説明

ストップランプ制御装置

【課題】点灯制御部側の機能を絞ってストップランプ点灯、点滅制御に要する構成を簡略化でき、装置全体のコストを低減させることが可能なストップランプ制御装置を提供する。
【解決手段】車両のブレーキペダルの操作によりストップランプを点灯させる第1の点灯信号Sを生成して出力するブレーキペダルスイッチ100と、外部から入力される入力信号に基づいてストップランプを点灯又は点滅させるかどうかを判定する判定部210を備えると共に、点灯の判定結果に基づいて第2の点灯信号S1を生成する点灯信号生成部、及び、点滅の判定結果に基づいて点滅信号S2を生成する点滅信号生成部220を備える点灯判定ユニット200と、ストップランプ500を点灯又は点滅駆動するストップランプ点灯制御ユニット300と、を有してストップランプ制御装置10を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストップランプ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両には、各種スイッチやブレーキペダル等の操作部材が装備され、その操作状態に応じて車両の各種システムが制御されている。例えば、ストップランプ制御装置では、ブレーキペダルの踏み込み状態をペダル位置検出センサで検出し、その検出センサから出力される点灯信号に基づいてストップランプが点灯制御される。また、緊急ストップシステムが作動状態となった場合や坂道発進等の場合に点灯判定ユニットがストップランプの点灯を判定して、自動的にストップランプの点灯制御を行なう場合がある。
【0003】
このようなストップランプ制御装置として、急減速判定部と、点滅信号を生成する点滅信号発生回路及びストップランプを点滅させる点滅駆動部から構成される点灯制御部とを有するストップランプ制御装置がある(例えば、特許文献1)。このストップランプ制御装置では、急減速判定部において自動車が急減速状態であることを判定したときに生成される急減速信号を点灯制御部に入力するように構成されている。例えば、この急減速判定部はブレーキペタルの踏込み量を監視しており、この踏込み量の変化量、すなわちブレーキペダルの踏込み速度や踏込み加速度が所定以上のときに急減速状態であると判定し、急減速信号を点灯制御部に出力する。そして、点灯制御部では、この急減速信号に基づいて点滅信号発生回路により点滅信号を生成し、点滅駆動部を介してストップランプを点滅させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−111031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような従来構成では、急減速判定部においてブレーキペタルからの信号に基づいて急減速信号を生成するためのマイコン等で構成する判定手段が必要であると共に、点灯制御部側には急減速信号に基づいて点滅信号を生成する発振回路等を備えた点滅信号発生回路が必要であり、コストアップになっているという問題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、点灯制御部側の機能を絞ってストップランプ点灯、点滅制御に要する構成を簡略化でき、装置全体のコストを低減させることが可能なストップランプ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明は上記目的を達成するため、車両のブレーキペダルの操作によりストップランプを点灯させる第1の点灯信号を生成して出力するブレーキペダル検出部と、外部から入力される入力信号に基づいて前記ストップランプを点灯又は点滅させるかどうかを判定する判定部を備えると共に、前記点灯の判定結果に基づいて第2の点灯信号を生成する点灯信号生成部、及び、前記点滅の判定結果に基づいて点滅信号を生成する点滅信号生成部を備える点灯判定部と、前記ブレーキペダル検出部から入力される第1の点灯信号、前記点灯判定部から入力される第2の点灯信号、又は、前記点灯判定部から入力される点滅信号に基づいて前記ストップランプを点灯又は点滅駆動するストップランプ制御部と、を有することを特徴とするストップランプ制御装置を提供する。
【0008】
[2]前記ストップランプ制御部は、前記ブレーキペダル検出部から入力される第1の点灯信号と前記点灯判定部から入力される点滅信号との論理演算の結果に基づいて前記ストップランプを点滅駆動する論理演算部を有することを特徴とする上記[1]に記載のストップランプ制御装置であってもよい。
【0009】
[3]また、前記第2の点灯信号及び前記点滅信号は、前記点灯判定部から前記ストップランプ制御部に接続される1の信号線により入力されることを特徴とする上記[1]または[2]に記載のストップランプ制御装置であってもよい。
【0010】
[4]また、前記点灯判定部に入力される外部からの前記入力信号は、前記車両の車速信号であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載のストップランプ制御装置であってもよい。
【0011】
[5]また、前記点灯判定部は、前記車速信号が所定の減速度以上となったかどうかにより前記点滅信号生成部で前記点滅信号を生成することを特徴とする上記[4]に記載のストップランプ制御装置であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、点灯制御部側の機能を絞ってストップランプ点灯、点滅に要する構成を簡略化でき、装置全体のコストを低減させることが可能なストップランプ制御装置提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係るストップランプ制御装置の構成を示すブロック構成図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態に係るストップランプ制御装置のストップランプ点灯制御ユニットの動作状態を説明するための真理値表である。
【図3】図3は、図2に示した論理を実行するための論理回路の回路例である。
【図4】図4は、(1)ペダル踏込による点灯、(2)点灯判定ユニットからの制御による点灯、(3)点灯判定ユニットからの制御による点滅のそれぞれの動作を信号波形を表示して説明するための信号レベルと点灯状態の関係を示す関係図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態に係るストップランプ制御装置の判定アルゴリズムの動作フローを示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の第2の実施の形態に係るストップランプ制御装置の構成を示すブロック構成図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施の形態に係るストップランプ制御装置のストップランプ点灯制御ユニットの動作状態を説明するための真理値表である。
【図8】図8は、図7に示した論理を実行するための論理回路の回路例である。
【図9】図9は、(1)ペダル踏込による点灯、(2)点灯判定ユニット200からの制御による点灯、(3)点灯判定ユニット200からの制御による点滅のそれぞれの動作を信号波形を表示して説明するための信号レベルと点灯状態の関係を示す関係図である。
【図10】図10は、本発明の第2の実施の形態に係るストップランプ制御装置の判定アルゴリズムの動作フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(本発明の第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るストップランプ制御装置10の構成を示すブロック構成図である。ブレーキペダルスイッチ100は、ブレーキペダルの操作によりストップランプを点灯させるための第1の点灯信号Sを生成して出力し、ブレーキペダル検出部として機能する。このブレーキペダルスイッチ100は、車両のバッテリBから抵抗Rを介してグランドレベルに接続され、点灯判定ユニット200及びストップランプ点灯制御ユニット300に接続されている。ブレーキペダルスイッチ100は、ブレーキペダルを操作すると点灯信号Sを点灯判定ユニット200及びストップランプ点灯制御ユニット300に出力する。尚、以下の説明では、点灯信号Sをストップランプ500の点灯、消灯を行なうH(Hiレベル)又はL(Lowレベル)の信号とする。
【0015】
点灯判定ユニット200は、外部から入力される入力信号に基づいてストップランプ500を点灯又は点滅させるかどうかを判定する判定部210と点滅信号生成部220を備えている。外部から入力される入力信号は、上記説明したブレーキペダルスイッチ100から入力される点灯信号Sの他に、例えば、車両の走行速度を検出した車速信号Sv、クルーズ信号Sc、衝突回避信号Sb、坂道発進信号Sh等がある。
【0016】
ここで、車速信号Svは、車両の走行速度情報から車両に対する種々の制御を行なうための信号であり、例えば、車両の急減速を判定してストップランプ500を点滅させる。クルーズ信号Scは、一定速度で巡航運転がされた状態から減速操作等により、自動的にブレーキ操作がされたときにストップランプ500を点灯させるための信号である。衝突回避信号Sbは、レーダやカメラで先行車までの距離を認識して、衝突直前に緊急ブレーキを自動的に作動させ、このブレーキングに伴いストップランプ500を点灯させるための信号である。また、坂道発進信号Shは、ブレーキペダルを踏み込んでいる状態からさらにペダルを踏み込むことで、所定時間(約2秒)ブレーキ状態を保持して坂道で再スタートする時にストップランプ500を点灯させるための信号である。
【0017】
判定部210は、外部から入力される入力信号に基づいてストップランプ500を点灯又は点滅させるかどうかを判定する。ここで、外部から入力される入力信号は、前述のブレーキペダルの操作による点灯信号Sの他、車速信号Sv、クルーズ信号Sc、衝突回避信号Sb、坂道発進信号Sh等である。判定部210は、CPU等を備え、記憶部に記憶された所定のプログラムにより判定アルゴリズムを実行する。
【0018】
点灯判定ユニット200は、判定アルゴリズムの点灯の判定結果に基づいて第2の点灯信号S1を生成する。また、点灯判定ユニット200は、点滅の判定結果に基づいて点滅信号生成部220により点滅信号S2を生成する。ここで、点滅信号生成部220は、所定の周波数でパルス発振を行なう発振回路を備えている。パルス発振の所定の周波数は、例えば、4Hzである。
【0019】
ストップランプ点灯制御ユニット300は、論理回路310とドライブ回路350を有して構成される。論理回路310は、信号線400を介してブレーキペダルスイッチ100から入力される点灯信号Sと、信号線410、420を介して点灯判定ユニット200からそれぞれ入力される点灯信号S1、および、点滅信号S2に基づいて、ストップランプ500の点灯または点滅を真理値表に基づいて制御する。ドライブ回路350は、論理回路310の出力に基づいて電流増幅して、ストップランプ500を駆動することにより点灯、点滅制御する。
【0020】
ストップランプ500は、一端がグランドGNDに接続され、他端がストップランプ点灯制御ユニット300に接続されている。このストップランプ500は、ストップランプ点灯制御ユニット300によりトランジスタ等のスイッチング素子等でスイッチング制御されて通電制御されることで、点灯、消灯、および、所定周期で点滅する。また、リレー等の切り替えによりバッテリBから電流をストップランプ500に供給する構成であってもよい。
【0021】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係るストップランプ制御装置のストップランプ点灯制御ユニットの動作状態を説明するための真理値表である。この真理値表は、入力信号S1、S2、Sの組合せにより、状態A(点灯)、状態B(消灯)、状態C(点灯)、状態D(消灯)の4つの状態を制御するものである。尚、この入力信号S1、S2は、点灯判定ユニット200から出力されるときに、S1とS2が同時にH出力とならないように制御され、また、S1とSが同時にH出力とならないように制御されている。
【0022】
図3は、上記の真理値表の状態A(点灯)、状態B(消灯)、状態C(点灯)、状態D(消灯)を論理制御するための論理回路の例である。論理回路310は、OR(オア)回路311、314とAND(アンド)回路312、313の組合せにより構成され、破線で囲んだ部分は、EXOR(XOR)(排他的論理和)である。この論理回路310は、OR回路311への入力S1、S2と、AND回路312への入力Sにより、図2に示した真理値表の論理演算を行なう。
【0023】
(第1の実施の形態に係るストップランプ制御装置10の動作)
図4は、(1)ペダル踏込による点灯、(2)点灯判定ユニット200からの制御による点灯、(3)点灯判定ユニット200からの制御による点滅のそれぞれの動作を信号波形を表示して説明するための信号レベルと点灯状態の関係を示す関係図である。
【0024】
((1)ペダル踏込によるストップランプ点灯動作)
運転者がブレーキペダルを踏込操作すると、ブレーキペダルスイッチ100から点灯信号Sが点灯判定ユニット200及びストップランプ点灯制御ユニット300に入力される。前述したように、点灯判定ユニット200から出力されるときに、S1とS2が同時にH出力とならないように制御され、また、S1とSが同時にH出力とならないように制御されている。よって、図2に示した真理値表の状態Cまたは状態Dをとる。ブレーキペダルの踏込により信号SがHの期間、すなわち、図4に示す(1)の点灯状態Cの期間だけストップランプ500は点灯する。これは、車両走行時の通常のブレーキ操作に伴うストップランプ点灯である。
【0025】
((2)点灯判定ユニット200からの制御によるストップランプ点灯動作)
外部信号として点灯判定ユニット200に入力されるクルーズ信号Sc、衝突回避信号Sb、坂道発進信号Sh等のいずれかがHになると、点灯判定ユニット200は、ストップランプ点灯制御ユニット300に点灯信号S1を出力する。上記と同様に、S1とS2が同時にH出力とならないように制御され、また、S1とSが同時にH出力とならないように制御されているので、図2に示した真理値表の状態Aまたは状態Dをとる。すなわち、クルーズ信号Sc、衝突回避信号Sb、坂道発進信号Sh等による点灯状態Aの期間だけストップランプ500は点灯する。尚、点灯判定ユニット200に入力される点灯信号Sは、スルー信号としてストップランプ点灯制御ユニット300に入力されて、ブレーキペダルスイッチ100からストップランプ点灯制御ユニット300に入力される点灯信号Sと二重系の点灯信号とすることができる。
【0026】
((3)点灯判定ユニット200からの制御によるストップランプ点滅動作)
本発明の実施の形態では、ブレーキペダルの踏込操作により車両が急減速した場合に、通常のストップランプ点灯の後に所定の周期(4Hz)でストップランプ500が点滅動作を行なう。以下に、点灯判定ユニット200からの制御によるストップランプ点滅動作を説明する。
【0027】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るストップランプ制御装置の判定アルゴリズムの動作フローを示すフローチャートである。点灯判定ユニット200に点灯信号S、車速信号Sv、クルーズ信号Sc、衝突回避信号Sb、坂道発進信号Shが入力され、点灯信号S、クルーズ信号Sc、衝突回避信号Sb、坂道発進信号ShのHまたはLによりストップランプ500を点灯するかどうかを判定すると共に、車速信号Svが所定の減速度以上になったかどうかによりストップランプ500を点滅させるかどうかを判定する。尚、本実施の形態では、車両の減速度が所定の値以上、例えば、毎秒6m/s以上の減速度の場合に、ストップランプ点灯後であって点灯開始から300ms以降はストップランプを点滅させる構成としている。以下、このフローチャートにより、本発明の第1の実施の形態に係るストップランプ制御装置の点滅制御を説明する。
【0028】
(Step1)
点灯判定ユニット200の判定部210は、外部から点灯信号Sが入力されたか、すなわち、点灯信号SがHレベルになったかどうかを判断する。点灯信号SがHレベルになったと判断された場合は、Step2に進み、点灯信号SがLレベルと判断された場合はStep6に進む。
【0029】
(Step2)
判定部210は、入力される車速信号Svにより、減速度が所定の値以上(毎秒6m/s以上)かどうかを判断する。所定の値以上の場合はStep3に進み、所定の値未満の場合はStep7へ進む。
【0030】
(Step3)
減速度が所定の値以上のときは、点滅信号生成部220により所定の周波数(例えば、4Hz)の点滅信号S2を生成する。
【0031】
(Step4)
点滅信号S2は、信号線420を介して、点灯判定ユニット200からストップランプ点灯制御ユニット300へ出力される。
【0032】
(Step5)
前述したように、点灯判定ユニット200から出力されるとき、S1とS2が同時にH出力とならないように制御され、また、S1とSが同時にH出力とならないように制御されている。図2に示した真理値表の状態B、Cまたは状態Dをとる。従って、図4の(3)に示すように、信号S2及び信号Sが共にHレベルの場合は、その期間だけストップランプ500が消灯して点滅動作を行なう。すなわち、運転者がブレーキペダルを踏込操作して信号SがHレベルになってストップランプ500が点灯した後、点灯開始から300ms以降はストップランプ500が点滅制御される。
【0033】
(Step6)
点灯信号SがLレベルと判断された場合は、点灯判断のために、クルーズ信号Sc、衝突回避信号Sb、坂道発進信号ShがH入力されたかどうかを判断する。クルーズ信号Sc、衝突回避信号Sb、坂道発進信号Shのいずれかの信号がHレベルの場合は、Step7へ進み、Lレベルの場合はStep1へ戻って繰り返して判断を行なう。
【0034】
(Step7、8)
クルーズ信号Sc、衝突回避信号Sb、坂道発進信号Shのいずれかの信号がHレベルの場合は、点灯判定ユニット200から点灯信号S1をストップランプ点灯制御ユニット300に出力する。このときのストップランプ点灯動作は、前述の(2)点灯判定ユニット200からの制御によるストップランプ点灯動作と同じである。
【0035】
以上の一連のフローにより、点灯判定ユニット200の判定結果に基づいてストップランプ点灯、点滅制御が実行される。
【0036】
(第1の実施の形態の効果)
第1の実施の形態に係るストップランプ制御装置10は、点灯判定ユニット200でストップランプの点滅制御をするかどうかの判定を行なうと共に、点滅制御をするための点滅信号S2を生成する。すなわち、所定の周波数でパルス発振を行なう発振回路を備えた点滅信号生成部220を有した構成とされている。このため、ストップランプ点灯制御ユニット300では、発振回路等を備える必要がなく、論理回路とドライブ回路で構成することができる。従って、点灯判定ユニット200からストップランプを点滅させる場合、点灯判定ユニット200から点滅信号自体を出力することにより、従来構成を大幅に変更することなく、ストップランプ点灯制御ユニット300側のコストを抑えることが可能となる。
【0037】
(本発明の第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態は、図1に示す第1の実施の形態において2本の信号線410、420を1本の信号線410にした構成である。点灯判定ユニット200から出力される点灯信号または点滅信号が信号S3として1本の信号線410を介してストップランプ点灯制御ユニット300に出力される。
【0038】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るストップランプ制御装置10の構成を示すブロック構成図である。ブレーキペダルスイッチ100は、ブレーキペダルの操作によりストップランプを点灯させるための第1の点灯信号Sを生成して出力し、ブレーキペダル検出部として機能する。このブレーキペダルスイッチ100は、車両のバッテリBから抵抗Rを介してグランドレベルに接続され、点灯判定ユニット200及びストップランプ点灯制御ユニット300に接続されている。ブレーキペダルスイッチ100は、ブレーキペダルを操作すると点灯信号Sを点灯判定ユニット200及びストップランプ点灯制御ユニット300に出力する。尚、以下の説明では、点灯信号Sをストップランプ500の点灯、消灯を行なうH(Hiレベル)又はL(Lowレベル)の信号とする。
【0039】
点灯判定ユニット200は、外部から入力される入力信号に基づいてストップランプ500を点灯又は点滅させるかどうかを判定する判定部210と点滅信号生成部220を備えている。外部から入力される入力信号は、上記説明したブレーキペダルスイッチ100から入力される点灯信号Sの他に、例えば、車両の走行速度を検出した車速信号Sv、クルーズ信号Sc、衝突回避信号Sb、坂道発進信号Sh等がある。
【0040】
車速信号Sv、クルーズ信号Sc、衝突回避信号Sb、及び、坂道発進信号Shは第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0041】
判定部210は、外部から入力される入力信号に基づいてストップランプ500を点灯又は点滅させるかどうかを判定する。ここで、外部から入力される入力信号は、前述のブレーキペダルの操作による点灯信号Sの他、車速信号Sv、クルーズ信号Sc、衝突回避信号Sb、坂道発進信号Sh等である。判定部210は、CPU等を備え、記憶部に記憶された所定のプログラムにより判定アルゴリズムを実行する。
【0042】
点灯判定ユニット200は、判定アルゴリズムの点灯の判定結果に基づいて第2の点灯信号を生成する。また、点灯判定ユニット200は、点滅の判定結果に基づいて点滅信号生成部220により点滅信号を生成する。ここで、点滅信号生成部220は、所定の周波数でパルス発振を行なう発振回路を備えている。パルス発振の所定の周波数は、例えば、4Hzである。上記の点灯信号と点滅信号は、後述する1本の信号線410を介してストップランプ点灯制御ユニット300に出力するので、和信号として信号S3とする。
【0043】
ストップランプ点灯制御ユニット600は、論理回路610とドライブ回路650を有して構成される。論理回路610は、信号線400を介してブレーキペダルスイッチ100から入力される点灯信号Sと、1本の信号線410を介して点灯判定ユニット200から入力される信号S3(点灯信号と点滅信号の和信号)に基づいて、ストップランプ500の点灯または点滅を真理値表に基づいて制御する。ドライブ回路650は、論理回路610の出力に基づいて電流増幅して、ストップランプ500を駆動することにより点灯、点滅制御する。
【0044】
ストップランプ500は、一端がグランドGNDに接続され、他端がストップランプ点灯制御ユニット300に接続されている。このストップランプ500は、ストップランプ点灯制御ユニット300によりトランジスタ等のスイッチング素子等でスイッチング制御されて通電制御されることで、点灯、消灯、および、所定周期で点滅する。また、リレー等の切り替えによりバッテリBから電流をストップランプ500に供給する構成であってもよい。
【0045】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るストップランプ制御装置のストップランプ点灯制御ユニットの動作状態を説明するための真理値表である。この真理値表は、入力信号S3とSの組合せにより、状態A(消灯)、状態B(点灯)、状態C(点灯)、状態D(消灯)の4つの状態を制御するものである。
【0046】
図8は、上記の真理値表の状態A(消灯)、状態B(点灯)、状態C(点灯)、状態D(消灯)を論理制御するための論理回路の例である。論理回路610は、OR(オア)回路614とAND(アンド)回路612、613の組合せにより構成され、破線で囲んだ部分は、EXOR(XOR)(排他的論理和)である。この論理回路610は、AND回路612、613への入力S3、Sにより、図7に示した真理値表の論理演算を行なう。
【0047】
(第2の実施の形態に係るストップランプ制御装置10の動作)
図9は、(1)ペダル踏込による点灯、(2)点灯判定ユニット200からの制御による点灯、(3)点灯判定ユニット200からの制御による点滅のそれぞれの動作を信号波形を表示して説明するための信号レベルと点灯状態の関係を示す関係図である。
【0048】
((1)ペダル踏込によるストップランプ点灯動作)
運転者がブレーキペダルを踏込操作すると、ブレーキペダルスイッチ100から点灯信号Sが点灯判定ユニット200及びストップランプ点灯制御ユニット300に入力される。このとき、図7に示した真理値表の状態Cまたは状態Dをとる。ブレーキペダルの踏込により信号SがHの期間、すなわち、図9に示す(1)の点灯状態Cの期間だけストップランプ500は点灯する。これは、車両走行時の通常のブレーキ操作に伴うストップランプ点灯である。
【0049】
((2)点灯判定ユニット200からの制御によるストップランプ点灯動作)
外部信号として点灯判定ユニット200に入力されるクルーズ信号Sc、衝突回避信号Sb、坂道発進信号Sh等のいずれかがHになると、点灯判定ユニット200は、ストップランプ点灯制御ユニット300に点灯信号S3を出力する。このとき、図7に示した真理値表の状態Bまたは状態Dをとる。すなわち、クルーズ信号Sc、衝突回避信号Sb、坂道発進信号Sh等による点灯状態Bの期間だけストップランプ500は点灯する。尚、点灯判定ユニット200に入力される点灯信号Sは、スルー信号としてストップランプ点灯制御ユニット300に入力されて、ブレーキペダルスイッチ100からストップランプ点灯制御ユニット300に入力される点灯信号Sと二重系の点灯信号とすることができる。
【0050】
((3)点灯判定ユニット200からの制御によるストップランプ点滅動作)
本発明の実施の形態では、ブレーキペダルの踏込操作により車両が急減速した場合に、通常のストップランプ点灯の後に所定の周期(4Hz)でストップランプ500が点滅動作を行なう。以下に、点灯判定ユニット200からの制御によるストップランプ点滅動作を説明する。
【0051】
図10は、本発明の第2の実施の形態に係るストップランプ制御装置の判定アルゴリズムの動作フローを示すフローチャートである。点灯判定ユニット200に点灯信号S、車速信号Sv、クルーズ信号Sc、衝突回避信号Sb、坂道発進信号Shが入力され、点灯信号S、クルーズ信号Sc、衝突回避信号Sb、坂道発進信号ShのHまたはLによりストップランプ500を点灯するかどうかを判定すると共に、車速信号Svが所定の減速度以上になったかどうかによりストップランプ500を点滅させるかどうかを判定する。尚、本実施の形態では、車両の減速度が所定の値以上、例えば、毎秒6m/s以上の減速度の場合に、ストップランプ点灯後であって点灯開始から300ms以降はストップランプを点滅させる構成としている。以下、このフローチャートにより、本発明の第2の実施の形態に係るストップランプ制御装置の点滅制御を説明する。
【0052】
(Step11)
点灯判定ユニット200の判定部210は、外部から点灯信号Sが入力されたか、すなわち、点灯信号SがHレベルになったかどうかを判断する。点灯信号SがHレベルになったと判断された場合は、Step12に進み、点灯信号SがLレベルと判断された場合はStep16に進む。
【0053】
(Step12)
判定部210は、入力される車速信号Svにより、減速度が所定の値以上(毎秒6m/s以上)かどうかを判断する。所定の値以上の場合はStep13に進み、所定の値未満の場合はStep17へ進む。
【0054】
(Step13)
減速度が所定の値以上のときは、点滅信号生成部220により所定の周波数(例えば、4Hz)の点滅信号を生成する。
【0055】
(Step14)
点滅信号は、この点滅信号を含む信号S3として信号線410を介して、点灯判定ユニット200からストップランプ点灯制御ユニット300へ出力される。
【0056】
(Step15)
信号S3と信号Sの入力により、図7に示した真理値表の状態A、B、Cまたは状態Dをとる。従って、図9の(3)に示すように、信号S3及び信号Sが共にHレベルの場合は、その期間だけストップランプ500が消灯して点滅動作を行なう。すなわち、運転者がブレーキペダルを踏込操作して信号SがHレベルになってストップランプ500が点灯した後、点灯開始から300ms以降はストップランプ500が点滅制御される。
【0057】
(Step16)
点灯信号SがLレベルと判断された場合は、点灯判断のために、クルーズ信号Sc、衝突回避信号Sb、坂道発進信号ShがH入力されたかどうかを判断する。クルーズ信号Sc、衝突回避信号Sb、坂道発進信号Shのいずれかの信号がHレベルの場合は、Step17へ進み、Lレベルの場合はStep11へ戻って繰り返して判断を行なう。
【0058】
(Step17、18)
クルーズ信号Sc、衝突回避信号Sb、坂道発進信号Shのいずれかの信号がHレベルの場合、点灯信号は、点灯判定ユニット200から点灯信号を含む信号S3として信号線410を介してストップランプ点灯制御ユニット300に出力される。このときのストップランプ点灯動作は、前述の(2)点灯判定ユニット200からの制御によるストップランプ点灯動作と同じである。
【0059】
以上の一連のフローにより、点灯判定ユニット200の判定結果に基づいてストップランプ点灯、点滅制御が実行される。
【0060】
(第2の実施の形態の効果)
本発明の第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加えて、点灯判定ユニット200からストップランプ点灯制御ユニット300への信号線が1本でよく、構成の簡略化、コスト低減等が可能となる。
【0061】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0062】
10…ストップランプ制御装置、100…ブレーキペダルスイッチ
200…点灯判定ユニット、210…判定部、220…点滅信号生成部
300…ストップランプ点灯制御ユニット、310…論理回路、311、314…OR回路、312、313…AND回路、350…ドライブ回路
400、410、420…信号線
500…ストップランプ
600…ストップランプ点灯制御ユニット、610…論理回路、612、613…AND回路、614…OR回路
…点灯信号、S1…点灯信号、S2…点滅信号
S3…信号
Sb…衝突回避信号、Sc…クルーズ信号、Sh…坂道発進信号、Sv…車速信号


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のブレーキペダルの操作によりストップランプを点灯させる第1の点灯信号を生成して出力するブレーキペダル検出部と、
外部から入力される入力信号に基づいて前記ストップランプを点灯又は点滅させるかどうかを判定する判定部を備えると共に、前記点灯の判定結果に基づいて第2の点灯信号を生成する点灯信号生成部、及び、前記点滅の判定結果に基づいて点滅信号を生成する点滅信号生成部を備える点灯判定部と、
前記ブレーキペダル検出部から入力される第1の点灯信号、前記点灯判定部から入力される第2の点灯信号、又は、前記点灯判定部から入力される点滅信号に基づいて前記ストップランプを点灯又は点滅駆動するストップランプ制御部と、
を有することを特徴とするストップランプ制御装置。
【請求項2】
前記ストップランプ制御部は、前記ブレーキペダル検出部から入力される第1の点灯信号と前記点灯判定部から入力される点滅信号との論理演算の結果に基づいて前記ストップランプを点滅駆動する論理演算部を有することを特徴とする請求項1に記載のストップランプ制御装置。
【請求項3】
前記第2の点灯信号及び前記点滅信号は、前記点灯判定部から前記ストップランプ制御部に接続される1の信号線により入力されることを特徴とする請求項1又は2に記載のストップランプ制御装置。
【請求項4】
前記点灯判定部に入力される外部からの前記入力信号は、前記車両の車速信号であることを特徴とする請求項1又は2に記載のストップランプ制御装置。
【請求項5】
前記点灯判定部は、前記車速信号が所定の減速度以上となったかどうかにより前記点滅信号生成部で前記点滅信号を生成することを特徴とする請求項4に記載のストップランプ制御装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−225055(P2011−225055A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95166(P2010−95166)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】