説明

ストロー包装体及びストロー付き飲料製品

【課題】 ストローを取り出す作業が容易であるとともに、ストローを取り出すのが容易な位置の把握が容易であるストロー包装体を提供する。
【解決手段】 本発明によれば、ストロー包装袋の長手方向の一端部を、ストローが取り出しやすくしているため、ストロー包装体が飲料容器に貼着された状態において、片手で飲料容器を保持あるいは飲料容器を固定した状態で、ストロー包装体からストローを、小さな力で取り出すことが可能となり、子供やお年寄りであっても容易にストローを取り出すことのできるストロー包装体が得られる。また、ストロー包装体又はストロー付き飲料製品にストローの取り出し方向表示部を設けたため、一般の消費者が開封位置や方法を容易に視認することができ、ストロー包装体からストローを取り出す際の作業性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストロー包装体に関するものである。詳しくは、ストロー包装体からストローが容易に取り出せるストロー包装体及びストロー包装体を貼付したストロー付き飲料製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、牛乳やジュース等の液体飲料は、一般に紙基材の外面及び内面をポリエチレン等によって被覆して形成した包材からなる紙容器やペットボトル、プラスチック性カップ容器等に充填され販売されている。そして容量が少なく消費者が一度で飲みきることができる紙容器やカップ容器には、1本の管からなるストローや、図9に示したような2〜3段で引き延ばすことが可能な多段式ストロー100が収容されたストロー包装体101が、ホットメルト接着剤やヒートシールにより貼着されている。
ストロー包装体に関しては、特許文献1〜4のものが既に提案されている。
【特許文献1】実開昭63−137768号公報
【特許文献2】特開平11−349072号公報
【特許文献3】実開平6−18271号公報
【特許文献4】特開2003−40334公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般にストローの包装体に使用されるフィルムは、ポリエチレンやポリプロピレンフィルムからなり、熱融着によりシールされている。消費者は、使用時に包装体からストローを取り出す場合には、ストロー包装体が紙容器に貼付された状態で包装フィルムの一部を破り、ストローを取り出して使用する場合や紙容器からストロー包装体を剥がした後、ストローを押しながらフィルムを破り、ストローを取り出して使用する場合がある。また、紙容器からストロー包装体を剥がした後、フィルムに指でせん断力を加え、フィルムを破りストローを取り出して使用する場合もある。
しかし、一般の消費者にとって何れの方法が最も開けやすいかは判りにくく、特にフィルムの材質や飲料容器に対する接着方法による開け易さの違いなどは不明な為、開封のし易さの改善が望まれていた。
【0004】
上述のような問題を解決する為、開封し易さの改善に関しては、ストローラダーからストロー包装体を切りとる際の切断線を直線的にすることなく、裂けやすい鋸歯状にギザギザにした切断線とする方法が提案されている。フィルムによっては裂け難いフィルムもあるが、2軸延伸ポリプロピレンフィルム等を使用することで、開封のきっかけからフィルムを破ることはできた。しかしながら、ストローのような剛直なものが包装されている場合、開封のきっかけをつまんでせん断力を加える作業がしにくく、開封方向にストローがあると十分な開口部が得られず、ストローのない包装体の端部はストローの長手方向に対して直角方向に開けることができるが、ストローを取り出す為にさらにストローを開口部まで押し出さなければ、ストローを取り出すことができなかった。
【0005】
そこで、特許文献1に記載されたストロー包装体では、ミシン目や切り欠きを形成する方法が提案されているが、ミシン目から包装体内部に異物の混入の恐れがあり好ましくない。
【0006】
また、特許文献2に記載されたストロー包装体では、色々な形状の切取線を中心に包装フィルムを左右に引っ張る事で切取線から包装フィルムが切断し、包装体を開封できるというものが提案されているが、フィルムの強度が高い場合、単純に引っ張るだけでは容易に切断できないことがあり、切取線から切れ目が伝播するように力を加える等の消費者側の工夫が求められていた。また容器に貼付された状態では、ストロー包装体の端部(短辺)をつかんで引っ張り、包装を全周に渡って引きちぎることは、ストローが邪魔になりつかみ代が小さく開けにくいばかりでなく、貼着部が障害になり包装体を開封できない場合があった。
【0007】
また、特許文献3に記載されたストロー連続包装体においては、ストロー間の密着された平面的な中間部にストロー間の切断線と交差する多数の切り込み線を形成する方法が提案されているが、ストロー間の複数の位置から引き千切ることは可能であっても、切り込み線は、深さが浅く完全に切り込まれているわけではないので、指先で、切り込み線を挟んだ両側のフィルム辺を指でつまんでせん断力を加える必要があり、包装されたストローが邪魔になり誰でもが容易に開封できるというものではなかった。このようなストロー包装体は、飲料容器に貼着された場合、フィルム辺の2ヶ所を引っ張って開封するか指先でせん断を加えなければならないため、飲料容器を片手で持って開封しようとした場合、開封が困難となることがあった。
【0008】
また、特許文献4に記載されたストロー包装体は、引き裂き用のタブを設けることにより、ストロー包装体を貼付した状態での開封を容易にしている。この方法は、タブを形成し、凸面側のフィルムだけを引き裂く、または剥がす方法であるが、タブが薄いフィルム1枚からなっており、つかみ代が十分にないために子供やお年寄りには難しく、タブを引っ張ったときに熱融着部から根切れを起こしてしまう危険性を有していた。また、引っ張りやすいように、上フィルムと下フィルムが離間したタブを形成するシール技術は高度であり一般的ではなかった。
【0009】
したがって、ストロー包装体の好ましい開封方式は、一般的には定められていないのが現状である。また、図9に示したような2段式ストロー100の引伸ばし方向を示すものとして、矢印をストロー包装袋の長手方向上下の両方又は下部に印刷しているものが提案されているが、これはストローの引伸ばし方向を示すものであり、ストロー包装体の開封方式を示すものではない。
【0010】
本発明は上述の問題に鑑みて、ストローを取り出す作業が容易であるとともに、ストローが取り出し易い位置を容易に把握できるストロー包装体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願人は、取り出し性の高いストロー包装体について鋭意研究を重ねた結果、特定のストロー包装袋にストローを収容したストロー包装体により上記問題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は次の(1)〜(9)に示すストロー包装体及びストロー付き飲料製品を提供するものである。
(1)平面視長方形状の凸部が形成された上フィルムと、下フィルムとからなり、前記上フィルムに形成された凸部の周囲は平面状をなすシール部であり、該シール部が前記下フィルムに密着してシールされ、正面長方形で袋状に形成されたストロー包装袋にストローが収容されたストロー包装体において、前記シール部の内、ストロー包装袋の長手方向の一端部の開封強度が、他端部の開封強度よりも低く構成され、前記一端部はストローの取り出し端部であることを特徴とするストロー包装体。
(2)平面視長方形状の凸部が形成された上フィルムと、下フィルムとからなり、前記上フィルムに形成された凸部の周囲は平面状をなすシール部であり、該シール部が前記下フィルムに密着してシールされ、正面長方形で袋状に形成されたストロー包装袋にストローが収容されたストロー包装体において、ストロー包装袋の長手方向に沿って、ストローの取り出し方向を指示する取り出し方向表示部を設けたことを特徴とするストロー包装体。
(3)前記上フィルムが、エレメンドルフ引裂き強度が20N/cm以下である無延伸ポリプロピレンフィルムからなることを特徴とする(1)又は(2)に記載のストロー包装体。
(4)前記取り出し端部における開封強度が2〜15Nであることを特徴とする(1)〜(3)の何れかに記載のストロー包装体。
(5)前記取り出し端部側の前記シール部の長手方向の寸法が、他端側のシール部の長手方向の幅寸法の50〜90%とされていることを特徴とする(1)〜(4)の何れかに記載のストロー包装体。
(6)前記上フィルムは、前記ストロー取り出し端部側のシール部が山形形状に形成されていることを特徴とする(1)〜(5)の何れかに記載のストロー包装体。
(7)前記上フィルムと前記下フィルムとの剥離強度が100g/15mm幅〜500g/15mm幅であることを特徴とする(1)〜(6)の何れかに記載のストロー包装体。
(8)(1)〜(7)の何れかに記載のストロー包装体を貼付したストロー付き飲料製品。
(9)ストローの取り出し方向を指示する取り出し方向表示部を、飲料製品容器に貼付したストロー包装体の近傍に設けたことを特徴とする(8)に記載のストロー付き飲料製品。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ストロー包装袋の長手方向の一端部を、ストローが取り出しやすい強度としているため、ストロー包装体が飲料容器に貼着された状態において、片手で飲料容器を保持あるいは飲料容器を固定した状態で、ストロー包装体からストローを、小さな力で取り出すことが可能となり、子供やお年寄りであっても容易にストローを取り出すことのできるストロー包装体が得られる
また、本発明によれば、ストロー包装体又はストロー付き飲料製品容器にストローの取り出し方向表示部を設けたため、一般の消費者が開封位置や方法を視認することができ、ストロー包装体からストローを取り出す際の作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
図1(a)、(b)、図2、図3は、本発明に係るストロー包装体の第1及び第2の実施形態を示す図であり、以下に第1の実施形態について説明する。
本実施形態のストロー包装体1は、ストロー包装袋の長手方向に沿って、ストロー5の取り出し方向表示部23を設けたものである。
図1(a)、(b)に示すように、ストロー包装体1は、細長の収容空間4が確保された、全体的に細長袋状の包装袋に、一方の先端が鋭く尖って形成された先端部5aを有するストロー5が収容され、断面凸状に形成される上フィルム2と、平坦な下フィルム3とを有し、上フィルム2の平面部が下フィルム3の表面にヒートシールされることによって密封されている。
【0014】
上フィルム2は、薄型のフィルムを成形して得られるものであり、フィルムの一方の面に向かって凸部21が形成されるとともに、上フィルム2において凸部21の周囲には、平面状のシール部22を有する。
凸部21の長手方向の一端部は、ストロー5の先端部5aが当接する突き押し端部21aとして機能する。また、シール部22の長手方向において突き押し端部21aの側である端部は、ストローの取り出し端部22aとして機能する。
また、上フィルム2の凸部21上には、ストローの取り出し方向を表示する取り出し方向表示部23が設けられている。この取り出し方向表示部23には、矢印等の方向性を指示する文字や記号が記される。
凸部21は、突出している面とは反対側の面から見た場合、凹部形状となっている。
【0015】
下フィルム3は、平面視細長形状のフィルムからなるものであり、その表面3aの周縁部は上フィルム2のシール部22がヒートシールによって接着される接着面として機能する。一方、裏面3bは、ストロー包装体1が貼り付けられるストロー付き飲料製品6(図8参照)への貼付面として機能する。
【0016】
上フィルム2及び下フィルム3は、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂からなる、厚さ5〜50μm、好ましくは15μm〜40μmの、無延伸又は延伸された単層或いは多層の透明フィルムが用いられる。
【0017】
図1(b)に示すように、上フィルム2のシール部22が下フィルム3の表面3aに対して、ヒートシールによって接着される。この時、上フィルム2に形成された凸部21と、下フィルム3の表面3aとの間には、異物混入等の恐れが無いように密封された収容空間4が確保される。この収容空間4には、例えば2段式の伸縮可能なストロー5が収容される。この際、凸部21の長手方向において、収容されたストロー5の先端部5aが向いた一端部は、ストロー5によって突き押される突き押し端部21aとして機能する。
ストロー5が収容されたストロー包装体1は、図8に示したようなストロー付き飲料製品容器6の表面6aに対し、下フィルム3の裏面3bを接着することによって固定される。
【0018】
ストロー包装体1からストロー5を取り出す際は、凸部21の突き押し端部21aとは反対の側である端部21bに指を押し当て、収容空間4に収容されているストロー5の先端部5aを突き押し端部21aに押し当てる。この際、突き押し端部21aからシール部22の取り出し端部22aには、この取り出し端部22aを下フィルム3の表面3aから剥離させようとする力が働く。さらにストロー5を押し出すと、シール部22の内、取り出し端部22aの部分が下フィルム3の表面3aから剥離するか、後述する形態の如く破れるので、ストロー5の先端部5aは収容空間4から外部へ押し出される。押し出されたストロー5を指でつまみ、ストロー5全体をストロー包装体1から取り出す。
【0019】
図1(a)に示したように、本実施形態においては、上フィルム2の凸部21上に取り出し方向表示部23を設けることにより、ストロー5の取り出し端部22aの位置やストロー5を押し出す方向を表示することにより、消費者は容易にストロー5をストロー包装体1から取り出すことが可能となる。図1(a)では、ストロー5を押し出して取り出す方向を示す矢印が、上フィルム2の長手方向両端部付近に示されている。
取り出し方向表示部23は、上フィルム2又は下フィルム3の表面に、例えば矢印等の方向性を示す記号等を印刷することによって設けられる。
【0020】
図2に示すように、取り出し方向表示部23に示す情報は、矢印等の記号のみならず、文字によってストロー包装体1の開封方向や押し出し作業について表示するものであっても良いし、図3に示すように、指の形を表示することによるものであっても良い。
また、取り出し方向表示部23は、上フィルム2や下フィルム3に印刷したものの他、各種情報を印刷したシールを、ストロー包装袋の何れかの場所に貼り付けてやるようにしても良い。
また、ストロー包装体1に取り出し方向表示部23が設けられる位置としては、ストロー包装袋に収容されたストロー5の先端部5aが向いた側の端部(本実施形態では取り出し端部22aの側)、ストロー5の吸い口5cが向いた側の端部(本実施形態では押し出し端部21bの側)のどちらに設けても良い。ストロー5の先端部5aは鋭利に形成されており、ストロー5を取り出すのが容易な位置であることから、先端部5aの側(本実施形態では取り出し端部22aの側)に設けてやれば、より好ましい。
取り出し方向表示部23の形状や位置、表示内容については、適宜、選択して使用できる。
【0021】
次に、本発明に係るストロー包装体1の第2の実施形態について説明する。
本実施形態のストロー包装体1は、基本構成が第1の実施形態と共通であり、同じ図面及び符号を用いて説明する。
本実施形態のストロー包装体1は、ストロー包装袋の長手方向の一端部の開封強度が、他端部の開封強度よりも低く構成され、前記一端部はストローの取り出し端部22aとなっている。
図1(a)に示すように、取り出し端部22aは、シール部22の長手方向におけるシール幅L1が、取り出し端部22aとは反対側の他端部22bのシール幅L2よりも短く構成されている。これにより、シール部22の下フィルム3からの剥離しやすさは、他端部22b側よりも取り出し端部22a側の方が容易となるため、取り出し端部22aにおけるストロー包装袋の開封強度が低くなり、ストロー5を取り出しやすくしている。
また、取り出し端部22a側のシール幅L1の寸法を、他端部22b側のシール幅L2の寸法に対して50〜90%、好ましくは60〜80%の寸法とすることにより、ストロー包装袋の長手方向各端部における上フィルム2と下フィルム3との間の剥離しやすさに差異を設けることができ、開封強度及び開封容易性に明確な異方性を持たせることができる。
【0022】
本実施形態おけるストロー包装体1の、上フィルム2と上フィルム3との間の剥離しやすさについて、取り出し端部22a側と他端部22b側とで差異を設けて開封容易性に異方性を持たせる場合、上述のようにシール幅Lに差異を持たせる構成の他、ヒートシール時のシール温度やシール圧力、またシール面積を変えてやることによって、剥離強度に差を設ける手段を用いて行っても良い。
【0023】
本実施形態で説明しているストロー包装袋の開封強度とは、ストロー包装体1の押し出し端部21bから、プッシュプルスケールを使用してストロー5をストロー包装体1の長寸方向に押した時に、ストロー包装袋からストロー5が飛び出す際の荷重の最大値であり、ストロー5を取り出す際に必要な力である。
【0024】
以上説明したように、本実施形態のストロー包装体1によれば、下フィルム3の表面3aにシールされる上フィルム2のシール部22について、シール部22の長手方向の両端部である取り出し端部22a及び他端部22bのシール幅L1、L2に寸法差を設けている。これにより、取り出し端部22aの開封強度が、他端部22bの開封強度よりも低くなり、取り出し端部22aの位置でストロー5を取り出す開封作業が容易となるとともに、開封容易性に異方性を有したストロー包装体1が得られる。
また、第1及び第2の実施形態を組み合わせて、上フィルム2に取り出し方向表示部23を設けることによって上述の開封容易性に基づいて取り出し端部22aの位置やストロー5の押し出し方向を表示することにより、消費者が常に好ましい方向へストロー5を押し出し、ストロー5を容易に取り出すことが可能となる。
【0025】
次に、本発明に係るストロー包装体の第3の実施形態について、図5、図6を参照して説明する。
本実施形態のストロー包装体10は、第1及び第2の実施形態と基本構成が共通しており、同じ符号を用いて説明するとともに、詳細を省略する。
【0026】
図5に示すように、本実施形態におけるストロー包装体10は、シール部22の内、取り出し端部22a側のシール部が、ストロー5の取り出し方向に向けて山形形状となっている。
本実施形態においては、山形の頂部22cが応力集中部となる為、ストロー5の先端部5aが突き押し端部21aに押し当てられた際、頂部22cを起点として、取り出し端部22aの上フィルム2と下フィルム3とが容易に剥離或いは破断する。これにより、ストロー5のストロー包装体10からの取り出しが容易となる。
【0027】
図9に示したような、頂部22cのような応力集中部を設けていない従来のストロー包装体においては、ストロー5の先端部5aが鋭利であるため、上フィルムと下フィルムとの剥離強度が弱い場合、先端部5aがシール部を剥離させ、ストロー5が使用前にストロー包装袋から飛び出す恐れがあった。また、剥離強度を高くしすぎると、ストロー包装袋からストロー5が取り出しにくくなる虞があった。
本実施形態に示した、頂部22cのような応力集中部を設けたストロー包装体10であれば、上フィルム2と下フィルム3との剥離強度を高くしても開封の容易さが確保できるとともに、ストロー5が使用前にストロー包装袋から飛び出すのを防止できる。
本実施形態におけるストロー包装体10であれば、ストロー5の先端部5aが向いている端部のみならず、ストロー5の吸い口5c側が向いている端部にも頂部22cを設けるとともに、上フィルム2のシール部22と下フィルム3との剥離強度を高くしておくことができる。これにより、ストロー5が使用前にストロー包装体10から飛び出すことが無く、また、ストロー5を、ストロー包装体10の長手側の何れの端部に向けて押した場合であってもストロー包装袋が容易に開封してストロー5を取り出すことができ、密封性と開封性を両立させたストロー包装体10を得ることができる。
【0028】
なお、本実施形態においては、図5に示すような、1つの山形形状、つまり頂部22cが1箇所の場合を例に説明したが、図6に示すような、複数の山形形状を並べて形成し、長部22cを複数設け、複数の場所で応力集中が発生するようにしたストロー包装体11としてもよい。
【0029】
また、本発明に係るストロー包装体は、上述した第1乃至第3の実施形態を複数組み合わせて構成しても良い。
【0030】
本発明に係るストロー包装体の、上フィルム2と下フィルム3との間の剥離強度は100g/15mm幅〜500g/15mm幅の範囲とすることが好ましい。この範囲内であればストロー5を押し出すことで、シール部22を剥離しながら、ストロー5を容易に取り出すことができる。さらに、前記剥離強度は、150g/15mm幅〜300g/15mm幅とすることにより、強度的に安定しながらもストロー5が容易に取り出せるストロー包装体1が得られる。前記剥離強度が100g/15mm幅未満の場合、流通時にシール部が剥がれ、ストローが脱落する恐れがある。前記剥離強度が500g/15mm幅を超える場合は、シール部22の剥離が容易に出来なくなり、ストロー5を取り出しにくくなる可能性がある。
【0031】
また、ストロー包装体の開封強度としては2〜15Nが好ましく、さらに好ましくは3〜10Nとするとよい。開封強度を下げるにつれてストロー5の取り出しは容易になる一方、開封強度を下げすぎると、ストロー包装体1の破れやシール部22の流通段階における開き等の不具合が生じる恐れがある。
ストロー包装体の開封強度は、用いるフィルムの引き裂けやすさなどの物性値、ストロー包装体のシール部22の剥離強度、ストロー包装体のストロー5取り出し方向のシール幅Lなどにより変化するため、これらの数値を調整することで所望の開封強度を得ることができる。
【0032】
また、本発明に係るストロー包装体は、上フィルム2の材料として裂け易いフィルムを用いて構成しても良い。この構成により、ストロー5の先端部5aが突き押し端部22aに押し当てられた際に、この突き押し端部22aが突き破られることにより、シール部22の下フィルム3からの剥離を伴わなくとも、ストロー5をストロー包装袋から容易に取り出すことが可能となる。
【0033】
上フィルム2の材質としては無延伸ポリプロピレンフィルムを用い、JIS−P−8116に準拠して、MDまたはTDのいずれかの方向で測定したエレメンドルフ引裂き強度が、20N/cm以下のものが好ましく、10N/cm以下のものがさらに好ましい。このようなフィルムとしては、例えばフィルム成形時の冷却条件を調節して結晶化度を高めた特定の無延伸ポリプロピレンフィルム(以下CPPフィルムとも言う)や、溶融張力の高いポリプロピレンをホモポリプロピレンに配合した特定のCPPフィルムなどが挙げられる。
【0034】
図4(a)、(b)、(c)に示すように、本発明に係るストロー包装体に収容されたストロー5は、丸棒状の形状であるために回転し易く、ストロー5の先端部5aの突き刺し側5bの向きが変わる場合がある。
図4(c)に示すように、突き刺し側5bが下(下フィルム3側)を向く場合、上フィルム2に対し、シール部22の取り出し端部22aを下フィルム3から剥離又は破断させる力が伝わりやすい。このため、上フィルム2の材質に2軸延伸ポリプロピレンフィルムのように強靭なフィルムを使用した場合、取り出し端部22aの下フィルム3からの剥離又は破断によって、ストロー5をストロー包装体1から容易に取り出すことができる。
しかしながら、上フィルム2の材質に一般的な無延伸ポリプロピレンフィルムのような延びやすいフィルムを使用した場合、先端部5aが突き押し端部21aを突き押して延ばしてしまう場合があり、結果として開封強度が上がってしまうことがある。
【0035】
一方、図4(a)に示すように、ストロー5の回転により、突き刺し側5bが上を向く場合がある。この際、先端部5aが突き押し端部21aに引っ掛かった状態となり、取り出し端部22aを下フィルム3から剥離又は破断させる力が伝わりにくい。これは図4(b)に示した、突き刺し側5bが横方向(下フィルム3に対して水平方向)を向いた場合も同様である。この場合、ストロー5を取り出すには突き押し端部21aを押し破ることが必要となり、結果として開封強度が上がってしまう。
また、上フィルム2の材質に一般的な無延伸ポリプロピレンフィルムのような延びやすいフィルムを使用した場合も、先端部5aが突き押し端部21aを突き押して延ばしてしまう場合があり、開封強度が上がってしまうことがある。
【0036】
本発明に係るストロー包装体においては、上フィルム2の材質として、エレメンドルフ引裂き強度が20N/cm以下、好ましくは10N/cm以下の無延伸ポリプロピレンフィルムを用いてやることにより、上述したようなストロー5の回転による突き刺し側5bの向きに関わらず、ストロー包装体の開封強度を低く抑えることができ、ストロー5を取り出すことが一層容易になる。
【0037】
本発明に係るストロー包装体1を表面に貼り付けたストロー付き飲料製品6について、図8を参照して説明する。
ストロー5を収容したストロー包装袋1は、下フィルム3の裏面3b(図8には図示しないため、図1(b)参照)がストロー付き飲料製品6の容器表面6aに貼付けられている。ストロー包装袋1のストロー付き飲料製品6への貼付方法については、ホットメルト接着剤を使用しても良いし、ヒートシールによって貼付しても良い。接着方法については適宜、選択できる。
図8に示したストロー付き飲料製品6は、取り出し方向表示部23がストロー包装体1に設けられているが、例えば、容器表面6aの表面上においてストロー包装袋1が張付けられている位置の近傍に取り出し方向表示部を設けても良い。
図8に示したストロー付き飲料製品6は、ストロー5の取り出しが容易で片手で行える等、消費者にとって極めて取り扱い易い。
【0038】
以上、説明したように、本発明に係るストロー包装体によれば、ストロー包装袋の長手方向の一端部を、他端に比べてストローが取り出しやすくしているため、ストロー包装体が飲料容器に貼着された状態において、片手で飲料容器を保持あるいは飲料容器を固定した状態で、ストロー包装体からストローを、小さな力で取り出すことが可能となり、子供やお年寄りであっても容易にストローを取り出すことのできるストロー包装体が得られる
また、本発明によれば、ストロー包装袋又はストロー付き飲料製品の容器にストローの取り出し方向表示部を設けたため、一般の消費者が開封位置や方法を視認することができ、ストロー包装体からストローを取り出す際の作業性が向上する。
【0039】
以下、本発明の実施例について説明する。
ストロー包装袋として、幅15mm、長さ105mmの長方形で、収容空間の幅、つまり突き押し端部及び押圧端部の幅寸法が7mmのものを作製し、ストローとして6mm径、長さ88mmの2段式ストローを使用して、ストロー包装体を作製した。
剥離強度は、図7に示すストロー包装体12の中央部分Dを幅15mmで切り出し、上フィルム及び下フィルムを引っ張って剥離させる方法によるものであり、180度剥離、引張速度300mm/分で測定したときの値である。
開封強度は、外径6mmのストローを用い、上向き、下向き及びそれ以外の向きのストロー包装体を各10本ずつ選び出し、台上に両面テープで固定したストロー包装体のストローの吸い口側から、プッシュプルスケールで取り出し端部に向けて押して測定した際の全30の値のうち、最大値を除いた最も高い値、すなわち高いほうから2番目の値とした。プッシュプルスケールは、FB−50N((株)イマダ製)を使用し、図7に示した端部21bの位置から押し出し方向Fへ手でゆっくりと押し、フィルムを押し破る時の力を測定した。
各実施例において、ストロー包装体は、外周部に長溝を備えたメインドラムとシールドラムの第1次シール部において上フィルム及び下フィルム間にストローを載置しストロー包装袋の長尺方向のシールを行い製造したストローラダーを、2つのシールドラムの間を通す第2次シール部に通して、ストロー包装袋の短尺方向をヒートシールすることによって作製した。第1次シール部のヒートシール温度は、上フィルム及び下フィルムが共に二軸延伸ポリプロピレンフィルムの場合125℃、上フィルム及び下フィルムが二軸延伸ポリプロピレンフィルムと無延伸ポリプロピレンフィルムの組み合わせの場合150℃とした。第2次シール部のシール温度は全て125℃とした。
なお、全ての実施例において、ストロー包装袋には、図1に示す取り出し方向表示部を設けた。
【実施例1】
【0040】
上フィルムに2軸延伸ポリプロピレンフィルム20μmを用いた。下フィルムは2軸延伸ポリプロピレンフィルム20μmを用いた。
ストローの先端部の開封時の抵抗を下げる為に、ストロー包装袋のストロー吸い口側の幅を4.0mm、突き刺し側のシール幅を吸口側の幅の2/3(2.7mm)とした。上フィルムと下フィルムの剥離強度は350g/15mm幅であった。
開封強度は14Nであった。
【実施例2】
【0041】
上フィルムに易引裂き性を有する無延伸ポリプロピレンフィルム(昭和電工プラスチックプロダクツ(株)社製ショウレックス(登録商標)アロマーECB、厚み30μm、MDのエレメンドルフ引裂き強度5N/cm)を使用し、平面側の下フィルムに2軸延伸ポリプロピレンフィルム20μmを使用した。ストロー包装袋のストロー吸い口側及び突き刺し側のシール幅はそれぞれ4.0mmとした。上フィルムと下フィルムの剥離強度は300g/15mm幅であった。
開封強度は10Nであった。
【実施例3】
【0042】
上フィルムと下フィルムの剥離強度を130g/15mmとした2軸延伸ポリプロピレンフィルム(厚み、それぞれ20μm)を使用し、ストロー包装袋のストロー吸い口側及び突き刺し側のシール幅はそれぞれ4.0mmとした。
開封強度は5Nであった。
【実施例4】
【0043】
実施例1において、ストロー取り出し側(先端部側)のシール形状を図4のような山形形状とした。ストロー突き刺し側のシール幅は狭いところで4.0mm、広いところで6.0mmとした。ストロー吸い口側のシール幅は4.0mmとした。上フィルムと下フィルムの剥離強度は350g/15mm幅であった。
開封強度は12Nであった。
【実施例5】
【0044】
上フィルム及び下フィルムが共に20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムで、ストロー包装袋のストロー吸口側及び突き刺し側のシール幅4mmで包装されたストロー包装体を使用した。
上フィルムと下フィルムの剥離強度は350g/15mm幅であった。
開封強度は19Nであった。
【実施例6】
【0045】
エレメンドルフ引裂き強度40N/cmの厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(上フィルム)と厚み20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(下フィルム)で包装されたストロー包装体を使用した。ストロー包装袋のストロー吸口側及び突き刺し側のシール幅4mmとした。
上フィルムと下フィルムの剥離強度は350g/15mm幅であった。
開封強度は23.5Nであった。
【0046】
開封強度の試験結果一覧を表1に示す。
なお、表1には、ストロー包装体の取り出し端部側よりストローを取り出した後、取り出し端部の反対側端部にストロー先端が向くようにして再度ストローをストロー包装体に挿入し、測定した反対側開封強度を併せて示す。この反対側開封強度の測定は、ストロー先端部の突き刺し側の向きが開封強度の値を示した際の向きと同じになるようにして実施した。
【0047】
【表1】

【0048】
表1に示す結果から、ストロー押し出し開封強度として、5〜14Nの範囲であれば、開封しやすいことが明らかである。
なお、開封強度が19Nであっても開封できることと、開封し易さの面から見て開封強度が低いことが望ましいが、あまり開封強度を下げ過ぎると、ストロー包装体を製造して運搬している間、あるいは容器に貼着する工程において破れる等の問題があるため、2N以上とすることが好ましいことを考慮すると、2〜15Nの範囲が望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係るストロー包装体の第1、第2の実施形態を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明に係るストロー包装体の第1、第2の実施形態を説明する正面図である。
【図3】本発明に係るストロー包装体の一実施形態を説明する正面図である。
【図4】本発明に係るストロー包装体の一実施形態を説明する側面図であり、(a)はストローが上向き、(b)はストローが横向き、(c)はストローが下向きであることを示す図である。
【図5】本発明に係るストロー包装体の第3の実施形態を説明する正面図である。
【図6】本発明に係るストロー包装体の第3の実施形態を説明する正面図である。
【図7】本発明に係るストロー包装体の開封強度測定の実施例を説明する図である。
【図8】本発明に係るストロー包装体を貼り付けたストロー付き飲料製品容器を示す斜視図である。
【図9】従来のストロー包装体を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1、10、11、12…ストロー包装体、2…上フィルム、21…凸部、22…シール部、22a…取り出し端部、22b…他端部、23…取り出し方向表示部、3…下フィルム、3a…表面、5…ストロー、6…ストロー付き飲料製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視長方形状の凸部が形成された上フィルムと、下フィルムとからなり、
前記上フィルムに形成された凸部の周囲は平面状をなすシール部であり、該シール部が前記下フィルムに密着してシールされ、正面長方形で袋状に形成されたストロー包装袋にストローが収容されたストロー包装体において、
前記シール部の内、ストロー包装袋の長手方向の一端部の開封強度が、他端部の開封強度よりも低く構成され、
前記一端部はストローの取り出し端部であることを特徴とするストロー包装体。
【請求項2】
平面視長方形状の凸部が形成された上フィルムと、下フィルムとからなり、
前記上フィルムに形成された凸部の周囲は平面状をなすシール部であり、該シール部が前記下フィルムに密着してシールされ、正面長方形で袋状に形成されたストロー包装袋にストローが収容されたストロー包装体において、
ストロー包装袋の長手方向に沿って、ストローの取り出し方向を指示する取り出し方向表示部を設けたことを特徴とするストロー包装体。
【請求項3】
前記上フィルムが、エレメンドルフ引裂き強度が20N/cm以下である無延伸ポリプロピレンフィルムからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のストロー包装体。
【請求項4】
前記取り出し端部における開封強度が2〜15Nであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のストロー包装体。
【請求項5】
前記取り出し端部側の前記シール部の長手方向の寸法が、他端側のシール部の長手方向の幅寸法の50〜90%とされていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のストロー包装体。
【請求項6】
前記ストロー取り出し端部側のシール部が山形形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のストロー包装体。
【請求項7】
前記上フィルムと前記下フィルムとの剥離強度が100g/15mm幅〜500g/15mm幅であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のストロー包装体。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載のストロー包装体を貼付したストロー付き飲料製品。
【請求項9】
ストローの取り出し方向を指示する取り出し方向表示部を、飲料製品容器に貼付したストロー包装体の近傍に設けたことを特徴とする請求項8に記載のストロー付き飲料製品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−143306(P2006−143306A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−338972(P2004−338972)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(595159530)昭和電工プラスチックプロダクツ株式会社 (16)
【Fターム(参考)】