説明

スピンドルブレーキ機構を有するリング精紡スピンドルのための軸受ケーシング

【課題】 スピンドルブレーキ機構が提案されており、このスピンドルブレーキ機構は、5つ以上でない部材から成っており;且つ、ブレーキ機構の下方での操作部材の軸受部によって、人間工学的に有利に操作可能であり;且つ、単腕状のブレーキレバーによって短時間に製造され、工具無しに容易に組立て可能である。
【解決手段】 上記のことは、このスピンドルブレーキ機構のブレーキレバー8、9が、軸受ジャーナル6、7の上に装着されており、これら軸受ジャーナルが、このスピンドルの軸受ケーシング1に設けられており、且つ、操作板14によって操作可能であり、この操作板が、同様に、この軸受ケーシングに装着された軸受ジャーナル13において旋回可能であることによって達成される。このブレーキ機構は、ブレーキシューを解離する湾曲ばね、および操作板を戻し押圧する湾曲ばねによって、補完されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その軸受ケーシングにおいて、スピンドル軸線の対して平行の軸受ジャーナルの上で軸受けされたスピンドルブレーキ機構を有する、リング精紡スピンドルのための該軸受ケーシングに関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ連邦共和国特許第43 42 275号明細書(特許文献1)から、スピンドルブレーキ機構が公知であり、このスピンドルブレーキ機構の場合、2つの、所属して設けられたスピンドルの軸線に対して平行のジャーナルの上に、ブレーキ体が軸受けされており、このブレーキ体の両方の鏡対称的な部材が、薄板状関節部によって結合されている。このブレーキ体のこれら両方の部材は、二腕状のレバーとして形成されており、これらレバーの、ブレーキシューとは反対側の端部が、制動のために、くさび形の操作部材によって互いに離間するように押圧可能である。
【0003】
このスピンドルブレーキ機構の操作部材は、ブレーキ体の上方で軸受けされており、この操作部材が、操作のために下方へと押圧されねばならない。この通例の方法のブレーキ機構が膝でもって操作され、且つ、この運動が下側から行なわれるので、この操作方法は人間工学的に不利である。それに加えて、このブレーキ機構は、このブレーキ体の両方の部材の二腕状の構成の結果として、奥深の状態に造形されている(tiefbaut)。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第1 186 787号明細書(特許文献2)内において、スピンドルブレーキ機構が開示されており、本発明は、このスピンドルブレーキ機構の構造を出発点としている。このスピンドルブレーキ機構は、しかしながら、スピンドルレールに設けられている。このことは、このスピンドルブレーキ機構をそこで固定可能とするために、このスピンドルレールのような他の構造部材における、ピッチ間隔に依存する(teilungsabhangige)処理に起因する。組付け現場における機械の組立ての際に、時間のかかる組付け作業が必要である。このスピンドルブレーキ機構は、初めにこの組付け現場において、スピンドルに対して調節される。
【0005】
ドイツ連邦共和国実用新案第1 875 060号明細書(特許文献3)のスピンドルブレーキ機構は、同様にスピンドルレールにおいてではなく、むしろ、更に、同様にスピンドル用テープ駆動装置のカバーに固定されている。上記の諸欠点は、スピンドルブレーキ機構のこの配設に関しても、いっそう多く言えることである。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許第43 42 275号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許出願公開第1 186 787号明細書
【特許文献3】ドイツ連邦共和国実用新案第1 875 060号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のことに応じて、本発明の課題は、主請求項の上位概念内において記載された構造様式のスピンドルブレーキ機構の有利な形態を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、この課題を、主請求項の特徴部に記載された特徴によって解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるスピンドルブレーキ機構は、5つ以下の部材から成っている。−即ち、軸受ジャーナルは、スピンドル軸受ケーシングの構成要素である。このスピンドルブレーキ機構は、容易に、且つ工具無しに組立て可能である。従って、例えば、操作板の軸受部は、スナップ止め結合部として、スピンドル軸受ケーシングのジャーナル上で形成され得る。
【0009】
スピンドルブレーキ機構が、そのスピンドルにこのスピンドルブレーキ機構が所属して設けられている該スピンドルに配設されていることによって、他の構成部材における如何なるピッチ間隔に依存する固定可能性もリング精紡機の構造部材において必要ではない。このスピンドルブレーキ機構は、工場内において、スピンドルに予組付け可能であり、このことは、組付け時間を短縮し、且つ、この組付けを簡略化する。このスピンドルブレーキ機構は、正確にスピンドルに対して調節されている。
【0010】
図面の図内において、本発明の対象の実施例が図示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、リング精紡スピンドルの軸受ケーシング1を示しており、この軸受ケーシング内において、スピンドル上側部分2の詳細には図示されていない軸受が格納されている。同様にこのスピンドル上側部分は、中断された状態で図示されており、ヘッドを支持する上側のスピンドル部分が示されていない。この軸受ケーシング1は、多数の更に別の軸受ケーシングと共に、2つの管体形状のスピンドル支持体3および4に固定されており、これらスピンドル支持体が、リング精紡機の両方の側面に沿って延在している。
【0012】
スピンドルブレーキ機構5は、2つの、スピンドル上側部分2の軸線に対して平行に位置する軸受ジャーナル6および7によって、軸受ケーシング1に支持されている。これらジャーナルは、2つのブレーキレバー8および9を軸受けしており、これらブレーキレバーのブレーキシュー10、11が、このスピンドル上側部分2のブレーキ領域12に接近されている。
【0013】
2つの、軸受ケーシング1の下側の領域内において設けられている、それらの内、図1内においてただ1つの軸受ジャーナルだけが目視可能である、該軸受ジャーナル13は、操作板14を軸受けしている。この操作板は、この操作板の上側の領域内において、2つのカム部15および16を有しており、これらカム部が、外方からのこの操作板に対しての押圧の際に、ブレーキレバー8および9へと導かれ、且つ、これらブレーキシュー10、11を、スピンドル上側部分2のブレーキ領域12に当接させる。
【0014】
ブレーキレバー8および9のポケット17内に、軸受ジャーナル6および7の周囲を案内された湾曲ばね18が係合しており、この湾曲ばねは、ブレーキレバーおよびブレーキシュー10、11を、ブレーキ領域12から持上げようと、即ちこれらブレーキを少し浮かせようとしている。同様に、軸受ケーシング1と操作板14との間に、湾曲ばね19が張架されており、この湾曲ばねは、この操作板14をこの軸受ケーシングから旋回離脱させようと努力し、且つ、このブレーキ領域12からのこれらブレーキシュー10、11の持上げを可能にする。この湾曲ばね19の一方の端部は、この操作板14の保持輪郭部20内において、位置ずれに対して保護されている。
【0015】
ブレーキ5の操作のために、有利な方法で、操作板14の上側の領域内において、この操作板14に圧力が加えられる。この操作板は、極めて高く、且つ、従って、小さな人および大きな人によって、確実に操作され得る。この押圧は、人間工学的に有利に、斜め下から行なわれる。克服されるべきばね18および19の圧力、および、ブレーキレバー8、9の上での専らカム部15、16だけの摩擦が僅かであるので、同様に必要な操作力も僅かである。
【0016】
操作板14の解放の際に、湾曲ばね19は、操作板を戻し押圧し、且つ、湾曲ばね18がブレーキレバー8、9を、およびこれらブレーキレバーのブレーキシュー10および11を、スピンドル上側部分2のブレーキ領域12から持上げる。
【0017】
選択的な実施形態は、軸受ジャーナル6または7の内のただ1つだけの軸受ジャーナルが設けられており、この軸受ジャーナルの上で、両方のブレーキレバー8、9が互いに上下に軸受けされていることによって特徴付けられている。これら軸受ジャーナル6、7の周囲を案内される湾曲ばね18の代わりに、同様にブレーキレバー8、9の間に、これらブレーキレバーを互いに離間するように押圧する湾曲ばねまたは螺旋ばねが設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】部分的に破り取られて図示された操作板を有する、スピンドルの軸受ケーシングの側面図である。
【図2】部分的に破り取られて図示された操作板を有する、スピンドルの軸受ケーシングの平面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 軸受ケーシング
2 スピンドル上側部分
3、4 スピンドル支持体
5 スピンドルブレーキ機構
6、7 軸受ジャーナル
8、9 ブレーキレバー
10、11 ブレーキシュー
12 ブレーキ領域
13 軸受ジャーナル
14 操作板
15、16 カム部
17 ポケット
18、19 湾曲ばね
20 保持輪郭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピンドルブレーキ機構を有するリング精紡スピンドルのための軸受ケーシングであって、
このスピンドルブレーキ機構が、少なくとも1つの、スピンドル軸線に対して平行の軸受ジャーナルの上で軸受けされた、単腕状のレバーとして形成されたブレーキレバーを有しており、
このスピンドルブレーキ機構が、このスピンドルブレーキ機構をグリップするばねによって、このスピンドルブレーキ機構のブレーキシューのブレーキ位置から、スピンドル上側部分のブレーキ領域における当接部内において押し込まれており、且つ、ブレーキ位置内における操作板に沿ってのブレーキカム部によって、ブレーキ領域へと当接可能であり、その際、
この操作板が、この操作板の操作面と反対側の領域において、この軸受ケーシングに旋回可能に軸受けされており、且つ、ばねを用いて戻し押圧され得る様式の上記軸受ケーシングにおいて、
スピンドルブレーキ機構の全ての部材(6、7、8、9、10、11、14、15、16、18、19)が、そのスピンドルにこのスピンドルブレーキ機構が所属して設けられている、該スピンドル(2)の軸受ケーシング(1)に設けられていることを特徴とする軸受ケーシング。
【請求項2】
軸受ケーシング(1)は、少なくとも1つの、スピンドル軸線に対して平行の軸受ジャーナル(6、7)を、ブレーキレバー(8、9)のために、および、
2つの、このスピンドル軸線に対して横方向に位置する旋回ジャーナル(13)を、操作板(14)のために有していることを特徴とする請求項1に記載の軸受ケーシング。
【請求項3】
両方のブレーキレバー(8、9)は、ただ1つだけの共通の、軸受ケーシング(1)に設けられた軸受ジャーナルの上に軸受けされていることを特徴とする請求項1に記載の軸受ケーシング。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−513618(P2008−513618A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531703(P2007−531703)
【出願日】平成17年9月17日(2005.9.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010066
【国際公開番号】WO2006/032429
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(504011069)ザウラー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト (17)
【Fターム(参考)】