説明

ストライプ又はコーティングを有する乳製品

本発明は、主として色彩効果に基づく装飾的パターンを含む乳製品に関する。乳製品は、乳製品の透明なポットを通じて見えることが好ましい側面ストライプを含んでもよい。様々な色彩の様々な側面ストライプが可能で、乳製品の完全なコーティングも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポットに充てんされた乳製品ベース及び非乳製品ベースを含む乳製品、並びにこの乳製品を得るための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消耗品、例えばポット又はコーンに冷蔵乳製品又はさらにアイスクリームを充てんする技術は主として、いつでも消費できる状態にあり、しかも同時に供されるサイズを最適にする製品を得るという問題を取り扱うものである。様々な食品ベースを同時に1つのものとして供されるように充てんする場合、及び特定の視覚的外観を与えるように努力する場合は、充てん方法はますます複雑になってくる。
【0003】
例えば、フランス特許第2708563号は、単一容器中に異なる食品ベースを同時であるが独立して配合することを可能にする配合ユニットを開示している。この利点にもかかわらず、この参考文献は視覚的外観と関係がない。
【0004】
しかし、視覚的外観を与えることは欧州特許第503254号の課題であり、ここではフルーツの果肉を装飾的方式で加えてアイスクリームを充てんする装置が配置されている。しかしながらこの装置では、アイスクリームと果物成分との配合導管がこれらをポットに完全に充てんするように配置されていないことが主な理由で、装飾の可能性に限界がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ポット中に入った乳製品であって、非乳成分の側面のストライプを含み、したがって特にポットが透明である場合に興味ある視覚的外観を作り出す乳製品を目的とする。
【0006】
さらに別の目的は、ポット内の乳製品の頂部又は底部さえもまた装飾が達成されるように非乳製品ベースを配合できる、乳製品を作り出すことである。
【0007】
そのうえ、本発明は、興味ある思いがけない消費体験を作り出すために、乳製品ベースを非乳製品ベースによって全面的にコーティングするという問題に対処している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ポットにおける乳製品ベースのこれまで知られていなかったパターン及びコーティングを提供する、乳製品ベースと非乳製品ベースをポット中に充てんする装置と方法が見いだされたことは、注目すべきことである。これらの方法は、ダイによる特定の共押出、充てん中のポット又は共押出ダイの移動、及び配合のタイミングと速度を含み、これらは共に独特の乳製品をポット中に提供する。
【0009】
したがって、本発明の第1態様は、少なくとも2つの成分を含み、そのうちの少なくとも1つが乳製品ベースであるポット中の冷蔵乳製品であって、(i)側面(lateral)成分が少なくとも主成分の側面に位置すること、及び(ii)側面成分が主成分の上のストライプ又は完全なコーティングを形成することを特徴とする、冷蔵乳製品を提供する。
【0010】
第2態様では、本発明は、
共押出ノズルをポット中に降下させること、及び
共押出ノズルを通じて少なくとも1つの側面成分と主成分とを本質的に同時に注入しながら、ポットから共押出ノズルを上昇させること
を含む、本発明によるポット内の乳製品を得るための方法であって、
注入された全体の成分のうち、主成分は60〜95重量%であり、少なくとも1つの側面成分は5〜40重量%であることを特徴とする方法を提供する。
【0011】
本発明の利点は、図1に例示されるように、新しい乳製品が提供されることである。このような乳製品はこれまで作られたことがない。同様に、乳製品の乳製品ベースを他の成分、例えば非乳成分(例えばフルーツの果肉、チョコレート)によって完全にコーティングすることも可能である。
【0012】
本発明の別の利点は、いつでも消費できる状態に供されたものに、コントラストを生むストライプ又はさらに完全なコーティングなどの新しい視覚的外観を作り出す、非乳製品ベースによる乳製品ベースの側面装飾を可能にすることである。
【0013】
さらに別の利点は、本発明による乳製品が、ポット中の香味料又は材料成分が何であるかを潜在的な消費者に理解させることである。これは、透明な側壁を有するポット中に乳製品を準備して、非乳製品ベースのストライプを示すことによって達成される。
【0014】
本発明の実施形態を図解するために添付の図面が役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書の文脈では、「含む」という語は「その他のものを含んで含む」の意味に取られる。これは「のみからなる」として解釈する意図はない。
【0016】
本発明の文脈では、非乳製品ベースという用語は、例えば装飾のために有用なあらゆる着色された液体又は半流動体食品基質を包含する。例えば、これはチョコレートソース又はキャラメルソースのようなソース、又はフルーツピューレ、フルーツの果肉、フルーツシロップ、フルーツ風味の液体、半流動体又はゼリーなどの果物を含むベースであってもよい。非乳成分は、存在するならば、上記のベース、及び上記ベースの混合物からなる群から選択することができる。
【0017】
本発明の文脈では、「完全なコーティング」という語は、本発明のそれぞれの実施形態に応じて、乳製品の側壁を完全に、又はさらに乳製品の頂部及び/又は底部も被覆するコーティングを指す。
【0018】
本発明による乳製品の一実施形態では、側面成分は側面から延びて、主成分の頂部も及び/又は底部を少なくとも部分的に覆い、これによってさらに、主成分の頂部及び/又は底部の上に、ストライプ状、三角形、その他の形状、又はコーティングを形成する。
【0019】
その他、主成分をポット中に完全に充てんした後に異なる量の側面成分を注入することによって得られるその他の形状も好ましい。側面成分は、例えば乳製品の頂部の上、円形、長い三角形、花状の形状、又はコーティングを形成することができる。
【0020】
乳製品が冷蔵乳製品であることは好ましい。これは、その貯蔵寿命中に0〜6℃に、好ましくは約4℃に保たれ、及び/又は比較的短い貯蔵寿命(2カ月まで、好ましくは1カ月まで)を有する乳製品である。
【0021】
乳製品はボトムアップ充てん製品であることが好ましい。
【0022】
本発明の別の実施形態では、乳製品ベースはヨーグルト、フランベース、又はフレッシュチーズであり、及び/又は他の成分は果物を含むか又は果物の風味を含むベースである。
【0023】
さらに別の実施形態では、主成分は乳製品ベースに対応し、少なくとも1つの側面成分は非乳製品ベースに対応する。この実施形態中に存在するならば、中央のコア(後で示す)を形成する中央成分もまた非乳成分であってもよい。
【0024】
さらにまた別の実施形態では、2つの成分は、これらの成分間に視覚的なコントラストが存在するように異なる色彩を有する。
【0025】
さらに別の実施形態では、本発明によるポットは、製品の側面にある成分の少なくとも色彩が外側から乳製品を見る人に見える程度に、透明である。
【0026】
加えて、ポットは、その側壁に例えばストライプ又は帯の形の膨らんだ部分(bulge)又は凸状部を含んでよい。したがって、乳製品の側面成分はポットの膨らんだ部分又は凸状部中に位置し、こうしてストライプの存在をさらに強調又は区別する。
【0027】
例えば、ポットの直径(通常は頂部上の最大垂直直径)と高さは本質的に同じである。別の例では、ポットの高さが幅より大きい(高さ>直径)。別の実施形態では、ポットの幅が高さより大きい(直径>高さ)。
【0028】
本発明による乳製品が、ポットの側壁表面の少なくとも60%を覆うことは好ましい。ポットの側壁表面の少なくとも70%を覆うことは好ましく、80%を覆うことはさらに好ましい。
【0029】
少なくとも1つの側面成分が主成分の完全なコーティングを形成する実施形態では、ポットの側壁の表面が全体的に覆われる(100%)。
【0030】
側面ストライプが存在する実施形態では、乳製品は5〜10条、例えば5〜8条、又は6〜10条の側面ストライプを有することが好ましい。
【0031】
少なくとも1つの中央成分と少なくとも1つの側面成分からなる本発明による乳製品のさらに別の実施形態では、1つ又は複数の中央成分と側面成分との重量比は、1:1〜50:1の範囲内にある。これは2:1〜20:1であることが好ましく、3:1〜10:1であればさらに好ましく、4:1〜7:1の範囲にあれば最も好ましい。
【0032】
乳製品ベースの粘性(スピンドル06、50rpm、11℃におけるブルックフィールドによる)は、これが中央成分又は側面成分を形成しても、5000〜8500cPsであれば好ましく、6000〜7500cPsの範囲でも好ましく、6500〜7000cPsの範囲ではさらに好ましい。
【0033】
任意選択の非乳製品ベース、例えばフルーツの果肉の粘性は、本発明に一実施形態として選ばれた場合、3500〜6000cPsであれば好ましく、4000〜5500cPsの範囲でも好ましく、4500〜5000cPsの範囲ではさらに好ましい。
【0034】
1分間ボストウィック(Bostwick)に従って測定された20℃における乳製品ベースのコンシステンシーは、3〜9の範囲にあってもよく、4〜7の範囲にあることが好ましく、任意選択の非乳製品ベース、例えばフルーツの果肉については、本発明の実施形態として選ばれた場合には、6〜15の範囲にあり、9〜11であることが好ましい。
【0035】
上記のデータによって、様々な成分の粘性とコンシステンシーとの比を決定することができる。後で示す比は、異なる成分間の粘性の差によって、乳製品の貯蔵寿命中に成分が混合しないこと、したがって貯蔵寿命中に異なる成分間の色彩の鮮明な対比が持続されるという利点を有するという原理に従ったものである。しかし、1に等しいかこれに近い比であっても一般に本発明の実施に対する障害ではないことがわかった。
【0036】
例えば、2つの異なる成分間のブルックフィールド粘性の比(例えば、乳成分/非乳成分)は0.1〜20の間にあってもよく、0.5〜15では好ましく、1〜10ではさらに好ましく、1.1〜2では最も好ましい。
【0037】
例えば、2つの異なる成分間のボストウィックコンシステンシーの比(例えば、乳成分/非乳成分)は0.001〜3の間にあってもよく、0.1〜2では好ましく、0.2〜1ではさらに好ましい。
【0038】
さらに別の実施形態では、本発明による乳製品はさらに主成分中に、乳製品の中央コアを形成する中央成分を含む。
【0039】
中央成分を有する乳製品の一実施形態では、中央成分と側面成分は非乳成分であり、乳製品の20〜70重量%を構成する。
【0040】
中央成分と側面成分が、全注入成分の30〜60重量%を構成することは好ましく、40〜55重量%を構成することはさらに好ましい。
【0041】
本発明による方法の文脈では、ノズル又はダイをポット中に降ろして、ノズル又はダイを上昇させている間に食品材料を充てんするが、このポットに充てんすることを、一般にボトムアップ充てん過程と呼ぶ。
【0042】
本発明による方法の一実施形態では、少なくとも1つの主成分(任意選択的に中央成分を含む)は、全注入成分の70〜93重量%を構成し、80〜90重量%を構成することが好ましい。
【0043】
好ましくは、本発明による方法では、少なくとも1つの側面成分が例えば全注入成分の7〜30重量%を構成し、例えば10〜20重量%を構成することが好ましい。
【0044】
例えば、少なくとも1つの側面成分を注入するステップは、主成分を注入する僅か前に開始することができる。
【0045】
加えて、又は代替案として、少なくとも1つの側面成分を注入するステップは、主成分の注入が既に完了した後に続けられる。
【0046】
「僅か前に」又は「続けられる」として上に挙げたような、指示された時間遅延は、一般に0.001〜1秒の範囲にあり、好ましくは0.05〜0.3秒の範囲にあることが好ましい。
【0047】
本発明による方法の可能な一変形として、ノズルが上昇するとき、ストライプを乳製品の水平面に対して傾斜又は斜めに曲げるために、ノズルを旋回させることができる。
【0048】
本発明による方法の実施形態では、中央成分は乳製品の中央コアを形成し、側面及び中央成分は全乳製品の35〜55重量%を、好ましくは40〜50重量%を構成することができ、主成分は乳製品の65〜45重量%を、好ましくは60〜40重量%を構成することができる。
【0049】
本発明を実施するために、適当な充てん装置を選択することができる。充てん装置は、様々な成分をポット中に充てんすることが個別であるが同時に制御されることを可能にする、いくつかの導管又はチューブを有するノズルを含むことが好ましい。
【0050】
例えば、適当な充てん装置は、例えばポット中に導入可能で、ポットから引っ込めながら様々な導管を通じて乳製品の様々な成分を注入することができる(ボトムアップ充てん)、ノズルを含むことができる。
【0051】
さらにまた、充てん装置を、充てん過程中に次のパラメータ、すなわち単一ポット中に充てんしようとする様々な成分の量、充てん速度、特定の成分の充てん開始時間、充てん終了時間、ノズルの開放時間及び/又はサイズ、ノズルの閉鎖時間及び/又はサイズなどを制御できるようにすることもできる。
【0052】
同様に、ポット中に降ろされポットから引き戻されるノズルは制御可能である。特に、ノズルが降ろされる距離(ポット内へ入る深さ)、貫通速度、引き戻し速度などである。
【0053】
さらにまた、ノズルは、本発明の視覚的外観が実際に達成されるように配置された導管を含むこともできる。例えば、ノズルは、いくつかの側方導管によって囲まれた中央導管を含む。好ましくは、側方導管の数は3〜24本の範囲にあり、4〜12本がより好ましく、6〜8本はさらに好ましい。例えば、中央導管及び側面導管の開口部は単に円形孔である。
【0054】
一般的に、側方ダクトによって充てんされるべき1つ又は複数の側面成分は通常主成分よりも少量であるという主な理由から、側方ダクトは中央導管よりも小さくなる。
【0055】
本発明により乳製品を作るために適した充てん装置の一例は、フランス特許第2708563号に開示されている。フランス特許第2708563号の図2及び3は特に、1つの中央導管(番号33)と直径が小さな8本の側方導管(番号36)とを含むノズルを図示している。
【0056】
本発明による乳製品はポットを含む。このようなポットは、乳製品を最適に供するサイズを提供するように選択することができる。したがってポットは0.3dl〜1Lの容積を含むことができる。好ましくは、これは0.4dl〜5dlの容積を含み、0.5dl〜2.5dlがより好ましい。例えば、本発明によるポットは0.6〜2dlの容積を含む。
【0057】
本発明によるポット、容器、マグ、及び/又はカップは、例えばヨーグルト又はフレッシュチーズなどの冷蔵乳製品のために通常使用されるあらゆるポットから選択することができる。これらのポットは通常ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PET)又はガラスから作られる。
【0058】
好ましい一実施形態によれば、本発明によるポットは実質的に透明であり、したがって、乳製品の様々な成分によって生ずる色彩パターンを表示する。特に、ポットの側壁を透明にすることができる。
【0059】
同様に、ポットにポット全体の側表面を覆う不透明のラベルは貼られない。したがって、不透明なラベルが貼られる場合には、これはポットの透明な壁を通して乳製品のストライプ及び/又はコーティングの色を表示するために十分に小さなものになる。代替案として、ポットにおける色彩のコントラストを視覚化するために、透明なラベル又はステッカを使用することができる。
【0060】
本発明によれば、乳製品の少なくとも1つの成分は乳製品ベースである。このベースは、ヨーグルト、フランベース、これらとフレッシュチーズの混合物、又はアスクリームの群から選択することができる。
【0061】
例えば、乳製品の2つ又はそれ以上の成分を、上に列挙したような乳製品ベースにすることができる。すると、視覚的外観が様々な乳製品ベースの様々な色彩によって生ずる。
【0062】
代替案として、少なくとも1つの成分を乳製品ベースにして、もう1つの成分を非乳製品ベースにすることができる。非乳製品ベースは、フルーツの果肉、フルーツピューレ、果物香味料を含むシロップ、着色、液体、半流動体又はゼリー状の食品基質、及びこれらの混合物などから選択することができる。
【0063】
非乳成分の性質に厳しい基準はないが、必須の乳製品ベースとは異なる色彩を有することは好ましいことが注目される。果物ベース又は果物香味料を含む成分が乳製品ベースと混合されて選択されることが多いが、これは必ずしも必要ではない。例えば、チョコレートソース、キャラメルソースなどのソースも同じく適している。
【0064】
本発明は、少なくとも1つの成分が乳製品ベースであり、少なくとも1つの成分が主成分の側面に置かれた構成を含むすべての乳製品に関するものである。
【0065】
直接的なアプローチでは、この意味における乳製品は、例えば主成分を形成する中央乳製品ベースとフルーツの果肉の側面ストライプとから構成することができる。乳製品が白色であり、フルーツの果肉が赤、黄、又はオレンジ色である場合には、明白な視覚的外観を有する製品を得ることができる。
【0066】
この概念を、様々な側部ストライプと主成分を形成する乳製品ベースとを形成する2つの非乳成分(例えばフルーツの果肉)によって、さらに発展させることができる。これを実施すると、1つの酪農コアと様々な色彩の側面ストライプとを有する乳製品が得られる。例えば、いちごとアプリコットのフルーツの果肉を選択して、赤、黄、オレンジ色の側面ストライプをそれぞれ形成することができる。
【0067】
代替案として、2つの乳製品ベースを使用することもでき、1つの乳製品ベースは側面成分(側面ストライプ)を形成し、他の乳製品ベースは主成分を形成する。同様に2つの乳製品ベースを非乳製品ベースと組み合わせ、2つの乳製品ベースで側面ストライプを形成し、非乳製品ベースで中央成分を形成してもよい。
【0068】
2つ(又はそれ以上)の側面成分を使用する場合には、これらを互い違いの色彩に変化させることもできる。この実施形態では、主成分は側面成分によって完全に被覆され、透明なポットである場合には、側面から互い違いに変わる側面成分の様々な色彩のみが見え、乳製品ベースなどの主成分は完全に隠されている。
【0069】
さらにまた、主成分自体が追加のコア(例えば中央成分)を含むことも可能である。例えば、主成分が乳製品ベースであり、側面成分をフルーツの果肉又はチョコレートによって構成する場合には、フルーツの果肉又はチョコレートをさらに導入して中央部分を形成することが可能である。
【0070】
中央成分は、ポットの中心において底部から頂部へ、例えば乳製品ベース中で垂直に延在してもよい。中央成分はまた主成分中に球状の形を有することもできる。
【0071】
中央成分は、中央成分の注入後に残る円形部を構成する乳製品の頂部から見えるようにすることもできる。
【0072】
中央部分(中央コア)が主成分中に注入される実施形態では、中央成分は上述のように乳製品ベースであっても非乳製品ベースであってもよい。
【0073】
中央成分は非乳成分であることが好ましい。例えば、側面成分と中央成分とを、上述のように同じか又は異なる非乳成分にすることができる。例えば、側面成分と中央成分とを異なるか同じフルーツピューレにすることができる。
【0074】
結果として、あらゆる種類の変形を、乳成分のみ、及び/又は乳成分と非乳成分の組合せによって考えることができる。
【0075】
加えて、側面にあって側面成分によって構成されるストライプは、必ずしも底部から頂部まで完全に垂直に延在する必要はない。ストライプはS形ライン、傾斜ライン、またはさらに断続した(中断)ライン、又はジグザグラインを形成してもよい。したがって、これらの形状は充てん過程中にポット及び/又はノズルを回すことによって得られる。
【0076】
例えば、60〜200mlのポット内の乳製品を、フルーツの果肉で構成される6〜8本の側面の垂直に延在するストライプと、製造しようとする乳成分で構成される主成分とによって作る場合、次のように進行することができる。
【0077】
フランス特許第2708563号に開示されているような充てん装置(フランスのERCA製)が使用され、この装置は1本の中央導管と6〜8本の側方導管とを備えている。ノズルの6〜8本の比較的小さな側方導管を介して側面成分を挿入することができ、また1本の比較的大きな中央導管を介して中央乳製品ベースを挿入することができる。挿入の前に、2つの成分は2つの個別の容器に貯蔵されている。
【0078】
ポット当りの主成分(例えば乳製品ベース)の充てん容積は、ポットのサイズによって調節することができる。例えば80mlのポットは主成分を40〜75cm、好ましくは50〜60cmを含むことができる。
【0079】
例えば200mlのポットには、主成分を100〜180cm、好ましくは130〜150cm含むことができる。
【0080】
80mlのポットにおける側面成分(フルーツシロップなどの非乳製品ベース)の充てん容積を、例えば5〜40cmに調節することができ、10〜30cmでは好ましく、8〜20cmではさらに好ましい。
【0081】
主成分の注入速度を1,000〜45,000imp/秒(インパルス/秒、46,080imp/秒は2,700rpm[回転数/分]に相当する)に調節することができ、10,000〜40,000imp/秒では好ましく、15,000〜30,000imp/秒ではさらに好ましい。この速度は、側面成分に対する主成分の充てん容積の相対量と製品の特性に依存する。
【0082】
側面成分の注入速度を500〜20,000imp/秒に調節することができ、1,000〜8,000imp/秒では好ましく、3,000〜5,000ではさらに好ましい。
【0083】
乳製品の頂部にまで延びる側面ストライプを作ろうとする場合には、さらに、フルーツの果肉の充てんを僅かに遅れて開始することが薦められる。したがって、主成分に対する側面成分の充てんの時間遅延は1秒にすることができ、0.05〜0.5秒では好ましく、0.07秒〜0.2秒ではさらに好ましい。
【0084】
代替案として、側面成分の充てんを開始して、主成分の充てんを遅らせることができる。この場合、ストライプは乳製品の底部にまで延びる。
【0085】
側面成分が乳製品の底部と頂部とに延びることも望まれる。この場合には、側面成分の充てんを僅かに早く開始して、充てん機械はまだ側面成分を充てんしているが主成分はすでにポット中に完全に充てんされているように、各成分のパラメータ及び/又は量を選択する。
【0086】
底部と頂部とに延びる側面成分の進歩したものとして、側面成分による主成分の完全なコーティングも達成することができる。これは例えば追加の側方導管、例えば6〜24本、好ましくは8〜16本の側方導管を有するノズルを使用して行うことができる。これを行う場合、隣接するストライプは充てん過程中に一緒になり、完全なコーティングを形成する。代替案として、又は同時に、さらに多い量の側面成分を使用して、また充てんパラメータを調節して完全なコーティングを達成することができる。一般に、上に示したような遅延及び/又は早期充てんに対する同じ時間間隔は、完全コーティングを達成するために十分なはずである。
【0087】
したがって、ポットの充てんを側面成分によって開始する場合には、主成分は僅かに遅れてポットに達する。さらに、充てん過程は側面成分で終わる。すなわち、側面成分がまだ充てんされているときに主成分の充てんが終わっている必要がある。
【0088】
調節すべきさらに別のパラメータは、ノズルのコース、すなわち充てん過程中にノズルが上昇降下する距離と速度である。もちろんこれらは、充てん容積とさらにはポットの形状と長さに依存する非常に変化するパラメータである。
【0089】
例えば、6〜8本の側面ストライプを有する60〜200mlのポットにおける乳製品の充てんを要約すると、下降と上昇の全距離を1〜10cmに、好ましくは2〜7cmに、さらに好ましくは3〜6cmに調節することができる。
【0090】
充てん処理中におけるノズルの上昇速度を、1,000〜45,000imp/秒に、好ましくは1,000〜10,000imp/秒に、さらに好ましくは2,000〜5,000imp/秒に調節することができる。
【0091】
より多い(例えば24本まで)又はより少ない(例えば2〜4本)ストライプを有する乳製品は、充てん装置におけるノズルの側方導管本数の変化を含む、上記の原理に従って製造される。当業者はこれらの変化を実施することができる。
【0092】
上に示した範囲は、実質的にさらに修正してもよく、そのような修正によっても本発明の製品が得られることに留意することは極めて重要である。そうなるのは、様々なパラメータが他のパラメータよりも重要であることもあるからである。例えば、もし、同時にノズルの上昇速度を遅くすれば、どの成分の注入速度も著しく低速に落すことができる。
【0093】
同様に、充てん開始の時間の遅延がもしあるとすれば、注入速度が一般に遅い場合にはこれを実質的に増加することができる。全体の速度が上昇した場合には逆になる。すなわち、この場合には時間遅延は実質的に減少する。
【0094】
別の例として、製品の頂部まで延びるストライプが望まれる場合には、これは側面成分の充てん開始を遅らせることによるのみではなく、より多い量の側面成分を単に加えることによっても達成される。この場合には、主成分がすでに充てんされたときに、側面成分の材料がなお充てんされることになる。側面成分の注入速度を単に遅くした場合にも、同様の結果が達成される。この後者の場合にも、充てんの開始を遅延させることは、製品の頂部まで延びるストライプを得るために必要ではないと証明できる。
【0095】
中央成分が存在する実施形態では、図4のノズル(12)が使用できる。
【0096】
ノズル(12)は、ストライプ又は完全なコーティングを含む乳製品の上方に単に位置付ける。次いで、中央成分を上方から乳製品中へ注入する。
【0097】
例えば90cmのポットには、約20〜40cmの中央成分を注入することができる。
【0098】
例えば、中央成分は全乳製品の20〜40重量%、好ましくは25〜35重量%にすることができる。
【0099】
注入速度は、20,000〜50,000imp/秒、好ましくは35,000〜42,000imp/秒にすることができる。
【0100】
中央成分が非乳製品ベース、例えばフルーツピューレ又はフルーツの果肉である場合には、これは、比較的狭いノズル(例えば0.3〜1cm)による注入を可能にするために、1cmより大きい直径を有する果物片を含まないことが好ましく、0.5cmより大きいものを含まないことが好ましい。
【0101】
以下の実施例は説明のためにのみ挙げるものであり、本出願の主題を制限するものと解釈してはならない。
【実施例1】
【0102】
ストライプ状の乳製品の製造
主成分を形成するフレッシュチーズなどの乳製品ベース(150g)と、製品の頂部にまで延びる8本のストライプを形成するいちごのピューレ(20g)とからなる、乳製品(170g)を作った(図1)。
【0103】
充てん装置をフランスのERCAから購入した。これはフランス特許第2708563号に開示されている装置に該当する。透明なポットを充てんするために使用されたノズルを図3に示す。
【0104】
個別のポット当りの充てん用充てんパラメータを、各成分について下の表1に挙げる。
【0105】

【表1】

【0106】
ブルックフィールド粘性の比(乳製品ベース/フルーツピューレ)は1.4、2成分のボストウィックコンシステンシーの比は0.5であった。
【実施例2】
【0107】
コーティングされた乳製品の製造
主成分を形成するフレッシュチーズなどの乳製品ベース(110g)と、乳製品ベースの完全なコーティングを形成するいちごのピューレ(40g)とからなる、乳製品(150g)を作った。
【0108】
実施例1に示したものと同じ充てん装置を使用した。ノズルは、20個の導管と開口部とを含むノズルと取り替えた。
【0109】
個別のポット当りの充てん用充てんパラメータを、各成分について下の表2に挙げる。
【0110】
【表2】

【実施例3】
【0111】
ストライプと中央コアとを有する乳製品
中央コアを形成する中央成分を注入して実施例1の製品をさらに加工した。
【0112】
したがって、実施例1の製品を、0.5cmの注入直径を有する特別なノズルの下に移動させた(図3を参照)。ノズルを酪農主成分の上に降ろして、50gのいちごピューレを40,000imp/秒の速度で製品中に注入した。
【0113】
この結果、側面が縦ストライプによって覆われた乳製品ベースを含み、中央成分としてフルーツピューレの中央コアを含む乳製品が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】主成分(2)は乳製品ベースから構成され、側面ストライプ(3)はフルーツピューレによって形成されている、本発明の一実施形態による乳製品を示す図である。この製品は、透明なポット(4)に供給される。
【図2A】本発明による製品の調製に適したノズル(5)を示す図である。中央導管(6)及び側面導管(7)を示す側面断面図である。
【図2B】本発明による製品の調製に適したノズル(5)を示す図である。乳製品の異なる成分を充てんするための1つの中央出口開口部(8)と8つの側面出口開口部(9)とを示す下面図である。
【図3】本発明による乳製品中に中央成分を注入するために適した別のノズル(12)を示す図である。ノズル(10)は、中央導管(11)と、注入ノズル(14)と、ノズル支持体(13)と、製品入口(14)とを含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの成分を含み、そのうちの少なくとも1つが乳製品ベースであるポット中の乳製品であって、(i)少なくとも1つの側面成分が少なくとも主成分の側面に位置すること、及び(ii)側面成分が主成分の上にストライプ又は完全なコーティングを形成することを特徴とする乳製品。
【請求項2】
側面成分が側面から延びて、頂部も少なくとも部分的に覆い、及び/又は主成分の底部にまで延び、これによってさらに主成分の頂部及び/又は底部の上にストライプ、三角形、その他の形状、又はコーティングを形成する、請求項1に記載の乳製品。
【請求項3】
乳製品ベースがヨーグルト、フランベース、又はフレッシュチーズであり、及び/又は他の成分が果物を含むか又は果物風味を含むベースである、請求項1に記載の乳製品。
【請求項4】
主成分が乳製品ベースに該当し、少なくとも1つの側面成分が非乳製品ベースに該当する、請求項1に記載の乳製品。
【請求項5】
2つの成分間の視覚的なコントラストを見せるように2つの成分が異なる色彩を有する、請求項1に記載の乳製品。
【請求項6】
製品の側面にある成分の少なくとも色彩が乳製品を外側から見る人に見える程度に、ポットが透明である、請求項1に記載の乳製品。
【請求項7】
乳製品ベースと非乳製品ベースの重量比が1:1〜50:1の範囲内にある、請求項1に記載の乳製品。
【請求項8】
主成分中に、乳製品の中央コアを形成する中央成分をさらに含む、請求項1に記載の乳製品。
【請求項9】
中央成分と側面成分が非乳製品ベースであり、乳製品の20〜70重量%を構成する、請求項8に記載の乳製品。
【請求項10】
共押出ノズルをポット中に降下させるステップと、少なくとも1つの側面成分と主成分とを共押出ノズルを通じてポット中に本質的に同時に注入しながらポットから共押出ノズルを上昇させるステップとを含む、請求項1から7までのいずれか一項に記載のポット内の乳製品を得るための方法であって、主成分が注入された全成分の60〜95重量%を構成し、少なくとも1つの側面成分が5〜40重量%を構成することを特徴とする方法。
【請求項11】
乳製品の中央コアを形成する中央成分を主成分中に注入するさらなるステップを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの成分を含み、乳製品ベース又は非乳製品ベースである少なくとも1つの側面成分が、乳製品ベースである主成分の少なくとも側面に位置する、ポット中の乳製品であって、
側面成分は、主成分の上に4〜10条のストライプ又は完全なコーティングを形成し、
側面成分は側面から延びて、主成分の頂部及び/又は底部も少なくとも部分的に覆い、これによってさらに主成分の頂部及び/又は底部の上にストライプ、三角形、又はその他の形状を形成し、及び
主成分と側面成分との間の重量比が3:1〜20:1の範囲内にあること
を特徴とする乳製品。
【請求項2】
乳製品ベースがヨーグルト、フランベース、又はフレッシュチーズであり、及び/又は他の成分が果物を含むか又は果物風味を含むベースである、請求項1に記載の乳製品。
【請求項3】
2つの成分間の視覚的なコントラストを見せるように2つの成分が異なる色彩を有する、請求項1に記載の乳製品。
【請求項4】
製品の側面にある成分の少なくとも色彩が乳製品を外側から見る人に見える程度に、ポットが透明である、請求項1に記載の乳製品。
【請求項5】
主成分中に、乳製品の中央コアを形成する中央成分をさらに含む、請求項1に記載の乳製品。
【請求項6】
中央成分と側面成分が非乳製品ベースであり、乳製品の20〜70重量%を構成する、請求項5に記載の乳製品。
【請求項7】
共押出ノズルをポット中に降下させるステップと、少なくとも1つの側面成分と主成分とを共押出ノズルを通じてポット中に本質的に同時に注入しながらポットから共押出ノズルを上昇させるステップとを含む、請求項1から6までのいずれか一項に記載のポット内の乳製品を得るための方法であって、主成分が注入された全成分の60〜95重量%を構成し、少なくとも1つの側面成分が5〜40重量%を構成することを特徴とする方法。
【請求項8】
乳製品の中央コアを形成する中央成分を主成分中に注入するさらなるステップを特徴とする、請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−514533(P2006−514533A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−579572(P2003−579572)
【出願日】平成15年3月20日(2003.3.20)
【国際出願番号】PCT/EP2003/003026
【国際公開番号】WO2003/082020
【国際公開日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【出願人】(590002013)ソシエテ デ プロデユイ ネツスル ソシエテ アノニム (31)
【Fターム(参考)】