説明

スプライス部保護構造の製造方法及びスプライス部保護構造の製造装置

【課題】スプライス部の大きさに適したサイズでスプライス部を保護すること。
【解決手段】拡縮変形可能な器形状部分34を有する可変型32にスプライス部16を挿入すると共に樹脂材18を注入し、器形状部分34をスプライス部16の大きさに応じて拡縮変形させてスプライス部16に樹脂材18を被覆させ、樹脂材18の硬化処理を行って、スプライス部保護構造10を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車用ハーネスのスプライス部を保護する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スプライス部を保護する技術として特許文献1に開示のものがある。特許文献1は、成形型の凹部に電線の端末接続部を挿入すると共に樹脂材を注入し、該樹脂材を固化させた後、該凹部から該端末接続部を樹脂材と一体で取出す、防水処理技術を開示している。
【0003】
【特許文献1】特開平10−322870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の電線が接合されて形成されたスプライス部は、電線の本数や太さにより大きさが異なる。この場合、特許文献1に開示されているような、成形型で防水構造を形成する技術では、防水構造をスプライス部の大小に合わせて製造することは困難であると考えられる。そこで、スプライス部の大きさにかかわらず一定の(大きい)サイズの成形型で防水構造を製造する方法が考えられるが、材料の無駄が生じる恐れがある。
【0005】
そこで、本発明は、スプライス部の大きさに適したサイズでスプライス部を保護することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1の態様に係るスプライス部保護構造の製造方法は、複数の電線を接合したスプライス部を硬化特性を有する樹脂材で被覆保護するスプライス部保護構造の製造方法であって、(a)拡縮変形可能な器形状部分を有する可変型に前記樹脂材を注入する工程と、(b)前記可変型に前記スプライス部を挿入する工程と、(c)前記器形状部分を前記スプライス部の大きさに応じて拡縮変形させ、前記スプライス部に前記樹脂材を被覆させる工程と、(d)前記樹脂材の硬化処理を行う工程と、を備えるものである。
【0007】
第2の態様に係るスプライス部保護構造の製造方法は、開口を有する枠体と、前記枠体の開口を塞ぐように配設され、前記枠体との間に形成された拡縮調節空間内の圧力に応じて前記器形状部分を拡縮変形可能な前記可変型と、を用いるものである。
【0008】
第3の態様に係るスプライス部保護構造の製造方法では、前記工程(a)では前記器形状部分を拡げた状態で前記可変型に前記樹脂材を注入し、前記工程(b)では前記器形状部分を拡げた状態で前記可変型に前記スプライス部を挿入するようにしている。
【0009】
第4の態様に係るスプライス部保護構造の製造方法は、(e)前記工程(d)の後に、前記器形状部分を拡げて、前記樹脂材で保護した前記スプライス部を前記器形状部分から抜出す工程、をさらに備える。
【0010】
第5の態様に係るスプライス部保護構造の製造方法は、工程(a)及び(c)、(d)の作業を複数回行い、前記スプライス部を前記樹脂材で複数重に被覆する。
【0011】
第6の態様に係るスプライス部保護構造の製造装置は、複数の電線を接合したスプライス部を硬化特性を有する樹脂材で被覆保護するスプライス部保護構造の製造装置であって、開口を有する枠体と、前記枠体の開口を塞ぐように配設されて、前記樹脂材を注入可能でかつ前記スプライス部を挿入可能な器形状部分を形成すると共に前記枠体の内面との間に拡縮調節空間を形成し、前記拡縮調節空間内の圧力に応じて前記器形状部分を拡縮変形可能な可変型と、前記拡縮調節空間内の圧力を調節して前記器形状部分を拡縮変形させる拡縮調節部と、を備えるものである。
【0012】
第7の態様に係るスプライス部保護構造の製造装置は、第6の態様に係るスプライス部保護構造の製造装置であって、前記枠体の底部側に、前記複数の小孔が形成され、前記複数の小孔を通じて前記拡縮調節空間内に流体を送抜可能に形成された拡縮補助部材をさらに備える。
【発明の効果】
【0013】
第1の態様に係るスプライス部保護構造の製造方法によると、可変型の器形状部分が拡縮変形可能であるため、スプライス部の大きさに適したサイズで樹脂材を被覆させることができる。これにより、スプライス部の大きさに適したスプライス部保護構造を製造することができるため、樹脂材の無駄な使用を抑制することができる。
【0014】
第2の態様に係るスプライス部保護構造の製造方法によると、枠体と可変型の間に形成された拡縮調節空間内の圧力を変えることで可変型の器形状部分を自由に拡縮変形させることができるため、スプライス部の大きさに応じて樹脂材を被覆させることができる。
【0015】
また、第3の態様に係るスプライス部保護構造の製造方法によると、可変型の器形状部分を拡げることで樹脂材の注入及びスプライス部の挿入を容易にすることができる。
【0016】
また、第4の態様に係るスプライス部保護構造の製造方法によると、可変型の器形状部分を拡げることでスプライス部保護構造の抜出しを容易にすることができる。
【0017】
また、第5の態様に係るスプライス部保護構造の製造方法によると、複数回樹脂材を被覆可能であるため、より確実にスプライス部を保護することができる。
【0018】
また、第6の態様に係るスプライス部保護構造の製造装置によると、枠体と可変型との間に形成される拡縮調節空間内の圧力を拡縮調節部により調節して、可変型の器形状部分を拡縮変形させることができるため、器形状部分にスプライス部と樹脂材とを入れたときに器形状部分をスプライス部の大きさに適したサイズに調節して樹脂材を被覆させることができる。よって、スプライス部の大きさに適したスプライス部保護構造を形成することができ、樹脂材の無駄な使用を抑制することができる。
【0019】
また、第7の態様に係るスプライス部保護構造の製造装置によると、拡縮調節部が枠体の底部側に設けた複数の小孔を有する拡縮補助部材を介して拡縮調節空間内の圧力を調節可能に備えられているため、可変型の拡大変形過程で複数の小孔のうちいずれかが塞がれたとしても、他の小孔を通じて拡縮調節空間に対して流体をより確実に送抜でき、可変型の器形状部分をより円滑かつ確実に拡縮変形させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係るスプライス部保護構造の製造方法及びスプライス部保護構造の製造装置について説明する。なお、以下説明中に図面の上下方向を上下で表すことがあるが、当該方向は説明の便宜上用いるものであってスプライス部保護構造又は製造装置における方向を限定するものではない。
【0021】
<1.スプライス部保護構造>
説明の便宜上、まず、本実施形態に係るスプライス部保護構造について説明する。図1は、第1実施形態に係るスプライス部保護構造10を示す図である。
【0022】
本スプライス部保護構造10は、複数の電線12を接合して形成されたスプライス部16の全体を樹脂材18により被覆し、スプライス部16を保護するように構成されている。
【0023】
本実施形態で対象とするスプライス部16は、複数の電線12において、電線12の被覆部13を皮剥ぎして露出させた芯線露出部15の一部を超音波溶接、抵抗溶接、半田付け、端子圧着等の方法で接合して形成された接合部を指す。つまり、ここで対象とするスプライス部16は、複数の電線12を接合した端部を有するスプライス部16である。そして、このスプライス部16は、電線12の本数及びその芯線露出部15の太さにより大きさが異なる。
【0024】
ここでは、説明の便宜上、芯線露出部15及びスプライス部16をまとめてスプライス端部17と呼ぶ。また、スプライス部保護構造10において、芯線露出部15の長手方向、つまり図1の上下方向の寸法を長さ寸法とする。
【0025】
樹脂材18は、電気絶縁性を有すると共に、光硬化性や熱硬化性等の硬化特性を有する硬化性樹脂である。当該樹脂材18は、硬化処理前には後述する可変型32内に注入可能な液状であるとよい。ここでは、樹脂材18は、紫外線硬化性樹脂(以下UV樹脂)であり、紫外線を照射することにより短時間で硬化可能である。
【0026】
スプライス部保護構造10は、上記樹脂材18により、上記スプライス端部17と電線12の被覆部13の露出側部分14とを被覆し、絶縁及び止水保護している。ここで、樹脂材18は、電線12の芯線露出部15にも浸透して水分の浸入を防いでいる。
【0027】
なお、樹脂材18は、紫外線硬化樹脂に熱硬化樹脂等を混ぜるなど複数の硬化性樹脂を混合して、紫外線の照射及び加熱等により均一に硬化させることを考慮したものでもよい。加熱処理は、紫外線照射処理と同時或いは、後述する可変型32から取出した後に行ってもよい。
【0028】
<2.スプライス部保護構造の製造装置>
次に、スプライス部保護構造10の製造装置について説明する。図2は、第1実施形態に係るスプライス部保護構造10の製造装置を示す図である。
【0029】
スプライス部保護構造10の製造装置は、枠体22と、可変型32と、拡縮調節部40と、硬化処理部50とを備えている。
【0030】
枠体22は、一端側に略円形状に開口する開口部25を有すると共に他端側に底部26を有する凹部24を形成する略円筒形状に形成されている。ここでは、凹部24の深さ方向(図2の上下方向)の寸法は、対象となる種々の形状・大きさのスプライス部16のうちスプライス端部17が最長のものについて、その先端からスプライス部16を形成している複数の電線12の被覆部13における露出側部分14までの寸法より長く形成されている。また、凹部24の径は、開口部25から底部26にかけて、対象となる種々の形状・大きさのスプライス部16のうちスプライス端部17が最太のものについて、スプライス部16を形成する複数の電線12における被覆部13群の最大径より大きく形成されている。ここで、枠体22は、円筒形状に限られるものではなく、例えば、多角円筒形状であってもよい。さらに、枠体22は、略円筒形状の側壁の一部に、略円形状に開口しその内外に貫通する穴部27を有している。この穴部27は、後述する拡縮調節空間28内に空気を送抜可能な程度の大きさであればよい。ここで、穴部27は、円形状に開口する形状に限られるものではない。また、穴部27は、略円筒形状の側部に形成されるものに限定されず、略円筒形状の底部26に形成されるものであってもよい。
【0031】
また、枠体22は、後述する可変型32との間に形成される拡縮調節空間28内の圧力変化により変形しない程度の剛性を有すると共に、紫外線透過性を有する材料で形成されている。ここでは、枠体22は、石英ガラスで形成されている。他にも、枠体22は、紫外線透過性を有するガラス(石英ガラス以外のもの)、樹脂等により形成されていてもよい。
【0032】
可変型32は、開口部35を有する器形状部分34を形成可能であり、紫外線透過性を有すると共に弾性変形可能な材料で形成されている。ここでは、紫外線透過性を有し、比較的伸縮性の高い薄肉のゴムで形成されている。
【0033】
また、可変型32は、上記枠体22の開口部25を塞ぐように配設され、枠体22の内面との間に拡縮調節空間28を形成している。ここでは、可変型32の外周部分をゴムの弾性力を利用して枠体22の外周面上側部分に被せるように配設することで、可変型32が開口部25を塞いでいる。さらに、可変型32は、拡縮調節空間28内の圧力に応じて拡縮変形可能な器形状部分34を形成している。ここでは、器形状部分34は、拡縮調節空間28内の圧力が高いときには縮まり、拡縮調節空間28内の圧力が低いときに拡がるように構成されている。そして、可変型32は、器形状部分34が拡げられたときに、枠体22の開口部25に沿って開口部35を形成するように配設されている。
【0034】
器形状部分34は、上記のように拡縮変形自在であり、スプライス端部17の大きさに応じて拡縮調節される。種々の大きさを有するスプライス端部17に対して樹脂材18を被覆するという観点からは、器形状部分34の最も拡げられたときの大きさ及び最も縮められたときの大きさは、次のように設定されることが好ましい。
【0035】
まず、器形状部分34が最も拡げられたときの長さ寸法は、対象となる種々のスプライス部16のうちスプライス端部17の長さ寸法が最大となるものに関して、そのスプライス部16の先端部から被覆部13の露出側部分14までの長さ寸法を超えるように(好ましくは必要とされる被覆厚み分程度に)設定されることが好ましい。また、器形状部分34が最も拡げられたときの径寸法は、対象となる種々のスプライス部16のうち被覆部13群の径寸法が最大となるものに関して、その被覆部13群の径寸法を超えるように(好ましくは必要とされる被覆厚み分程度に)設定されることが好ましい。
【0036】
また、器形状部分34が最も縮められたときの長さ寸法は、対象となるスプライス部16のうちスプライス端部17の長さ寸法が最小となるものに関して、そのスプライス部16の先端部から被覆部13の露出側部分14までの長さ寸法を超えるように(好ましくは必要とされる被覆厚み分程度に)設定されることが好ましい。また、器形状部分34が最も縮められたときの径寸法は、対象となる種々のスプライス部16のうち被覆部13群の径寸法が最小となるものに関して、その被覆部13群の径寸法を超えるように(好ましくは必要とされる被覆厚み分程度に)設定されることが好ましい。
【0037】
また、種々の大きさを有するスプライス端部17を器形状部分34内に容易に挿入できるようにするという観点からは、器形状部分34が最も拡げられたときの径寸法は、対象となる種々のスプライス部16のうち被覆部13群の径寸法が最大となるものに関して、その被覆部13群の径寸法を超える(好ましくは必要とされる被覆厚み分よりもさらに大きく超える)ように設定されることが好ましい。
【0038】
拡縮調節部40は、流体を上記拡縮調節空間28内に送抜可能に構成されており、ここでは、空気を送抜可能に構成されている。ここでは、拡縮調節部40は、筒状の本体41と、本体41の軸方向に押引操作可能な操作部42aを有するピストン部42と、空気が流出、流入する流出入口44とを有するピストンポンプである。そして、拡縮調節部40は、操作部42aを押込むと空気が流出入口44から流出し、操作部42aを引くと空気が流出入口44に流入するように構成されている。また、拡縮調節部40は、流出入口44が上記枠体22の穴部27に接続されており、当該流出入口44から拡縮調節空間28内に空気を送抜可能に構成されている。
【0039】
ここで、拡縮調節空間28内に送抜する流体は、空気に限定されるものではなく、他の液体又は気体でもよい。好ましくは、流体は、枠体22及び可変型32を劣化、損傷させるような製造装置に悪影響を与えるものでない方がよい。また、拡縮調節部40は、上記のような操作部42aの押引操作により空気を送抜するピストンポンプに限られるものではなく、ピストンポンプ以外の往復ポンプ、回転ポンプ、斜流ポンプ、遠心ポンプ、軸流ポンプ等の機構又はその他の装置を採用してもよい。そして、この拡縮調節部40は、電動、手動に限定されるものでもない。さらに、拡縮調節部40は、制御部により拡縮調節空間28の空気の送抜量を調節するものであってもよい。
【0040】
上記枠体22と可変型32と拡縮調節部40との構成により、可変型32の器形状部分34が拡縮変形操作される。より具体的には、拡縮調節部40の操作部42aを押込むと、空気が流出入口44から流出し、穴部27を通って拡縮調節空間28内に送られる。これにより、拡縮調節空間28内の圧力は高くなる。そして、器形状部分34は、器形状部分34内の圧力(外圧)と拡縮調節空間28内の圧力と器形状部分34の弾性力とが釣合う状態となるように縮まる。また、拡縮調節部40の操作部42aを引くと、空気が拡縮調節空間28内から抜かれ、穴部27を通って流出入口44に流入する。これにより、拡縮調節空間28内の圧力が低くなる。そして、器形状部分34は、器形状部分34内の圧力(外圧)と拡縮調節空間28内の圧力と器形状部分34の弾性力とが釣合う状態となるように拡がる。
【0041】
硬化処理部50は、樹脂材18の硬化処理を可能に構成されている。ここでは、樹脂材18がUV樹脂であるため、硬化処理部50は、紫外線を照射可能な紫外線照射装置を備えるものである。硬化処理部50は、枠体22の傍で樹脂材18を硬化可能な位置に紫外線照射装置を設ける構成である。好ましくは、硬化処理部50は、樹脂材18全体に均一に紫外線を照射可能であるとよく、例えば、枠体22の周囲に紫外線照射装置を複数台設ける構成であってもよい。ここで、硬化処理部50は、制御部により、拡縮調節部40から空気が送られて可変型32が縮められた後のタイミングで紫外線を照射するように制御されるものであってもよい。
【0042】
また、スプライス部保護構造10の製造装置は、樹脂材18を自動で注入する止水剤注入部を備えるものであってもよい。つまり、止水剤注入部は、対象となる種々のスプライス部16の大きさに応じて設定された量だけ可変型32の器形状部分34に自動的に注入するように制御されるものであってもよい。
【0043】
<3.スプライス部保護構造の製造方法>
次に、スプライス部保護構造10の製造方法について説明する。図3は第1実施形態に係るスプライス部保護構造10の製造工程を示すフローチャート、図4は第1実施形態に係る可変型拡げ工程S1を示す図、図5は第1実施形態に係る樹脂材注入工程S2を示す図、図6は第1実施形態に係るスプライス部挿入工程S3を示す図、図7は可変型縮め工程S4を示す図、図8は樹脂材硬化処理工程S5を示す図、図9は可変型拡げ工程S6を示す図、図10はスプライス部保護構造取出し工程S7を示す図である。
【0044】
以下、スプライス部保護構造10の製造方法について、図3のフローチャートを追って図4〜図10を用いて詳細に説明する。
【0045】
図4に示すように、可変型拡げ工程S1では、拡縮調節部40の操作部42aを引いて可変型32の器形状部分34を拡げる。これにより、器形状部分34の容積は大きくなる。ここで、器形状部分34は、対象となる種々のスプライス部16の先端からスプライス部16を形成している複数の電線12における被覆部13までを内設可能な容積を有する程度に、かつ、後述する可変型縮め工程S4の器形状部分34より大きく拡げられる。
【0046】
次に、図5に示すように、樹脂材注入工程S2では、可変型拡げ工程S1で拡げられた器形状部分34内に液状の樹脂材18を注入する。ここで、樹脂材18の注入量は、後述する可変型縮め工程S4で可変型32を縮めたときに樹脂材18がスプライス部16の先端から電線12における被覆部13の露出側部分14まで被覆できる程度の量である。当該注入量は、実験的又は経験的に求めることができる。
【0047】
次に、図6に示すように、スプライス部挿入工程S3では、可変型拡げ工程S1で拡げられた器形状部分34内にスプライス部16を挿入する。ここで、スプライス部16の挿入は、スプライス端部17が器形状部分34に接触しない程度に、かつ、スプライス部16の先端からスプライス部16を形成している電線12における被覆部13の露出側部分14までが器形状部分34内に収まる程度に深く挿入される。
【0048】
このとき、スプライス部16の先端から電線12の被覆部13における露出側部分14までの一部が液状の樹脂材18に浸かった状態になっている。
【0049】
次に、図7に示すように、可変型縮め工程S4では、拡縮調節部40の操作部42aを押込んで可変型32の器形状部分34を縮める。ここで、器形状部分34は、スプライス端部17に接触しない程度に小さく縮められる。これは、作業者が目視しながら適当な縮め量だけ縮めるものであってもよいし、器形状部分34がそれぞれのスプライス部16に対して実験的又は経験的に求めた適切な大きさとなるように縮めるものであってもよい。
【0050】
これにより、器形状部分34内の樹脂材18は、スプライス部16の先端からスプライス部16を形成する複数の電線12における被覆部13の露出側部分14までの全体を被覆する。これにより、スプライス端部17の周りを被覆している液状の樹脂材18は、スプライス端部17が樹脂材18から露出しない程度に薄く(スプライス端部17より僅かに大きく)被覆する状態となる。
【0051】
次に、図8に示すように、樹脂材硬化処理工程S5では、可変型32の器形状部分34を可変型縮め工程S4で縮めた一定の状態で、スプライス部16の先端からスプライス部16を形成する複数の電線12における被覆部13の露出側部分14までを被覆したUV樹脂の樹脂材18に対して硬化処理部50により紫外線を照射して液状の樹脂材18を硬化させる。ここでは、樹脂材18全体が硬化するまでの時間だけ紫外線を照射する。
【0052】
次に、図9に示すように、可変型拡げ工程S6では、拡縮調節部40の操作部42aを引いて可変型32の器形状部分34を拡げる。ここで、器形状部分34は、器形状部分34内で樹脂材18に被覆されたスプライス端部17及びスプライス部16を形成する複数の電線12における被覆部13の露出側部分14を取出せる程度に、かつ、可変型縮め工程S4の器形状部分34の容積より大きく拡げられる。このとき、器形状部分34は、硬化した樹脂材18から剥離される。
【0053】
以上の工程により、スプライス部保護構造10が形成される。
【0054】
そして最後に、図10に示すように、スプライス部保護構造取出し工程S7では、スプライス部保護構造10を器形状部分34内から取出す。
【0055】
ここで、上記スプライス部保護構造10の製造方法は、スプライス部保護構造10を製造可能な限り工程S1〜S7の順序を入れ替えてもよい。例えば、樹脂材注入工程S2とスプライス部挿入工程S3の順序を入れ替えて、器形状部分34を拡げた状態で、器形状部分34内にスプライス部16を挿入してから樹脂材18を注入してもよい。
【0056】
上記のようなスプライス部保護構造10の製造装置及び製造方法によると、拡縮調節部40により枠体22と可変型32とにより形成される拡縮調節空間28に空気を送抜して拡縮調節空間28内の圧力を変化させることにより、可変型32の器形状部分34を拡縮変形可能である。これにより、器形状部分34内に樹脂材18及びスプライス部16を内設した状態で、器形状部分34を縮めることにより、対象となる(器形状部分34に挿入された)スプライス部16の大きさに適したサイズで当該スプライス部16に樹脂材18を被覆させることができる。つまり、大きさが異なるスプライス部16に対しても、それぞれのスプライス部16の大きさに適したサイズでスプライス部保護構造10を形成することができる。これに伴い、樹脂材18の無駄な使用を抑制することができ、樹脂材18の硬化時間も短縮することができる。また、器形状部分34を拡げることにより、樹脂材18の注入及びスプライス部16の挿入を容易にすると共に、完成したスプライス部保護構造10の取出しを容易にすることもできる。
【0057】
また、本実施形態に係るスプライス部保護構造10の製造には成型加工用の金型等を必要としないため、比較的小規模かつ低費用な設備で安価なスプライス部保護構造10を製造することができる。従って、スプライス部保護構造10は、スプライス部16の製造現場の傍でも容易に製造可能にすることができる。
【0058】
{変形例}
第1実施形態に係るスプライス部保護構造の製造方法において、工程S6の終了後、工程S2及び工程S4〜S6を複数回行って、樹脂材18によりスプライス部16を複数重に被覆してもよい。以下、第1実施形態の工程S2及び工程S4〜S6と異なる点について説明する。
【0059】
樹脂材注入工程S2では、樹脂材18の注入量は、液状の樹脂材18が器形状部分34内に配設されているスプライス部保護構造10全体を被覆できる程度の量である。
【0060】
また、可変型縮め工程S4では、器形状部分34は、スプライス部保護構造10に接触しない程度に小さく縮められる。これにより、器形状部分34内の樹脂材18は、スプライス部保護構造10の全体を被覆する。ここで、スプライス部保護構造10の周りを被覆している液状の樹脂材18は、スプライス部保護構造10が露出しない程度にその全体を薄く(スプライス部16及び芯線露出部15より僅かに大きく)被覆している。
【0061】
また、可変型拡げ工程S6では、器形状部分34は、拡げられて、スプライス部保護構造10を被覆している硬化した樹脂材18から剥離される。
【0062】
また、上記工程に加え、工程S6の後にスプライス部保護構造10を器形状部分34から取出し、再び挿入して工程S2及び工程S4〜S6を繰り返してもよい。
【0063】
これにより、スプライス部16の大きさに適したサイズで被覆保護できると共に、より確実に絶縁、止水保護するスプライス部保護構造10を形成することができる。
【0064】
また、上記のように、スプライス部16を複数重に被覆する場合、器形状部分が、器形状部分の開口方向に直交する平面において断面視歯車形又は星型等の断面視非円形に形成されている可変型を使用してもよい。断面視非円形に形成された器形状部分を有する可変型を使用すると、当該器形状部分の凸部分又は山部分により形成されたスプライス部保護構造10の硬化された樹脂材18の凸部分又は山部分が、次回の樹脂材18被覆の際に器形状部分と干渉するため、液状の樹脂材18が断面視非円形のスプライス部保護構造と器形状部分との間に入って、スプライス部保護構造10が被覆される。
【0065】
これにより、スプライス部保護構造10の樹脂材18の被覆に薄い部分があっても、或いは芯線が露出する部分があっても、次の被覆の際により確実にスプライス部16を保護することができる。
【0066】
{第2実施形態}
以下、第2実施形態に係るスプライス部保護構造10の製造装置について説明する。なお、本実施形態の説明において、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0067】
また、以下説明中に図面の上下方向を上下で表すことがあるが、当該方向は説明の便宜上用いるものであってスプライス部保護構造10の製造装置における方向を限定するものではない。
【0068】
図11は第2実施形態に係るスプライス部保護構造10の製造装置を示す図、図12は第2実施形態に係るスプライス部保護構造10の製造装置に用いられる拡縮補助部材170の平面図、図13は第2実施形態に係るスプライス部保護構造10製造装置に用いられる拡縮補助部材170の側面図である。
【0069】
第2実施形態に係るスプライス部保護構造10の製造装置は、第1実施形態と同様に構成された可変型32と、拡縮調節部40と、硬化処理部50と、第2実施形態特有の枠体122と、枠体支持部160と、拡縮補助部材170とを備えている。
【0070】
枠体122は、両端に略円形状の開口を有する略円筒形状に形成されている。また、枠体122は、一端側の開口部125に可変型32を配設可能であると共に、他端側の開口部126から後述する拡縮補助部材170と枠体支持部160の内接部164を挿入可能に形成されている。そして、枠体122は、後述する枠体支持部160により他端側の開口部126が塞がれるように構成され、当該枠体支持部160の内接部164の上側部分により枠体122の底部が形成されている。ここでは、枠体122の軸方向(図11の上下方向)の寸法は、後述する内接部164と拡縮補助部材170とを枠体122内の他端部内(図11の下側)に配設した状態で、枠体122の内周面124と後述する拡縮補助部材170の上端部分とにより略凹形状に形成される部分の軸方向(図11の上下方向)寸法が、対象となる種々の形状・大きさのスプライス部16のうちスプライス端部17が最長のものについて、その先端からスプライス部16を形成している複数の電線12の被覆部13における露出側部分14までの寸法より長くなるように形成されている。また、枠体122の内径は、以下のような寸法に形成されている。枠体122の一端側部分(後述する拡縮調節空間128を形成する部分)の内径は、対象となる種々の形状・大きさのスプライス部16のうちスプライス端部17が最太のものについて、スプライス部16を形成する複数の電線12における被覆部13群の最大径より大きく形成されている。枠体122の他端側部分(後述する枠体支持部160及び拡縮補助部材170が内設されている部分)の内径は、後述する拡縮補助部材170を嵌入れ可能(ここでは拡縮補助部材170の径と同径)であると共に、内接部164を挿入可能(ここでは内接部164より僅かに大径)に形成されている。ここでは、枠体122の内径は、上記内径の条件を満たした上で一端側から他端側にかけて略同径に形成されている。しかし、枠体122の内径は一端側から他端側にかけて略同径に形成されるものに限られず、上記条件を満たしていれば各所で内径が異なるように形成されていてもよい。また、枠体122は、円筒形状に限られるものではなく、例えば、多角円筒形状であってもよい。さらに、枠体122には、その内周面124に拡縮補助部材170を係止するための突起又は内径が小径の部分が形成されていてもよい。
【0071】
また、枠体122は、その内周面124と後述する可変型32と拡縮補助部材170との間に形成される拡縮調節空間128内の圧力変化により変形しない程度の剛性を有すると共に、紫外線透過性を有する材料で形成されている。ここでは、枠体122は、石英ガラスで形成されている。他にも、枠体122は、紫外線透過性を有するガラス(石英ガラス以外のもの)、樹脂等により形成されていてもよい。
【0072】
枠体支持部160は、枠体122を載置状に支持可能に形成された基台部162と、枠体122の他端部(下端部)内に嵌込まれることで枠体122を支持可能に形成された内接部164とを有している。ここでは、基台部162は、枠体122の外径より大径の略円筒形状に形成されている。また、内接部164は、基台部162より小径(ここでは枠体122の厚さ分以上小径)でかつ枠体122の内径より小径(ここでは枠体122の内径より僅かに小径)の略円柱形状に形成されている。これらの基台部162と内接部164とは、ステンレス材で一体成形されている。ここで、枠体支持部160の材質は、ステンレス材に限られるものではない。もっとも、枠体支持部160は、ステンレス等の金属材で形成されていることが好ましい。これは、対薬品性に優れると共に上記樹脂材18が漏れて固着しても剥がせるからである。ここで、基台部162及び内接部164の形状は円柱形状に限られるものではなく、枠体122を載置状及び嵌合い状に支持可能なように枠体122の形状に合わせて形成されるとよい。また、内接部164には、拡縮調節空間128内の空気抜けを防止すると共に枠体122内に挿入された状態で枠体122を支持するために、内接部164の外周面の一部にシーリング材が取り付けられている。ここでは、シーリング材として2つのOリング168が用いられている。この2つのOリング168は、内接部164の軸方向に離隔して内接部164の外周囲に形成された環状溝に軸方向移動不能に取り付けられている。ここで、Oリング168は、弾性を有する樹脂等の材料で形成されているとよい。そして、枠体122と枠体支持部160とを組み付けたとき、Oリング168が枠体122の内周面124と内接部164の外周面との間に圧縮状に介在して、枠体122と内接部164との隙間を塞いだ状態になる。また、枠体122と枠体支持部160との間で十分な取付強度を得ることができる。さらに、複数箇所にOリング168を設けることにより、枠体122のがたつきを防止できると共に、密閉性及び取付強度を増すことができる。
【0073】
枠体122と枠体支持部160とを組み立てたとき、枠体支持部160は、基台部162上に枠体122の他端部が接するようにして枠体122を載置状に支持すると共に、内接部164を枠体122の他端側の開口部126から挿入して内設した状態で、内接部164に設けられたOリング168が枠体122の内周面124に密着して枠体122を支持する。このとき、枠体122は、その軸方向が内接部164及び基台部162の軸方向と略一致する姿勢(軸方向が枠体支持部160載置面に対して略垂直になる姿勢)で支持されている。
【0074】
このように、枠体122と枠体支持部160とは、内接部164が枠体122の他端部内に挿入され、内接部164の外周面と枠体122との内周面との間にOリング168が圧縮介在することで組み付けられている。そのため、枠体122は、その軸方向に引き抜く動作だけで容易に取り外し可能である。これにより、本製造装置は、取扱性及びメンテナンス性に優れている。
【0075】
また、Oリング168が枠体122の内周面124と枠体支持部160の外周面との間に圧縮状に介在して他端側の開口部126を塞いでいるため、枠体122内には、枠体122の一端側の開口部125を塞ぐように配設された可変型32と、後述する拡縮補助部材170と、枠体122内周面124との間に拡縮調節空間128が形成されている。
【0076】
また、枠体支持部160には、拡縮調節部40の流出入口44から流出入する空気を拡縮調節空間128内に送抜するために、基台部162及び内接部164を通る流路166が形成されている。この流路166は、基台部162の外周面の一部に開口すると共に、内接部164の上側(拡縮調節空間128側)に略円形状に開口するように形成されている。また、枠体支持部160は、基台部162に形成された開口が流出入口44に接続されており、流路166を通じて内接部164に形成された開口から拡縮調節空間128内に空気を送抜可能に構成されている。ここで、内接部164に形成された開口に流出入する空気は、次に説明する拡縮補助部材170を介して拡縮調節空間128内に流出入する。
【0077】
拡縮補助部材170は、略円柱形状に形成されており、貫通状に形成された複数の小孔174と枠体支持部160側に開口する凹部176とが形成された構成となっている。より具体的には、拡縮補助部材170は、その外径が枠体122の内径と略同径に形成されており、枠体支持部160側に略円形状の開口を有する略円形状の凹部176が形成されている。拡縮補助部材170の可変型32側の部分に上記凹部176の径より小さい略円形状の小孔174が形成されている。ここでは、拡縮補助部材170の中心及びその中心から放射状に広がる位置に17個の略同径の小孔174が形成されている。より具体的には、拡縮補助部材170の中心に1個の小孔174が形成されると共に、それを中心とする拡縮補助部材170より小径で異なる径の2つの仮想円と、拡縮補助部材170の中心を通ってその周方向45度毎に径方向に延びる直線とが交わる点(16点)を中心とした16個の小孔174が形成されている。また、小孔174の可変型32側の開口は拡縮調節空間128に臨み、枠体支持部160側の開口は凹部176内に臨んでいる。
【0078】
拡縮補助部材170は、枠体122の底部側に、より具体的には、枠体122内の可変型32と内接部164との間で内接部164の上側部分により形成されている枠体122の底部に設けられている。ここでは、拡縮補助部材170は、枠体122の底部の上方に、より具体的には、枠体122内に挿入されている内接部164の上側に隣接する位置に嵌入れされている。このとき、拡縮補助部材170は、凹部176が開口する側を枠体支持部160側(枠体122下側)に向け、その反対側で小孔174が開口する側を可変型32側(枠体122上側)に向けた姿勢で嵌入れされている。そして、流路166から凹部176及び複数の小孔174を通じて拡縮調節空間128内に空気が送抜される。ここで、拡縮補助部材170は、枠体122の底部から離れた位置にあってもよい。すなわち、器形状部分34が最大に拡がった状態で、器形状部分34と枠体122の底部との間に位置するように、当該枠体122の底部側にあればよい。
【0079】
上記枠体122、可変型32、拡縮調節部40、枠体支持部160及び拡縮補助部材170の構成により、可変型32の器形状部分34が拡縮変形操作される。より具体的には、拡縮調節部40の操作部42aを押込むと、空気が流出入口44から流出して流路166を通り、拡縮補助部材170に送られる。拡縮補助部材170では、空気は凹部176を介して複数の小孔174に分岐され、各小孔174を通って拡縮調節空間128内に送られる。これにより、拡縮調節空間128内の圧力は高くなる。そして、器形状部分34は、器形状部分34内の圧力(外圧)と拡縮調節空間128内の圧力と器形状部分34の弾性力とが釣合う状態となるように縮まる。また、拡縮調節部40の操作部42aを引くと、拡縮調節空間128内の空気は、拡縮補助部材170の小孔174を通って拡縮調節空間128から抜かれた後、流路166を通って流出入口44に流入する。これにより、拡縮調節空間128内の圧力が低くなる。そして、器形状部分34は、器形状部分34内の圧力(外圧)と拡縮調節空間128内の圧力と器形状部分34の弾性力とが釣合う状態となるように拡がる。
【0080】
従って、上記のように空気を送抜する際、仮に器形状部分34が複数の小孔174のうちのいずれかを塞いだとしても、他の小孔174を通じて空気が送抜される。そして、必要に応じて、器形状部分34が拡縮調節空間128内ほぼ全体に拡がる状態まで、拡縮調節空間128内の空気を抜くことができる。
【0081】
第2実施形態に係るスプライス部保護構造10の製造装置によると、拡縮調節部40が複数の小孔174を有する拡縮補助部材170を介して拡縮調節空間128内の圧力を調節可能に備えられているため、いずれかの小孔174を通じて拡縮調節空間128内に対して空気をより確実に送抜でき、可変型32の器形状部分34をより円滑かつ確実に拡縮変形させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】第1実施形態に係るスプライス部保護構造を示す図である。
【図2】第1実施形態に係るスプライス部保護構造の製造装置を示す図である。
【図3】第1実施形態に係るスプライス部保護構造の製造工程を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態に係る可変型拡げ工程を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る樹脂材注入工程を示す図である。
【図6】第1実施形態に係るスプライス部挿入工程を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る可変型を縮め工程を示す図である。
【図8】第1実施形態に係る樹脂材硬化処理工程を示す図である。
【図9】第1実施形態に係る可変型拡げ工程を示す図である。
【図10】第1実施形態に係るスプライス部保護構造取出し工程を示す図である。
【図11】第2実施形態に係るスプライス部保護構造の製造装置を示す図である。
【図12】第2実施形態に係るスプライス部保護構造の製造装置に用いられる拡縮補助部材の平面図である。
【図13】第2実施形態に係るスプライス部保護構造の製造装置に用いられる拡縮補助部材の側面図である。
【符号の説明】
【0083】
10 スプライス部保護構造
12 電線
16 スプライス部
18 樹脂材
22 枠体
24 凹部
25 開口部
28 拡縮調節空間
32 可変型
34 器形状部分
40 拡縮調節部
122 枠体
124 内周面
125 開口部
128 拡縮調節空間
170 拡縮補助部材
174 小孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線を接合したスプライス部を硬化特性を有する樹脂材で被覆保護するスプライス部保護構造の製造方法であって、
(a)拡縮変形可能な器形状部分を有する可変型に前記樹脂材を注入する工程と、
(b)前記可変型に前記スプライス部を挿入する工程と、
(c)前記器形状部分を前記スプライス部の大きさに応じて拡縮変形させ、前記スプライス部に前記樹脂材を被覆させる工程と、
(d)前記樹脂材の硬化処理を行う工程と、
を備えるスプライス部保護構造の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のスプライス部保護構造の製造方法であって、
開口を有する枠体と、
前記枠体の開口を塞ぐように配設され、前記枠体との間に形成された拡縮調節空間内の圧力に応じて前記器形状部分を拡縮変形可能な前記可変型と、
を用いるスプライス部保護構造の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のスプライス部保護構造の製造方法であって、
前記工程(a)では、前記器形状部分を拡げた状態で前記可変型に前記樹脂材を注入し、
前記工程(b)では、前記器形状部分を拡げた状態で前記可変型に前記スプライス部を挿入する、
スプライス部保護構造の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のスプライス部保護構造の製造方法であって、
(e)前記工程(d)の後に、前記器形状部分を拡げて、前記樹脂材で保護した前記スプライス部を前記器形状部分から抜出す工程、をさらに備えるスプライス部保護構造の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のスプライス部保護構造の製造方法であって、
前記工程(a)及び(c)、(d)の作業を複数回行い、前記スプライス部を前記樹脂材で複数重に被覆するスプライス部保護構造の製造方法。
【請求項6】
複数の電線を接合したスプライス部を硬化特性を有する樹脂材で被覆保護するスプライス部保護構造の製造装置であって、
開口を有する枠体と、
前記枠体の開口を塞ぐように配設されて、前記樹脂材を注入可能でかつ前記スプライス部を挿入可能な器形状部分を形成すると共に前記枠体の内面との間に拡縮調節空間を形成し、前記拡縮調節空間内の圧力に応じて前記器形状部分を拡縮変形可能な可変型と、
前記拡縮調節空間内に圧力を調節して前記器形状部分を拡縮変形させる拡縮調節部と、
を備えるスプライス部保護構造の製造装置。
【請求項7】
請求項6に記載のスプライス部保護構造の製造装置であって、
前記枠体の底部側に、複数の小孔が形成され、前記複数の小孔を通じて前記拡縮調節空間内に流体を送抜可能に形成された拡縮補助部材を、さらに備えるスプライス部保護構造の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−113891(P2010−113891A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284267(P2008−284267)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】