説明

スパースフィルタリングによりリンクされる信号の分散センシング

本開示のある態様は、未知のスパースフィルタリング動作の入力および出力としてモデルされる2つの相関信号の分散センサリングおよび集中型再構築のための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に信号処理に関し、さらに詳細には、スパースフィルタリング動作によってリンクされた信号を再構築するための方法に関する。
【0002】
[米国特許法119条に基づく優先権の主張]
本出願は、本出願の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる、2009年1月14日に出願された米国仮出願61/144,542号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
2つの信号が、時間領域で散在的(sparse)でありうる未知のフィルタリング動作によってリンクされうる。この特定モデルは、例えば、未知のマルチパス環境における送信信号と受信信号との相関を記述するために使用されうる。分散セットアップにおいて2つの信号がサンプリングされうる。各信号は、一定数の非適応および固定線形の信号測定値を中央復号器に送信する異なるセンサによって観察されうる。
【0004】
本開示は、スパースフィルタリング動作によってリンクされた信号を再構築するための計算的に効率の良い方法を提案する。本開示は、さらに、サンプリングプロセス中に任意のセンサ間で通信することなく、中央復号器での完全な再構築に要求される測定値の数を減らすために、スパースフィルタリングによって引き起こされる相関がどのように活用されうるかを解析する。
【発明の概要】
【0005】
ある態様は、一組の信号を再構築するための方法を提供する。ここにおいて、第1の信号は、例えばスパースフィルタのような未知のフィルタによって第2の信号にリンクされている。その方法は、一般的に、第1のセンサで第1の信号の第1のサンプルを観察すること、第2のセンサで第2の信号の第2のサンプルを観察すること、並びに、第1および第2のサンプルから第1の信号および第2の信号をほぼ確実に再構築するために、第1および第2の信号がフィルタによってリンクされていることについての知識を活用することを含む。
【0006】
ある態様に従って、2つの信号が未知のフィルタ関数によってリンクされていることを知ることによって、ナイキスト関係式によって与えられるサンプルの最小数よりも少ない数の第1および第2のサンプルを使用して第1および第2の信号のほぼ確実な再構築が可能になる。
【0007】
ある態様は信号処理するための方法を提供する。その方法は、一般的に、第1および第2の信号の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信すること、なお、DFT係数は、第1および第2の信号の各々に対するK+1個の係数と、第1と第2の信号の各々に対する残りのDFT係数の相補サブセット(complementary subset)とを含む、受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用してフィルタの2K個の連続DFT係数を計算することと、計算された2K個のDFT係数を使用してフィルタのインパルス応答を獲得することと、ここにおいて、Kはフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数である、フィルタのインパルス応答および受信された第2の信号のDFT係数を使用して第1の信号を再構築することと、フィルタのインパルス応答および受信された第1の信号のDFT係数を使用して第2の信号を再構築することとを含む。
【0008】
ある態様は信号処理するための装置を提供する。その装置は、一般的に、第1および第2の信号の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信するように構成された受信機と、なお、DFT係数は第1および第2の信号の各々に対するK+1個の係数と、第1および第2の信号の各々に対する残りのDFT係数の相補サブセットとを含む、受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用してフィルタの2K個の連続DFT係数を計算するように構成されたコンピュータと、計算された2K個のDFT係数を使用してフィルタのインパルス応答を獲得するように構成された計算器と、ここにおいて、Kはフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数である、フィルタのインパルス応答および受信された第2の信号のDFT係数を使用して第1の信号を再構築するように構成された第1の再構築回路と、フィルタのインパルス応答および受信された第1の信号のDFT係数を使用して第2の信号を再構築するように構成された第2の再構築回路とを含む。
【0009】
ある態様は信号処理するための装置を提供する。その装置は、一般的に、第1および第2の信号の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信するための手段と、なお、DFT係数は、第1および第2の信号の各々に対するK+1個の係数と、第1および第2の信号の各々に対する残りのDFT係数の相補サブセットとを含む、受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用してフィルタの2K個の連続DFT係数を計算するための手段と、計算された2K個のDFT係数を使用してフィルタのインパルス応答を獲得するための手段と、ここにおいて、Kはフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数である、フィルタのインパルス応答および受信された第2の信号のDFT係数を使用して第1の信号を再構築するための手段と、フィルタのインパルス応答および受信された第1の信号のDFT係数を使用して第2の信号を再構築するための手段とを含む。
【0010】
ある態様は、信号処理するためのコンピュータプログラム製品を提供する。そのコンピュータプログラム製品は、第1および第2の信号の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信し、なお、DFT係数は第1および第2の信号の各々に対するK+1個の係数と、第1および第2の信号の各々に対する残りのDFT係数の相補サブセットとを含む、受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用してフィルタの2K個の連続DFT係数を計算し、計算された2K個のDFT係数を使用してフィルタのインパルス応答を獲得し、ここにおいて、Kはフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数である、フィルタのインパルス応答および受信された第2の信号のDFT係数を使用して第1の信号を再構築し、フィルタのインパルス応答および受信された第1の信号のDFT係数を使用して第2の信号を再構築するために実行可能な命令を備えるコンピュータ可読媒体を含む。
【0011】
ある態様はヘッドセットを提供する。そのヘッドセットは、一般的に、第1および第2の信号の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信するように構成された受信機と、なお、DFT係数は、第1および第2の信号の各々に対するK+1個の係数と、第1および第2の信号の各々に対する残りのDFT係数の相補サブセットとを含む、受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用してフィルタの2K個の連続DFT係数を計算するように構成されたコンピュータと、計算された2K個のDFT係数を使用してフィルタのインパルス応答を獲得するように構成された計算器と、ここにおいて、Kはフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数である、フィルタのインパルス応答および受信された第2の信号のDFT係数を使用して第1の信号を再構築するように構成された第1の再構築回路と、フィルタのインパルス応答および受信された第1の信号のDFT係数を使用して第2の信号を再構築するように構成された第2の再構築回路と、再構築された第1および第2の信号に基づいてオーディオ出力を提供するように構成されたトランスデューサとを含む。
【0012】
ある態様は、患者のバイタルサインを監視するためのモニタを提供する。その患者のバイタルサインを監視するためのモニタは、一般的に、第1および第2の信号の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信するように構成された受信機と、なお、DFT係数は第1および第2の信号の各々に対するK+1個の係数と、第1および第2の信号の各々に対する残りのDFT係数の相補サブセットとを含む、受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用してフィルタの2K個の連続DFT係数を計算するように構成されたコンピュータと、計算された2K個のDFT係数を使用してフィルタのインパルス応答を獲得するように構成された計算器と、ここにおいて、Kはフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数である、フィルタのインパルス応答および受信された第2の信号のDFT係数を使用して第1の信号を再構築するように構成された第1の再構築回路と、フィルタのインパルス応答および受信された第1の信号のDFT係数を使用して第2の信号を再構築するように構成された第2の再構築回路と、再構築された第1および第2の信号から導かれた患者のバイタルサインと関連したパラメータを表示するためのユーザインターフェースとを含む。
【0013】
ある態様は信号処理するための方法を提供する。その方法は、一般的に、第1および第2の信号のサンプルを獲得するために第1および第2の信号をサンプリングすることと、第1および第2の信号のDFT係数を獲得するために離散フーリエ変換(DFT)をその第1および第2の信号のサンプルに実行することと、第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個のDFT係数並びに第1および第2の信号の各々の対する残りのDFT係数の相補サブセットを送信することとを含み、第1の信号はスパースフィルタの入力であり、第2の信号はスパースフィルタの出力であり、L≧Kであり、Kはスパースフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数である。
【0014】
ある態様は、信号処理するための装置を提供する。その装置は、一般的に、第1および第2の信号のサンプルを獲得するために第1および第2の信号をサンプリングするように構成されたサンプラと、第1および第2の信号のDFT係数を獲得するために離散フーリエ変換(DFT)をその第1および第2の信号のサンプルに実行するように構成された第1の回路と、第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個のDFT係数並びに第1および第2の信号の各々の対する残りのDFTの相補サブセットを送信するように構成された送信機とを含み、第1の信号はスパースフィルタの入力であり、第2の信号はスパースフィルタの出力であり、L≧Kであり、Kはスパースフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数である。
【0015】
ある態様は、信号処理するための装置を提供する。その装置は、一般的に、第1および第2の信号のサンプルを獲得するために第1および第2の信号をサンプリングするための手段と、第1および第2の信号のDFT係数を獲得するために離散フーリエ変換(DFT)をその第1および第2の信号のサンプルに実行するための手段と、第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個のDFT係数並びに第1および第2の信号の各々の対する残りのDFTの相補サブセットを送信するための手段とを含み、第1の信号はスパースフィルタの入力であり、第2の信号はスパースフィルタの出力であり、L≧Kであり、Kはスパースフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数である。
【0016】
ある態様は信号処理するためのコンピュータプログラム製品を提供する。そのコンピュータプログラム製品は、第1および第2の信号のサンプルを獲得するために第1および第2の信号をサンプリングし、第1および第2の信号のDFT係数を獲得するために離散フーリエ変換(DFT)をその第1および第2の信号のサンプルに実行し、第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個のDFT係数並びに第1および第2の信号の各々の対する残りのDFTの相補サブセットを送信するために実行可能な命令を備えるコンピュータ可読媒体を含み、第1の信号はスパースフィルタの入力であり、第2の信号はスパースフィルタの出力であり、L≧Kであり、Kはスパースフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数である。
【0017】
ある態様はセンシングデバイスを提供する。そのセンシングデバイスは、一般的に、第1および第2の信号のサンプルを獲得するために第1および第2の信号をサンプリングするように構成されたサンプラと、第1および第2の信号のDFT係数を獲得するために離散フーリエ変換(DFT)をその第1および第2の信号のサンプルに実行するように構成された第1の回路と、第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個のDFT係数並びに第1および第2の信号の各々の対する残りのDFTの相補サブセットを送信するように構成された送信機と、その送信機を介して送信されるべきデータを提供するように構成されたセンサとを含み、第1の信号はスパースフィルタの入力であり、第2の信号はスパースフィルタの出力であり、L≧Kであり、Kはスパースフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数である。
【0018】
ある態様は、例えば信号推定するための方法など、信号処理するための方法を提供する。その方法は、一般的に、第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信することと、その受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用して次元L×(L+1)のフィルタ行列を生成することと、フィルタ行列の(K+1)番目の特異値とフィルタ行列のK番目の特異値との比が定義された閾値よりも小さくない場合にフィルタ行列のL-K+1最小特異値を0に設定することによって、階数Kフィルタ行列を生成することと、ここにおいて、Kはフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数であり、L≧Kである、階数Kフィルタ行列の対角線に沿って係数を平均化することによってテプリッツ階数Kフィルタ行列を生成することと、そのテプリッツ階数Kフィルタ行列の第1の行と第1の列の要素に基づいてフィルタのDFT係数を獲得することと、その獲得されたフィルタのDFT係数を使用してフィルタのインパルス応答を計算することと、フィルタのインパルス応答および受信された第2の信号のDFT係数を使用して第1の信号を再構築することと、フィルタのインパルス応答および受信された第1の信号のDFT係数を使用して第2の信号を再構築することとを含む。
【0019】
ある態様は、例えば信号推定するための装置など、信号処理するための装置を提供する。その装置は、一般的に、第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信するように構成された受信機と、受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用して次元L×(L+1)のフィルタ行列を生成するように構成された第1のジェネレータと、フィルタ行列の(K+1)番目の特異値とフィルタ行列のK番目の特異値との比が定義された閾値よりも小さくない場合に、フィルタ行列のL-K+1最小特異値を0に設定することによって、階数Kフィルタ行列を生成するように構成された第2のジェネレータと、ここにおいて、Kはフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数であり、L≧Kである、その階数Kフィルタ行列の対角線に沿って係数を平均化することによってテプリッツ階数Kフィルタ行列を生成するように構成された第3のジェネレータと、そのテプリッツ階数Kフィルタ行列の第1の行および第1の列の要素に基づいてフィルタのDFT係数を獲得するように構成された計算器と、その獲得されたフィルタのDFT係数を使用してフィルタのインパルス応答を計算するように構成されたコンピュータと、フィルタのインパルス応答および受信された第2の信号のDFT係数を使用して第1の信号を再構築するように構成された第1の再構築回路と、フィルタのインパルス応答および受信された第1の信号のDFT係数を使用して第2の信号を再構築するように構成された第2の再構築回路とを含む。
【0020】
ある態様は、例えば信号推定するための装置など、信号処理するための装置を提供する。その装置は、一般的に、第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信するための手段と、その受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用して次元L×(L+1)のフィルタ行列を生成するための手段と、フィルタ行列の(K+1)番目の特異値とフィルタ行列のK番目の特異値との比が定義された閾値よりも小さくない場合に、フィルタ行列のL-K+1最小特異値を0に設定することによって、階数Kフィルタ行列を生成するための手段と、ここにおいて、Kはフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数であり、L≧Kである、その階数Kフィルタ行列の対角線に沿って係数を平均化することによってテプリッツ階数Kフィルタ行列を生成するための手段と、そのテプリッツ階数Kフィルタ行列の第1の行と第1の列の要素に基づいてフィルタのDFT係数を獲得するための手段と、その獲得されたフィルタのDFT係数を使用してフィルタのインパルス応答を計算するための手段と、フィルタのインパルス応答および受信された第2の信号のDFT係数を使用して第1の信号を再構築するための手段と、フィルタのインパルス応答および受信された第1の信号のDFT係数を使用して第2の信号を再構築するための手段とを含む。
【0021】
ある態様は、例えば信号推定するためのコンピュータプログラム製品など、信号処理するためのコンピュータプログラム製品を提供する。そのコンピュータプログラム製品は、第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信し、その受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用して次元L×(L+1)のフィルタ行列を生成し、フィルタ行列の(K+1)番目の特異値とフィルタ行列のK番目の特異値との比が定義された閾値よりも小さくない場合に、フィルタ行列のL-K+1最小特異値を0に設定することによって、階数Kフィルタ行列を生成し、ここにおいて、Kはフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数であり、L≧Kである、その階数Kフィルタ行列の対角線に沿って係数を平均化することによってテプリッツ階数Kフィルタ行列を生成し、そのテプリッツ階数Kフィルタ行列の第1の行と第1の列の要素に基づいてフィルタのDFT係数を獲得し、その獲得されたフィルタのDFT係数を使用してフィルタのインパルス応答を計算し、フィルタのインパルス応答および受信された第2の信号のDFT係数を使用して第1の信号を再構築し、フィルタのインパルス応答および受信された第1の信号のDFT係数を使用して第2の信号を再構築するために実行可能な命令を備えるコンピュータ可読媒体を含む。
【0022】
ある態様はヘッドセットを提供する。そのヘッドセットは、一般的に、第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信するように構成された受信機と、その受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用して次元L×(L+1)のフィルタ行列を生成するように構成された第1のジェネレータと、フィルタ行列の(K+1)番目の特異値とフィルタ行列のK番目の特異値との比が定義された閾値よりも小さくない場合に、フィルタ行列のL-K+1最小特異値を0に設定することによって、階数Kフィルタ行列を生成するように構成された第2のジェネレータと、ここにおいて、Kはフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数であり、L≧Kである、その階数Kフィルタ行列の対角線に沿って係数を平均化することによってテプリッツ階数Kフィルタ行列を生成するように構成された第3のジェネレータと、そのテプリッツ階数Kフィルタ行列の第1の行と第1の列の要素に基づいてフィルタのDFT係数を獲得するように構成された計算器と、その獲得されたフィルタのDFT係数を使用してフィルタのインパルス応答を計算するように構成されたコンピュータと、フィルタのインパルス応答および受信された第2の信号のDFT係数を使用して第1の信号を再構築するように構成された第1の再構築回路と、フィルタのインパルス応答および受信された第1の信号のDFT係数を使用して第2の信号を再構築するように構成された第2の再構築回路と、その再構築された第1および第2の信号に基づいてオーディオ出力を提供するように構成されたトランスデューサとを含む。
【0023】
ある態様は、患者のバイタルサインを監視するためのモニタを提供する。その患者のバイタルサインを監視するためのモニタは、一般的に、第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信するように構成された受信機と、その受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用して次元L×(L+1)のフィルタ行列を生成するように構成された第1のジェネレータと、フィルタ行列の(K+1)番目の特異値とフィルタ行列のK番目の特異値との比が定義された閾値よりも小さくない場合に、フィルタ行列のL-K+1の最小特異値を0に設定することによって階数Kフィルタ行列を生成するように構成された第2のジェネレータと、ここにおいて、Kはフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数であり、L≧Kである、その階数Kフィルタ行列の対角線に沿って係数を平均化することによってテプリッツ階数Kフィルタ行列を生成するように構成された第3のジェネレータと、そのテプリッツ階数Kフィルタ行列の第1の行と第1の列の要素に基づいてフィルタのDFT係数を獲得するように構成された計算器と、その獲得されたフィルタのDFT係数を使用してフィルタのインパルス応答を計算するように構成されたコンピュータと、フィルタのインパルス応答および受信された第2の信号のDFT係数を使用して第1の信号を再構築するように構成された第1の再構築回路と、フィルタのインパルス応答および受信された第1の信号のDFT係数を使用して第2の信号を再構築するように構成された第2の再構築回路と、その再構築された第1および第2の信号から導かれる患者のバイタルサインに関連したパラメータを表示するためのユーザインターフェースとを含む。
【0024】
上に記述された本開示の特徴が詳しく理解されうるために、上に簡単に要約されたより詳細な記述は、態様によって参照することができ、そのいくつかは添付図に示される。しかしながら、添付図は本開示のある典型的な態様のみを示しているため、本記述が同等に効果的な他の態様を認めうるため、本開示の範囲を限定するものとして解釈されないことに注意されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本開示のある態様に従って、連続時間スパースフィルタリング動作およびその離散時間対応を示す。
【図2】図2は、本開示のある態様に従って、分散センシングセットアップを示す。
【図3】図3は、本開示のある態様に従って、観察されたサンプルから信号を再構築するための例示的な動作を示す。
【図3A】図3Aは、図3に示される動作を実行することができる例示的なコンポーネントを示す。
【図4】図4は、本開示のある態様に従って、一般的な再構築(universal reconstruction)のための達成可能なサンプリング領域、ほぼ確実な再構築のための達成可能なサンプリングペア、および、相殺フィルタ(annihilating filter)に基づくほぼ確実な再構築のための達成可能なサンプリングペアを示す。
【図5】図5は、本開示のある態様に従って、一組のセンサによる離散フーリエ変換(DFT)係数の送信を示す。
【図6】図6は、本開示のある態様に従って、相殺フィルタに基づく信号のセンシングおよび再構築を実行するための例示的な動作を示す。
【図6A】図6Aは、図6に示される動作を実行することができる例示的なコンポーネントを示す。
【図7】図7は、本開示のある態様に従って、相殺フィルタに基づく信号の反復的なノイズ除去、センシング、再構築のための例示的な動作を示す。
【図7A】図7Aは、図7に示される動作を実行することができる例示的なコンポーネントを示す。
【図8A】図8Aは、本開示のある態様に従って、異なるパラメータについてスパースフィルタリングによってリンクされた信号の再構築の標準化平均二乗誤差(MSE)を示す。
【図8B】図8Bは、本開示のある態様に従って、異なるパラメータについてスパースフィルタリングによってリンクされた信号の再構築の標準化平均二乗誤差(MSE)を示す。
【図9A】図9Aは、本開示のある態様に従って、画像ソースモデルを使用した室内インパルス応答(RIR)の合成を示す。
【図9B】図9Bは、本開示のある態様に従って、画像ソースモデルを使用した室内インパルス応答(RIR)の合成を示す。
【図10】図10は、本開示のある態様に従って、異なる数の測定値を用いて再構築された応答と共に合成RIRを示す。
【図11】図11は、本開示のある態様に従って、合成RIRの正確な反射遅延の推定の平均誤差を示す。
【図12A】図12Aは、本開示のある態様に従って、オーディオ実験セットアップを示す。
【図12B】図12Bは、本開示のある態様に従って、オーディオ実験セットアップを示す。
【図13A】図13Aは、本開示のある態様に従って、バイノーラルフィルタインパルス応答を示す。
【図13B】図13Bは、本開示のある態様に従って、その1タップのスパース近似値を示す。
【図14A】図14Aは、本開示のある態様に従って、異なる数の測定値を使用し、1タップのフィルタを用いたバイノーラルインパルス応答のトラッキングを示す。
【図14B】図14Bは、本開示のある態様に従って、本開示のある態様に従って、異なる数の測定値を使用し、1タップのフィルタを用いたバイノーラルインパルス応答のトラッキングを示す。
【図14C】図14Cは、本開示のある態様に従って、異なる数の測定値を使用し、1タップのフィルタを用いたバイノーラルインパルス応答のトラッキングを示す。
【図14D】図14Dは、本開示のある態様に従って、異なる数の測定値を使用し、1タップのフィルタを用いたバイノーラルインパルス応答のトラッキングを示す。
【図14E】図14Eは、本開示のある態様に従って、異なる数の測定値を使用し、1タップのフィルタを用いたバイノーラルインパルス応答のトラッキングを示す。
【図14F】図14Fは、本開示のある態様に従って、異なる数の測定値を使用し、1タップのフィルタを用いたバイノーラルインパルス応答のトラッキングを示す。
【図15】図15は、本開示のある態様に従ってスパースフィルタリング動作とリンクされた信号を処理するための例示的な動作を示す。
【図15A】図15Aは、図15において示される動作を実行することができる例示的なコンポーネントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の様々な態様が下に記述される。本明細書の教示が多種多様な形態で組み込まれうること、および、本明細書に開示されているあらゆる特定構造、機能、またはその両方が単なる代表例であることは明白であるべきである。本明細書の教示に基づいて、当業者は、本明細書に開示される態様が他のいかなる態様からも独立して実施されうること、および、これらの態様のうちの2つ以上が様々な方法で組み合わされうることを認識するべきである。例えば、本明細書に示される任意の数の態様を使用して装置または方法が実施されうる。加えて、本明細書に示される1つ以上の態様に加えて、あるいは、それを除いて、別の構造、機能性、または構造と機能性を使用してそのような装置または方法が実施されうる。さらに、1つの態様は、特許請求の範囲の少なくとも1つの構成要素を備えうる。
【0027】
「例示的」という用語は、本明細書において、「実例、事例、例証として提供される」を意味するために使用される。「例示的」として本明細書に示される任意の態様は、必ずしも他の態様より有利または優先されるとして解釈されるわけではない。
【0028】
本明細書の教示は、様々な装置(例えばデバイス)に組み込まれうる(例えば、様々な装置で実施され、あるいは様々な装置によって実施されうる)。例えば、本明細書において教示される1つ以上の態様は、電話(例えば、セルラ電話)、携帯情報端末(「PDA」)、エンターテイメントデバイス(例えば、音楽またはビデオデバイス)、ヘッドセット(例えば、ヘッドホン、イヤホンなど)、マクロホン、医療センシングデバイス(例えば、生態センサ、心拍モニタ、歩数計、EKGデバイス、スマートバンデージなど)、ユーザI/Oデバイス(例えば、時計、リモコン、ライトスイッチ、キーボード、マウスなど)、環境センシングデバイス(例えば、タイヤ圧力モニタ)、医療または環境センシングデバイスからデータを受信することができるモニタ、コンピュータ、POSデバイス、エンターテイメントデバイス、補聴器、セットトップボックス、あるいは任意の別の適切なデバイスに組み込まれうる。
【0029】
いくつかの態様において、無線デバイスは、インパルスベースの無線通信リンクを介して通信することができる。例えば、インパルスベースの無線通信リンクは、比較的短い長さ(例えば、数ナノ秒またはより短いオーダの)および比較的広い帯域幅を有する超広帯域パルスを利用しうる。いくつかの態様において、超広帯域パルスは、約20%またはそれ以上のオーダの比帯域幅を有し、あるいは、約500MHzまたはそれ以上のオーダの帯域幅を有しうる。
【0030】
序文
2つの信号は未知のフィルタリング動作によってリンクされることができ、ここで、そのフィルタは時間領域において散在的(sparse)でありうる。この特定モデルは、例えば、未知のマルチパス環境における送信信号と受信信号との相関を記述するために使用されうる。2つの信号は分散セットアップにおいてサンプリングされうる。各信号は、一定数の非適応および固定線形の信号測定値を中央復号器に送信する異なるセンサによって観察されうる。
【0031】
本開示において利用されるセットアップは、個々に符号化され、共に復号されるべき相関ソースから構成される分散ソース符号化におけるスレピアン-ウォルフ問題と概念的に類似する。符号器間の通信が妨げられている間、測定データ間の相関が、復号器に送信される情報量を減らすための効率的な手段として考慮されうる。
【0032】
提案される実行処理(work)と古典的な分散ソース符号化セットアップとの主な違いは、後者が符号化に関しており、ビットをその「通貨(currency)」として使用するのに対して、本開示がサンプリング問題を研究しており、獲得の必要があるサンプリング測定値の数にのみ関心がある点である。サンプリングの観点から、提案される実行処理は分散圧縮センシングの問題に密に関係している。その観点から、分散センサによって計算される線形投影に基づいて連帯的散在的でタが再構築される。
【0033】
本開示のある態様は分散信号に対して新しい相関モデルを使用する。あらゆるスパース性の仮定を信号自体に課す代わりに、いくつかの未知のスパースフィルタリング動作によって信号がリンクされていると想定されうる。そのようなモデルは、いくつかの実用的なシナリオ(例えば、マルチパス伝播およびバイノーラルオーディオリコーディング)において信号相関を記述する際に有益となりうる。スパースフィルタリングモデルにおいて、2つのストラテジがサンプリングシステムの設計のために導入されうる。一般的なストラテジでは、全ての信号の感知および回復に成功することが目標であるのに対して、ほぼ確実なストラテジでは、回復不可能な信号の小さい集合(測定ゼロで)を有することが許容されうる。
【0034】
本開示のある態様について、対応する達成可能性の境界(achievability bound)が、上記2つのストラテジに必要とされうるサンプル数に確立されうる。これらの境界は、フィルタのスパース性がほぼ確実なストラテジでのみ有益となりうることを示すことができる。境界を達成するそれらのアルゴリズムが計算的に桁外れであるため、元の信号を効率的かつロバストな方法で回復することができる具体的な分散サンプリングおよび再構築スキームが本開示のある態様に対して導入される。
【0035】
考慮されるモデルの厳密な定義の後に、分散センシング問題の一般的な定式が記述されうる。次に、全ての可能なベクトルが完璧に再構築されることを要求すると、上に述べられた観察ベクトル間の相関を活用できないことが論証されうる。その場合、分散信号の全ての係数を独立して送信するという単純なストラテジが最適である。しかしながら、ほぼ全てのベクトルを完全に回復しようとだけ考慮するのであれば、サンプリング効率における実質的利得は達成されうる。達成可能性の境界が、ほぼ確実な再構築について導かれる。境界を獲得するアルゴリズムが計算的に桁外れであるため、相殺フィルタに基づく、次善ではあるが計算的に効率的な分散アルゴリズムが提案される。さらに、カゾウ(Cadzow)反復法を使用して不整合をモデルするために、提案された方法がどのようにロバストにされるかが示されうる。さらに、いくつかの可能性のある提案モデリングおよび回復アルゴリズムの拡張および概念が議論されうる。最後に、総合的シナリオおよび実用的シナリオの両方において提案スキームの性能を示すために、いくつかの数字的実験が行われうる。
【0036】
信号モデルおよび問題のステートメント
2つの信号x(t)およびx(t)が考慮されうる。ここで、x(t)は、信号x(t)のフィルタリングされたバージョンとして獲得されうる。特に、
【数1】

と想定されうる。ここで、
【数2】

【0037】
は、未知の遅延tk(k=1,...,K)と係数ck(k=1,...,K)を有する、K個のディラックのストリームである。方程式(1)で表された上記モデルは、様々な実用的アプリケーションにおいて、興味のある一組の信号間の相関を特徴付けることができる。例は、マルチパス伝播下での送信信号と受信信号との相関、または、単一のソースから成る単純な音響環境において、2つの近接するマイクロホンによって記録された信号の空間相関を含む。
【0038】
本開示のある態様について、方程式(1)によって与えられるモデルの有限次元の離散バージョンが研究される。図1は、連続時間のスパースフィルタリング動作およびその離散時間対応を示す。図1に示されるように、元の連続信号x1(t)が、帯域幅を[-σ,σ]に限定されていると仮定されうる。一定の時間インターバルTでのx(t)のサンプリングは、サンプルの離散数列
【数3】

【0039】
を引き起こす。ここで、サンプリングレート1/Tはナイキスト周波数σ/πよりも上に設定される。有限長信号を獲得するために、続いて、時間窓が無限数列
【数4】

【0040】
に適用され、下記が獲得されうる:
【数5】

【0041】
ここで、
【数6】

【0042】
は、長さNの滑らかな時間窓(例えば、周知のカイザウィンドウ)である。
【0043】
有限数列x1[n]の離散フーリエ変換が、
【数7】

【0044】
と表現されることは容易に検証されうる。ここで、
【数8】

【0045】
および
【数9】

【0046】
は、それぞれ、xs1およびwNの離散時間フーリエ変換である。Nが十分に大きい場合、
【数10】

【0047】
になるにつれて
【数11】

【0048】
がディラック関数δ(w)に近づくきうるため、ウィンドウィング効果が省略されうる。次に、方程式(3)から、
【数12】

【0049】
であることがわかる。ここで、
【数13】

【0050】
は、信号x1(t)の連続時間フーリエ変換であり、この等式はフーリエ領域における古典的なサンプリング公式によるものである。
【0051】
上記手順を信号x1(t)に適用し、方程式(1)からのモデルを使用すると、次が獲得されうる。
【数14】

【0052】
方程式(5)によって与えられる関連性は、有限長の信号x1[n]およびx2[n]が、離散時間フィルタリング動作の入力および出力として同様にほぼモデルされうることを示す。ここで、周波数領域における未知のフィルタH[m](時間領域における離散フィルタh[n])は元の連続フィルタh(t)についての全ての情報を含みうる。一般的に、方程式(5)からの位置パラメータtk(k=1,...,K)は任意の実数であり、結果として、離散時間フィルタh[n]は散在的(sparse)ではない。図1は、h[n]の典型的なインパルス応答を示す。しかしながら、サンプリングインターバルTが十分に小さい場合、実数値の遅延tk(k=1,...,K)がサンプリンググリッドに十分に近い、すなわち、いくつかの整数nk(k=1,...,K)の場合に
【数15】

【0053】
であると仮定されうる。この仮定のもとで、フィルタh[n]は、
【数16】

【0054】
と表されるK個の非ゼロ要素を有するスパースベクトルになりうる。
【0055】
興味のある信号は、
【数17】

【0056】
によって与えられる循環畳み込みを通して互いにリンクされうる2つのベクトル
【数18】

および
【数19】

【0057】
でありうる。ここで、
【数20】

【0058】
は未知のK−スパースのベクトルであり、
【数21】

【0059】
である。スタックベクトル
【数22】

【0060】
の表記法を使用することはしばしば有効である。そのコンポーネントx1およびx2がいくつかのK−スパースベクトルhに対して方程式(7)を満たすように、全てのスタックベクトルの集合はXで表現されうる。
【0061】
それぞれx1およびx2の線形測定値を使用する2つの独立したセンサによって分散方式で
【数23】

【0062】
をセンシングする問題が考慮されうる。測定行列は固定である(すなわち、これらの行列は入力信号で変化しない)。図2に示されるように、サンプリング行列Ai(i=1、2)を備えるi番目のセンサがxiのMi個の線形測定値を使用することが想定される。
【0063】
次に、
【数24】

【0064】
が書き込まれる。ここで、
【数25】

【0065】
は、i番目のセンサによって獲得されたサンプルのベクトルを表し、Aiは対応するサンプリング行列である。スタックベクトル
【数26】

【0066】
を考慮すると、
【数27】

【0067】
となる。ここで、
【数28】

【0068】
である。
【0069】
方程式(9)によって与えられる行列Aのブロック図の構造は、x1およびx2が個々に感知されうるという事実によるものであることに注意されたい。これは、x1およびx2が共に処理されるため、行列Aが任意の構造を有しうる集中型シナリオと対照的である。
【0070】
測定値y1およびy2は、
【数29】

【0071】
と与えられるいくつかの(おそらくは非線形の)マッピング
【数30】

【0072】
を通してベクトルxの再構築を試みる中央復号器に送信されうる。
【0073】
ここで、答えられるべき質問とは、どのサンプリングペア(M1,M2)の選択が、それらのサンプルから信号
【数31】

【0074】
の再構築を可能にするかということである。同様に、測定値の総数M1+M2を用いて、方程式(9)からの分散インフラストラクチャによって被る集中型シナリオよりも大きい損失が何であるか、および、計算的に有効な方法でそれらのサンプルから元の信号をどのように再構築するかを決定することは有益となりうる。
【0075】
上記質問は、まず、全ての信号を感知し再構築することが望まれる一般的な再構築の場合に答えられる。次に、回復不可能な信号が小さい集合(測定ゼロで)であるほぼ確実な再構築が考慮されうる。最後に、相殺フィルタに基づく、ロバストで計算的に有効なアルゴリズムが本開示で提案される。
【0076】
図3は、観察されたサンプルから信号を再構築するための例示的な動作300を示す。310において、2つの信号は独立して観察されうる。ここで、1つの信号は、方程式(1)によって定義されるように、未知のスパースフィルタの入力であり、もう1つの信号はその出力である。320において、両方の信号が観察されたサンプルから再構築されうる。観測されたサンプルからの信号の再構築という提案された方法が、元の信号の正確な再構築に要求されるサンプル数の下界についての解析と共に本開示に記述される。図3Aは対応する回路を示す。
【0077】
達成可能なサンプリングペアの境界
図4は、一般的な再構成のための達成可能なサンプリング領域、ほぼ確実な再構成のための達成可能なサンプリングペア、相殺フィルタに基づくほぼ確実な再構成についての達成可能なサンプリングペアを示す。A1およびA2を2つのセンサによって使用されるサンプリング行列とし、Aを方程式(9)で定義されるようなブロック対角行列とする。最初に、全ての「x∈X」がそのサンプリングデータAxによって一意的に決定されるように、それらの行列A1およびA2を見つけることに焦点を当てる。
【0078】
直感は、ベクトルx1とx2との相関により、全ての予想ベクトルxを完璧に記述するために要求されうるサンプルの最小数が、係数の総数2Nよりも少なくされうることを諭している。次の解析は、これがその状況ではないことを示している。
【0079】
サンプリングペア(M1,M2)は、M1≧NおよびM2≧Nである場合、および、そうであるときに限り、一般的な再構築について達成可能であることが述べられる。前のステートメントを証明するために、各々が方程式(7)によって与えられる相関モデルに従う2つのスタックベクトル
【数32】

【0080】
および
【数33】

【0081】
が考慮されうる。これらのスタックベクトルは次の形式で書かれうる:
【数34】

【0082】
ここで、CおよびC’は、第1列としてそれぞれベクトルhおよびh’を有する循環行列(circulant matrix)である。方程式(12)から、
【数35】

【0083】
が成り立つ。さらに、
【数36】

【0084】
が成り立つ。
【0085】
C-C’がフルランク(full rank)の場合、方程式(14)からの行列は階数2Nの性質を有する。これは、例えば、
【数37】

【0086】
および
【数38】

【0087】
の時に生じる。この場合、
【数39】

【0088】
は、
【数40】

【0089】
におけるあらゆる可能な値をとることができる。このように、行列Aがフルランクではない場合、同一の測定ベクトルを提供する、Aの零空間に違いがある2つの異なるベクトルxおよびx’が存在する。よって、方程式(11)で定義される集合が空になるための十分条件は、ブロック対角行列Aが、M≧2Nであり、フルランクのM×2N次元行列であることである。特に、行列A1およびA2は、M1,M2≧Nで、それぞれ、サイズM1×NおよびM2×Nのフルランク行列である必要がある。集中型シナリオにおいて、フルランク条件が、依然として少なくとも2N個の測定値を使用する要求をすることに注意されたい。
【0090】
一般的な再構築に対する上記結果の直接的な成り行きとして、各センサは、最適性を損失することなく、そのベクトルを個々に処理するだけである。特に、全ての観察された係数を送るという単純なストラテジは最適でありうる。さらに、考慮されたセットアップの分配性質に関連付けられたペナルティが存在しないことが前解析から観察されうる。換言すると、測定値の総数は、ベクトルx1およびx2が共に処理されたとしても、2Nよりも小さくなることはない。一般的なな再構築の場合の達成可能なサンプリングペアの領域はエリア410として図4に描写される。
【0091】
前解析で示されたように、一般的な回復は、既存の相関を活用することができない状態で、各センサにおいて少なくともN個のサンプルを獲得することを要求しうることから、満たすことが相当難しい要求である。しかしながら、多くの状況において、Xからのほぼ全ての信号の完璧な回復を可能にする測定行列を見つけることを目的としたより弱い要求を考慮することは十分である。よって、サンプリングペア(M1,M2)は、方程式(11)で定義されるような集合B(A1,A2)が確率ゼロになるように、固定の測定行列
【数41】

【0092】
および
【数42】

【0093】
がある場合、ほぼ確実な再構成について達成可能である。
【0094】
ほぼ確実な回復についての上記定義は、信号x1の確率分布およびスパースフィルタhに依存しうる。次の解析について、それは、信号x1およびフィルタhの非ゼロ係数が、それぞれ、
【数43】

【0095】
および
【数44】

【0096】
に対して非特異の確率分布を有さないと想定するのに十分である。次の解析は、ほぼ確実な再構成に必要とされうるサンプル数の達成可能性の境界を提供する。
【数45】

【0097】
且つ
【数46】

【0098】
ここで、
【数47】

【0099】
である場合、ほぼ確実な再構築ついてサンプリングペア(M1,M2)が達成可能であることが提示されうる。関係(15)の式を確立する詳細な解析は付録Aで見つけることができる。
【0100】
このように、一般的なシナリオとは対照的に、スパースフィルタによる信号間の相関が、特にK<<Nの場合に、ほぼ確実なセットアップにおいて顕著な救済を提供しうることが示されうる。サンプリングペアについてのこの達成可能な境界は図4において実線420で描写される。
【0101】
相殺フィルタに基づくほぼ確実な再構築
関係(15)において境界を獲得するアルゴリズムが性質的に組み合わせであるため、計算的に桁外れであることが付録Aの解析で示される。従って、新しい分散センシングアルゴリズムが相殺フィルタに基づいて提案される。このアルゴリズムは、ほぼ確実な再構築のための達成能力性の領域に関して、効果的にさらにK個の測定値を必要とするが、それは、
【数48】

【0102】
の多項式複雑性を提示しうる。
【0103】
雑音のないシナリオの場合、提案される分散センシングスキームは、入力信号の周波数領域表示に基づきうる。ベクトルx1およびx2のDFTは、それぞれ
【数49】

【0104】
および
【数50】

【0105】
によって表されることができる。方程式(7)における循環畳み込みは以下のように表される。
【数51】

【0106】
ここで、
【数52】

【0107】
は、フィルタhのDFTであり、
【数53】

【0108】
は要素毎の積(element-wise product)を表す。
【0109】
提案されるアプローチは2つの主要ステップを含みうる。第1のステップは、x1およびx2の最初のK+1個(1は実数であり、Kは複素数である)のDFT係数を送信することによってフィルタhを決定することである。第2のステップは、残りの周波数インデックスを、2つのセンサ間でそれらを共有することによって送信することである。
【0110】
中央復号器が、どのようにして、x1およびx2のK+1個のDFT係数だけを使用して未知のフィルタhをほぼ確実に回復することができるかが初めに示されうる。これは、相殺フィルタに基づくアプローチを使用して達成されうる。フィルタhのDFT係数は以下のように与えられうる:
【数54】

【0111】
方程式(17)によって決定される数列H[m]はK個の複素指数の合計を表し、その周波数は、フィルタの非ゼロ係数の位置nkによって決定されうる。度数Kとその根が
【数55】

【0112】
の場合に形式
【数56】

【0113】
であるフィルタA[m]によって、H[m]が相殺されることが示されうる。さらに詳細に、このフィルタの係数は、
【数57】

【0114】
すなわち、行列形式の
【数58】

【0115】
を満たしうる。
【0116】
方程式(19)の行列は、サイズがK×(K+1)であり、それは2K個の連続DFT係数から構築されうる。さらに、この行列が階数Kであり(詳しくは付録B参照)、よって、その零空間の次元が1であることが示されうる。このように、解法は、上記行列の零空間における任意のベクトルである。
【0117】
共役対称性により、方程式(19)の行列の係数が、X1[m]がm=0.1,...,Kの場合に非ゼロであることを条件に、
【数59】

【0118】
および
【数60】

【0119】
として計算されることに注意されたい。これは、例えば、x1の分布が非特異の場合に、ほぼ確実に生じうる。相殺フィルタの係数が獲得されると、未知の位置nkを検索することが可能である。次に、フィルタの重みckが、方程式(17)の線形システムによって回復されうる。
【0120】
上記考慮に基づいて、提案される分散センシングスキームは以下のように記述されうる。図15は、スパースフィルタリング動作とリンクされた信号を処理するための例示的な動作1500を示す。1510において、第1の信号および第2の信号は、第1の信号x1のサンプルおよび第2の信号x2のサンプルを獲得するためにサンプリングされうる。1520において、第1および第2の信号のDFT係数を獲得するために、離散フーリエ変換(DFT)が、第1および第2の信号のサンプルに実行されうる。1530において、第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個のDFT係数並びに第1および第2の信号の各々に対する残りのDFT係数の相補サブセットが復号器に送信されうる。ここにおいて、第1の信号はスパースフィルタの入力信号であり、第2の信号はスパースフィルタの出力信号であり、L≧Kであり、Kはスパースフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数である。
【0121】
図6は、相殺フィルタ技術に基づいて信号のセンシングおよび回復を実行するための例示的な動作600を示す。610において、復号器は、両方の信号センサから、図5に示されように最初のK+1個のDFT信号係数(それぞれ、2K+1個の実数)510を受信しうる。復号器は、また、図5に示されるように、残りのDFT係数(全部でN-2K-1個の実数)の相補サブセット(周波数インデックスを用いて)520を受信しうる。620において、復号器は、方程式(20)に従ってフィルタの2K個のDFT連続係数を計算しうる。630において、復号器は、方程式(17)〜(19)によって与えられる相殺フィルタ技術を使用してフィルタインパルス応答hを検索しうる。x1(またはx2)の欠落した周波数要素が、次に、640において、方程式(16)を使用し、x2(またはx1)の利用可能なDFT係数から再構築されうる。
【0122】
x2[m]からx1[m]を計算するために、フィルタH[m]の周波数要素が非ゼロである必要があることに注意されたい。これは、フィルタhの非ゼロ要素が、
【数61】

【0123】
における非特異分布に従って選択されるという想定を用いてほぼ確実に保証されうる。
【0124】
サンプリングペア(M1,M2)は、
【数62】

【0125】
および、
【数63】

【0126】
の場合に、効率的な相殺フィルタ方法を使用し、ほぼ確実な再構築について達成可能である。
【0127】
一般的な再構築とは対照的に、測定値の総実数は、図4の点線430で描写されるように、2NからN+2K+1へと減らされうる。図4の線420で表されるほぼ確実なセットアップに関する境界と比べてわずかに過剰にサンプリングしても、計算効率性における大きな利点は獲得されうる。
【0128】
相殺フィルタ方程式(19)は、O(K2)動作で解決することができる既知のユール-ウォーカシステム(Yule-Walker system)ある。非ゼロ係数の位置を見つけるために、相殺フィルタは因数分解される必要がある。フィルタの根は、O(KN)動作のChienの探索アルゴリズムによって見つけることができる。最後のステップにおいて、フィルタの非ゼロ係数の重みが、O(K2)動作を用いてバンデルモンドシステム(Vandermonde system)を解決することによって獲得されうる。K<<Nであるため、スパースフィルタの再構築複雑性全体はO(KN)である。
【0129】
雑音、あるいは、より一般的に、モデル不整合によって、前に議論された解法は、実際、あまり直接的に適用可能ではない。システムにロバスト性を加えることは、さらなる測定値を復号器に送信することを要求する。
【0130】
雑音のあるシナリオにおける再構築は、(19)の方程式のシステムを解決するために、全最小二乗(TLS)アプローチに基づきうる。TLS技術において、観察誤差が方程式のシステムの両側に存在しうることが想定されうる。このアプローチは、それが満たされるまで、方程式のシステムの両側を最小限に摂動させることによって、解法を見つけうる。TLSアプローチは特異値分解(SVD)を要求し、その解法は特異ベクトルから推定されうる。
【0131】
センシングアルゴリズムのロバスト性をさらに向上させるために、反復カゾウ法が利用されうる。図7は、相殺フィルタに基づく信号の反復のノイズ除去、感知、再構築のための例示的な動作700を示す。710において、センサiは、710において、L≧Kの場合に、xi(i=1,2)の最初のL+1個のDFT係数を復号器に送信しうる。720において、方程式(19)で与えられた形式の次元L×(L+1)の行列が、次に、これらの測定値から生成されうる。雑音がない場合、このフィルタ行列は、それが階数Kを有すこととと、それがテプリッツ行列でりうるという2つの重要な特性を有する。雑音がある場合、これらの2つの特性は反復的に実施されうる。反復は、フィルタ行列のK番目の特異値に対する(K+1)番目の特異値の比が既定の閾値εを下回る(すなわち、
【数64】

【0132】
である間、ここで、σkは、フィルタ行列のK番目の特異値である)場合にいつでも停止することができる。
【0133】
730において、フィルタ行列の階数Kは、L-K+1最小特異値をゼロに設定することによって実施されうる。740において、フィルタ行列のテプリッツ形式は対角線に沿って係数を平均化することにより実施されうる。上記手順は、望ましい特性を示し、フロベニウスノルム(Frobenius norm)の最初の騒音行列(noisy matrix)に最も近い行列に収束しうる。次に、フィルタのノイズ除去されたDFT係数が、750において、フィルタ行列の第1の行と第1の列から抽出されうる。760において、復号器は、方程式(17)〜(19)で与えられる相殺フィルタ技術を使用してフィルタインパルス応答hを検索しうる。x1(またはx2)の欠落した周波数要素は、次に、770において、方程式(16)を使用してx2(またはx1)の利用可能なDFT係数から再構築されうる。
【0134】
可能な拡張
本開示において、時間領域のスパースフィルタから成る相関モデルが考慮される。有限更新レート(finite rate of innovation)でサンプリング理論を信号に使用し、提案モデルは、区分的多項式フィルタおよび区分的帯域制限フィルタに拡張されうる。さらに、そのモデルは、任意の基準で疎表現を許可するフィルタまで拡張可能である。この場合、スパースフィルタのランダム周波数測定値を含むサンプルが送信されうる。次に、再構築は、O(N3)の複雑性を有するフィルタを回復するために、llベースの最小化に基づいて技術を利用する。フィルタが見つかると、2つのセンサは、それらの信号の残りの周波数インデックスの相補周波数情報を復号器に送信する。そのモデルを拡張する別の可能性は、行列ディクショナリにおいて疎表現を有する一般の線形変換を考慮することである。
【0135】
本開示の解析は、たった1つのスナップショットがセンシングおよび再構築に利用可能である単一フレームセットアップにおける分散センシングに基づく。しかしながら、それは、複数のフレームが利用可能であり、異なるフレーム内のスパースフィルタが結合スパースモデルを通して相関でありうる状況とみなされる。このシナリオにおいて、異なるフレーム内の基本K-スパースのフィルタ間の相関は、センシングおよび回復アーキテクチャにおいて活用されうる。これは、測定値の総数を減らすこと、あるいは、雑音とモデル不整合に対して再構築をよりロバストにすることを可能にする。再構築方法に基づく相殺フィルタで、異なるフレームのスパース信号間の相関をどのように使用するかが示されうる。llベースの回復方法に従ったランダム周波数測定値の場合において、異なる技術が、マルチフレームシナリオにおける潜在的な冗長を活用するために使用されうる。
【0136】
このように、本明細書において提供される技術は様々なアプリケーションにおいて利用されうる。ある態様について、本明細書において提示される技術は、本明細書において提供された技術を実行するための処理論理、および、再構築信号に基づいて可聴信号を生成するための要素を備えるヘッドホンまたは別のタイプのヘッドセット、および/または、再生のためにそのようなデバイスに送信されるべき信号を処理することができるマイクロホンに組み込まれうる。別のアプリケーションは、例えば、本明細書に提示された技術が、患者のバイタルサインを監視するためのセンサ、および、そのようなセンサからの読み取りを表示するためのユーザインターフェースを備えたモニタ機器のような医療機器に組み込まれる医療目的の適用を含む。
【0137】
数値実験
数値シミュレーションが、提案された相殺フィルタに基づくセンシングおよび回復スキームの有効性およびロバスト性を評価するために実行される。シミュレーションは3つの部分に分けられる。第1に、シミュレーションは、合成データおよび付加的白ガウス雑音を使用して実行される。次に、画像ソースモデルによって生成される音響の室内インパルス応答(RIR)を推定するために、提案されたセンシングおよび回復アルゴリズムが適用される。最後に、提案されたアルゴリズムの性能は、2つのヘッドホンまたは別のタイプのヘッドセット支援マイクロホンをセンサとして使用して音源を局所化することを目的とする分散オーディオ処理アプリケーションにおいて評価されうる。
【0138】
合成データに基づくシミュレーションについて、信号xが、長さN=256を有し、スパースフィルタがK=3または5個の非ゼロ係数を有すると仮定されうる。信号xの要素およびフィルタの非ゼロ係数は、分布N(0,1)で、独立同分布(i.i.d.)のランダム変数となるように選択されうる。フィルタhの非ゼロ係数の位置は一様に選択されうる。独立白ガウス雑音は、所望の信号対雑音比(SNR)を満たすためにフィルタに追加されうる。
【0139】
さらに、合成データに基づいたシミュレーションについて、第1のセンサが信号x1全体を送信すると仮定されうる。標準化された平均平方誤差(MSE)は、元の信号と再構築信号との差のl2ノルムとして計算され、元の信号のエネルギーの合計で除算され、50,000個以上の実現値にわたって平均化されうる。図8Aは、前に紹介されたカゾウのノイズ除去手順を用いて、あるいは、用いずに、TLSアプローチを使用して、信号の再構築上の標準化されたMSEをSNRの関数として示す。図8Aのプロットの異なる集合は、異なるオーバーサンプリング係数に対応する:L=K+1(プロット810および820)、K+4(プロット830および840)、およびK+12(プロット850および860)。
【0140】
要求された最低数よりもほんの少し多くの測定値を送信することにより、標準化されたMSEが著しく縮小されることが観察されうる。その上、提案された反復ノイズ除去手順によって提供される利得は、送信された係数の数が増加するにつれ、増加しうる。図8Bにおいて、信号次元の関数Nとして再構築誤差が示される。パラメータは、K=6、L=36、SNR=(25dB)に設定され、Nは、集合{128、256、384、512、768、1024}から値を取りうる。図8Bは、提案された反復ノイズ除去アルゴリズムの再構築性能に対する有効性を明白に示す。
【0141】
数値実験が、また、提案されたアルゴリズムを使用することによって、音響環境における室内インパルス応答を推定するために実行されうる。合成の室内インパルス応答が、既知の画像ソースモデル(ISM)によって生成されうる。このスキームは、考慮される環境において有効に記録されるであろう信号を生成するために使用されうる現実的なインパルス応答を提供する。
【0142】
セットアップが図9Aに示される。部屋910は、xr=5m、yr=4m、およびzr=3mの長さを有する。6つの壁全ての反射係数は0.6に設定される。音源912は、座標xs=2m、ys=2m、およびzs=1.5mに位置づけられる。マイクロホン914は、座標xm=4m、ym=3m、zm=1.5mに配置される。音速は、c=340m/sに設定され、サンプリング周波数はfs=16kHzである。RIR生成アルゴリズムは、フィルタのエネルギーコンテンツ全体が20dB(デシベル)単位分減るまで、反射を見つけるために設定される。さらに、RIR合成アルゴリズムは、全ての音響反響についての非整数の遅延の表示を可能にする分数遅延フィルタを利用する。150の反射から成る合成RIRは図9Bに示される。
【0143】
信号x1[n]は、分布N(0,1)のi.i.d.要素で構築されうる。拡声器を通してこれらの数列を送信する際の欠陥をシミュレートするために、25dBのSNRに達する目的で白ガウス雑音がそれに加算されうる。さらに、RIRを用いいてx1[n]の雑音バージョンを畳み込みとった後、別の雑音数列が、記録サンプル上でSNR=(25dB)を獲得するためにx2[n]に加算されうる。このように、実行されたシミュレーションは、実際のシナリオに近い。
【0144】
再構築位相において、第1の数列x1[n]は、回復システムに対して完全に利用可能であると仮定されうる。RIRを推定するために、K=12と設定し、x2[n]上の異なるオーバーサンプリング係数L=48、84、120および156はテストされうる。正確な反射遅延が実数値であるため、機械数値精度で根を探すために、相殺フィルタ方法に根発見部が設定されうる。このように、サンプリンググリッドに頼らなくても、提案されるアルゴリズムは正確な遅延を見つけることができる。元のRIR(すなわち、プロット1010)および再構築RIR(L=156、120、84および48に対してそれぞれプロット1020、1030、1040および1050)が図10に示される。より多くの測定値を使用すると、より品質の高い再構築に帰着することが視覚的に検証されうる。
【0145】
図11は、相殺フィルタ技術を使用して、元の合成RIRの初めの10個の最も強い反射の推定位置の平均誤差(サンプリング周期に標準化された)を示す。図11に表示された結果は、最も強い反射から始めて、正確な遅延に最も近い推定遅延を発見することにより獲得される。推定された遅延の各々と一致させた後に、その特定の推定遅延はリストから除かれ、プロセスは継続しうる。次に、誤差は、正確な値に関して、整合遅延の各々の位置で発見されうる。この誤差は、絶対誤差(ミリ秒の)をサンプル数の誤差に変換するためにサンプリング期間によって標準化される。その結果は500以上の試行に亘って平均化される。図11は、回復アルゴリズムの性能に対する、より高いオーバーサンプリングの影響を明白に示す。
【0146】
実用的なシミュレーションシナリオにおいて、それは、ユーザの左耳および右耳に装備された2つの補聴器によって記録された信号と考えられうる。2つの補聴器の信号がフィルタリング動作を通して関連付けられていると仮定されうる。このフィルタはバイノーラルフィルタと呼ばれうる。単一ソースが遠いフィールドにあり、反射と頭影影響を考慮しない場合、補聴器2で記録された信号は、単に補聴器1で観察された信号の遅延バージョンである。よって、バイノーラルフィルタは、スパース係数K=1を有すると仮定されうる。反射と頭影効果を考慮した場合、1つのマイクロホンから別のマイクロホンまでのフィルタは、もはや、散在的ではなく、それはモデル不整合を生じさせる。このモデル不整合に関わらず、主なバイノーラルの特徴が、少数の非ゼロ係数を有するフィルタで、依然として、よくキャプチャされうると仮定されうる。このように、2つの受信信号間の変換関数は、所望の相対遅延を示すメインピークを有する散在的でありうる。
【0147】
図12Aはオーディオ実験セットアップを示す。音響リサーチのためのノールズ電子マニキン(KEMAR)のマネキン1220の頭部から距離dに位置する単一の音源1210は、図12Bに示されるように、2つの角度αminとαmaxとの間を左右に移動する。ソース1210の角速度はωと表示される。音は、マネキン1220の耳に位置する2つの補聴器のマイクロホンによって記録されうる。補聴器2によって送信された制限データから、補聴器1において2つの補聴器間のバイノーラルフィルタを検索することが望まれる。次に、バイノーラルフィルタのメインピークは、ソースを局地化するために使用されうる、2つの受信信号間の相対遅延を示す。それに加えて、このバイノーラルフィルタの検索によって、補聴器1は、補聴器2での受信信号を発見することができる。音源の各位置で頭部伝達関数(HRTF)を獲得するために、高空間分解能HRTF測定値の公共データベースであるCIPIC(center for image processing integrated computing)HRTFデータベースが使用されうる。そのデータベースは、45個の異なる対象についての頭部インパルス応答の2500個の測定値を含む。
【0148】
バイノーラルインパルス応答を追跡するために、受信信号は、DFTフィルタバンクアーキテクチャでフレーム毎に処理される。このように、準スパースフィルタは、少しの測定値を備えた各フレームで計算され、それを1-スパースのフィルタとみなす。入力信号の短期フーリエ変換を獲得するために、DFTフィルタバンクの効率的な実行を可能にする加重オーバーラップ加算(WOLA)フィルタバンクが使用されうる。
【0149】
シミュレーションセットアップのパラメータは以下の通りである。音源は、高さ0で、頭部から距離d=1メートル前に離れた位置に配置される。それは、角速度ω=18deg/secで、
【数65】

【0150】

【数66】

【0151】
の間を移動する。音の全長は10秒である。フレーム毎の処理おいて、左右の耳に対するHRTFがデータベースから抽出される。次に、長さが1024の各フレームが、ハニング窓によってウィンドウ化され、左右の耳に対する受信信号を生成するためにインパルス応答によってフィルタリングされる。フレーム間のオーバーラップは、窓のサイズの半分に設定される。
【0152】
再構築位相上で、WOLAフィルタバンクアーキテクチャが使用される。この例示的な実施において、サンプリング周波数は16kHzに設定される。解析窓は、全体長1024のサンプルを与えるために、両側を64個のゼロでゼロパッド(zeropadded)したサイズ896サンプルのハニング窓である。各フレームにおいて、基本インパルス応答が、提案される分散アルゴリズムを使用して、2つの耳の間で推定されうる。2つの信号間の相対遅延を推定することが望まれるため、K=1が設定される。すなわち、たった1個のディラックのみを探す。システムのモデル不整合を克服するために、より多くの測定値が送信され、カゾウの反復ノイズ除去手順がTLS方法に続いて使用されうる。パラメータLは、フレーム長よりもはるかに小さい、集合L=5、10、15、20、25から選択される。これは、対応するバイノーラルフィルタのメインピークの位置を見ることにより、左の耳が各フレーム内の音源を局地化することを可能にする。さらに、それは、フレーム毎の再構築アプローチを使用して、右の耳で受信された信号を再構築することができる。
【0153】
再構築は、複数のフレームに沿った測定値を平均化することによって、雑音およびモデル不整合に対してよりロバストにされうる。ソースの角速度がフレーム長と比べて小さい場合、バイノーラルフィルタは、いくつかのフレームにわたってあまり急速には変化しない。指数加重平均化フィルタが、α=200msに等しい平均化定数を用いて、使用されうる。しかしながら、αに対して大きな値を設定することは、アルゴリズムのトラッキング機能を下げうる。
【0154】
図13Aは、例として、バイノーラルフィルタを示し、図13Bは、L=20個の測定値を使用した再構築アルゴリズムによって推定されるその近似値を1タップのフィルタとして示す。反射および頭影効果のため、バイノーラルフィルタは正確には散在的ではない。さらに、フレーム毎の処理は、バイノーラルフィルタをさらに歪める。そのため、オーバーアンプリングが、メインピークの位置についての近似を獲得するために優先的に使用される。
【0155】
図14A-14Fは、アルゴリズムの局所化パフォーマンスを実証する。図14Aは、ある時間にわたっての元のバイノーラルインパルス応答の進化を示す。図14B-14Fは、異なる数の測定値(それぞれ、L=5、10、15、20および25)を使用して、フィルタに対するスパース近似値を提示する。これは、再構築アルゴリズムのロバスト性に対するオーバーサンプリング係数の影響を明白に実証する。
【0156】
複数のソースが同時にアクティブな場合、バイノーラルフィルタはもはや散在的ではない。このように、提案されたスキームは直接的には適用することができない。可能性のある解法は、1つのソースだけが各サブバンドにおいてアクティブであると仮定されるサブバンドベースで提案されたスキームを適用することである。しかしながら、共役対称性を、もはや、2倍の量の連続周波数係数を獲得するために使用することは不可能である。さらに、オーバーサンプリング比は、係数の総数を一定に維持するために減らされなければいけない。しかしながら、これは、本開示の範囲外である。
【0157】
分散センサによって獲得された線形測定値に基づいて中央符号器で分散信号を回復するというタスクが、固定線形の測定構造を使用して、本開示で調査される。主に、2つの信号がスパース時間領域フィルタリング動作を通して関連付けられるシナリオに焦点が当てられる。このモデルの下では、一般的なストラテジおよびほぼ確実な再構築ストラテジが提案される。各ストラテジで必要な最低数についての達成可能性の境界が導かれ、一般的な回復においては、測定値の数を減らすために、フィルタのスパース性を使用できないことが示される。一方で、回復アルゴリズムを計算的に要求することによって、ほぼ確実なセットアップにおける測定値の数は、N-K分効果的に減らされうる。K<<Nであるため、これは測定値の数の大幅な減少となりうる。回復アルゴリズムの高い複雑性を克服するために、ロバストで、次適な分配センシングおよび回復スキームが、境界と比べて効率的にさらにK個の測定値を必要するが、複雑性がO(KN)である相殺フィルタに基づいて提案される。
【0158】
上に記述された方法の様々な動作は、対応する機能を実行することができる任意の適切な方法によって実行されうる。手段は、回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、あるいはプロセッサを含むがそれに制限されない様々なハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネントおよび/またはモジュールを含みうる。一般に、図に示された動作が存在する場合、それらの動作は、同様にナンバリングされた対応する方法および機能コンポーネントを有しうる。例えば、図3、6、7および15に示された610-640、710-770および1510-1530は、図3A、6A、7Aおよび15Aでそれぞれ示される回路ブロック310A-320A、610A-640A、710A-770Aおよび1510A-1530Aに対応する。
【0159】
本明細書で使用されるように、「決定する」という用語は多種多用な動作を包含する。例えば、「決定する」は、計算する、算出する、処理する、引き出す、調査する、ルックアップする(例えば、表、データベース、または別のデータ構造をルックアップする)、確かめる、および同様のものを含みうるさらに、「決定する」は、受信する(例えば、情報を受信する)、アクセスする(例えば、メモリ中のデータにアクセスする)、および同様のものを含みうる。さらに、「決定する」は、解決する、選択する、選ぶ、確立する、および同様のものを含みうる。
【0160】
上に記述された方法の様々な動作は、様々なハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネント、回路、および/または、モジュールのように、動作を実行することができる任意の適切な方法によって実行されうる。一般的に、図に示された任意の動作は、その動作を実行することができる、対応する機能的な方法によって実行されうる。
【0161】
本開示と関連して記述される様々な実例となる論理、論理ブロック、モジュール、回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向けIC(ASIC)、書替え可能ゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブル論理デバイス(PLD)、ディスクリートゲートまたはトランジスタ論理、ディスクリートハードウェアコンポーネント、もしくは本明細書に記述された機能を実行するように設計されたこれらの任意の組み合わせと一緒に実施または実行されうる。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであるが、代替で、プロセッサは、商業上入手可能なプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンでありうる。プロセッサは、また、例えば、DSPとマクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに結合した1つ以上のマイクロプロセッサ、その他の上記構成の組み合わせといった計算デバイスの組み合わせとしても実施されうる。
【0162】
本開示に関して示される方法またはアルゴリズムのステップは、直接的にハードウェアに、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールに、またはそれら二つの組み合わせに組み込まれうる。ソフトウェアモジュールは本技術分野において周知の記憶媒体の他の形態に存在しうる。使用されうる記憶媒体のいくつかの例は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROMなどを含む。ソフトウェアモジュールは、単一の命令または多数の命令を備えることができ、いくつかの異なるコードセグメントにわたって、異なるプログラム間で、そして、複数の記憶媒体をまたいで分散されうる。記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書かれうるようにプロセッサに結合されうる。代替において、記憶媒体はプロセッサに一体化される。
【0163】
本明細書に開示された方法は、上記方法を達成するための1つ以上のステップまたは動作を備える。方法のステップおよび/または動作は、特許請求の範囲から逸脱することなく互いに交換可能である。換言すると、ステップまたは動作の特定の順序が特定されていない限り、特定のステップおよび/または動作の順序および/または使用は、特許請求の範囲から逸脱することなく変更されうる。
【0164】
記述された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアあるいはそれの任意の組み合わせで実施されうる。ソフトウェアで実施される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令として、記憶されうる。記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体でありうる。それに限定されない例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMまたは他の光学ディスクストレージ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気ストレージデバイス、あるいは、所望のプログラムコードを命令の形態またはデータ構造で搬送または記憶するために使用され、且つ、コンピュータによってアクセスされることができる任意の別媒体も備えることができる。ディスク(disk)とディスク(disc)は、本明細書で使用されているように、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスクを含む。ディスク(disk)は通常磁気作用によってデータを再生し、ディスク(disc)はレーザーで光学的にデータを再生する。
【0165】
このように、ある態様は、本明細書に提示された動作を実行のためのコンピュータプログラム製品を備えうる。例えば、そのようなコンピュータプログラム製品は、その上に記憶(および/または、符号化)された命令を有するコンピュータ可読媒体を備え、その命令は、本明細書に記述された動作を実行するために、1つ以上のプロセッサによって実行可能である。ある態様について、コンピュータプログラム製品はパッケージ材料を含みうる。
【0166】
ソフトウェアまたは命令も送信媒体を通して送信されうる。例えば、例えば、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、撚線対、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外線、無線、マイクロ波などの無線テクノロジを使用してウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースからソフトウェアが送信されると、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、撚線対、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外線、無線、マイクロ無線などの無線テクノロジは媒体の定義に含まれる。
【0167】
さらに、本明細書に記述された方法および技術を実行するためのモジュールおよび/または他の適切な手段が、適用可能な場合に、その及び/またはそうでなければダウンロードされ、および/または、ダウンロードされない場合はユーザ端末および/または基地局によって獲得されうることは認識されるべきである。例えば、そのようなデバイスは、本明細書に記述された方法を実行するための手段の移送を容易にするためにサーバに結合されうる。あるいは、本明細書に記述された様々な方法は、記憶手段(例えば、RAM、ROM、コンパクトディスク(CD)またはフロッピーディスクのような物理記憶媒体等)を介して提供されうるため、ユーザ端末および/または基地局は、デバイスに記憶手段を結合または提供することで様々な方法を獲得することができる。さらに、本明細書に記述される方法および技術をデバイスに提供するためのあらゆる適切な別の技術が利用されうる。
【0168】
特許請求の範囲が、上に示された通り設定およびコンポーネントに限定されていないことは理解されるべきである。様々な修正、変更、および変形が、特許請求の範囲から逸脱することなく、上述された方法および装置の配置、動作、細部に行われうる。
【0169】
付録A−ほぼ確実な再構築についての達成可能な境界
ほぼ確実な再構築についての達成可能性の結果がこの付録で示される。S(A)と表される行列Aのスパークは、AのL個の列からなる全てのサブグループが線形独立となるような最大の整数Lと定義されうる。少なくともK+1のそのスパークを有する測定行列を使用して、K+1個の測定値だけでK−スパースの信号をほぼ確実に再構築することが可能であることが示されうる。証明は以下の記述に続く。さらに、
【数67】

【0170】
を、
【数68】

【0171】
における非特異分布から選択された非ゼロ係数を有するK−スパースのベクトルとする。加えて、Aを、S(A)≧K+1を満たすN列を有する行列とする。次に、ほぼ確実に、スパースベクトルhは測定値y=Ahから再構築されうる。
【0172】
組み合わせの探索アルゴリズムは、全ての可能性のある
【数69】

【0173】
個のサブスペースを通過し、測定ベクトルyがどれに属するかをチェックする。I’を、濃度Kの、Iとは異なるインデックスの任意の別集合とする。
【数70】

【0174】
であるため、2つのサブスペースAIおよびAI′の和集合の大きさは下記を満たす。
【数71】

【数72】

【0175】
であることが容易に検証されうる。その間、
【数73】

【0176】
であるため、
【数74】

【0177】
が成り立つ。
【0178】
他方で、AIの列の線形の独立性およびhの非ゼロ要素の非特異確立分布はAI上の非特異分布に帰着する。よって、Kよりも少ない大きさのこの交差集合は、AIにおいて、全体の確率がゼロである。サブスペースの数が有限でありうるため、任意の別のサブスペースI´にも存在しうるAIにおける地点の集合の全体の確率はゼロでありうる。このように、測定値yとスパースベクトルhとの間にほぼ確実に1対1の関係が存在する。一般的に、回復アルゴリズムは、
【数75】

【0179】
個の可能なサブスペース全てを隅々まで探索し、測定ベクトルyがどれに属するかをチェックする必要がある。このように、回復アルゴリズムは性質上組み合わせられており、計算上桁外れである。
【0180】
ほぼ確かな再構築についての達成可能性の結果を証明するために、センシングおよび回復アーキテクチャが2つの部分に分けられうる。第1に、2つのセンサが、基本K-スパースのフィルタhを見つけるために、復号器に周波数測定値を送信しうる。固定値NおよびKについて、この部分の構造は、達成可能性の領域内で測定値の数M1およびM2に異なる値を選択することによっては変化しない。第2に、センサは、2つの信号xおよびxを構築するために使用されるべきDFT係数の相補サブセットを送信しうる。センサは、要求レートM1およびM2に到達するために、線形測定値のこの部分上におけるそれらの役割を調節しうる。達成可能性の結果は、Kが偶数であるか奇数であるかに応じて、2つの異なるシチュエーションで示されうる。
【0181】
まず、Kが奇数の場合、サイズ
【数76】

【0182】
の行列Mは次のように定義されうる:
【数77】


【数78】

【0183】
および
【数79】

【0184】
と表わされる2つの測定値の集合は、
【数80】

【0185】
によって与えられる。ここで、FはサイズN×NのDFT行列である。方程式(27)の実測定値の数は、各センサに対してK+2であり、それは、実際のDCコンポーネント1つに(K+1)/2個の複素周波数コンポーネントを加えたものから構成される。
【0186】
スパースフィルタhを再構築するために、中央復号器は、インデックス領域
【数81】

【0187】
において、hの連続周波数コンポーネントを計算することができる。これは、方程式(27)の測定値の2つの集合をインデックス毎に除算し、実際の数列のフーリエ変換の複素共役性を利用することによって行われうる。分母が0でない限り、この除算が可能であることに注意されたい。これは、
【数82】

【0188】
における非特異分布から描かれる信号xに対してほぼ確実に保証されうる。実際、xの周波数コンポーネントが領域Sにおいて非ゼロであることが要求されうる。行列形式において、次が獲得されうる:
【数83】

【0189】
ここで、Hは、Sで与えられた領域におけるhのフーリエ変換である。行列Wは、集合Sのインデックスに対応する、DFT行列の(K+2)個の連続する行から成るサイズ(K+2)×Nのバンデルモンドシステムである。このように、バンデルモンド行列の特性によって、次が獲得されうる:
【数84】

【0190】
hの非ゼロ要素が、
【数85】

【0191】
における非特異分布を満たすしうることに注意されたい。このように、
【数86】

【0192】
および
【数87】

【0193】
からK−スパースのフィルタhをほぼ確実に見つけることが可能である。
【0194】
センサは、それらの信号x1およびx2の残りの周波数情報の相補サブセットを復号器に送信することができる。信号xi(i=1,2)のうちの1つについての周波数情報へのアクセスを有することによって、復号器は、既知フィルタhの助けを借りて、別のシーケンスの周波数コンテンツを獲得するために、地点毎の関係性(point-wise relationship)
【数88】

【0195】
を利用しうる。hの非ゼロ要素が、
【数89】

【0196】
における非特異分布を満たすため、フィルタの周波数コンポーネントがほぼ確実に全て非ゼロでありうることに注意されたい。このように、X1[m]からX2[m]を見つけることは可能であり、その逆も同様である。2つのセンサは、達成可能性領域上の任意の地点に到達するために、残りの周波数インデックスを共有することができる。方程式(30)によって、復号器が、別の数列X1[m]の虚部(実部)を知ることによって、X2[m]の実部(虚部)を計算できること、さらに、その逆も同様であることに注意されたい。これは、方程式(30)の実部および虚部を均等にし、方程式の線形システムを解決することにより達成される。
【0197】
このように、各センサは、基本スパースフィルタhをほとんど確実に見つけるために、復号器にK+2個の実際の測定値を送信することができる。さらに、センサは補足的な情報を復号器に送信することができる。これは、センサが
【数90】

【0198】
および
【数91】

【0199】
によって与えられたサンプリングペアを選択できることを示しうる。ゆえに、上に記述されたアルゴリズムは、前に定義された達成可能性の領域上の任意の地点に到達することができる。
【0200】
同一の測定および再構築の技術が、Kが偶数の場合に適用されうる。しかしながら、この場合、K−スパースのフィルタhは、K+2個の測定値ではなく、K+1個の実測定値から見つけられうる。これは、
【数92】

【0201】
より与えられる、サイズ
【数93】

【0202】
の行列Mに対応しうる。
【0203】
このように、Kが偶数の場合、次が満たされる必要がある。
【数94】

【0204】
且つ
【数95】

【0205】
付録B−階数特性の派生物
この付録において、K個の指数の合計から成る信号によって構築されたテプリッ行列の階数の特性が調査される。この行列の行数と列数がKより大きいかKに等しい場合は常に、その階数がKであるでことが示されうる。
【0206】
位置ni(i=1,...,K)においてK個の非ゼロ係数αi(i=1,...,K)を有する長さNの数列hが想定される。hの
【数96】

【0207】
個の連続周波数サンプル(インデックスP-Lから開始する)は次によって与えられる:
【数97】

【0208】
ここで、
【数98】

【0209】
であり、
【数99】

【0210】
である。サイズが
【数100】

【0211】
のテプリッツ行列Hは次のように構築されうる:
【数101】

【0212】
Hの階数がKであることを示すために、行列Hは、次の積として書かれうる:
【数102】

【0213】
ここで、方程式(35)からの3つの行列が下記によって与えられる。
【数103】

【数104】

【0214】
および
【数105】

【0215】
行列UおよびVは、階数Kのバンデルモンド行列である。このように、Cの対角線要素が非ゼロであるため、行列Hは階数Kの性質を持つ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の信号が第2の信号に未知のフィルタでリンクされている一組の信号を再構築するための方法であって、該方法は下記を備える:
前記第1の信号の第1のサンプルを第1のセンサを用いて観察すること;
前記第2の信号の第2のサンプルを第2のセンサを用いて観察すること;および
前記第1のサンプルおよび第2のサンプルから前記第1の信号および第2の信号をほぼ確実に再建築するために、前記第1および第2の信号がフィルタによってリンクされているという知識を利用すること。
【請求項2】
請求項1に記載の方法、ここにおいて、
前記観察される第1および第2のサンプルの数は、ナイキスト関係式によって与えられるサンプルの最小数よりも少ない。
【請求項3】
さらに下記を備える、請求項2に記載の方法:
前記第1および第2の信号のDFT係数を獲得するために、離散フーリエ変換(DFT)を前記第1および第2の信号のサンプルに実行すること。
【請求項4】
さらに下記を備える、請求項3に記載の方法:
K+1個の前記DFT係数と相殺フィルタ技術とを使用して前記未知のフィルタをほぼ確実に回復すること。
【請求項5】
さらに下記を備える、請求項1に記載の方法:
第1および第2の信号の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信すること、なお、前記DFT係数は、前記第1および第2の信号の各々に対してK+1個の係数と、前記第1および第2の各々に対して残りのDFT係数の相補サブセットとを含む、
前記受信された第1および第2の信号のDFT係数と相殺フィルタ技術とを使用してフィルタ行列の2K個の連続DFT係数を計算すること、ここにおいて、前記行列はテプリッツ行列であり、階数Kを有する;
前記計算された2K個のDFT係数を使用して前記フィルタのインパルス応答を獲得すること、ここにおいて、Kは、前記フィルタの前記インパルス応答の非ゼロ要素の数である;
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第2の信号のDFT係数とを使用して前記第1の信号を再構築すること;および、
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第1の信号のDFT係数とを使用して前記第2の信号を再構築すること。
【請求項6】
第1の信号が第2の信号に未知のフィルタでリンクされている一組の信号を再構築するための装置であって、該装置は下記を備える:
前記第1の信号の第1のサンプルを観察するように構成された第1の受信機;
前記第2の信号の第2のサンプルを受信するように構成された第2の受信機;および
前記第1のサンプルおよび第2のサンプルから前記第1の信号および第2の信号をほぼ確実に再構築するように構成された再構築回路、ここにおいて、前記再構築回路は、第1および第2の信号がフィルタによってリンクされているという知識を利用する。
【請求項7】
請求項6に記載の装置、ここにおいて、
観察される第1および第2のサンプルの数は、ナイキスト関係によって与えられるサンプルの最小数よりも少ない。
【請求項8】
さらに下記を備える、請求項7に記載の装置:
前記第1および第2の信号のDFT係数を獲得するために、離散フーリエ変換(DFT)を前記第1および第2の信号のサンプルに実行するように構成された計算機。
【請求項9】
さらに下記を備える、請求項8に記載の装置:
K+1個の前記DFT係数を使用して前記未知のフィルタをほぼ確実に回復するように構成された回路、なお、前記回路は、前記フィルタを回復するために相殺フィルタ技術を使用する計算機を備える。
【請求項10】
さらに下記を備える、請求項6に記載の装置:
第1および第2の信号の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信するように構成された受信機、なお、前記DFT係数は、前記第1および第2の信号の各々に対してK+1個の係数と、前記第1および第2の各々に対して残りのDFT係数の相補サブセットとを含む、
前記受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用してフィルタ行列の2K個の連続DFT係数を計算するように構成された計算機、ここにおいて、前記行列はテプリッツ行列であり、階数Kを有する;
前記計算された2K個のDFT係数を使用して前記フィルタのインパルス応答を獲得するように構成された回路、ここにおいて、Kは、前記フィルタの前記インパルス応答の非ゼロ要素の数である;
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第2の信号のDFT係数とを使用して前記第1の信号を再構築するように構成された回路;および、
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第1の信号のDFT係数とを使用して前記第2の信号を再構築するように構成された回路。
【請求項11】
信号処理のための方法であって、該方法は下記を備える:
第1および第2の信号の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信すること、なお、前記DFT係数は、前記第1および第2の信号の各々に対してK+1個の係数と、前記第1および第2の信号の各々に対して残りのDFT係数の相補サブセットとを含む、;
前記受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用してフィルタ行列の2K個の連続DFT係数を計算すること;
前記計算された2K個のDFT係数を使用して前記フィルタのインパルス応答を獲得すること、ここにおいて、Kは、前記フィルタの前記インパルス応答の非ゼロ要素の数である;
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第2の信号のDFT係数とを使用して前記第1の信号を再構築すること;および、
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第1の信号のDFT係数とを使用して前記第2の信号を再構築すること。
【請求項12】
請求項11に記載の方法、ここにおいて、
前記第1および第2の信号は前記フィルタによってリンクされている。
【請求項13】
請求項12に記載の方法、ここにおいて、
前記行列は階数Kを有する。
【請求項14】
請求項13に記載の方法、ここにおいて、
前記行列はテプリッツ行列である。
【請求項15】
請求項11に記載の方法、ここにおいて、
前記フィルタは区分的多項式フィルタを備える。
【請求項16】
請求項11に記載の方法、ここにおいて、
前記フィルタは、区分的帯域制限フィルタを備える。
【請求項17】
信号処理のための装置であって、該装置は下記を備える:
第1および第2の信号の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信するように構成された受信機、なお、前記DFT係数は、前記第1および第2の信号の各々に対してK+1個の係数と、前記第1および第2の信号の各々に対して残りのDFT係数の相補サブセットとを含む、;
前記受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用してフィルタ行列の2K個の連続DFT係数を計算するように構成されたコンピュータ;
前記計算された2K個のDFT係数を使用して前記フィルタのインパルス応答を獲得するように構成された計算機、ここにおいて、Kは、前記フィルタの前記インパルス応答の非ゼロ要素の数である;
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第2の信号のDFT係数とを使用して前記第1の信号を再構築するように構成された第1の再構築回路;および、
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第1の信号のDFT係数とを使用して前記第2の信号を再構築するように構成された第2の再構築回路。
【請求項18】
請求項17に記載の装置、ここにおいて、
前記第1および第2の信号は前記フィルタによってリンクされている。
【請求項19】
請求項18に記載の装置、ここにおいて、
前記行列は階数Kを有する。
【請求項20】
請求項19に記載の装置、ここにおいて、
前記行列はテプリッツ行列である。
【請求項21】
請求項17に記載の装置、ここにおいて、
前記装置はヘッドセットである。
【請求項22】
請求項17に記載の装置、ここにおいて、
前記装置は、患者のバイタルサインを監視するためのモニタである。
【請求項23】
請求項17に記載の装置、ここにおいて、
前記フィルタは区分的多項式フィルタを備える。
【請求項24】
請求項17に記載の装置、ここにおいて、
前記フィルタは、区分的帯域制限フィルを備える。
【請求項25】
信号処理のための装置であって、該装置は下記を備える:
第1および第2の信号の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信するための手段、なお、前記DFT係数は、前記第1および第2の信号の各々に対してK+1個の係数と、前記第1および第2の信号の各々に対して残りのDFT係数の相補サブセットとを含む、;
前記受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用してフィルタの2K個の連続DFT係数を計算するための手段;
前記計算された2K個のDFT係数を使用して前記フィルタのインパルス応答を獲得するための手段、ここにおいて、Kは、前記フィルタの前記インパルス応答の非ゼロ要素の数である;
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第2の信号のDFT係数とを使用して前記第1の信号を再構築するための手段;および、
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第1の信号のDFT係数とを使用して前記第2の信号を再構築するための手段。
【請求項26】
請求項25に記載の装置、ここにおいて、
前記フィルタは区分的多項式フィルタを備える。
【請求項27】
請求項26に記載の装置、ここにおいて、
前記フィルタは、区分的帯域制限フィルを備える。
【請求項28】
コンピュータ可読媒体を備える信号処理のためのコンピュータプログラム製品であって、該コンピュータ可読媒体は下記命令を備える:
第1および第2の信号の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信するために実行可能な命令、なお、前記DFT係数は、前記第1および第2の信号の各々に対してK+1個の係数と、前記第1および第2の信号の各々に対して残りのDFT係数の相補サブセットとを含む、;
前記受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用してフィルタの2K個の連続DFT係数を計算するために実行可能な命令;
前記計算された2K個のDFT係数を使用して前記フィルタのインパルス応答を獲得するために実行可能な命令、ここにおいて、Kは、前記フィルタの前記インパルス応答の非ゼロ要素の数である;
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第2の信号のDFT係数とを使用して前記第1の信号を再構築するために実行可能な命令;および、
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第1の信号のDFT係数とを使用して前記第2の信号を再構築するために実行可能な命令。
【請求項29】
下記を備えるヘッドセット:
第1および第2の信号の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信するように構成された受信機、なお、前記DFT係数は、前記第1および第2の信号の各々に対してK+1個の係数を、前記第1および第2の信号の各々に対して残りのDFT係数の相補サブセットを含む、;
前記受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用してフィルタの2K個の連続DFT係数を計算するように構成されたコンピュータ;
前記計算された2K個のDFT係数を使用して前記フィルタのインパルス応答を獲得するように構成された計算機、ここにおいて、Kは、前記フィルタの前記インパルス応答の非ゼロ要素の数である;
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第2の信号のDFT係数とを使用して前記第1の信号を再構築するように構成された第1の再構築回路;
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第1の信号のDFT係数とを使用して前記第2の信号を再構築するように構成された第2の再構築回路;および、
前記再構築された第1および第2の信号に基づいてオーディオ出力を提供するように構成されたトランスデューサ。
【請求項30】
患者のバイタルサインを監視するためのモニタであって、該モニタは下記を備える:
第1および第2の信号の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信するように構成された受信機、なお、前記DFT係数は、前記第1および第2の信号の各々に対してK+1個の係数と、前記第1および第2の信号の各々に対して残りのDFT係数の相補サブセットとを含む、;
前記受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用してフィルタの2K個の連続DFT係数を計算するように構成されたコンピュータ;
前記計算された2K個のDFT係数を使用して前記フィルタのインパルス応答を獲得するように構成された計算機、ここにおいて、Kは、前記フィルタの前記インパルス応答の非ゼロ要素の数である;
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第2の信号のDFT係数とを使用して前記第1の信号を再構築するように構成された第1の再構築回路;
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第1の信号のDFT係数とを使用して前記第2の信号を再構築するように構成された第2の再構築回路;および、
前記再構築された第1および第2の信号から導かれた前記患者のバイタルサインに関するパラメータを表示するためのユーザインターフェース。
【請求項31】
信号処理するための方法であって、該方法は下記を備える:
第1および第2の信号のサンプルを獲得するために、前記第1および第2の信号をサンプリングすること;
、前記第1および第2の信号のDFT係数を獲得するために、離散フーリエ変換(DFT)を前記第1および第2の信号のサンプルに実行すること;
前記第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個のDFT係数と、前記第1および第2の信号の各々に対する残りのDFT係数の相補サブセットとを送信すること;
ここにおいて、前記第1の信号は、スパースフィルタの入力であり、前記第2の信号は、前記スパースフィルタの出力であり、L≧Kであり、Kは前記スパースフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数である。
【請求項32】
さらに下記を備える、請求項31に記載の方法:
ウィンドウ動作を前記第1および第2の信号のサンプルに実行すること。
【請求項33】
請求項32に記載の方法、ここにおいて、
前記第1の信号M1のサンプル数および前記第2の信号M2のサンプル数は、前記第1および第2の信号のほぼ確実な再構築のために下記条件を満たす:
【数1】

および
【数2】

ここで、Nは、前記ウィンドウ動作後の前記第1および第2の信号のサンプル数であり、min{}関数は2つの数うち小さい方の数を検索する;
ここにおいて、前記第1および第2の信号のほぼ確実な再構築は、前記第1および第2の信号の同一サンプルが使用される場合、前記2つの再構築された信号が異なる確立がゼロであることを確実にする。
【請求項34】
請求項33に記載の方法、ここにおいて、
前記第1の信号のサンプル数M1および前記第2の信号のサンプル数M2は、前記第1および第2の信号の一般的な再構築のために下記条件を満たす:
【数3】

ここで、Nは、前記ウィンドウ動作後の前記第1および第2の信号のサンプル数である;
ここにおいて、前記第1および第2の信号の一般的な再構築は、前記第1および第2の信号の同一サンプルが使用されればいかなる場合でも、前記2つの再構築された信号が異なりえないことを確実にする。
【請求項35】
請求項31に記載の方法、ここにおいて、
前記第1および第2の信号をサンプリングすることは、前記第1および第2の信号の1つ以上のフレームをサンプリングすることを備える。
【請求項36】
信号処理するための装置であって、該装置は下記を備える:
前記第1および第2の信号のサンプルを獲得するために、第1および第2の信号をサンプリングするように構成されたサンプラ;
前記第1および第2の信号のDFT係数を獲得するために、離散フーリエ変換(DFT)を前記第1および第2の信号のサンプルに実行するように構成された第1の回路;
前記第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個のDFT係数と、前記第1および第2の信号の各々に対する残りのDFT係数の相補サブセットとを送信するように構成された送信機;
ここにおいて、前記第1の信号は、スパースフィルタの入力であり、前記第2の信号は、前記スパースフィルタの出力であり、L≧Kであり、Kは前記スパースフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数である。
【請求項37】
さらに下記を備える、請求項36に記載の記載:
ウィンドウ動作を前記第1および第2の信号のサンプルに実行するように構成された第2の回路。
【請求項38】
請求項37に記載の装置、ここにおいて、
前記第1の信号のサンプル数M1および前記第2の信号のサンプル数M2は、前記第1および第2の信号のほぼ確実な再構築のために下記条件を満たす:
【数4】

および
【数5】

ここで、Nは、前記ウィンドウ動作後の前記第1および第2の信号のサンプル数であり、min{}関数は2つの数うち小さい数の方を検索する;
ここにおいて、前記第1および第2の信号のほぼ確実な再構築は、前記第1および第2の信号の同一サンプルが使用される場合、前記2つの再構築された信号が異なる確立がゼロであることを確実にする。
【請求項39】
請求項37に記載の装置、ここにおいて、
前記第1の信号のサンプル数M1および前記第2の信号のサンプル数M2は、前記第1および第2の信号の一般的な再構築のために下記条件を満たす:
【数6】

ここで、Nは、前記ウィンドウ動作後の前記第1および第2の信号のサンプル数である;および
ここにおいて、前記第1および第2の信号の一般的な再構築は、前記第1および第2の信号の同一サンプルが使用されればいかなる場合でも、前記2つの再構築された信号が異なりえないことを確実にする。
【請求項40】
請求項36に記載の装置、ここにおいて、
前記第1および第2の信号をサンプリングするように構成されたサンプラは、前記第1および第2の信号の1つ以上のフレームをサンプリングするように構成された回路を備える。
【請求項41】
信号処理するための装置であって、該装置は下記を備える:
第1および第2の信号のサンプルを獲得するために、前記第1および第2の信号をサンプリングするための手段;
前記第1および第2の信号のDFT係数を獲得するために、離散フーリエ変換(DFT)を前記第1および第2の信号のサンプルに実行するための手段;および
前記第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個のDFT係数と、前記第1および第2の信号の各々に対する残りのDFT係数の相補サブセットとを送信するための手段;
ここにおいて、前記第1の信号は、スパースフィルタの入力であり、前記第2の信号は、前記スパースフィルタの出力であり、L≧Kであり、Kは前記スパースフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数である。
【請求項42】
さらに下記を備える、請求項41に記載の装置:
ウィンドウ動作を前記第1および第2の信号のサンプルに実行するための手段。
【請求項43】
請求項42に記載の装置、ここにおいて、
前記第1の信号のサンプル数M1および前記第2の信号のサンプル数M2は、前記第1および第2の信号のほぼ確実な再構築のために下記条件を満たす:
【数7】

および
【数8】

ここで、Nは、前記ウィンドウ動作後の前記第1および第2の信号のサンプル数であり、min{}関数は2つの数うち小さい数の方を検索する;および、
ここにおいて、前記第1および第2の信号のほぼ確実な再構築は、前記第1および第2の信号の同一サンプルが使用される場合、前記2つの再構築された信号が異なるという可能性がゼロであることを確実にする。
【請求項44】
請求項42に記載の装置、ここにおいて、
前記第1の信号のサンプル数M1および前記第2の信号のサンプル数M2は、前記第1および第2の信号の一般的な再構築のために下記条件を満たす:
【数9】

ここで、Nは、前記ウィンドウ動作後の前記第1および第2の信号のサンプル数である;および
ここにおいて、前記第1および第2の信号の一般的な再構築は、前記第1および第2の信号の同一サンプルが使用されればいかなる場合でも、前記2つの再構築された信号が異なりえないことを確実にする。
【請求項45】
請求項41に記載の装置、ここにおいて、
前記第1および第2の信号をサンプリングするための手段は、前記第1および第2の信号の1つ以上のフレームをサンプリングするための手段を備える。
【請求項46】

コンピュータ可読媒体を備える信号処理のためのコンピュータプログラム製品であって、該コンピュータ可読媒体は下記命令を備える:
第1および第2の信号をサンプリングし、前記第1および第2の信号のサンプルを獲得するために実行可能な命令;
離散フーリエ変換(DFT)を前記第1および第2の信号のサンプルに実行し、前記第1および第2の信号のDFT係数を獲得するために実行可能な命令;および相補サブセット
前記第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個のDFT係数と、前記第1および第2の信号の各々に対する残りのDFT係数とを送信するために実行可能な命令;
なお、前記第1の信号は、スパースフィルタ内の入力であり、前記第2の信号は、前記スパースフィルタの出力であり、L≧Kであり、Kは前記スパースフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数である。
【請求項47】
下記を備えるセンシングデバイス:
第1および第2の信号のサンプルを獲得するために、前記第1および第2の信号をサンプリングするように構成されたサンプラ;
前記第1および第2の信号のDFT係数を獲得するために、離散フーリエ変換(DFT)を前記第1および第2の信号のサンプルに実行するように構成された第1の回路;
前記第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個のDFT係数と、前記第1および第2の信号の各々に対する残りのDFT係数の相補サブセットとを送信するように構成された送信機;および、
前記送信機を介して送信されるべきデータを提供するように構成されたセンサ;
ここにおいて、前記第1の信号は、スパースフィルタの入力であり、前記第2の信号は、前記スパースフィルタの出力であり、L≧Kであり、Kは前記スパースフィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数である。
【請求項48】
信号処理するための方法であって、該方法は下記を備える:
第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信すること;
前記受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用して次元L×(L+1)のフィルタ行列を生成すること;
前記フィルタ行列の(K+1)番目の特異値と前記フィルタ行列のK番目の特異値との比が既定の閾値よりも小さくない場合に、前記フィルタ行列のL-K+1最小特異値をゼロに設定することによって階数Kフィルタ行列を生成すること、ここにおいて、Kは前記フィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数であり、L≧Kである;
前記階数Kフィルタ行列の対角に沿って係数を平均化することによりテプリッツ階数Kフィルタ行列を生成すること;
前記テプリッツ階数Kフィルタ行列の(K+1)番目の特異値と前記テプリッツ階数Kフィルタ行列のK番目の特異値との比が前記既定の閾値よりも小さい場合に、前記テプリッツ階数Kフィルタ行列の第1の行および第1の列の要素に基づいて前記フィルタのDFT係数を獲得すること;
前記獲得されたフィルタのDFT係数を使用して前記フィルタの前記インパルス応答を計算すること;
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第2の信号のDFT係数とを使用して前記第1の信号を再構築すること;および
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第1の信号のDFT係数とを使用して前記第2の信号を再構築すること。
【請求項49】
請求項48に記載の方法、ここにおいて、
前記フィルタは区分的多項式フィルタを備える。
【請求項50】
請求項48に記載の方法、ここにおいて、
前記フィルタは、区分的帯域制限フィルタを備える。
【請求項51】
信号処理するための装置であって、該装置は下記を備える:
第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信するように構成された受信機;
前記受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用して次元L×(L+1)のフィルタ行列を生成するように構成された第1のジェネレータ;
前記フィルタ行列の(K+1)番目の特異値と前記フィルタ行列のK番目の特異値との比が既定の閾値よりも小さくない場合に、前記フィルタ行列のL-K+1最小特異値をゼロに設定することによって階数Kフィルタ行列を生成するように構成された第2のジェネレータ、ここにおいて、Kは前記フィルタの前記インパルス応答の非ゼロ要素の数であり、L≧Kである;
前記階数Kフィルタ行列の対角に沿って係数を平均化することによりテプリッツ階数Kフィルタ行列を生成するように構成された第3のジェネレータ;
前記テプリッツ階数Kフィルタ行列の(K+1)番目の特異値と前記テプリッツ階数Kフィルタ行列のK番目の特異値との比が前記既定の閾値よりも小さい場合に、前記テプリッツ階数Kフィルタ行列の第1の行および第1の列の要素に基づいて前記フィルタのDFT係数を獲得するように構成された計算機;
前記獲得されたフィルタのDFT係数を使用して前記フィルタの前記インパルス応答を計算するように構成されたコンピュータ;
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第2の信号のDFT係数とを使用して前記第1の信号を再構築するように構成された第1の再構築回路;および
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第1の信号のDFT係数とを使用して前記第2の信号を再構築するように構成された第2の再構築回路。
【請求項52】
請求項51に記載の装置、ここにおいて、
前記フィルタは区分的多項式フィルタを備える。
【請求項53】
請求項51に記載の装置、ここにおいて、
前記フィルタは区分的帯域制限フィルタを備える。
【請求項54】
信号処理するための装置であって、該装置は下記を備える:
第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信するための手段;
前記受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用して次元L×(L+1)のフィルタ行列を生成するための手段;
前記フィルタ行列の(K+1)番目の特異値と前記フィルタ行列のK番目の特異値との比が既定の閾値よりも小さくない場合に、前記フィルタ行列のL-K+1最小特異値をゼロに設定することによって階数Kフィルタ行列を生成するための手段、ここにおいて、Kは前記フィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数であり、L≧Kである;
前記階数Kフィルタ行列の対角に沿って係数を平均化することによりテプリッツ階数Kフィルタ行列を生成するための手段;
前記テプリッツ階数Kフィルタ行列の(K+1)番目の特異値と前記テプリッツ階数Kフィルタ行列のK番目の特異値との比が前記既定の閾値よりも小さい場合に、前記テプリッツ階数Kフィルタ行列の第1の行および第1の列の要素に基づいて前記フィルタのDFT係数を獲得するための手段;
前記獲得されたフィルタのDFT係数を使用して前記フィルタの前記インパルス応答を計算するための手段;
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第2の信号のDFT係数とを使用して前記第1の信号を再構築するための手段;および
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第1の信号のDFT係数とを使用して前記第2の信号を再構築するための手段。
【請求項55】
請求項51に記載の装置、ここにおいて、
前記フィルタは区分的多項式フィルタを備える。
【請求項56】
請求項51に記載の装置、ここにおいて、
前記フィルタは、区分的帯域制限フィルタを備える。
【請求項57】
コンピュータ可読媒体を備える、信号処理するためコンピュータプログラム製品であって、該コンピュータ可読媒体は下記命令を備える:
第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信するための命令;
前記受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用して次元L×(L+1)のフィルタ行列を生成するための命令;
前記フィルタ行列の(K+1)番目の特異値と前記フィルタ行列のK番目の特異値との比が既定の閾値よりも小さくない場合に、前記フィルタ行列のL-K+1最小特異値をゼロに設定することによって階数Kフィルタ行列を生成するための命令、ここにおいて、Kは前記フィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数であり、L≧Kである;
前記階数Kフィルタ行列の対角に沿って係数を平均化することによりテプリッツ階数Kフィルタ行列を生成するための命令;
前記テプリッツ階数Kフィルタ行列の(K+1)番目の特異値と前記テプリッツ階数Kフィルタ行列のK番目の特異値との比が前記既定の閾値よりも小さい場合に、前記テプリッツ階数Kフィルタ行列の第1の行および第1の列の要素に基づいて前記フィルタのDFT係数を獲得するための命令;
前記獲得されたフィルタのDFT係数を使用して前記フィルタの前記インパルス応答を計算するための命令;
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第2の信号のDFT係数とを使用して前記第1の信号を再構築するための命令;および
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第1の信号のDFT係数とを使用して前記第2の信号を再構築するための命令。
【請求項58】
下記を備えるヘッドセット:
第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信するように構成された受信機;
前記受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用して次元L×(L+1)のフィルタ行列を生成するように構成された第1のジェネレータ;
前記フィルタ行列の(K+1)番目の特異値と前記フィルタ行列のK番目の特異値との比が既定の閾値よりも小さくない場合に、前記フィルタ行列のL-K+1最小特異値をゼロに設定することによって階数Kフィルタ行列を生成するように構成された第2のジェネレータ、ここにおいて、Kは、前記フィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数であり、L≧Kである;
前記階数Kフィルタ行列の対角に沿って係数を平均化することによりテプリッツ階数Kフィルタ行列を生成するように構成された第3のジェネレータ;
前記テプリッツ階数Kフィルタ行列の(K+1)番目の特異値と前記テプリッツ階数Kフィルタ行列のK番目の特異値との比が前記既定の閾値よりも小さい場合に、前記テプリッツ階数Kフィルタ行列の第1の行および第1の列の要素に基づいて前記フィルタのDFT係数を獲得するように構成された計算機;
前記獲得されたフィルタのDFT係数を使用して前記フィルタの前記インパルス応答を計算するように構成されたコンピュータ;
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第2の信号のDFT係数とを使用して前記第1の信号を再構築するように構成された第1の再構築回路;
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第1の信号のDFT係数とを使用して前記第2の信号を再構築するように構成された第2の再構築回路;および、
前記再構築された第1および第2の信号に基づいてオーディオ出力を提供するように構成されたトランスデューサ。
【請求項59】
患者のバイタルサインを監視するためのモニタであって、該モニタは下記を備える:
第1および第2の信号の各々に対する最初のL+1個の離散フーリエ変換(DFT)係数を受信するように構成された受信機;
前記受信された第1および第2の信号のDFT係数を使用して次元L×(L+1)のフィルタ行列を生成するように構成された第1のジェネレータ;
前記フィルタ行列の(K+1)番目の特異値と前記フィルタ行列のK番目の特異値との比が既定の閾値よりも小さくない場合に、前記フィルタ行列のL-K+1最小特異値をゼロに設定することによって階数Kフィルタ行列を生成するように構成された第2のジェネレータ、ここにおいて、Kは前記フィルタのインパルス応答の非ゼロ要素の数であり、L≧Kである;
前記階数Kフィルタ行列の対角に沿って係数を平均化することによりテプリッツ階数Kフィルタ行列を生成するように構成された第3のジェネレータ;
前記テプリッツ階数Kフィルタ行列の(K+1)番目の特異値と前記テプリッツ階数Kフィルタ行列のK番目の特異値との比が前記既定の閾値よりも小さい場合に、前記テプリッツ階数Kフィルタ行列の第1の行および第1の列の要素に基づいて前記フィルタのDFT係数を獲得するように構成された計算機;
前記獲得されたフィルタのDFT係数を使用して前記フィルタの前記インパルス応答を計算するように構成されたコンピュータ;
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第2の信号のDFT係数とを使用して前記第1の信号を再構築するように構成された第1の再構築回路;
前記フィルタの前記インパルス応答と、前記受信された第1の信号のDFT係数とを使用して前記第2の信号を再構築するように構成された第2の再構築回路;および
前記再構築された第1および第2の信号から導かれた前記患者のバイタルサインに関するパラメータを表示するためのユーザインターフェース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図7A】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図14F】
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【図15】
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【図15A】
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【公表番号】特表2012−515509(P2012−515509A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546335(P2011−546335)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/021060
【国際公開番号】WO2010/083321
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】