説明

スパージング井戸および土壌浄化システムおよび土壌浄化方法

【課題】スパージング井戸もしくは土壌浄化システムの施工の低廉化と、施工に要する工期の短縮化を図ることができ、汚染土層の浄化性能に優れたスパージング井戸および土壌浄化システムおよび土壌浄化方法を提供すること。
【解決手段】スパージング井戸10は、少なくとも2以上の汚染土層からなる汚染地盤を浄化する井戸であり、最下層の汚染土層の下方付近までの長さを有している。その最外郭の管路内は、空気や液体を含む流体を案内する複数の流路11a,12a,13aに画成されており、それぞれの流路が固有の汚染土層G3,G2,G1に流体を供給できるように構成されている。このスパージング井戸10と、各汚染土層内に設置され、各層内を通過した通過流体を地上へ導くための排出井戸4,5と、スパージング井戸10に流体を供給する供給手段6、真空ユニット7とから土壌浄化システム100が構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の汚染土層からなる汚染地盤において各汚染土層を浄化するためのスパージング井戸と、該スパージング井戸から構成される土壌浄化システム、および該スパージング井戸を使用してなる土壌浄化方法に係り、特に、スパージング井戸もしくは土壌浄化システムの施工の低廉化と、施工に要する工期の短縮化を図ることができ、汚染土層の浄化性能に優れたスパージング井戸および土壌浄化システムおよび土壌浄化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、工場や廃棄物処理場などから流出する汚染物質などにより、地下水汚染を含む土壌汚染が大きな社会問題となっている。工場跡地に構造物を新設する際にも、地盤が汚染されている場合には、地盤浄化に対する要望が強いのが現状である。
【0003】
従来の汚染土層の浄化方法としては、汚染物質を含有する地盤を掘削し、洗浄や熱処理、曝気処理等によって浄化処理をおこなった後に埋め戻す方法がとられていたが、かかる処理には大規模な設備や施工ヤードを確保する必要があり、浄化に要するコストの高騰が問題となっていた。さらに、この掘削、浄化、埋め戻しからなる浄化方法では、汚染土層が深い深度に位置する場合には大規模な土留めの構築を要し、したがって、工期の長期化と施工コストのさらなる高騰が問題であった。
【0004】
汚染された地盤を掘削せずに浄化する原位置浄化方法として、揚水処理工法やスパージング工法がある。このうち、スパージング工法は、地上から汚染土層まで延在する井戸を構築し、該井戸から地盤内へ例えば空気を圧入し、地盤内に圧入された空気を地盤内に通過させ、地盤や地下水に存在する汚染物質を浄化する技術であり、例えば特許文献1〜4にその開示がある。かかるスパージング工法の概要を図7に基づいて説明すると、対象地盤G内に通常は複数のスパージング井戸a,a,…を設置し、さらに地表面直下に水平方向に延在する水平ドレーンbを設置する。この水平ドレーンbは、通気性の高い砕石等を柱状に敷設したり、公知のドレーン材にて形成できる。スパージング井戸aにはコンプレッサcから圧縮空気が供給され(X方向)、スパージング井戸aの下端部に設けられたスクリーンa1(スリット)を介して汚染地盤内に圧縮空気が圧入される(Y方向)。地盤内に空気(酸素)が供給されることにより、空気は対象地盤の下方から上方へ移動して(Y方向)、土粒子に付着した揮発性の汚染物質の気化が促進される(エアスパージングによる曝気効果)。水平ドレーンbには、多数の吸気孔が穿設されており、さらには、その一端が吸引ブロアdに連通されており、吸引ブロアdにて真空吸引することにより、地盤内の空気および揮発性の汚染物質を効果的に水平ドレーンbに回収するものである。このスパージング工法によれば、揚水が十分におこなえないような低透水性地盤に対しても、該地盤内にて空気(酸素)を供給することで直接的に汚染物質の浄化をおこなうことができ、対象汚染物質に応じて供給空気量(酸素量)を適宜に調整することで、可及的に浄化期間の短縮を図ることが可能となる。また、帯水層中に供給された空気(酸素)は、地盤内の微生物が活性化することによって汚染物質を分解する微生物分解効果をも有している。この場合には、例えば、微生物活性剤を水に含有させてなる液体を地盤内に注入することが必要となり、かかる液体の注入も空気と同様にスパージング井戸を介しておこなうことができる。なお、汚染地下水の浄化を、揚水循環とスパージングの併用によって効率的におこなう技術が特許文献5に開示されている。
【0005】
図7は、不透水層の介在しない一層の汚染地盤の浄化を説明したものであるが、通常の地盤は複数の土質性状の異なる土層から構成されており、各層間に粘土層やシルト層などからなる不透水層または難透水層が介在していることが多い。図8は、この一例を模擬したものであり、第1帯水層G1と第2帯水層G2の間にシルトからなる不透水層G4が介在し、第2帯水層G2の下方にはさらに不透水層G5が堆積しており、少なくとも第1帯水層G1および第2帯水層G2が土壌汚染されている汚染地盤を示している。上部に不透水層がある第2帯水層G2に空気を供給すると、不透水層G4によって空気の上昇が妨げられるため、第1帯水層G1には空気の供給がなされない。そこで、このように不透水層または難透水層を介在してなる複数の汚染土層のすべてを浄化する際には、図示するようにそれぞれの層ごとに所定数のスパージング井戸a1,a1,…,a2,a2,…を設置する必要がある。具体的には、コンプレッサcから各スパージング井戸a1,a1,…,a2,a2,…に圧縮空気が送られ(X方向)、各スパージング井戸下方のスクリーンa11,a11,…,a21,a21,…を介して、第1帯水層G1および第2帯水層G2に空気が圧入される(Y方向)。地表面直下には、第1帯水層G1内を通過した空気と、供給された空気によって気化した揮発性汚染物質を真空吸引する水平ドレーンbが設置されており、該水平ドレーンbを介して吸引ユニットeにて空気や揮発性汚染物質を吸引し(Z方向)、さらに、吸引した揮発性汚染物質は活性炭ユニットfによって無害化される。なお、図示する実施例では、汚染領域を画成するためのシートパイルgが土壌浄化に先んじて地盤内に設置されている。かかるシートパイルgにより、非汚染領域に対する遮水効果と圧入空気が非汚染領域に拡散することを防止できる。
【0006】
【特許文献1】特開平9−276841号公報
【特許文献2】特開平9−94558号公報
【特許文献3】特開2002−254061号公報
【特許文献4】特開2002−254062号公報
【特許文献5】特開2005−131533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜5に開示のスパージング工法を利用した地盤浄化方法や浄化システムによれば、原位置での汚染土層の浄化が可能であることから、対象地盤の掘削、浄化、埋め戻しをサイクルとする地盤浄化方法に比べて、工費を格段に低廉にできるとともに、工期の大幅な短縮を図ることができる。しかし、いずれの浄化方法または浄化システムにおいても、一本のスパージング井戸は、一つの対象土層における所定の浄化範囲のみを浄化するに過ぎないことから、浄化対象の汚染土層のそれぞれに複数のスパージング井戸が設置される必要がある。したがって、複数の汚染土層が不透水層や難透水層を介在しながら積層されている場合には、各土層ごとに所定本数のスパージング井戸が設置される必要がある。不透水層や難透水層を介在して積層される汚染土層の数が多くなり、浄化対象範囲が平面的にも広範囲に及ぶような場合には、汚染土層ごとに多数のスパージング井戸を設置する必要性が生じ、結果として、施工コストの高騰は否めない。工期の短縮を図るために、スパージング井戸設置用のマシンの数を増加させると、工期は短縮できても、施工コストの高騰はさらに助長されてしまう。
【0008】
また、図8に示すように、不透水層または難透水層下の汚染帯水層(被圧帯水層)へスパージング井戸から圧縮空気を圧入することにより、該被圧帯水層内の内圧が上昇し、したがって供給された空気が地盤内に効果的に拡散し難くなり、十分なスパージング効果が得られないといった問題が生じ得るが、上記特許文献に開示の浄化方法や浄化システムではかかる問題を解決するに至らない。
【0009】
本発明のスパージング井戸および土壌浄化システムおよび土壌浄化方法は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、スパージング井戸の設置本数を可及的に低減することによって施工コストの低廉化と工期の短縮を図ることができ、さらには、汚染土層の浄化性能にも優れたスパージング井戸および土壌浄化システムおよび土壌浄化方法を提供することを目的としている。また、本発明の土壌浄化システムおよび土壌浄化方法は、不透水層や難透水層を介在して積層された汚染土層の浄化において、不透水層等の下方に位置する被圧帯水層の浄化に際しても、効果的なスパージング効果を得ることのできる土壌浄化システムおよび土壌浄化方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成すべく、本発明によるスパージング井戸は、少なくとも2以上の汚染土層からなる汚染地盤を浄化するスパージング井戸であって、前記スパージング井戸は、所定長さの管路からなり、該管路内は、空気や液体を含む流体を案内する複数の流路に画成されており、それぞれの流路が固有の汚染土層に流体を供給できるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明のスパージング井戸は、例えば所定長さを備えた鋼製の管路(またはケーシング)からなり、管路内部は、複数の流路に画成されている。ここで、所定長さとは、地表面から浄化対象となる最下層の汚染土層までにわたる長さのことであり、より具体的には該最下層の汚染土層の下方までの長さのことである。流路の画成態様は特に限定されるものではなく、それぞれの流路が独立しており、複数の汚染土層が積層されている場合には、各流路がそれぞれに固有の浄化対象の汚染土層に対して流体を供給できるように形成されている。ここで、流体とは、空気や酸素、さらには、微生物活性剤である適宜の栄養分を含有した水などを意味している。
【0012】
スパージング井戸のより具体的な構成としては、地盤内に造成された掘削孔内に設置される管路と、該管路と掘削孔との間に充填される砂やベントナイト、モルタルなどからなる。管路内部のより具体的な構造例としては、該管路内部に画成された複数の流路の下端レベル(この下端レベルは、それぞれの流路が浄化対象としている汚染土層の下方付近のレベルとなる)において、例えば金網などからなるスクリーンが設けられており、各汚染土層には、流路を介し、スクリーンを介して各汚染土層内に流体が供給されるようになっている。
【0013】
上記する構成のスパージング井戸によれば、1本の井戸で積層された複数の汚染土層の浄化が可能となるため、造成される掘削孔の延長や井戸の数量(延長)を低減することができ、施工の低廉化と工期の短縮を図ることができるとともに、浄化効果も従来のスパージング井戸と同等の効果を得ることができる。汚染土層の積層数が多くなり、浄化対象範囲が広範囲となるにつれてその効果はより一層高まる。
【0014】
また、本発明によるスパージング井戸の他の実施形態において、前記スパージング井戸は、複数の断面寸法の異なる流路から構成されており、最下層の汚染土層に流体を供給する流路が前記管路内の中央に配設され、相対的に上方の汚染土層に流体を供給する流路が、相対的に下方の汚染土層に流体を供給する流路を包囲するように配設されることによって複数の流路と管路からなる多重構造を形成しており、それぞれの流路の下方にはスクリーンが形成されており、管路から各スクリーンを介して各汚染土層に流体が供給されるように構成されていることを特徴とする。
【0015】
例えば、断面寸法の異なる複数の管路からスパージング井戸が形成される実施例で説明する。スパージング井戸を構成する管路の数量は、浄化する汚染土層の数だけ設けられ、径の異なる複数の管路が、順次遊嵌された態様となっている。ここで、浄化する汚染土層のうち、最下層の汚染土層を浄化するための流路(管路)は、外側の最大径の管路の中央部に配設されており、それよりも上方の汚染土層を浄化するための流路(管路)が、中央に配設された管路の外側に配設されている。浄化する汚染土層の層数に応じた数の管路が順次重ねられて多重構造を形成し、各管路と管路の間に流路が形成されることとなる(中央の最小径の管路は、その内部が流路となる)。したがって、多重構造、すなわち、断面寸法の異なる管路が重ねられた構造は、浄化対象の汚染土層が2層の場合には二重管、3層の場合には三重管から形成されることとなる。
【0016】
ここで、各流路の下方には、例えば金網からなるスクリーンが設けられており、このスクリーンの下方には、管路内を上下に縁切りするフランジが設けられている。この縁切り用フランジにより、流路を通ってそれよりも下方に供給された流体が該フランジよりも上方の管路内部に拡散することを防止することができる。ここで、スパージング井戸を構成する外側の管路には、各汚染土層の下方レベル付近に流体供給用の排出孔が穿設されている。各流路(管路)ごとにスクリーンと縁切り用のフランジが設けられ、それぞれの流路に流れてきた流体は、各スクリーンを介し、最外郭の管路に設けられた排出孔を介してそれぞれの汚染土層内に供給される。
【0017】
本発明のように断面寸法(径)の異なる複数の管路を重ね合わせた多重構造のスパージング井戸とすることにより、スパージング井戸の最外郭寸法を可及的に小寸法とすることができ、造成される掘削孔の規模が小さくなることで、施工コストのさらなる低廉化を図ることができる。
【0018】
また、本発明による土壌浄化システムは、前記スパージング井戸と、地表から各汚染土層内に設置されて、各層内を通過した通過流体を地上へ導くための排出井戸と、スパージング井戸に流体を供給する供給手段と、から少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の土壌浄化システムは、単数または複数の既述するスパージング井戸と、このスパージング井戸に流体を供給する適宜の供給手段と、汚染土層内に供給され、地盤内を通過した流体を地上へ排出するための排出井戸とから構成されている。ここで、地上へ排出される流体は、地盤内を通過した空気や酸素などの流体のほかに、該空気(酸素)によって気化した揮発性汚染物質も含まれる。また、供給手段は特に限定されるものではないが、空気や酸素などの気体を供給する際にはコンプレッサが、栄養分を含有した水を供給する際には送水ポンプなどが適用できる。また、コンプレッサには、供給される空気量などを調整するバルブや流量計、圧力計などが装備されており、送水ポンプにも同様の設備が備えられているのが好ましい。
【0020】
また、汚染土層ごとに所定本数の排出井戸が設置されることにより、例えば、汚染土層内に供給され、土壌内を通過した空気や揮発性汚染物質を排出井戸から自然排気することができる。この排出井戸の形態は特に限定するものではないが、少なくとも、原地盤よりも通気性の良好な材質から形成されることを要する。例えば、地盤に掘削孔を造成し、公知のドレーンを建て込んでなる井戸、あるいは、グラベルドレーン工法によって造成される砕石の柱体からなる井戸などを適用できる。既述するように、不透水層等の下方にある被圧帯水層に対しては、かかる排出井戸によって層内の圧力上昇が抑制でき、層内へ圧入される空気や酸素が層内へ効果的に拡散できる環境を形成することができる。
【0021】
本発明の土壌浄化システムによれば、浄化対象領域の平面的な大きさに対してのみスパージング井戸の設置本数が決定され(スパージング井戸からの供給流体量によっても井戸の本数は相違する)、積層された複数の汚染土層に対しては、各スパージング井戸からそれぞれの汚染土層に所望量の流体が供給できるため、スパージング井戸の設置に要する施工コストの低減と、工期の短縮を図ることができる。
【0022】
また、本発明による土壌浄化システムの他の実施形態は、スパージング井戸を構成するそれぞれの流路ごとに前記供給手段が設けられていることを特徴とする。
【0023】
積層された汚染土層においては、各層ごとにその汚染濃度に相違があり、したがって、浄化のために供給される流体量が変化するのが一般的である。また、土層の深度が相違することで層内への流体の流入圧も異なってくる。そこで、各流路ごとに流体を供給する供給手段を設ける態様とすることで、層ごとに異なる流体供給量および圧力を効率的に調整することが可能となる。
【0024】
また、本発明による土壌浄化システムの好ましい実施形態は、前記土壌浄化システムにおいて、各層内から通過流体を強制的に排出するための排出手段が排出井戸に接続されていることを特徴とする。
【0025】
排出井戸からの流体の排出を自然排出とした場合に、地盤内を通過して排気される空気量や揮発性物質量に比べて、地盤内に圧入される空気量が増大する場合が想定される。また、汚染物質が含浸された地下水を揚水等する場合には、自然排出は不可能である。そこで、排出井戸からの流体排出を強制的におこなうことで、かかる問題を解消することができる。強制的な流体排出に際し、流体が気体の場合には吸引ブロアが、流体が液体の場合には取水ポンプなどが使用でき、かかるブロアやポンプを排出井戸に接続したシステムを適用することができる。
【0026】
また、本発明による土壌浄化システムの他の実施形態において、地表面と、該地表面に最も近い位置にある不透水層または難透水層と、の間の汚染土層内に設置される排出井戸が、水平方向に延在していることを特徴とする。
【0027】
地表面と地表面に最も近い位置にある不透水層または難透水層との間の汚染土層内に設置される排出井戸が水平方向となるように、地表面から可能な限り浅い深度に設置することにより、浅層地盤内を通った流体を効率的に排出することができる。なお、この水平方向に延在する排出井戸の一端を閉塞させ、他端を既述する吸引ブロア等に連通した形態とすることにより、流体を効果的に循環させることができる。
【0028】
また、本発明による土壌浄化方法は、少なくとも2以上の汚染土層からなる汚染地盤において、各汚染土層を浄化するための浄化方法であって、所定長さの管路からなり、該管路内に、空気や液体を含む流体を案内する複数の流路が画成されてなるスパージング井戸を地盤内に設置し、各流路がそれぞれに固有の汚染土層に流体を供給することを特徴とする。
【0029】
まず、対象地盤の地表より、先行して掘削孔を構築し、スパージング井戸を構成する管路(例えば鋼管)を掘削孔内に建て込んでいく。なお、スパージング井戸の設置に際し、浄化対象エリアをシートパイルなどの遮水壁によって囲繞しておいてもよい。管路の内部には、既述するように、浄化対象の汚染土層の数量に応じた数の流路が画成されている。管路の延長によっては(最下層の浄化対象汚染土層の深度による)、その建て込みに際し、複数の管路を溶接やソケット継手などによって継ぎ足しながらおこなう場合もある。例えば掘削孔と同軸となるように管路を建て込んだ後に、掘削孔と管路の間に砂やベントナイト、モルタルなどを充填することで管路を掘削孔内に固定する。かかる施工を、順次、または複数の施工マシンを併用して同時におこなうことで、浄化対象地盤内に所定本数のスパージング井戸を設置することができる。所望数のスパージング井戸が設置された後、各スパージング井戸から空気や栄養分含有水などをそれぞれの汚染土層に圧入することにより、すべての層の浄化がおこなわれる。
【0030】
また、本発明による土壌浄化方法の他の実施形態は、少なくとも2以上の汚染土層からなる汚染地盤において、各汚染土層を浄化するための浄化方法であって、所定長さの管路からなり、該管路内に、空気や液体を含む流体を案内する複数の流路が画成されてなるスパージング井戸を地盤内に設置する工程と、各汚染土層内を通過した通過流体を地上へ導くための排出井戸を地表から各汚染土層内に延在するように設置する工程と、各流路からそれぞれの流路に固有の汚染土層に流体を供給し、排出井戸を介して通過流体を地上へ排出する工程と、からなることを特徴とする。
【0031】
本発明の浄化方法は、排出井戸を地盤内に構築する工程をさらに含む方法である。ここで、スパージング井戸を設置する工程と、排出井戸を設置する工程は、同時並行におこなわれてもよいし、相前後するようにおこなわれてもよい。なお、地表面と、該地表面に最も近い位置にある不透水層または難透水層との間の汚染土層内に設置される排出井戸は、水平方向に地盤内設置されるのが好ましい。
【0032】
また、本発明による土壌浄化方法の他の実施形態は、前記土壌浄化方法において、汚染土層内から強制的に通過流体を排出させることを特徴とする。
【0033】
汚染土層内からの流体の排出を既述するように強制的におこなうことにより、特に被圧帯水層における効果的な流体循環を実現することができ、浄化効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0034】
以上の説明から理解できるように、本発明のスパージング井戸および土壌浄化システムおよび土壌浄化方法によれば、スパージング井戸を構成する管路内に汚染土層の数量に応じた数の流路が画成され、各汚染土層にそれぞれの流路から適宜の流体が供給されるため、可及的に少ない数のスパージング井戸によって汚染地盤の浄化をおこなうことができる。かかるスパージング井戸の構成とすることにより、スパージング井戸の構築に要する施工コストの低廉化と工期の短縮に繋がる。また、本発明の土壌浄化システムおよび土壌浄化方法によれば、汚染土層(例えば被圧帯水層)内からの流体の排出(例えば強制排出)と流体の層内供給を並行しておこなうことにより、流体を効果的に循環させることができ、汚染土層を効果的に浄化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明のスパージング井戸の一実施形態の縦断図を、図2aは、図1のII−II矢視図を、図2bは、図1のII−II矢視図を、図2cは、図1のII−II矢視図をそれぞれ示している。図3は、本発明の土壌浄化システムの一実施形態の模式図である。図4は、実証実験における土壌浄化システムおよび観測井戸の概要を示した模式図を、図5は、実証実験で使用したスパージング井戸用の管路の縦断図を、図6は、実証実験結果を示したグラフであり、(a)は、酸化還元電位(ORP)の時系列変化を、(b)は、臭化物イオン濃度の時系列変化を、(c)は、全有機炭素濃度(TOC)の時系列変化を、(d)は、ベンゼン濃度の時系列変化を示したグラフをそれぞれ示している。なお、スパージング井戸や土壌浄化システムが図示する実施形態に限定されるものでないことは勿論のことである。例えば、スパージング井戸を構成する各管路ごとに供給手段(コンプレッサ)が設けられた構成であってもよく、栄養塩水をも地盤内に供給する際には、貯水槽と、栄養塩貯留槽と、双方を添加する添加槽などを別途設け、かかる設備が各スパージング井戸と送液管にて接続された構成とすることもできる。
【0036】
図1は、3層の汚染された帯水層G1,G2,G3と、各帯水層間にシルトまたは粘土からなる不透水層または難透水層G4,G5が介在している汚染地盤に適用されるスパージング井戸の一実施形態を示している。このスパージング井戸10は、最下層の帯水層G3の下端付近までの長さを有しており、3層の帯水層のそれぞれに圧縮空気を供給する必要があることから、スパージング井戸10は3重管構造となっている(図2a参照)。このスパージング井戸10は、浄化対象地盤に造成された掘削孔内に建て込まれた3重構造の管路と、該管路と掘削孔の間に充填された砂3とから構成されている。
【0037】
ここで、最下層の帯水層G3に空気A1を供給する流路は、不透水層G5〜井戸下端までの範囲の最外郭の管路から構成される第1空間11bと、第1空間11bに空気を案内する(X方向)第1流路11aとから形成されている。なお、第1流路11aの端部には最外郭の管路の内径とほぼ同径の円形フランジ11cが設けられており、この円形フランジ11cによって、第1空間11bとその上方の第2空間12bとを画成することができる。この第1流路11aは最外郭の管路の中心軸と同軸に配設されており、他の流路に比して最も外径の小さな管路から形成されている。第1空間11bの下方には金網からなるスクリーン2aが設けられており、最外郭の管路に穿設された排出孔14a,14a,…を介して空気が地盤内に供給できるようになっている。
【0038】
不透水層G4、G5で挟まれた第2帯水層G2に空気A2を供給する流路は、ほぼ不透水層G4〜不透水層G5までの範囲の最外郭の管路から構成される第2空間12bと、第2空間12bに空気を案内する第2流路12aとから形成されている。この第2空間12bと第2流路12aの内部に第1流路11aが貫通しており、第2流路12aの内径は第1流路11aの外径よりも大径に成形されていることで、第2流路12aを空気が通過することができる(Y方向)。なお、第2流路12aの端部にも最外郭の管路の内径とほぼ同径の円形フランジ12cが設けられており、この円形フランジ12cによって、第2空間12bとその上方の第3空間13bとを画成することができる。第2空間12bの下方にも金網からなるスクリーン2bが設けられており、最外郭の管路に穿設された排出孔14b,14b,…を介して空気が地盤内に供給できるようになっている。
【0039】
最上層の第1帯水層G1に空気を供給する流路は、地表〜不透水層G4までの範囲の最外郭の管路から構成される第3空間13bと、第3空間13bに空気を案内する(Z方向)第3流路13aとから形成されている。第3空間13bの下方にも金網からなるスクリーン2cが設けられており、最外郭の管路に穿設された排出孔14c,14c,…を介して空気が地盤内に供給できるようになっている。なお、図2a〜2cは、各空間の断面図を示したものである。
【0040】
上記する管路構成とすることで、可及的に小寸法の管路で、積層した複数の汚染土層のそれぞれの層に空気を供給することができる。ここで、各管路は例えば鋼管を使用することができる。なお、本発明のスパージング井戸は、図示する実施形態以外にも、例えば、第1流路と第2流路と第3流路が同径の流路からなり、各流路が併設した(同軸でない)構造であってもよい。
【0041】
図3は、土壌浄化システムの一実施形態を模式的に示した図である。汚染土層は帯水層G1,G2の2層であり、帯水層G1,G2の間には不透水層G4が介在し、帯水層G2の下方には不透水層G5が堆積している地盤である。
【0042】
土壌浄化に際しては、浄化対象領域とそれ以外の領域をシートパイル9などの遮水壁にて画成することで、供給空気量や供給栄養塩水の量を所望量に調整することができ、浄化対象領域内の浄化効果を高めることができる。また、浄化対象領域外からの地下水の流入や汚染物質の領域外への拡散も防止することができる。
【0043】
土壌浄化システム100は、シートパイル9にて画成された浄化対象領域に造成されたスパージング井戸10a,10a,…と、スパージング井戸10a,10a,…に圧縮空気を供給するコンプレッサ6と、地表直下に造成された水平ドレーン5と、水平ドレーン5〜帯水層G2に跨るグラベルドレーン4,4,…と、水平ドレーン5に連通する真空ユニット7とから大略構成されている。
【0044】
コンプレッサ6は、各スパージング井戸10a,10a,…に送気管にて接続されており、空気量や空気圧を制御するためのバルブ61と、流量計62、圧力計63が配設されている。なお、図示を省略するが、栄養塩水を供給する場合には、貯水槽と、栄養塩貯留槽と、双方を添加する添加槽などを別途設け、かかる設備が各スパージング井戸10a,10a,…と送液管にて接続された構成とすることができる。なお、土壌に空気と栄養塩水を供給することにより、土壌に生息する微生物が活性化し、汚染物質の分解が促進される。この際、微生物は、土粒子の間隙を通過する空気と栄養塩水の流れに沿って活性化し、汚染物質の分解がおこなわれ、微生物フロックが形成されて上記間隙が閉塞される。そのため、圧入された空気や栄養塩水の流れは新たな間隙へと移行し、微生物の分解が汚染帯域内に拡大していくこととなる。
【0045】
コンプレッサ6から送られた圧縮空気は、スパージング井戸10aを構成する第1流路10a1を通り、第1空間10a2からスクリーン10a3を介して帯水層G2内に供給される(矢印X1)。一方、同様にコンプレッサ6から送られた圧縮空気は、第2流路10a4を通り、スクリーン10a5を介して帯水層G1内に供給される(矢印Y1)。ここで、真空ユニット7を稼動することによって水平ドレーン5内を真空吸引し、水平ドレーン5に連通するグラベルドレーン4,4,…も真空吸引される。水平ドレーン5内が真空吸引されることによって帯水層G1内が真空吸引でき、スパージング井戸10aからの空気の供給と水平ドレーン5からの空気および揮発性物質の吸引(矢印Y2)によって、土壌の浄化がおこなわれる。
【0046】
一方、帯水層G2においては、スパージング井戸10aからの空気の供給と、グラベルドレーン4からの空気および揮発性物質の吸引(矢印X2)によって、土壌の浄化がおこなわれる。
【0047】
真空ユニット7にて吸引された気体は活性炭ユニット81に送られ、無害化された後に放出管82より大気へ放出される(矢印W)。
【0048】
図示する実施例では、浄化対象の帯水層が2層であったが、例えば3層の帯水層と各層間に不透水層が介在している地盤においては、図1に示すスパージング井戸10を最深の帯水層下方まで造成し、真空吸引用のグラベルドレーンを最深の帯水層上方まで造成することによって土壌浄化システムが構築される。なお、浄化対象領域内に造成されるスパージング井戸やグラベルドレーンの外径やその数量、設置間隔や、コンプレッサおよび真空ユニットの性能などは、土質性状や汚染物質の種類、汚染の程度、浄化期間などによって適宜調整されるものである。
【実施例】
【0049】
本発明の土壌浄化システムによる浄化効果を確認する目的で、複数の帯水層が汚染されているベンゼン汚染サイトにおいて実証試験をおこなった。本実験は、2層の汚染帯水層のうち、下方に位置する汚染帯水層の浄化効果が、多重管構造のスパージング井戸と真空吸引によって十分に得られるか否かを確認するものである。図4は、実証実験における土壌浄化システムと観測井戸の概要を示した模式図を土層とともに示した図である。地盤は、地表から深度約6mまでベンゼンで汚染された帯水層G1からなり、6〜8m程度の深度にシルトからなる不透水層G4が堆積し、その下方に深度12m程度までベンゼンで汚染された帯水層G2が堆積している。
【0050】
本実験では、この12m深度以深まで図5に示すスパージング井戸10bを設置し、該スパージング井戸10bから0.75m間隔で4本の観測井戸K1〜K4を同深度まで設置した。これは、上方の帯水層1のスパージング影響範囲がスパージング井戸から半径3m範囲内であるものと想定されることから、かかる範囲内で4本の観測井戸を設けたものである。このうち、観測井戸K4は排出井戸を兼ねるものとし、地上部から帯水層G2に供給された空気や揮発性物質を回収することとした。スパージング井戸10bへの圧縮空気はコンプレッサ6から供給され、流量計62や圧力計63を視認しながらバルブ61にて所定の空気供給量となるように実験がおこなわれた。本実験では、浄化開始から15日目までは50L/min(リットル/分)、15日目から28日目までは150L/minの空気が帯水層G2に供給されるように調整した。また、地盤内の有用微生物を活性化させるための栄養塩水の供給は、空気と同様にスパージング井戸10bを介して1L/minの流量で連続的に供給した。また、スパージング井戸10bより供給された栄養塩水の地盤内における分布状況を把握するために、トレーサー物質として臭化ナトリウムを水道水に200mg/Lとなるように添加した。
【0051】
図5は、本実験で使用したスパージング井戸用の管路である。具体的には、図のX1が上方の帯水層用の注水口、X2が上方のエア用の注入口、X4が下方の帯水層用の注水口、X3が下方のエア用の注入口であり、X5(最外郭の管路)は規格がSGP50A(φ60.5mm)の管路、X6は上方帯水層用のスクリーン、X8はSGP50A(φ60.5mm)の管路で、X9が下方帯水層用のスクリーン、SGP50Aの管路同士は、ソケットX7にて接続されている。二点鎖線部は、管路の一部の内部構造を拡大した図であり、二重管構造の内側管路の規格がSGP20A(φ27.2mm)の管路からなり、この管路同士もソケットX71にて接続されている。なお、管路X5,X8を繋ぐ2つのソケットX7,X7は、ねじ部材X72によって繋がれている。
【0052】
浄化実施期間中における各観測井戸K1〜K4の酸化還元電位(ORP)、臭化物イオン濃度、全有機炭素濃度(TOC)、およびベンゼン濃度をそれぞれ図6a〜dに示す。
【0053】
まず、図6aより、スパージング影響範囲のすべて(観測井戸K1〜K4)において、空気(酸素)の供給に起因する酸化還元電位の上昇を確認することができる。
【0054】
また、図6bより、臭化物イオン濃度も浄化期間を通じて各観測井戸にて上昇傾向を示し、スパージング井戸から帯水層G2内に供給された栄養塩がスパージング影響範囲に行き渡っていることが確認できる。図6a,bより、下方の帯水層G2においても、上方の帯水層G1と同様に、空気と栄養塩水の双方を所定の範囲内に拡散(供給)できることが確認された。
【0055】
上記する空気と栄養塩水の必要十分な供給により、図6cに示すように有機炭素化合物(TOC)の減少が確認でき、図6dに示すように、地下水中のベンゼン濃度を約3週間のスパージングによって環境基準値であるP線(0.01mg/L)未満に低減させることができた。
【0056】
上記するように、本発明のスパージング井戸によれば、1本の井戸から複数の帯水層に対して空気や栄養塩水を供給することができるため、浄化に必要な井戸本数を低減することができ、井戸施工時の掘削延長を短縮できる等により、施工コストの大幅な低減と工期の大幅な短縮を実現することができる。また、スパージング井戸の内部構造は各帯水層ごとに固有の流体流路が画成されているため、個々の帯水層の汚染状況に応じて流体流量や圧力の適宜な調整がおこなえる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明のスパージング井戸の一実施形態の縦断図。
【図2】(a)は、図1のII−II矢視図であり、(b)は、図1のII−II矢視図であり、(c)は、図1のII−II矢視図。
【図3】本発明の土壌浄化システムの一実施形態の模式図。
【図4】実証実験における土壌浄化システムおよび観測井戸の概要を示した模式図。
【図5】実証実験で使用したスパージング井戸用の管路の縦断図。
【図6】実証実験結果を示したグラフであり、(a)は、酸化還元電位(ORP)の時系列変化を、(b)は、臭化物イオン濃度の時系列変化を、(c)は、全有機炭素濃度(TOC)の時系列変化を、(d)は、ベンゼン濃度の時系列変化を示したグラフ。
【図7】従来の土壌浄化システムを示した模式図であって、一層の汚染土層からなる汚染地盤を浄化対象とした場合の図。
【図8】従来の土壌浄化システムを示した模式図であって、二層の汚染土層からなり、各層間にシルト層が介在している汚染地盤を浄化対象とした場合の図。
【符号の説明】
【0059】
1…管路、11a…第1流路、11b…第1空間、12a…第2流路、12b…第2空間、13a…第3流路、13b…第3空間、14a,14b,14c…排出孔、2a,2b,2c…スクリーン(金網)、3…砂、4…グラベルドレーン(排出井戸)、5…水平ドレーン(排出井戸)、6…コンプレッサ(供給手段)、7…真空ユニット、9…シートパイル、10,10a…スパージング井戸、100…土壌浄化システム、G1…第1帯水層、G2…第2帯水層、G3…第3帯水層、G4,G5…不透水層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2以上の汚染土層からなる汚染地盤を浄化するスパージング井戸であって、
前記スパージング井戸は、所定長さの管路からなり、該管路内は、空気や液体を含む流体を案内する複数の流路に画成されており、それぞれの流路が固有の汚染土層に流体を供給できるように構成されていることを特徴とするスパージング井戸。
【請求項2】
前記スパージング井戸は、複数の断面寸法の異なる流路から構成されており、最下層の汚染土層に流体を供給する流路が前記管路内の中央に配設され、相対的に上方の汚染土層に流体を供給する流路が、相対的に下方の汚染土層に流体を供給する流路を包囲するように配設されることによって複数の流路と管路からなる多重構造を形成しており、それぞれの流路の下方にはスクリーンが形成されており、管路から各スクリーンを介して各汚染土層に流体が供給されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のスパージング井戸。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスパージング井戸と、地表から各汚染土層内に設置されて、各層内を通過した通過流体を地上へ導くための排出井戸と、スパージング井戸に流体を供給する供給手段と、から少なくとも構成されている土壌浄化システム。
【請求項4】
スパージング井戸を構成するそれぞれの流路ごとに前記供給手段が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の土壌浄化システム。
【請求項5】
請求項3または4に記載の土壌浄化システムにおいて、各層内から通過流体を強制的に排出するための排出手段が排出井戸に接続されていることを特徴とする土壌浄化システム。
【請求項6】
地表面と、該地表面に最も近い位置にある不透水層または難透水層と、の間の汚染土層内に設置される排出井戸が、水平方向に延在していることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の土壌浄化システム。
【請求項7】
少なくとも2以上の汚染土層からなる汚染地盤において、各汚染土層を浄化するための浄化方法であって、
所定長さの管路からなり、該管路内に、空気や液体を含む流体を案内する複数の流路が画成されてなるスパージング井戸を地盤内に設置し、各流路がそれぞれに固有の汚染土層に流体を供給することを特徴とする土壌浄化方法。
【請求項8】
少なくとも2以上の汚染土層からなる汚染地盤において、各汚染土層を浄化するための浄化方法であって、
所定長さの管路からなり、該管路内に、空気や液体を含む流体を案内する複数の流路が画成されてなるスパージング井戸を地盤内に設置する工程と、各汚染土層内を通過した通過流体を地上へ導くための排出井戸を地表から各汚染土層内に延在するように設置する工程と、各流路からそれぞれの流路に固有の汚染土層に流体を供給し、排出井戸を介して通過流体を地上へ排出する工程と、からなることを特徴とする土壌浄化方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の土壌浄化方法において、汚染土層内から強制的に通過流体を排出させることを特徴とする土壌浄化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−190478(P2007−190478A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10246(P2006−10246)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行所:日本工業出版株式会社 刊行物名:月刊「環境浄化技術」2005年9月号 巻数:第4巻 号数:第9号(通巻35号) 掲載頁:36頁〜38頁 刊行物発行年月日:平成17年9月1日
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】