説明

ストリップを案内するための装置及び方法

本発明は、ストリップ、特に金属ストリップ、を案内するための装置及び方法に関する。この方式の公知の装置は、軸受ブロック(120)を固定する支持装置(110)を備える。ストリップを案内するため、軸受ブロック内にローラ(130)が回転可能に軸受けされている。負荷時、即ちストリップを案内する際、にローラに作用するローラ荷重を継続的に確実に測定可能にするため、本発明は、特に負荷時の軸受ブロックの変形をセンサ装置によって検出し、引き続き評価装置によって、軸受ブロックの変形から求められるローラ荷重を計算することを提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ又は複数のローラによってストリップ、特に金属ストリップ、を案内するための装置及び方法に関する。この場合、ストリップを案内する際に、即ち負荷時に、ローラに作用するローラ荷重が測定される。
【背景技術】
【0002】
このような装置は、従来技術、例えば特許文献1、から公知である。この特許文献1には、ストランドガイド装置のローラを油圧シリンダによって圧下する連続鋳造装置が開示されている。ストランドガイド装置を運転している間にストランドガイド装置の個々のローラに作用する機械的な負荷を測定するため、各ローラにそれぞれ1つのロードセルが付設されている。この場合、ロードセルは、ローラを軸受けする軸受ブロックとセグメントトラバースの間に取り付けられている。
【特許文献1】欧州特許第0 539 784号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この従来技術から出発して、本発明の根底にある課題は、ストリップを案内するための公知の装置及び公知の方法を、これらが、ローラに作用する荷重を測定するための選択的な装置と選択的な方法を備えるように、発展させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、装置の請求項1の対象によって解決される。具体的に、解決策は、測定装置が、ストリップを案内する際の軸受ブロックの変形を検出するためのセンサ装置と、センサ装置によって検出された軸受ブロックの変形からローラに作用するローラ荷重を計算するための評価装置と有することにある。
【0005】
本発明の意味で「ストリップ」との概念は、基本的に非常に広範であると解される。従って、これには、基本的に任意の金属及び任意の横断面を有するストリップや、ロープ又は線材もが含まれる。しかしながら、特に、この概念は、金属ストリップ、特にスラブ、を意味する。
【0006】
「ローラ」との概念は、本発明の意味において、同様に非常に広範であると解される。従って、このローラには、基本的にホイール又はガイドローラもが含まれる。しかしながら、特に、「ローラ」との概念は、ストランドガイド装置のストランドガイドローラ、ロールスタンドのロール又はルーパもしくは金属ストリップの一時貯蔵部のローラを意味すると解するべきである。
【0007】
請求したローラ加重を測定するための間接的な手法は、これが、極僅かな費用で設置可能であり、長時間にわたって確実に運転可能で信頼性のあるローラ荷重の測定結果を供給可能であるという利点を提供する。
【0008】
センサ装置を、超音波式センサ、渦電流式センサ又は光学式距離センサの形態で形成することは、有利なことに、僅かな構造的措置しか軸受ブロックに必要としない変形の非接触式測定の可能性を提供する。
【0009】
軸受ブロック又は支持装置が、センサ装置及び/又は評価装置を収容するための空所又は切欠きを備える場合は、これが、これら装置を、空間的に測定すべき変形の場所の近傍に配設し、空所又は切欠き内で、環境条件、特に湿度、から保護可能にするという利点を有する。
【0010】
軸受ブロックが、適当な弱所を備え、ストリップを案内する際のその変形が、軸受ブロックの変形の代表値としてセンサ装置によって簡単に検出可能である場合が有利である。
【0011】
弱所を、スリットの形態で形成することは、特に簡単である。この場合、センサ装置は、有利なことに簡単で安価な距離センサとして形成することができ、その場合、この距離センサは、負荷時の軸受ブロックの変形をスリットの縮小の形態で検出する。
【0012】
装置の有利な形成は、従属請求項の対象である。
【0013】
前記の課題は、更に、請求した装置を運転するための方法によって解決される。この方法の利点は、請求した装置に関連して挙げた利点に相応する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図に関連させた実施例で本発明を詳細に説明する。この場合、全ての図で、同じ要素は、同じ符号で指示されている。
【0015】
図1は、本発明による装置100を、単に模範的にストランドガイド装置の形態で示す。この装置は、ここでは金属ストリップ、特にスラブ、の形態のストリップ200を案内するために使用される。この装置100の支持装置110は、セグメントフレームの形態で形成されている。セグメントフレームもしくはそのトラバースには、ローラ130を収容するための軸受ブロック120が固定されている。図1に示したストランドガイド装置の場合、2つのローラ130が向かい合うように配設され、これらは、共に、金属ストリップ200を案内するローラ間隙を構成する。
【0016】
図2は、軸受ブロック120の横断面図を示す。そのネックを収容することによってローラ130を軸受けするための孔121が形成されている。軸受ブロック120は、ネジ継手128によって支持装置110に固定されている。軸受ブロック120は、スリットの形態の人工の弱所124を備える。更に、図2には、センサ装置142とこれに付設された評価装置144を有する測定装置140が認められる。センサ装置142は、負荷時、即ちストリップ200を案内する際、の軸受ブロックの変形を検出するために使用される。評価装置144は、センサ装置142によって検出された軸受ブロックの変形から求められるローラ130に作用する負荷時のローラ荷重を計算するために使用される。
【0017】
図3A及び3Bは、3Aの無負荷状態の軸受ブロックと3Bの負荷状態の軸受ブロックの比較を示す。図3Bには、負荷Fから生じる変形、特に軸受ブロックの圧縮歪、が認められる。測定装置140は、図2及び3に示した実施例では、無負荷状態の大きなスリット高さと比較した負荷時のスリット124の縮小を連続的に検出する距離センサの形態で形成されている。検出されたスリット124の縮小は、負荷時の軸受ブロック120の変形を示す。距離センサの距離測定信号とローラに作用する荷重の数学的な関係は、センサの特性曲線と軸受ブロックの正確な形状によって決定される。単純な直線的な関係か、多項式成分を有するほぼ直線的な関係が生じるので、作用する荷重は、簡単に、測定した変形から計算可能である。
【0018】
この変形から、評価装置144は、次に、求められるローラ130に作用する負荷時の荷重Fを計算する。
【0019】
図3Bは、負荷により変形した軸受ブロックの例を誇張して示す。従って、ストランドガイド装置の弱所もしくはスリットの領域の軸受ブロックの変形は、最大許容ローラ荷重でも0.02〜0.03mmに過ぎない。このオーダーの形状変化は、問題なく測定可能であり、その点で、軸受ブロックの変形の代表値として十分な大きさの測定信号を可能にする。
【0020】
但し、この場合、前記オーダーの形状変化が、人工的に設けた弱所の領域だけに生じ、その他では典型的に本質的に小さいほとんど測定不可能なオーダーの変形であることを考慮することが大切である。その点で、弱所は、軸受ブロックの変形を測定可能なオーダーに変換するか、これを可視化する適当な手段を提供する。このため、弱所は、一方で相応に形成することができる。しかしながらまた、他方で、軸受ブロック120が、弱所によって許容不能なほど著しく弱くならないことを保証しなければならない。むしろ、例えば、ストランドガイド装置として装置を実施する場合、スラブのストランド凝固殻が負荷時のローラ位置の変化によって過負荷を受けないように、弱所の変形を小さく保つことを保証すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】金属ストリップを案内するための装置を示す。
【図2】無負荷状態の装置の軸受ブロックを示す。
【図3A】無負荷状態の軸受ブロックを示す。
【図3B】負荷状態の軸受ブロックを示す。
【符号の説明】
【0022】
100 装置
110 支持装置
120 軸受ブロック
121 孔
124 弱所(スリット)
128 ネジ継手
130 ローラ
140 測定装置
142 センサ装置
144 評価装置
200 ストリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの軸受ブロック(120)と、この少なくとも1つの軸受ブロック内に回転可能に軸受けされた、ストリップ(200)を案内するローラ(130)と、ストリップを案内する際にローラに作用するローラ荷重を検出するための測定装置(140)を有する、ストリップ(200)、特に金属ストリップ、を案内するための装置(100)において、
測定装置(140)が、ストリップ(200)を案内する際の軸受ブロック(120)の変形を検出するためのセンサ装置(142)と、センサ装置(142)によって検出された軸受ブロックの変形からローラ(130)に作用するローラ荷重を計算するための評価装置(144)と有することを特徴とする装置。
【請求項2】
センサ装置(142)が、超音波式センサ、渦電流式センサ、繊維光学式距離センサ又は測定スイッチの形態で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
その変形が測定される軸受ブロック(120)が、センサ装置(142)及び/又は評価装置(144)を収容するための空所(122)又は切欠きを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
その変形を測定すべき軸受ブロック(120)が、適当な弱所(124)を備え、ストリップ(200)を案内する際のその固有変形が、軸受ブロック(120)の変形の代表値としてセンサ装置(142)によって検出可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
弱所(124)が、スリットの形態で形成されており、このスリットが、ストリップを案内する際に変形するように、軸受ブロック(120)内で、ローラのネックを収容するための孔(121)の近傍に配設されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
距離センサ(142)が、ストリップを案内する際のスリットの変形を検出するために適切に配設されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
軸受ブロックが、支持装置(110)に固定されており、その前に接続された鋳造装置から来る金属ストリップ、特にスラブ、の形態のストリップを案内するために、装置(100)がストランドガイド装置として形成され、支持装置(110)がセグメントフレームとして形成され、ローラ(130)がセグメントローラとして形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
軸受ブロックが、支持装置(110)に固定されており、金属ストリップの形態のストリップ(200)の案内及び圧延をするために、装置(100)がロールスタンドとして形成され、支持装置(110)がハウジングとして形成され、ローラ(130)がワークロール又はバックアップロールとして形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
装置(100)が、ストリップ(200)の一部を一時貯蔵するためのルーパとして形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項10】
ストリップ(200)を案内する際にローラ(130)に作用するローラ荷重を検出するステップを有する、ストリップ(200)、特に金属ストリップ、を少なくとも1つの軸受ブロック(120)内に軸受けされたローラ(130)を介して案内する装置(100)を運転するための方法において、
ローラ荷重を検出するステップが、
ローラを介してストリップ(200)を案内する際の軸受ブロック(120)の変形を検出するステップと、
軸受ブロック(120)の変形からローラ(130)に作用するローラ荷重を計算するステップと
を有することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2009−539611(P2009−539611A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513575(P2009−513575)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004753
【国際公開番号】WO2007/140903
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(390035426)エス・エム・エス・ジーマーク・アクチエンゲゼルシャフト (320)
【Fターム(参考)】