説明

スピンドル構造を保護するためのカバー

相並んで配置された複数の作業部位(1)を備えた繊維機械、特に撚糸機の作業部位(1)のスピンドル構造を保護するためのカバーであって、カバー(3)が、スピンドル構造の長手軸線を中心に、スピンドル構造を露出させる位置からスピンドル構造を覆う位置に旋回されるようになっており、この場合繊維機械に、作業部位(1)を仕切る中間壁(2)が配置されており、各スピンドル構造のカバー(3)が、繊維機械の機械フレームに支承されており、カバー(3)が、スピンドル構造を覆う位置で、中間壁(2)で閉鎖し、スピンドル構造が、周方向で完全に包囲されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式のカバーに関する。
【0002】
米国特許第3782087号明細書から、冒頭で述べた形式のカバーが公知であり、カバーは、複数のスピンドル構造を備えた、ヤーンを製作する繊維機械の防音手段として役立つ。ここではカバーは、特にスピンドル構造の騒音エミッションを低減して、保守または修理の場合にスピンドル構造への簡単なアプローチを実現する。このために米国特許第3782087号明細書によれば、各作業部位のために個別の中空円筒形のカバーが設けられており、この場合カバーは、回転可能に支承するために、それぞれスピンドル構造と結合されている。この場合スピンドル構造でカバーを回動可能に支承するために、定置のリングが配置されており、リングは、スピンドル構造の駆動ホワーブ(はずみ車)に支持される。したがって中空円筒形のカバーは、スピンドル構造と共に、同心的に、各スピンドル構造の軸線を中心に回動する。
【0003】
カバーの内側に存在するスピンドル構造に対するアプローチを保証するために、カバーに、スピンドル構造の駆動に役立つ駆動ホワーブの領域と、これとは反対側の、スピンドル構造の上方の糸ガイド領域とに凹所が設けられており、凹所は、カバーにアプローチ開口を形成し、この開口を通って、スピンドル構造は、保守および修理目的でアプローチ可能である。
【0004】
このカバーの欠点によれば、カバーは、スピンドル構造を覆う位置でも、つまり凹所が機械外側とは反対側に位置するようにカバーが回動すると、スピンドル構造は、周方向で完全には閉鎖されない。したがって繊維機械、特にスピンドル構造の騒音エミッションの低減は達成されるが、たとえば撚糸機で発生する飛翔繊維屑によるスピンドル構造の汚染リスクは依然として存在している。
【0005】
したがって本発明の課題は、繊維機械をたとえば飛翔繊維屑による汚染から保護し、同時に良好な防音手段を形成する繊維機械のカバーを提供することである。
【0006】
この課題を解決するための本発明の装置によれば、繊維機械に、作業部位を仕切る中間壁が配置されており、各スピンドル構造のカバーが、繊維機械の機械フレームに支承されており、カバーが、スピンドル構造を覆う位置で、中間壁で閉鎖し、スピンドル構造が、周方向で完全に包囲されるようになっている。このようにして効果的な防音が達成され、同時に飛翔繊維屑による繊維機械の内側の汚染がほぼ完全に防止される。防音を改善するために、カバーも中間壁も、スピンドル構造に向いた側の面で、遮音材料で被覆することができる。
【0007】
特にカバーの旋回によって、各スピンドル構造は、周方向で完全に露出するようになっている。これによって各作業部位の個々のスピンドル構造の個別的なアプローチが維持される。なぜならば個々のスピンドル構造は、保守および修理の場合完全に周方向で露出させることができ、このことは冒頭で述べた従来技術では不可能である。このためにカバーの旋回によって、スピンドル構造は、中間壁の相互間隔から得られる作業部位の幅にわたって露出される。
【0008】
この場合各スピンドル構造の露出は、隣接する作業部位もしくは隣接する構成部材がカバーによってスピンドル構造を露出させる位置で覆われることなく行われる。機械フレームにおける支承によって、スピンドル構造は、保守または修理目的で取り外すことができ、しかも従来技術と同様にカバーを取り外す必要はない。
【0009】
さらにカバーは、ほぼ円形リング状の底エレメントと底エレメントに対して垂直に配置された壁エレメントとを備えており、壁エレメントは、底エレメントを、周方向で部分的に包囲するようになっている。この場合壁エレメントの幅は、各作業部位のカバーしようとする開口の幅に大体において相当する。
【0010】
特に機械フレームは、各作業部位においてカバーを支承するために、互いに角度を置いてずらして配置された複数の支承手段を備えることができる。有利にはそれぞれ120°ずつずらされた配置構造が設けられており、選択的に支承手段の、これとは異なる配置構造、たとえば約90°または約60°ずつずらされた配置構造も考えられる。
【0011】
有利には、支承手段は、少なくとも部分的に底エレメントの内側縁部に接触している。これによって支承手段によるカバーの安定したガイドが達成され、同時にカバーは、その配置構造で、作業部位内でセンタリングされる。
【0012】
支承手段は、底エレメントに対して垂直に位置する軸線を中心に回動することができる。特に支承手段は、ほぼ円筒形に形成することができる。別の実施形態では、支承手段は、対偶を成して垂直方向で上下に配置することができ、この場合支承手段は、底エレメントに対して平行に位置する軸線を中心に回動する。対偶を成して配置された支承手段は、前述の形式で互いにずらして機械フレームに配置して、少なくとも部分的に底部分の内側縁部に接触することができる。この場合底エレメントは、カバーを回動可能に支承するために支承手段の間にガイドすることができる。
【0013】
以下に本発明の実施の形態を、図面を用いて具体的に説明する。
【0014】
図1は、複数の作業部位1を備えた繊維機械、特に撚糸機の1作業部位1の部分断面斜視図である。作業部位1において、図1では、側面から繊維機械の機械長手方向でみて、本発明によるカバー3を、作業部位1を覆う位置で示した。
【0015】
繊維機械の機械フレームの両側に並んで配置された作業部位1は、図示していないスピンドル構造を備えており、スピンドル構造は、それぞれ機械長手軸線に対して横向きに配置された中間壁2と背壁7とによって仕切られている。この場合作業部位1は、機械外側に向かって開放して形成されており、これによって保守目的または修理目的でスピンドル構造に対するアプローチが達成される。
【0016】
機械外側に向かって開放した各作業位置1を閉鎖するために、機械フレームにカバー3が配置されており、これによってスピンドル構造は、たとえば飛翔繊維屑による汚染から保護して、スピンドル構造に起因する騒音エミッションを低減する。このためにカバー3は、ほぼ円形リング状の底エレメント4と壁エレメント5とを備えている。壁エレメント5は、底エレメント4に対して垂直に延びていて、底エレメント4を少なくとも部分的に周方向で包囲している。
【0017】
各作業部位1のカバー3を支承するために、機械フレーム1に支承手段6が配置されており、支承手段6によって、カバー3は旋回可能である。カバー3は、同心的に、ススピンドル構造の長手軸線を中心に支承されていて、ピンドル構造が完全に露出する位置からスピンドル構造を覆う位置に旋回されるようになっている。このために各作業部位1の機械フレームに配置された支承手段6は、互いにある角度でずらして配置されている。本実施例では、支承手段6は、約120°の角度で互いにずらして配置されている。選択的に約90°または約60°で互いにずらして配置された支承手段6を設けることもできる。
【0018】
支承手段6は、それぞれ底エレメント4に対して垂直に位置決めされた軸線を中心に回動する。カバー3を旋回可能に支承するために、支承手段6は、少なくとも部分的に底エレメント4と作用結合されている。この場合支承手段6は、少なくとも部分的に底エレメント4の内側縁部接触しており、これによってカバー3がガイドされる。このために本実施例で使用される支承手段6は、ほぼ円筒形に形成されている。
【0019】
選択的に円筒ローラとして形成された、互いに垂直方向で上下に配置されたそれぞれ2つの支承手段6を設けることもでき、支承手段6は、それぞれ底エレメント4に対して平行の軸線を中心に回転する。支承するために、底エレメント4は、部分的に対偶を成して配置されたローラの間に配置することができ、これによってカバー3は、ローラ対によって、旋回に際して、露出した位置からカバーされた位置またはその逆の形式でガイドされる。
【0020】
カバー3の壁エレメント5の幅は、ほぼ作業部位1の幅に相当するので、壁エレメント5は、カバー3の、スピンドル構造を覆う位置において、互いに平行に配置された中間壁2で閉鎖し、スピンドル構造は、周方向で完全にカバー3と中間壁2とによって包囲される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】作業部位1の部分断面斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相並んで配置された複数の作業部位(1)を備えた繊維機械、特に撚糸機の作業部位(1)のスピンドル構造を保護するためのカバーであって、
カバー(3)が、スピンドル構造の長手軸線を中心に、スピンドル構造を露出させる位置からスピンドル構造を覆う位置に旋回されるようになっている形式のものにおいて、
繊維機械に、作業部位(1)を仕切る中間壁(2)が配置されており、各スピンドル構造のカバー(3)が、繊維機械の機械フレームに支承されており、カバー(3)が、スピンドル構造を覆う位置で、中間壁(2)で閉鎖し、スピンドル構造が、周方向で完全に包囲されるようになっていることを特徴とする、スピンドル構造を保護するためのカバー。
【請求項2】
カバー(3)の旋回によって、各スピンドル構造が、周方向で完全に露出するようになっている、請求項1記載のカバー。
【請求項3】
カバー(3)が、ほぼ円形リング状の底エレメント(4)と該底エレメント(4)に対して垂直に配置された壁エレメント(5)とを備えており、該壁エレメント(5)が、底エレメント(4)を、周方向で部分的に包囲するようになっている、請求項1または2記載のカバー。
【請求項4】
機械フレームが、各作業部位(1)においてカバー(3)を支承するために、互いに角度を置いてずらして配置された複数の支承手段(6)を備えている、請求項1から3までのいずれか1項記載のカバー。
【請求項5】
支承手段(6)が、少なくとも部分的に底エレメント(4)の内側縁部に接触している、請求項4記載のカバー。
【請求項6】
支承手段(6)が、底エレメント(4)に対して垂直に位置する軸線を中心に回動するようになっている、請求項4または5記載のカバー。
【請求項7】
支承手段(6)が、ほぼ円筒形に形成されている、請求項4から6までのいずれか1項記載のカバー。
【請求項8】
支承手段(6)が、対偶を成して垂直方向で上下に配置されており、支承手段(6)が、底エレメント(4)に対して平行に位置する軸線を中心に回動するようになっている、請求項4または5記載のカバー。

【図1】
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【公表番号】特表2009−509059(P2009−509059A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531559(P2008−531559)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008497
【国際公開番号】WO2007/033750
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(307031976)エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (105)
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & CO. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D−42897 Remscheid, Germany
【Fターム(参考)】