説明

ストレージシステム及びライセンス管理方法

【課題】ライセンス管理を容易化させ得るストレージシステム及びライセンス管理方法を提案する。
【解決手段】第1のストレージ装置に1又は複数の第2のストレージ装置が接続され、第1のストレージ装置が各第2のストレージ装置を仮想化するストレージシステムにおいて、第1のストレージ装置が、外部から入力された所定のオプション機能を設定するためのライセンスキーに基づいて当該ライセンスキーの発行対象を判定し、当該ライセンスキーの発行対象が第2のストレージ装置であるときには、ライセンスキーを対応する第2のストレージ装置に転送し、第2のストレージ装置が、第1のストレージ装置から送信されたライセンスキーに基づいて、自ストレージ装置の対応するオプション機能を設定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレージシステム及びライセンス管理方法に関し、特にバーチャライゼーションシステムに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、企業や官庁におけるデータ保存用のストレージ装置として、複数のハードディスクドライブをRAID(Redundant Array of Inexpensive Disks)方式で管理・運用するようになされた、いわゆるディスクアレイ装置が広く用いられている。
【0003】
この種のストレージ装置においては、リモートコピー等の種々のオプション機能が予め搭載されており、オプション機能毎に対価を支払ってメーカからそのオプション機能の使用許可(以下、これをライセンスと呼ぶ)を受け、そのときに発行されたそのオプション機能に対するロック解除用のキーであるライセンスキーをストレージ装置にインストールすることで、そのオプション機能をストレージ装置に実行させることができるようになされている。
【0004】
なお、ストレージ装置におけるライセンス管理手法として、ライセンスの供与を受けるクライアント側が利用制限のあるコンポーネントを実行する際に常にライセンスを管理するライセンス管理サーバに認証を求める一方、ライセンス管理サーバがユーザ管理情報やクライアント管理情報及び各コンポーネントについて予め登録可能数等の制限情報に基づいて認証の可否を判定し、認証を受けたときにのみクライアント側がそのコンポーネントの利用及び実行を行い得るようにしたライセンス管理方法が下記特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2004−295846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、ストレージ装置を他のストレージ装置(以下、これを上位ストレージ装置と呼ぶ)に接続して仮想デバイスとして使用するバーチャライゼーションシステムが提案され、実用化されている。このようなバーチャライゼーションシステムでは、上位ストレージ装置自身が提供する記憶領域と、当該上位ストレージ装置に接続された仮想デバイスとして使用される各ストレージ装置(以下、これを下位ストレージ装置と呼ぶ)がそれぞれ提供する記憶領域とが上位ストレージ装置によって一括して管理され、ホスト装置からのデータ入出力要求を上位ストレージ装置により対応する下位ストレージ装置に振り分けることで、対応するデータの読み書きを行い得るようになされている。
【0006】
この場合において、従来のバーチャライゼーションシステムでは、ライセンスを受けたオプション機能の当該ライセンスに応じた設定をストレージ装置毎に行わなければならず、かかる設定を含めたバーチャライゼーションシステム全体としてのオプション機能のライセンス管理が煩雑な問題があった。
【0007】
また上述のようにライセンス管理をストレージ装置毎に行うこととすると、本来的に上位ストレージ装置に必要とされるオプション機能のライセンスを下位ストレージ装置が有している場合にも、そのオプション機能を上位ストレージ装置が実行するためには、当該上位ストレージ装置のために別途同じオプション機能のライセンスを購入する必要があり、ユーザ側に経済的な負担を強いる問題があった。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、ライセンス管理を容易化させ得るストレージシステム及びライセンス管理方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明においては、第1のストレージ装置に1又は複数の第2のストレージ装置が接続され、前記第1のストレージ装置が各前記第2のストレージ装置を仮想化するストレージシステムであって、前記第1のストレージ装置は、外部から入力された所定のオプション機能を設定するためのライセンスキーに基づいて当該ライセンスキーの発行対象を判定し、当該ライセンスキーの発行対象が前記第2のストレージ装置であるときには、前記ライセンスキーを対応する前記第2のストレージ装置に転送する第1の管理部を備え、前記第2のストレージ装置は、前記第1のストレージ装置から送信された前記ライセンスキーに基づいて、自ストレージ装置の対応する前記オプション機能を設定する第2の管理部を備えることを特徴とする。
【0010】
この結果このストレージシステムでは、第2のストレージ装置に対して発行されたライセンスキーを第1のストレージ装置に入力することで、このライセンスキーに基づく対応するオプション機能の設定を第2のストレージ装置に行わせることができるため、従来のように第1及び第2のストレージ装置に対するオプション機能の設定を第1及び第2のストレージ装置毎に行う場合に比べて、かかるオプション機能の設定作業を容易化させることができる。
【0011】
また本発明においては、第1のストレージ装置に1又は複数の第2のストレージ装置が接続され、前記第1のストレージ装置が各前記第2のストレージ装置を仮想化するストレージシステムにおけるライセンス管理方法であって、前記第1のストレージ装置が、外部から入力された所定のオプション機能を設定するためのライセンスキーに基づいて当該ライセンスキーの発行対象を判定し、当該ライセンスキーの発行対象が前記第2のストレージ装置であるときには、前記ライセンスキーを対応する前記第2のストレージ装置に転送する第1のステップと、前記第2のストレージ装置が、前記第1のストレージ装置から送信された前記ライセンスキーに基づいて、自ストレージ装置の対応する前記オプション機能を設定する第2のステップとを備えることを特徴とする。
【0012】
この結果このライセンス管理方法によれば、第2のストレージ装置に対して発行されたライセンスキーを第1のストレージ装置に入力することで、このライセンスキーに基づく対応するオプション機能の設定を第2のストレージ装置に行わせることができるため、従来のように第1及び第2のストレージ装置に対するオプション機能の設定を第1及び第2のストレージ装置毎に行う場合に比べて、かかるオプション機能の設定作業を容易化させることができる。
【0013】
さらに本発明においては、第1のストレージ装置に1又は複数の第2のストレージ装置が接続され、前記第1のストレージ装置が各前記第2のストレージ装置を仮想化するストレージシステムにおけるライセンス管理方法であって、前記第1のストレージ装置が、所定のオプション機能についての使用許可であるライセンスを所有する前記第2のストレージ装置が接続されたときに、当該第2のストレージ装置に対して当該第2のストレージ装置が所有する前記ライセンスの送付を要求する第1のステップと、前記第2のストレージ装置が、当該要求に応じて前記第2のストレージ装置が所有する余剰分の前記ライセンスを前記第1のストレージ装置に送付する第2のステップと、前記第1のストレージ装置が、前記第2のストレージ装置から送付された前記ライセンスを管理し、必要に応じて前記第1のストレージ装置及び又は前記第2のストレージ装置に対して前記ライセンスを付与する第3のステップとを備えることを特徴とする。
【0014】
この結果このライセンス管理方法によれば、ストレージシステムを構成する第1及び第2のストレージ装置がそれぞれ所有していた各種オプション機能につてのライセンスが第1のストレージ装置によって一括管理されるため、第1及び第2のストレージ装置毎にライセンスを管理する場合に比べて、ライセンス管理を格段的に容易化することができる。また第1のストレージ装置や第2のストレージ装置が所有していたライセンスを第1及び第2のストレージ装置間において共用できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ライセンス管理を容易化させることができる。また、第1及び第2のストレージ装置間におけるライセンスの共用により、ユーザ側の経済的な負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0017】
(1)本実施の形態によるストレージシステム1の構成
図1は、本実施の形態によるストレージシステム1の構成例を示す。このストレージシステム1は、複数のホスト装置2がネットワーク3を介して上位ストレージ装置4に接続されると共に、この上位ストレージ装置4に下位ストレージ装置5が接続されることにより構成されている。
【0018】
上位装置としてのホスト装置2は、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等の情報処理資源を備えたコンピュータ装置であり、例えばパーソナルコンピュータや、ワークステーション、メインフレームなどから構成される。ホスト装置2は、キーボード、スイッチやポインティングデバイス、マイクロフォン等の情報入力装置(図示せず)と、モニタディスプレイやスピーカ等の情報出力装置(図示せず)とを備えている。
【0019】
ネットワーク3は、例えばSAN(Storage Area Network)、LAN(Local Area Network)、インターネット、公衆回線又は専用回線などから構成される。このネットワーク3を介したホスト装置2及び上位ストレージ装置4間の通信は、例えばネットワーク3がSANである場合にはファイバーチャネルプロトコルに従って行われ、ネットワーク3がLANである場合にはTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)プロトコルに従って行われる。
【0020】
上位ストレージ装置4は、ホスト装置2に対して下位ストレージ装置5が提供する記憶領域を仮想化する機能を有するもので、データを記憶する複数のディスクデバイス10Aからなる記憶デバイス部11Aと、記憶デバイス部11Aに対するデータの入出力を制御するコントロール部12Aとを備えて構成される。
【0021】
このうち記憶デバイス部11Aのディスクデバイス10Aとしては、例えばSCSI(Small Computer System Interface)ディスク等の高価なディスク、又はSATA(Serial AT Attachment)ディスクや光ディスク等の安価なディスクが適用される。
【0022】
記憶デバイス部11Aの各ディスクデバイス10Aは、コントロール部12AによりRAID方式で運用される。1又は複数のディスクデバイス10Aにより提供される物理的な記憶領域上に、1又は複数の論理的なボリューム(以下、これを論理ボリュームと呼ぶ)が設定される。そしてデータは、この論理ボリューム内に所定大きさのブロック(以下、これを論理ブロックと呼ぶ)単位で記憶される。
【0023】
各論理ボリュームには、それぞれ固有の識別子(以下、これをLU(Logical Unit number)と呼ぶ)が付与される。本実施の形態の場合、データの入出力は、このLUと、各論理ブロックにそれぞれ付与されるその論理ブロックに固有の番号(LBA:Logical Block Address)とを組み合わせたものをアドレスとして、当該アドレスを指定して行われる。
【0024】
一方、コントロール部12Aは、複数のチャネルアダプタ13A、接続部14A、共有メモリ15A、キャッシュメモリ16A、複数のディスクアダプタ17A及び管理端末18を備えて構成される。
【0025】
各チャネルアダプタ13Aは、それぞれマイクロプロセッサ、メモリ及び通信インタフェース等を備えたマイクロコンピュータシステムとして構成されており、それぞれネットワーク3や下位ストレージ装置5に接続するためのポートを備える。チャネルアダプタ13Aは、ホスト装置2からネットワーク3を介して送信される各種コマンドを解釈して対応する処理を実行する。各チャネルアダプタ13Aのポートには、それぞれを識別するためのネットワークアドレス(例えば、IPアドレスやWWN)が割り当てられており、これにより各チャネルアダプタ13Aがそれぞれ個別にNAS(Network Attached Storage)として振る舞うことができるようになされている。
【0026】
接続部14Aは、チャネルアダプタ13A、共有メモリ15A、キャッシュメモリ16A及びディスクアダプタ17Aと接続されている。チャネルアダプタ13A、共有メモリ15A、キャッシュメモリ16A及びディスクアダプタ17A間でのデータやコマンドの授受は、この接続部14Aを介して行われる。接続部14Aは、例えば高速スイッチングによりデータ伝送を行う超高速クロスバススイッチなどのスイッチ又はバス等で構成される。
【0027】
共有メモリ15A及びキャッシュメモリ16Aは、チャネルアダプタ13A及びディスクアダプタ10Aにより共有される記憶メモリである。共有メモリ15Aは、主に上位ストレージ装置4全体の構成に関するシステム構成情報やコマンド等を記憶するために利用される。またキャッシュメモリ16Aは、主に上位ストレージ装置4に入出力するデータを一時的に記憶するために利用される。
【0028】
各ディスクアダプタ17Aは、マイクロプロセッサやメモリ等を備えたマイクロコンピュータシステムとして構成され、記憶デバイス部11A内のディスクデバイス10Aとの通信時におけるプロトコル制御を行うインタフェースとして機能する。これらディスクアダプタ17Aは、例えばファイバーチャネルケーブルを介して記憶デバイス部11A内の対応するディスクデバイス10Aと接続されており、ファイバーチャネルプロトコルに従ってこれらディスクデバイス10Aとの間のデータの授受を行う。
【0029】
管理端末18は、上位ストレージ装置4全体の動作を制御する端末装置であり、例えばノート型のパーソナルコンピュータから構成される。管理端末18は、LAN19Aを介して各チャネルアダプタ13Aとそれぞれ接続され、LAN20Aを介して各ディスクアダプタ17Aとそれぞれ接続されている。管理端末18は、上位ストレージ装置4内の障害の有無を監視し、障害が発生したときにこれを自己のディスプレイに表示したり、オペレータ操作に応じて記憶デバイス部11A内の対応するディスクデバイス10Aの閉塞処理を行う。オペレータは管理端末18を用いてシステム構成情報を定義することができ、またこの定義したシステム構成情報を、チャネルアダプタ13A又はディスクアダプタ17Aと接続部14Aとを経由して、共有メモリ15Aに格納することができる。
【0030】
一方、下位ストレージ装置5は、後述する各種オプション機能のライセンス管理に関する管理端末22の処理内容が異なる点を除いて上位ストレージ装置4とほぼ同様に構成されている。図1では、下位ストレージ装置5の各構成要素について、上位ストレージ装置4の構成要素と同一部分に、同一符号に添え字「A」に代えて添え字「B」を付している。下位ストレージ装置5は、1つのチャネルアダプタ13Bがファイバーチャネルケーブル又はLANケーブル等の信号線21を介して上位ストレージ装置4のいずれかのチャネルアダプタ13Aと接続されており、この信号線21を通じて必要なコマンドやデータを上位ストレージ装置4との間で送受し得るようになされている。
【0031】
また下位ストレージ装置5の管理端末22は、LAN等のネットワーク23を介して上位ストレージ装置4の管理端末18と接続されており、このネットワーク23を通じてこれら下位ストレージ装置5の管理端末22及び上位ストレージ装置4の管理端末18同士が必要な情報を送受し得るようになされている。
【0032】
なお、上位ストレージ装置4及び下位ストレージ装置5の各管理端末18,22の具体的な構成例を図2に示す。この図2からも明らかなように、管理端末18,22は、CPU30と、各種制御プログラムが格納されたROM(Read Only Memory)31と、CPU30のワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)32と、ユーザ操作に応じて必要な情報やGUIを表示するディスプレイを含む画像表示部33と、各種アプリケーションソフトウェアが格納されたハードディスク34と、その管理端末18,22がチャネルアダプタ13A,13Bやディスクアダプタ17A,17B又は他の管理端末22,18と通信する際のインタフェースとして機能する通信部35とがバス36を介して相互に接続されることにより構成されている。
【0033】
この場合、ハードディスクドライブ34には、後述するライセンス管理に関するアプリケーションソフトウェアが格納されており、上位ストレージ装置4及び下位ストレージ装置のCPU30は、それぞれこのアプリケーションソフトウェアをハードディスクドライブ34から読み出してRAM32に展開し、このアプリケーションソフトウェアに従って各種処理を実行する。かくしてこれら上位ストレージ装置4及び下位ストレージ装置のCPU30の協働動作によって、後述のようなライセンス管理に関する一連の処理が行われ、これによりこのストレージシステム1全体として後述のようなライセンス管理を行い得るようになされている。
【0034】
ここで、このストレージシステム1におけるホスト装置2及び上位ストレージ装置4間のデータの入出力の流れについて説明する。ホスト装置2は、ユーザ操作により上位ストレージ装置4又は下位ストレージ装置5に設定された論理ボリュームに対してデータを書き込むべき旨の指令が入力されると、これに応じたデータ書込み要求及び書込み対象のデータを上位ストレージ装置4の所定のチャネルアダプタ13Aに送信する。かかるデータ書込み要求には、上位ストレージ装置4及び下位ストレージ装置5がそれぞれ提供する記憶領域上に設定された各論理ボリュームにそれぞれ付与された仮想的なLUと、当該記憶領域内の全ての論理ブロックに通し番号で付与された仮想的なLBAとを組み合わせでなる、書込み対象のデータを書き込むべき仮想的なアドレスが含まれる。
【0035】
このデータ書込み要求を受信した上位ストレージ装置4のチャネルアダプタ13Aは、当該データ書込み要求において指定されたデータを書き込むべき仮想的なアドレスを、上位ストレージ装置4及び下位ストレージ装置5が認識している実際のアドレスに変更する。そのための手段として、上位ストレージ装置5の共有メモリ15Aには、上位ストレージ装置4及び下位ストレージ装置5が提供する記憶領域の実際のアドレスと、ホスト装置2が認識している当該記憶領域の仮想化なアドレスとを対応付けたアドレス変換テーブルが格納されている。そしてチャネルアダプタ13Aは、このアドレス変換テーブルを参照して、データ書込み要求に含まれるデータを書き込むべき仮想的なアドレスを上位ストレージ装置4や下位ストレージ装置5が認識する実際のアドレスに書き換える。
【0036】
そして、かかるチャネルアダプタ13Aは、この書き換えたアドレスが上位ストレージ装置4が提供する記憶領域上のアドレスであった場合には、このデータ書込み要求を共有メモリ15Aに書き込む。またチャネルアダプタ13Aは、これと共にかかる書込み対象のデータをキャッシュメモリ16Aに書き込む。
【0037】
このときディスクアダプタ17Aは、共有メモリ15Aを常時監視している。そして対応するディスクアダプタ17Aは、かかるデータ書込み要求が共有メモリ15Aに書き込まれたことを検出すると、仮想的な論理アドレス指定によるデータ書込み要求を実際の物理アドレス指定によるデータ書込み要求に変換し、さらにキャッシュメモリ16Aから書込み対象のデータを読み出して、これを対応するディスクデバイス14Aの対応するアドレス位置に書き込む。
【0038】
これに対して、かかるチャネルアダプタ13Aは、上述のように書き換えたデータ書込み要求に含まれるアドレスが下位ストレージ装置5が提供する記憶領域上のアドレスであった場合には、このデータ書込み要求を書込み対象のデータと共に下位ストレージ装置5と接続されたチャネルアダプタ13Aを通じて当該下位ストレージ装置5に送信する。
【0039】
このデータ書込み要求を受信した下位ストレージ装置5側のチャネルアダプタ13Bは、当該データ書込み要求を共有メモリ15Bに書き込むと共に、かかる書込み対象のデータをキャッシュメモリ16Bに書き込む。かくしてこのデータ書込み要求は、この後対応するディスクアダプタ17Bにより読み出される。そして、かかるディスクアダプタ17Bは、論理アドレス指定による当該データ書込み要求を物理アドレス指定によるデータ書込み要求に変換し、さらにキャッシュメモリ16Bから書込み対象のデータを読み出して、これを対応するディスクデバイス10Bの対応するアドレス位置に書き込む。
【0040】
一方、ホスト装置2は、ユーザ操作により上位ストレージ装置4内の所定の論理ボリュームに記憶されているデータを読み出すべき旨の指令が入力されると、これに応じたデータ読出し要求を上位ストレージ装置4内の所定のチャネルアダプタ13Aに送信する。この場合にも、かかるデータ読出し要求には、読出し対象のデータが書き込まれている位置の仮想的なアドレスが含まれる。
【0041】
このデータ読出し要求を受信した上位ストレージ装置4のチャネルアダプタ13Aは、当該データ読出し要求に含まれるデータを読み出すべき仮想的なアドレスを、上述のアドレス変換テーブルを用いて上位ストレージ装置4及び下位ストレージ装置5が認識している実際のアドレスに書き換える。
【0042】
そして、かかるチャネルアダプタ13Aは、この書き換えたアドレスが上位ストレージ装置4が提供する記憶領域上のアドレスであった場合には、このデータ読出し要求を共有メモリ15Aに書き込む。また対応するディスクアダプタ17Aは、共有メモリ15Aに読出しコマンドが書き込まれたことを検出すると、論理アドレス指定によるデータ読出し要求を物理アドレス指定によるデータ読出し要求に変換して、このアドレスに基づいて対応するディスクデバイス10Aの対応するアドレス位置から指定されたデータを読み出す。
【0043】
また、かかるディスクアダプタ17Aは、このディスクデバイス10Aから読み出したデータをキャッシュメモリ16Aに書き込むと共に、読出しコマンドを共有メモリ15Aに書き込む。このとき、チャネルアダプタ13Aは共有メモリ15Aを常時監視しており、共有メモリ15Aに読出しコマンドが書き込まれたことを検出すると、この読出しコマンドに従ってキャッシュメモリ16Aから対応するデータを読み出し、これをネットワーク3を介して対応するホスト装置2に送信する。
【0044】
これに対して、かかるチャネルアダプタ13Aは、上述のように書き換えたデータ読出し要求に含まれるアドレスが下位ストレージ装置5が提供する記憶領域上のアドレスであった場合には、このデータ読出し要求を下位ストレージ装置5と接続されたチャネルアダプタ13Aを通じて当該下位ストレージ装置3に送信する。
【0045】
このデータ読出し要求を受信した下位ストレージ装置5側のチャネルアダプタ13Bは、当該データ読出し要求を共有メモリ15Bに書き込む。かくしてこのデータ読出し要求は、この後対応するディスクアダプタ17Bにより読み出される。そして、かかるディスクアダプタ17Bは、論理アドレス指定による当該データ読出し要求を物理アドレス指定によるデータ読出し要求に変換して、このアドレスに基づいて対応するディスクデバイス10Bの対応するアドレス位置から指定されたデータを読み出させる。
【0046】
またディスクアダプタ17Bは、このディスクデバイス10Bから読み出したデータをキャッシュメモリ16Bに書き込むと共に、読出しコマンドを共有メモリ15Bに書き込む。このとき、チャネルアダプタ13Bは共有メモリ15Bを常時監視している。かくして対応するチャネルアダプタ13Bは、共有メモリ15Bに読出しコマンドが書き込まれたことを検出すると、この読出しコマンドに従ってキャッシュメモリ16Bから対応するデータを読み出し、これを上位ストレージ装置4に送信する。この結果、このデータが上位ストレージ装置4及びネットワーク3を順次介して対応するホスト装置2に送信されることとなる。
【0047】
このようにしてこのストレージシステム1では、下位ストレージ装置5の提供する記憶領域を上位ストレージ装置4により仮想化しながら、ユーザからのデータ入出力要求に応じてデータを上位ストレージ装置4又は下位ストレージ装置5が提供する記憶領域に読み書きし得るようになされている。
【0048】
(2)ストレージシステム1におけるライセンス管理方法
(2−1)ストレージシステム1におけるライセンスキーのインストール処理
次に、このストレージシステム1におけるオプション機能のライセンス管理方法について説明する。まず上位ストレージ装置4及び下位ストレージ装置5におけるライセンスキーのインストール処理について説明する。
【0049】
このストレージシステム1の場合、上位ストレージ装置4又は下位ストレージ装置5がサポートしている各種オプション機能のうち、ユーザが所望するオプション機能に対する対価をメーカに支払うことによって、メーカからそのオプション機能についてのライセンスキーの配布を受けることができる。
【0050】
このライセンスキーは、図3に示すように、ユーザが対価を支払うことでライセンスを受けたオプション機能の種別であるオプション機能種別を表す情報(以下、これをオプション機能種別情報と呼ぶ)と、そのオプション機能についてライセンスを受けた容量であるライセンス容量を表す情報(以下、これをライセンス容量情報と呼ぶ)と、そのオプション機能のライセンスを受けたストレージ装置である対象ストレージのシリアル番号の情報(以下、これを対象ストレージ情報と呼ぶ)とから構成される。
【0051】
例えば図3の最上段は、「1000002」というシリアル番号のストレージ装置に対して付与された「A」というオプション機能についての3〔TB〕のライセンスキーを表し、図3の3段目は、「1000003」というシリアル番号のストレージ装置に対して付与された「E」というオプション機能についての1〔TB〕のライセンスキーを表している。
【0052】
そして、ユーザは、メーカから配布されたライセンスキーを対応する上位ストレージ装置4又は下位ストレージ装置5の管理端末18,22にインストールすることによって、当該上位ストレージ装置4や下位ストレージ装置5におけるそのオプション機能のロックを解除して当該オプション機能を有効化させることができる。
【0053】
このため上位ストレージ装置4及び下位ストレージ装置5は、それぞれ自ストレージ装置がライセンスを受けたオプション機能及びそのオプション機能についてライセンスを受けた容量を自ストレージ装置内部において管理するための手段として、それぞれ図4に示すようなライセンス管理テーブル40を共有メモリ15A,15B内に保持している。
【0054】
このライセンス管理テーブル15A,15Bは、メーカが提供する各種のオプション機能(「♯0」,「♯1」,「♯2」,……)とそれぞれ対応させてサポート欄41、インストール欄42及び容量欄43が設けられたもので、初期時には、その上位ストレージ装置4又は下位ストレージ装置5がサポートしているオプション機能と対応するサポート欄41に「1」が格納され、残りのオプション機能(その上位ストレージ装置4又は下位ストレージ装置5がサポートしていないオプション機能)と対応するサポート欄に「0」が格納される。またいずれのライセンスキーもインストールされていない初期時には、全てのインストール欄42及び容量欄43に「0」が格納される。
【0055】
そして上位ストレージ装置4及び下位ストレージ装置5は、オプション機能のライセンスキーがインストールされる毎にライセンス管理テーブル40におけるそのオプション機能と対応するインストール欄42に「1」を格納すると共に、そのオプション機能についてライセンスを受けた容量を対応する容量欄43にテラバイト(TB)単位で格納するようにして、自ストレージ装置がライセンスを受けているオプション機能及びそのオプション機能についてライセンスを受けた容量を管理する。
【0056】
この場合において、このストレージシステム1では、上位ストレージ装置4がライセンスを受けたオプション機能についてのライセンスキーのみならず、下位ストレージ装置5がライセンスを受けたオプション機能についてのライセンスキーをも上位ストレージ装置4に入力することによって、そのライセンスキーが上位ストレージ装置4から下位ストレージ装置5に自動的に転送され、下位ストレージ装置5がそのライセンスキーを自動的にインストールするようになされた点を特徴の1つとしている。
【0057】
図5は、このような上位ストレージ装置4及び下位ストレージ装置5へのライセンスキーのインストール作業に関する上位ストレージ装置の管理端末18内のCPU30(図2)処理手順(以下、これをライセンスキーインストール処理手順RT1と呼ぶ)を示すフローチャートである。
【0058】
CPU30は、ユーザ操作によりライセンスキーをインストールすべき動作モードが選択されて1又は複数オプション機能分のライセンスキーが入力された後に、そのライセンスキーをインストールすべき旨の指示が入力されると、このライセンスキーインストール処理手順RT1を開始し(SP0)、まず、入力されたライセンスキーから1オプション機能分のライセンスキーを読み込む(SP1)。
【0059】
この場合、ライセンスキーは暗号化されてユーザに配布される。このためCPU30は、この読み込んだ1オプション機能分のライセンスキーをデコード(暗号化を解除)し(SP2)、この後このデコードしたライセンスキーに含まれる対象ストレージ情報が自ストレージ装置のシリアル番号を表しているか否かを判断する(SP3)。
【0060】
この判断において肯定結果を得ることは(SP3:YES)、そのオプション機能に対するライセンスキーが自ストレージ装置を発行対象とするものである(そのライセンスが上位ストレージ装置4に対して付与されたものである)ことを意味する。かくして、このときCPU30は、このライセンスキーをインストール、つまりこのライセンスキーに基づいてライセンス管理テーブル40を更新する。具体的に、CPU30は、ライセンス管理テーブル40における対応するインストール欄42に「1」を格納すると共に、ライセンスキーに含まれるライセンス容量情報に基づき得られるそのオプション機能についてライセンスを受けた容量を、ライセンス管理テーブル40の対応する容量欄43に格納する(SP4)。そしてCPU30は、この後次のライセンスキーがあるか否かを判断する(SP7)。
【0061】
これに対して、ステップSP3の判断において否定結果を得ることは(SP3:NO)、そのオプション機能に対するライセンスキーが自ストレージ装置を発行対象とするものではない(そのライセンスが上位ストレージ装置4に対して付与されたものではない)ことを意味する。かくして、このときCPU30は、このライセンスキーに含まれる対象ストレージ情報に基づいて、そのライセンスキーが自ストレージ装置と接続された下位ストレージ装置5に対するものであるか否かを判断する(SP5)。
【0062】
そしてCPU30は、この判断において肯定結果を得ると(SP5:YES)、そのライセンスキーを下位ストレージ装置5に送信する(SP6)。この結果、このライセンスキーに基づいて、ステップSP4について上述した処理と同様の処理がその下位ストレージ装置5において行われ、これによりそのライセンスキーが当該下位ストレージ装置5にインストールされる。この後CPU30は、次のライセンスキーがあるか否かを判断する(SP7)。
【0063】
これに対して、ステップSP5の判断において否定結果を得ることは(SP5:NO)、そのオプション機能に対するライセンスキーが自ストレージ装置及び下位ストレージ装置5のいずれをも発行対象とするものではない(そのライセンスが上位ストレージ装置4及び下位ストレージ装置5のいずれかに対して付与されたものでもない)ことを意味する。かくして、このときCPU30は、そのライセンスキーに対する処理を終了して次のライセンスキーがあるか否かを判断する(SP7)。そしてCPU30は、この判断において肯定結果を得ると(SP7:YES)、この後対象とするライセンスキーを順次変えながら同様の処理を繰り返す(SP1〜SP7)。
【0064】
さらにCPU30は、やがて全てのライセンスキーに対する同様の処理を終えることによりステップSP7において否定結果を得ると(SP7)、この一連のライセンスキーインストール処理を終了する(SP8)。
【0065】
一方、図6は、上位ストレージ装置4又は下位ストレージ装置5の電源投入時における各管理端末18,22内のCPU30の起動処理の処理手順(以下、これを起動処理手順RT2と呼ぶ)を示すフローチャートである。
【0066】
CPU30は、自ストレージ装置である上位ストレージ装置4又は下位ストレージ装置5の電源が投入されると、この起動処理手順RT2を開始し(SP10)、まず、そのとき自ストレージ装置に設定されている各種設定を初期化する(SP11)。次いで、CPU30は、システム情報が格納されたシステムディスクと呼ばれるディスクユニット10A,10Bからライセンス管理テーブル40を含む各種システム情報を読み出し共有メモリ15A,15Bに格納するようにして、自ストレージ装置である上位ストレージ装置4又は下位ストレージ装置5が基本的な動作を行うために必要な基本機能を起動する(SP12)。
【0067】
その後CPU30は、共有メモリ15A,15Bに格納したライセンス管理テーブル40に登録されている1オプション機能分のオプション機能種別情報、ライセンス容量情報及び対象ストレージ情報(以下、これらをまとめてライセンス管理情報と呼ぶ)を読み込み(SP13)、この後この読み込んだライセンス管理情報に基づいて、サポート欄41の値及びインストール欄42の値が共に「1」であるか否か、つまり自ストレージ装置がそのオプション機能をサポートしており、かつそのオプション機能のライセンスキーがインストールされているか否かを判断する(SP14)。
【0068】
そしてCPU30は、この判断において否定結果を得ると(SP14:NO)、後述のステップSP16の処理に進み、これに対して肯定結果を得ると(SP14:YES)、チャネルアダプタ13A,13Bやディスクアダプタ17A,17Bに対する設定処理など、そのオプション機能を起動するための所定の処理を実行する(SP15)。そしてCPU30は、この後オプション管理テーブル40に登録された最後のオプション機能について、同様の処理を実行し終えたか否かを判断する(SP16)。
【0069】
CPU30は、この判断において否定結果を得ると(SP16:NO)、オプション管理テーブル40に登録された残りの各オプション機能について、同様の処理を順次実行する(SP13〜SP16)。これによりオプション管理テーブル40に登録された各種オプション機能のうち、その上位ストレージ装置4又は下位ストレージ装置5がサポートしており、かつそのオプション機能のライセンスキーがインストールされている各オプション機能が順次起動されることとなる。
【0070】
そしてCPU30は、やがてオプション管理テーブル40に登録された全てのオプション機能についての処理を実行し終えると(SP16:YES)、この一連の起動処理を終了する(SP17)。
【0071】
このようにこのストレージシステム1では、上位ストレージ装置4の管理端末18に入力したライセンスキーを当該管理端末18が対応する第2のストレージ装置5に振り分け、下位ストレージ装置5の管理端末22が自ストレージ装置に振り分けられたライセンスキーをインストールして対応する設定処理を行うようにしているため、ストレージシステム1全体としての各オプション機能に対するライセンス管理を容易に行うことができる。
【0072】
(2−2)上位ストレージ装置4によるライセンス管理
次に、このストレージシステム1における上位ストレージ装置4によるライセンス管理方法について説明する。
【0073】
図7のようにホスト装置80に接続して使用していた第1のストレージ装置81を図8のように第3のストレージ装置83の外部ストレージ装置として使用する場合、それまで第1のストレージ装置81に付与され使用されていたオプション機能のライセンスは不要となる。しかしながら、第3のストレージ装置83において、第1のストレージ装置81のボリュームをオプション機能の対象とする場合には、その分のライセンスを第3のストレージ装置83に追加する必要がある。
【0074】
例えば、図7のように第1のストレージ装置81が5〔TB〕のリモートコピーのライセンスを有しており、第1のストレージ装置81内の容量が5〔TB〕のボリュームVOL10のデータを第2のストレージ装置82内のボリュームVOL11にリモートコピーしていた場合において、図8のように第3のストレージ装置83によって第1のストレージ装置81のボリュームVOL10を仮想化し、この仮想化したボリュームVOL12のデータを第2のストレージ装置82内のボリュームVOL11にリモートコピーするためには、リモートコピー機能についての5〔TB〕のライセンスを第3のストレージ装置83が受けなければならない。従って、この場合、第1のストレージ装置81がリモートコピー機能について5〔TB〕のライセンスを有しているにも拘わらず、第3のストレージ装置83が別途5〔TB〕のリモートコピー機能についてのライセンスを受けなければならない。
【0075】
一方、図9に示すように、第1のストレージ装置81を第3のストレージ装置83に接続した段階で、不要になった第1のストレージ装置81のライセンスを第3のストレージ装置83に移動することができれば、第3のストレージ装置83において外部接続した第1のストレージ装置81のボリュームVOL10をオプション機能で使用することが可能となる。
【0076】
そこで、このストレージシステム1では、上位ストレージ装置4に既に各種オプション機能のライセンスを所有している下位ストレージ装置5が接続されたタイミングで、当該下位ストレージ装置5が所有しているライセンスのうち、そのとき下位ストレージ装置5が使用していない余剰分のライセンスを上位ストレート装置4に送付し、これらライセンスを上位ストレージ装置4において一括管理するようになされた点をもう1つの特徴としている。
【0077】
実際上、上位ストレート装置4の管理端末18は、上位ストレート装置4に下位ストレート装置5が接続されると、図10に示す処理手順(以下、これを上位側ライセンス引継ぎ処理手順RT3と呼ぶ)に従って、この下位ストレージ装置5から当該下位ストレージ装置5がそのとき使用していないオプション機能についてのライセンスや、下位ストレージ装置5が使用しているオプション機能であっても現在使用されていない容量分のライセンスを引き継ぐようになされている。
【0078】
すなわち上位ストレート装置4の管理端末18内のCPU30は、上位ストレート装置4に下位ストレート装置5が接続されると、この上位側ライセンス引継ぎ処理手順RT3を開始し(SP20)、まず所定のマッピング処理や、上述したアドレス変換テーブルの作成処理などの当該下位ストレージ装置5が提供する記憶領域を仮想化するための所定の接続処理を実行する(SP21)。
【0079】
その後CPU30は、ネットワーク23を通じて、下位ストレージ装置5の管理端末22に対し、当該下位ストレージ装置5がライセンスを所有している各オプション機能についてのライセンス管理情報を上位ストレージ装置4に送付すべき旨のライセンス管理情報送付要求を送信する(SP22)。この結果、下位ストレージ装置5の管理端末22は、後述のように、その下位ストレージ装置5がライセンスを受けている各オプション機能についてのライセンス管理情報を、ネットワーク23を通じて上位ストレージ装置4の管理端末18に順次送信する。ただし、この際、下位ストレージ装置5の管理端末22は、ライセンスを受けた容量の一部を使用しているオプション機能について、ライセンスを受けた残りの容量をライセンス容量情報とするライセンス管理情報を上位ストレージ装置4に送信する。
【0080】
そして上位ストレージ装置4のCPU30は、下位ストレージ装置5の管理端末22から1オプション機能分のライセンス管理情報を一定時間内に受信すると(SP23:YES)、このライセンス管理情報に基づいて、下位ストレージ装置5に与えられていたそのオプション機能のライセンスを上位ストレージ装置4に引き継ぐように、上位ストレージ装置4の共有メモリ15Aに保持しているライセンス管理テーブル40を更新する(SP24)。
【0081】
例えば、上位ストレージ装置4があるオプション機能のライセンスを受けておらず(このとき上位ストレージ装置4のライセンス管理テーブル40の対応するインストール欄42及び容量欄43の値は共に「0」)、下位ストレージ装置5がそのオプション機能について12〔TB〕のライセンスを受けていた場合(このとき下位ストレージ装置5のライセンス管理テーブル40の対応するインストール欄42及び容量欄43の値はそれぞれ「1」と「12」)であって、下位ストレージ装置5が現在そのオプション機能を全く使用していないときには、上位ストレート装置4のオプション管理テーブル40の対応するインストール欄42及び容量欄43の値がそれぞれ元の下位ストレージ装置5のライセンス管理テーブル40の対応するインストール欄42及び容量欄43の値と同じ「1」と「12」に更新される。
【0082】
また、例えば上位ストレージ装置4があるオプション機能について15〔TB〕のライセンスを受けており(上位ストレージ装置4のライセンス管理テーブル40の対応するインストール欄42及び容量欄43の値はそれぞれ「1」と「15」)、下位ストレージ装置5がそのオプション機能について12〔TB〕のライセンスを受け、そのうち3〔TB〕を使用していた場合(下位ストレージ装置5のライセンス管理テーブル40の対応するインストール欄42及び容量欄43の値はそれぞれ「1」と「9」)には、上位ストレート装置4のオプション管理テーブル40の対応する容量欄43の値が15と9との和である「24」に更新される。
【0083】
ただし、この場合において、下位ストレージ装置5からのライセンス管理情報が上位ストレージ装置4がサポートしていないオプション機能についてのライセンス管理情報であったときには、下位ストレージ装置5から上位ストレージ装置4へのそのオプション機能についてのライセンスの引き継ぎは禁止される。よって、このようなオプション機能については、上位ストレージ装置4のライセンス管理テーブル40は更新されない。
【0084】
そして、上位ストレージ装置4のCPU30は、下位ストレージ装置5から後述の終了通知を受け、又は一定時間内にライセンス管理情報を受信できなくなるまで、同様の処理を繰り返す(SP23−SP24−SP23)。これにより下位ストレージ装置5にライセンスが与えられている各種オプション機能のうち、そのとき下位ストレージ装置5が使用していないオプション機能のライセンスや、下位ストレージ装置5が使用しているオプション機能であっても現在使用されていない容量分のライセンスが全て上位ストレージ装置4に引き継がれることとなる。
【0085】
そしてCPU30は、この後、下位ストレージ装置5から後述の終了通知を受け、又は一定時間内にライセンス管理情報を受信できなくなると、この一連のライセンス引継ぎ処理を終了する(SP25)。
【0086】
このとき、下位ストレージ装置5の管理端末22は、かかる処理手順RT3のステップSP22において上位ストレージ装置4から下位ストレージ装置5に送信されたライセンス管理情報送付要求を受信すると、図11に示す処理手順(以下、これをライセンス管理情報要求受信処理手順RT4と呼ぶ)に従って、当該下位ストレージ装置5がライセンスを受けた各オプション機能のライセンス管理情報を上位ストレージ装置4に送信する。
【0087】
すなわち、下位ストレージ装置5の管理端末22のCPU30は、ネットワーク23を通じて上位ストレージ装置4からのライセンス管理情報送信要求を受信すると、このライセンス要求受領処理手順RT4を開始し(SP30)、まず、共有メモリ15Bに保持されたライセンス管理テーブル40に登録されている最初の1オプション機能分のライセンス管理情報を読み込む(SP31)。
【0088】
続いてCPU30は、かかる1オプション機能分のライセンス管理情報のうちのインストール欄42の値に基づいて、自ストレージ装置がそのオプション機能についてのライセンスを受けているか否かを判断し(SP32)、否定結果を得ると(SP32:NO)、ステップSP31に戻る。
【0089】
これに対してCPU30は、ステップSP32の判断において肯定結果を得ると(SP32:YES)、そのオプション機能のライセンス管理情報をネットワーク23を通じて上位ストレージ装置4の管理端末18に送信する(SP33)。この際、CPU30は、そのオプション機能についてライセンスを受けた容量の一部を使用している場合には、ライセンスを受けた残りの容量をライセンス容量とするライセンス管理情報を上位ストレージ装置4に送信する。
【0090】
また下位ストレージ装置5のCPU30は、この後、共有メモリ22に保持しているライセンス管理テーブル40におけるそのオプション機能と対応付けられた容量欄43の値を、そのオプション機能を使用していないときには「0」に、またそのオプション機能についてライセンスを受けた容量の一部を使用している場合には、使用している容量の値に更新する(SP34)。
【0091】
その後CPU30は、ライセンス管理テーブル40に登録された次のオプション機能が存在するか否かを判断し(SP35)、肯定結果を得ると(SP35:YES)、この後対象とするオプション機能を順次切替えながら、ライセンス管理テーブル40に登録された残りの各オプション機能について、上述と同様の処理を実行する(SP31〜SP35)。これにより、下位ストレージ装置5がライセンスを受けている各オプション機能についてのライセンス管理情報がネットワーク23を通じて順次上位ストレージ装置4の管理端末18に送信されることとなる。
【0092】
そしてCPU30は、やがて全てのオプション機能についてかかる処理を終えると(SP35:YES)、ネットワーク23を通じて上位ストレージ装置4の管理端末18に終了通知を送信し(SP36)、この後この一連のライセンス管理情報要求受信処理手順RT4を終了する(SP37)。
【0093】
一方、このストレージシステム1において、下位ストレージ装置5の管理端末22は、ユーザ操作によりオプション機能の新たな設定指示が入力された場合、そのオプション機能についてライセンスされている容量をチェックし、必要な容量をもっている場合には設定を行い、ライセンスされている容量が不足している場合には、上位ストレージ装置4に不足容量分のライセンスを要求し、当該ライセンスが上位ストレージ装置5から与えられた段階で当該オプション機能を設定するようになされている。
【0094】
図12は、このようなオプション機能設定処理に関する下位ストレージ装置5の管理端末22の処理手順(以下、これをオプション機能設定処理手順RT5と呼ぶ)を示すフローチャートである。
【0095】
下位ストレージ装置5の管理端末22のCPU30は、ユーザ操作により新たなオプション機能の設定指示が入力されると、このオプション機能設定処理手順RT5を開始し(SP40)、まず、共有メモリ15Bに保持しているライセンス管理テーブル40を参照して、そのとき自ストレージ装置に設定されている容量が、かかる設定指示において新たに設定すべきそのオプション機能についての合計の容量以上であるか否かを判断する(SP41)。
【0096】
CPU30は、この判断において肯定結果を得ると(SP41:YES)、後述するオプション機能設定処理(SP47)を実行し、これに対して否定結果を得ると(SP41:NO)、ネットワーク23を通じて上位ストレージ装置4の管理端末18に対して、そのオプション機能について不足容量分のライセンスを付与すべき旨の要求(以下、これをライセンス付与要求と呼ぶ)を送信する(SP42)。この結果、上位ストレージ装置4の管理端末18は、後述のように、このライセンス付与要求に対する応答として、一定容量分のライセンスを付与する旨の許可通知と、ライセンスの付与を拒絶する旨の拒絶通知とのいずれかを下位ストレージ装置5に送信することとなる。
【0097】
CPU30は、このライセンス付与要求の送信後、当該ライセンス付与要求に対する上位ストレージ装置4からの応答を待ち受け(SP43)、やがて当該応答を受信すると(SP43:YES)、その応答が拒絶通知であるか否かを判断する(SP44)。そしてCPU30は、この判断において肯定結果を得ると(SP44:YES)、管理端末22のディスプレイにエラー表示を表示させ(SP45)、この後この一連のオプション機能設定処理を終了する(SP48)。
【0098】
これに対してCPU30は、上位ストレージ装置4からの応答が拒絶通知でなかった場合には(SP44:NO)、下位ストレージ装置5の共有メモリ15Bに保持されているライセンス管理テーブル40におけるそのオプション機能と対応するインストール欄42及び容量欄43内の値を必要に応じて更新する(SP46)。
【0099】
具体的に、CPU30は、例えば下位ストレージ装置5がそのオプション機能についてのライセンスを有しておらず、容量も全く設定されていない場合(ライセンス管理テーブル40における対応するインストール欄42及び容量欄43の値が共に「0」の場合)であって、上位ストレージ装置4の管理端末18からそのオプション機能について12〔TB〕分のライセンスが付与された場合、かかるライセンス管理テーブル40のそのオプション機能と対応するインストール欄42の値を「1」に設定すると共に、当該オプション機能と対応する容量欄43の値を「12」に設定する。
【0100】
またCPU30は、例えば下位ストレージ装置5に対してそのオプション機能について既に10〔TB〕の容量が設定されている場合(ライセンス管理テーブル40における対応するインストール欄42及び容量欄43の値がそれぞれ「1」と「10」の場合)であって、上位ストレージ装置4からそのオプション機能について6〔TB〕分のライセンスが付与された場合、かかるライセンス管理テーブル40のそのオプション機能と対応する容量欄43の値を10と6との和である「16」に更新する。
【0101】
そしてCPU30は、かかるライセンス管理テーブル40の更新処理を終えると、この後このようにしてライセンス管理テーブル40を更新したオプション機能についての設定を変更する所定のオプション機能設定処理を実行し(SP47)、その後この一連のオプション機能設定処理を終了する(SP48)。
【0102】
一方、上位ストレージ装置4の管理端末18は、かかる処理手順のステップSP43において下位ストレージ装置5から送信されたライセンス付与要求を受信すると、図13に示す処理手順(以下、これをライセンス送付要求受信処理手順RT6と呼ぶ)に従って、当該ライセンス付与要求に対する応答を下位ストレージ装置5に送信する。
【0103】
すなわち、上位ストレージ装置4の管理端末18のCPU30は、下位ストレージ装置5の管理端末22からネットワーク23を通じて送信される、上述のライセンス送付要求を受信すると、このライセンス送付要求受領処理手順RT5を開始し(SP50)、まず、下位ストレージ装置5からライセンス付与要求が与えられたオプション機能について自ストレージ装置に設定されている容量の合計と、そのオプション機能について下位ストレージ装置5から付与要求があった容量との加算結果が、上位ストレージ装置4の共有メモリ15Aに保持されたライセンス管理テーブル40における対応するオプション機能と対応する容量欄43に格納された値、つまりそのオプション機能についてライセンスを受けている容量以下となるか否かを判断する(SP51)。
【0104】
そしてCPU30は、この判断において肯定結果を得ると(SP51:YES)、対応するオプション機能について要求された容量のライセンスを付与する旨の許可通知をネットワーク23を通じて下位ストレージ装置5の管理端末18に送信する(SP52)。
【0105】
またCPU30は、この後自ストレージ装置の共有メモリ18に保持されているライセンス管理テーブル40におけるそのオプション機能に対応する容量欄43の値を、そのとき下位ストレージ装置5にライセンスを与えた容量を減算した値に更新し(SP53)、この後この一連のオプション機能設定処理を終了する(SP55)。
【0106】
これに対してCPU30は、ステップSP51の判断において否定結果を得ると(SP51:NO)、下位ストレージ装置5の管理端末22に対して、ネットワーク23を通じて拒絶通知を送信し(SP54)、この後この一連のオプション機能設定処理を終了する(SP55)。
【0107】
このようにこのストレージシステム1では、上位ストレージ装置4に接続された下位ストレージ装置5が所有する各種オプション機能に関するライセンスを、下位ストレージ装置5が上位ストレージ装置4に接続された段階で上位ストレージ装置4が収集して自ストレージ装置が所有するライセンスと併せて一括管理し、その後下位ストレージ装置5からの要求に応じて当該下位ストレージ装置5に対して上位ストレージ装置4から必要な容量のライセンスを付与するようにしているため、ストレージシステム1全体としての各オプション機能に対するライセンス管理を容易に行うことができる。
【0108】
またこのストレージシステム1では、上位ストレージ装置4及び下位ストレージ装置5がもっている各種オプション機能に対するライセンスを上位ストレージ装置4において一括管理しているため、あるオプション機能に対する1つのライセンスを上位ストレージ装置4及び下位ストレージ装置5において共有し、共用できるため、従来のように1つのオプション機能に対するライセンスを上位ストレージ装置用4及び下位ストレージ装置用5にそれぞれ別個に購入する必要がなく、その分ユーザに対する経済的な負担をより一層と軽減することができる。
【0109】
(2−3)リモートコピー機能に関するライセンス管理
次に、上述のようなオプション機能のライセンス管理方法に関し、特にリモートコピー機能のライセンス管理について具体的に説明する。
【0110】
図1との対応部分に同一符号を付した図14は、4台のストレージ装置51〜54を用いて構築されたストレージシステム50の構成を示すものである。この図14では、各ストレージ装置51〜54の具体的構成を省略しているが、いずれのストレージ装置51〜54も図1について上述した上位ストレート装置4(及び下位ストレージ装置5)と同様の構成を有している。
【0111】
このストレージシステム50においては、ホスト装置2とネットワーク3を介して接続された第1のストレージ装置(以下、これを正側上位ストレージ装置と呼ぶ)51の1つのチャネルアダプタ60Aと、第2のストレージ装置(以下、これを正側下位ストレージ装置と呼ぶ)52の1つのチャネルアダプタ60Bとがファイバーチャネルケーブル等の信号線61を介して接続され、この信号線61を介して正側上位ストレージ装置51及び正側下位ストレージ装置52間でデータを送受し得るようになされている。そして正側上位ストレージ装置51は、図1について上述した下位ストレージ装置5に対する上位ストレージ装置4と同様に、正側下位ストレージ装置52が提供する記憶領域を仮想化し得るようになされている。
【0112】
同様に、ストレージシステム50においては、第3のストレージ装置(以下、これを副側上位ストレージ装置と呼ぶ)53の1つのチャネルアダプタ60Cと、第4のストレージ装置(以下、これを副側下位ストレージ装置と呼ぶ)54の1つのチャネルアダプタ60Dとがファイバーチャネルケーブル等の信号線62を介して接続され、この信号線62を介して副側上位ストレージ装置53及び副側下位ストレージ装置54間でデータを送受し得るようになされている。そして副側上位ストレージ装置53は、副側下位ストレージ装置54が提供する記憶領域を仮想化し得るようになされている。
【0113】
さらに、このストレージシステム50では、正側上位ストレージ装置51及び副側上位ストレージ装置53間と、正側下位ストレージ装置52及び副側下位ストレージ装置54間とがそれぞれファイバーチャネルケーブル等の信号線63,64を介して接続されており、これら信号線63,64を介して正側上位ストレージ装置51及び副側上位ストレージ装置53間と、正側下位ストレージ装置62及び副側下位ストレージ装置54間とにおいてもデータを送受し得るようになされている。
【0114】
そして、このストレージシステム50では、リモートコピーの実行時、正側上位ストレージ装置51内の論理ボリュームVOL1に格納されたデータを、信号線63を介して同期モード又は非同期モードで副側上位ストレージ装置53に転送して当該副側上位ストレージ装置53内の論理ボリュームVOL3にミラー状にコピーし、正側下位ストレージ装置52内の論理ボリュームVOL2に格納されたデータを、信号線64を介して同期モード又は非同期モードで副側下位ストレージ装置54に転送して当該副側下位ストレージ装置54内の論理ボリュームVOL4にミラー状にコピーする。
【0115】
またこのストレージシステム50では、正側上位ストレージ装置51、正側下位ストレージ装置52、副側上位ストレージ装置53及び副側下位ストレージ装置54の各管理端末65〜68がそれぞれLAN等のネットワーク67を介して接続されており、これによりこれら管理端末65〜68がネットワーク67を介して相互に必要な情報を送受し得るようになされている。
【0116】
そして正側上位ストレージ装置51の管理端末65は、正側下位ストレージ装置52や副側上位ストレージ装置53が自ストレージ装置に接続され、副側下位ストレージ装置64が副側上位ストレージ装置53又は正側下位ストレージ装置52に接続されると、その正側下位ストレージ装置52、副側上位ストレージ装置53又は副側下位ストレージ装置54の管理端末66〜68に対して図10について上述した上位側ライセンス引継ぎ処理手順RT3に従ってその正側下位ストレージ装置52、副側上位ストレージ装置53又は副側下位ストレージ装置54が所有している各種オプション機能についてのライセンスを収集し、これに応じて自ストレージ装置内のライセンス管理テーブル40を更新する。
【0117】
また、上述のようなリモートコピー機能を利用する場合、正側上位ストレージ装置51及び副側上位ストレージ装置53間におけるリモートコピーに対して、これら正側上位ストレージ装置51及び副側上位ストレージ装置53のそれぞれにライセンスが必要となり、正側下位ストレージ装置52及び副側下位ストレージ装置54間におけるリモートコピーに対して、これら正側下位ストレージ装置52及び副側下位ストレージ装置54のそれぞれにライセンスが必要となる。
【0118】
そこで、正側下位ストレージ装置52、副側上位ストレージ装置53又は副側下位ストレージ装置54の各管理端末66〜68は、ユーザ操作によりリモートコピー機能についての新たな設定指示(新規設定又は容量の増大等)が入力された場合、図12について上述したオプション機能設定処理手順RT5に従って、リモートコピー機能についてのユーザにより指定された容量のライセンス付与を要求(ライセンス付与要求)をネットワーク67を介して正側上位ストレージ装置51の管理端末65に送信する。
【0119】
このとき正側上位ストレージ装置51の管理端末65は、かかる正側下位ストレージ装置52、副側上位ストレージ装置53又は副側下位ストレージ装置54の管理端末66〜68から与えられるライセンス付与要求に応答して、図13について上述したライセンス送付要求受信処理手順RT6に従ってその正側下位ストレージ装置52、副側上位ストレージ装置53又は副側下位ストレージ装置54に対してライセンスを付与する。そして、このライセンスが付与された正側下位ストレージ装置52、副側上位ストレージ装置53又は副側下位ストレージ装置54の管理端末66〜68は、そのライセンスに応じてリモートコピー機能についての設定処理を行う。
【0120】
なお、かかる構成のストレージシステム50において、正側下位ストレージ装置52内の論理ボリュームVOL2に格納されたデータを副側下位ストレージ装置54内の論理ボリュームVOL4にコピーする方法として、正側下位ストレージ装置52から信号線64を介して副側下位ストレージ装置54にデータを転送する方法と、正側下位ストレージ装置52から正側上位ストレージ装置51及び副側上位ストレージ装置53を順次介して副側下位ストレージ装置54にデータを転送する方法の2通りの方法がある。
【0121】
この場合、正側下位ストレージ装置52が提供する記憶領域は正側上位ストレージ装置51によって当該正側上位ストレージ装置51が提供する記憶領域として仮想化され、副側下位ストレージ装置54が提供する記憶領域は副側上位ストレージ装置53によって当該副側上位ストレージ装置53が提供する記憶領域として仮想化されるため、後者の方法によると、正側下位ストレージ装置52及び副側下位ストレージ装置54間のリモートコピーに対するライセンスの他に、正側上位ストレージ装置51及び副側上位ストレージ装置53間のリモートコピーに対するライセンスも必要となり、同じデータについてのリモートコピーが2重に加算されることとなる。
【0122】
そこで、このストレージシステム50では、正側下位ストレージ装置52及び副側下位ストレージ装置54間のリモートコピーの対象となっている論理ボリュームVOL2に格納されたデータについては、これを正側上位ストレージ装置51及び副側上位ストレージ装置63を介してリモートコピーする場合に、これら正側上位ストレージ装置51及び副側上位ストレージ装置53の各管理端末65,67が当該データをライセンスの対象とせず、これによりユーザの経済的な負担をより一層と軽減し得るようになされている。
【0123】
(3)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、本発明を、上位ストレージ装置4に対して下位ストレージ装置5が1台のみ接続されたストレージシステム1に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、1台の上位ストレージ装置4に対して複数台の下位ストレージ装置5が接続されたストレージシステムにも適用することができる。この場合において、上位ストレージ装置4は、各下位ストレージ装置5からのライセンス付与要求に応じて、要求された容量のライセンスをその下位ストレージ装置5に付与するようにすれば良い。
【0124】
また上述の実施の形態においては、上位ストレージ装置4に下位ストレージ装置5が接続されたときに、上位ストレージ装置4から送信されるライセンス管理情報送付要求の受信をトリガとして、つまり上位ストレージ装置4からの働きかけをトリガとして下位ストレージ装置5が上位ストレージ装置4に自ストレージ装置が所有するライセンスの余剰分を上位ストレージ装置4に送付するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、上位ストレージ装置4に下位ストレージ装置5が接続されたときに、上位ストレージ装置4からの働きかけを受けることなく自らのタイミングで下位ストレージ装置5が上位ストレージ装置4に余剰分のライセンスを送付するようにストレージシステム1を構築するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、ストレージ装置を他のストレージ装置に接続して仮想デバイスとして使用するバーチャライゼーションシステムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本実施の形態によるストレージシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】管理端末の構成を示すブロック図である。
【図3】ライセンスキーの説明に供する概念図である。
【図4】ライセンス管理テーブルの説明に供する概念図である。
【図5】ライセンスキーのインストール処理の説明に供するフローチャートである。
【図6】上位ストレージ装置及び下位ストレージ装置の起動処理の説明に供するフローチャートである。
【図7】上位ストレージ装置によるライセンス管理の説明に供するブロック図である。
【図8】上位ストレージ装置によるライセンス管理の説明に供するブロック図である。
【図9】上位ストレージ装置によるライセンス管理の説明に供するブロック図である。
【図10】ライセンスの吸上げ処理に関する上位ストレージ装置側の動作説明に供するフローチャートである。
【図11】ライセンスの吸上げ処理に関する下位ストレージ装置側の動作説明に供するフローチャートである。
【図12】下位ストレージ装置に対するオプション機能設定に関する下位ストレージ装置側の動作説明に供するフローチャートである。
【図13】下位ストレージ装置に対するオプション機能設定に関する上位ストレージ装置側の動作説明に供するフローチャートである。
【図14】本実施の形態に係るライセンス管理方法をリモートコピー機能に適用した場合の説明に供するブロック図である。
【符号の説明】
【0127】
1,50……ストレージシステム、2……ホスト装置、4……上位ストレージ装置、5……下位ストレージ装置、10A,10B……ディスクデバイス、18,22,65〜68……管理端末、23,67……ネットワーク、30……CPU、33……表示部、34……ハードディスクドライブ、40……ライセンス管理テーブル、51……正側上位ストレージ装置、52……正側下位ストレージ装置、53……副側上位ストレージ装置、54……副側下位ストレージ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のストレージ装置に1又は複数の第2のストレージ装置が接続され、前記第1のストレージ装置が各前記第2のストレージ装置を仮想化するストレージシステムにおいて、
前記第1のストレージ装置は、
外部から入力された所定のオプション機能を設定するためのライセンスキーに基づいて当該ライセンスキーの発行対象を判定し、当該ライセンスキーの発行対象が前記第2のストレージ装置であるときには、前記ライセンスキーを対応する前記第2のストレージ装置に転送する第1の管理部を備え、
前記第2のストレージ装置は、
前記第1のストレージ装置から送信された前記ライセンスキーに基づいて、自ストレージ装置の対応する前記オプション機能を設定する第2の管理部を備える
ことを特徴とするストレージシステム。
【請求項2】
前記第1の管理部は、
前記ライセンスキーの発行対象が自ストレージ装置であるときには、当該ライセンスキーに基づいて、自ストレージ装置の対応する前記オプション機能を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載のストレージシステム。
【請求項3】
前記第1の管理部は、
前記オプション機能についての使用許可でなるライセンスを所有する前記第2のストレージ装置が接続されたときには、当該第2のストレージ装置の前記第2の管理部に対して当該第2のストレージ装置が所有する前記ライセンスの送付を要求し、
前記第2の管理部は、
当該要求に応じて前記第2のストレージ装置が所有する余剰分の前記ライセンスを前記第1の管理部に送付し、
前記第1の管理部は、
前記第2の管理部から送付された前記ライセンスを管理し、必要に応じて前記第1のストレージ装置及び又は前記第2のストレージ装置に前記ライセンスを付与する
ことを特徴とする請求項1に記載のストレージシステム。
【請求項4】
前記第2の管理部は、
必要時に、必要なオプション機能についての必要な容量分の前記ライセンスを前記第1の管理部に要求し、
前記第1の管理部は、
要求された容量に応じた所定容量分の前記ライセンスを前記第2の管理部に付与する
ことを特徴とする請求項3に記載のストレージシステム。
【請求項5】
前記第1の管理部は、
前記第1のストレージ装置が、前記第2の管理部から要求された容量分の前記ライセンスを所有していないときには、当該要求を拒絶する
ことを特徴とする請求項5に記載のストレージシステム。
【請求項6】
第1のストレージ装置に1又は複数の第2のストレージ装置が接続され、前記第1のストレージ装置が各前記第2のストレージ装置を仮想化するストレージシステムにおけるライセンス管理方法において、
前記第1のストレージ装置が、外部から入力された所定のオプション機能を設定するためのライセンスキーに基づいて当該ライセンスキーの発行対象を判定し、当該ライセンスキーの発行対象が前記第2のストレージ装置であるときには、前記ライセンスキーを対応する前記第2のストレージ装置に転送する第1のステップと、
前記第2のストレージ装置が、前記第1のストレージ装置から送信された前記ライセンスキーに基づいて、自ストレージ装置の対応する前記オプション機能を設定する第2のステップと
を備えることを特徴とするライセンス管理方法。
【請求項7】
前記第1のストレージ装置は、
前記第1のステップにおいて、前記ライセンスキーの発行対象が自ストレージ装置であるときには、当該ライセンスキーに基づいて、自ストレージ装置の対応する前記オプション機能を設定する
ことを特徴とする請求項6に記載のライセンス管理方法。
【請求項8】
前記第1のストレージ装置は、
前記オプション機能についての使用許可であるライセンスを所有する前記第2のストレージ装置が接続されたときには、前記第2のストレージ装置に対して当該第2のストレージ装置が所有する前記ライセンスの送付を要求し、
前記第2のストレージ装置は、
当該要求に応じて前記第2のストレージ装置が所有する余剰分の前記ライセンスを前記第1のストレージ装置に送付し、
前記第1のストレージ装置は、
前記第2のストレージ装置から送付された前記ライセンスを管理し、必要に応じて前記第1のストレージ装置及び又は前記第2のストレージ装置に対して前記ライセンスを付与する
ことを特徴とする請求項6に記載のライセンス管理方法。
【請求項9】
前記第2のストレージ装置は、
必要時に、必要なオプション機能についての必要な容量分の前記ライセンスを前記第1のストレージ装置に要求し、
前記第1のストレージ装置は、
要求された容量に応じた所定容量分の前記ライセンスを前記第2のストレージ装置に付与する
ことを特徴とする請求項8に記載のライセンス管理方法。
【請求項10】
前記第1のストレージ装置は、
前記第2のストレージ装置から要求された容量分の前記ライセンスを所有していないときには、当該要求を拒絶する
ことを特徴とする請求項9に記載のライセンス管理方法。
【請求項11】
第1のストレージ装置に1又は複数の第2のストレージ装置が接続され、前記第1のストレージ装置が各前記第2のストレージ装置を仮想化するストレージシステムにおけるライセンス管理方法において、
前記第1のストレージ装置が、所定のオプション機能についての使用許可であるライセンスを所有する前記第2のストレージ装置が接続されたときに、当該第2のストレージ装置に対して当該第2のストレージ装置が所有する前記ライセンスの送付を要求する第1のステップと、
前記第2のストレージ装置が、当該要求に応じて前記第2のストレージ装置が所有する余剰分の前記ライセンスを前記第1のストレージ装置に送付する第2のステップと、
前記第1のストレージ装置が、前記第2のストレージ装置から送付された前記ライセンスを管理し、必要に応じて前記第1のストレージ装置及び又は前記第2のストレージ装置に対して前記ライセンスを付与する第3のステップと
を備えることを特徴とするライセンス管理方法。
【請求項12】
前記第3のステップにおいて、前記第2のストレージ装置は、
必要時に、必要なオプション機能についての必要な容量分の前記ライセンスを前記第1のストレージ装置に要求し、
前記第1のストレージ装置は、
要求された容量に応じた所定容量分の前記ライセンスを前記第2のストレージ装置に付与する
ことを特徴とする請求項11に記載のライセンス管理方法。
【請求項13】
前記第3のステップにおいて、前記第1のストレージ装置は、
前記第2のストレージ装置から要求された容量分の前記ライセンスを所有していないときには、当該要求を拒絶する
ことを特徴とする請求項12に記載のライセンス管理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−102439(P2007−102439A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290746(P2005−290746)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】