説明

ストレージ資源管理システム、ストレージ資源管理方法および管理計算機

【課題】従来のストレージシステムでは、複数の用途間でボリュームの重複なく、用途別にボリュームを分割することを、簡単かつ適切に行なうことが難しかった。また、ストレージ構成の変化や、用途やその用途に必要な容量の変化に応じて、ストレージ資源の用途別分割を柔軟に変更する手段を提供していなかった。
【解決手段】用途に適したボリューム特性の合致度別記述と用途の必要容量とを含む用途別ボリュームプロフィール100と、ボリュームとその特性の記述を含むボリューム特性表120とから、用途に割り当てたボリュームの総容量と用途の必要容量との比較結果に基づいて利用する合致度を調整しながら、用途に適したボリュームの特性に基づいて、ボリュームに最大1つの用途を割り当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレージ装置を管理するシステム(ストレージシステム)に関し、特に、ストレージシステムが提供する記憶領域(ストレージ資源)を用途別に分割または分析する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ストレージシステムは、例えば、SAN(Storage Area Network)などによって接続されたストレージ装置から構成される。ストレージ装置(「ディスクアレイサブシステム」とも呼ばれる)は、ボリュームと呼ばれる論理的な単位で、記憶領域をアプリケーションに提供する。このようなストレージシステムは、近年、次のような特徴を持って複雑化および大規模化が進んでいる。
(a)性能・信頼性・コスト・ベンダーなどが異なる多種多様なストレージ装置が混在
(b)ボリュームの特性を表す評価メトリックスが多種多様(レスポンスタイム、転送速度、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)構成、容量単価など)
【0003】
このような複雑で大規模なストレージシステムにおいて、ストレージ資源を管理する技術として、階層ストレージ管理技術、ポリシーに基づく管理技術などがある。これらは、ストレージ装置、RAID構成、ストレージ資源に要求される性能、コストなどの特性によって、ストレージ資源を分割して管理する技術である。階層ストレージ管理技術に関する従来技術としては、特許文献1ないし特許文献3が挙げられる。ポリシーに基づく管理技術に関する従来技術としては、特許文献4および特許文献5が挙げられる。
【特許文献1】特開2003−216460号公報
【特許文献2】特開2006−31668号公報
【特許文献3】特開2003−345522号公報
【特許文献4】特開2004−334561号公報
【特許文献5】特開2002−222061号公報
【0004】
図30は、従来技術におけるストレージグループ一覧表を作成する処理の流れを示す図である。ここで、ストレージグループ定義表200には、それぞれのストレージグループ201に属するボリュームの特性が条件202に記述されている。例えば、ストレージグループ201が「エンタープライズ」であるデータには、エンタープライズとしての用途に適したボリュームが属するように、条件202にレスポンスタイムに関する条件が記述されている。また、ボリューム特性表120は、ストレージ装置名121と、ボリューム番号122と、容量123と、状態124と、容量単価125と、レスポンスタイム126とを含んで構成されている。例えばストレージグループ管理処理S220は、ストレージグループ定義表200とボリューム特性表120とから、ストレージグループ201の条件202に合致したボリュームを集め、それぞれのストレージグループ201に属するボリュームを求める。そして、ストレージグループ一覧表210に、それぞれのストレージグループ211に属するボリュームの総容量212を提示することができる。ストレージグループ一覧表210は、ストレージグループ211と、総容量212とを含んで構成されている。
【0005】
ここで、ボリューム特性表120には、ボリューム121aないしボリューム121dが記述されており、ストレージグループ201が「メール」であるデータの条件202と合致するボリューム特性を有するボリュームは、ボリューム特性表120のボリューム121bおよびボリューム121cである。一方、ストレージグループ201が「アーカイブ」であるデータの条件202と合致するボリューム特性を有するボリュームは、ボリューム特性表120のボリューム121b、ボリューム121cおよびボリューム121dであり、ボリューム121bおよびボリューム121cが、「メール」と「アーカイブ」の両方のストレージグループに属する。
【0006】
このとき、ストレージシステムの利用者はストレージグループ一覧表210を見て、メール用に300GB、アーカイブ用に550GBの容量のボリュームを使用できると判断したとする。しかし、メール用にボリューム121bとボリューム121cを使用すると、アーカイブとしての用途に適したボリュームで未使用のボリュームはボリューム121dだけとなり、アーカイブ用に550GBの容量のボリュームを使用できなくなってしまう。
【0007】
図31は、従来技術におけるストレージ資源の分割状況を示すグラフである。図31を用いて(適宜図30参照)、従来技術におけるストレージ資源の分割について説明する。図31に示すように、ストレージ資源の分割状況を示すグラフは、容量単価M1およびレスポンスタイムM2を軸とし、容量単価M1およびレスポンスタイムM2を用いてボリュームをマッピングした点(●)がボリュームVである。エリアA1は、ボリュームVの特性として、ストレージグループ201が「エンタープライズ」であるデータの条件202に合致する範囲を示している。同様に、エリアA2は、ボリュームVの特性として、ストレージグループ201が「メール」であるデータの条件202に合致する範囲を示しており、エリアA3は、ボリュームVの特性として、ストレージグループ201が「アーカイブ」であるデータの条件202に合致する範囲を示している。
【0008】
例えば、エリアA1およびエリアA2の重なる部分に存在する点は、特性が、ストレージグループ201が「エンタープライズ」であるデータの条件202およびストレージグループ201が「メール」であるデータの条件202の両方に合致するボリュームVであり、すなわち、エンタープライズおよびメールの両方の用途に適するボリュームVである。
【0009】
これらの従来技術に基づくストレージシステムでは、ストレージ資源は、ストレージ装置名、RAID構成、レスポンスタイムなどといったボリュームの特性によって、いくつかのグループに分割される。したがって、ボリュームの用途によってストレージ資源を分割するには、ボリュームの用途に適したボリュームの特性を用いてストレージ資源を分割すれば良い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来技術では、単純にボリュームの特性を用いてストレージ資源を分割すると、ある特性を持ったボリュームが複数の用途に適することがあり、ストレージシステム利用者が、各用途に利用できるボリュームに関する情報(ボリュームの総容量など)を取得できないという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、複数の用途間でボリュームの重複がなく、用途別にストレージ資源を分割する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため、本発明のストレージ資源管理システムは、1つ以上のボリュームを持つストレージ装置と、管理計算機を備える。さらに管理計算機は、ボリュームの識別情報およびボリュームの特性値を対応させたボリューム特性情報と、ボリュームの用途およびこの用途に適するボリュームの特性値の条件を対応させた用途別ボリューム情報とを保持する。
【0013】
管理計算機は、用途別ボリューム情報に記述されたボリューム特性から単一の用途に適したボリューム特性を持ったボリュームに用途を割り当てる単一用途部分の割り当て手順と、複数の用途に適したボリューム特性を持ったボリュームをいずれかの用途に割り当てる複数用途共通部分の割り当て手順とを実行する。この管理計算機の手順によって、ボリュームには最大1つの用途、すなわち、1つの用途を割り当てられること、もしくはいずれの用途も割り当てられないことが記述された、用途別ボリューム割り当て情報を作成できる。
【0014】
以上のように、用途別ボリューム割り当て一覧表を作成することによって、複数の用途間でボリュームの重複がなく、用途別にストレージ資源を分割することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の用途間でボリュームの重複がなく、用途別にストレージ資源を分割することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
≪第1の実施形態≫
図1は、第1の実施形態におけるストレージシステムの構成図である。
図1に示すように、第1のストレージ装置380は、SAN370を介して第1のホスト350および第2のホスト360と接続されており、LAN(Local Area Network)330を介してストレージ管理サーバ310と接続されている。第1のストレージ装置380は、データの記憶領域であるボリューム382およびボリューム383と、SAN370を介したボリューム382またはボリューム383へのI/O、すなわち第1のストレージ装置380の外部からのデータの入出力を制御するコントローラ381を備える。
【0017】
第2のストレージ装置390は、第1のストレージ装置380と同様に、SAN370を介して第1のホスト350および第2のホスト360と接続されており、LAN330を介してストレージ管理サーバ310と接続されている。また、第2のストレージ装置390は、データの記憶領域であるボリューム392およびボリューム393と、SAN370を介したボリューム392またはボリューム393へのI/O、すなわち第2のストレージ装置390の外部からのデータの入力および第2のストレージ装置390の外部へのデータの出力を制御するコントローラ391を備える。
【0018】
第1のホスト350は、ストレージのボリューム(ボリューム382、ボリューム383、ボリューム392またはボリューム393)を利用するアプリケーション351と、SAN370へのI/Oを制御するHBA(Host Bus Adapter)352とを備える。
【0019】
第2のホスト360は、第1のホスト350と同様に、アプリケーション361と、HBA362とを備える。
【0020】
ストレージ管理サーバ310は、記憶部320と、処理部340とを備える。記憶部320は、例えばRAM(Random Access Memory)などから構成され、後記する処理部340が実行するプログラム、データなどを格納するものである。記憶部320は、ストレージ資源分割プログラム130と、ストレージグループ管理プログラム220と、用途別ボリュームプロフィール100と、用途別ボリューム割り当て方針表110と、ボリューム特性表120と、用途別ボリューム割り当て一覧表500と、用途別ストレージ資源ポートフォリオ140と、ストレージグループ定義表200とを格納する。ストレージ資源分割プログラム130は、処理部340によって実行されるプログラムである。ストレージ資源分割プログラム130の詳細な説明については、後記する。ストレージグループ管理プログラム220は、処理部340によって実行され、ストレージグループ定義表200の記述に基づいてストレージ資源を分割し、ストレージグループに所属するボリュームの管理、表示、ホストに割り当てるボリュームの選択など、ストレージシステムを管理するためのプログラムである。
【0021】
処理部340は、CPU(Central Processing Unit)などによって構成され、記憶部320に格納されているプログラム(ストレージ資源分割プログラム130、ストレージグループ管理プログラム220など)を実行する機能を有する。
【0022】
ストレージ管理クライアント300は、ストレージシステム30の利用者がストレージ管理サーバ310に接続するためのクライアントであり、LAN330を介してストレージ管理サーバ310に接続する。
【0023】
なお、図1に示すように、本実施形態において、ストレージシステム30は、2つのボリュームを有するストレージ装置2台が、ネットワークを介してそれぞれホスト2台に接続されている構成としたが、ストレージシステム30の構成はこれに限定されない。ストレージシステム30は、少なくとも、1つ以上のボリュームを持つストレージ装置と、そのストレージ装置にネットワークを介して接続されるホストと、そのストレージ装置に接続されるストレージ管理サーバとを含む構成であれば良い。
【0024】
図2は、第1の実施形態における主要な構成要素と処理の流れを示す図である。図2を参照して(適宜図1参照)、本実施形態の主要な構成要素と処理の流れを説明する。
用途別ボリュームプロフィール100は、用途に適したボリュームの特性を合致度別に記述したものである。用途の名前が用途101に、用途に適したボリュームの必要容量が必要容量102に、用途の優先度が優先度103に記述される。本実施形態では、必要容量102と優先度103とを用途別ボリュームプロフィール100に含めているが、これらを含めない実施形態も考えられる。
【0025】
用途に適したボリュームの特性は、そのボリューム特性の値の範囲で、合致度別に記述される。図2の例では、容量単価104とレスポンスタイム105とがボリューム特性として使用されている。これ以外のボリューム特性としては、転送速度、IOPS(Input/Output per Second)、使用率、RAID構成、ディスクの回転速度などを使うことができる。
【0026】
また、図2の例では、合致度106として、「理想」と「代替」と「許容」とが使われている。ここで、合致度106とは、ストレージ管理サーバ310がボリュームを用途に割り当てる場合におけるボリュームの特性(容量単価104、レスポンスタイム105など)のレベルと、用途の特性のレベルとの差の程度を示すものである。合致度「理想」は、理想的なボリューム特性を表し、ここには用途に適する最も理想的なボリューム特性が記述される。合致度「代替」は、本来は別の用途に適しているが、その用途のボリュームとして代替可能なボリューム特性を表し、ここには用途に適するが必要以上に高いレベルのボリューム特性が記述される。また、合致度「許容」は、必要容量が確保できない場合に、必要容量を確保するために許容可能な範囲のボリューム特性を表し、ここには用途に適するレベルよりも低いが許容できるレベルのボリューム特性が記述される。本実施形態では、合致度106として「理想」、「代替」、「許容」の3種類を使っているが、この数は異なっても良い。「理想」と「代替」との2種類でも良いし、4種類以上であっても良い。
【0027】
図2の用途別ボリュームプロフィール100の記述内容から、以下のことが判断できる。例えば、用途101が「メール」の行を参照すると、「メール」に適するボリュームのレスポンスタイム105は、理想的には50〜500の範囲のボリュームが必要であるが、よりレスポンスタイムの性能が良い0〜50の範囲を加えた0〜500の範囲のボリュームも、用途「メール」に適するボリュームとして代替可能である。また、必要容量を確保できない場合は、理想よりも性能が低い500〜800の範囲を加えた0〜800の範囲のボリュームを、用途「メール」に使うことが許容される。
【0028】
ストレージ資源分割処理S130は、用途別ボリューム割り当て手順S131と用途別ストレージ資源ポートフォリオ作成手順S133とストレージグループ定義作成手順S134とを備える。ストレージ資源分割処理S130は、ストレージ資源分割プログラム130が処理部340によって実行されることによって実現される。また、用途別ボリューム割り当て手順S131では、用途別ボリュームプロフィール100と、用途別ボリューム割り当て方針表110と、ボリューム特性表120とを参照して、用途別ボリューム割り当て一覧表500を作成し、用途別ストレージ資源ポートフォリオ作成手順S133とストレージグループ定義作成手順S134とに出力するが、この用途別ボリューム割り当て手順S131の詳細な説明については後記する。
【0029】
図3は、第1の実施形態における主要な構成要素と処理の流れを示す図である。図3を参照して(適宜図1参照)、本実施形態の主要な構成要素と処理の流れを説明する。
用途別ストレージ資源ポートフォリオ140は、ストレージ資源を用途別に分割した状況を提示するもので、用途別ボリューム容量一覧表150と余剰ボリューム容量一覧表160とを含み、ストレージ管理クライアント300から画面表示、ファイルなどの形式で参照することができる。
【0030】
用途別ボリューム容量一覧表150は、用途に割り当てたボリュームの総容量を用途別に示したものである。用途151は用途の名前を、状態152は用途に割り当てたボリュームの必要容量の満足状況、合致度の状況などを、必要容量153は用途の必要容量を、割当容量154は用途に割り当てたボリュームの総容量を、差分155は必要容量と割当容量との差(ここでは、割当容量−必要容量)を表す。合致度の内訳157は、ボリュームが用途にどの合致度で割り当てられたかを表すために、ボリュームの割当容量を合致度別(理想158a、代替158bおよび許容158c)に表す。理想範囲での差分156は、理想158aの値から必要容量153の値を引いた値を表す。
【0031】
余剰ボリューム容量一覧表160は、用途に割り当てなかったボリュームの状況を示したものである。用途161は用途の名前を、代替162はその用途に割り当てなかったが合致度「代替」のボリューム特性を満足するボリュームの総容量を、許容163はその用途に割り当てなかったが合致度「許容」のボリューム特性を満足するボリュームの総容量を表す。どの用途にも合致しない164は、全ての用途について、どの合致度のボリューム特性も満足しないボリュームの総容量を表す。
【0032】
ストレージグループ定義表200は、ストレージグループの定義を記述したもので、ストレージグループ管理処理では、これに基づいてストレージ資源を分割する。ストレージグループ201はストレージグループの名前を、条件202はストレージグループに所属するボリュームの特性の条件を表す。条件202には、ボリューム特性の条件式の形式で条件が表されているが、ストレージグループ管理処理に要求される形式に合わせて、他の形式で条件を表すこともある。ストレージグループ管理処理は、ストレージグループ管理プログラム220が処理部340によって実行されることによって実現される。
【0033】
図4は、第1の実施形態における用途別ボリューム割り当て手順に関係する、表の詳細および処理の流れを示す図である。図4を参照して(適宜図1参照)、本実施形態の用途別ボリューム割り当て手順に関係する、表の詳細と処理の流れについて説明する。
【0034】
用途別ボリュームプロフィール100は、図2に示したものと同様であるので、説明を省略する。
【0035】
用途別ボリューム割り当て方針表110は、複数の用途に適するボリュームをどのように1つの用途に割り当てるかを示す、共通部分の分割方法411を持つ。共通部分の分割方法411の値として、複数の用途に適するボリューム全体を等分して各用途に割り当てる「等分」、優先度の高い用途にボリュームを割り当てる「優先度」などがある。また、用途別ボリューム割当方針表110は、用途を割り当てる範囲を示す分割範囲412を持つ。分割範囲412の値として、ストレージシステム30に存在する全てのボリュームを示す「ストレージ全体」、ストレージシステム30に存在するボリュームで未使用のボリュームを示す「未使用」、特定のストレージ装置に存在するボリュームを示す「ストレージ装置名=<ストレージ装置名>」(<ストレージ装置名>の部分には、ストレージ装置の名前が入る)などがある。
【0036】
ボリューム特性表120は、ストレージシステム30に存在するボリュームの特性を記述したものである。ストレージ装置名121はストレージ装置の名前を、ボリューム番号122はボリュームを識別する番号を、容量123はボリュームの容量を、状態124はボリュームの使用状況を、容量単価125はボリュームの容量単価を、レスポンスタイム126はボリュームのレスポンスタイムを表す。図4に示した例では、ボリューム特性として容量単価とレスポンスタイムとが使われているが、用途別ボリュームプロフィール100に使われるボリューム特性と同様に、これ以外の特性を使うこともできる。ただし、ボリューム特性表120のボリューム特性は、用途別ボリュームプロフィール100に使われるボリューム特性を全て持たなければならない。
【0037】
図5は、第1の実施形態における用途別ボリューム割り当て手順に関係する、表の詳細および処理の流れを示す図である。図5を参照して(適宜図1参照)、本実施形態の用途別ボリューム割り当て手順に関係する、表の詳細と処理の流れについて説明する。
用途別ボリューム割り当て手順S131は、用途別ボリュームプロフィール100と、用途別ボリューム割り当て方針表110と、ボリューム特性表120とを入力して、ボリュームに割り当てた用途を記述した用途別ボリューム割り当て一覧表500を出力する。用途別ボリューム割り当て手順S131はいくつかのサブ手順に分割でき、初期化手順S431と、分割母体取得手順S432と、単一用途部分の割り当て手順S433と、複数用途共通部分の割り当て手順S434と、状態更新手順S435と、用途別ボリューム割り当て一覧出力手順S436とから構成される。また、用途別ボリューム割り当て手順S131は、内部状態として、用途別ボリューム割り当て作業状態440と、用途状態表450と、作業用ボリューム特性表460とを記憶部320に持つ。
【0038】
用途別ボリューム割り当て作業状態440は、用途別ボリューム割り当て手順S131の作業状態を表したものである。割り当て状態441は「割り当て」と「余剰」とのいずれかの値を持ち、用途別ボリューム割り当て手順S131が用途に割り当てるボリュームの用途を判定しているのか(「割り当て」の場合)、あるいは用途に割り当てられなかったボリュームの用途を判定しているのか(「余剰」の場合)を表す。用途への合致度442は、用途別ボリューム割り当て手順S131が用途別ボリュームプロフィール100のいずれの合致度106について、ボリュームの用途を判定しているのかを表す。
【0039】
用途状態表450は、用途に割り当てたボリュームの状況を表したものである。用途451は用途の名前を、割り当て容量452は用途に割り当てた容量を、必要容量の割り当て453は用途にボリュームへの必要容量以上割り当てたか否かを表す。必要容量の割り当て453の値は「完了」または「未完了」となる。
【0040】
作業用ボリューム特性表460は、ボリュームに用途を割り当てる作業に使う表であり、ボリューム特性表120の記述内容(状態124)の代わりに、用途割り当てに関する記述(用途463、割り当て状態464および合致度465)が加わったものである。ストレージ装置名461、ボリューム番号462、容量466、容量単価467およびレスポンスタイム468は、ボリューム特性表120のストレージ装置名121、ボリューム番号122、容量123、容量単価125およびレスポンスタイム126にそれぞれ対応し、同じ内容を表す。ボリューム特性表120が、容量単価125およびレスポンスタイム126以外の特性を含む場合、その特性が作業用ボリューム特性表460にも含まれることになる。また、用途463、割り当て状態464および合致度465は、図6を参照して、後記する用途別ボリューム割り当て一覧表500の用途504、割り当て状態505および合致度506にそれぞれ対応し、同じ内容を表す。
【0041】
図6は、第1の実施形態における用途別ボリューム割り当て一覧表の詳細を示す図である。用途別ボリューム割り当て一覧表500は、ボリュームに割り当てた用途を記述したもので、ストレージ装置名501はストレージ装置名を、ボリューム番号502はボリュームを識別する番号を、容量503はボリュームの容量を表す。用途504はボリュームに割り当てた用途もしくは割り当て可能な用途を表す。用途504は空欄の場合があり、これはボリュームがどの用途にも割り当てられないことを表す。割り当て状態505は、ボリュームに用途を割り当てた状態を表し、「割り当て」、「余剰」、空欄のいずれかとなる。割り当て状態505が「割り当て」の場合、用途504に記述された用途がボリュームに割り当てられたことを表す。割り当て状態505が「余剰」の場合、ボリュームには用途を割り当てなかったが、用途504に記述された用途に割り当て可能であることを表す。合致度506は、用途504に用途が記述されている場合に、ボリュームがどの合致度のボリューム特性を満足するか、すなわちボリュームの用途に対する合致度を表す。合致度506は、用途504が空欄の場合、空欄である。
【0042】
図7は、第1の実施形態における初期化手順および分割母体取得手順の流れを示すフローチャート図である。図7を参照して(適宜図1ないし図6参照)、本実施形態の初期化手順S431および分割母体取得手順S432について説明する。
【0043】
初期化手順S431は、処理部340が用途別ボリューム割り当て作業状態440と用途状態表450とを初期化する手順である。まず、処理部340は、用途別ボリューム割り当て作業状態440を初期化するために、用途別ボリューム割り当て作業状態440の割り当て状態441を「割り当て」、用途への合致度442を「理想」に設定する(ステップS601)。そして、用途状態表450を初期化するために、用途状態表450の行を全て削除し、用途別ボリュームプロフィール100の全ての用途101に対応する行を追加する。このとき、割り当て容量452を0、必要容量の割り当て453を「未完了」に設定する(ステップS602)。その後、分割母体取得手順S432へ進む。
【0044】
分割母体取得手順S432は、ボリューム特性表120から用途を割り当てるボリュームを取得し、作業用ボリューム特性表460を作成する手順である。まず、分割母体取得手順S432は、分割範囲412の値を判定する(ステップS611)。分割範囲412の値が「ストレージ全体」の場合(ステップS611で「ストレージ全体」)、ボリューム特性表120の全ての行を作業用ボリューム特性表460にコピーする(ステップS612)。分割範囲412の値が「未使用」の場合(ステップS611で「未使用」)、ボリューム特性表120のうち、状態124が「未使用」の行を作業用ボリューム特性表460にコピーする(ステップS613)。分割範囲412の値が「ストレージ装置名=<ストレージ装置名>」(<ストレージ装置名>にはストレージ装置名が入る)の場合(ステップS611で「ストレージ装置名=<ストレージ装置名>」)、ボリューム特性表120のうち、ストレージ装置名121が分割範囲412に記述されたストレージ装置名と一致する行を作業用ボリューム特性表460にコピーする(ステップS614)。
【0045】
図8は、第1の実施形態における単一用途部分の割り当て手順の流れを示すフローチャート図である。図8を参照して(適宜図1ないし図6参照)、本実施形態の単一用途部分の割り当て手順S433について説明する。
【0046】
単一用途部分の割り当て手順S433は、分割母体取得手順S432の後、もしくは状態更新手順S435の後に実行され、処理部340が、単一の用途に適したボリューム特性を持ったボリュームに用途を割り当てる手順である。
【0047】
まず、処理部340は、作業用ボリューム特性表460のうち、割り当て状態464が空欄である行(ボリューム)Vについて、以下の処理を繰り返す(ステップS701)。続いて、用途別ボリュームプロフィール100の全ての行(用途)Uについて、以下の処理を繰り返す(ステップS702)。まず、割り当て状態441が「割り当て」かつ用途への合致度442が「理想」以外の値かつUの用途101と同じ値の用途451を持つ用途状態表450の行について、その必要容量の割り当て453が「完了」、が成り立つか否かを判定する(ステップS703)。成り立つ場合(ステップS703で「Yes」)、ステップS702に戻り、次の繰り返し処理を行う。成り立たない場合(ステップS703で「No」)、ステップS704以下の手順を実行する。
【0048】
Uから、用途への合致度442に対応するボリューム特性の条件を取得(ステップS704)し、Vが、ステップS704で取得したボリューム特性の条件を満足するか否かを判定する(ステップS705)。例えば、Uの用途101が「エンタープライズ」、用途への合致度442が「許容」であれば、ステップS704では、容量単価104の「許容」として(任意)を、レスポンスタイム105の「許容」として0〜250を取得し、ステップS705では、それらの値と、容量単価467およびレスポンスタイム468とをそれぞれ比較する。満足しない場合(ステップS705で「No」)、ステップS702に戻り、次の繰り返し処理を行う。満足する場合(ステップS705で「Yes」)、Vの用途463に、Uの用途101を追加(集合への要素を追加)する(ステップS706)。この追加操作は集合への追加演算であり、例えば、Vの用途463が「メール」でUの用途101が「アーカイブ」の場合、Vの用途463は「メール、アーカイブ」となる。このステップS706を実行した後、ステップS702に戻り、次の繰り返し処理を行う。
【0049】
ステップS702からステップS707までの繰り返し処理が終了した後、Vの用途463に追加されている用途が1つであるか否かを判定する(ステップS708)。1つであった場合(ステップS708で「Yes」)、後記する用途割り当て関数を呼び出し(ステップS709)、ステップS701に戻り、次の繰り返し処理を行う。用途割り当て関数を呼び出す際の引数は第1引数がVで、第2引数がVの用途463である。ステップS708の判定で用途が1つではなかった場合(ステップS708で「No」)、ステップS701に戻り、次の繰り返し処理を行う。以上により、ステップS701からステップS710までの繰り返し処理が終了したら、複数用途共通部分の割り当て手順S434へ進む。
【0050】
図9は、第1の実施形態における用途割り当て関数の処理の流れを示すフローチャート図である。図9を参照して(適宜図1ないし図6参照)、本実施形態の用途割り当て関数について説明する。
【0051】
用途割り当て関数は、第1引数Vに作業用ボリューム特性表460の1行を受け取り、第2引数Uに用途を表す値を受け取る関数で、処理部340が、ボリュームVに用途Uを割り当てるときの手順である。
【0052】
用途割り当て関数において、処理部340は、まず、関数の引数を取得する。具体的には、関数の第1引数Vとして、作業用ボリューム特性表460の行、第2引数Uとして、用途を表す値を取得する(ステップS801)。次に、Vの割り当て状態464に、用途別ボリューム割り当て作業状態440の割り当て状態441の値を設定し(ステップS802)、Vの合致度465に、用途別ボリューム割り当て作業状態440の用途への合致度442の値を設定する(ステップS803)。続いて、用途別ボリューム割り当て作業状態440の割り当て状態441の値が「割り当て」であるか否かを判定し(ステップS804)、この値が「余剰」であれば(ステップS804で「No」)、この関数の実行を終了する。「割り当て」であれば(ステップS804で「Yes」)、ステップS805以降のステップを実行する。
【0053】
次に、用途状態表450で、用途451がUの値と一致する行をSとし(ステップS805)、Sの割り当て容量452に、Vの容量466の値を加える(ステップS806)。ここで、用途別ボリュームプロフィール100の用途101の値が、Uの値と一致する行の必要容量102を取得し(ステップS807)、Sの割り当て容量452がステップS807で取得した必要容量102以上であるか否かを判定する(ステップS808)。Sの割り当て容量452が必要容量102より小さければ(ステップS808で「No」)、この関数の実行を終了する。Sの割り当て容量452が必要容量102以上であれば(ステップS808で「Yes」)、Sの必要容量の割り当て453の値を「完了」に変更する(ステップS809)。
【0054】
図10は、第1の実施形態における複数用途共通部分の割り当て手順の流れを示すフローチャート図である。図10を参照して(適宜図1ないし図6参照)、本実施形態の複数用途共通部分の割り当て手順S434について説明する。
【0055】
複数用途共通部分の割り当て手順S434は、単一用途部分の割り当て手順S433の後に実行される手順で、複数の用途に適したボリューム特性を持ったボリュームをいずれかの用途に割り当てる手順である。
【0056】
まず、処理部340は、共通部分の分割方法411の値を判定する(ステップS901)。共通部分の分割方法411の値が「優先度」であれば(ステップS901で「優先度」)、共通部分を優先度に従って割り当てる関数(以下、「優先度依存型割り当て関数」ともいう。)を実行し(ステップS902)、「等分」であれば(ステップS901で「等分」)、共通部分を等分して割り当てる関数(以下、「等分型割り当て関数」ともいう。)を実行する(ステップS903)。優先度依存型割り当て関数および等分型割り当て関数についての説明は、後記する。以上で複数用途共通部分の割り当て手順434は終了であり、処理部340は、状態更新手順S435へ進む。状態更新手順S435についての説明は、後記する。
【0057】
図11は、第1の実施形態における優先度依存型割り当て関数の処理の流れを示すフローチャート図である。図11を参照して(適宜図1ないし図6参照)、本実施形態の優先度依存型割り当て関数について説明する。
【0058】
優先度依存型割り当て関数において、処理部340は、作業用ボリューム特性表460のうち、割り当て状態464が空欄である行(ボリューム)Vについて、以下の処理を繰り返す(ステップS1001)。まず、Vの用途463に2つ以上の用途が設定されているか否かを判定する(ステップS1002)。設定されていなければ(ステップS1002で「No」)、ステップS1001に戻り、次の繰り返し処理を行う。設定されていれば(ステップS1002で「Yes」)、ステップS1003以下の手順を実行する。
【0059】
ここで、Vの用途463に設定されている用途のうち、用途別ボリュームプロフィール100の優先度103が最も高い(値が小さい)用途101をUとする(ステップS1003)。そして、用途割り当て関数を、第1引数をV、第2引数をUとして実行する(ステップS1004)。この関数の処理が終了したら、ステップS1001に戻り、次の繰り返し処理を行う。以上により、ステップS1001からステップS1005までの繰り返し処理が終了したら、優先度依存型割り当て関数を終了する。
【0060】
図12および図13は、第1の実施形態における等分型割り当て関数の処理の流れを示すフローチャート図である。図12および図13を参照して(適宜図1ないし図6参照)、本実施形態の等分型割り当て関数について説明する。
【0061】
等分型割り当て関数において、処理部340は、作業用ボリューム特性表460のうち、割り当て状態464が空欄である行(ボリューム)Vについて、以下の処理を繰り返す(ステップS1101)。まず、Vの用途463に2つ以上の用途が設定されているか否かを判定する(ステップS1102)。設定されていなければ(ステップS1102で「No」)、ステップS1101に戻り、次の繰り返し処理を行う。設定されていれば(ステップS1102で「Yes」)、ステップS1103以下の手順を実行する。
【0062】
まず、変数U0とU1に、Vの用途463の値をコピーする(U0=U1=Vの用途463)(ステップS1103)。次に、作業用ボリューム特性表460について、用途463=U0(用途全てが一致)が成り立つ行の容量466の合計totalを計算する(ステップS1104)。ここで、用途463=U0(用途全てが一致)が成り立つとは、用途463に含まれる全ての用途が、U0に含まれる用途全てと一致する(集合として等しい)ことをいい、用途463=U0を満たす全ての行について、その容量466の合計totalを計算する。等分容量(総容量totalを複数の用途で分割した容量)divisionを、division=total/(U0に設定されている用途の個数)で計算する(ステップS1105)。
【0063】
続いて、変数capacity=0とする(ステップS1106)。そして、作業用ボリューム特性表460のうち、割り当て状態464が空欄である行(ボリューム)V2について、以下の処理を繰り返す(ステップS1107)。まず、V2の用途463がU0と一致(用途が全て一致)するか否かを判定する(ステップS1108)。すなわち、V2の用途463とU0とが集合として等しいか否かを判定する。この判定が成り立たない場合(ステップS1108で「No」)、ステップS1107に戻り、次の繰り返し処理を行う。この判定が成り立つ場合(ステップS1108で「Yes」)、S1109以降のステップを実行する。
【0064】
U1に設定されている用途のうち、用途別ボリュームプロフィール100の優先度103が最も高い(優先度103の値が最も小さい)用途101をUとする(ステップS1109)。そして、用途割り当て関数を、第1引数をV2、第2引数をUとして実行する(ステップS1110)。そして、変数capacityにcapacity+V2の容量466を代入する(ステップS1111)。ここで、変数capacityが等分容量division以上か否かを判定する(ステップS1112)。この判定が成り立たない場合(ステップS1112で「No」)、ステップS1107に戻り、次の繰り返し処理を行う。この判定が成り立つ場合(ステップS1112で「Yes」)、ステップS1113以降のステップを実行する。
【0065】
次に、U1に設定されている用途からUを取り除く(ステップS1113)。ここでは、集合U1から要素Uを取り除く演算を行うこととなる。そして、変数capacity=0とする(ステップS1114)。その後、ステップS1107に戻り、次の繰り返し処理を行う。ステップS1107からステップS1115までの繰り返し処理が終了したら、ステップS1101に戻り、次の繰り返し処理を行う。ステップS1101からステップS1116までの繰り返し処理が終了したら、等分型割り当て関数を終了する。
【0066】
以上において説明したように、用途別ボリュームプロフィール100の各用途101に、作業用ボリューム特性表460のボリュームを等分に割り当てる際、作業用ボリューム特性表460からボリュームのデータを取り出した順に、優先度103の高い用途に割り当てることとしたが、ボリュームを等分する方法については、これに限定されない。例えば、ボリュームの特性にも優先度を設けておき、作業用ボリューム特性表460から取り出したボリュームのデータのうち、優先度の高い特性が優れたボリュームから順に(レスポンスタイム126の優先度が高ければ、レスポンスタイム126の値が小さいボリュームから順に)優先度103の高い用途に割り当てることとしても良い。
【0067】
図14は、第1の実施形態における状態更新手順および用途別ボリューム割り当て一覧出力手順の流れを示すフローチャート図である。図14を参照して(適宜図1ないし図6参照)、本実施形態の状態更新手順S435および用途別ボリューム割り当て一覧出力手順S436について説明する。
【0068】
ここで、状態更新手順S435は、用途別ボリューム割り当て作業状態440を更新し、単一用途部分の割り当て手順S433へ移るか、もしくは用途別ボリューム割り当て一覧出力手順S436へ移るかを判定する手順である。用途別ボリューム割り当て一覧出力手順S436は、作業用ボリューム特性表460を入力して用途別ボリューム割り当て一覧表500を出力する手順である。
【0069】
状態更新手順S435において、処理部340は、まず、用途別ボリューム割り当て作業状態440の用途への合致度442の値を判定する(ステップS1201)。用途への合致度442が「理想」の場合は(ステップS1201で「理想」)、用途への合致度442を「代替」に変更し(ステップS1202)、「代替」の場合は(ステップS1201で「代替」)、用途への合致度442を「許容」に変更する(ステップS1203)。その後、用途別ボリューム割り当て作業状態440の割り当て状態441の値が「割り当て」であり、かつ用途状態表450の必要容量の割り当て453が全て「完了」であるか否かを判定する(ステップS1204)。この判定が成り立たない場合(ステップS1204で「No」)、状態更新手順S435を終了し、単一用途部分の割り当て手順S433へ処理を移す。この判定が成り立つ場合(ステップS1204で「Yes」)、以降のステップS1206に処理を進める。
【0070】
ステップS1201において、用途への合致度442の値が「許容」であった場合(ステップS1201で「許容」)、用途別ボリューム割り当て作業状態440の割り当て状態441が「割り当て」であるか否かを判定する(ステップS1205)。この判定が成り立たない場合(ステップS1205で「No」)、状態更新手順S435を終了し、用途別ボリューム割り当て一覧出力手順S436へ処理を移す。この判定が成り立つ場合(ステップS1205で「Yes」)、以降のステップS1206に処理を進める。
【0071】
ステップS1206では、割り当て状態441を「余剰」に変更する(ステップS1206)。次に、用途への合致度442を「理想」に変更する(ステップS1207)。そして状態更新手順S435を終了し、単一用途部分の割り当て手順S433へ処理を移す。
【0072】
用途別ボリューム割り当て一覧出力手順S436では、作業用ボリューム特性表460から、ストレージ装置名461、ボリューム番号462、容量466、用途463、割り当て状態464、合致度465の列を取り出して、用途別ボリューム割り当て一覧表500として出力する(ステップS1210)。ここでは、作業用ボリューム特性表460の全ての行について、ストレージ装置名461、ボリューム番号462、容量466、用途463、割り当て状態464、合致度465の列を取り出すものとする。
【0073】
図15、図16および図17は、第1の実施形態における用途別ストレージ資源ポートフォリオ作成手順の流れを示すフローチャート図である。図15、図16および図17を参照して(適宜図1ないし図6参照)、本実施形態の用途別ストレージ資源ポートフォリオ作成手順S133について説明する。
【0074】
ここで、用途別ストレージ資源ポートフォリオ作成手順S133は、用途別ボリューム割り当て一覧表500から、用途別ボリューム容量一覧表150と余剰ボリューム容量一覧表160とを含む用途別ストレージ資源ポートフォリオ140を作成する手順である。
【0075】
用途別ストレージ資源ポートフォリオ作成手順S133において、処理部340は、まず、用途別ボリューム容量一覧表150に、用途別ボリュームプロフィール100の用途101と同じ数だけの行を作成し、用途151に用途101の値、必要容量153に必要容量102の値を設定する。そして全ての行の割当容量154に0、合致度の内訳157の各合致度158の理想、代替、許容に0を設定する(ステップS1301)。次に、余剰ボリューム容量一覧表160に、用途別ボリュームプロフィール100の用途101と同じ数だけの行を作成し、用途161に用途101の値を設定する。そして全ての行の代替162、許容163に0を設定する。また、どの用途にも合致しない164の行も余剰ボリューム容量一覧表160に追加する(ステップS1302)。
【0076】
そして、用途別ボリューム割り当て一覧表500の全ての行(ボリューム)Vについて、以下の処理を繰り返す(ステップS1303)。ここで、Vの割り当て状態505の値を判定する(ステップS1304)。
【0077】
割り当て状態505の値が「割り当て」の場合(ステップS1304で「割り当て」)、用途別ボリューム容量一覧表150で、Vの用途504と同じ値の用途151の行をUとし(ステップS1310)、Uの割当容量154の値に、Vの容量503の値を加算する(ステップS1311)。次に、Uの合致度の内訳157のうち、Vの合致度506と同じ合致度158の値に、Vの容量503の値を加算する(ステップS1312)。その後、ステップS1303に戻り、次の繰り返し処理を行う。
【0078】
ステップS1304で割り当て状態505の値が「余剰」の場合(ステップS1304で「余剰」)、余剰ボリューム容量一覧表160で、Vの用途504と同じ値の用途161の行をUとし(ステップS1320)、Uの列のうち、Vの合致度506と同じ合致度の列の値に、Vの容量503の値を加算する(ステップS1321)。その後、ステップS1303に戻り、次の繰り返し処理を行う。
【0079】
ステップS1304で割り当て状態505の値が空欄の場合(ステップS1304で「空欄」)、余剰ボリューム容量一覧表160のどの用途にも合致しない164の値に、Vの容量503の値を加算する(ステップS1330)。その後、ステップS1303に戻り、次の繰り返し処理を行う。
【0080】
ステップS1303からステップS1340までの繰り返し処理が終了したら、続いて、用途別ボリューム容量一覧表150の全ての行(用途)Uについて、以下の処理を繰り返す(ステップS1351)。まず、Uの差分155に、Uの割当容量154の値からUの必要容量153の値を引いた値を設定する(ステップS1352)。次に、Uの理想範囲での差分156に、Uの理想158aの値からUの必要容量153の値を引いた値を設定する(ステップS1353)。ここで、Uの差分155が0未満であるか否かを判定する(ステップS1354)。
【0081】
Uの差分155が0未満であれば(ステップS1354で「Yes」)、Uの状態152に「不足」を設定し(ステップS1355)、ステップS1351に戻り、次の繰り返し処理を行う。また、Uの差分155が0以上であれば(ステップS1354で「No」)、Uの理想範囲での差分156を判定する(ステップS1356)。Uの理想範囲での差分156が0以上であれば(ステップS1356で「Yes」)、Uの状態152に「理想」を設定し(ステップS1357)、ステップS1351に戻り、次の繰り返し処理を行う。さらに、Uの理想範囲での差分156が0未満であれば(ステップS1356で「No」)、Uの理想158aとUの代替158bとの和が、Uの必要容量153以上であるか否かを判定する(ステップS1358)。この判定が成り立つ場合(ステップS1358で「Yes」)、Uの状態152に「代替」を設定し(ステップS1359)、ステップS1351に戻り、次の繰り返し処理を行う。成り立たない場合(ステップS1358で「No」)、Uの状態152に「許容」を設定し(ステップS1360)、ステップS1351に戻り、次の繰り返し処理を行う。ステップS1351からステップS1361までの繰り返し処理が終了したら、用途別ストレージ資源ポートフォリオ作成手順S133を終了する。
【0082】
図18は、第1の実施形態におけるストレージグループ定義作成手順の流れを示すフローチャート図である。図18を参照して(適宜図1ないし図6参照)、本実施形態のストレージグループ定義作成手順S134について説明する。
【0083】
ストレージグループ定義作成手順S134は、用途別ボリューム割り当て一覧表500から、ストレージグループ定義表200を作成する手順である。
【0084】
ストレージグループ定義作成手順S134において、処理部340は、まず、ストレージグループ定義表200に、用途別ボリュームプロフィール100の用途101と同じ数だけの行を追加し、ストレージグループ201に用途101の値を設定する(ステップS1501)。次に、用途別ボリューム割り当て一覧表500の全ての行(ボリューム)Vについて、以下の処理を繰り返す(ステップS1502)。まず、Vの割り当て状態505の値が「割り当て」であるか否かを判定する(ステップS1503)。「割り当て」でなければ(ステップS1503で「No」)、ステップS1502に戻り、次の繰り返し処理を行う。
【0085】
Vの割り当て状態505の値が「割り当て」であれば(ステップS1503で「Yes」)、ストレージグループ定義表200において、ストレージグループ201の値がVの用途504の値と同じ行をGとし(ステップS1504)、Cを「ストレージ装置名=Vのストレージ装置名501の値 AND ボリューム番号=Vのボリューム番号502の値」とする(ステップS1505)。そして、Gの条件202を判定する(ステップS1506)。
【0086】
Gの条件202が空であれば(ステップS1506で「空である」)、Gの条件202にCの値を設定する(ステップS1507)。Gの条件202が空でなければ(ステップS1506で「空でない」)、Gの条件202に、「Gの条件202の値 OR Cの値」を設定する(ステップS1508)。ステップS1502からステップS1509までの繰り返し処理が終了したら、ストレージグループ定義作成手順S134を終了する。
【0087】
図19は、第1の実施形態における用途別ボリューム割り当て手順でのストレージ資源の分割状況の変化を示す図である。図19を参照して(適宜図1ないし図6参照)、本実施形態の用途別ボリューム割り当て手順S131でのストレージ資源の分割状況の変化について説明する。
【0088】
なお、ここでは、用途別ボリューム割り当て手順S131における用途別ボリューム割り当て作業状態440の変化を示すとともに、ボリューム割り当て一覧表500の変化の例を、図31と同様のグラフで示すことにする。図19に示すように、用途Uaが用途「エンタープライズ」に割り当てたボリュームの範囲、用途Ubが用途「メール」に割り当てたボリュームの範囲、用途Ucが用途「アーカイブ」に割り当てたボリュームの範囲を表している。ただし、図19では、グラフ上へのボリュームのマッピングは行っていないため、グラフ上のボリュームを表す点は省略されている。
【0089】
処理部340が用途別ボリューム割り当て手順S131を開始し、単一用途部分の割り当て手順S433の処理を終えた時点での状態を状態Saに示す。状態Saに示すように、用途別ボリューム割り当て作業状態440aの割り当て状態441aが「割り当て」で、用途への合致度442aが「理想」である。これは、合致度106が「理想」であるボリューム特性を用いて、ボリュームに用途を割り当てている状態にあることを示している。単一用途部分の割り当て手順S433によって、1つの用途にのみ適するボリュームに用途が割り当てられている。したがって、用途「エンタープライズ」に適する範囲Aa1に属するボリュームのうち、他の範囲と重ならない部分にあるボリュームが、用途「エンタープライズ」に割り当てられた状態となる(作業用ボリューム特性表460の用途463の値が「エンタープライズ」となる)。用途「エンタープライズ」に適する範囲Aa1と用途「メール」に適する範囲Aa2とが重なる範囲は、用途「エンタープライズ」にも用途「メール」にも割り当てられていない。また、用途「メール」に適する範囲Aa2と用途「アーカイブ」に適する範囲Aa3とが重なる範囲は、用途「メール」にも用途「アーカイブ」にも割り当てられていない。
【0090】
続いて、処理部340が複数用途共通部分の割り当て手順S434を実行すると、状態Sbに示すように、複数の用途に適する範囲のボリュームも、いずれかの用途に割り当てられる。状態Sbは、用途別ボリューム割り当て方針表110の共通部分の分割方法411が「等分」だったときの例を示している。例えば、用途「エンタープライズ」に適する範囲Aa1と用途「メール」に適する範囲Aa2との両方に属するボリュームの範囲は、用途「エンタープライズ」に割り当てられるボリュームの総容量と、用途「メール」に割り当てられるボリュームの総容量が等分されるように、いずれかの用途に割り当てられる。ここでは、レスポンスタイムの値が小さいほうの範囲Ab1が用途Ua、レスポンスタイムの値が大きいほうの範囲Ab2Aが用途Ubとなるように等分することにする。また、容量単位の値が大きいほうの範囲Ab2Bが用途Ub、容量単位が小さいほうの範囲Ab3がUcとなるように等分することにする。ただし、等分の方法は、このような方法に限定されない。
【0091】
次に、状態更新手順S435によって用途別ボリューム割り当て作業状態440aが用途別ボリューム割り当て作業状態440cに更新された後、処理部340が再び単一用途部分の割り当て手順S433と複数用途共通部分の割り当て手順S434とを実行した後の状態を状態Scに示す。状態Scに示すように、用途別ボリューム割り当て作業状態440cの割り当て状態441cは「割り当て」のままであるが、用途への合致度442cの値が「代替」に更新されており、状態Scは、合致度106が「代替」であるボリューム特性を用いて、ボリュームに用途を割り当てている状態である。例えば、用途「メール」の合致度「代替」のボリューム特性に適する範囲は範囲Ac1Aであり、そのうち、どの用途にも割り当てられていない範囲Ac1Bが、用途Ubに割り当てられている。ここでは、用途「アーカイブ」の割り当て容量452は必要容量102を満足しているため、用途「アーカイブ」の合致度「代替」に適するボリュームは用途「アーカイブ」に割り当てず、用途「エンタープライズ」の合致度「代替」に適するボリュームはなかったと判断している。
【0092】
さらに、状態更新手順S435によって用途別ボリューム割り当て作業状態440cが用途別ボリューム割り当て作業状態440dに更新された後、処理部340が再び単一用途部分の割り当て手順S433と複数用途共通部分の割り当て手順S434とを実行した後の状態を状態Sdに示す。状態Sdに示すように、用途別ボリューム割り当て作業状態440dの割り当て状態441dは「割り当て」のままであるが、用途への合致度442dの値が「許容」に更新されており、状態Sdは、合致度106が「許容」であるボリューム特性を用いて、ボリュームに用途を割り当てている状態である。例えば、用途「エンタープライズ」の合致度「許容」のボリューム特性に適する範囲は範囲Ad1Aであり、そのうち、どの用途にも割り当てられていない範囲Ad1Bが、用途Uaに割り当てられている。ここでは、用途「メール」の割り当て容量452と用途「アーカイブ」の割り当て容量452とは必要容量102を満足しているため、これらの用途の合致度「許容」に適するボリュームはなかったと判断している。
【0093】
このように、状態更新手順S435と単一用途部分の割り当て手順S433と複数用途共通部分の割り当て手順S434とを繰り返し実行し、用途別ボリューム割り当て作業状態440aが用途別ボリューム割り当て作業状態440dに更新され、割り当て状態441eが「余剰」、用途への合致度442eが「許容」となり、複数用途共通部分の割り当て手順S434の実行が終わった後の状態を、状態Seに示す。これは、合致度106が「許容」であるボリューム特性を用いて、どの用途にも割り当てられなかった余剰ボリュームに対し、どの用途に適しているかを判定し、作業用ボリューム特性表460の割り当て状態464に「余剰」を設定し、用途463に用途を設定する処理を終えた状態である。
【0094】
例えば、どの用途にも割り当てられなかったボリュームのうち、用途「メール」の合致度「許容」のボリューム特性を満足する範囲Ae1を、用途「メール」に利用可能な余剰ボリュームとしている。最終的にこのボリュームは、余剰ボリューム容量一覧表160の用途161「メール」の許容163に容量が記述されるボリュームとなる。また、どの用途にも割り当てられなかったボリュームのうち、用途「アーカイブ」の合致度「許容」のボリューム特性を満足する範囲Ae2を、用途「アーカイブ」に利用可能な余剰ボリュームとしている。最終的にこのボリュームは、余剰ボリューム容量一覧表160の用途161「アーカイブ」の許容163に容量が記述されるボリュームとなる。なお、ここでは、どの用途にも割り当てられなかったボリュームのうち、合致度106「理想」、「代替」のボリューム特性を満足するボリュームがなかったため、用途別ボリューム割り当て作業状態440の割り当て状態441が「余剰」で、用途への合致度442が「理想」、「代替」のときの状態は省略している。
【0095】
以上説明したように、ストレージシステムは、ボリュームが1つの用途に割り当てられていること、もしくはいずれの用途にも割り当てられていないことを示す用途別ボリューム割り当て一覧表を作成することができる。用途別ボリューム割り当て一覧表を作成することによって、ストレージシステムは、複数の用途間でボリュームの重複がなく、用途別にストレージ資源を分割することができる。
【0096】
さらに、用途別ボリュームプロフィールでは、各用途に必要な容量を表す必要容量、用途に適したボリューム特性を理想・代替・許容といった合致度別に記述することができる。例えば、理想の合致度には、用途に最も適したボリューム特性を記述する。代替の合致度には、用途に適するが、必要とするボリューム特性よりも高いレベルのボリューム特性を記述する。許容の合致度には、用途に適したボリュームが必要容量と比べて不足しているときに、必要とするボリューム特性よりも低いレベルだが、妥協できるレベルのボリューム特性を記述する。そして、ストレージ資源分割処理においてボリュームを用途に割り当てるときに、最初は理想の合致度に記述したボリューム特性を用いてボリュームに用途を割り当てる。
【0097】
ここで、もし用途に割り当てたボリュームの総容量が、必要容量と比べて不足していれば、代替の合致度に記述されたボリューム特性を用いて、ボリュームに用途を割り当てる。さらに、それでも用途に割り当てたボリュームの総容量が、まだ必要容量と比べて不足していれば、許容の合致度に記述されたボリューム特性を用いて、ボリュームに用途を割り当てる。
【0098】
さらに、ストレージ装置名といった物理的なストレージ構成を表すボリューム特性を用いてストレージ資源を分割すれば、ボリュームが複数の用途に適することはなくなるが、1台のストレージ装置が持つボリュームの総容量が近年増大しつつあることを考えると、用途に必要な容量と比べて、1つの用途に適するボリュームの総容量が非常に大きくなってしまい、使われないストレージ資源が増えてしまう可能性がある。さらに、ストレージ装置のボリューム全てが同じボリューム特性を持つとは限らないため、ストレージ装置単位でストレージ資源を分割することが、適切でない場合もある。また、ストレージ装置名、RAID構成といった物理的なストレージ構成を表すボリューム特性よりも、レスポンスタイム、転送速度といった性能的なボリューム特性で直接指定する方が、ストレージシステムの利用者にとって簡単で分かりやすい。本実施形態によれば、物理的なストレージ構成を表すボリューム特性に限定されることなく、どのようなボリューム特性を用いても、複数の用途間でボリュームの重複がなく、用途別にストレージ資源を分割することができる。
【0099】
また、用途別ボリューム割り当て一覧表を用いて、各ボリュームを特定する条件と各用途に割り当てられたボリュームの集合を計算し、ボリューム特性の条件によってストレージグループを定義するストレージグループ定義を作成する、ストレージグループ定義作成手順を提供することにより、従来技術でのストレージシステムでも、ストレージ資源を用途別に分割した結果を利用することが可能になる。
【0100】
また、企業におけるストレージシステムなどにおいては、業務の変化に応じて、アプリケーションの増減、置き換えが行われる。これによって、ある用途に必要な容量が変化したり、用途に適したボリューム特性が変化したりすることがある。このような変化を、ここでは「用途の変化」と呼ぶことにする。一方、ストレージ装置の増減、置き換え、構成変更などによって、ストレージ資源の量、質、すなわちストレージシステムに存在するボリュームの総容量、特性が変化することもある。このような変化を、ここでは「ストレージ資源の変化」と呼ぶことにする。
【0101】
このような用途の変化、ストレージ資源の変化などがあると、ある用途に割り当てたボリュームの総容量が必要容量に対して不足してしまう場合がある。このような場合、他の用途に割り当てているボリュームを、不足している用途に割り当て直すなど、ストレージ資源の分割を柔軟に変更することが望ましい。第1の実施形態によれば、用途の変化、ストレージ資源の変化により、用途に割り当てたボリュームの総容量が必要容量と比べて不足した場合、用途に必要なボリュームの総容量を満足させることが可能になる。したがって、用途の変化、ストレージ資源の変化などに対応して、ストレージ資源の分割を柔軟に変更することが可能になる。また、用途に必要な容量の変化、用途に適したボリューム特性の変化などに合わせて、ストレージ資源の分割を柔軟に変更することができる。
【0102】
≪第2の実施形態≫
次に、第2の実施形態について説明する。この実施形態は、用途別ボリュームプロフィール100、ボリューム特性表120の変化によって、ボリュームに割り当てられた用途が変化したときに、その変化に応じてボリュームのデータを再配置することが特徴である。以下の第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同様の構成には、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0103】
図20は、第2の実施形態におけるストレージシステムの構成図である。
ストレージシステム30Aは、第1の実施形態におけるストレージシステム30のSAN370が、ホスト側のSAN1651とストレージ装置側のSAN1652とに分かれた構成となっている。SAN1651およびSAN1652は、仮想化装置1650によって接続されている。
【0104】
ストレージ管理サーバ310Aは、記憶部320Aの中に、ストレージ資源分割プログラム130Aと、データ再配置管理プログラム1710と、旧用途別ボリューム割り当て一覧表1610と、再配置プラン1620とを格納している。記憶部320Aの中に格納されているその他のプログラム、データなどは、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0105】
旧用途別ボリューム割り当て一覧表1610は、用途別ボリュームプロフィール100、ボリューム特性表120が変化する前に作成された、用途別ボリューム割り当て一覧表500を記憶するものである。仮想化装置1650は、例えば、特許文献3(特開2003−345522号公報)に記載の仮想化装置である。仮想化装置1650は、第1のストレージ装置380のボリュームと第2のストレージ装置390のボリュームとを、1つの仮想的なストレージ装置のボリュームとして第1のホスト350、第2のホスト360に見せることにより、ストレージ装置間のデータ再配置を支援する。データ再配置管理プログラム1710は、データの再配置を制御する部分で、再配置プラン1620に基づいて、データの再配置を仮想化装置1650に指示する。ストレージ資源分割プログラム130Aは、処理部340によって実行されるプログラムである。ストレージ資源分割プログラム130Aの詳細な説明については、後記する。
【0106】
図21は、第2の実施形態における主要な構成要素と処理の流れを示す図である。図21を参照して(適宜図20参照)、本実施形態の主要な構成要素と処理の流れを説明する。
【0107】
旧用途別ボリューム割り当て一覧表1610は、用途別ボリューム割り当て一覧表500と同じように、ストレージ装置名1611、ボリューム番号1612、容量1613、用途1614、割り当て状態1615および合致度1616を持つ。再配置プラン1620は、データの移動元ボリュームに関する記述と、移動先ボリュームに関する記述とを有する。移動元ストレージ装置名1621は、データの移動元となるストレージ装置名を、移動元ボリューム番号1622は、データの移動元となるボリュームを識別する番号を、移動先ストレージ装置名1623は、データの移動先となるストレージ装置名を、移動先ボリューム番号1624は、データの移動先となるボリュームを識別する番号を表す。再配置プラン作成手順S1600は、用途別ボリューム割り当て一覧表500と旧用途別ボリューム割り当て一覧表1610とから、用途が変化したボリュームと、その変化に応じたデータの移動元と移動先を求め、再配置プラン1620を作成する手順である。ストレージ資源分割処理S130Aは、ストレージ資源分割プログラム130Aが処理部340によって実行されることによって実現される。このストレージ資源分割処理S130Aは、第1の実施形態において説明した用途別ボリューム割り当て手順S131を含み、さらに、再配置プラン作成手順S1600を含むものである。
【0108】
図22は、第2の実施形態における再配置プラン作成手順の流れを示すフローチャート図である。図22を参照して(適宜図20または図21参照)、本実施形態の再配置プラン作成手順S1600について説明する。
【0109】
まず、処理部340は、用途別ボリューム割り当て一覧表500の全ての行(ボリューム)Vについて、以下の処理を繰り返す(ステップS1801)。次に、Vのストレージ装置名501と同じストレージ装置名121と、Vのボリューム番号502と同じボリューム番号122とを持つボリューム特性表120の行において、状態124の値が「使用中」であるか否かを判定する(ステップS1802)。「使用中」でなければ(ステップS1802で「No」)、ステップS1801に戻り、次の繰り返し処理を行う。「使用中」であれば(ステップS1802で「Yes」)、旧用途別ボリューム割り当て一覧表1610に、Vのストレージ装置名501と同じストレージ装置名1611と、Vのボリューム番号502と同じボリューム番号1612とを持つ行が存在すれば、これをV0とする(ステップS1803)。
【0110】
ここでV0が存在し、かつVの用途504とV0の用途1614が異なるか否かを判定する(ステップS1804)。この判定が成り立たない場合は(ステップS1804で「No」)、ステップS1801に戻り、次の繰り返し処理を行う。成り立つ場合は(ステップS1804で「Yes」)、ステップS1805以降のステップを実行する。用途別ボリューム割り当て一覧表500に、V0の用途1614と同じ用途504で、かつV0の容量1613と同じ容量503を持つ行が存在すれば、これをV1とする(ステップS1805)。
【0111】
ここで、V1が存在するか否かを判定し(ステップS1806)、存在しなければ(ステップS1806で「No」)、ステップS1801に戻り、次の繰り返し処理を行う。存在する場合(ステップS1806で「Yes」)、再配置プラン1620に、移動元ストレージ装置名1621がV0のストレージ装置名1611、移動元ボリューム番号1622がV0のボリューム番号1612、移動先ストレージ装置名1623がV1のストレージ装置名501、移動先ボリューム番号1624がV1のボリューム番号502の行を追加し(ステップS1807)、ステップS1801に戻り、次の繰り返し処理を行う。ステップS1801からステップS1808までの繰り返し処理が終了したら、旧用途別ボリューム割り当て一覧表1610の内容を、用途別ボリューム割り当て一覧表の内容500で置き換える(ステップS1809)。そして、再配置プラン作成手順S1600を終了する。
【0112】
以上説明したように、用途の変化、ストレージ資源の変化などに応じて、あるボリュームに割り当てられた用途が変化することがあるが、そのボリュームにデータが存在した場合、そのデータの用途とそのボリュームに割り当てられた用途とが合わなくなるような状態が生じ得る。第2の実施形態において説明したストレージシステムによれば、そのような状態に備え、そのデータを用途に合ったボリュームへ再配置することが可能となる。
【0113】
≪第3の実施形態≫
次に、第3の実施形態について説明する。この実施形態は、ストレージ資源を改善するための分析を目的として、用途に合致しないボリューム、新しく調達すべきストレージ装置を提示することが特徴である。以下の第3の実施形態の説明において、第1の実施形態または第2の実施形態と同様の構成には、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0114】
図23は、第3の実施形態におけるストレージシステムの構成図である。
ストレージシステム30Bは、第1の実施形態におけるストレージ管理クライアント300Bが、用途非合致ボリューム分析画面1920を含む構成となっている。
【0115】
ストレージ管理サーバ310Bは、記憶部320Bの中に、ストレージ資源分割プログラム130Bと、ストレージ構成管理プログラム1950と、ストレージ性能情報管理プログラム1951と、ストレージ装置特性表1900と、ストレージ装置調達案1960とを格納している。記憶部320Bの中に格納されているその他のプログラム、データなどは、第1の実施形態または第2の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0116】
ストレージ構成管理プログラム1950は、処理部340によって実行されるプログラムであり、ストレージ装置の構成、障害情報などを収集および管理するストレージ構成管理システムを実現する。このストレージ構成管理システムにより、ストレージ管理クライアント300Bからサブシステム、SANなどに関する構成情報、障害情報を参照することができる。ストレージ性能情報管理プログラム1951は、処理部340によって実行されるプログラムであり、ストレージ装置の性能情報を収集および管理するストレージ性能情報管理システムを実現する。このストレージ性能情報管理システムにより、ストレージ管理クライアント300Bからサブシステム、SAN、ホストなどに関する性能情報を参照することができる。ストレージ資源分割プログラム130Bは、処理部340によって実行されるプログラムである。ストレージ資源分割プログラム130Bの詳細な説明については、後記する。
【0117】
ストレージ装置特性表1900は、ストレージ装置のボリューム特性を記述したものである。ストレージ装置調達案1960は、用途に適するボリュームの総容量が必要容量を満足するために調達すべきストレージ装置の候補を表したものである。用途非合致ボリューム分析画面1920は、いずれの用途にも適さないボリュームについて、その一覧、ストレージ装置別の割合の表示と、ボリュームがいずれの用途にも適さない原因を調査するためにストレージ構成管理プログラム1950、ストレージ性能情報管理プログラム1951の画面を起動する手段とを提供する。
【0118】
図24および図25は、第3の実施形態における主要な構成要素と処理の流れを示す図である。図24および図25を参照して(適宜図23参照)、本実施形態の主要な構成要素と処理の流れを説明する。
【0119】
ストレージ資源分割処理S130Bは、ストレージ資源分割プログラム130Bが処理部340によって実行されることによって実現される。このストレージ資源分割処理S130Bは、第1の実施形態において説明した用途別ボリューム割り当て手順S131と、用途別ストレージ資源ポートフォリオ作成手順S133とを含み、さらに、用途非合致ボリューム分析画面出力手順S1911と、ストレージ装置調達案作成手順S1910とを含むものである。
【0120】
用途非合致ボリューム分析画面出力手順S1911は、用途別ボリューム割り当て一覧表500から、用途非合致ボリューム分析画面1920を出力する手順である。ストレージ装置調達案作成手順S1910は、用途別ストレージ資源ポートフォリオ140から、ストレージ装置調達案1960を出力する手順である。
【0121】
用途非合致ボリューム分析画面1920は、いずれの用途にも適さないボリュームの一覧を表示する用途非合致ボリューム一覧表1930と、いずれの用途にも適さないボリュームの割合をストレージ装置別に表示するストレージ装置別非合致割合一覧表1940と、ストレージ構成管理プログラム1950の画面を起動するストレージ構成参照ボタン1946と、ストレージ性能情報管理プログラム1951の画面を起動する性能情報参照ボタン1947とを含む。
【0122】
用途非合致ボリューム一覧表1930はいずれの用途にも適さないボリュームを一覧表として示し、ラジオボタン1931と、ストレージ装置名1932と、ボリューム番号1933とを含む。ストレージ装置名1932はストレージ装置の名前を、ボリューム番号1933はボリュームを識別する番号を表す。ラジオボタン1931はボリュームを選択するためのものである。ラジオボタン1931でボリュームを選択した後、ストレージ構成参照ボタン1946を押すと、ストレージ構成管理プログラム1950の画面が起動され、選択したボリュームに関する構成情報、障害情報の有無などを表示することができる。同様に、性能情報参照ボタン1947を押すと、ストレージ性能情報管理プログラム1951の画面が起動され、選択したボリュームに関する性能情報などを表示することができる。
【0123】
ストレージ装置別非合致割合一覧表1940は、いずれの用途にも適さないボリュームの容量と、ストレージ装置の総容量に対する割合とを、ストレージ装置別に一覧表示するものであり、ラジオボタン1941と、ストレージ装置名1942と、用途非合致ボリュームの割合1943と、用途非合致ボリュームの総容量1944と、総容量1945とを含む。
【0124】
ストレージ装置名1942はストレージ装置の名前を表す。用途非合致ボリュームの割合1943は、ストレージ装置のボリュームの総容量に対する、いずれの用途にも適さないボリュームの総容量の割合を表す。用途非合致ボリュームの総容量1944は、いずれの用途にも適さないボリュームの総容量を表し、総容量1945は、ストレージ装置のボリュームの総容量を表す。ラジオボタン1941はストレージ装置を選択するためのものであり、用途非合致ボリューム一覧表1930のラジオボタン1931と同様に、ラジオボタン1941でストレージ装置を選択した後に、ストレージ構成参照ボタン1946を押すとストレージ構成管理プログラム1950の画面が起動され、選択したストレージ装置に関する構成情報、障害情報の有無などを表示することができる。また性能情報参照ボタン1947を押すと、ストレージ性能情報管理プログラム1951の画面が起動され、選択したストレージ装置に関する性能情報などを表示することができる。
【0125】
ストレージ装置調達案1960は、用途に適するボリュームの総容量が必要容量を満足するために調達すべきストレージ装置の候補を一覧表示したものであり、用途1961と、必要容量1962と、理想ボリューム容量1963と、差分1964と、ストレージ装置候補1970とを含む。
【0126】
用途1961は用途の名前を、必要容量1962は用途の必要容量を、理想ボリューム容量1963は合致度「理想」で用途に割り当てられたボリュームの総容量を、差分1964は理想ボリューム容量1963と必要容量1962の差分を表す。ストレージ装置候補1970は、ストレージ装置の候補を表し、ストレージ装置型番1971とRAID構成1972とから構成される。ストレージ装置型番1971はストレージ装置の型番を、RAID構成はボリュームのRAID構成を表す。RAID構成を表示するのは、ボリュームの特性はストレージ装置だけでは決まらず、RAID構成もボリュームの特性に影響するからである。ボリュームの特性に影響する他の要素(例えば、ディスクのインターフェイス、回転数など)を表す列を、ストレージ装置候補1970に追加しても良い。
【0127】
図26は、第3の実施形態におけるストレージ装置特性表の構成を示す図である。図26を参照して(適宜図23ないし図25参照)、本実施形態のストレージ装置特性表の構成について説明する。
【0128】
ストレージ装置特性表1900はストレージ装置のボリューム特性を記述したものであり、図26に示すように、ストレージ装置型番1901と、RAID構成1902と、容量単価1903と、レスポンスタイム1904とを含む。ストレージ装置型番1901はストレージ装置の型番を、RAID構成1902はRAIDの構成を表す。それ以外の列(容量単価1903、レスポンスタイム1904など)は、ストレージ装置型番1901で表されるストレージ装置のうち、RAID構成1902で表されるRAID構成のボリュームの特性を表す列である。容量単価1903はボリュームの容量単価を表し、レスポンスタイム1904はボリュームのレスポンスタイムを表す。もしストレージ装置調達案1960のストレージ装置候補1970に、ボリュームの特性に影響するRAID構成1972以外の要素も追加されている場合、その要素に対応する列がストレージ装置特性表1900にも追加される。また、用途別ボリュームプロフィール100、ボリューム特性表120に、容量単価、レスポンスタイム以外のボリューム特性が含まれる場合、それに応じてストレージ特性表1900に含まれるボリューム特性も変更する必要がある。
【0129】
図27は、第3の実施形態におけるストレージ装置調達案作成手順の流れを示すフローチャート図である。図27を参照して(適宜図23ないし図26参照)、本実施形態のストレージ装置調達案作成手順S1910について説明する。
【0130】
まず、処理部340は、用途別ボリューム容量一覧表150の全ての行U(用途)について、以下の処理を繰り返す(ステップS2201)。ここで、Uの状態152が「理想」と異なるか否かを判定する(ステップS2202)。「理想」であれば(ステップS2202で「No」)、ステップS2201に戻り、次の繰り返し処理を行う。「理想」と異なれば(ステップS2203で「Yes」)、ステップS2203以降のステップを実行する。
【0131】
処理部340は、ストレージ装置調達案1960に、用途1961がUの用途151の値である行を追加し、これをPとする(ステップS2203)。ここで、Pに対して以下の値を設定する。すなわち、必要容量1962にUの必要容量153の値、理想ボリューム容量1963にUの理想158aの値、差分1964にUの理想範囲での差分156の値を設定する(ステップS2204)。次に、用途別ボリュームプロフィール100から、用途101がUの用途151の値に等しい行を探し、この行で合致度106が「理想」の条件をCとする(ステップS2205)。
【0132】
ここで、ストレージ装置特性表1900の全ての行(ストレージ装置)Sについて、以下の処理を繰り返す(ステップS2206)。Sの特性(容量単価1903、レスポンスタイム1904)が、Cを満足するか否かを判定する(ステップS2207)。Cを満足しない場合(ステップS2207で「No」)、ステップS2206に戻り、次の繰り返し処理を行う。Cを満足する場合(ステップS2207で「Yes」)、Pのストレージ装置候補1970に、ストレージ装置型番1971がSのストレージ装置型番1901の値で、RAID構成1972がSのRAID構成1902の値である行を追加し(ステップS2208)、ステップS2206に戻り、次の繰り返し処理を行う。以上により、ステップS2206からステップS2209までの繰り返し処理が終了したら、ステップS2201に戻り、次の繰り返し処理を行う。ステップS2201からステップS2210までの繰り返し処理が終了したら、ストレージ装置調達案作成手順S1910を終了する。
【0133】
図28および図29は、第3の実施形態における用途非合致ボリューム分析画面出力手順の流れを示すフローチャート図である。図28を参照して(適宜図23ないし図26参照)、本実施形態の用途非合致ボリューム分析画面出力手順S1911について説明する。
【0134】
まず、処理部340は、用途別ボリューム割り当て一覧表500の全ての行(ボリューム)Vについて、以下の処理を繰り返す(ステップS2301)。ここで、Vの用途504が空欄か否かを判定する(ステップS2302)。空欄でなければ(用途が割り当てられていれば)(ステップS2302で「No」)、ステップS2301に戻り、次の繰り返し処理を行う。空欄であれば(ステップS2302で「Yes」)、用途非合致ボリューム一覧1930に、ストレージ装置名1932がVのストレージ装置名501の値で、ボリューム番号1933がVのボリューム番号502の値である行を追加し(ステップS2303)、ステップS2301に戻り、次の繰り返し処理を行う。ステップS2301からステップS2304までの繰り返し処理が終了したら、用途別ボリューム割り当て一覧表500のストレージ装置名501の列から、全てのストレージ装置名を重複がなく集めた集合をSSとする(ステップS2305)。
【0135】
次に、集合SSの全てのストレージ装置名Sについて、以下の処理を繰り返す(ステップS2306)。ストレージ装置別非合致割合一覧表1940に、ストレージ装置名1942がSの行を追加し(ステップS2307)、ステップS2306に戻り、次の繰り返し処理を行う。
【0136】
ステップS2306からステップS2308までの繰り返し処理が終了したら、用途別ボリューム割り当て一覧表500の全ての行(ボリューム)Vについて、以下の処理を繰り返す(ステップS2309)。ストレージ装置別非合致割合一覧表1940で、ストレージ装置名1942がVのストレージ装置名501の値と一致する行をSとする(ステップS2310)。Sの総容量1945の値に、Sの総容量1945とVの容量503の和を設定する(ステップS2311)。ここで、Vの用途504が空欄か否かを判定する(ステップS2312)。
【0137】
Vの用途504が空欄でなければ(用途が割り当てられていれば)(ステップS2312で「No」)、ステップS2309に戻り、次の繰り返し処理を行う。空欄であれば(ステップS2312で「Yes」)、Sの値を下記のように変更する。すなわち、Sの用途非合致ボリュームの総容量1944に、Sの用途非合致ボリュームの総容量1944とVの容量503との和を設定し、Sの用途非合致ボリュームの割合1943に、(Sの容量非合致ボリュームの総容量1945/Sの総容量1945)×100の計算結果を設定する(ステップS2313)。そして、ステップS2309に戻り、次の繰り返し処理を行う。ステップS2309からステップS2314までの繰り返し処理が終了したら、用途非合致ボリューム分析画面出力手順S1911を終了する。
【0138】
第3の実施形態によれば、容量が不足している用途のボリューム特性を用途別ボリュームプロフィールから取得し、ストレージ装置の特性の記述を含むストレージ装置特性表から、取得したボリューム特性に合致するストレージ装置の一覧を取得し、これをストレージ装置調達案として提示するストレージ装置調達案作成手順を提供することができる。これによって、用途に割り当てたボリュームが必要容量と比べて不足している場合、用途に適したボリュームの総容量が必要容量を満足するように、新規にストレージ装置を導入することができる。
【0139】
また、用途に適したボリュームが不足することがある一方で、どの用途にも割り当てられない、すなわち余ったボリュームが生じる可能性がある。このようなボリュームが生じる原因として、性能問題、障害などによって、本来の性能が発揮できていないことが考えられる。また、もうひとつの原因として、以前はいずれかの用途に適していたが、用途の変化、ストレージ資源の変化によって、いずれの用途にも適さなくなったことも考えられる。第3の実施形態によれば、いずれの用途にも割り当てられなかったボリュームの一覧の表示と、ストレージの性能情報を管理するストレージ性能情報管理システムの画面を呼び出す手段と、ストレージの構成情報、障害情報を管理するストレージ構成管理システムの画面を呼び出す手段とを持った、用途非合致ボリューム分析画面を提供することができる。これにより、どの用途にも割り当てられないボリュームの原因調査を支援することができる。
【0140】
また、この用途非合致ボリューム分析画面では、いずれの用途にも割り当てられなかったボリュームの割合をストレージ装置別に提示する、ストレージ装置非合致割合一覧表も表示する。これによって、ストレージシステムに必要なコストを改善するために、いずれの用途にも割り当てられなかったボリュームの割合が大きいストレージ装置を破棄したり、他のストレージ装置と交換したりする計画の立案を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】第1の実施形態におけるストレージシステムの構成図である。
【図2】第1の実施形態における主要な構成要素と処理の流れを示す図である。
【図3】第1の実施形態における主要な構成要素と処理の流れを示す図である。
【図4】第1の実施形態における用途別ボリューム割り当て手順に関係する、表の詳細および処理の流れを示す図である。
【図5】第1の実施形態における用途別ボリューム割り当て手順に関係する、表の詳細および処理の流れを示す図である。
【図6】第1の実施形態における用途別ボリューム割り当て一覧表の詳細を示す図である。
【図7】第1の実施形態における初期化手順および分割母体取得手順の流れを示すフローチャート図である。
【図8】第1の実施形態における単一用途部分の割り当て手順の流れを示すフローチャート図である。
【図9】第1の実施形態における用途割り当て関数の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図10】第1の実施形態における複数用途共通部分の割り当て手順の流れを示すフローチャート図である。
【図11】第1の実施形態における優先度依存型割り当て関数の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図12】第1の実施形態における等分型割り当て関数の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図13】第1の実施形態における等分型割り当て関数の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図14】第1の実施形態における状態更新手順および用途別ボリューム割り当て一覧出力手順の流れを示すフローチャート図である。
【図15】第1の実施形態における用途別ストレージ資源ポートフォリオ作成手順の流れを示すフローチャート図である。
【図16】第1の実施形態における用途別ストレージ資源ポートフォリオ作成手順の流れを示すフローチャート図である。
【図17】第1の実施形態における用途別ストレージ資源ポートフォリオ作成手順の流れを示すフローチャート図である。
【図18】第1の実施形態におけるストレージグループ定義作成手順の流れを示すフローチャート図である。
【図19】第1の実施形態における用途別ボリューム割り当て手順でのストレージ資源の分割状況の変化を示す図である。
【図20】第2の実施形態におけるストレージシステムの構成図である。
【図21】第2の実施形態における主要な構成要素と処理の流れを示す図である。
【図22】第2の実施形態における再配置プラン作成手順の流れを示すフローチャート図である。
【図23】第3の実施形態におけるストレージシステムの構成図である。
【図24】第3の実施形態における主要な構成要素と処理の流れを示す図である。
【図25】第3の実施形態における主要な構成要素と処理の流れを示す図である。
【図26】第3の実施形態におけるストレージ装置特性表の構成を示す図である。
【図27】第3の実施形態におけるストレージ装置調達案作成手順の流れを示すフローチャート図である。
【図28】第3の実施形態における用途非合致ボリューム分析画面出力手順の流れを示すフローチャート図である。
【図29】第3の実施形態における用途非合致ボリューム分析画面出力手順の流れを示すフローチャート図である。
【図30】従来技術におけるストレージグループ一覧表を作成する処理の流れを示す図である。
【図31】従来技術におけるストレージ資源の分割状況を示すグラフである。
【符号の説明】
【0142】
30 ストレージシステム
100 用途別ボリュームプロフィール
101 用途
103 優先度
104 容量単価
105 レスポンスタイム
106 合致度
110 用途別ボリューム割り当て方針表
120 ボリューム特性表
121 ストレージ装置名
122 ボリューム番号
140 用途別ストレージ資源ポートフォリオ
200 ストレージグループ定義表
310 ストレージ管理サーバ
320 記憶部
340 処理部
380 第1のストレージ装置
382、383 ボリューム
500 用途別ボリューム割り当て一覧表
1610 旧用途別ボリューム割り当て一覧表
1620 再配置プラン
1920 用途非合致ボリューム分析画面
1900 ストレージ装置特性表
1960 ストレージ装置調達案

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のボリュームを持つストレージ装置と、前記ストレージ装置にネットワークを介して接続可能な管理計算機と、を含むストレージ資源管理システムであって、
前記管理計算機は、
前記ボリュームの識別情報および前記ボリュームの特性値を対応させたボリューム特性情報と、前記ボリュームの用途および当該用途に適するボリュームの特性値の条件を対応させた用途別ボリューム情報と、を格納した記憶部と、
前記ボリュームの識別情報をもとに、前記ボリューム特性情報から前記ボリュームの特性値を取得し、
取得した前記ボリュームの特性値が前記用途に適するボリュームの特性値の条件を満たす前記ボリュームの用途を、前記用途別ボリューム情報から取得し、
取得した前記ボリュームの用途が1つの場合は、当該用途と前記ボリュームの識別情報とを対応させて前記記憶部に格納し、
取得した前記ボリュームの用途が複数の場合は、当該複数の用途から1つの用途を選択して当該用途と前記ボリュームの識別情報とを対応させて前記記憶部に格納する処理部と、を備える
ことを特徴とするストレージ資源管理システム。
【請求項2】
1つ以上のボリュームを持つストレージ装置と、前記ストレージ装置にネットワークを介して接続可能な管理計算機と、を含み、
前記管理計算機は、情報を処理する処理部と、情報を格納する記憶部と、を備え、
前記記憶部は、前記ボリュームの識別情報および前記ボリュームの特性値を対応させたボリューム特性情報と、前記ボリュームの用途および当該用途に適するボリュームの特性値の条件を対応させた用途別ボリューム情報と、を格納したストレージシステムにおけるストレージ資源管理方法であって、
前記処理部は、
前記ボリュームの識別情報をもとに、前記ボリューム特性情報から前記ボリュームの特性値を取得し、
取得した前記ボリュームの特性値が前記用途に適するボリュームの特性値の条件を満たす前記ボリュームの用途を、前記用途別ボリューム情報から取得し、
取得した前記ボリュームの用途が1つの場合は、当該用途と前記ボリュームの識別情報とを対応させた用途別ボリューム割り当て情報を前記記憶部に格納し、
取得した前記ボリュームの用途が複数の場合は、当該複数の用途から1つの用途を選択して当該用途と前記ボリュームの識別情報とを対応させた用途別ボリューム割り当て情報を前記記憶部に格納する
ことを特徴とするストレージ資源管理方法。
【請求項3】
前記記憶部は、
各ボリュームの用途に対して、前記用途に適するボリュームの特性値の条件を、ボリュームを用途に割り当てる際の合致度別に複数格納し、
前記処理部は、
前記ボリュームの用途を、前記用途別ボリューム情報から取得する際、前記合致度をさらに取得し、
前記用途および前記ボリュームの識別情報に加えて、前記合致度をさらに対応させて前記記憶部に格納する
ことを特徴とする請求項2に記載のストレージ資源管理方法。
【請求項4】
前記記憶部は、
前記用途別ボリューム情報として、前記ボリュームの用途に優先度をさらに対応させて格納し、
前記処理部は、
前記複数の用途から1つの用途を選択する際に、
前記優先度の最も高い用途を選択する
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のストレージ資源管理方法。
【請求項5】
前記記憶部は、
用途別の割り当て容量を格納するとともに、前記用途別ボリューム情報として、前記ボリュームの用途に必要容量をさらに対応させて格納し、
前記処理部は、
前記ボリュームの用途を、前記用途別ボリューム情報から取得する際に、
前記用途別の割り当て容量が、前記必要容量よりも小さい場合に前記ボリュームの用途を取得する
ことを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載のストレージ資源管理方法。
【請求項6】
前記記憶部は、
前記ボリューム特性情報として、前記ボリュームの識別情報に前記ボリュームの容量をさらに対応させて格納し、
前記処理部は、
当該用途と前記ボリュームの識別情報とを対応させて前記記憶部に格納する際に、前記用途別の割り当て容量に、前記ボリュームの容量を加算する
ことを特徴とする請求項5に記載のストレージ資源管理方法。
【請求項7】
前記記憶部は、
処理手順の方針に関する方針を含む用途別ボリューム割り当て方針をさらに格納し、
前記処理部は、
前記用途別ボリューム割り当て方針に従って、処理手順を変更する
ことを特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれか1項に記載のストレージ資源管理方法。
【請求項8】
前記処理部は、
前記用途別ボリューム割り当て情報を前記記憶部に格納した後、前記用途別ボリューム割り当て情報を用いて、前記用途に割り当てられたボリュームの総容量を計算し、当該総容量と前記用途とを対応させた前記用途別ボリューム容量情報を前記記憶部に格納する
ことを特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載のストレージ資源管理方法。
【請求項9】
前記処理部は、
前記用途別ボリューム割り当て情報を前記記憶部に格納した後、前記用途別ボリューム割り当て情報を用いて、前記用途に割り当てられなかったボリュームの総容量を計算し、当該総容量と前記用途とを対応させた前記余剰ボリューム容量情報を前記記憶部に格納する
ことを特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載のストレージ資源管理方法。
【請求項10】
前記処理部は、
前記用途別ボリューム割り当て情報を前記記憶部に格納した後、前記用途別ボリューム割り当て情報を用いて、前記用途に割り当てられなかったボリュームの総容量を合致度別に計算し、当該合致度別の総容量と前記用途とを対応させた前記用途別ボリューム容量情報を前記記憶部に格納する
ことを特徴とする請求項3に記載のストレージ資源管理方法。
【請求項11】
前記処理部は、
前記用途別ボリューム割り当て情報を前記記憶部に格納した後、前記用途別ボリューム割り当て情報を用いて、前記用途に割り当てられたボリュームを検索するための条件文を作成し、当該条件文と前記用途とを対応させたストレージグループ定義情報を前記記憶部に格納する
ことを特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載のストレージ資源管理方法。
【請求項12】
前記記憶部は、
当該用途と前記ボリュームの識別情報とを対応させた旧用途別ボリューム割り当て情報をさらに格納し、
前記処理部は、
前記用途別ボリューム割り当て情報を前記記憶部に格納した後、前記用途別ボリューム割り当て情報の前記ボリューム識別情報と前記旧用途別ボリューム割り当て情報の前記ボリューム識別情報とを比較し、
前記ボリューム識別情報が一致し、前記用途が異なるボリュームがある場合、前記旧用途別ボリューム割り当て情報の前記用途をもとに前記用途別ボリューム割り当て情報を検索し、
前記検索によって取得した前記ボリュームの識別情報と、前記旧用途別ボリューム割り当て情報の前記ボリュームの識別情報とを対応させた再配置情報を前記記憶部に格納する
ことを特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載のストレージ資源管理方法。
【請求項13】
前記処理部は、
前記用途別ボリューム割り当て情報を前記記憶部に格納した後、
前記用途別ボリューム割り当て情報から、対応する前記用途が存在しない前記ボリュームの識別情報を取得して前記記憶部に格納する
ことを特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載のストレージ資源管理方法。
【請求項14】
前記記憶部は、
前記用途別ボリューム情報として前記ボリュームの用途に必要容量をさらに対応させて格納するとともに、調達対象となるストレージ装置の識別情報および当該ストレージ装置の特性情報を対応させたストレージ装置特性情報をさらに格納し、
前記処理部は、
前記用途別ボリューム容量情報の前記総容量が、前記必要容量未満の用途について、用途別ボリューム情報から当該用途に適するボリュームの特性値の条件を取得し、
前記ストレージ装置特性情報から当該ボリュームの特性値の条件に合致する前記ストレージ装置の識別情報を取得し、前記用途と対応させて前記記憶部に格納する
ことを特徴とする請求項8に記載のストレージ資源管理方法。
【請求項15】
1つ以上のボリュームを持つストレージ装置と、前記ストレージ装置にネットワークを介して接続可能な管理計算機と、を含むストレージシステムに使用される管理計算機であって、
前記管理計算機は、
前記ボリュームの識別情報および前記ボリュームの特性値を対応させたボリューム特性情報と、前記ボリュームの用途および当該用途に適するボリュームの特性値の条件を対応させた用途別ボリューム情報と、を格納した記憶部と、
前記ボリュームの識別情報をもとに、前記ボリューム特性情報から前記ボリュームの特性値を取得し、
取得した前記ボリュームの特性値が前記用途に適するボリュームの特性値の条件を満たす前記ボリュームの用途を、前記用途別ボリューム情報から取得し、
取得した前記ボリュームの用途が1つの場合は、当該用途と前記ボリュームの識別情報とを対応させた用途別ボリューム割り当て情報を前記記憶部に格納し、
取得した前記ボリュームの用途が複数の場合は、当該複数の用途から1つの用途を選択して当該用途と前記ボリュームの識別情報とを対応させた用途別ボリューム割り当て情報を前記記憶部に格納する処理部と、を備える
ことを特徴とする管理計算機。
【請求項16】
前記処理部は、
前記用途別ボリューム割り当て情報を前記記憶部に格納した後、前記用途別ボリューム割り当て情報を用いて、前記用途に割り当てられたボリュームの総容量を計算し、当該総容量と前記用途とを対応させた前記用途別ボリューム容量情報を前記記憶部に格納する
ことを特徴とする請求項15に記載の管理計算機。
【請求項17】
前記記憶部は、
前記用途別ボリューム情報として前記ボリュームの用途に必要容量をさらに対応させて格納するとともに、調達対象となるストレージ装置の識別情報および当該ストレージ装置の特性情報を対応させたストレージ装置特性情報とをさらに格納し、
前記処理部は、
前記用途別ボリューム容量情報の前記総容量が、前記必要容量未満の用途について、用途別ボリューム情報から当該用途に適するボリュームの特性値の条件を取得し、
前記ストレージ装置特性情報から当該ボリュームの特性値の条件に合致する前記ストレージ装置の識別情報を取得し、前記用途と対応させて前記記憶部に格納する
ことを特徴とする請求項16に記載の管理計算機。
【請求項18】
1つ以上のボリュームを持つストレージ装置と、前記ストレージ装置にネットワークを介して接続されるストレージ管理サーバと、を含み、
前記ストレージ管理サーバは、情報を処理する処理部と、情報を格納する記憶部と、を備え、
前記記憶部は、前記ボリュームの識別情報、前記ボリュームの特性値および前記ボリュームの容量を対応させたボリューム特性表と、前記ボリュームの用途、当該用途に適するボリュームの特性値の条件および優先度を対応させた用途別ボリュームプロフィールと、を格納したストレージシステムにおけるストレージ資源管理方法であって、
前記処理部は、
ボリュームの識別情報をもとに、前記ボリューム特性表から前記ボリュームの特性値を取得する処理と、
取得した前記ボリュームの特性値が前記用途に適するボリュームの特性値の条件を満たす前記ボリュームの用途を、前記用途別ボリュームプロフィールから取得する処理と、
を第1のボリュームの識別情報から第Nのボリュームの識別情報について実行することにより、第1の用途から第Nの用途までを取得し、
前記第1の用途から前記第Nの用途までが集合として同一である場合、前記第1のボリュームの識別情報から前記第Nのボリュームの識別情報までの情報をもとに、前記ボリューム特性表から前記ボリュームの容量をそれぞれ取得して合計値を算出し、
当該合計値を前記第1の用途を構成する用途の個数で除することにより、各用途に割り当てが可能なボリュームの容量である等分容量を算出し、
等分容量に達するまで、前記第1の用途から前記優先度の最も高い用途を選択して当該用途および前記ボリュームの識別情報を対応させた用途別ボリューム割り当て情報を前記記憶部に格納し、
等分容量に達したら、前記第1の用途から前記優先度が最も高い用途よりも1つ低い前記優先度の用途を選択して当該用途および前記ボリュームの識別情報を対応させた用途別ボリューム割り当て情報を前記記憶部に格納する
ことを特徴とするストレージ資源管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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