説明

ストークスイッチ装置

【課題】キャンセル機構を備えた小型化が可能なストークスイッチ装置を提供する。
【解決手段】操作レバー2が第1の操作面に沿って揺動操作されるとアクチュエータホルダ7が一体的に回転し、この操作レバー2を中立位置に自動復帰させるキャンセル機構が、アクチュエータホルダ7にギア結合して回転駆動される回転芯体26と、回転芯体26に回転可能に連結された回動ベース31と、回転芯体31に保持された第3アクチュエータ30と、第3アクチュエータ30を回動ベース31の第3カム面31bに弾接させるコイルばね29と、回動ベース31に回転可能に支持された一対の回転アーム32,33と、両回転アーム32,33の外壁面に弾接する一対のばね部材34,35とを備えており、操作レバー2を中立位置から第1の操作面に沿って揺動操作すると、回転芯体26と回動ベース31が一体的に回転駆動されて一方の回転アーム32,33がキャンセル突起36の回転軌跡37内に進出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作レバーを揺動操作することによって方向指示器を動作させるストークスイッチ装置に係り、特に、該操作レバーを中立位置に自動復帰させるキャンセル機構を備えたストークスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のステアリングコラムには左右一対のストークスイッチ装置が付設されており、一方のストークスイッチ装置はターンシグナルスイッチ装置と称せられて方向指示器等を動作させるために使用され、他方のストークスイッチ装置はワイパー等を動作させるために使用される。このようなストークスイッチ装置のうち、ターンシグナルスイッチ装置として用いられるストークスイッチ装置は、ステアリングコラム等に固定されるハウジングから筒状の操作レバーを突出させており、この操作レバーが互いに略直交する2つの操作面内で揺動操作できるようになっている。そして、それぞれの操作面に沿って操作レバーを選択的に操作することにより、左折または右折用のランプを点滅動作させたり、ビーム切換えやパッシング動作を行うようになっている。
【0003】
この種のストークスイッチ装置における操作レバーの支持構造としては、従来、操作レバーの基部を第1の操作面に沿って揺動可能に支持するホルダと、このホルダの内奥壁に設けられた第1カム面に弾接する第1駆動体と、ホルダを第1の操作面に対して略直交する第2の操作面に沿って揺動可能に支持するハウジングと、このハウジングの内奥壁に設けられた第2カム面に弾接する第2駆動体と、操作レバーの第1および第2の操作面に沿う揺動操作を個別に検出可能な検出手段とを備え、第1および第2駆動体をほぼ同一直線上に配設した構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このように概略構成された従来のストークスイッチ装置において、ユーザが中立位置にある操作レバーを第1の操作面に沿って上下いずれかの方向へ回動操作すると、ホルダは回転せずに操作レバーがホルダとハウジングに対して揺動回転し、それに伴って第1駆動体が第1カム面を摺動してクリック感を生起すると共に、検出手段の一方のスライドスイッチが操作レバーの基部に駆動されてオン動作してビーム切換えやパッシング動作が行われる。一方、ユーザが中立位置にある操作レバーを第2の操作面に沿って左右いずれかの指示位置へ回動操作すると、操作レバーはホルダと一体的にハウジングに対して揺動回転し、それに伴って第2駆動体が第2カム面を摺動してクリック感を生起してからロック部にて保持されると共に、検出手段の他方のスライドスイッチがホルダに駆動されてオン動作して左折または右折用のランプが点滅動作される。また、このように操作レバーが左右いずれかの指示位置まで回動操作されると、ハウジングに組み込まれたキャンセル機構のレバー突起がキャンセル突起の回転軌跡内に進出した状態となり、この状態でステアリングホイールを操作レバーの回動方向とは逆向きに回転させるリターン動作が行われると、キャンセル突起がレバー突起に当接してこれを回転駆動する。その結果、第2駆動体が第2カム面のロック部から外れて谷部へ押し戻されるため、ホルダと操作レバーが中立位置へ自動復帰する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−6494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した従来のストークスイッチ装置では、ホルダの内奥壁に弾接する第1駆動体とハウジングの内奥壁に弾接する第2駆動体とをほぼ同一直線上に配設することにより、操作レバーを第1および第2の操作面に沿って操作したときに所望のクリック感が生起されるようにしてあるため、操作レバーの支持構造をコンパクトに設計できないという問題があった。つまり、かかる従来例では、操作レバーの基部を所望の操作が行えるように支持するための機構部が、必然的に奥行き寸法の長い形状になってしまうため、キャンセル機構を備えたストークスイッチ装置全体の小型化が困難であるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、キャンセル機構を備えた小型化が可能なストークスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明のストークスイッチ装置は、操作レバーの基部を第1の操作面に沿って揺動可能に支持する可動支持部材と、この可動支持部材を前記第1の操作面に対して略直交する第2の操作面に沿って揺動可能に支持するハウジングと、このハウジングに設けられた第1カム面および第2カム面と、前記操作レバーの基部に前記第2の操作面に沿う回動のみが可能な状態で取り付けられたアクチュエータホルダと、このアクチュエータホルダに保持されて第1弾性部材の弾発力を受けて前記第1カム面に弾接する第1アクチュエータと、前記可動支持部材に保持されて第2弾性部材の弾発力を受けて前記第2カム面に弾接する第2アクチュエータと、前記アクチュエータホルダに設けられた駆動部にギア結合して回転駆動される回転芯体と、この回転芯体の外周部に回転可能に連結された回動ベースと、前記回転芯体に保持された第3アクチュエータと、この第3アクチュエータを前記回動ベースの内周面に設けられた第3カム面に弾接させる第3弾性部材と、前記回動ベースに回転可能に支持された一対の回転アームと、前記回転芯体を挟むように前記ハウジングに支持されて前記回転アームの外壁面に弾接する一対のばね部材とを備え、一対の前記回転アームはステアリングホイールに連動して回転するキャンセル突起の回転軌跡に対して出没可能であると共に、これら両回転アームはその回転中心を跨ぐ外壁面に第1受け部と第2受け部とを有しており、前記操作レバーが前記第1の操作面における中立位置にあるとき、一対の前記回転アームが前記回転芯体を挟んだ対向位置で前記回転軌跡から後退していると共に、これら両回転アームの前記第1受け部にそれぞれ一対の前記ばね部材が弾接しており、前記操作レバーが前記第1の操作面に沿って一方向の末端位置まで揺動操作され、それに伴って前記回転芯体と前記回動ベースが一体的に回転したとき、いずれか一方の前記回転アームが一方の前記ばね部材から離反して他方の前記ばね部材と当接すると共に、他方の前記ばね部材が前記両回転アームの前記第2受け部にそれぞれ弾接することにより、いずれか他方の前記回転アームが前記回転軌跡内に進出するようにした。
【0009】
このように構成されたストークスイッチ装置では、操作レバーを第1の操作面に沿って揺動操作した場合は、操作レバーの基部と連動しない可動支持部材に保持された第2アクチュエータは第2カム面を摺動せず、かつ、操作レバーの基部と連動するアクチュエータホルダに保持された第1アクチュエータのみが第1カム面を摺勤し、操作レバーを第1の操作面に対して略直交する第2の操作面に沿って揺動操作した場合は、常時弾接する第1カム面から受ける反力で第1アクチュエータは第1カム面を摺動せず、かつ、操作レバーの基部と連動する可動支持部材に保持された第2アクチュエータのみが第2カム面を摺動するため、第1カム面および第2カム面をハウジングの同一面上の異なる箇所に設けることができる。これにより、ストークスイッチ装置の奥行き寸法を短くして小型化が可能になると共に、第1の操作面に沿って操作する操作レバーのクリック感(操作感触)と第2の操作面に沿って操作する操作レバーのクリック感とを互いに干渉させることなく、かつ所望のフィーリング曲線で設定することができるため、操作感触に優れたストークスイッチ装置を提供することが可能となる。
【0010】
また、操作レバーを中立位置に自動復帰させるキャンセル機構が、アクチュエータホルダによって回転駆動される回転芯体と、この回転芯体の外周部に第3アクチュエータを介して連結された回動ベースと、この回動ベースに回転可能に支持された一対の回転アームと、これら回転アームに弾接する一対のばね部材とを備えており、操作レバーを中立位置から第1の操作面に沿って一方向へ揺動操作すると、回転芯体がアクチュエータホルダに回転駆動されて一方の回転アームがキャンセル突起の回転軌跡内に進出するようになっているため、小型化が可能なストークスイッチ装置にキャンセル機構の機能を付加することができる。具体的には、操作レバーを第1の操作面に沿って一方向へ揺動操作した状態でステアリングホイールのリターン動作が行われると、ステアリングホイールに連動して回転するキャンセル突起が回転軌跡内に進出する回転アームに当接し、この回転アームを介して回動ベースと回転芯体が逆向きに回転駆動されるため、アクチュエータホルダに保持された第1アクチュエータが第1カム面のロック部から外れて谷部へ押し戻され、アクチユエータホルダと操作レバーが中立位置へ自動復帰する。また、操作レバーを第1の操作面に沿って一方向へ揺動操作した状態で、操作レバーに自動復帰を阻止する何らかの力が作用した場合、例えば操作レバーを手で押さえたままステアリングホイールのリターン動作が行われた場合には、アクチュエータホルダにギア結合する回転芯体を回転することはできないが、この回転芯体に保持された第3アクチュエータが第3弾性部材を押し撓めて回動ベースの第3カム面を摺動するため、回動ベースを回転芯体に対して回転させることができる。
【0011】
上記の構成において、一対の回転アームが回動ベースの回転中心を横切る直線に関して対称形状に形成されていると共に、これら回転アームの回転角度を規制するストッパが回動ベースに形成されていると、一対の回転アームと回動ベースを回転芯体の周囲にコンパクトに配置することができて好ましい。
【0012】
また、上記の構成において、可動支持部材に設けられた駆動部にギア結合して回転駆動される回動部材を備え、この回動部材と回転芯体にそれぞれ被検出体が保持されていると共に、被検出体に対向する検出体を装着した回路基板がハウジングに取り付けられていると、操作レバーの第1の操作面に沿う操作と第2の操作面に沿う操作を検出するための検出機構の省スペース化を図ることができ、ストークスイッチ装置のさらなる小型化が可能になって好ましい。この場合において、被検出体が永久磁石であると共に、検出体が磁気センサであると、回転芯体や回動部材と一体的に回転する永久磁石の回転位置変化に伴う磁場の変化を磁気センサで検出することにより、操作レバーの操作位置が極めて高精度に検出できるようになると共に、永久磁石と磁気センサとが非接触なため、摩耗等に起因する導通不良も回避できて長寿命化が図りやすくなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のストークスイッチ装置によれば、操作レバーの基部を第1の操作面に沿って揺動可能に支持する可動支持部材と、この可動支持部材を第1の操作面に対して略直交する第2の操作面に沿って揺動可能に支持するハウジングと、操作レバーの基部に第2の操作面に沿う回動のみが可能な状態で取り付けられたアクチュエータホルダと、このアクチュエータホルダに第1弾性部材を介して保持された第1アクチュエータと、可動支持部材に第2弾性部材を介して保持された第2アクチュエータとを備え、ハウジングに第1アクチュエータが弾接する第1カム面と第2アクチュエータが弾接する第2カム面とが設けられている構成としてあり、これら両アクチュエータが摺動するカム面をいずれもハウジング内の同一面に設けることができるため、ストークスイッチ装置の奥行き寸法を短くして小型化が可能になる。また、操作レバーを中立位置に自動復帰させるキャンセル機構が、アクチュエータホルダに設けられた駆動部にギア結合して回転駆動される回転芯体と、この回転芯体の外周部に回転可能に連結された回動ベースと、回転芯体に保持された第3アクチュエータと、この第3アクチュエータを回動ベースの内周面に設けられた第3カム面に弾接させる第3弾性部材と、回動ベースに回転可能に支持された一対の回転アームと、回転芯体を挟むようにハウジングに支持されて両回転アームの外壁面に弾接する一対のばね部材とを備えた構成としており、操作レバーを中立位置から第1の操作面に沿って一方向へ揺動操作すると、回転芯体がアクチュエータホルダに回転駆動されて一方の回転アームがキャンセル突起の回転軌跡内に進出するようになっているため、小型化が可能なストークスイッチ装置にキャンセル機構の機能を付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態例に係るストークスイッチ装置の外観図である。
【図2】該ストークスイッチ装置の断面図である。
【図3】該ストークスイッチ装置の分解斜視図である。
【図4】該ストークスイッチ装置に備えられる操作レバーの支持機構を示す斜視図である。
【図5】図4に示す支持機構に備えられるキャンセル機構の斜視図である。
【図6】図5に示すキャンセル機構の分解斜視図である。
【図7】該操作レバーを第1の操作面に沿って揺動操作したときの動作説明図である。
【図8】該操作レバーを第2の操作面に沿って揺動操作したときの動作説明図である。
【図9】図5に示すキャンセル機構の動作説明図である。
【図10】図5に示すキャンセル機構の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態例に係るストークスイッチ装置について図1〜図10を参照しつつ説明する。このストークスイッチ装置は自動車のターンシグナルスイッチ装置に適用したものであり、図1に示すように、ステアリングコラム(図示せず)等に固定されるハウジング1と、ハウジング1から突出する操作レバー2とを備えている。この操作レバー2は互いに直交する2つの操作面(第1および第2の操作面)内で揺動可能であり、それぞれの操作面に沿って操作レバー2を選択的に操作できるようになっている。
【0016】
ハウジング1は、図3に示す上ケース11と下ケース12とカム板13と底板14とを組み合わせて一体化された箱状体である。上ケース11と下ケース12とは、上ケース11の係止孔11aに下ケース12の係止爪12aに嵌入させることによってスナップ結合されており、上ケース11が下ケース12の上部開口を覆っている。下ケース12の両側壁部には相対向する箇所にU字溝状の切欠き12bが形成されている。これら切欠き12bは軸受部であって、上ケース11の図示せぬ内壁の一部と協働して後述する可動支持部材6の支軸16fを回動可能に軸支する。下ケース12の奥壁部12cは凹状の湾曲面となっており、この奥壁部12cの下部には横長形状の開口12dが形成されている。カム板13は下ケース12の奥壁部12cの内面に固定されている。このカム板13には、第1カム面13aと第2カム面13bとが各カム面の山谷を繰り返す方向が交差するように別々の箇所にそれぞれ形成されており(図7と図8参照)、両カム面13a,13bはハウジング1の内壁面の一部を構成している。また、ハウジング1の奥壁部12cと対向する側には、上ケース11と下ケース12との結合によって形成された開口部1a(図2参照)が設けられ、この開口部1aから外方へ操作レバー2が突出している。底板14は下ケース12に固定されて該下ケース12の下部開口を覆っている。この底板14には後述する回動部材23と回転芯体26を位置決めして取り付けるための取付孔14a,14bが形成されている。なお、図2と図8に示すように、回路基板15は底板14に近接して平行に配置され、この回路基板15上に磁気センサ25,28が実装されている。
【0017】
ハウジング1の内部には、操作レバー2と一体化される中空構造の基部20が収納されている。この基部20は操作レバー2の基端部を支持するものであり、図1〜図4に示す構成によって互いに直交する2方向へ揺動可能に支持されている。図3から明らかなように、基部20には、操作レバー2が嵌着される円筒部20aと、円筒部20aに連続する角筒部20bと、角筒部20bの相対向する壁部からそれぞれ外向きに突出する一対の第1軸部20cと、角筒部20bの別の相対向する壁部からそれぞれ外向きに突出する一対の第2軸部20dとが設けられており、第1軸部20cの軸心と第2軸部20dの軸心は互いに直交している。
【0018】
操作レバー2は、操作レバー2の基部20を第1の操作面P1(第1軸部20cの軸心と直交する平面)に沿って回動可能に支持する可動支持部材6と、この可動支持部材6を第1の操作面P1に対して直交する第2の操作面P2(支軸16fの軸心と直交する平面)に沿って回動可能に支持するハウジング1の前記軸受部(切欠き12b)と、基部20に第2の操作面P2に沿う揺動が可能な状態で取り付けられたアクチュエータホルダ7と、このアクチュエータホルダ7にトーションばね(第1弾性部材)18を介して保持された第1アクチュエータ8と、可動支持部材6にトーションばね(第2弾性部材)19を介して保持された第2アクチュエータ9とによって、互いに直交する2方向へ揺動可能に支持されている。そして、操作レバー2が第1の操作面P1に沿って操作されたときに、可動支持部材6は連動しないがアクチュエータホルダ7が基部20と一体的に第1の操作面P1に沿って回転するため、第1アクチュエータ8のみが第1カム面13aを摺動するようになっている。また、操作レバー2が第2の操作面P2に沿って操作されたときに、後述するように、アクチュエータホルダ7は連動しないが、可動支持部材6が基部20と一体的に第2の操作面P2に沿って回動するため、第2アクチュエータ9のみが第2カム面13bを摺動するようになっている。なお、図3に示すように、第1の操作面P1は底板14の底面に沿う平面であり、第2の操作面P2はハウジング1の側壁部に沿う平面である。
【0019】
可動支持部材6は、基体部16と橋絡板17とをスナップ結合等で一体化させた中空枠体である。図3に示すように、この基体部16は、底面部16aと、底面部16aの両端から同じ方向へ突設された一対の側壁部16bと、これらの側壁部16bの−側壁からカム板13の第2カム面13bに向かって突出するアクチュエータ保持部16cと、底面部16aの背面側で中継歯車22に噛合するギア部16dとを有している。底面部16aと橋絡板17の相対向する面には、基部20の一対の第1軸部20cを回動可能に軸支する一対の軸受凹部16e,17aが形成されており、各側壁部16bの外側面には、ハウジング1の前記軸受部(切欠き12b)に回動可能に軸支される一対の支軸16fが外向きに突設されている。これら両支軸16fは可動支持部材6のハウジング1に対する回動軸であり、ハウジング1に取り付けられた可動支持部材6は支軸16fの軸心を中心として第2の操作面P2に沿って回動可能である。なお、支軸16fの軸心は基部20の第2軸部20dの軸心と合致しており、基部20と可動支持部材6は支軸16fを回動軸として第2の操作面P2に沿って一体的に回転するようになっている。ただし、基部20が第1軸部20cを回動軸として第1の操作面P1に沿って回転しても、可動支持部材6が連動して回転することはない。アクチュエータ保持部16cにはトーションばね19と第2アクチュエータ9とが組み込まれて保持されており、トーションばね19の付勢力によって第2アクチュエータ9が第2カム面13bに常時弾接するようになっている。ギア部16dはかさ歯車の一部として形成されており、このギア部16dは底板14に沿って回転可能な中継歯車22、すなわち、底板14に対し回転軸が直交して回転可能な中継歯車22の小径部22aに噛合している。そして、この中継歯車22の大径部22bに、同じく底板14に沿って回転可能な回動部材23が噛合しているため、ギア部16dは中継歯車22を介して回動部材23を回転駆動することができる。すなわち、可動支持部材6が支軸16fを中心に回転すると、その回転駆動力がギア部16dから中継歯車22に伝達されて回転方向が直交変換され、この中継歯車22が回動部材23を増速回転させるようになっている。
【0020】
中継歯車22と回動部材23はハウジング1の底板14に回転可能に支持されており、この回動部材23の下面側に永久磁石24が固着されている。そして、この永久磁石24が回路基板15上の磁気センサ25と近接して対向するように、回動部材23の取付位置が底板14の取付孔14aによって規定されている。そのため、回動部材23と一体的に回転する永久磁石24の回転位置変化に伴う磁場の変化を磁気センサ25で検出することによって、可動支持部材6の回転位置、つまり第2の操作面P2に沿う操作レバー2の操作位置を高精度に検出できるようになっている。なお、ギア部16dと回動部材23との間に中継歯車22を介在させている理由は、回動部材23とギア部16dとを直接噛合させると、操作レバー2の操作により回転する回動部材23の角度範囲が磁気センサ25による最大検出角度範囲に比べて著しく小さくなってしまうので、回動部材23の角度範囲を磁気センサ25による最大検出角度範囲近くまで拡大して、第2の操作面P2に沿う操作レバー2の操作位置を高精度に検出するためである。
【0021】
アクチュエータホルダ7には、相対向してそれぞれに軸孔7aが形成されている一対の取付壁部7bと、これら取付壁部7bと逆向きに突出するアクチュエータ保持部7cと、該保持部7cの背面側で回転芯体26に噛合するギア部7dとが設けられている。両取付壁部7bの軸孔7aは基部20の一対の第2軸部20dに回動可能に外挿されるため、アクチュエータホルダ7は第2軸部20dの軸心を中心として回動可能な状態で基部20に取り付けられる。また、第1カム面13aに常時弾接する第1アクチュエータ8が、トーションばね18の付勢力によって生じる第1カム面13aからの反力を受けて第1カム面13a上を摺勤しにくくなる。それゆえ、基部20が支軸16fを回動軸として第2の操作面P2に沿って回転すると、アクチュエータホルダ7が基部20と連動して回転することはなく、可動支持部材6が基部20と一体的に第2の操作面P2に沿って回動するため、第2アクチュエータ9のみが第2カム面13bを摺動する。しかるに、基部20が第1軸部20cを回動軸として第1の操作面P1に沿って回転するときだけ、アクチュエータホルダ7は基部20と一体的に回転する。アクチュエータ保持部7cにはトーションばね18と第1アクチュエータ8とが組み込まれて保持されており、トーションばね18の付勢力によって第1アクチュエータ8が第1カム面13aに常時弾接するようになっている。ギア部7dは底板14に沿って回転可能な回転芯体26の歯車26aに噛合しており、アクチュエータホルダ7が基部20と一体的に第1の操作面P1に沿って回転すると、その回転駆動力がギア部7dと歯車26aの噛合部分を介して回転芯体26に伝達されることで、該回転芯体26が回転するようになっている。
【0022】
回転芯体26は円筒部26bを有しており、歯車26aは円筒部26bの上端面に設けられている。円筒部26bには収納孔26cが形成されており、この収納孔26cにコイルばね(第3弾性部材)29と第3アクチュエータ30が組み込まれて保持されている。回転芯体26の円筒部26bはハウジング1の底板14に回転可能に支持されており、円筒部26bの下端面に永久磁石27が固着されている。そして、この永久磁石27が回路基板15上の磁気センサ28と近接して対向するように、回転芯体26の取付位置が底板14の取付孔14bによって規定されている。そのため、回転芯体26と一体的に回転する永久磁石27の回転位置変化に伴う磁場の変化を磁気センサ28で検出することによって、アクチュエータホルダ7の回転位置、つまり第1の操作面P1に沿う操作レバー2の操作位置を高精度に検出できるようになっている。
【0023】
なお、本実施形態例では、永久磁石24,27として、N極とS極が180度離れて着磁されている環状の磁石を用いており、かつ、磁気センサ25,28としてGMR(Giant Magnet-Resistive)センサを用いている。ただし、永久磁石の形状や着磁方向は適宜選択可能であり、磁気センサとしてMREセンサやホール素子等を用いることも可能である。
【0024】
回転芯体26には回動ベース31が回転可能に装着されており、この回動ベース31は下ケース12の開口12dを臨む位置に配置されている。図5と図6に示すように、回動ベース31は回転芯体26の円筒部26bに挿入される貫通孔31aを有しており、この貫通孔31aの外周面の一部には断面V字形状の第3カム面31bが形成されている。通常、第3アクチュエータ30はコイルばね29の付勢力を受けて第3カム面31bの谷部に圧接されているため、回転芯体26と回動ベース31は第3アクチュエータ30を介して一体的に回転する。ただし、回転芯体26の回転が阻止された状態で回動ベース31に回転力が作用した場合、第3アクチュエータ30がコイルばね29を押し撓めて第3カム面31bの谷部から山部へ向かって摺動することにより、回動ベース31が回転芯体26に対して所定角度の範囲内で回転するようになっている。回動ベース31には貫通孔31aを介して対向する第1ストッパ壁31cと第2ストッパ壁31dが形成されており、この第1ストッパ壁31cの中央部に第3カム面31bが形成されている。また、回動ベース31には一対のボス31eが立設されており、これらボス31eは第2ストッパ壁31dを挟んだ対向位置に配置されている。
【0025】
回動ベース31の各ボス31eには第1回転アーム32と第2回転アーム33が回転可能に支持されており、これら回転アーム32,33の回転角度は第1および第2ストッパ壁31c,31dによって所定角度の範囲内に規制されている。両回転アーム32,33は回動ベース31の回転中心と第3カム面31bの谷部を通る直線に関して対称形状となっており、第1回転アーム32は平面視くの字形状に屈曲形成され、第2回転アーム33は平面視逆くの字形状に屈曲形成されている。第1回転アーム32の屈曲部近傍には軸孔32aが形成されており、この軸孔32aを一方のボス31eに挿入することにより、第1回転アーム32は軸孔32aを中心に回転可能となっている。また、第1回転アーム32の外壁面には第1受け部32bと第2受け部32cが形成されており、これら一対の受け部32b,32cは第1回転アーム32の回転中心である軸孔32aを跨いだ離反位置にある。同様に、第2回転アーム33の屈曲部近傍には軸孔33aが形成されており、この軸孔33aを他方のボス31eに挿入することにより、第2回転アーム33は軸孔33aを中心に回転可能となっている。また、第2回転アーム33の外壁面にも第1受け部33bと第2受け部33cが形成されており、これら一対の受け部33b,33cは第2回転アーム33の回転中心である軸孔33aを跨いだ離反位置にある。
【0026】
回動ベース31の周囲にはL字状の線ばねからなる第1ばね部材34と第2ばね部材35とが配設されており、これら両ばね部材34,35は下ケース12の底面に片持ち状に支持されている。両ばね部材34,35は回動ベース31の回転角度に応じて両回転アーム32,33の第1受け部32b,33bと第2受け部32c,33cに選択的に弾接するようになっており、それに伴って両回転アーム32,33が軸孔32a,33aを中心に回動ベース31上で所定角度だけ回転する。そして、これら回転芯体26、コイルばね29、第3アクチュエータ30、回動ベース31、第1および第2回転アーム32,33、第1および第2ばね部材34,35とにより、操作レバー2を中立位置に自動復帰させるキャンセル機構が構成されている。このキャンセル機構の動作については図9,10を参照して後ほど詳細に説明するが、操作レバー2が第1の操作面P1に沿って揺動操作されると、回転芯体26と回動ベース31が一体的に回転し、それに伴って第1および第2回転アーム32,33がステアリングホイールに連動して回転するキャンセル突起36の回転軌跡37に出入するようになっている。
【0027】
このように構成された本実施形態例に係るストークスイッチ装置の動作について説明する。まず、操作レバー2の動作について説明すると、図7(b)と図8(b)は操作レバー2がいずれの方向にも揺動操作されておらず中立位置に保持されている状態を示している。この場合、図7(b)に示すように、第1アクチュエータ8がトーションばね18に付勢されて第1カム面13aの谷部に弾接しているため、アクチュエータホルダ7は安定的に保持されている。また、図8(b)に示すように、第2アクチュエータ9がトーションばね19に付勢されて第2カム面13bの谷部に弾接しているため、可動支持部材6も安定的に保持されている。
【0028】
この状態で、操作レバー2が第1の操作面P1に沿って揺動操作されると、可動支持部材6は操作レバー2の基部20と連動しないため、可動支持部材6に保持された第2アクチュエータ9は第2カム面13bを摺動せず、操作レバー2の基部20と連動するアクチュエータホルダ7に保持された第1アクチュエータ8のみが第1カム面13aを摺動する。このように、基部20と一体的にアクチュエータホルダ7が回転するため、第1アクチュエータ8が第1カム面13aを摺動すると共に、ギア部7dが回転芯体26と回動ベース31を一体的に回転駆動する。すなわち、操作レバー2が図7(b)の時計回りに揺動操作された場合、第1アクチュエータ8は第1カム面13aの一方の山部を乗り越えてクリック感を生起した直後に該カム面13aの一端部に係止されるため、アクチュエータホルダ7および基部20は図7(a)に示す位置まで回転して保持される。また、操作レバー2が図7(b)の反時計回りに揺動操作された場合には、第1アクチュエータ8は第1カム面13aの他方の山部を乗り越えてクリック感を生起した直後に該カム面13aの他端部に係止されるため、アクチュエータホルダ7および基部20は図7(c)に示す位置まで回転して保持される。そして、このようなアクチュエータホルダ7および基部20の回転動作に伴って回転芯体26が所定の回転方向へ所定量回転するため、回転芯体26に固着されている永久磁石27の回転位置変化に伴う磁場の変化を磁気センサ28で検出することによって、第1の操作面P1に沿う操作レバー2の操作位置を正確に検出することができる。それゆえ、操作レバー2を操作して図7(a)の状態になったときに、磁気センサ28から出力される検出信号に基づいて右折用ランプの点滅動作を行わせるスイッチをオンさせることができる。同様に、操作レバー2を操作して図7(c)の状態になったときに、磁気センサ28から出力される検出信号に基づいて左折用ランプの点滅動作を行わせるスイッチをオンさせることができる。
【0029】
また、中立位置に保持されている操作レバー2が第2の操作面P2に沿って揺動操作されると、基部20と一体的に可動支持部材6が回転するため、第2アクチュエータ9が第2カム面13bを摺動すると共に、ギア部16dが中継歯車22を介して回動部材23を回転駆動する。ただし、前述したように基部20とアクチュエータホルダ7とは、第2の操作面P2に沿って一体的にではなく別々に回転できるように連結されており、かつ、アクチュエータ保持部7cに保持された第1アクチュエータ8が、常時弾接する第1カム面13aから反力を受けて第1カム面13aを摺勤しにくくなっているため、操作レバー2が第2の操作面P2に沿って揺動操作されても、アクチュエータホルダ7は操作レバー2と連動しない。したがって、操作レバー2が図8(b)の時計回りに揺動操作された場合、第2アクチュエータ9のみが第2カム面13bの山部を乗り越えてクリック感を生起した直後に該第2カム面13bの−端部に係止されるため、可動支持部材6および基部20は図8(a)に示す位置まで回転して保持される。また、操作レバー2が図8(b)の反時計回りに揺動操作された場合には、図8(c)に示すように第2アクチュエータ9は第2カム面13bの他端部で係止されないため、かかる操作力が除去されると、第2アクチュエータ9が第2カム面13bの谷部まで押し戻されて可動支持部材6および基部20は図8(b)の状態に自動復帰する。そして、このような可動支持部材6および基部20の回転動作に伴って回動部材23が所定の回転方向へ所定量回転するため、回動部材23に固着されている永久磁石24の回転位置変化に伴う磁場の変化を磁気センサ25で検出することによって、第2の操作面P2に沿う操作レバー2の操作位置を正確に検出することができる。それゆえ、操作レバー2を操作して図8(a)の状態になったときに、磁気センサ25から出力される検出信号に基づいて前照灯を上向きに切り替えるスイッチをオンさせることができる。同様に、操作レバー2を操作して図8(c)の状態になったときに、磁気センサ25から出力される検出信号に基づいて前照灯のパッシング操作を行わせるスイッチをオンさせることができる。
【0030】
次に、操作レバー2を中立位置に自動復帰させるキャンセル機構の動作について説明する。操作レバー2が図7(b)の状態で中立位置に保持されているとき、図9(a)に示すように、回動ベース31は第1ストッパ壁31cを下ケース12の開口12dに対向させた位置で停止しており、第1回転アーム32と第2回転アーム33は回動ベース31の回転中心と第3カム面31bの谷部を通る直線を介して対向している。この場合、第1回転アーム32は第1受け部32bに弾接する第1ばね部材34の付勢力を受けて第1ストッパ壁31cの一端部に当接し、第2回転アーム33は第1受け部33bに弾接する第2ばね部材35の付勢力を受けて第1ストッパ壁31cの他端部に当接しており、これら両回転アーム32,33はいずれも開口12dから突出しない位置にある。したがって、一対の回転アーム32,33はキャンセル突起36の回転軌跡37から後退しており、この状態でステアリングホイール(ハンドル)を回転しても、キャンセル突起36は両回転アーム32,33に当接せず、操作レバー2は中立位置に保持される。
【0031】
操作レバー2をこの中立位置から第1の操作面P1に沿って例えば図7(b)において反時計回り(左折方向)に揺動操作すると、アクチュエータホルダ7によって回転芯体26と回動ベース31が図9(a)の時計回りに一体的に回転駆動され、図9(b)に示すように、回転方向の上流側に位置する第1回転アーム32が第1ばね部材34から離反する方向へ移動すると共に、回転方向の下流側に位置する第2回転アーム33が第2ばね部材35を外側へ押し撓めながら移動する。そして、操作レバー2が図7(c)に示す左折状態で保持された時点で、回転芯体26と回動ベース31は図9(a)の状態から時計回りに90度回転し、図9(c)に示すように、第2ばね部材35が第1回転アーム32と第2回転アーム33の第2受け部32c,33cに弾接する。これにより、第1回転アーム32が軸孔32aを中心に時計回りに所定角度回転して第2ストッパ壁31dの一端部に当接すると共に、第2回転アーム33が軸孔33aを中心に反時計回りに所定角度回転して第2ストッパ壁31dの他端部に当接し、一対の回転アーム32,33は第2ストッパ壁31dを介して横並びの状態になる。その結果、第2回転アーム33の一端部が開口12dから突出してキャンセル突起36の回転軌跡37内に進出すると共に、左折用のランプが点滅動作する。
【0032】
図9(c)に示す左折状態でステアリングホイールが操作レバー2の揺動方向と同じ向き(反時計回り方向)に回転操作されると、車が左折する一方で、キャンセル突起36が回転軌跡37内に進出する第2回転アーム33の外側面を押圧するため、第2回転アーム33が軸孔33aを中心に時計回りに回転して回転軌跡37から後退する。そして、キャンセル突起36が第2回転アーム33を通過すると、第2回転アーム33は第2ばね部材35の付勢力によって図9(c)の状態に戻るため、回転芯体26と回動ベース31は回転せずに操作レバー2は左折状態に保持される。
【0033】
また、車が左折してから、図9(c)に示す左折状態でステアリングホイールが操作レバー2の揺動方向と逆向き(時計回り方向)に回転操作されると、そのリターン動作中にキャンセル突起36が回転軌跡37内に進出する第2回転アーム33の一端部に突き当たる。これにより、キャンセル突起36の押圧力が第2回転アーム33から第2ストッパ壁31dを介して回動ベース31に作用するため、回転芯体26と回動ベース31が反時計回りに一体的に回転して図9(b)の状態となる。その結果、回転芯体26の回転が歯車26aとギア部7dのギア結合を介してアクチュエータホルダ7に伝達されるため、アクチュエータホルダ7に保持された第1アクチュエータ8が第1カム面13aのロック部から外れて中央の谷部へ移行し、操作レバー2は図7(b)と図9(a)に示す中立位置に自動復帰して左折用のランプが消灯する。
【0034】
さらに、図9(c)に示す左折状態で操作レバー2に自動復帰を阻止する何らかの力が作用した場合、例えば操作レバー2を押さえながらステアリングホイールのリターン動作がなされると、上記したようにキャンセル突起36からの押圧力を受けて回動ベース31が反時計回りに回転しようとするが、操作レバー2が押さえられているためアクチュエータホルダ7にギア結合する回転芯体26は回転せず、回動ベース31と回転芯体26との間に過大な負荷が発生する。このような過負荷が発生した場合、キャンセル突起36の押圧力が第2回転アーム33を介して回動ベース31に伝達されることにより、回動ベース31が図10(a)の反時計回りに回転して図10(b)の状態となり、この間で回転芯体26に保持された第3アクチュエータ30がコイルばね29を押し撓めながら第3カム面31bの谷部から山部に向かって摺動する。そして、図10(c)に示すように、キャンセル突起36が回転軌跡37から後退した第2回転アーム33を通過すると、第3アクチュエータ30がコイルばね29の付勢力によって第3カム面31bの山部から谷部に戻るため、回動ベース31と回転芯体26は図10(a)の状態に復帰して操作レバー2は左折状態に維持される。このように、キャンセル動作時に回転芯体26と回動ベース31との間に生じる過負荷が、第3アクチュエータ30と第3カム面31bの相対的な位置変化によって吸収されるため、アクチュエータホルダ7と回転芯体26および回動ベース31を含む動力伝達系の構成部品が破損することを防止できる。
【0035】
なお、操作レバー2を中立位置から第1の操作面P1に沿って図7(b)の時計回りに揺動操作した場合は、上記と逆に回転芯体26と回動ベース31が図9(a)の反時計回りに一体的に回転駆動され、その回転方向の下流側に位置する第1回転アーム32がキャンセル突起36の回転軌跡37内に進出することになるが、キャンセル機構の基本的動作は同じであるため、ここでは重複説明を省略する。
【0036】
以上説明したように、本実施形態例に係るストークスイッチ装置では、操作レバー2の基部20を第1の操作面P1に沿って揺動可能に支持する可動支持部材6と、この可動支持部材6を第2の操作面P2に沿って揺動可能に支持するハウジング1と、操作レバー2の基部20に第2の操作面P2に沿う回動のみが可能な状態で取り付けられたアクチュエータホルダ7と、このアクチュエータホルダ7にトーションばね(第1弾性部材)18を介して保持された第1アクチュエータ8と、可動支持部材6にトーションばね(第2弾性部材)19を介して保持された第2アクチュエータ9とを備え、ハウジング1に第1アクチュエータ8が弾接する第1カム面13aと第2アクチュエータ9が弾接する第2カム面13bとが設けられている構成としてあり、これら両アクチュエータ8,9が摺動するカム面13a,13bをいずれもハウジング1内の同一面に設けることができるため、ストークスイッチ装置の奥行き寸法を短くして小型化が可能になる。
【0037】
また、操作レバー2を中立位置に自動復帰させるキャンセル機構が、アクチュエータホルダ7に設けられたギア部(駆動部)7dにギア結合して回転駆動される回転芯体26と、この回転芯体26の外周部に回転可能に連結された回動ベース31と、回転芯体31に保持された第3アクチュエータ30と、この第3アクチュエータ30を回動ベース31の内周面に設けられた第3カム面31bに弾接させるコイルばね(第3弾性部材)29と、回動ベース31に回転可能に支持された一対の回転アーム32,33と、回転芯体26を挟むようにハウジング1に支持されて両回転アーム32,33の外壁面に弾接する一対のばね部材34,35とを備えた構成としており、操作レバー2を中立位置から第1の操作面P1に沿って一方向へ揺動操作すると、回転芯体26がアクチュエータホルダ7に回転駆動されて一方の回転アーム32,33がキャンセル突起36の回転軌跡37内に進出するようになっているため、小型化が可能なストークスイッチ装置にキャンセル機構の機能を付加することができる。
【0038】
すなわち、操作レバー2を第1の操作面P1に沿って一方向へ揺動操作した状態でステアリングホイールのリターン動作が行われると、ステアリングホイールに連動して回転するキャンセル突起36が回転軌跡37内に進出するいずれか一方の回転アーム32,33に当接し、この回転アーム32,33を介して回動ベース31と回転芯体26が逆向きに回転駆動されるため、アクチュエータホルダ7に保持された第1アクチュエータ8が第1カム面13aのロック部から外れて谷部へ押し戻され、アクチユエータホルダ7と操作レバー2が中立位置へ自動復帰する。また、操作レバー2を第1の操作面P1に沿って一方向へ揺動操作した状態で、操作レバー2に自動復帰を阻止する何らかの力が作用した場合、例えば操作レバー2を手で押さえたままステアリングホイールのリターン動作が行われた場合には、アクチュエータホルダ7にギア結合する回転芯体26を回転することはできないが、この回転芯体26に保持された第3アクチュエータ30がコイルばね29を押し撓めて回動ベース31の第3カム面31bを摺動するため、回動ベース31を回転芯体26に対して回転させることができる。
【0039】
また、一対の回転アーム32,33が回動ベース31の回転中心を横切る直線に関して対称形状に形成されていると共に、これら回転アーム32,33の回転角度を規制するストッパ壁(ストッパ)31c,31dが回動ベース31に形成されているので、一対の回転アーム32,33と回動ベース31を回転芯体26の周囲にコンパクトに配置することができる。
【0040】
また、可動支持部材6のギア部16dに噛合する中継歯車22を介して回転駆動される回動部材23を備え、この回動部材23と回転芯体26にそれぞれ永久磁石(被検出体)24,27が保持されていると共に、これら永久磁石24,27に対向する磁気センサ(検出体)25,28を装着した回路基板15がハウジング1に取り付けられているので、操作レバー2の第1の操作面P1に沿う操作と第2の操作面P2に沿う操作を検出するための検出機構の省スペース化を図ることができ、ストークスイッチ装置のさらなる小型化が可能になる。
【符号の説明】
【0041】
1 ハウジング
2 操作レバー
6 可動支持部材
7 アクチュエータホルダ
7a 軸孔
7b 取付壁部
7c アクチュエータ保持部
7d ギア部(駆動部)
8 第1アクチュエータ
9 第2アクチュエータ
11 上ケース
12 下ケース
12d 開口
13 カム板
13a 第1カム面
13b 第2カム面
14 底板
14a,14b 取付孔
15 回路基板
16 基体部
16a 底板部
16b 側壁部
16c アクチュエータ保持部
16d ギア部(駆動部)
16e 軸受凹部
16f 支軸
17 橋絡板
17a 軸受凹部
18 トーションばね(第1弾性部材)
19 トーションばね(第2弾性部材)
20 基部
20c 第1軸部
20d 第2軸部
22 中継歯車
23 回動部材
24,27 永久磁石(被検出体)
25,28 磁気センサ(検出体)
26 回転芯体
26a 歯車
26b 円筒部
26c 収納孔
29 コイルばね(第3弾性部材)
30 第3アクチュエータ
31 回動ベース
31a 貫通孔
31b 第3カム面
31c 第1ストッパ壁(ストッパ)
31d 第2ストッパ壁(ストッパ)
31e ボス
32 第1回転アーム
33 第2回転アーム
32a,33a 軸孔
32b,33b 第1受け部
32c,33c 第2受け部
34 第1ばね部材
35 第2ばね部材
36 キャンセル突起
37 回転軌跡
P1 第1の操作面
P2 第2の操作面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作レバーの基部を第1の操作面に沿って揺動可能に支持する可動支持部材と、この可動支持部材を前記第1の操作面に対して略直交する第2の操作面に沿って揺動可能に支持するハウジングと、このハウジングに設けられた第1カム面および第2カム面と、前記操作レバーの基部に前記第2の操作面に沿う回動のみが可能な状態で取り付けられたアクチュエータホルダと、このアクチュエータホルダに保持されて第1弾性部材の弾発力を受けて前記第1カム面に弾接する第1アクチュエータと、前記可動支持部材に保持されて第2弾性部材の弾発力を受けて前記第2カム面に弾接する第2アクチュエータと、前記アクチュエータホルダに設けられた駆動部にギア結合して回転駆動される回転芯体と、この回転芯体の外周部に回転可能に連結された回動ベースと、前記回転芯体に保持された第3アクチュエータと、この第3アクチュエータを前記回動ベースの内周面に設けられた第3カム面に弾接させる第3弾性部材と、前記回動ベースに回転可能に支持された一対の回転アームと、前記回転芯体を挟むように前記ハウジングに支持されて前記回転アームの外壁面に弾接する一対のばね部材とを備え、
一対の前記回転アームはステアリングホイールに連動して回転するキャンセル突起の回転軌跡に対して出没可能であると共に、これら両回転アームはその回転中心を跨ぐ外壁面に第1受け部と第2受け部とを有しており、
前記操作レバーが前記第1の操作面における中立位置にあるとき、一対の前記回転アームが前記回転芯体を挟んだ対向位置で前記回転軌跡から後退していると共に、これら両回転アームの前記第1受け部にそれぞれ一対の前記ばね部材が弾接しており、
前記操作レバーが前記第1の操作面に沿って一方向の末端位置まで揺動操作され、それに伴って前記回転芯体と前記回動ベースが一体的に回転したとき、いずれか一方の前記回転アームが一方の前記ばね部材から離反して他方の前記ばね部材と当接すると共に、他方の前記ばね部材が前記両回転アームの前記第2受け部にそれぞれ弾接することにより、いずれか他方の前記回転アームが前記回転軌跡内に進出するようにしたことを特徴とするストークスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、一対の前記回転アームが前記回動ベースの回転中心を横切る直線に関して対称形状に形成されていると共に、これら回転アームの回転角度を規制するストッパが前記回動ベースに形成されていることを特徴とするストークスイッチ装置。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記可動支持部材に設けられた駆動部にギア結合して回転駆動される回動部材を備え、この回動部材と前記回転芯体にそれぞれ被検出体が保持されていると共に、前記被検出体に対向する検出体を装着した回路基板が前記ハウジングに取り付けられていることを特徴とするストークスイッチ装置。
【請求項4】
請求項3の記載において、前記被検出体が永久磁石であると共に、前記検出体が磁気センサであることを特徴とするストークスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−221583(P2012−221583A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82907(P2011−82907)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】