説明

ステントの島状部除去

ステント(200)から島状部を除去するための工具(100)が開示される。工具がチューブ(110)を含み、該チューブが、チューブの中心と連通する少なくとも1つの出口穴(150)を有するとともに、加圧流体源(140)に接続される。ステントの島状部は、出口穴上に位置され、出口穴から抜け出る流体の力によって除去される。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、ステントなどの埋込可能な医療デバイスに関する。
【従来技術の説明】
【0002】
一般的なステントは、開放状態を保つとともに、時として血管または尿路や胆管などの他の解剖学的内腔の一部を拡張させる円筒形状のデバイスである。ステントは、しばしば、血管内のアテローム硬化性狭窄の処置で使用される。「狭窄」とは、身体の通路またはオリフィスの直径の狭まり、あるいはくびれのことである。そのような処置において、ステントは、身体血管を補強するとともに、血管形成術後の再狭窄を防止する。「再狭窄」とは、血管または心臓弁が血管形成術または弁形成術を受けた後における血管または心臓弁での狭窄の再発生のことである。
【0003】
ステントは、金属およびポリマーを含む多くの材料から形成されてきた。ポリマー材料は、非生体腐食性および生体腐食性の両方のプラスチック材料を含む。幾つかの用途では、ポリマー生体腐食性ステントが、その生分解性および金属ステントよりも高い柔軟性により、金属ステントよりも有益な場合がある。
【0004】
ステントの円筒構造は、一般に、互いに接続する構造要素または支柱のパターンあるいは網目を含む足場から構成される。足場は、ワイヤ、チューブ、または、円筒形状へと丸められる材料の平面フィルムから形成することができる。また、ステントを形成するパターンは、ステントが径方向に拡張でき且つ長手方向に柔軟となることができるようにする。長手方向の柔軟性はステントの供給を容易にし、また、剛性は、ステントが管状器官の内腔を開放状態に保持できるようにする。一般に、パターンは、ステントに必要な長手方向柔軟性および剛性を保つように設計されるべきである。また、ステントは、周方向でも適切な強度を有していなければならない。
【0005】
チューブおよび平面フィルムまたはシートからの金属ステントおよびポリマーステントの製造に関しては、多くの技術が提案されてきた。そのような技術の例としては、材料に対してパターンをレーザカットすること、あるいはエッチングすることが挙げられる。レーザカットは、その後に管状形態へと丸められる材料の平面フィルムに対して行なわれてもよい。あるいは、所望のパターンがチューブに対して直接にエッチングされてもよい。他の技術は、化学エッチングまたは放電加工によってシートまたはチューブに所望のパターンをカットすることを伴う。ステントのレーザカットは、Saundersの米国特許第5,780,807号、Richterの米国特許第5,922,005号、Richterの米国特許第5,906,759号を含む多くの公報で説明されてきた。
【0006】
また、ポリマーワイヤをコイル状に巻いてポリマーステントを形成する場合がある。更に他の方法では、円筒リングのパターンをレーザカットして該リングをチューブ自体で接続することにより、チューブからポリマーステントが形成される場合がある。これについては、例えばJackson等の米国特許第6,585,755号を参照されたい。
【0007】
「島状部」とは、ステントパターンの一部となるように意図されていない、レーザカット後にステント支柱に付着したままの金属またはポリマーのチューブ材料の断片または一部分のことである。当該断片または一部分は、支柱に対して比較的弱い物理的結合を成している場合があり、あるいは、支柱に対する物理的結合を伴うことなく支柱間に楔留めされている場合がある。従来、ステントの島状部は、ステントを通じて金属マンドレルを挿入し且つ該マンドレルを面に対して叩きつけることによって、ステントから除去される。ステントをレーザカットした後にステントの島状部を除去するこの方法は、本質的にステントから島状部を振り落とす振動を引き起こす。しかしながら、そのような振動は、ステントに損傷を与える場合もある。特に、ステント使用中に高い応力に晒されるステントの部位が損傷を受ける場合があり、それにより、これらの高応力部位でステントが弱まる場合がある。
【0008】
また、金属足場またはポリマー足場のいずれかの表面を活性な、あるいは生体活性な物質または薬剤を含むポリマーキャリアでコーティングすることによって薬用ステントが製造される場合がある。ポリマー足場が活性な物質または薬剤のキャリアとしての機能を果たす場合もある。
【0009】
更に、ステントが生分解可能であることが望ましい場合がある。多くの処置用途において、身体内におけるステントの存在は、例えば血管開通を維持するおよび/または薬物供給というその意図される機能が達成されるまで限られた期間にわたって必要となる場合がある。したがって、生分解性材料、生体吸収性材料、および/または、生体腐食性材料、例えば生体吸収性ポリマーから製造されるステントは、ステントの臨床的必要性が終了した後においてのみ完全に腐食するように構成されるべきである。
【発明の概要】
【0010】
本発明の様々な実施形態は、島状部に、あるいは島状部の近傍にガス流を吹きかけることによりステントの島状部を除去するための方法および工具を提供する。工具は、加圧ガスの使用によってステントの島状部を一貫して除去するように設計される。加圧ガスの使用は、ステントへのダメージを最小限に抑える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ステントを示している。
【図2】本発明の一実施形態に係るステント島状部除去工具を示している。
【図3A】本発明の実施形態に係る穴パターンを示している。
【図3B】本発明の実施形態に係る穴パターンを示している。
【図3C】本発明の実施形態に係る穴パターンを示している。
【図4A】本発明の一実施形態に係るステント島状部除去工具を示している。
【図4B】本発明の一実施形態に係るステント島状部除去工具を示している。
【図5A】本発明の実施形態に係る穴開口パターンを示している。
【図5B】本発明の実施形態に係る穴開口パターンを示している。
【図5C】本発明の実施形態に係る穴開口パターンを示している。
【図6A】本発明の実施形態に係る穴の形状を示している。
【図6B】本発明の実施形態に係る穴の形状を示している。
【図6C】本発明の実施形態に係る穴の形状を示している。
【図6D】本発明の実施形態に係る穴の形状を示している。
【図6E】本発明の実施形態に係る穴の形状を示している。
【発明の詳細な説明】
【0012】
図1は、多くの互いに接続する構造要素または支柱11を含むステント10を示している。一般に、ステント支柱のパターンは、ステント10を径方向に圧縮でき且つ拡張できるように設計される。ステント10は、真直ぐあるいは比較的真直ぐな支柱の部分を含んでもよく、一例が参照符号12によって示される直線部分である。ステント10は、参照符号13,14,15によって示される部分など、曲げられる支柱の部分を含んでいてもよい。曲げ部13,14,15は、ステント10が径方向内側にクリンプされるときに更に曲げられてもよい。曲げ部13,14,15は、ステント10が径方向外側に拡張されるときに更に外側に曲げられてもよい。幾つかの実施形態において、ステント10などのステントは、支柱パターンをチューブにレーザカットすることによって製造されてもよい。他の実施形態では、化学エッチングを使用して支柱パターンをチューブに形成してもよい。
【0013】
図1は、ステントをパターンへとレーザカットした後に、あるいはパターンを化学的にエッチングした後に形成される典型的なステントの島状部16,17を示している。島状部16は支柱18に対して比較的弱い物理的結合を成しており、また、島状部17は支柱19,20間に楔留めされている。比較的弱い結合に起因して、本発明は、島状部に、あるいは島状部の近傍にガス流を吹きかけることによりそのような島状部を除去するための方法および装置を提供する。装置および方法は、ガスなどの加圧流体の使用によってステントの島状部を一貫して除去するようになっている。加圧流体の使用は、ステントへの任意のダメージを最小限に抑える。
【0014】
本発明の実施形態は、その上にステントを受けるようになっている少なくとも1つの穴または開口を有するチューブを含む。幾つかの実施形態では、島状部を有するステントがチューブ上に装着され、チューブを通じて、あるいはチューブ内へ送られる流体が穴から流れ出る。島状部を有するステントは、穴を通じて流れる搬送流体が島状部の除去を容易にするように、チューブ穴に装着されあるいは位置決めされる。
【0015】
ステント島状部除去工具100の1つの実施形態が図2に示されている。工具100はチューブ110から構成され、チューブ110は、該チューブ110上に位置決めされるステント120の内径と同じあるいは該内径よりも大きい外径を有する。特定の実施形態では、ステント120が摺動嵌合する。摺動嵌合とは、ステント120が軸方向移動および回転移動できるように摺動自在に装着されることを意味する。チューブの一端130は閉塞されていてもよく、また、他端135は高圧流体源140に接続される。他の実施形態では、チューブの両端130,135が閉塞されてもよく、加圧流体140がチューブの表面から入る(図示せず)。チューブ110の表面上には1つ以上の開口150が位置されており、それにより、圧縮流体が開口150から出ることができる。1つの実施形態では、開口150がチューブ110の他の周方向位置に設けられる。圧縮流体が開口150を通じて径方向に吹き出し、それにより、ステント120から島状部を吹き飛ばす。
【0016】
ある実施形態では、ステント120が締まり嵌めまたは圧入を使用してチューブ110に装着されてもよい。そのような実施形態において、チューブ110の外径は、ステント120の内径と同じあるいはほぼ同じである。嵌め合いは、ステント除去中にステントが軸方向にスライドしないように、あるいは回転しないように十分に緊密である。
【0017】
ステント120がスライド可能に装着される幾つかの実施形態では、ステントの様々な部分の島状部を除去するため、矢印160で示されるようにステントを軸方向に並進させることにより、矢印170で示されるように回転させることにより、あるいは、これらの両方により、ステントの様々な部分の島状部が除去されてもよい。他の実施形態では、チューブ110がステント120に対して軸方向または回転方向に移動されてもよく、それにより、少なくとも1つの穴がステントの様々な部分の島状部を除去してもよい。更なる実施形態では、ステント120およびチューブ110の両方が互いに対して移動される。1つの実施形態では、チューブを回転させる治具に対してチューブを取り付けることによって、ステントおよびチューブの相対的な回転動作を行なうことができる。他の実施形態では、長手方向に振動する治具に対してチューブを取り付けることにより、ステントおよびチューブの相対的な軸方向移動を行なうことができる。そのような治具は、相対的な回転および並進動作の両方を行なうためにステントを回転させることもできる。
【0018】
幾つかの実施形態では、図3A〜3Cに示されるように、ステントの島状部を除去するためのチューブ300が2つ以上の開口350を有していてもよい。開口は、円形パターン(3A)、長手方向パターン(3B)、または、螺旋(3C)などの様々なパターンで配置されてもよいが、パターンはこれらに限定されない。
【0019】
幾つかの実施形態では、ステント島状部除去チューブに対するステントの相対的な移動を殆ど伴うことなく、あるいは全く伴うことなく、ステントの島状部除去を行なうことができる。図4A〜4Bは固定ステント島状部除去手法の例示である。明確にするため、チューブ410の穴は図示されていない。これに代えてあるいはこれに加えて、ステント420がチューブ410と締まり嵌めされ、それにより、吹き出しが行なわれる間、ステントはチューブ上に静止したままである。幾つかの実施形態では、ステント420の端部のコレット450を用いて、ステント420の回転移動および軸方向移動がチューブ410上で減少されあるいは防止されてもよい。あるいは、ステントの他端が工具の固定部に押し付けられる場合には、1つのコレット450だけがステント410の一端の周囲で使用されればよい。1つの実施形態において、チューブ410は、ステントの島状部の全てあるいは殆どが除去されるように十分な数の穴を有する。図4Bは、高密度の穴460を示すチューブ410を描いている。他の実施形態において、穴は、所与のステントパターンにおいて見込まれるステント島状部の位置と一致するパターンである。異なるステントパターンは異なるチューブ穴パターンを必要とする。
【0020】
穴を通る流体の力は、ステントの島状部を除去できるように十分大きくなければならない。力は、チューブ内へと送られる流体の流量とチューブ内の流体の圧力とによって決まる。ガスなどの圧縮できる流体が使用される場合には、ガスの温度が、チューブからの力を決定する更なる要因である。ガスの力は、それがステントに損傷を与えるほど十分高くすべきではない。島状部のサイズが異なる場合があるため、異なるサイズの穴が必要な場合がある。穴のサイズは、島状部および支柱の幅に関連して決定されるべきである。幾つかの実施形態において、穴のサイズは、島状部に対して加えられる単位面積当たりの力が島状部を除去するに足る十分な大きさとなるが周囲の支柱を損傷させるほど高くならないように決定される。穴が更に小さい場合には、島状部を除去するために更に高い力が必要な場合がある。
【0021】
ステントの島状部を除去する方法は、開口から流れるガス上にステントが複数通過することを含むことができる。ガス流は、ガス供給を制御することにより、連続的、可変、または、パルス状にすることができる。連続的な流れは、経時的に一定の流れである。可変流は、経時的に変化する流れである。パルス状の流れは、ON−OFFタイプの流れであり、連続的であってもよくあるいは可変であってもよい。パルスは、規則的な間隔または不規則な間隔で生じてもよい。
【0022】
ガス速度、ガス流方向、ガス温度、ガスパルス周波数等は、ステントの島状部を除去するために必要とされる力を与えるように変えることができる。本発明では、空気、アルゴン、酸素、窒素、二酸化炭素を含むがこれらに限定されない様々なタイプのガスが使用されてもよい。
【0023】
1つの実施形態では、ステントの島状部を更に脆くするためにチューブが冷却され、そのため、ステントの島状部を更に容易に除去できる。他の実施形態では、ガスが冷却され、それにより、島状部が冷却されてもよい。更なる実施形態では、チューブおよびガスの両方が冷却されてもよい。
【0024】
また、開口の断面が様々な形状を有し得ることも考えられる。幾つかの実施形態では、開口の形状を円形、楕円形、正方形、または、長方形にすることができる。特定の実施形態では、開口がスリットであってもよい。図5A〜5Cはチューブのスリットの様々な配列を示している。図5Aは、スリット510のパターンが軸方向に配列されるチューブ550を示しており、スリット510の主軸が長手方向軸と位置合わせされる。図5Bは、スリット511のパターンが周方向に配列されるチューブ551を示しており、スリット511の主軸がチューブの外周にわたって位置合わせされる。図5Cは、スリット512のパターンが螺旋状に配列されるチューブ552を示しており、スリット512の主軸が長手方向軸に対して角度を成して位置合わせされる。更に長い長方形スリットを使用することにより、流体は、円形開口を通じた流体の点流ではなく、薄いシートとして流出できる。
【0025】
チューブの内面と外面との間の穴の断面のサイズは、一定であってもよく、あるいは、異なっていてもよい。図6Aは、一定の断面を伴う穴610を有するチューブ600を示している。図6B〜6Cは、それぞれ増大しおよび減少する断面を有する穴651,652を伴うチューブ610,620を示している。穴651は流体流れを分散させるように作用し、一方、穴652は流体流れを集中させるように作用する。
【0026】
更なる実施形態において、穴は、空気流を選択された方向へ向けるようになっていてもよい。図6D−Eは、流体流れをチューブの表面に対して鋭角を成して方向付ける穴653,654を有するチューブ630,640を示している。
【0027】
幾つかの実施形態では、チューブが金属から形成される。他の実施形態では、チューブがポリマー材料から形成されてもよい。材料の選択は、作動温度、圧力、デューティサイクル、チューブ材料とステント材料またはガスとの適合性、コストに基づいてもよいが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、チューブがステンレススチールである。
【0028】
本発明は、ステントの完全性を維持しつつ、ステントの島状部を除去する。本発明の方法および装置は、ステントから金属ステント島状部またはポリマーステント島状部を除去するために使用できる。本発明で用いるステントの例としては、制限なく、自己拡張可能なステント、バルーン拡張可能なステント、ステントグラフト、および、血管グラフトが挙げられる。
【0029】
ステントの基体またはステントのためのコーティングを製造するのに用いるポリマーは、生体安定性、生体吸収性、生分解性または生体腐食性を有することができる。生体安定とは、生分解不可能なポリマーのことである。生分解性、生体吸収性、および、生体腐食性という用語は、置き換え可能に使用されるとともに、血液などの体液に晒されると完全に分解されおよび/または腐食され得るポリマーであって、身体によって徐々に再吸収され、吸収され、および/または、排除され得るポリマーを示す。ポリマーの破壊および最終的な吸収および排除のプロセスは、例えば、加水分解プロセス、代謝プロセス、バルクまたは表面腐食などによって引き起こされ得る。
【0030】
分解、腐食、吸収、および/または、再吸収のプロセスが完了された後にステントの一部が残存しないこと、あるいは、生体安定な足場の上にコーティングを塗布する場合にポリマーがデバイス上に残存しないことは言うまでもない。幾つかの実施形態では、非常に僅かな形跡または残留物が残される場合がある。生分解性ポリマーから形成されるステントの場合、ステントは、例えば血管開通を維持するおよび/または薬物供給というその意図される機能が達成されるまでの時間にわたって身体内に残存するようになっている。
【0031】
ステントの基礎的な構造または基体は、全体あるいは少なくとも一部を、生分解性ポリマーあるいは生分解性ポリマーの組み合わせ、生体安定性ポリマーあるいは生体安定性ポリマーの組み合わせ、または、生分解性ポリマーと生体安定性ポリマーとの組み合わせから形成することができる。また、デバイスの表面におけるポリマー系コーティングは、生分解性ポリマーあるいは生分解性ポリマーの組み合わせ、生体安定性ポリマーあるいは生体安定性ポリマーの組み合わせ、または、生分解性ポリマーと生体安定性ポリマーとの組み合わせであってもよい。
【0032】
ステントを製造またはコーティングするために使用されてもよいポリマーの代表的な例としては、ポリ(N−アセチルグルコサミン)(キチン)、キトサン、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチラート)、ポリ(ヒドロキシブチラート−コ−バレレート)、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(グリコリド)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリエチレンアミド、ポリ(グリコール酸−コ−トリメチレンカーボネート)、コ−ポリ(エーテル−エステル)(例えば、PEO/PLA)、ポリホスファゼン、生体分子(フィブリン、フィブリノゲン、セルロース、スターチ、コラーゲン、および、ヒアルロン酸など)、ポリウレタン、シリコン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレンとエチレン−アルファオレフィンとのコポリマー、ポリアクリラート以外のアクリルポリマーおよびコポリマー、ハロゲン化ビニルポリマーおよびコポリマー(ポリ塩化ビニルなど)、ポリビニルエーテル(ポリビニルメチルエーテルなど)、ポリハロゲン化ビニリデン(ポリ塩化ビニリデンなど)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリビニル芳香族化合物(ポリスチレンなど)、ポリビニルエステル(ポリビニルアセテートなど)、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ABS樹脂、ポリアミド(ナイロン66およびポリカプロラクタムなど)、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、レーヨン、レーヨン−トリアセテート、セルロース、セルロースアセテート、セルロースブチラート、セルロースアセテートブチラート、セロファン、セルロースナイトレート、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、および、カルボキシメチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されない。使用され得るポリ(乳酸)に基づく他のタイプのポリマーとしては、グラフト共重合体、および、ブロック共重合体、例えばABブロック共重合体(「ジブロック共重合体」)またはABAブロック共重合体(「トリブロック共重合体」)、または、これらの混合物が挙げられる。
【0033】
埋込可能な医療デバイスの製造またはコーティングで用いるのに特にうまく適し得るポリマーの更なる代表的な例としては、エチレンビニルアルコールコポリマー(一般名EVOHによって、あるいは商品名EVALによって一般的に知られる)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(フッ化ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロペン)(例えば、ニュージャージー州のThorofareにあるSolvay Solexis PVDFから入手できるSOLEF21508)、フッ化ポリビニリデン(さもなければ、ペンシルベニア州のフィラデルフィアにあるATOFINA Chemicalsから入手できるKYNARとして知られる)、エチレンビニルアセテートコポリマー、および、ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0034】
ステントの非ポリマー基体は、金属材料または合金、例えば、限定はされないが、コバルトクロム合金(ELGILOY)、ステンレススチール(316L)、高窒素ステンレススチール、例えばBIODUR 108、コバルトクロム合金L−605、“MP35N”、“MP20N”、ELASTINITE(ニチノール)、タンタル、ニッケルチタン合金、白金イリジウム合金、金、マグネシウム、または、これらの組み合わせから形成されてもよい。“MP35N”および“MP20N”は、ペンシルベニア州のJenkintownにあるStandard Press Steel社から入手できるコバルト、ニッケル、クロム、および、モリブデンの合金における商品名である。“MP35N”は、35%コバルトと、35%ニッケルと、20%クロムと、10%モリブデンとからなる。“MP20N”は、50%コバルトと、20%ニッケルと、20%クロムと、10%モリブデンとからなる。
【0035】
本発明の特定の実施形態を図示して説明してきたが、当業者であれば分かるように、本発明から逸脱することなく、本発明の広範な態様において、変形および改良を成すことができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲内に入るそのような全ての変形および改良を本発明の範囲内に包含するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントの島状部を除去する方法において、
ステントをチューブ上に位置決めするステップであって、前記ステントが、パターンと、前記パターンに付着し且つパターンの一部となるように意図されていない除去可能な島状部と、を備え、前記チューブが該チューブの内部と連通する少なくとも1つの出口開口を含む、ステップと、
流体を前記チューブ内へ送るステップであって、前記流体が前記少なくとも1つの出口開口を通じて抜け出るとともに、抜け出る流体がステントパターンの島状部の少なくとも1つの除去を容易にする、ステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記流体がガスである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パターンがレーザカットによって形成される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ステントが前記チューブの長手方向軸を中心に回転される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ステントが前記チューブの長手方向軸に沿って摺動される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ステントが、前記チューブの長手方向軸を中心に回転されるとともに、前記チューブの長手方向軸に沿って摺動される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
2つ以上の開口上にわたって前記ステントを摺動させるステップを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記島状部の除去を容易にするために、前記ステントを前記チューブ上で前後に摺動させるステップを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ステントの端部で保持部材を用いて前記ステントを前記チューブに対して固定するステップを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記保持部材がコレットである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ステントが生体安定性ポリマーおよび/または生体吸収性ポリマーを備える請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ステントが金属ステントである請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記流体の流れが連続的である請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記流体の流れがパルス状である請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの開口が、前記流体が薄いシートとして前記チューブから出ることを可能にする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記流体が、前記チューブの前記少なくとも1つの開口から径方向に放出される請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記流体が、前記チューブの前記少なくとも1つの開口から径方向以外の方向で放出される請求項1に記載の方法。
【請求項18】
内部と連通する少なくとも1つの出口開口を含み且つ加圧流体と島状部を備えるステントとを受けるようになっているチューブを備え、前記流体が前記少なくとも1つの出口開口を通じて抜け出るとともに、前記ステントが前記チューブ上に位置されるときに、前記抜け出る流体が前記ステントの島状部の少なくとも1つの除去を容易にする、ステント島状部除去アセンブリ。
【請求項19】
島状部を含むステントを更に備える請求項18に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記ステントを前記チューブに対して固定する少なくとも1つのコレットを更に備える請求項18に記載のアセンブリ。
【請求項21】
前記少なくとも1つの開口が、加圧流体が薄いシートとして前記チューブから出ることを可能とするようになっている請求項18に記載のアセンブリ。
【請求項22】
前記少なくとも1つの開口が、加圧流体を前記チューブから径方向に放出できるようになっている請求項18に記載のアセンブリ。
【請求項23】
前記少なくとも1つの開口が、加圧流体を前記チューブから径方向以外の方向で放出できるようになっている請求項18に記載のアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【公表番号】特表2009−543593(P2009−543593A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519508(P2009−519508)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/015777
【国際公開番号】WO2008/008368
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(507135788)アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド (92)
【Fターム(参考)】