説明

スパッタ・コーティング用アノード

【課題】基板上に薄膜を被着するための装置を提供する。
【解決手段】アノードがコンテナすなわち容器の形態であり、かつカソードと連絡する導電性表面がこのコンテナすなわち容器の内部表面であるようなスパッタリング・アノードを開示する。このアノードは、コーティング・チェンバの外部に装着することができ、このチェンバと連絡する開口部を有し、また別法ではこのチェンバの内部に装着することもできる。このアノードは、プラズマの形成に使用するための希ガスを受け入れるため、およびアノードを加圧するための流入ポートとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には基板上に薄膜を被着するのための装置および方法に関し、さらに詳細には、被着した薄膜が予測厚さ分布を有しておりかつ非常に長い期間にわたって装置が連続式かつ反復式に動作できるような、基板上に材料を被着するための反応性マグネトロン・スパッタリング・デバイスおよび技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、米国特許出願第60/603211号(2004年8月20日出願)による優先権を主張する米国特許出願第11/074249号(2005年3月7日出願)による優先権を主張すると共に、本出願はさらに米国特許出願第11/177465号(2005年7月8日出願)による優先権を主張する(これらのすべてはすべての目的に関して参照により本明細書に組み込むものとする)。
開示した参考文献のすべては、参照により本明細書に組み込むものとする。
【0003】
スパッタリング被着過程では、グロー放電における気体原子と電子の間の衝突によってイオンが生成されるのが通常である。これらのイオンは、ターゲット材料の原子をカソード表面から放出させる電界によってターゲット・カソード内まで加速される。放出された原子の一部を遮断するような適当な箇所に基板が配置される。したがって、この基板の表面上にターゲット材料に対するコーティングが被着される。
【0004】
スパッタ・コーティングは、材料の薄膜を基板上に被着するために広範に使用される技術である。スパッタリングとは、気体イオンのターゲットへの衝突の結果によるターゲットからの材料の物理的な放出のことである。DCスパッタリングと呼ばれるこの技術の一形態では、アノードとターゲット・カソードの間に形成されるプラズマ放電からの正イオンは、ターゲット・カソードに引き寄せられて前記ターゲット・カソードに当たり、カソードのターゲット表面から原子を追い出すことによって原子が提供される。追い出された原子のうちの一部は基板の表面上に当たると共に、コーティングを形成する。反応性スパッタリングでは、ある気体種が基板表面の位置にも存在しており、これがターゲット表面からの原子と反応(またある種の実施形態では、結合)して所望のコーティング材料を形成する。
【0005】
被スパッタ材料はさらに、被スパッタ原子に対して晒される別の任意の表面にも被着される。そのコーティングが金属酸化物などの電気的に絶縁性の材料である場合に、スパッタリング装置の別の部分の上への材料の堆積によって問題が生じる可能性があることが従来技術において認識されている。詳細には、アノード上への絶縁性コーティングの堆積によって、アノードがプラズマの電荷平衡を維持するために必要に応じてプラズマから電子を除去する能力が妨害される。これによりプラズマが不安定化すると共に、被着制御が妨害される。その結果、絶縁材料を被着するには別のスパッタリング技術(たとえば、RFスパッタリング)が使用されるのが一般的である。しかし、RFスパッタリングは、DCスパッタリングと比べて効率がより低く、制御性がより悪く、より低速かつより高価な処理である。
【0006】
動作時において、コーティング・チェンバ内にアルゴンを引き入れると、ターゲット・カソードとアノードの間に印加されたDC電圧によってアルゴンが電離されプラズマが形成されると共に、この正に帯電したアルゴン・イオンが負に帯電したターゲットに引き寄せられる。これらのイオンはかなりのエネルギーをもってターゲットに当たると共に、ターゲットからターゲット原子または原子集団をスパッタリングする。被スパッタ・ターゲット材料のうちの一部はコーティングしようとするウェハまたは基板材料に当たってこの上に被着し、これによって薄膜が形成される。
【0007】
被着速度を増大させかつ動作圧を低下させるためには、磁気増強したターゲットが使用されてきた。平面状マグネトロンでは、そのカソードは閉じたループの形に配列させると共に平坦なターゲット・プレートを基準として固定した位置に装着したアレイ状の永久磁石を含んでいる。得られた磁場は電子を一般に「レース・トラック」と呼ばれる閉じたループ状に移動させており、このレース・トラックはターゲット材料に対するスパッタリングまたは浸食(erosion)がそれに沿って生じる経路または領域を確立させる。マグネトロン・カソードでは、磁場がグロー放電プラズマを閉じこめると共に、電界の影響下で移動する電子の経路長を増大させている。この結果、気体原子−電子の衝突確率が上昇し、これによってそのスパッタリング速度が磁気閉じこめを使用しない場合に得られるスパッタリング速度と比べてかなり大きくなる。さらに、このスパッタリング過程はさらに低い気体圧力で実現することができる。
【0008】
上で言及したように、DC反応性スパッタリングでは、反応性の気体がターゲット・プレートからスパッタリングされた材料とにより化合物を形成する。ターゲット・プレートがケイ素でありかつ反応性気体が酸素である場合には、基板の表面上に二酸化ケイ素が形成される。しかし、二酸化ケイ素は良好な絶縁体であるため、レース・トラックの外部のエリアのターゲット表面上や、たとえば電気接地した暗部シールド上など近傍の別の表面上に、アーク放電を生じさせる程に厚い薄膜が急速に形成される。二酸化ケイ素は、この特性のためにマグネトロン反応性スパッタリングによって被着することが最も困難な誘電体薄膜の1つであることが知られている。二酸化ケイ素に関連するアーク放電のために、平面状マグネトロン反応性スパッタリングは高品質の二酸化ケイ素薄膜を被着するために高効率で使用することができていない。本発明の一態様は、アーク放電を減らすまたは防止するためにその側面および底面が誘電体でコーティングされているコーティング済みカソードを提供する。
【0009】
動作時にはコーティング・チェンバのさまざまな内部表面上に誘電体材料が蓄積されるため、そのシステムは定期的にクリーニングすることが必要となっている。実際に、二酸化ケイ素または窒化ケイ素を反応性スパッタリングによってコーティングする場合、典型的なシステムは比較的短い時間期間だけしか連続して動作させることができない。
【0010】
最後に、反応性か非反応性のいずれのスパッタリングにおいても平面状および円筒状のマグネトロンを利用することの別の限界は、スパッタリングによって被着させた薄膜が多くの高精度用途で要求される高度な均一性や反復性を達成できていないことにある。
【0011】
マグネトロン・スパッタリング・システムのこれらの無用な影響を改善しようとする多くの試みがなされてきた。たとえば「ボトル・ブラシ(bottle−brush)」アノードが提唱されると共に、Sieckらによる米国特許第5683558号(1997年11月4日発行)に記載されている。この種のアノードは、大きな表面を提供できるので有利であるが、ターゲットを基準としたその位置に応じて、その表面が時間の経過に従って不均一にコーティングされると共に被着システム内でアノードを別の表面まで移動させることになる。さらに、ブラシ針間の距離が非常に接近しており(特に、低圧力で)高いアノード電圧に至ることが多い。
【0012】
アノード・プレートおよびリングの設計は、F.Howard Gilleryら(PPG Industries Inc.)によって「Anode for magnetic sputtering apparatus」と題する米国特許第4478702号および「Anode for magnetic sputtering of gradient films」と題する米国特許第4744880号に記載されており、またP.Sieckによって「Effect of Anode Location on Deposition Profiles for Long Rotatable Magnetrons」(SVC,37th Annual Technical Conf.Proceed.,233(1994))に記載されている。
【0013】
J.R.DoyleらによってJ.Vac.Sci.Technol.A12,886(1994)に記載されているアノード・プレートおよびリング設計は、最も広範に使用されるアノード設計となっている。典型的には、このアノードは、アノード対カソードのプラズマの十分な結合を可能にするようにカソードのごく近傍に位置させている。ほとんどの場合、ターゲット圧力を局所的に増大させるためにその気体流入口はターゲット表面の近くにある。ほとんどの時間、アノード表面も当該箇所の近くにあり、プラズマ結合を増大させると共にアノード電圧を低下させている。しかしながら、これらのタイプのアノードはカソードの後ろ側にあまり離して位置決めすることができない、というのは、電子がアノードに至る途中で磁力線と交差する必要がありこれにより高い抵抗が付加されかつアノード電圧が上昇するためである。他方、アノードをカソード表面に接近させねばならないために、アノードの被スパッタ材料によるコーティングの受け易さが増大し、これによってアノードが不安定になる。
【0014】
アノードは別のプラズマ源のごく近傍にカソードの直接の見通し線から外れて位置決めされることが知られている。この方式は比較的薄いコーティング(たとえば、5μm未満のコーティング)では機能するが、さらに厚い薄膜では、気体散乱のためにアノードも同様にコーティングを受ける。これによって、アノードをルーチンで交換することが必要となり、これによりコーティングのサイクルタイムが増加すると共にコストが増大する。
【0015】
上述の方式の欠点の1つは、妥当な低い電圧で動作させるにはアノードのサイズが比較的大きくなければならないことである。サイズが大きいとアノード表面の不均等な汚染やスパッタ分布の変化につながる。さらに、典型的にはスペースが限られているコーティング・チェンバの内部に大きなアノードを収容しなければならない。
【0016】
従来技術のアノードの別の形態は小型の線条様のアノードである。このアノードでは比較的高い電圧(たとえば、70Vを超える電圧)が必要であり、このため、アノードまたはアノード近傍にある表面に望ましくないスパッタリングを生じることになるのが典型的である。このアノードは十分な結合が得られるようにカソードに非常に近づけて位置決めしなければならない。さらに、アノードの近傍の磁場をそらすことによって、マグネトロンに対して大規模な変更を実施しなければならないのが普通である。
【0017】
S.Schiller、K.Goedicke、V.Kirchhoff、T.Kopteによって「Pulsed Technology−a new era of magnetron sputtering」(38th Annual Technical Conference of SVC,(1995))においてデュアル・マグネトロンACスパッタリングが提唱されている。
【0018】
この方式によれば、上述の従来技術アノードのうちの幾つかに関する移動アノード(moving anode)および消失アノード(disappearing anode)の問題が本質的に解決されるが、スパッタリング速度はより遅くなるのが普通であり、またACスパッタリングでは適当なカソードで電圧約900V以上で動作させるためにさらに高い圧力が必要である。このため被スパッタ材料の気体散乱が増大し、これによりさらに被着させた薄膜内の欠陥成長が増大する。しかし、平均電圧は「低い」ものの、この過程におけるピーク電圧は非常に高く、多くの場合に1000Vを超えており、これによりコーティング内で圧縮性応力の上昇が生じる。この高い電圧は、各カソードの位置で各半サイクルごとにプラズマを点火することによって生じている。
【0019】
デュアル・アノード・マグネトロン・スパッタリングに関するアノード問題を解決するためのごく最近の方式は、デュアル・アノードAC構成を利用している。予備試験によって、このアノードはカソード・プラズマ内に強く結合させなければならないことが示されている。したがってこれらは、カソードのごく近くに位置決めしなければならない。このアノードは非常に高い負電圧に達するため、これによりクリーニング・サイクル中にアノードからのスパッタリングが生じる。http://www.advanced−energy.com/upload/white2.pdfのウェブサイトでインターネット上で発表されている「Redundant Anode Sputtering:A Novel Approach to the Disappearing Anode Problem」と題する論文では、デュアル・カソードACスパッタリングに関する幾つかの欠点について言及している。
【0020】
アノードはターゲットの近くにあるのが一般的であるため、コーティング材料に晒される。実際には、従来技術システムの多くにおいて、アノードは頻繁に定期的間隔で交換するかクリーニングしなければならない。アノードが被スパッタ材料フラックスから直接の見通し線の外にある場合であっても、アノードはコーティング材料の気体散乱のためにコーティング状態となる。
【特許文献1】米国特許第5683558号
【特許文献2】米国特許第4478702号
【特許文献3】米国特許第4744880号
【非特許文献1】P.Sieck、「Effect of Anode Location on Deposition Profiles for Long Rotatable Magnetrons」(SVC,37th Annual Technical Conf.Proceed.,233(1994))
【非特許文献2】J.R.Doyleら、J.Vac.Sci.Technol.A12,886(1994)に記載のアノード・プレートおよびリング設計の記事
【非特許文献3】S.Schiller、K.Goedicke、V.Kirchhoff、T.Kopteによって「Pulsed Technology−a new era of magnetron sputtering」(38th Annual Technical Conference of SVC,(1995))
【非特許文献4】http://www.advanced−energy.com/upload/white2.pdfのウェブサイトでインターネット上で発表されている「Redundant Anode Sputtering:A Novel Approach to the Disappearing Anode Problem」と題する論文
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的の1つは、コーティング材料から極めて十分にシールドされたアノードを提供することである。こうしたアノードの提供によって特に非常に厚いコーティングの場合により安定したスパッタリング過程につながると共に、アノードのメンテナンスが少なくなるまたは不要となる。これによって、基板のコーティングに関するサイクルタイムおよび労働コストが減少する。
【0022】
本発明の別の目的は、加圧(pressurized)が可能でありかつ従来技術の多くのアノードと比べて必要となる電圧がより低いアノードを提供することである。このアノードは加圧することが可能であるが、真空下のチェンバ内で動作するか、あるいは前記チェンバと連絡している。
【0023】
本発明の別の目的は、アノードの位置にまたはアノードの近傍におけるアーク放電がほとんど生じないか全く生じないアノードを提供することである。
【0024】
さらに、本発明の主目的の1つは本発明のアノードと共に使用するために好ましいカソードを提供することである。
【0025】
本発明の別の目的は、側面のうちの幾つかが誘電体材料などの電気絶縁材料でコーティングされているような新規のマグネトロン・カソードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明によれば、導電性内側胴体への開口部を有しかつ外側胴体を有する容器を画定する少なくとも1つのアノードを備え、前記導電性内側胴体がスパッタリング材料と前記導電性内側胴体の間に電位差を提供するための電圧源と結合される、材料のスパッタリングで使用するための装置のアノードが提供される。
【0027】
本発明の一態様によれば、導電性内側胴体および外側胴体を有する容器を画定する少なくとも1つのアノードを備え、前記導電性内側胴体が前記内側胴体に電圧を提供するための電圧源と結合される、材料のスパッタリングで使用するためのスパッタリング装置アノードが提供される。
【0028】
本発明の別の態様によれば、カソードを含むコーティング・チェンバであって、前記チェンバが容器の形態をしたアノードの端部の開口部をこれと連絡して有する、コーティング・チェンバが提供される。
【0029】
本発明によれば、第1および第2の端部表面と1つまたは複数の側面とを有しており、互いに隣接する複数の磁石をその内部に配置させて有するスパッタリング・カソードであって、少なくとも1つの磁石は第1および第2の端部表面のそれぞれと対面したN−S極を有しかつ少なくとも1つの磁石はカソードの第1および第2の端部表面のそれぞれと対面したS−N極を有し、これにより一方の磁石のN極からもう一方の磁石のS極までカソードの第1の端部表面を通過して延びる磁力線が延びており、この1つまたは複数の側面または1つまたは複数の側面の一部分はアーク放電を防止するために電気絶縁材料によってコーティングされており、かつカソードの第1の端部表面はスパッタリングしようとする材料を支持するスパッタリング・カソードが提供される。
【0030】
本発明によればさらに、
真空コーティング・チェンバと、
薄膜をその上に被着させようとする基板を装着するためにコーティング・チェンバの内部に配置させた基板保持用部材と、
基板と反対の関係で配置させており、かつ基板の表面上に薄膜を被着するために使用される平面状ターゲットを有する少なくとも1つのマグネトロン・カソードと、
真空コーティング・チェンバの内部に気体を供給するための気体制御系と、
前記マグネトロン・カソードに電気出力を供給するための電源システムと、を備えるマグネトロン・スパッタリング・カソード装置であって、
前記マグネトロン・カソードは、第1の端部表面、第2の端部表面および側面を有しており、かつ前記マグネトロン・カソードは複数の磁石ユニットのN極とS極が互いに対して反対に配置されかつ隣接しているような磁石アセンブリを有しており、カソードの第2の端部表面および側面はアーク放電を防止するために電気絶縁コーティングを用いてコーティングされている、マグネトロン・スパッタリング・カソード装置が提供される。
【0031】
基板に対して反対の関係で配置させる少なくとも1つのマグネトロン・カソードは、基板と対面すると共に前記基板と平行であることが好ましいが、前記反対の関係は、基板を基準とした180度以外の角度やこれと平行な角度にあるマグネトロンを含むことがあることを理解すべきである。たとえば、マグネトロンおよび基板は互いに対して90度の位置とすることがある。重要なことは、カソードの上側スパッタ表面がコーティングしようとする1つまたは複数の基板からの見通し線の域内にあることである。これが図12に示されており、ここでは、材料126が基板表面に被着されるように3つの基板120、121および122をカソード124の見通し線内にスパッタ表面が来るようにして配列させている。
【0032】
本発明の別の態様によれば、無用なアーク放電を防止するために電気絶縁材料でコーティングされた部分を有するカソードを含んだコーティング・チェンバであって、容器の形態をしたアノードの端部の開口部をこれと連絡して有するコーティング・チェンバを含むマグネトロン・カソード・コーティング装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
ここで、本発明の例示的な実施形態について図面に従いながら説明することにする。
【0034】
ここで図1aを参照すると、それに対して直接結合させた真空チェンバと連絡するために第1の端部位置に開口部14を有する、銅やステンレス鋼からなる導電壁12を有するコンテナまたは容器の形態をしたアノード10を表している。銅またはステンレス鋼の壁は、コンテナ容器の内部すなわちコンテナの内側胴体を画定している。コンテナの外側壁はこれ以降において外側胴体と呼ぶことにする。外側胴体は、電気的に絶縁させるために適当なコーティングを用いてコーティングすることがある。この断面図では、動作時にアノードの温度を維持するために水冷パイプ16が実質的にアノードの周りにあるように図示している。気体流入ポート18は、アノードを加圧するために気体をアノード・キャビティに入れる際に通す導管を提供するように示している。アノードおよび冷却用パイプの周りには接地カバー21が配置されており、この接地カバー21は接地電位にある。動作時において、適当な点火電圧およびその後のメンテナンス電圧の存在下でのプラズマの形成を促進するアルゴン気体によってアノードが加圧される。アノード10は本質的に1つの導電性コンテナであり、好ましい一実施形態ではこれが真空チェンバ上に装着されており、また別法では、真空チェンバの内部に据え付けることもある。図1aに示したアノードは、低いアノード電圧を用いると共にアーク放電がほとんどないか全くないように動作するように設計したものである。工程変動を低下させるためには、概ね30ボルトの低いアノード電圧が好ましい。
【0035】
ここで図1bを参照すると、図1aに示したアノードと同様アノードを表しており、このアノード本体全体は真空コーティング・チェンバの内部に配置されるように表されており、かつ開口部14bは真空チェンバ内部のターゲット・カソード・プラズマと連絡するために直径dを有している。水冷細管16bは、真空チェンバの外部に対して出入りするための流入ポートおよび流出ポートを有するように示している。Arガスポート18bは、アノードと連絡しており、かつ真空チェンバ外部からアノードに気体を供給するように示している。絶縁体19bはアノードがチェンバ壁から電気的に絶縁されることを保証しており、また電源アノードとカソードまたはチェンバ内のカソード材料との間に電位差を提供するように示している。
【0036】
図1cは、銅壁12cを有するアノードが開口部14cを円筒形の側面の異なる箇所に有しているような代替的な実施形態を表している。この実施形態では、アノードを真空チェンバの内部に装着することも、真空チェンバの外部に装着することもできる。水冷パイプ16cおよびArガスポート18cが設けられている。
【0037】
図7を参照すると、アノード70の電気的動作の関して3つの異なる動作モードを可能にしている回路を表している。スイッチ72によって、「フロート状態」、「接地状態」、および「バイアス状態」動作の間の切り替え可能な選択を可能にしている。
フロート状態動作では、接地を基準とした電位が自己調整される。この例では、このアノード電圧はプラズマ・インピーダンスに依存する。DCスパッタリングでは、典型的なアノード電圧は+20Vと+55Vの間に来るように計測され、一方カソード電圧はどの材料がコーティングされるかやどの処理パラメータが使用されるかに応じて−300Vと−700Vの間のいずれかとすることができる。突発的な絶縁破壊やアークがあった場合にシステムを保護する目的で、接地とアノードの間には抵抗器が設けられることがある。
【0038】
接地状態動作モードでは、アノードはチェンバの接地に接続される。電子の好ましい帰還経路となるためには、アノードはチェンバの別の接地構成要素と比べてより優れた導電率を有する必要がある。アノード内に処理ガスを供給することによってアノードに対するプラズマ・インピーダンスが低下する。
【0039】
バイアス状態動作では、接地を基準としたアノード電位は電源によって決定される。+20から+55Vまでの電圧レンジによって、そのアノードは一定で反復可能な動作を維持しながら電子の好ましい帰還経路となる。
【0040】
好ましいフロート状態モードにおいてアノード電圧を最小にするためには、図2に示すような最小アノード表面積が要求される。さらに、表面が接地されると、プラズマ・インピーダンスに対し、したがってアノード電圧に対して大きな影響を及ぼす。図3に図示した実験結果は、この具体的な処理パラメータ組では接地された最も近くの表面は少なくとも25mm離されるべきであることを示している。
【0041】
図4には、アノード電圧の圧力依存性を表している。矢印は、パワー供給アノードではスパッタリング圧力が必ずしも常に最適な圧力に一致しないことを示している。
【0042】
最適アノード・パラメータ(すなわち、面積、アノード接地距離、および圧力)によって、アノード表面がコンテナすなわち容器の内部にあるような実施形態が得られる。この好ましい実施形態では、そのアノードは、直径が少なくともd=10cmでありかつ長さが少なくともh=20cmである図1に示すような1つのチューブを成している。
【0043】
低散乱薄膜被着過程では、そのチェンバ圧力は2mTorr未満である。アノード位置における高い圧力は、アノード10のオリフィスすなわち開口部14を狭くし、かつ流入ポート18を介して処理ガスをアノード内に供給することによって達成される。オリフィスが小さいとプラズマが圧縮されこれにより導電率の低下、またしたがってアノード電圧の上昇が生じるため、最適な開口部は約20cmの面積を有しておりかつ丸形であることが好ましいことが分かった。この関係を図5に表している。
【0044】
アノードは複数の導電性材料から製作することができる。アノード電圧に対するアノード材料の影響については図6に図示している。このグラフは、銅によればステンレス鋼と比べて2V低いアノード電圧が得られることを示している。
【0045】
アノードは真空チェンバの外部に装着するのが有利であるため、アノードが真空チェンバ内部の空間を占有することがなくまた必要な真空構成要素の数も少なくて済む。一例として、標準のアノードは少なくとも1つの追加的な電気的な貫通(feed−through)が必要である。図1に示したアノード10は、接地されたチェンバ壁から図示した絶縁材料19によって電気的に絶縁されている。アノードは接地されたチェンバ壁の電圧と比べてより大きいのが典型的であるような自由フロート状態電圧を有することが可能であることが好ましいため、このことが重要となる。
【0046】
電気および水の貫通接続ならびに気体ライン18は外部から装着できると有利である。
【0047】
コンテナ・アノードを外部アノードとして使用する場合には、壁の厚さは大気圧に耐えるように十分に厚くしており、一方そのアノードが内部アノードの役割をする例では、アノードの電気的抵抗が高くなり過ぎない限りにおいてそのアノードは極めて薄くすることができる。
【0048】
動作時において、3mTorrを超える値までアノードを加圧することが可能である。このアノード10はほぼ連続式動作で長期間にわたって動作可能であると予想される。クリーニングまたは交換のためにアノード10を取り出すことを要することなくこのアノードを2000時間以上にわたって連続式に動作させながら実験が実施されており、さらにアノードが10000時間を超える連続式動作で動作することが可能であると思われる。
【0049】
アノードの全部または一部がコーティング・チェンバの内部にある場合はアノード・コンテナの外部を電気的に絶縁することが好ましいが、このことは必ずしも絶対的に必須ではない。アノードの外側上に絶縁体がないため、オリフィス内にアノード・プラズマが観測されかつ低いアノード電圧が計測された。アノードが絶縁されていない場合はアノードの外部がアノードの役割をすることがあるため、時間の経過と共にコーティングを受け、これによりアノードのうちカソードの位置の被スパッタ粒子の分布およびレートに影響を及ぼす箇所を変化させることになる可能性がある。したがって、アノードの外部は電気的に絶縁することが好ましい。外部の絶縁はアノード本体上のコーティングとすることが可能であるが、別法として図1bに示すような追加的なカバー21bとすることもできる。カバー21は接地状態またはフロート状態とすることが可能である。
【0050】
本発明による新規のアノードは、スパッタ・コーティングで使用されている周知のアノードに対して幾つかの利点を有している
【0051】
a)本発明によれば、有効アノード面積すなわち有効アノード表面がコンテナの内部にあり、これによって被スパッタ材料からアノードを実質的に保護している。アノード表面の特性、またしたがってプラズマの箇所および導電率がコーティング動作中に変化することがなく、各コーティング動作において比較的一定となるため、このことは処理の安定性に大いに寄与する。
【0052】
b)オリフィスすなわちコンテナ開口部が小さいため、コーティング材料がアノード表面に至る確率がさらに低下する。これによりさらに、アノードの箇所が極めて適当に規定される。
【0053】
c)オリフィスすなわち開口部ならびに気体流入ポートが小さいため、アノードの内部の圧力が局所的に増大し、したがってアノード電圧が低下する。アルゴン処理ガスをアノード内に提供することによって、アノードの内部で局所的に圧力が増加し、チェンバ圧力を大幅に増大させることなくアノード電圧がさらに低減される。
【0054】
d)アノードの表面が大きい(>1800cm)ためアノード電圧がさらに低減される。
【0055】
e)球状または円筒形状のアノードにより、アノードの体積が増大し、さらにまたアノード表面と有効アノード表面の近くにある接地表面との間の距離が増大する。
【0056】
f)水冷却によってさらに、アノードの安定性が増加する。これによって、外部温度のシフトや大きなアノード電流によるアノードの過剰な加熱によるアノードの挙動の変化が低減される。
【0057】
g)本発明のアノードは、低い電圧で動作するためにカソードからのプラズマ以外に第2のプラズマを必要としないのが通常である。
【0058】
本発明の精神および趣旨を逸脱することなく別の多くの実施形態を想起できることに留意すべきである。たとえば図8は、MetaMode(商標)構成で使用されるような細長いカソード向けの可能な多数のアノード構成のうちの1つを表している。この実施形態では、2つのアノード72a、72bが長い平面状Siカソード74の側面の位置に対称に位置決めされている。以前使用されていた構成に代わりこの構成を使用することによって、動作ごとの変動を標準偏差σ=1.64%から0.22%に改善することができる。これを図9に図示したグラフで表している。
【0059】
参照により本明細書に組み込むものとするSurface and Coatings Technology,68/69,(1994) 794〜798ページに発表されているP.Sieckによる「Active Control of Anode Current Distribution for D.C.Reactive Sputtering,of Si02 and Si3N4」と題する論文には、インライン・コーティング・システムに関して電流分布を制御するための方法について記載している。
【0060】
本発明は、この種のインライン・コーティング・システムや別のインライン・コーティング・システムに適用可能であるものと思われる、たとえばこうしたインライン・コーティング・システムでは複数アノード利用が使用可能であるものと思われる。一例として、ここまでに記載した本発明による中空のアノードによれば、Sieckによるこの出版物に記載されているアノード配列スキームの動作性能を高めることが可能である。本発明のアノードを使用することによれば以下が得られる。
1)有効アノード表面がコーティング材料から保護されること。
2)アノード位置がより適正に規定されること。
3)気体流入口が適正に規定されること。
【0061】
カソードの長さおよび装置内で利用可能なスペースに応じて、カソードに沿っていずれかが電気的に制御される数個のアノードを有するようにでき、あるいはカソードの長さ方向のスパッタ分布を制御するためにアノードを通過する気体流がアノード・キャビティを介して調整される。こうした調整は、たとえば現場でのスペクトル計測値からのフィードバック・ループを用いてコーティング動作中に現場で実施されることがある。
【0062】
ここで図10aを参照すると、アノード102から107までをその周りに配置して有する細長いカソード101を備えたコーティング装置の平面図を表している。図10bは、細長いカソード101が独立した気体流入口120aおよび120bを有する円筒状のカソードであるような図10aの端面図である。図10cはそのカソードが平面状カソードであるような図10aの端面図である。
【0063】
新規かつ発明性のあるアノードを提供する以外に、光学フィルタ、ミラーおよび半導体回路などの被コーティング・デバイス内での低い欠陥密度に対する絶え間なく増大する要求のために、スパッタリング・ターゲットにおいてアーク放電がほとんどないか全くないようなカソードが必要である。目下のところ、市販されているカソードならびに従来技術で記載されているカソード設計は、特に、被着速度を高く保持している場合、この重要な特徴を欠いている。
【0064】
無用なアーク放電の問題に対しては、さまざまな解決法が提唱されており、たとえば、カソードの周りに配置させる多くのシールド設計が知られている。同じくこの問題を改善するために異なる磁石配列が提唱されているが、これらの解決法はその限界や無用な副作用を有している。
【0065】
本発明の重要な態様の1つは、1つまたは複数の基板上への材料のスパッタ・コーティングで使用するための新規かつ発明性のあるカソードを提供することに関する。さらに、この新規のカソードは、本質的にあらゆるアーク放電を、ほぼゼロまで、あるいはコーティングを受ける基板に対して有害な影響を有しない受容可能なレベルまで低減するような記載したアノードと連携して使用することができる。本発明によるカソードは、ここまで記載したアノードと一緒になって、極めて信頼性が高くかつ必要とするダウンタイムが極めて短いコーティング・システムを提供する。本明細書に開示したアノードとカソードの組み合わせによって、別の周知のコーティング・チェンバでは凌駕できないコーティング機構が提供される。
【0066】
たとえば電気絶縁式シールドや別のさまざまな形態のシールドを提供することによって、カソード側面などにおける無用なスパッタリングを低減するような従来技術のさまざまな設計が提唱されているが、これらのうちの大部分は満足の行くものではない。周知のシステムの1つが米国特許第5851365号に開示されている。このタイプのシステムは一般に、ターゲット装着具からのスパッタリングを防止するためにターゲット表面の一部分を被覆する暗部シールドを提供している。これが典型的には、かなりの量のコーティングをシールドの辺縁上に被着させることになる。米国特許5851365号では、シールドの形状に多大な努力が傾注されていたが、その後に、ある種のコーティングがターゲット上に堆積して事実上フォールバックし、コーティングされ基板上の欠陥を増加させる結果につながるアーク放電を生じさせることが分かった。このことは、その目的が装置をできる限り真空に維持することであるようなロードロック・システムにおいて特に重大な問題となる。暗部シールドのより下側の側面上、およびターゲット表面上への再被着材料からのコーティングの堆積によって、その暗部自体が小さくなりかつ絶縁材料からのスパッタリングが定着し、これによってかなりの重大な無用のアーク放電が生じる可能性がある。
【0067】
別のシールド解決法が提唱されており、たとえば米国特許第5334298号は、ターゲットのうち浸食ゾーン(erosion zone)の外部に位置する縁のエリアが暗部シールドの延長部によって覆われているカソードおよびシールドを提供している。この実施形態では、その暗部シールドが電気的にフロート状態にあり、かつターゲットと暗部シールドの間で全くプラズマの点火が生じることが不可能な程度に広くなったギャップによってターゲットから分離されている。この配列は別の配置と比べて幾つかの利点を提供するように思われるが、この配列はスパッタ材料に特異的であり、したがって実現するのに比較的高コストとなる。
【0068】
本発明の一態様では、複数のスパッタ材料に関して機能することが分かっておりかつ従来技術の別の解決法と比べてより優れていると思われることから実現するのが比較的低コストであるようなもっと明快な解決法が提供される。
【0069】
ここで図11を見ると、アノードを通ってカソードから出て気体がチェンバ内に供給されているようなアノード140を伴うカソード130を表している。これによれば、磁場が高い部分であるカソードの近傍で高い圧力が回避される。アノード開口部は、ターゲット・エリア全体にわたって均一な圧力分布を可能とするようにカソードから少なくとも2インチだけ離すことが好ましい。アノード電圧は、アノードとカソードの間の距離の影響を受けないことが分かっている。この実施形態では暗部シールドが不要であるため、これにより、被スパッタ粒子のフラックス内まで延びているのが典型的であるような暗部シールドからターゲット上にコーティング薄片(flake)が落ちることが解消される。暗部シールドが設けられている場合、シールドの比較的尖鋭な辺縁のために(誘電体材料でコーティングされている場合に)電荷の堆積につながり、これによってもまたアーク放電が生じる。この好ましいカソード実施形態では、カソードの側面は電気的に絶縁されている。電気絶縁142は、絶縁材料を使用することあるいは絶縁性コーティングを塗布することによって実現することができる。誘電体コーティングは、プラズマ噴霧コーティング過程を通じて塗布された高密度のアルミナとすることができる。カソードはKapton(商標)テープの層によってコーティングを受けることにより絶縁性とすることができる。別法として、Teflon(商標)やセラミックなどの絶縁材料上にそのカソードを装着することができる。別法として、空気が電気絶縁体となるようにカソードの側面を通常の大気に晒すことができる。上で言及した技術を組み合わせてカソードを絶縁することもできる。さらに、カソードの胴体を横方向に延ばしてカソード胴体を超えて拡がる磁場を低下させるとアーク放電が減少する。その側面上にアルミナをプラズマ噴霧し、かつその底面をTeflon(商標)プレートで絶縁することによってこの長くしたカソードを絶縁することによれば、同じ被着速度であればアーク率を、>100アーク/sから、<0.1アーク/sまで、低減させることができる。これは、無用なアーク放電の問題に対処する非常に低コストではあるが効率のよい解決法である。本発明によるカソードは金属および誘電体コーティングに利用することができる。このカソードは、任意の電気的モード(RF、DC、パルス式DC、MF、デュアル・カソードAC、単一カソードAC)で駆動することができる。本明細書内において電気絶縁性のコーティングを表すためのコーティング(coating)という用語は、アルミナなどの電気絶縁材料のコーティングに関する噴霧(spraying)、あるいはこうしたコーティング上へのペインティング(painting)、あるいはKapton(商標)テープなどの電気絶縁性テープのコーティングの付与を含んでおり、またこれと比べて好ましくはないが別法として、Teflonプレートによってカソードの側面や底面をコーティングすることも可能である(ただしこの例では、こうしたプレートはカソードの導電性側壁に隣接させかつ接触させなければならない)。
【0070】
ここで図13を参照すると、ターゲットがチェンバ136の内部に対して内方に向いた状態でカソード136が真空下にある真空チェンバの内部に部分的に配置されており、かつ残りの部分は大気圧下にある真空チェンバの外部にあるように図示した本発明の一実施形態を表している。この例では、カソード136はチェンバの壁内にある開口部を通して挿入されると共にシール139を用いて封止されており、これにより真空を維持することができる。真空チェンバ内部の部分の側壁は電気絶縁材料138によってコーティングされている。
【0071】
まとめると、これまでに知られていないような新規のコンテナ様のアノードおよびコーティングしたカソードを提供している。これらのアノードおよびカソードはそれぞれに新規性かつ発明性があると考えられるが、これら両者によって極めて有利なコーティング・システムを提供することに寄与する。図示した実施形態は単に例示であり、本発明の精神および趣旨の域内において別の多くの実施形態を想起することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1a】長さh、直径dの円筒状の中空のアノードと、前記アノードの端部の位置でコーティング・チェンバの開口部に結合されたオリフィス開口部dと、を含む本発明の一実施形態によるコーティング・チェンバのある小部分の断面図である。
【図1b】長さh、直径dの円筒状の中空のアノードと、前記アノードの端部の位置でコーティング・チェンバの開口部に結合されたオリフィス開口部dと、を含む本発明の一実施形態によるコーティング・チェンバであって、アノードがコーティング・チェンバの内部に配置されているようなコーティング・チェンバの断面図である。
【図1c】アノード開口部がその側面の位置またはアノード端部位置にあるようなアノードの代替的な実施形態の図である。
【図2】アノードの大きさに対するアノード電圧の依存性を表したグラフである。
【図3】アノード電圧の影響をパワー供給を受けるアノードの近傍にある接地表面までの距離に対して表したグラフである。
【図4】典型的なスパッタリング過程における圧力領域を両矢印で示しているアノード電圧の圧力依存性を表したグラフである。
【図5】アノード内への2つの異なる気体流に関して、アノード電圧をチェンバ内へのアノード開口部の面積に対して表したグラフである。
【図6】銅アノードおよびステンレス鋼アノードについてアノード電圧対時間を比較しているグラフである。
【図7】電源に接続されている本発明の一実施形態によるアノードの断面図である。
【図8】外部に装着した2つの本発明の一実施形態によるアノードを有するコーティング装置の図である。
【図9】SiO2の光学的厚さの標準偏差を、アノードを伴わずにMetaMode(商標)コーティング装置内の異なる垂直位置で計測した黒い実線のグラフで示した連続5回のコーティング動作と、パワー供給を受けた2つのアノードを伴った灰色の中空の記号で示した連続5回のコーティング動作とから得て表したグラフである。
【図10】10aは、本発明の一実施形態による複数のアノードと細長いカソードを有するコーティング装置の平面図である。10bは、その細長いカソードが円筒状であるような図10aに示したコーティング装置の端部図である。10cは、そのカソードが平面状カソードであるような図10aに示したコーティング装置の端部図である。
【図11】ターゲット側を除いたその側面が本発明の一実施形態に従ってコーティング・チェンバ内部に配置されたアノードに隣接した誘電絶縁体によって絶縁されている好ましいカソードの図である。
【図12】カソードの見通し線内の相対する異なる位置で基板の配列と対面しているカソードの図である。
【図13】そのカソードが真空チェンバの内部で部分的に封止されておりかつ真空チェンバに対して部分的に外側の部分を有していると共に真空チェンバの内部にある部分はその側面がアルミナなどの絶縁材料によってコーティングされているような本発明の一実施形態の側面図である。
【符号の説明】
【0073】
10 アノード
12 導電壁
12c 銅壁
14 開口部
14b 開口部
14c 開口部
16 水冷パイプ
16b 水冷細管
16c 水冷パイプ
18 気体流入ポート
18b Arガスポート
18c Arガスポート
19 絶縁材料
19b 絶縁体
21 接地カバー
21b カバー
70 アノード
72 スイッチ
72a アノード
72b アノード
74 平面状Siカソード
101 細長いカソード
102 アノード
103 アノード
104 アノード
105 アノード
106 アノード
107 アノード
120 基板
120a 気体流入口
120b 気体流入口
121 基板
122 基板
124 カソード
126 材料
130 カソード
136 カソード、チェンバ
138 電気絶縁材料
139 シール
140 アノード
142 電気絶縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料のスパッタリングに使用するためのスパッタリング装置アノードであって、
導電性内側胴体への開口部を有しかつ外側胴体を有する容器を画定する少なくとも1つのアノードを備え、前記導電性内側胴体がスパッタリング材料と前記導電性内側胴体の間に電位差を提供するための電圧源と結合される、スパッタリング装置アノード。
【請求項2】
前記開口部は、コーティング・チェンバと連絡するために一方の端部に位置している請求項1に記載のスパッタリング装置アノード。
【請求項3】
前記開口部は、帯電した粒子が前記導電性内側胴体とコーティング・チェンバ内のカソードの間を流れることを可能にするために一方の端部に位置している請求項1に記載のスパッタリング装置アノード。
【請求項4】
前記容器は、前記導電性内側胴体とカソードの間に印加された十分な電圧の存在下でプラズマを点火するための希ガスを受け取るための流入ポートを有している請求項1に記載のスパッタリング装置アノード。
【請求項5】
前記容器の開口部が前記コーティング・チェンバに対面しかつ前記コーティング・チェンバに対して開くようにして、前記コーティング・チェンバの外部に配置されると共にこれと物理的に結合されるように適合させた請求項1に記載のスパッタリング装置アノード。
【請求項6】
前記容器の外側胴体は容器の内側胴体と異なる第1の材料から構成されており、かつ前記第1の材料は絶縁材料である請求項1に記載のスパッタリング装置アノード。
【請求項7】
前記アノード内側胴体は、前記内側胴体を選択的にフロート状態、バイアス状態または接地状態とするためにスイッチに結合されている請求項1に記載のスパッタリング装置アノード。
【請求項8】
前記開口部は、帯電した粒子が前記容器の内側胴体とカソードの間を流れることができ、かつコーティング材料が前記容器内に被着するのを実質的に防止するように、前記容器の外周と比べて実質的に小さい請求項1に記載のスパッタリング装置アノード。
【請求項9】
コーティング中の動作時に前記アノードが導電性コンテナの役割をするようにコーティング・チェンバの外部に固定式に結合され、前記コーティング・チェンバ内に前記材料と共に配置させた基板をコーティングするために前記コーティング・チェンバ内のカソードと前記容器の内部との間に帯電した粒子が流れる、請求項1に記載のスパッタリング装置アノード。
【請求項10】
前記開口部は、>10cmの面積を有している請求項1に記載のスパッタリング装置アノード。
【請求項11】
前記コーティング・チェンバの外部で前記アノードに対して気体ラインおよび/または水ラインが装着されている請求項3に記載のスパッタリング装置アノード。
【請求項12】
前記容器の内部はその断面が実質的に円筒状または球状である請求項1に記載のスパッタリング装置アノード。
【請求項13】
前記導電性内側胴体の表面積は少なくとも300cmである請求項1に記載のスパッタリング装置アノード。
【請求項14】
アノード・キャビティ内の圧力は前記コーティング・チェンバ内と同じである請求項4に記載のスパッタリング装置アノード。
【請求項15】
アノード・キャビティ内の圧力は前記コーティング・チェンバ内の圧力より少なくとも20%高い請求項4に記載のスパッタリング装置アノード。
【請求項16】
アノード・キャビティ内の圧力は前記コーティング・チェンバ内の圧力より少なくとも2倍高い請求項4に記載のスパッタリング装置アノード。
【請求項17】
前記アノードが水冷される請求項1に記載のスパッタリング装置アノード。
【請求項18】
請求項1に記載のアノードを含み、かつ導電性内側胴体への開口部を有しかつ外側胴体を有する容器を画定する第2のアノードを含み、前記第2のアノードの導電性内側胴体がカソードと前記第2のアノードの前記内側胴体の間に電位差を提供するための電圧源と結合されるスパッタリング装置。
【請求項19】
前記第1のアノードおよび前記第2のアノードは同じ直線状カソードによって電気的に結合される請求項18に記載のスパッタリング装置。
【請求項20】
コーティング材料のスパッタ分布は、前記アノードを電気的に切り替えること、および/または異なるアノードの容器への気体流を独立して調整すること、によって制御されている請求項19に記載のスパッタリング装置。
【請求項21】
請求項1に記載のアノードと、
前記アノードの近傍に配置されかつ前記アノードと連絡しているカソードと、を備えるスパッタリング装置であって、前記カソードの各側面は電気的に絶縁されており、かつ前記アノードの導電性内側胴体が前記カソードと前記導電性内側胴体の間に電位差を提供するための電圧源に結合されるスパッタリング装置。
【請求項22】
前記カソードの側面は、誘電体コーティング、絶縁テープ、Teflon(商標)コーティングまたはプレート、およびセラミック・プレート、またはこれらの組み合わせによってコーティングされる請求項21に記載のスパッタリング装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−57181(P2006−57181A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−237830(P2005−237830)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(502151820)ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーション (90)
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Corporation
【住所又は居所原語表記】1768 Automation Parkway,San Jose,California,USA,95131
【Fターム(参考)】