備えることが好ましい。
【0011】
さらに、指標がそれぞれ異なる識別情報を備え、認識手段が指標毎の識別情報を指標に対応した指標座標と関連付けて認識し、対応付け手段が認識手段により認識された第2指標座標と関連付けられた識別情報である第2識別情報と第3指標座標と関連付けられた識別情報である第3識別情報との同一の指標についての組合わせに基づいて対応付けを行うことが好ましい。
【0012】
あるいは、写真群に含まれる写真の画像を表示するモニタと、モニタに表示される写真群に含まれる写真の画像上の任意の点あるいは領域を指定する入力手段とを備え、対応付け手段が入力手段により第2撮影位置から撮影された第2写真群に含まれる写真の画像上で指定された領域内の指標と同一の指標を第3撮影位置から撮影された第3写真群に含まれる写真の画像上において領域指定することにより同一の指標についての第2指標座標と第3指標座標とを対応付けることが好ましい。
【0013】
取得手段から取得される複数の写真群から第1写真群と第2写真群とを選択する選択手段を備えることが好ましく、選択手段が画像選択の入力を行う選択入力手段における入力を検出して第1写真群と第2写真群とを選択することが好ましい。さらに、取得手段がステレオカメラに設けられた方位センサにより検出される撮影時のステレオカメラの撮影方向を撮影された写真群と関連付けて取得し、選択手段が最初に選択された第1写真群に関連付けられた方位と略同一の方位を関連付けられた写真群を第2写真群の選択候補に挙げることが好ましい。あるいは、取得手段がステレオカメラに設けられたタイマにより検出される撮影時刻を撮影された写真群と関連付けて取得し、選択手段が最初に選択された第1写真群に関連付けられた撮影時刻と連続する撮影時刻に関連付けられた写真群を第2写真群の選択候補に挙げることが好ましい。
【0014】
取得手段から取得される複数の写真群から第1写真群と第2写真群とを選択する選択手段を備えることが好ましく、選択手段が画像選択の入力を行う選択入力手段における入力を検出して第1写真群と第2写真群とを選択することが好ましい。さらに、取得手段がステレオカメラに設けられた方位センサにより検出される撮影時のステレオカメラの撮影方向を撮影された写真群と関連付けて取得し、選択手段が最初に選択された第1写真群に関連付けられた方位と略同一の方位を関連付けられた写真群を第2写真群の選択候補に挙げることが好ましい。あるいは、取得手段がステレオカメラに設けられたタイマにより検出される撮影時刻を撮影された写真群と関連付けて取得し、選択手段が最初に選択された第1写真群に関連付けられた撮影時刻と連続する撮影時刻に関連付けられた写真群を第2写真群の選択候補に挙げることが好ましい。
【0015】
取得手段が、デジタルカメラにより撮影された写真群のデジタルデータを取得すること、あるいは銀鉛写真である写真群の画像をスキャナで読取りA/D変換を行うことによりデジタルデータを取得することが好ましい。
【0016】
また、識別情報が指標毎に異なる色であること、あるいは指標の近傍に記された識別用の文字、図形、あるいは記号であることが好ましい。
【0017】
本発明の地点標示器は、略直立状態に固定可能な板部材と板部材の側面であって表裏の相対する位置に設けられた指標とを備えることを特徴としている。
【0018】
指標の近傍に識別用の文字、図形、あるいは記号が記されることが好ましい。あるいは、指標毎に異なる色であることが好ましい。
【0019】
本発明の写真測量方法は、いずれかの撮影位置での複数のカメラを有するステレオカメラによる写真測量における設計上の測量精度を満たすための撮影範囲である有効測量範囲に指標を表面に備えた複数の地点標示器を含ませることが可能となるように地点標示器を測量地点に配置する配置のステップと、ステレオカメラの有効測量範囲に複数の地点標示器を含ませるための第1撮影位置およびステレオカメラの第1撮影姿勢を決定する第1位置決めのステップと、第1位置決めのステップにおいて決定した第1撮影位置においてステレオカメラによる撮影を行い第1画像データを取得する第1撮影のステップと、第1撮影位置から移動し第1撮影位置における第1撮影姿勢での有効測量範囲に含まれる複数の地点標示器をステレオカメラの有効測量範囲に含ませるための第2撮影位置および第2撮影姿勢を決定する第2位置決めのステップと、第2位置決めのステップにおいて決定した第2撮影位置においてステレオカメラによる撮影を行い第2画像データを取得する第2撮影のステップと、第1撮影のステップにおいて取得した第1画像データと第2撮影のステップにおいて取得した第2画像データとに基づいて本発明のステレオ写真解析機を用いて測量を行う解析のステップとを有することを特徴としている。
【0020】
配置のステップにおいて有効測量範囲に2以上の地点標示器を含ませるように並べ、第1位置決めのステップおよび第2位置決めステップにおいてステレオカメラの有効測量範囲に2以上の地点標示器を含ませ、第2撮影のステップにおいて撮影するときの水平面に対するステレオカメラの傾斜が第1撮影位置において撮影したときの傾斜と略同一であることが好ましく、あるいは配置のステップにおいて有効測量範囲に3以上の地点標示器を含ませるように並べ、位置決めのステップにおいて第1撮影位置におけるステレオカメラの有効測量範囲に3以上の地点標示器を含むことが好ましい。
【0021】
さらに、配置のステップにおける地点標示器が本発明の地点標示器であり、第2位置決めステップにおいて第1撮影姿勢におけるステレオカメラの向く方向が第2撮影姿勢におけるステレオカメラの向きと逆であることが好ましい。
【0022】
本発明の写真測量プログラムは、2以上のカメラを有するステレオカメラにより撮影され複数の指標が写る写真群をデジタルデータとして取得する取得手段と、写真群の各々の写真に写る指標について各々の写真を基準とした座標を認識する認識手段と、認識手段により認識された指標についての各々の写真を基準とした座標に基づいて写真群を撮影した撮影位置を基準とした指標の座標である指標座標を演算する演算手段と、同一の指標についての第1撮影位置を基準とした座標系における指標座標である第1指標座標と第1撮影位置と異なる第2撮影位置を基準とした座標系における指標座標である第2指標座標とを指標毎に対応付ける対応付け手段と、対応付け手段により対応付けられた同一の指標についての第1指標座標と第2指標座標との複数の組合せに基づいて第1撮影位置を基準とした座標系における座標と第2撮影位置を基準とした座標系における座標とを基準となる単一の第1・2基準座標系における座標に変換するための第1・2変換パラメータを算出する変換値算出手段としてコンピュータを機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、地点標示器の目印をステレオ写真解析機が自動的に指定を行うことができ、測量時間の短縮および測量者の技量によらず測量精度を高い水準に保つことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施形態である写真測量方法において撮影に使用する測量用自動車を示す図である。
【0025】
測量用自動車40には上面にステレオカメラである撮影装置41が備えられる。撮影装置41は略水平に保持される基線桿42の左右にデジタルカメラ43、44を備えて構成される。左右のカメラ43、44は光軸が略平行で同一方向を向くように固定される。撮影装置41の向く方向は調整可能である。左右のカメラ43、44はオペレータのレリーズ操作により同時に撮影動作が実行される。
【0026】
なお、撮影装置41には、左右のカメラ43、44以外の複数のカメラが備えられてもよい。左右のカメラ43、44に対して位置および姿勢が固定されていれば、他のカメラと左右のカメラ43、44との写真によって写真測量が可能である。複数のカメラにより写真測量を行う場合は、測量点をペア写真でなく、同一の撮影位置から撮影された写真群により行うことが可能である。また、カメラは例えば上と下等のように左と右に配置されていなくてもよく、同じ被写体を写し、視差を有していれば写真測量は可能である。
【0027】
図2は、本発明の第1の実施形態である写真測量方法における撮影状況を示す図であり、測量対象である道路の外形および白線を描いた平面図である。
【0028】
測量地点において自動車40を用いて撮影するとき、固定した撮影姿勢において撮影したペア写真の視差は水平方向に生じる。左カメラ43の撮影範囲と、右カメラ44の撮影範囲との重なる中央の領域(撮影領域)に写る被写体の測量が可能である。一方で撮影装置41による写真測量において設計上許容される測量精度が定められる。この測量精度を確保するために、撮影位置から測量を行い得る被写体までの距離(測量距離)が定まる。測量距離の範囲内の撮影領域が有効測量範囲(図2網掛け部)となり、有効測量範囲内に写る測量点の写真測量が可能である。
【0029】
なお、左右のカメラ43、44の焦点距離、左右のカメラ43、44の間隔、(基線長)、解像度、ディストーション等のパラメータは正確に測定されており、このパラメータに対し、許容される測量精度を確保できる測量距離が決まる。本実施形態では左右のカメラ43、44から奥行きが例えば略30mの範囲までとする撮影領域が有効測量範囲となる。
【0030】
測量を行う道路上に地点標示器PSが略直線上に配置される。第1標示器から第4標示器PS1、PS2、PS3、PS4を撮影装置41の第1有効測量範囲MA1に含ませる第1撮影位置RP1に自動車40を移動する。撮影装置41の方向や傾斜である第1撮影姿勢を調整して決定した後、撮影が行われる。左右のカメラ43、44で撮影した写真は第1ペア写真として、第1ペア写真に相当する第1画像データが取得されてメモリカード15(図4参照)に格納される。
【0031】
標示器PSは図3に示すように4角錐状の本体部材31の側面に指標32と指標32の識別情報であるマーク35が形成される。本体部材31の側面は単一の色であり、指標32は本体部材31とは異なる単一の色で丸型に形成される。したがって、指標32の周囲の色は指標32の色とは異なる。またマーク35は指標32毎に異なっており、指標32の近傍に設けられる。
【0032】
図2において、第1撮影位置で撮影後、標示器PSの配列に沿って略10m進み、第2撮影位置RP2に自動車40を移動する。第2標示器から第5標示器PS2、PS3、PS4、PS5を撮影装置41の第2有効測量範囲MA2に含ませるように第2撮影姿勢が調整される。したがって、第1撮影位置RP1における第1有効測量範囲MA1に入る標示器PS2、PS3、PS4は、第2撮影位置RP2における第2有効測量範囲MA2に含まれる。第2撮影位置RP2おいて撮影を行い、第2画像データがメモリカード15に格納される。同様に自動車40を移動して、測量地点すべてが有効測量範囲に含まれるまで撮影位置を変えて繰返して撮影が行われる。
【0033】
以上のように取得した画像データを、後述する本発明の第1の実施形態を適用したステレオ写真解析機に供給して、測量を行うことにより、画像データ毎の測量結果の接続、すなわち測量座標および測量図の接続が容易に行われる。
【0034】
撮影装置41にはタイマ、方位センサ、チルトセンサ(図示せず)が備えられており、各撮影位置において撮影したときの時刻、方位、傾きが検出され、これらに相当する撮影関連データが各々の撮影位置における画像データと関連付けられてメモリカード15に格納される。
【0035】
なお、本実施形態において各撮影位置において4つ以上の標示器PSを有効測量範囲に含ませるように並べて、4つ以上の標示器PSを有効測量範囲に含ませるように撮影位置および撮影姿勢を決めているが、チルトセンサによる撮影角度の補正を行う場合、あるいは撮影装置41の傾きを常に一定にして撮影する場合、最低限3つの標示器PSを含ませればよい。なお、図2においては、3つ以上の標示器PSを一つの撮影位置における有効測量範囲に含ませるように並べて、3つ以上の標示器PSを有効測量範囲に含ませるための撮影位置と撮影姿勢を決めればよい。なお、有効測量範囲に3つ以上の標示器PSが含まれるので、ペア写真には3つ以上の標示器PSが写されている。
【0036】
3つ以上の画像データを接続するために撮影装置41の方向を略一定にして撮影位置を変えていく場合、接続の基礎として写す3つの標示器PSを順次変えていくことが便利である。さらに接続を行う方向に沿って標示器PSを並べることが便利である。例えば、自動車40を進ませながら進行方向前方の第1ペア写真〜第3ペア写真を撮った場合、第1ペア写真の手前に写っていた標示器PSが第2ペア写真では写らなくなる。一方で第2ペア写真の有効測量範囲に新たに別の標示器PSが含まれる。第2ペア写真と第3ペア写真においても同様である。
【0037】
第2ペア写真について考えると、手前の3つの標示器PSにより第1ペア写真と接続を行い、奥の3つの標示器PSで第3ペア写真と接続が行われる。真ん中の2つの標示器PSを重複させれば、一番手前の標示器PSと重複する2つの標示器PSにより第1ペア写真と、一番奥の標示器PSと重複する2つの標示器PSにより第3ペア写真と接続可能である。したがって、最低限4つの標示器PSを有効測量範囲に含ませることが便利である。
【0038】
なお、本実施形態において第1有効測量範囲MA1と第2有効測量範囲MA2には3つの同一の標示器PSが含まれるが、水平面に対する撮影装置41の傾斜が各撮影位置において略同一である場合あるいはチルトセンサにより求めた傾きを用いて補正する場合は、2つの同一の標示器PSが含まれればよい。例えば、撮影装置41の水平面に対する傾斜角を一定に保ち、平面状の道路を測量する場合は2つの標示器PSにより接続が可能である。したがって、本実施形態における写真測量のためには複数の標示器PSを有効測量範囲に含ませればよい。
【0039】
次に本発明の第1の実施形態を適用したステレオ写真解析機の構成を説明する。図4は解析機の構成を示すブロック図である。ステレオ写真解析機10は、CPU11、カード読取装置12、およびモニタ13によって構成される。CPU11、カード読取装置12、およびモニタ13は直接あるいは間接的にバス14に接続される。CPU11により装置全体の動作が制御される。カード読取装置12により画像データ等がメモリカード15から読取られる。画像データに相当するペア写真中の一部あるいはすべての写真がモニタ13において表示可能である。
【0040】
また写真解析装置10には、像点指定や様々な指示に用いるマウス16およびキーボード17が備えられる。マウス16およびキーボード17は入力制御部18を介してバス14に接続され、マウス16およびキーボード17からの入力がバス14を介してCPU11に転送され、またこれらの入力モード等が設定される。
【0041】
メモリカード15はカード読取装置12に挿入され、メモリカード15内に格納された複数の画像データが装置内に読込まれる。すなわち、撮影により得られたペア写真に相当する画像データを取得することが可能である。カード読取装置12の読込み動作および書込み動作は、バス14に接続された記録媒体制御部19により制御される。記録媒体制御部19にはハードディスク20が接続される。ハードディスク20にはメモリカード15から読込まれた画像データが撮影関連データとともに取得され格納される。
【0042】
次に解析機10における画像接続について説明する。写真解析機10には3次元座標演算機能と3次元座標接続機能とが備えられる。これらの機能が互いに働くことにより画像接続が果たされる。3次元座標演算機能により、1組のペア写真の有効測量範囲内の任意の測量点について、ペア写真の撮影位置を基準とした3次元座標が演算される。3次元座標接続機能により、2組のペア写真各々の撮影位置を基準とした3次元座標が単一の座標系における3次元座標に変換される。3次元座標接続機能は、次に記す変換パラメータ算出操作と座標変換操作とにより実行される。
【0043】
ペア写真毎に演算される3次元座標はペア写真毎に異なる撮影位置を基準とした3次元座標系に基づくものである。複数の3次元座標系を単一の座標系に変換するには原点を一致させるための移動変換、および座標軸を一致させるための回転変換を行えばよい。なお、撮影位置を基準とした3次元座標系とは、それぞれの撮影位置における左右のカメラ43、44の位置により相対的に定まる位置を原点とし、原点で互いに交わる任意の3方向を座標軸とする座標系である。
【0044】
変換パラメータ算出操作により移動・回転変換を行うための変換パラメータが算出される。座標変換操作により複数の座標系における測量点の3次元座標が、変換パラメータに基づいて単一の3次元座標系おける3次元座標に変換される。
【0045】
次にこれらの機能を実行させるための具体的操作について説明する。まず、解析機10における3次元座標演算機能について説明する。図5はモニタにおける読込み写真を表示する画面を示す図である。解析機10の操作により読み込み写真表示画面がモニタ13の表示面に表示される。
【0046】
表示面の左上に表示される読込みボタンRDBを押すと、ハードディスク20あるいはメモリカード15に格納された画像データがCPU11に読込まれる。読込み写真表示領域APDには、ハードディスク20あるいはメモリカード15に格納された画像データに相当するペア写真の片方の写真が表示される。
【0047】
ペア写真の片方の写真は2列に並んで表示され、その右側に文字情報を表示可能である。この文字情報として、例えば、CPU11に読込まれた画像デ−タの順番を示す番号である画像データ番号50、および撮影関連データに相当する情報、撮影時刻51および撮影時の方位52等が表示される。画像データ番号50はCPU11に読込まれた順番に各画像データに付与される。読込み写真標示領域APDの上側には、読込みボタンRDB、測量ボタンMSB、パラメータ算出ボタンPMB、および接続ボタンCNBが表示される。
【0048】
読込み写真表示画面において測量ボタンMSBを押すと、測量点の3次元座標の演算を行う1組のペア写真の選択が可能となる。マウス16等によりペア写真の選択を行うと、図6に示すような測量を行う操作画面がモニタ13の表示面に表示される。選択されたペア写真がモニタ13の上側の選択ペア写真表示領域SPDに表示される。
【0049】
左カメラ43により写された写真の画像である左画像IMLが左側に、右カメラ44により写された写真の画像である右画像IMRが右側に表示される。オペレータはマウス16の操作により左画像IML、右画像IMR上の任意の点を指定可能であり。測量を行う測量点が左画像IMLおよび右画像IMR上でオペレータにより指定される。
【0050】
指定された測量点に基づき、ペア写真を撮影した位置を基準とした測量点の3次元座標が以下に記すように演算される。測量点が指定されることにより、左画像IMLおよび右画像IMRそれぞれにおける測量点の画像座標が認識される。左カメラ43と右カメラ44は視差を有しているので、測量点の左画像IMLにおける画像座標と右画像IMRにおける画像座標とに基づいて、三角測量の原理によりペア写真を撮影した撮影位置を基準とした3次元座標が求められる。
【0051】
例えば、同一の道路の1点P1に相当する測量点を、左画像IMLおいて点P1Lを指定し、右画像IMRにおいて点P1Rを指定することにより測量点P1の3次元座標が演算される。同一の測量点(P2、P3、P4、...)を両画像IML、IMR上で指定することにより各測量点の3次元座標が演算される。
【0052】
モニタ13の下側の測量図表示領域GVDには、演算された各測量点の3次元座標に基づいて、各測量点が2次元座標上に表示される。この2次元座標は測量点を上方から見た平面の座標である。測量図表示領域GVDに表示される複数の測量点が、マウス16の操作により直線や曲線で結ぶことが可能である。道路の外縁を測量点として指定し、この測量点を結ぶことによりペア写真の有効測量範囲にある道路の測量図が作図される。なお、図6は左右の両画像独立に入力する方法を示しているが、従来公知の偏向フィルターと偏向眼鏡を用いた実体視入力装置を使用して入力してもよい。
【0053】
1組のペア写真における測量および作図を終了すると、再び読込み写真表示画面に戻る。図5に示すように測量作業を終了したペア写真について、ペア写真の片方の写真を表示する右側の文字情報に測量済みであることを示す記号53が付加される。
【0054】
以上のようにして、3次元座標演算機能が実行される。次に変換パラメータ算出操作について説明する。
【0055】
図5において、オペレータがマウス16等を操作してパラメータ算出ボタンPMBを押すと、変換パラメータを求めるための2組のペア写真を選択することが可能となる。2組のペア写真はマウス16等の操作により指定される。一つ目のペア写真を選択すると、最初に選択したペア写真の画像データに関連付けられた撮影関連データに基づき、接続を行う2組目のペア写真の選択候補が表示される。
【0056】
例えば、最初に選択したペア写真を撮影した時刻と連続する前後の時刻に撮影された2組のペア写真の片方の写真の外枠が読込み写真表示領域APDにおいて赤色で表示される。この2組のペア写真が最初に選択したペア写真と接続を行うペア写真の選択候補として挙げられる。通常、互いに接続する写真は連続して撮影されるので、撮影時刻が連続する写真が接続候補と考えられる。
【0057】
または、最初に選択したペア写真を撮影した時の方位が略同一の方位で撮影されたペア写真の片方の写真の外枠が読込み写真表示領域APDにおいて青色で表示される。したがって、これらのペア写真が最初に選択したペア写真と接続を行うペア写真の選択候補として挙げられる。
【0058】
図2に示すように、標示器PSを並べた列が2列あり、それぞれの列に沿って移動し、1つの列に沿った各撮影位置における撮影方向を変えずにペア写真を撮影することがある。このような場合、互いに接続する写真の撮影は略同一の方位で行われるので、同一の方位で撮影された写真が接続候補として考えられる。なお、撮影時刻および方位により選択候補になる場合はペア写真の片方の写真の外枠が読込み写真表示領域APDにおいて緑色で表示される。
【0059】
第1撮影位置RP1で撮影した第1ペア写真と、第1撮影位置RP1と異なる第2撮影位置RP2で撮影した第2ペア写真との2組のペア写真が選択される。マウス16等の操作により選択完了、あるいは再選択の入力が可能であり、選択完了すると変換パラメータ算出操作を行う画面が表示される。再選択を入力すると再度の選択が可能である。なお、選択される第2ペア写真には第1ペア写真に写る指標32と一部またはすべて同一の指標32が写されていなければならない。
【0060】
図7は変換パラメータ算出操作のための標示器検出操作画面を示す図である。選択された第1ペア写真の一方の写真の画像がモニタ13の表示面の左側の接続写真表示領域CPD1に、第2ペア写真の一方の写真の画像が右側の接続写真表示領域CPD2に表示される。接続写真表示領域CPD1、CPD2の上側には自動ボタンATB、半自動ボタンHAB、対応付け開始ボタンCSB、および算出開始ボタンPSBが表示される。
【0061】
自動ボタンATBが押されると、自動モードすなわち接続写真表示領域CPD1、CPD2において表示される標示器PSの位置および範囲が自動的に検出される。標示器PSの検出は公知の特徴抽出等の画像認識により実行される。標示器PSの検出が終わると、検出された標示器PSがそれぞれの画像上で点滅して表示される。標示器PS以外の被写体が標示器PSとして検出された場合においてマウス16等の操作により標示器PS以外の被写体を除外する入力が可能である。なお、領域CPD1、CPD2に表示される一方の写真と同一のペアであって表示されていない写真上の標示器PSの位置および範囲も検出される。なお、実体視解析装置を用いる場合では、立体的に見えている画面において表示される。
【0062】
また、半自動ボタンHABが押されると、半自動モードで検出可能である。半自動モードでは、まず接続写真表示領域CPD1、CPD2においてオペレータにより標示器PSの位置が概略指定される。指定は領域CPD1、CPD2における一つの標示器PS近傍の一点あるいは一領域であればよい。標示器PSの位置を概略指定すると、指定された点または領域の近傍、あるいは領域内の標示器PSの位置および範囲が検出される。半自動モードはマウス16等の操作による検出終了の入力により終了する。
【0063】
自動モードによれば、有効測量範囲内にある被写体の外観が標示器PSに似ている場合にその被写体を標示器PSとして検出することがある。半自動モードによれば、標示器PSのみを正確に検出することが可能でなる。
【0064】
自動モードあるいは半自動モードにより標示器PSが検出されると、それぞれの接続写真表示領域CPD1、CPD2において標示器PS毎に記されたマーク35が認識される。さらに標示器PS毎に備えられた指標32の画像座標、すなわちペア写真を構成する各写真を基準とした座標が認識される。指標32の画像座標は標示器PS毎に記されたマーク35、すなわち指標32に対応したマーク35に関連付けられて認識される。なお、マーク35の検出は公知の特徴抽出等の画像認識により、また画像座標の検出は公知の輝度重心の検出等の画像認識により実行される。
【0065】
さらに検出された指標32の画像座標に基づいて、第1撮影位置RP1および第2撮影位置RP2を基準とした3次元座標である第1指標座標および第2指標座標が演算される。なお、3次元座標の演算は前述した3次元座標演算機能が実行されることにより自動的に行われる。また、第1指標座標の演算に用いた画像座標に関連付けられた第1マークがそのまま第1指標座標にも関連付けられる。同様に第2指標座標も同様に第2マークに関連付けられる。
【0066】
標示器PSの検出、マーク35の認識、指標の3次元座標の演算が終わると、対応付け開始ボタンCSBを押すことが可能となる。対応付け開始ボタンCSBを押すと、同一の指標32について第1指標座標と第2指標座標が対応付けられる。対応付けは、第1指標座標に関連付けられた第1マーク35と、第2指標座標に関連付けられた第2マーク35とが同一である組合わせを対応付けることにより行われる。対応付けが行われた指標32毎に対応付け番号54が付与される。
【0067】
対応付けの処理が終わると、図8に示すように接続写真表示領域CPD1の下側の対応付け表示領域CRDに対応付けられた指標32の対応付け番号54が表示される。各対応付け番号54をマウス16等の操作により指定すると、対応付け番号54に対応する指標32が領域CPD1、CPD2において点滅し、対応付けの確認が可能である。対応付けが誤っている場合において、マウス16等の操作により修正することや、その対応付けを後述する変換パラメータ算出から除外することが可能である。
【0068】
対応付けの確認を終え、パラメータ算出ボタンPSBを押すと、第2撮影位置RP2を基準とした3次元座標系である第2座標系から第1撮影位置RP1を基準とした3次元座標系である第1座標系に変換するための第1―2変換パラメータが算出される。第1―2変換パラメータの算出は、同一の指標32について対応付けられた第1指標座標と第2指標座標との複数の組合わせに基づき、逐次近似解法により算出される。
【0069】
変換パラメータの算出を終えると再び読込み写真表示画面に戻る。図5に示すように変換パラメータが算出されると、各ペア写真の片方の写真の右側に表示される文字情報として変換パラメータで結ばれる他のペア写真の画像データ番号50が付加される。第1ペア写真と第2ペア写真の変換パラメータが算出されたので、画像データ番号1のペア写真の片方の写真表示の列には(2)が、画像データ番号2のペア写真の片方の写真表示の列には(1)が表示される。同様に接続する2組のペア写真を選択し、ペア写真毎に変換パラメータが算出される。
【0070】
以上のように変換パラメータ算出作業および3次元座標演算機能を実行させた後に、座標変換操作が可能となる。読み込み写真表示画面(図5参照)において接続ボタンCNBを押すと3次元座標接続画面(図9参照)が表示される。モニタ13の表示面の上側に組合わせ表示領域CGDが設けられる。組合わせ表示領域CGDには測量作業の終了しているペア写真であって、他のペア写真との変換パラメータが算出されたペア写真の画像データ番号50が表示される。画像データ番号50は変換可能な他のペア写真の画像データ番号50に結びついて表示される。
【0071】
例えば、第1ペア写真と第2ペア写真、第2ペア写真と第3ペア写真、第3ペア写真と第4ペア写真、および第5ペア写真と第6ペア写真が変換可能、すなわち変換パラメータが算出されている場合、組合わせ表示領域CGDに“1−2−3−4”の画像データ番号の組合わせおよび“5−6”の番号の組合わせが表示され、第1ペア写真〜第4ペア写真、あるいは第5のペア写真と第6のペア写真の接続が可能であることがわかる。なお、第1ペア写真、第2ペア写真、第3ペア写真、第4ペア写真、第5ペア写真、および第6ペア写真を撮影した撮影位置はお互いに異なる。
【0072】
接続を行う組合わせを選択して、マウス16等の操作により変換を開始すると、組合せに含まれる各々のペア写真を撮影した撮影位置を基準とした測量点の3次元座標が単一の3次元座標系である基準座標系の座標に変換される。なお、座標の変換は上述した変換パラメータに基づいて演算される。組合わせ表示領域CGDの下側の測量図表示領域GVDに、各ペア写真毎に作成された測量図が接続されて表示される。また、各測量点が測量図内に表示される。なお、領域GVDにおいて測量点を接続して、道路の測量図を作成することも可能である。
【0073】
なお、3以上のペア写真の接続、例えば第1ペア写真と第2ペア写真と第3ペア写真との接続は以下に述べるように行うことが可能である。第1ペア写真と第2ペア写真との第1−2変換パラメータが上述のように算出される。第3撮影位置を基準とした第3座標系における測量点の座標を第2座標系の座標に変換する第2−3変換パラメータが第1−2変換パラメータ同様に算出される。第1座標系を単一の3次元座標系である基準座標系とする場合、第2座標系における測量点の座標は第1−2変換パラメータにより、第3座標系における測量点の座標は第1−2変換パラメータおよび第2−3変換パラメータにより変換することが可能である。
【0074】
次に図10〜図14のフローチャートを参照して、CPU11によるペア写真接続の処理を説明する。
【0075】
図10は接続作業全体の処理手順を示すメインルーチンを示すフローチャートである。ステップS100においてカード読取装置12あるいは左右のカメラ43、44からペア写真の画像データを読込む。次にステップS101において、読込まれたペア写真が2組以上あるか否かを確認する。1組のペア写真しか読込まれなかった場合には、接続ができないので終了する。
【0076】
2組以上のペア写真がある場合はステップS102に進み、読込み写真表示画面をモニタ13に表示して、ステップS103に進む。ステップS103では測量ボタンMSB、パラメータ算出ボタンPMB、接続ボタンCNBのいずれかのボタンからの入力の有無を検出する。測量ボタンMSBが押されるとステップS200の測量サブルーチンを実行し、ペア写真毎の撮影位置を基準とした測量点の3次元座標を演算し、ステップS102に戻る。
【0077】
ステップS103でパラメータ算出ボタンPMBが押されるとステップS300の指標対応付けサブルーチンを、次にステップS400のパラメータ算出サブルーチンを実行して、2組のペア写真の測量点の座標系を単一の3次元座標系に変換するための変換パラメータを算出し、ステップS102に戻る。
【0078】
ステップS103で接続ボタンCNBが押されるとステップS500の3次元座標変換サブルーチンを実行して、ペア写真毎の座標系における測量点の3次元座標を単一の3次元座標に変換する。3次元座標変換サブルーチンが終了するとペア写真接続処理は終了する。
【0079】
図11は測量サブルーチンを示すフローチャートである。ステップS201においてオペレータによる1組のペア写真を選択する入力を検出する。次にステップS202では、モニタ13の表示面に測量操作画面を表示し、ステップS201で検出したペア写真の左カメラ43の画像および右カメラ44の画像をそれぞれ選択写真表示領域SPDに表示する。次のステップS203において、左右のカメラ43、44の内部定位要素および外部定位要素を読込む。なお、撮影装置41は基線長固定方式であるため、内部定位要素は予め設定されていてもよい。
【0080】
ステップS204に進み、オペレータによる左画像IMLおよび右画像IMRにおける測量点を指定する入力を検出する。次のステップS205においては、ステップS204で検出した測量点指定に基づき、指定された左画像IMLあるいは右画像IMRにおける画像座標を検出する。次にステップS206では、ステップS205で検出した画像座標とステップS203で読込んだ内部定位要素と外部定位要素とに基づき、ペア写真を撮影した位置を基準とした3次元座標を算出する。
【0081】
ステップS207に進み、ステップS206で算出した3次元座標を測量点の上方から見た2次元座標を算出して、ステップS208に進む。ステップS208では測量図表示領域GVDにステップS207で算出した測量点の2次元座標を表示する。次にステップS209において、測量を終了する入力と別の測量点を指定する入力とのどちらがあるか確認する。別の測量点を指定する入力があれば、ステップS205に戻る。ステップS205〜ステップS209の処理は、測量を行う測量点の3次元座標および2次元座標を求めるまで繰返すことが可能である。
【0082】
ステップS209において、測量終了の入力がある場合はステップS210に進む。ステップS210では、測量図表示領域GVDにおいて測量点と測量点とを結ぶ入力があるかを確認する。ステップS210において測量点と測量点を結ぶ入力がなければ測量サブルーチンは終了する。他方で結ぶ入力がある場合は、ステップS211に進み、測量図表示領域GVDの測量点と測量点を結ぶ直線あるいは曲線を表示する。
【0083】
次にステップS212において作図を終了する入力、あるいは測量点を結ぶ別の入力があるかを確認する。別の入力がある場合はステップS211に戻りステップS211〜ステップS212の処理を繰返す。ステップS212で作図終了の入力がされると、測量サブルーチンは終了し、メインルーチンのステップS102へ戻る。
【0084】
図12は指標対応付けサブルーチンを示すフローチャートである。ステップS301においてオペレータによる1組目のペア写真を選択する入力を検出する。次にステップS302に進み、ステップS301で検出したペア写真の撮影関連データに基づき2組目のペア写真の選択候補をモニタ13の表示面に表示する。次のステップS303において、2組目のペア写真の選択する入力を検出し、ステップS304に進む。
【0085】
ステップS304では、2組のペア写真の選択を確定するか否かを確認する。再選択の入力が行われる場合は、選択が確定されずにステップS301に戻り、ステップS301〜ステップS304を繰返す。選択確定の入力が行われるとき、ステップS305に進む。
【0086】
ステップS305では、標示器検出操作画面を表示してステップS306に進む。ステップS306では、自動ボタンATBと半自動ボタンHABのいずれが押されるかを判断する。自動ボタンATBが押される場合はステップS307に進み、接続写真表示領域CPD1、CPD2に表示される画像中の標示器PSの画像座標と範囲を検出して、ステップS311に進む。
【0087】
ステップS306で半自動ボタンHABが押されると、ステップS308に進み、オペレータにより接続写真表示領域CPD1、CPD2上で概略指定される位置を検出する。次にステップS309において、ステップS308において概略指定された領域の範囲内あるいは指定された位置近傍にある標示器PSの画像座標と範囲を検出して、ステップS310に進む。
【0088】
ステップS310ではさらに別の標示器PSを検出するか否かをオペレータからの入力に基づき判断する。すなわち、再度オペレータによる標示器PSの位置の概略指定をする入力が行われた場合は、ステップS308に戻る。その後、ステップS308〜ステップS310の標示器PSの半自動検出の処理を繰返す。標示器検出終了の入力が行われた場合にステップS311に進む。
【0089】
ステップS311では、自動あるいは半自動で検出された標示器PSに記されたマーク35を識別し、同じく標示器PSに設けられた指標32の画像座標を検出して、ステップS312に進む。ステップS312では、ステップS311で検出された指標32の画像座標に基づいて、各々の撮影位置を基準とした指標32毎の3次元座標を演算する。その後ステップS313に進み、対応付け操作画面を表示する。
【0090】
次のステップS314において、マーク35に基づいて、同一の指標32毎に1組目のペア写真と2組目のペア写真のそれぞれの撮影位置を基準とした3次元座標を対応付け、対応付けた指標毎に対応付け番号54を付与する。次にステップS315において、対応付けした指標32毎に対応付け番号54を表示する。この後、指標対応付けサブルーチンは終了し、ステップS400のパラメータ算出サブルーチンの処理を開始する。
【0091】
次に変換パラメータの説明をした後に変換パラメータを算出する処理を説明する。
【0092】
接続を行う2組のペア写真である第1ペア写真と第2ペア写真は、それぞれ第1撮影位置RP1および第2撮影位置RP2において撮影される。ステレオカメラの絶対的な3次元位置を測量せずに写真測量行う場合、第1ペア写真に写る測量点は第1撮影位置を基準とした第1座標系において測量される。同様に第2ペア写真に写る測量点は第2撮影位置を基準とした第2座標系において測量される。
【0093】
前述したように第1座標系と第2座標系は移動および回転により相互に変換される。第1座標系における第2座標系の原点の座標が(X20、Y20、Z20)であり、第1座標系の座標軸に対する第2座標系の座標軸の傾きが(ω、φ、κ)である場合、第2座標系のすべての座標は、(X20、Y20、Z20)で平行移動させて、(ω、φ、κ)で回転させることにより第1座標系の座標に変換される。したがって、(X20、Y20、Z20、ω、φ、κ)が求めるべき変換パラメータである。
【0094】
図13はパラメータ算出サブルーチンを示すフローチャートである。まずステップS401で、算出開始ボタンPSBが押されることによる算出開始の入力を検出して、ステップS402に進む。
【0095】
ステップS402において、変換パラメータ(X20、Y20、Z20、ω、φ、κ)に近似値として適当な初期値(XG20、YG20、ZG20、ωG、φG、κG)を与える。次にステップS403では与えられた初期値を用いて第2座標系における指標ai(i=1、2、3)の座標(X2ai、Y2ai、Z2ai)から第1座標系における指標aiの近似的な座標(XGC1ai、YGC1ai、ZGC1ai)を演算する。
【0096】
すなわち、第1座標系における指標aiの座標(XC1ai、YC1ai、ZC1ai)は第2の座標系における指標aiの座標(X2ai、Y2ai、Z2ai)から(1)式により求まるので、変換パラメータの近似的な値(XG20、YG20、ZG20、ωG、φG、κG)および第2の座標系における指標aiの座標(X2ai、Y2ai、Z2ai)を(1)式に代入すると、第1座標系における指標aiの近似的な座標(XGC1ai、YGC1ai、ZGC1ai)を求めることができる。
【数1】

ここで行列{Tjk}は回転行列であり、各成分Tjkは例えば次式で表される。
11=cosφ・cosκ
12=cosω・sinκ+sinω・sinφ・cosκ
13=sinω・sinκ−cosω・sinφ・cosκ
21=−cosφ・sinκ
22=cosω・cosκ−sinω・sinφ・sinκ
23=sinω・cosκ+cosω・sinφ・sinκ
31=sinφ
32=−sinω・cosφ
33=cosω・cosφ
【0097】
次のステップS404では、第1座標系に対する第2座標系の近似的な平行移動量および座標軸の傾き(XG20、YG20、ZG20、ωG、φG、κG)が適切か否かを判定するためのメリット関数Φが計算される。メリット関数Φは例えば(2)式で定義される。
【数2】

すなわち本実施形態においてメリット関数Φは、同一の指標について関連付けられた、実際に認識された第1座標系における指標の座標(X1ai、Y1ai、Z1ai)と第2座標系における指標の座標(X2ai、Y2ai、Z2ai)から近時的に求めた(XGC1ai、YGC1ai、ZGC1ai)との距離の2乗の和である。
【0098】
次にステップS405において、メリット関数Φが所定値よりも小さいか否かを判定する。すなわち、近似的に与えられた第2の座標系の平行移動量および座標軸の傾き(XG20、YG20、ZG20、ωG、φG、κG)に基づいて算出される、指標aiの近似的な第1の座標系における3次元座標(XGC1ai、YGC1ai、ZGC1ai)が、指標aiの第1のペア写真により求められた第1の座標系における3次元座標(X1ai、Y1ai、Z1ai)に十分近いか否かが判定される。
【0099】
Φ≧所定値であると判定された場合には、ステップS406に進み、近似的に与えられた第2の座標系の平行移動量および座標軸の傾き(XG20、YG20、ZG20、ωG、φG、κG)に対する補正量(δX2,δY2,δZ2,δω,δφ,δκ)が例えば最小二乗法により求められる。
【0100】
次のステップS407では、ステップS406において算出された補正量(δX2,δY2,δZ2,δω,δφ,δκ)に基づいて、第2の座標系の平行移動量および座標軸の傾き(XG20、YG20、ZG20、ωG、φG、κG)を更新する。すなわち、(XG20、YG20、ZG20、ωG、φG、κG)を、それぞれ(XG20+δX2,YG20+δY2,ZG20+δZ2,ωG+δω,φG+δφ,κG+δκ)に置換える。その後ステップS403へ戻り、ステップS404においてΦ<所定値と判断されるまでステップS403〜ステップS407が繰返し実行される。
【0101】
一方ステップS405においてΦ<所定値の場合には、ステップS408に進み、現在与えられている、第1の座標系に対する第2の座標系の平行移動量および座標軸の傾き(XG20、YG20、ZG20、ωG、φG、κG)を第1の座標系に対する第2の座標系の平行移動量および座標軸の傾きである変換パラメータに確定する。その後、パラメータ算出サブルーチンは終了し、メインルーチンのステップS102に戻る。
【0102】
図14は3次元座標変換サブルーチンを示すフローチャートである。まずステップS501で、接続ボタンCNBが押されることによる接続開始の入力を検出し、ステップS502に進み、3次元座標接続画面を開く。さらにステップS503に進み、接続可能組合せ表示領域CGDに接続可能なペア写真の組合せを表示する。その後、ステップS504で、接続するペア写真の組合せを選択する入力を検出する。入力を検出するとステップS505に進む。
【0103】
ステップS505では、選択された組合わせに含まれるペア写真各々において求められた、測量点の3次元座標を単一の3次元座標系の座標に変換する。次にステップS506に進み、変換して得られた単一の3次元座標系における測量点の座標に基づき、測量図表示領域GVDに道路の測量図を表示する。以上の処理を実行して3次元座標変換サブルーチンは終了して、メインルーチンも終了する。
【0104】
なお、変換パラメータは6つの未知数であり、6つの方程式で解を得ることが出来る。ただし、3つの未知数は回転角であるため、6つの方程式ではそれぞれの回転角の解が2つになり得る。第2座標系のすべての測量点を第1座標系における座標に変換し得る変換パラメータは一組であるから、単一の回転角の解を得るためさらに3つの方程式が必要である。したがって、最低でも9つの方程式が必要となる。
【0105】
1つの指標32を接続すると3つの方程式が得られる。したがって、単一の変換パラメータを算出するために、接続する2組のペア写真の有効測量範囲に3つ以上の同一の指標32が含まれることが必要になる。なお、撮影装置41の水平面に対する傾斜が各撮影位置において一定である場合は、2つの回転角が一定である。したがって、変換パラメータは、回転角の未知数を1つ含む4つの未知数である。この場合最低でも5つの方程式が必要である。したがって、撮影装置41の水平面に対する傾斜が各撮影位置において一定である場合は、2つ以上の同一の指標が含まれていればよい。
【0106】
以上のような構成により、本実施形態を適用した解析機によれば、ペア写真の測量により得られるペア写真毎の座標系における座標を単一の座標系における座標に変換して、複数のペア写真により得られる測量図および測量地点の接続作業が正確、かつ容易に行えるようになる。
【0107】
なお、本実施形態を適用した解析機において第2座標系を第1座標系に変換しているが、第1座標系を第2座標系に変換する第2−1変換パラメータを算出して、第1座標系における測量点の座標を第2座標系の座標に変換してもよい。また、第1座標系における測量点の座標および第2座標系における測量点の座標を、第1座標系および第2座標系と異なる単一の3次元座標系の座標に変換してもよい。すなわち第1座標系、第2座標系、あるいは単一の3次元座標系である第1・2基準座標系に変換する第1・2変換パラメータを算出し、単一の3次元座標系に変換する構成であればよい。本実施形態の目的は単一の座標系における測量を行うことにあるからである。接続を行う座標系が4以上ある場合も同様にして接続される。
【0108】
なお、算出される変換パラメータにより、接続するペア写真の撮影位置を基準とした3次元座標系と異なる座標系へ変換される場合において、3つ以上のペア写真の接続は以下のように行われる。まず、第1座標系と第2座標系を第1・2基準座標系に変換する第1・2変換パラメータが算出される。同様に第2座標系と第3座標系を第2・3基準座標系に変換する第2・3変換パラメータが算出される。第3座標系における測量点の座標は第2・3基準座標系に変換された後、第2座標系に変換され、さらに第1・2基準座標系における座標に変換される。
【0109】
また、本実施形態を適用した解析機10において、マーク35を指標32の識別情報として用いているが、互いに識別可能な文字、図形、記号であっても良い。あるいは指標毎を異なる色にして、標示器検出操作において認識される色により、対応付けが行われる構成であっても良い。
【0110】
また、本実施形態を適用した解析機10において、デジタルカメラであるステレオカメラより直接デジタルデータである画像データを取得しているが、銀鉛カメラにより撮影された銀鉛写真をスキャナ(図示せず)で読取り、スキャナで読取られた画像信号をA/Dコンバータ(図示せず)によってデジタルデータに変換して、画像データを取得させる構成であっても良い。
【0111】
また、本実施形態を適用した解析機10において、測量した測量点の3次元座標に基づいて、平面測量図を作成することが出来るが、立体測量図を作成することが可能であっても良い。
【0112】
なお、読込み写真表示領域APDあるいは接続写真表示領域CPD1、CPD2にペア写真の両方の写真の画像が表示される構成であっても良い。
【0113】
また、本実施形態を適用した解析機は、汎用のパーソナルコンピュータに適用することが可能であり、本発明の実施形態を適用した写真解析プログラムを記録媒体に格納しパーソナルコンピュータに読込ませることにより解析機として機能させることが可能である。
【0114】
次に、本発明の第2の実施形態を適用した解析機よれば、マーク35が記されない標示器PSを撮影した場合でもペア写真の接続は可能である。この場合、標示器PSの位置および範囲が検出された後に、図15に示すように対応付け指定画面が表示される。第1ペア写真と第2ペア写真を表示する画像上で検出された標示器PSが点滅表示等により示される。
【0115】
第1のペア写真を表示する画像上で検出された標示器PSの一つがオペレータのマウス16等の操作による領域指定により選択される。さらに選択された標示器PSと同一の標示器PSが第2ペア写真を表示する画像上で検出された標示器PSの中から領域指定により選択される。選択された標示器PSに基づき、同一の指標32毎の第1指標座標と第2指標座標との対応付けが可能である。他の構成は第1の実施形態を適用した解析機10と同様である。
【0116】
図16は第2の実施形態を適用した解析機10の指標対応付けサブルーチン(1300)を示す図である。このサブルーチンは第1の実施形態における指標対応付けサブルーチンに対応しており、ステップS1301〜ステップS1310までの処理はステップS301〜ステップS310までの処理に対応している。ステップS1311において、標示器PSのマーク35が検出可能か否か判断される。
【0117】
マーク35の検出が出来る場合はステップS1312に進む。以後のステップS1312〜ステップS1314までの処理はステップS311〜ステップS313までの処理に対応しており、ステップS1319、ステップS1320の処理はステップS314、ステップS315の処理に対応している。すなわち、ステップS1312〜ステップS1314、ステップS1319およびステップS1320の処理は第1の実施形態と同様に行われる。
【0118】
ステップS1311においてマーク35の検出が出来ない場合は、ステップS1315に進む。ステップS1315では、標示器PSに設けられた指標32の画像座標を検出して、ステップS1316に進む。ステップS1316では、ステップS1315において検出した指標32の画像座標に基づいて、各々の撮影位置を基準とした指標32毎の3次元座標を算出する。その後ステップS1317に進み、対応付け操作画面を表示する。
【0119】
次にステップS1318において、第1のペア写真の画像および第2のペア写真の画像上で同一の標示器PSを含む領域を指定するオペレータのマウス16等の操作による入力を検出する。次のステップS1319に進み、以後の処理は第1の実施形態と同様である。
【0120】
次に本発明の第2の実施形態である写真測量方法および本発明の一実施形態である地点標示器について説明する。図17〜図19は本発明の一実施形態である地点標示器を示す図である。図17は正面図、図18は側面図、図19は背面図である。
【0121】
標示器PSは基台33と板部材34によって構成される。板部材34は基台33に支持されて略直立状態に固定される。板部材34の一方の面(符号F)の中央に指標32Fが設けられる。他方の面(符号B)の中央にも指標32Bが設けられる。指標32Fと指標32Bは板部材34の表裏で相対する。指標32F、32Bの近傍には指標32F、32Bの識別情報であるマーク35が記される。なお、標示器PS毎に指標32の色を異なる色とし、異なる指標の色を識別情報とする構成でも良い。
【0122】
図20は本発明の第2の実施形態である写真測量方法における撮影状況を示す図であり、測量対象である道路の外形および白線を描いた平面図である。本実施形態では、測量地点を相対する2方向から写真撮影を行う。最初に測量する道路RDを一方向(符号A)に進みながら、道路RDの半分以上を有効測量範囲に含めるような撮影位置および撮影姿勢(符号a)で写真撮影を行う。次に道路RDを逆の方向(符号B)に進みながら、方向Aを進んでいたときの撮影方向とは逆の方向(符号b)を撮影方向として道路RDの残り半分以上を有効測量範囲に含める撮影位置で撮影を行う。
【0123】
標示器PSの配置は撮影を行う撮影方向両方から(符号aおよび符号b)指標32が見えるように配置する。例えば、左右のカメラ43、44の光軸の方位と板部材34の指標32を備える面が略直交する配置が好ましい。ただし、解析機10により指標32の画像座標が認識されればよいので、板部材34が光軸の方位と実質的に交わればよい。他の方法のステップは第1の実施形態と同様である。
【0124】
以上のように取得した画像データを解析機に供給して、画像接続を行えば、逆方向から写したペア写真も容易に接続することが可能である。測量する範囲が広い場合に、複数回往復しながら撮影して、ペア写真の接続が可能となる。
【0125】
本実施形態の標示器PSによれば、撮影方向が逆向きであるペア写真の接続精度を高くすることが可能である。指標を側面に備えた3角錐型の標示器を用いた場合、符号aの撮影方向で撮影したペア写真に写る指標32と、符号bの撮影方向で撮影したペア写真に写る指標32は位置が互いに異なる。したがって、これらの指標を接続すると接続精度が低減される。
【0126】
一方で、本実施形態の標示器PSは板部材34の表裏相対する位置に指標32F、32Bを備えるので、符号aの撮影方向で撮影したペア写真に写る指標32、および符号bの撮影方向で撮影したペア写真に写る指標32の位置は略同一だから接続の精度を高く保つことが可能である。すなわち、板部材34の板厚、特に指標部分の厚さを薄くすることが出来るため、標示器PSの板厚および進行方向に対する傾きにより発生する誤差を小さくすることが出来る。また進行方向による板厚分の補正を行わなくてもズレを小さくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】写真測量に使用する測量用自動車を示す図である。
【図2】写真測量における撮影状況を概念的に示す図であって、測量対象である道路の外形および白線を描いた平面図である。
【図3】標示器の斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態であるステレオ写真解析機の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】読込み写真を表示する画面を示す概念図である。
【図6】ペア写真から測量を行うときの表示画面を示す概念図である。
【図7】変換パラメータを算出するときの表示画面を示す概念図である。
【図8】対応付けを終えた後の表示画面を示す概念図である。
【図9】3次元座標を接続するときの表示画面を示す概念図である。
【図10】CPUにおいて実行される接続処理のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図11】測量サブルーチンを示すフローチャートである。
【図12】指標対応付けサブルーチンを示すフローチャートである。
【図13】パラメータ算出サブルーチンを示すフローチャートである。
【図14】3次元座標変換サブルーチンを示すフローチャートである。
【図15】本発明の第2の実施形態であるステレオ写真解析機の変換パラメータを算出するときの表示画面を示す概念図である。
【図16】本発明の第2の実施形態であるステレオ写真解析機のCPUにおいて実行される指標対応付けサブルーチンを示すフローチャートである。
【図17】本発明の一実施形態である地点標示器を示す正面図である。
【図18】本発明の一実施形態である地点標示器を示す側面図である。
【図19】本発明の一実施形態である地点標示器を示す背面図である。
【図20】本発明の第2の実施形態である写真測量方法における撮影状況を概念的に示す図であって、測量対象である道路の外形および白線を描いた平面図である。
【符号の説明】
【0128】
10 ステレオ写真解析機
11 CPU
13 モニタ
16 マウス
32 指標
34 板部材
35 マーク
41 撮影装置
43 左デジタルカメラ
44 右デジタルカメラ
RD 道路
PS 地点標示器
MA1 第1有効測量範囲
MA2 第2有効測量範囲
RP1 第1撮影位置
RP2 第2撮影位置
P1、P2、P3、P4、・・・ 測量点
IML 左画像
IMR 右画像


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上のカメラを有するステレオカメラにより撮影され、複数の指標が写る写真群をデジタルデータとして取得する取得手段と、
前記写真群の各々の写真に写る前記指標について前記各々の写真を基準とした座標を認識する認識手段と、
前記認識手段により認識された前記指標についての前記各々の写真を基準とした座標に基づいて、前記写真群を撮影した撮影位置を基準とした前記指標の座標である指標座標を演算する演算手段と、
同一の前記指標についての第1撮影位置を基準とした座標系における指標座標である第1指標座標と、前記第1撮影位置と異なる第2撮影位置を基準とした座標系における指標座標である第2指標座標とを、前記指標毎に対応付ける対応付け手段と、
前記対応付け手段により対応付けられた同一の前記指標についての前記第1指標座標と前記第2指標座標との複数の組合せに基づいて、前記第1撮影位置を基準とした座標系における座標と前記第2撮影位置を基準とした座標系における座標とを基準となる単一の第1・2基準座標系における座標に変換するための第1・2変換パラメータを算出する変換値算出手段と
を備えることを特徴とするステレオ写真解析機。
【請求項2】
前記指標がそれぞれ異なる識別情報を備え、
前記認識手段が前記指標毎の識別情報を前記指標に対応した前記指標座標と関連付けて認識し、
前記対応付け手段が、前記認識手段により認識された、前記第1指標座標と関連付けられた識別情報である第1識別情報と、前記第2指標座標と関連付けられた識別情報である第2識別情報との同一の指標についての組合わせに基づいて、対応付けを行う
ことを特徴とする請求項1に記載のステレオ写真解析機。
【請求項3】
前記写真群に含まれる写真の画像を表示するモニタと、
前記モニタに表示される、前記写真群に含まれる写真の画像上の任意の点あるいは領域を指定する入力手段とを備え、
前記対応付け手段が、前記入力手段により前記第1撮影位置から撮影された第1写真群に含まれる写真の画像上で指定された領域内の指標と同一の前記指標を、前記第2撮影位置から撮影された第2写真群に含まれる写真の画像上において領域指定することにより、同一の前記指標についての前記第1指標座標と前記第2指標座標とを対応付ける
ことを特徴とする請求項1に記載のステレオ写真解析機。
【請求項4】
前記写真群に含まれる写真の画像を表示するモニタと、
前記モニタに表示される、前記写真群に含まれる写真の画像上の任意の点あるいは領域を指定する入力手段とを備え、
前記認識手段が、前記入力手段により指定された領域内あるいは前記指定された領域近傍において、前記第1識別情報および前記第1指標座標、あるいは前記第2識別情報および前記第2指標座標を認識する
ことを特徴とする請求項2に記載のステレオ写真解析機。
【請求項5】
前記認識手段が、前記入力手段により指定された領域内あるいは前記指定された領域近傍において、前記第1識別情報および前記第1指標座標、あるいは前記第2識別情報および前記第2指標座標を認識することを特徴とする請求項3に記載のステレオ写真解析機。
【請求項6】
前記演算手段が、測量を行う測量点として前記入力手段により指定された点についての前記各々の写真を基準とした座標に基づいて、前記写真群を撮影した撮影位置を基準とした前記測量点の座標である測量点座標を演算し、
前記変換値算出手段により算出された前記変換パラメータに基づいて、前記測量点座標を前記基準座標系における座標に変換する変換手段を備える
ことを特徴とする請求項3あるいは請求項4に記載のステレオ写真解析機。
【請求項7】
前記対応付け手段が、同一の前記指標についての前記第2指標座標と、前記第1撮影位置および前記第2撮影位置と異なる第3撮影位置を基準とした座標系における指標座標である第3指標座標とを、前記指標毎に対応付け可能であり、
前記変換値算出手段が、前記対応付け手段により対応付けられた同一の前記指標についての前記第2指標座標と前記第3指標座標との複数の組合せに基づいて、前記第2撮影位置を基準とした座標系における座標と前記第3撮影位置を基準とした座標系における座標とを基準となる単一の第2・3基準座標系における座標に変換するための第2・3変換パラメータを算出可能であり、
前記第1・2変換パラメータと前記第2・3変換パラメータとに基づいて、前記第3撮影位置を基準とした座標系における座標を前記第1・2基準座標系における座標に変換する複合変換手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のステレオ写真解析機。
【請求項8】
前記指標がそれぞれ異なる識別情報を備え、
前記認識手段が前記指標毎の識別情報を前記指標に対応した前記指標座標と関連付けて認識し、
前記対応付け手段が、前記認識手段により認識された、前記第2指標座標と関連付けられた識別情報である第2識別情報と、前記第3指標座標と関連付けられた識別情報である第3識別情報との同一の指標についての組合わせに基づいて、対応付けを行う
ことを特徴とする請求項7に記載のステレオ写真解析機。
【請求項9】
前記写真群に含まれる写真の画像を表示するモニタと、
前記モニタに表示される、前記写真群に含まれる写真の画像上の任意の点あるいは領域を指定する入力手段とを備え、
前記対応付け手段が、前記入力手段により前記第2撮影位置から撮影された第2写真群に含まれる写真の画像上で指定された領域内の指標と同一の前記指標を、前記第3撮影位置から撮影された第3写真群に含まれる写真の画像上において領域指定することにより、同一の前記指標についての前記第2指標座標と前記第3指標座標とを対応付ける
ことを特徴とする請求項7に記載のステレオ写真解析機。
【請求項10】
前記取得手段から取得される複数の写真群から第1写真群と第2写真群とを選択する選択手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のステレオ写真解析機。
【請求項11】
前記選択手段が、画像選択の入力を行う選択入力手段における入力を検出して前記第1写真群と前記第2写真群とを選択することを特徴とする請求項10に記載のステレオ写真解析機。
【請求項12】
前記取得手段が前記ステレオカメラに設けられた方位センサにより検出される撮影時の前記ステレオカメラの撮影方向を撮影された前記写真群と関連付けて取得し、
前記選択手段が、最初に選択された前記第1写真群に関連付けられた方位と略同一の方位を関連付けられた前記写真群を第2写真群の選択候補に挙げる
ことを特徴とする請求項10に記載のステレオ写真解析機。
【請求項13】
前記取得手段が前記ステレオカメラに設けられたタイマにより検出される撮影時刻を撮影された前記写真群と関連付けて取得し、
前記選択手段が、最初に選択された前記第1写真群に関連付けられた撮影時刻と連続する前記撮影時刻に関連付けられた前記写真群を第2写真群の選択候補に挙げる
ことを特徴とする請求項10に記載のステレオ写真解析機。
【請求項14】
前記取得手段がデジタルカメラにより撮影された前記写真群のデジタルデータを取得することを特徴とする請求項1に記載のステレオ写真解析機。
【請求項15】
前記取得手段が銀鉛写真である前記写真群の画像をスキャナで読取り、A/D変換を行うことによりデジタルデータを取得することを特徴とする請求項1に記載のステレオ写真解析機。
【請求項16】
前記識別情報が前記指標毎に異なる色であることを特徴とする請求項2あるいは請求項8に記載のステレオ写真解析機。
【請求項17】
前記識別情報が前記指標の近傍に記された識別用の文字、図形、あるいは記号であることを特徴とする請求項2あるいは請求項8に記載のステレオ写真解析機。
【請求項18】
前記指標が単一色の丸点であり、前記指標を側部に備える地点標示器の前記指標の周囲が前記指標と異なる色であることを特徴とする請求項1に記載のステレオ写真解析機。
【請求項19】
前記指標が略直立状態に固定可能な板部材の表裏の相対する位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載のステレオ写真解析機。
【請求項20】
略直立状態に固定可能な板部材と前記板部材の側面であって表裏の相対する位置に設けられた指標とを備え、
請求項1に記載のステレオ写真解析機により測量を行うための写真撮影に用いる
ことを特徴とする地点標示器。
【請求項21】
前記指標の近傍に、識別用の文字、図形、あるいは記号が記されることを特徴とする請求項20に記載の地点標示器。
【請求項22】
前記指標毎に異なる色であることを特徴とする請求項20に記載の地点標示器。
【請求項23】
いずれかの撮影位置での、複数のカメラを有するステレオカメラによる写真測量における設計上の測量精度を満たすための撮影範囲である有効測量範囲に指標を表面に備えた複数の地点標示器を含ませることが可能となるように、前記地点標示器を測量地点に配置する配置のステップと、
前記ステレオカメラの前記有効測量範囲に複数の前記地点標示器を含ませるための第1撮影位置および前記ステレオカメラの第1撮影姿勢を決定する第1位置決めのステップと、
前記第1位置決めのステップにおいて決定した前記第1撮影位置において前記ステレオカメラによる撮影を行い、第1画像データを取得する第1撮影のステップと、
前記第1撮影位置から移動し、前記第1撮影位置における前記第1撮影姿勢での有効測量範囲に含まれる前記複数の地点標示器を、前記ステレオカメラの有効測量範囲に含ませるための第2撮影位置および第2撮影姿勢を決定する第2位置決めのステップと、
前記第2位置決めのステップにおいて決定した前記第2撮影位置において前記ステレオカメラによる撮影を行い、第2画像データを取得する第2撮影のステップと、
前記第1撮影のステップにおいて取得した前記第1画像データと、前記第2撮影のステップにおいて取得した前記第2画像データとに基づいて、請求項1に記載したステレオ写真解析機を用いて測量を行う解析のステップと
を有することを特徴とする写真測量方法。
【請求項24】
前記配置のステップにおいて、前記有効測量範囲に2以上の前記地点標示器を含ませるように並べ、
前記第1位置決めのステップおよび前記第2位置決めステップにおいて、前記ステレオカメラの有効測量範囲に2以上の前記地点標示器を含ませ、
前記第2撮影のステップにおいて、撮影するときの水平面に対する前記ステレオカメラの傾斜が第1撮影位置において撮影したときの傾斜と略同一である
ことを特徴とする請求項23に記載の写真測量方法。
【請求項25】
前記配置のステップにおいて、前記有効測量範囲に3以上の前記地点標示器を含ませるように並べ、前記位置決めのステップにおいて、前記第1撮影位置における前記ステレオカメラの有効測量範囲に3以上の前記地点標示器を含むことを特徴とする請求項23に記載の写真測量方法。
【請求項26】
前記配置のステップにおける前記地点標示器が請求項20に記載の地点標示器であり、前記第2位置決めステップにおいて前記第1撮影姿勢における前記ステレオカメラの向く方向が前記第2撮影姿勢における前記ステレオカメラの向きと逆であることを特徴とする請求項23に記載の写真測量方法。
【請求項27】
2以上のカメラを有するステレオカメラにより撮影され、複数の指標が写る写真群をデジタルデータとして取得する取得手段と、
前記写真群の各々の写真に写る前記指標について前記各々の写真を基準とした座標を認識する認識手段と、
前記認識手段により認識された前記指標についての前記各々の写真を基準とした座標に基づいて、前記写真群を撮影した撮影位置を基準とした前記指標の座標である指標座標を演算する演算手段と、
同一の前記指標についての第1撮影位置を基準とした座標系における指標座標である第1指標座標と、前記第1撮影位置と異なる第2撮影位置を基準とした座標系における指標座標である第2指標座標とを、前記指標毎に対応付ける対応付け手段と、
前記対応付け手段により対応付けられた同一の前記指標についての前記第1指標座標と前記第2指標座標との複数の組合せに基づいて、前記第1撮影位置を基準とした座標系における座標と前記第2撮影位置を基準とした座標系における座標とを基準となる単一の第1・2基準座標系における座標に変換するための第1・2変換パラメータを算出する変換値算出手段としてコンピュータを機能させる
ことを特徴とする写真測量プログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−17633(P2006−17633A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197072(P2004−197072)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】