説明

ストリップ、およびストリップとジョイナとの接合構造

【構成】 ストリップ10は、帯状に形成される本体16を含み、たとえば、下水管100の内面100aに沿って螺旋状に巻回され、その幅方向側縁どうしをジョイナ12に接合されることによって螺旋管14を形成する。本体16の一方の面には、複数のアンカ部18が形成されている。アンカ部18は、本体16の幅方向に所定の間隔を隔てて配置されている。また、本体16の幅方向の両側縁には、条溝24が形成されている。たとえば、条溝24は、本体16の長手方向に沿ってその全体に亘って形成される。条溝24には、内側に延びる補強部32が形成されており、補強部32は、条溝24とこの条溝24の直近のアンカ部18とを連結することで、条溝24の形状を安定させる。
【効果】 地震等の地殻変動によってストリップとジョイナとを互いに引き離す方向の外力が作用しても、ストリップの条溝とジョイナの突条との嵌まり合いがずれたり外れたりすることがない。したがって、螺旋管の水密性を保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ストリップ、およびストリップとジョイナとの接合構造に関し、特にたとえば、管の内面に沿って螺旋状に巻回され、その幅方向側縁が接合されることによって螺旋管を形成する、ストリップ、およびストリップとジョイナとの接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水管の内面に沿って螺旋状に巻回されるストリップの幅方向縁部どうしをジョイナで接合することによって、螺旋管を形成する技術が公知である。
【0003】
たとえば、特許文献1の螺旋管では、ストリップの各側縁に形成されている条溝に、ジョイナの各側縁に形成されている突条が嵌合することで、ストリップの側縁どうしが接合されている。そして、地震等の地殻変動によってストリップのピッチが大きく広がる場合でも、ストリップの条溝との嵌まり合いがずれたり外れたりする前に、ジョイナが切欠部の箇所で破断することによって、ストリップのピッチの広がりが許容され、これら互いに引き離された側部と側部との間の隙間がフレキシブル部によって水密封止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許公開2004−251340号[F16L 1/00]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、ストリップの幅方向縁部どうしをジョイナによって接合し、このジョイナにフレキシブル部を設けることで、ストリップとジョイナとを互いに引き離す方向の外力を許容している。しかしながら、ストリップのピッチが広がったりずれたりする場合には、ストリップの幅方向縁部における接合部分にも、外側への引張り力やせん断力が作用することとなる。このため、螺旋管の水密性を保持するには、ストリップの幅方向縁部における接合部分に対してより信頼性の高い接合構造が望まれる。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、ストリップ、およびストリップとジョイナとの接合構造を提供することである。
【0007】
この発明の他の目的は、螺旋管の水密性を保持することができる、ストリップ、およびストリップとジョイナとの接合構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0009】
第1の発明は、管の内面に沿って螺旋状に巻回され、その幅方向側縁が接合されることによって螺旋管を形成するストリップであって、帯状に形成されるストリップ本体、ストリップ本体の一方の面に形成されるかつ当該ストリップ本体の幅方向に所定の間隔を隔てて配置される複数のアンカ部、ストリップ本体の幅方向側縁に形成される条溝、および条溝と条溝の直近のアンカ部とを連結する補強部を備える、ストリップである。
【0010】
第1の発明では、ストリップ(10)は、帯状に形成されるストリップ本体(16)を含み、たとえば、下水管(100)の内面(100a)に沿って螺旋状に巻回され、幅方向側縁どうしがジョイナ(12)に接合されることによって螺旋管(14)を形成する。ストリップ本体の一方の面には、複数のアンカ部(18)が形成されている。アンカ部は、ストリップ本体の幅方向に所定の間隔を隔てて配置されている。また、ストリップ本体の幅方向の側縁には、条溝(24)が形成されている。たとえば、条溝は、ストリップ本体の長手方向に沿ってその全体に亘って形成され、ストリップとジョイナとを接合させるときには、この条溝とジョイナの突条(40,42)とが嵌まり合うこととなる。条溝には、補強部(32)が形成されており、補強部は、条溝とこの条溝の直近のアンカ部とを連結することで、条溝の形状を安定させる。
【0011】
第1の発明によれば、たとえば、地震等の地殻変動によってストリップとジョイナとを互いに引き離す方向の外力が作用しても、ストリップの条溝とジョイナの突条との嵌まり合いがずれたり外れたりすることがない。したがって、螺旋管の水密性を保持することができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明に従属し、条溝は、ストリップ本体に近い第1壁とストリップ本体から遠い第2壁とで規定され、補強部は、第1壁の内側面と第1壁の直近のアンカ部とを連結する。
【0013】
第2の発明では、条溝(24)は、ストリップ本体に近い第1壁(26)とストリップ本体から遠い第2壁(28)とを備えており、第1壁の内側面には、補強部(32)が形成されている。補強部は、第1壁から内側へ延び、第1壁とこの第1壁の直近のアンカ部(18)とを連結する。
【0014】
第3の発明は、第2の発明に従属し、第2壁の外側面から突出して形成される第1係合部、および第1係合部よりも先端側の位置であって、第2壁の外側面から突出して形成される当たり部をさらに備える。
【0015】
第3の発明では、ストリップ(10)の第2壁(28)の外側面には、第1係合部(34)が形成される。たとえば、第1係合部は、第2壁の先端側へ向かうにつれて徐々に外側に突出するテーパ状に形成される。さらに、第1係合部よりも先端側の位置であって、第2壁の外側面には、第2壁から外側に向けて突出する当たり部(36)が形成される。
【0016】
第4の発明は、第3の発明のストリップと当該ストリップの幅方向側縁どうしを接合するジョイナとを互いに接合する、ストリップとジョイナとの接合構造であって、ジョイナは、帯状に形成されるかつストリップ本体の側縁の間に配置されるジョイナ本体、ジョイナ本体の幅方向側縁に条溝と嵌合可能に形成される第1突条、第1突条よりも内側に形成され、第1突条と協働して第2壁を挟持する第2突条、および第2突条の外側面から突出して形成されるかつ第1係合部に係合される第2係合部を備え、当たり部は、第1係合部と第2係合部とが係合した状態で第2突条の外側面に当接する、ストリップとジョイナとの接合構造である。
【0017】
第4の発明では、ジョイナ(12)は、帯状のジョイナ本体(38)を含み、このジョイナ本体が隣接するストリップ(10)どうしのストリップ本体(16)の側縁の間に配置される。ジョイナ本体の幅方向の両側縁には、第1突条(40)、および第2突条(42)が形成されている。第1突条は、ストリップの条溝(24)に嵌め合わされる。第2突条は、第1突条よりも内側に形成され、第1突条と協働してストリップの第2壁(28)を挟持する。第2突条の外側面には、第2係合部(44)が形成されている。第2係合部は、たとえば、第2突条の始端側へ向かうにつれて徐々に外側に突出するテーパ状に形成される。たとえば、ストリップの第2壁をジョイナの第1突条と第2突条との間に嵌め込むことによって、ストリップの第1係合部とジョイナの第2係合部とが互いに係合される。そして、第1係合部と第2係合部とが係合した状態では、ストリップの当たり部(36)がジョイナの第2突条の外側面に当接される。
【0018】
第4の発明によれば、ストリップないしジョイナが回転して、それがストリップとジョイナとの離脱力として作用しても、ストリップの当たり部がジョイナの第2突条に当たって係止されるので、ストリップとジョイナとの離脱が極めて生じにくい。したがって、ストリップとジョイナとの離脱を防止することができ、延いては、螺旋管の水密性をより確実に保持することができる。
【0019】
第5の発明は、第4の発明に従属し、ストリップの第1壁には、内側に向けて窪む受部が形成され、受部は、第1係合部と第2係合部とが係合した状態でジョイナ本体の側縁と嵌まり合う。
【0020】
第5の発明では、ストリップ(10)の第1壁(26)には、内側に向けて窪む受部(30)が形成されている。受部は、ジョイナ(12)の幅方向側縁に相当する大きさを有する窪みであり、たとえば、第1壁の始端に形成される。ストリップの第1係合部(34)とジョイナの第2係合部(44)とが係合した状態では、この受部にジョイナの側縁が嵌め合わされる。
【0021】
第5の発明によれば、ストリップないしジョイナが回転して、それがストリップとジョイナとの離脱力として作用しても、ジョイナの側縁がストリップの受部に当たって係止されるので、ストリップとジョイナとの離脱が極めて生じにくい。したがって、ストリップとジョイナとの離脱を防止することができ、延いては、螺旋管の水密性をより確実に保持することができる。
【0022】
第6の発明は、第4または5の発明に従属し、第1係合部は、第2壁の先端側へ向かうにつれて徐々に外側に突出するテーパ状に形成され、第2係合部は、第2突条の始端側へ向かうにつれて徐々に外側に突出するテーパ状に形成され、第1係合部の先端側の面と第2係合部の始端側の面とが当接する。
【0023】
第6の発明では、ストリップ(10)の第1係合部(34)は、第2壁(28)の先端側へ向かうにつれて徐々に外側に突出するテーパ状に形成され、たとえば、その先端側の面(34a)は、第2壁に対して垂直に形成される。また、ジョイナ(12)の第2係合部(44)は、第2突条(42)の始端側へ向かうにつれて徐々に外側に突出するテーパ状に形成され、たとえば、その始端側の面(44a)は、第2突条に対して垂直に形成される。そして、ストリップの第2壁をジョイナの第1突条(40)と第2突条との間に嵌め込んで、第1係合部の先端側の面とジョイナの第2係合部の始端側の面とを当接させることによって、ストリップの第1係合部とジョイナの第2係合部とが係合される。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、ストリップの条溝と、この条溝の直近のアンカ部とが補強部によって連結されるため、螺旋管の水密性を保持することができる。
【0025】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の一実施例のストリップとジョイナとの接合状態を示す断面図である。
【図2】図1のストリップを示す断面図である。
【図3】図1のジョイナを示す断面図である。
【図4】図1のストリップとジョイナとを使用して下水管の内面に螺旋管を形成した状態を示す図解図である。
【図5】図1のストリップとジョイナとの接合部分を示す拡大断面図である。
【図6】図1のストリップとジョイナとの接合部分であって、ストリップないしジョイナに回転力が作用した状態を示す図解図である。
【図7】図1のストリップとジョイナとの接合部分であって、ストリップないしジョイナに回転力が作用した状態を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1を参照して、この発明の一実施例であるストリップ10は、たとえば老朽化した下水管100を更生するために、下水管100の内面100aに沿って螺旋状に巻回され、その幅方向側縁どうしがジョイナ12に接合されることによって螺旋管(内管)14を形成する。
【0028】
なお、この実施例では、下水管100はヒューム管であるが、これに限定される必要はなく、ヒューム管以外のたとえば合成樹脂製管や金属製管の下水管にも適用することがで
きる。
【0029】
図1および図2に示すように、ストリップ10は、たとえば硬質塩化ビニル等のような合成樹脂の押出成形によって連続的に形成されるものであり、帯状の本体(ストリップ本体)16を含む。
【0030】
本体16の一方の面には、下水管100の内面100aに向かって突出するアンカ部18が形成されている。アンカ部18は、下水管100とストリップ10との間に充填される充填材102に係合して、ストリップ10を充填材102から外れ難くするためのものであり、複数、この実施例では、3つのアンカ部18が、本体16の幅方向に所定の間隔を隔てて形成されている。アンカ部18は、本体16の長手方向に沿ってその全体に亘って形成され、下水管100の内面に向かって突出する帯状のアンカ脚部20、およびこのアンカ脚部20の先端に形成されたアンカ係止部22を備えている。
【0031】
アンカ係止部22は、第1アンカ係止部22a、および第2アンカ係止部22bを含み、この第1アンカ係止部22aと第2アンカ係止部22bとがリブ18の高さ方向に並んで形成される。この理由は、下水管100とストリップ10との間に充填材102を充填したとき、アンカ効果をそのままに、ストリップ10(アンカ部18)と下水管100の内面100aとの当接面積を減少させて、その分だけ裏込材と下水管の内面との付着面積を拡大させるようにし、それによって、下水管100の内面100aと充填材102との付着強度を増大させるためである。
【0032】
たとえば、第1アンカ係止部22aは、下水管100に螺旋管14を形成した状態で、その先端面と下水管100の内面100aとが面接触する部位であり、アンカ脚部20の先端に形成される。第1アンカ係止部22aは、先端側で幅が大きく始端側で幅が小さい略台形状を有しており、その先端面の幅は、たとえば6mmである。
【0033】
また、たとえば、第2アンカ係止部22bは、第1アンカ係止部22aよりも始端側(本体16の側)に形成され、その中央部がアンカ脚部20と結合している。第2アンカ係止部22bは、断面略長方形状を有しており、その幅は、たとえば9mmである。
【0034】
また、本体16の幅方向の両側縁には、条溝24が形成されている。各条溝24は、本体16の長手方向に沿ってその全体に亘って形成され、本体16に近い第1壁26と本体16から遠い第2壁28とを備えている。
【0035】
第1壁26には、受部30が形成されている。受部30は、第1壁26から内側に向かう窪みであり、たとえば、第1壁26の始端(本体16側の端)に形成される。受部30は、ジョイナ12の幅方向の側縁に相当する大きさを有しており、後で詳細に説明するように、ストリップ10の第1係合部34とジョイナ12の第2係合部44とが係合した状態では、この受部30にジョイナ12の幅方向の側縁が嵌め合わされることとなる(図5参照)。
【0036】
ただし、この実施例における「内側」とは、ストリップ10(本体16)の中央側を意味し、「外側」とは、その反対側を意味する。
【0037】
また、第1壁26の内側面には、補強部32が形成されている。補強部32は、第1壁26および第2壁28の形状を安定させるためのものであり、第1壁26の先端から内側へ延び、第1壁26とこの第1壁26と最も近い(直近の)アンカ部18(アンカ脚部20)とを連結する。
【0038】
第2壁28の外側面には、第1係合部34が形成されている。第1係合部34は、第2壁28の先端側へ向かうにつれて徐々に外側に突出するテーパ状に形成される。たとえば、第1係合部34は、断面略三角形状を有しており、その先端側の面(先端面)34aは、第2壁28に対して垂直に形成される。後で詳細に説明するように、ストリップ10の第1係合部34とジョイナ12の第2係合部44とが係合した状態では、この第1係合部34の先端側の面34aとジョイナ12の第2係合部44の始端側の面44aとが当接することとなる。
【0039】
さらに、第2壁28の外側面には、第1係合部34よりも先端の位置に、当たり部36が形成されている。当たり部36は、第2壁28から外側に向けて突出し、その外側の面36aは、先端側が少し外側に突出したテーパ状に形成されている。たとえば、当たり部36の外側の面(テーパ面)36aの角度と、詳細は後述する、ジョイナ12の第2突条42の外側の面(テーパ面)42aの角度とは、互いに一致している。後で詳細に説明するように、ストリップ10の第1係合部34とジョイナ12の第2係合部44とが係合した状態では、当たり部36のテーパ面36aと第2突条42のテーパ面42aとが当接することとなる(図5参照)。
【0040】
これら受部30,補強部32,第1係合部34および当たり部36は、本体16の長手方向に沿ってその全体に亘って形成されている。
【0041】
図1および図3に示すように、ジョイナ10は、たとえば硬質塩化ビニル等のような合成樹脂の押出成形によって連続的に形成されるものであり、帯状の本体(ジョイナ本体)38を含む。
【0042】
本体38の幅方向の両側縁には、本体38の長手方向に沿ってその全体に亘って、第1突条40、および第2突条42が形成されている。第1突条40は、本体38に対して垂直に形成され、下水管100の内面に向かって突出する。第1突条40は、ストリップ10の条溝24に相当する大きさを有しており、ストリップ10とジョイナ12とを接合させるときには、ストリップ10の条溝24に嵌め合わされる(図5参照)。
【0043】
第2突条42は、第1突条40よりも内側に形成され、第1突条40と協働してストリップ10の第2壁28を挟持する。第2突条42の先端は、内側に向けて屈曲しており、ストリップ10のアンカ部18と同様に、下水管100とストリップ10との間に充填される充填材102に係合する。また、この第2突条の外側面42aは、先端側よりも少し始端側が外側に突出したテーパ状に形成されており、上述したように、この外側面(テーパ面)42aの角度は、ストリップ10の当たり部36の外側の面(テーパ面)の角度と互いに一致している。
【0044】
第2突条42の外側面には、ストリップ10の第1係合部34と係合可能な第2係合部44が形成されている。第2係合部44は、第2突条42の始端側(本体38の側)へ向かうにつれて徐々に外側に突出するテーパ状に形成される。第2係合部44は、断面略三角形状を有しており、その始端側の面44aが、第2突条42に対して垂直に形成される。
【0045】
また、本体38の、第1突条40と第2突条42との間の位置には、ゴムやエラストマなどの止水材46が設けられている。止水材46は、薄い板状体であり、本体38の長手方向に沿ってその全体に亘って連続して設けられて、ストリップ10の第2壁28をジョイナ12の第1突条40と第2突条42との間に嵌め込んだときに、ストリップ10の第2壁28の始端と接触して(図5参照)、これらの間を止水する。
【0046】
さらに、本体38の一方の面の、略中央部には、フレキシブル部48が形成されている。フレキシブル部48は、材質がたとえば合成ゴム,軟質合成樹脂またはエラストマ等であって、本体38の長手方向に沿ってその全体に亘って連続して形成されている。図5に示すように、このフレキシブル部48は、幅方向の各側縁48a,48aが互いに間隔を隔てた状態で、ジョイナ12の本体38の長手方向に沿って本体38の外面に固着されている。
【0047】
また、本体38の、フレキシブル部48の側縁48aと側縁48aとの間の位置には、屈曲部50が形成されている。屈曲部50は、断面形状がほぼ逆U字状であり、本体38の幅方向の略中央部を屈曲して形成されたものである。屈曲部50は、本体38の長手方向の全体に亘って連続して形成されており、本体38の外面側(下水管100の側)に突出している。
【0048】
図3−図5を参照して、下水管100の内面100aに螺旋管14を形成して、下水管100を更生する方法を以下に示す。
【0049】
先ず、図2に示すストリップ10と図3に示すジョイナ12とを準備する。そして、図4に示すように、ストリップ10を下水管100の内面100aに沿って螺旋状に巻回するとともに、隣接するストリップ10の幅方向側縁どうしをジョイナ12で接合して、螺旋管14を形成する。
【0050】
具体的には、ストリップ10とジョイナ12との接合構造を形成するときには、図5に示すように、ストリップ10の条溝24とジョイナ12の第1突条40とを嵌め合わせるとともに、ストリップ10の第2壁28をジョイナ12の第1突条40と第2突条42との間に嵌め込んで、ストリップ10の第1係合部34とジョイナ12の第2係合部44とを係合させる。つまり、ストリップ10の第1係合部34の先端側の面34aとジョイナ12の第2係合部44の始端側の面44aとを当接させる。すると、ストリップ10の当たり部36のテーパ面36aとジョイナ12の第2突条42のテーパ面42aとが当接するとともに、ストリップ10の受部30にジョイナ12の側縁が嵌め合わされる。
【0051】
次に、下水管100の内面100aと螺旋管14との間に充填材102を充填する。たとえば、充填材102には、セメントミルク等のようなモルタルを用いる。ストリップ10に形成されているアンカ部18は、この充填材102内に埋め込まれ、充填材102の硬化後は、このアンカ部18が充填材102に強固に固定される。これで螺旋管14の施工が終了する。
【0052】
この実施例では、ストリップ10の条溝24と、この条溝24の直近のアンカ部18とが補強部32によって連結されるため、たとえば、地震等の地殻変動によってストリップとジョイナとを互いに引き離す方向の外力が作用しても、条溝24が外側に広げられる方向に変形することがなく、ストリップ10の条溝24の形状を保持することができる。したがって、ストリップ10の条溝24とジョイナ12の突条40との嵌まり合いがずれたり外れたりすることがほとんどない。つまり、この実施例によれば、ストリップ10とジョイナ12との接合部の水密性を保持することができ、延いては、螺旋管14の水密性を保持することができる。
【0053】
また、この実施例では、ストリップ10の第1係合部34とジョイナ12の第2係合部44とが係合した状態で、ストリップ10の当たり部36とジョイナ12の第2係合部44とが当接するとともに、ストリップ10の受部30にジョイナ12の側縁が嵌め合わされる。このため、図6に示すように、ストリップ10が矢印A方向に回転して、またはジョイナ12が矢印B方向に回転して、それがストリップ10とジョイナ12との離脱力として作用しても、ストリップ10の当たり部30がジョイナ12の第2係止部44に当たって係止されるので、ストリップ10とジョイナ12との離脱が極めて生じにくい。また、図7に示すように、ストリップ10が矢印C方向に回転して、またはジョイナ12が矢印D方向に回転して、それがストリップ10とジョイナ12との離脱力として作用しても、ジョイナ12の側縁がストリップ10の受部30に当たって係止されるので、ストリップ10とジョイナ12との離脱が極めて生じにくい。したがって、このようなストリップ10とジョイナ12との接合構造によれば、ストリップ10とジョイナ12との離脱を防止することができ、延いては、螺旋管14の水密性をより確実に保持することができる。
【0054】
なお、上述の実施例では、ストリップ10は、老朽化した下水管100を更生する螺旋管14を形成するために用いられたが、これに限定される必要はない。たとえば、新設の下水管の内面を保護する螺旋管14を形成するために用いることもできる。
【0055】
また、上述の実施例では、ストリップ10は、下水管100の内面100aに沿って螺旋状に巻回され、その幅方向側縁どうしをジョイナに接合されることによって螺旋管14を形成したが、これに限定される必要はない。たとえば、ストリップ10(本体16)の一方側縁に条溝24を形成するとともに、ストリップ10(本体16)の他方側縁に条溝24と嵌合可能な突条を形成し、互いに隣接するストリップ10の条溝24と突条とを嵌合させてそれらを接合することによって、螺旋管14を形成してもよい。この場合には、たとえば、地震等の地殻変動によって互いに隣接するストリップ10を引き離す方向の外力が作用しても、ストリップ10の条溝24と突条との嵌まり合いがずれたり外れたりすることがほとんどない。したがって、互いに隣接するストリップ10どうしの接合部の水密性を保持することができ、延いては、螺旋管14の水密性を保持することができる。
【0056】
さらに、上述の実施例では、ストリップ10の第1係合部34の先端側の面34aが第2壁28に対して垂直に形成され、ジョイナ12の第2係合部44の始端側の面44aが、第2突条42に対して垂直に形成され、ストリップ10の第1係合部34とジョイナ12の第2係合部44とが係合した状態では、これら先端側の面34aと始端側の面44aとが面接触したが、これに限定される必要はない。また、ストリップ10の第1係合部34が第2壁28の先端側へ向かうにつれて徐々に外側に突出するテーパ状に形成されるとともに、ジョイナ12の第2係合部44が第2突条42の始端側へ向かうにつれて徐々に外側に突出するテーパ状に形成されたが、これに限定される必要もない。これらは、あくまで第1係合部34と第2係合部44との係止力を向上させるためのものであり、要は、第1係合部34と第2係合部44とが係合可能であれば、第1係合部34ならびに第2係合部44の形状は特に限定されるものではない。
【0057】
さらにまた、上述の実施例では、ストリップ10の当たり部36のテーパ面36aの角度と、ジョイナ12の第2突条42のテーパ面42aの角度とは、互いに一致し、これらテーパ面36aとテーパ面42aとが面接触したが、これに限定される必要はない。また、当たり部36の外側の面36aは、先端側が少し外側に突出したテーパ状に形成され、第2突条42の外側面42aは、始端側が少し外側に突出したテーパ状に形成されたが、これに限定される必要もない。これらは、あくまで当たり部36と第2突条42との係止力を向上させるためのものであり、要は、ストリップ10ないしジョイナ12が回転したときに、ジョイナ12の第2係止部44に当たって係止することができるのであれば、当たり部36の形状は特に限定されるものではない。
【0058】
なお、上述した径や高さ等の具体的数値は、いずれも単なる一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0059】
10 …ストリップ
12 …ジョイナ
14 …螺旋管
18 …アンカ部
24 …条溝
26 …第1壁
28 …第2壁
30 …受部
32 …補強部
34 …第1係合部
36 …当たり部
40 …第1突条
42 …第2突条
44 …第2係合部
100 …下水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の内面に沿って螺旋状に巻回され、その幅方向側縁が接合されることによって螺旋管を形成するストリップであって、
帯状に形成されるストリップ本体、
前記ストリップ本体の一方の面に形成されるかつ当該ストリップ本体の幅方向に所定の間隔を隔てて配置される複数のアンカ部、
前記ストリップ本体の幅方向側縁に形成される条溝、および
前記条溝と前記条溝の直近の前記アンカ部とを連結する補強部を備える、ストリップ。
【請求項2】
前記条溝は、前記ストリップ本体に近い第1壁と前記ストリップ本体から遠い第2壁とで規定され、前記補強部は、前記第1壁の内側面と前記第1壁の直近の前記アンカ部とを連結する、請求項1記載のストリップ。
【請求項3】
前記第2壁の外側面から突出して形成される第1係合部、および
前記第1係合部よりも先端側の位置であって、前記第2壁の外側面から突出して形成される当たり部をさらに備える、請求項2記載のストリップ。
【請求項4】
請求項3記載のストリップと当該ストリップの幅方向側縁どうしを接合するジョイナとを互いに接合する、ストリップとジョイナとの接合構造であって、
前記ジョイナは、
帯状に形成されるかつ前記ストリップ本体の前記側縁の間に配置されるジョイナ本体、
前記ジョイナ本体の幅方向側縁に前記条溝と嵌合可能に形成される第1突条、
前記第1突条よりも内側に形成され、前記第1突条と協働して前記第2壁を挟持する第2突条、および
前記第2突条の外側面から突出して形成されるかつ前記第1係合部に係合される第2係合部を備え、
前記当たり部は、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態で前記第2突条の前記外側面に当接する、ストリップとジョイナとの接合構造。
【請求項5】
前記ストリップの前記第1壁には、内側に向けて窪む受部が形成され、前記受部は、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態で前記ジョイナ本体の前記側縁と嵌まり合う、請求項4記載のストリップとジョイナとの接合構造。
【請求項6】
前記第1係合部は、前記第2壁の先端側へ向かうにつれて徐々に外側に突出するテーパ状に形成され、前記第2係合部は、前記第2突条の始端側へ向かうにつれて徐々に外側に突出するテーパ状に形成され、前記第1係合部の先端側の面と前記第2係合部の始端側の面とが当接する、請求項4または5記載のストリップとジョイナとの接合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−52705(P2011−52705A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199598(P2009−199598)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(505142964)クボタシーアイ株式会社 (192)
【出願人】(000149206)株式会社大阪防水建設社 (44)
【出願人】(507157676)株式会社クボタ工建 (8)
【Fターム(参考)】