スプリンクラヘッド
【課題】外力の影響を受けにくく、感熱素子がヘッドの外部に突設されていない場合であっても、受熱効率を向上させることができるスプリンクラヘッドを得る。
【解決手段】放水口2を有するヘッド本体1と、放水口2を塞ぐ弁体15と、弁体15を支持する感熱分解機構30とを備えたスプリンクラヘッドにおいて、感熱分解機構30に設けられた可溶合金62よりも下方であって、かつその外周に位置して、外力を受けるガード部材35を設けたものである。
【解決手段】放水口2を有するヘッド本体1と、放水口2を塞ぐ弁体15と、弁体15を支持する感熱分解機構30とを備えたスプリンクラヘッドにおいて、感熱分解機構30に設けられた可溶合金62よりも下方であって、かつその外周に位置して、外力を受けるガード部材35を設けたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリンクラヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスプリンクラヘッドにおいては、感熱分解部分をカバーで覆って美感を良好にすると共に、外的衝撃から守るものとして、フレームに取り付けたカバーで感熱分解部分を包囲するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平07−231949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスプリンクラヘッドは、高感度化を図るために、感熱素子をヘッドの最下端部に突設する構造を取っている。このため感熱素子を含む感熱分解機構は、外力の影響を受けやすく、外的衝撃により破壊又は変形して誤動作や漏水が生じる恐れがあるという問題点があった。
【0005】
外力から保護するために、感熱素子の位置をヘッドの最下端部から上部へ移すことも考えられるが、このようにすると熱気流による熱を集熱することができず、受熱効率が低下するという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、外力の影響を受けにくいスプリンクラヘッドを得ることを目的とする。
また、感熱素子がヘッドの下端部に突設されていない場合であっても、受熱効率を向上させることができるスプリンクラヘッドを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るスプリンクラヘッドは、放水口を有するヘッド本体と、前記放水口を塞ぐ弁体と、該弁体を支持する感熱分解機構とを備えたスプリンクラヘッドにおいて、前記感熱分解機構に設けられた感熱素子よりも下方であって、かつその外周に位置して、外力を受けるガード部材を設けたものである。
【0008】
また、前記ヘッド本体に接続されたフレーム部を備え、前記ガード部材は、前記フレーム部と少なくとも上下方向に当接する当接部を設け、当該ガード部材が受けた外力を、前記フレームに伝達するものである。
【0009】
また、前記ガード部材を円筒状に形成し、該ガード部材の下端側に内外面を連通する開口若しくは切り欠きを設けたものである。
【0010】
また、前記ガード部材は、前記感熱分解機構と、前記ヘッド本体に接続されたフレーム部との間に、両者のすき間を塞ぐように設けられ、前記フレーム部内部を封止するものである。
【0011】
また、感熱素子と感熱板とからなる感熱部を備え、前記感熱板を前記感熱素子に向かって傾斜する傾斜面を有するように折曲したものである。
【0012】
また、本発明に係るスプリンクラヘッドは、少なくとも感熱素子と感熱板とからなる感熱部を有するスプリンクラヘッドにおいて、前記感熱板を前記感熱素子に向かって傾斜する傾斜面を有するように折曲したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、感熱分解機構に設けられた感熱素子よりも下方であって、かつその外周に位置して、外力を受けるガード部材を設けたので、外力の影響を受けにくくすることができる。
また、感熱板を感熱素子に向かって傾斜する傾斜面を有するように折曲したので、感熱素子がヘッドの下端部に突設されていない場合であっても、受熱効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施形態1.
図1は本発明の実施形態1に係る縦断面図、図2は図1のヘッド本体の縦断面図、図3は図1のフレームの縦断面図、図4は図1の弁体の縦断面図、図5は図1のデフレクタアッセンブリを示す図、図6は図1の感熱分解機構を示す図、図7は図1の感熱板を示すもので、(a)は平面図、(b)は断面図、図8は図1の外観図である。
【0015】
図において、1はヘッド本体で、中心部が貫設され、内部に放水口2を有する。フランジ4の上面には給水管に接続されるねじ部3が設けられ、フランジ4の下面には、後述するフレーム10(フレーム部ともいう)が螺合されるねじ部5が設けられた円筒部6が突設されている。円筒部6には、後述する支柱23が遊嵌合される孔7が周方向に形成されている。また円筒部6の内周面側には、後述するロックボール71が当接するテーパ面が形成された溝部8が形成されている。フレーム10は、ヘッド本体1と接続されるものであればよく、例えば、両者は一体にしてもよく、この場合にはフレーム10はフレーム部となる。
【0016】
10はヘッド本体1に結合された円筒状のフレームで、円筒部6よりも長く形成されており、上部にはヘッド本体1のねじ部5に螺合されるめねじ部11が設けられており、下端部にはフランジ状の段部12が内側に環状で形成されている。
【0017】
15は弁体で、ヘッド本体1の放水口2を塞ぐ。弁体15は、ヘッド本体1の円筒部6の内径より僅かに小さい外径の本体部51、本体部51の中央上面に突設されヘッド本体1の放水口2内に挿入される頭部52、本体部51の放水口側である上面53の外周部に上部に突設された段部54から構成される。
【0018】
弁体15と放水口2との間には、例えばフッ化樹脂がコーティングされ、断面ほぼハ字状で円形の皿ばね17が介設されている。皿ばね17は、ドーナツ状に形成され、中央には連結用の穴が設けられる。この連結穴の内径は、弁体15の頭部52の外径とほぼ同じであり、連結穴により、皿ばね17は弁体15の頭部52に取り付けられる。この皿ばね17は、放水口2の下端外周にある放水口端縁9に接している。また、弁体15の段部54の上面は、皿ばね17の外側でヘッド本体1の放水口端縁9と当接し、皿ばね17が所定の変位量となるように、弁体15の上面53とヘッド本体1の放水口端縁9の下面との間に間隙を形成する。これにより、皿ばね17の外周側には上向に作用する所定の復元力が生じて、皿ばね17の外周縁が放水口端縁9と圧接し、また内周側には下方に作用する所定の復元力が生じて、皿ばね17の内周縁が弁体15の上面53と圧接し、放水口2と弁体15との水密を保つ。尚、耐腐食性を向上させるため、フッ化樹脂コーティングを施しているが、これは省略しても良い。
【0019】
20はデフレクタアッセンブリで、デフレクタ21、支柱23、ストッパリング25、弁体15から構成される。支柱23は、その上端及び下端にフランジ状の係止部が形成され、ヘッド本体1の孔7に挿入されている。ストッパリング25は、支柱23が遊嵌合される貫通孔が周方向に設けられ、その内径は弁体15の本体部51の外径より僅かに大きく形成され、外径はフレーム10の内径より小さく、かつ、放水時における降下時にフレーム10の段部12に係止する大きさに形成されている。円板状のデフレクタ21は、支柱23が嵌合される貫通孔が周方向に設けられ、その外径はフレーム10の段部12の内径より小さく形成され、内径は弁体15の本体部51の外径より小さく形成され、放水時における降下時に弁体15を係止する。
【0020】
30は弁体15を支持する感熱分解機構で、ボール支持筒31、感熱部40、ガード部材35から構成される。円筒状のボール支持筒31は、フレーム10内に摺動可能に配設され、その上部の側面には、後述するロックボール71の挿入穴32が例えば6つ形成されている。またその下部において内側は縮径されて、内周面には後述するシリンダ41が螺合されるねじ部が形成され、下部の外周面には、後述するガード部材35が螺合されるねじ部が形成されている。尚、挿入穴32の内径は、ロックボール71の外径より大きく形成されている。またボール支持筒31の上部外径は、弁体15の本体部51とほぼ同型に形成され、本体部51の下面に環状の段部を形成することで、ボール支持筒31の上部に弁体15が係止するようにしている。
【0021】
感熱部40は、シリンダ41、感熱板42、可溶合金62、ピストン63から構成される。シリンダ41は、有底円筒状に形成され、その外周上部に設けられたねじ部によりボール支持筒31と螺合し、その下部はボール支持筒31の下端から突出している。またその下面には感熱板42の連結穴を挿入した後、カシメ付けて感熱板42を一体化して固定している。感熱素子となる可溶合金62は、合金でなくてもよく、例えば樹脂からなる可溶片であってもよい。
【0022】
可溶合金62は、例えばコンプレッション半田等からなる感熱素子であり、シリンダ41内のピストン63の下方に収容され、熱によって溶融する。この可溶合金62は、ボール支持筒31の下面から下方に突出しており、熱気流に当たりやすい位置に設けられる。
【0023】
ピストン63は、断面T字型に形成され、シリンダ41内において可溶合金62の上に上下に摺動可能に収容される。またピストン63の上部には円板状のロックボール受け部64が設けられ、その外径はボール支持筒31上部の内径より僅かに小さく形成されている。またこのロックボール受け部64の外周には、傾斜角がそれぞれ異なる2段の傾斜面からなり、ロックボール71が当接するテーパ面が設けられている。
【0024】
ロックボール71は、鋼材等からなり、ボール支持筒31の挿入穴32に入って、ヘッド本体1の溝部8及びロックボール受け部64のテーパ面で当接して、感熱分解機構30がヘッド本体1及びフレーム10から離脱するのを阻止している。
【0025】
感熱板42は、中央部が円錐台状に折曲した円板で、中心部には連結穴43が設けられており、その上部44がシリンダ41底面にカシメ付けて固定され、傾斜面45がシリンダ41内に収容された可溶合金62に向かって傾斜するように折曲している。感熱板42の下部46はほぼ水平に形成され、ガード部材35の下方まで延出している。また、感熱板42の下部46とガード部材35の下端との間には、所定の隙間(熱気流空間)が設けられている。尚、本実施形態では感熱板42が1枚の場合を説明するが、これに限らず複数設けても良い。
【0026】
ガード部材35は、ほぼ円筒体でその上部の外径は縮径され、その外径はフレーム10の段部12の内径より小さく形成され、またその上部の内径は縮径され、ボール支持筒31が螺合されるねじ部が形成されている。また、ガード部材35の外周側には下側が拡径される段部が設けられ、フレーム10の段部12の下面と上下方向に当接する当接部37が形成されている。そして当接部37より下側は下方に向かって先細りのテーパ状に形成されている。このガード部材35の高さは、ボール支持筒31と螺合した際に、その下端が、可溶合金62よりも下方であって、かつ感熱板42の下部46よりも上方となるように選ばれている。さらにガード部材35は、感熱分解機構30のボール支持筒31と、ヘッド本体1に結合されたフレーム10との間に、両者のすき間を塞ぐように設けられ、つまり両者の隙間を塞げる幅を有しており、フレーム10内部を封止する。
このガード部材35の上面には、支柱23の下端が当接している。
ガード部材35の下側は、可溶合金62の周囲に空間ができるように凹部を有する形状となっている。これは、凹部内で熱気流が滞留しやすく感熱素子である可溶合金62の溶融を促進させる。
【0027】
上記のようなスプリンクラヘッドにおいては、弁体15によりヘッド本体1の放水口2を組立荷重で封止して水漏れを防止しており、この組立荷重がボール支持筒31を介してロックボール71に下向きに作用する。ロックボール71はこの荷重によりヘッド本体1の溝部8のテーパ面に圧接される。このため、ロックボール71には常にボール支持筒31の内側に入ろうとする力が作用している。しかしながら、ロックボール71はピストン63のロックボール受け部64の当接面により移動が阻止されているためその位置に保持され、ボール支持筒31をロックしている。
【0028】
次に、本実施形態の作用を説明する。
図9はスプリンクラヘッドが警戒状態にある場合を示すもので、ヘッド本体1の放水口2には加圧された消火水が供給されており、弁体15には消火水の圧力が加えられている。
【0029】
いま、火災が発生すると、天井板(図示せず)の下面を沿ってその熱気流が横方又は下方から上方に流動して感熱板42に当たって加熱され、その熱がシリンダ41へ伝播する。そしてシリンダ41内に収容された可溶合金62が周囲から加熱されて溶融し始め、溶融した可溶合金62はシリンダ41とピストン63の間から流出してその体積が減少する。
【0030】
このとき、図9の矢印で示すように、横方向からの熱気流は、感熱板42を加熱するとともに、感熱板42の下部46とガード部材35下端との間の隙間(熱気流空間)に流入し、傾斜面45の傾斜に沿って上昇してシリンダ41に直接当たってシリンダ41を加熱する。また、下方からの熱気流も傾斜面45の下面側に沿って上昇してシリンダ41の下面側を加熱する。このため、可溶合金62がガード部材35の下端部より上方に設けられ、スプリンクラヘッドの外部に突設されていなくても受熱効率が向上して、シリンダ41内の可溶合金62は短時間で溶融する。
【0031】
可溶合金62が溶融してその体積が減少すると、図10に示すように、ピストン63のロックボール受け部64が下降する。これにより、ロックボール71はヘッド本体1の溝部8から外れて、ボール支持筒31の内側に入り込みボール支持筒31のロックが解除される。
【0032】
そして、図11に示すように、感熱分解機構30は自重及び消火水の水圧により下降して、フレーム10から離脱して落下する。同時に、弁体15を含むデフレクタアッセンブリ20も自重及び消火水の水圧によって落下し、ストッパリング25がフレーム10の段部12上に着座して停止する。このとき、弁体15はボール支持筒31にガイドされて降下し、デフレクタ21上に着座する。これにより、ヘッド本体1の放水口2が開放され、消火水はデフレクタ21から散水されて火災を消火する。
【0033】
ところで、上記のようなスプリンクラヘッドにおいて、ガード部材35がない場合、可溶合金62がフレーム10又はボール支持筒31の最下端より突出することになる。このため、可溶合金62を含む感熱分解機構30に外的衝撃が加わると、感熱分解機構30が破損して誤動作や消火水が漏水することがある。また、感熱分解機構30に加わった外力が、ボール支持筒31を介して弁体15に加わり、弁体15が破損又は変形して、誤動作や消火水が漏水する恐れがある。
【0034】
本実施形態1においては、ボール支持筒31と螺合するガード部材35を設け、その下端が可溶合金62よりも下方であって、かつ可溶合金62の外周に位置して、外力を受けるようにしている。このため、可溶合金62を含む感熱分解機構30及びこれに支持される弁体15は、外力の影響を受けにくくすることができる。したがって、可溶合金62を含む感熱分解機構30及びこれに支持される弁体15の外的衝撃による破壊又は変形を防止して誤動作や漏水を生じにくくすることができる。
【0035】
また、ガード部材35に、フレーム10の段部12に当接する当接部37を設け、当該ガード部材35が受けた外力を、フレーム10に伝達するようにしている。このため、ガード部材35が受けた外力が、感熱分解機構30又は弁体15に加わりにくくなり、可溶合金62を含む感熱分解機構30及びこれに支持される弁体15の外的衝撃による破壊又は変形を防止して誤動作や漏水を生じにくくすることができる。
【0036】
また、ガード部材35は、その内周面をボール支持筒31と螺合し、外周面を当接部37によりフレーム10と当接して、感熱分解機構30とフレーム10とのすき間を塞いでフレーム10内部を封止している。このため、フレーム10(及びヘッド本体1)内部が密封構造になるため、腐食性の高い雰囲気中に設置されても、感熱分解機構30のロックボール71や可溶合金62等は腐食するおそれがない。
【0037】
また、ガード部材35をフレーム10より内側に設けることで、可溶合金62のより近傍で外力を受けることができ、可溶合金62を含む感熱分解機構30が外力を受けるのを防止することができる。
【0038】
また、上記のようなガード部材35を設けて、可溶合金62がガード部材35の下端部より上方に位置する場合であっても、感熱板42を可溶合金62に向かって傾斜する傾斜面45を有するように折曲したので、熱気流は、感熱板42の下部46とガード部材35下端との間の隙間に流入し、傾斜面45の傾斜に沿って上昇してシリンダ41に直接当たってシリンダ41を加熱することができる。したがって、可溶合金62がヘッドの外部に突設されていない場合であっても、受熱効率を向上させることができる。
【0039】
尚、本実施形態においては、ガード部材35がボール支持筒31に螺合する場合を説明したが、本発明はこれに限らず、ボール支持筒31にガード部材35を一体形成するようにしても良い。
【0040】
実施形態2.
図12は本発明の実施形態2に係る外観図である。
以下、本発明の実施形態2に係るスプリンクラヘッドを説明するが、上記実施形態1と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
図12に示すように、本実施形態2に係るガード部材35は、その下端側に内外面を連通する切り欠き38を形成している。
このような構成により、上記実施形態1と同様に、可溶合金62を含む感熱分解機構30及びこれに支持される弁体15は、外力の影響を受けにくくすることができる。さらに、切り欠き38を設けることにより、熱気流が、感熱板42とガード部材35との間に流入しやすくなり、受熱効率をさらに向上させることができる。そのため感熱板を曲げなくても良い。
【0042】
尚、上記切り欠き38に代えて、ガード部材35の下端側に内外面を連通する開口を設けるようにしても良い。これによっても同様の効果を得ることができる。
【0043】
実施形態3.
図13は本発明の実施形態3に係る外観図である。
以下、本発明の実施形態3に係るスプリンクラヘッドを説明するが、上記実施形態1と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0044】
図13に示すように、本実施形態3に係るガード部材35は、フレーム10の下端を、可溶合金62の下端位置とほぼ同じ位置まで延出して、フレーム10にガード部材35を一体形成する。
このような構成により、上記実施形態1と同様に、可溶合金62を含む感熱分解機構30及びこれに支持される弁体15は、外力の影響を受けにくくすることができ、可溶合金62を含む感熱分解機構30及びこれに支持される弁体15の外的衝撃による破壊又は変形を防止して誤動作や漏水を生じにくくすることができる。
【0045】
実施形態4.
本実施形態4では、他の形状の場合について説明する。
以下、本発明の実施形態4に係るスプリンクラヘッドを説明するが、上記実施形態1と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0046】
図14は本発明の実施形態4に係る感熱板の平面図である。
上記実施形態1では、感熱板42の傾斜面45を円錐台上に形成し、熱気流を傾斜面45の傾斜に沿って上昇させるようにしたが、その一部は外周方向に迂曲する。
本実施形態4に係る感熱板42は、図14(a)に示すように、傾斜面45を切頭四角錐状に形成する。
このような構成により、感熱板42の傾斜面45に当たった熱気流は、外周方向に迂曲しにくくなり、シリンダ41方向に上昇する熱気流が増加して、より受熱効率を向上させることができる。
【0047】
また、図14(b)に示すように、傾斜面45を切頭多角錐状(例えば六角錐)とし、その角錐面となる傾斜面45を下方側に湾曲するように形成する。
このような構成により、傾斜面45に当たった熱気流は、外周方向に迂曲しにくくなるとともに、中心方向に屈曲し、シリンダ41方向に上昇する熱気流が増加して、より受熱効率を向上させることができる。
【0048】
実施形態5.
図15は本発明の実施形態5に係る縦断面図である。
以下、本発明の実施形態5に係るスプリンクラヘッドを説明するが、上記実施形態1と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0049】
図15に示すように、本実施形態5に係る感熱部40は、感熱板42aの下方に感熱板42bを更に備えている。
このような構成により、図15の矢印で示すように、横方向から流入した熱気流は、感熱板42a及び感熱板42bを加熱するとともに、感熱板42a及び感熱板42bの傾斜面45a及び45bの傾斜に沿ってそれぞれ上昇してシリンダ41に直接当たってシリンダ41の下部にある可溶合金62を加熱する。これによって、より受熱効率を向上させることができる。
なお、各実施形態において、傾斜面を有する感熱板とガード部材とを両方備えたスプリンクラヘッド用いて説明したが、これらは、いずれか一方だけを備えておればよい。また、感熱分解機構に関してはボールを使用したもので説明したが、ボールに限定されず、一対のレバーを利用したリンク機構で感熱分解機構を構成してもよく、要は、弁体を支持し、火災時に分解または破裂する機構であれば、他の感熱分解機構を使用してもよい。
また、ガード部材は、感熱素子の外周に位置するとしたが、これは全周である必要はなく、特定方向の外周部分だけをガードするものであってもよい。また、感熱板は、感熱素子に向かって熱気流を流す傾斜面が結果として形成されていればよく、折曲でなく、例えば、平板の感熱板と傾斜面となる感熱板とを溶接などにより接合させて、一体化させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態1に係る縦断面図である。
【図2】図1のヘッド本体の縦断面図である。
【図3】図1のフレームの縦断面図である。
【図4】図1の弁体の縦断面図である。
【図5】図1のデフレクタアッセンブリを示す図である。
【図6】図1の感熱分解機構を示す図である。
【図7】図1の感熱板を示すもので、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図8】図1の外観図である。
【図9】本発明の実施形態1に係る作用説明図である。
【図10】本発明の実施形態1に係る作用説明図である。
【図11】本発明の実施形態1に係る作用説明図である。
【図12】本発明の実施形態2に係る外観図である。
【図13】本発明の実施形態3に係る外観図である。
【図14】本発明の実施形態4に係る感熱板の平面図である。
【図15】本発明の実施形態5に係る縦断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 ヘッド本体、2 放水口、3 ねじ部、4 フランジ、5 ねじ部、6 円筒部、7 孔、8 溝部、9 放水口端縁、10 フレーム、11 めねじ部、12 段部、15 弁体、20 デフレクタアッセンブリ、21 デフレクタ、23 支柱、25 ストッパリング、30 感熱分解機構、31 ボール支持筒、32 挿入穴、35 ガード部材、37 当接部、38 切り欠き、40 感熱部、41 シリンダ、42 感熱板、43 連結穴、44 上部、45 傾斜面、46 下部、51 本体部、52 頭部、53 上面、54 段部、62 可溶合金、63 ピストン、64 ロックボール受け部、71 ロックボール。
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリンクラヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスプリンクラヘッドにおいては、感熱分解部分をカバーで覆って美感を良好にすると共に、外的衝撃から守るものとして、フレームに取り付けたカバーで感熱分解部分を包囲するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平07−231949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスプリンクラヘッドは、高感度化を図るために、感熱素子をヘッドの最下端部に突設する構造を取っている。このため感熱素子を含む感熱分解機構は、外力の影響を受けやすく、外的衝撃により破壊又は変形して誤動作や漏水が生じる恐れがあるという問題点があった。
【0005】
外力から保護するために、感熱素子の位置をヘッドの最下端部から上部へ移すことも考えられるが、このようにすると熱気流による熱を集熱することができず、受熱効率が低下するという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、外力の影響を受けにくいスプリンクラヘッドを得ることを目的とする。
また、感熱素子がヘッドの下端部に突設されていない場合であっても、受熱効率を向上させることができるスプリンクラヘッドを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るスプリンクラヘッドは、放水口を有するヘッド本体と、前記放水口を塞ぐ弁体と、該弁体を支持する感熱分解機構とを備えたスプリンクラヘッドにおいて、前記感熱分解機構に設けられた感熱素子よりも下方であって、かつその外周に位置して、外力を受けるガード部材を設けたものである。
【0008】
また、前記ヘッド本体に接続されたフレーム部を備え、前記ガード部材は、前記フレーム部と少なくとも上下方向に当接する当接部を設け、当該ガード部材が受けた外力を、前記フレームに伝達するものである。
【0009】
また、前記ガード部材を円筒状に形成し、該ガード部材の下端側に内外面を連通する開口若しくは切り欠きを設けたものである。
【0010】
また、前記ガード部材は、前記感熱分解機構と、前記ヘッド本体に接続されたフレーム部との間に、両者のすき間を塞ぐように設けられ、前記フレーム部内部を封止するものである。
【0011】
また、感熱素子と感熱板とからなる感熱部を備え、前記感熱板を前記感熱素子に向かって傾斜する傾斜面を有するように折曲したものである。
【0012】
また、本発明に係るスプリンクラヘッドは、少なくとも感熱素子と感熱板とからなる感熱部を有するスプリンクラヘッドにおいて、前記感熱板を前記感熱素子に向かって傾斜する傾斜面を有するように折曲したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、感熱分解機構に設けられた感熱素子よりも下方であって、かつその外周に位置して、外力を受けるガード部材を設けたので、外力の影響を受けにくくすることができる。
また、感熱板を感熱素子に向かって傾斜する傾斜面を有するように折曲したので、感熱素子がヘッドの下端部に突設されていない場合であっても、受熱効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施形態1.
図1は本発明の実施形態1に係る縦断面図、図2は図1のヘッド本体の縦断面図、図3は図1のフレームの縦断面図、図4は図1の弁体の縦断面図、図5は図1のデフレクタアッセンブリを示す図、図6は図1の感熱分解機構を示す図、図7は図1の感熱板を示すもので、(a)は平面図、(b)は断面図、図8は図1の外観図である。
【0015】
図において、1はヘッド本体で、中心部が貫設され、内部に放水口2を有する。フランジ4の上面には給水管に接続されるねじ部3が設けられ、フランジ4の下面には、後述するフレーム10(フレーム部ともいう)が螺合されるねじ部5が設けられた円筒部6が突設されている。円筒部6には、後述する支柱23が遊嵌合される孔7が周方向に形成されている。また円筒部6の内周面側には、後述するロックボール71が当接するテーパ面が形成された溝部8が形成されている。フレーム10は、ヘッド本体1と接続されるものであればよく、例えば、両者は一体にしてもよく、この場合にはフレーム10はフレーム部となる。
【0016】
10はヘッド本体1に結合された円筒状のフレームで、円筒部6よりも長く形成されており、上部にはヘッド本体1のねじ部5に螺合されるめねじ部11が設けられており、下端部にはフランジ状の段部12が内側に環状で形成されている。
【0017】
15は弁体で、ヘッド本体1の放水口2を塞ぐ。弁体15は、ヘッド本体1の円筒部6の内径より僅かに小さい外径の本体部51、本体部51の中央上面に突設されヘッド本体1の放水口2内に挿入される頭部52、本体部51の放水口側である上面53の外周部に上部に突設された段部54から構成される。
【0018】
弁体15と放水口2との間には、例えばフッ化樹脂がコーティングされ、断面ほぼハ字状で円形の皿ばね17が介設されている。皿ばね17は、ドーナツ状に形成され、中央には連結用の穴が設けられる。この連結穴の内径は、弁体15の頭部52の外径とほぼ同じであり、連結穴により、皿ばね17は弁体15の頭部52に取り付けられる。この皿ばね17は、放水口2の下端外周にある放水口端縁9に接している。また、弁体15の段部54の上面は、皿ばね17の外側でヘッド本体1の放水口端縁9と当接し、皿ばね17が所定の変位量となるように、弁体15の上面53とヘッド本体1の放水口端縁9の下面との間に間隙を形成する。これにより、皿ばね17の外周側には上向に作用する所定の復元力が生じて、皿ばね17の外周縁が放水口端縁9と圧接し、また内周側には下方に作用する所定の復元力が生じて、皿ばね17の内周縁が弁体15の上面53と圧接し、放水口2と弁体15との水密を保つ。尚、耐腐食性を向上させるため、フッ化樹脂コーティングを施しているが、これは省略しても良い。
【0019】
20はデフレクタアッセンブリで、デフレクタ21、支柱23、ストッパリング25、弁体15から構成される。支柱23は、その上端及び下端にフランジ状の係止部が形成され、ヘッド本体1の孔7に挿入されている。ストッパリング25は、支柱23が遊嵌合される貫通孔が周方向に設けられ、その内径は弁体15の本体部51の外径より僅かに大きく形成され、外径はフレーム10の内径より小さく、かつ、放水時における降下時にフレーム10の段部12に係止する大きさに形成されている。円板状のデフレクタ21は、支柱23が嵌合される貫通孔が周方向に設けられ、その外径はフレーム10の段部12の内径より小さく形成され、内径は弁体15の本体部51の外径より小さく形成され、放水時における降下時に弁体15を係止する。
【0020】
30は弁体15を支持する感熱分解機構で、ボール支持筒31、感熱部40、ガード部材35から構成される。円筒状のボール支持筒31は、フレーム10内に摺動可能に配設され、その上部の側面には、後述するロックボール71の挿入穴32が例えば6つ形成されている。またその下部において内側は縮径されて、内周面には後述するシリンダ41が螺合されるねじ部が形成され、下部の外周面には、後述するガード部材35が螺合されるねじ部が形成されている。尚、挿入穴32の内径は、ロックボール71の外径より大きく形成されている。またボール支持筒31の上部外径は、弁体15の本体部51とほぼ同型に形成され、本体部51の下面に環状の段部を形成することで、ボール支持筒31の上部に弁体15が係止するようにしている。
【0021】
感熱部40は、シリンダ41、感熱板42、可溶合金62、ピストン63から構成される。シリンダ41は、有底円筒状に形成され、その外周上部に設けられたねじ部によりボール支持筒31と螺合し、その下部はボール支持筒31の下端から突出している。またその下面には感熱板42の連結穴を挿入した後、カシメ付けて感熱板42を一体化して固定している。感熱素子となる可溶合金62は、合金でなくてもよく、例えば樹脂からなる可溶片であってもよい。
【0022】
可溶合金62は、例えばコンプレッション半田等からなる感熱素子であり、シリンダ41内のピストン63の下方に収容され、熱によって溶融する。この可溶合金62は、ボール支持筒31の下面から下方に突出しており、熱気流に当たりやすい位置に設けられる。
【0023】
ピストン63は、断面T字型に形成され、シリンダ41内において可溶合金62の上に上下に摺動可能に収容される。またピストン63の上部には円板状のロックボール受け部64が設けられ、その外径はボール支持筒31上部の内径より僅かに小さく形成されている。またこのロックボール受け部64の外周には、傾斜角がそれぞれ異なる2段の傾斜面からなり、ロックボール71が当接するテーパ面が設けられている。
【0024】
ロックボール71は、鋼材等からなり、ボール支持筒31の挿入穴32に入って、ヘッド本体1の溝部8及びロックボール受け部64のテーパ面で当接して、感熱分解機構30がヘッド本体1及びフレーム10から離脱するのを阻止している。
【0025】
感熱板42は、中央部が円錐台状に折曲した円板で、中心部には連結穴43が設けられており、その上部44がシリンダ41底面にカシメ付けて固定され、傾斜面45がシリンダ41内に収容された可溶合金62に向かって傾斜するように折曲している。感熱板42の下部46はほぼ水平に形成され、ガード部材35の下方まで延出している。また、感熱板42の下部46とガード部材35の下端との間には、所定の隙間(熱気流空間)が設けられている。尚、本実施形態では感熱板42が1枚の場合を説明するが、これに限らず複数設けても良い。
【0026】
ガード部材35は、ほぼ円筒体でその上部の外径は縮径され、その外径はフレーム10の段部12の内径より小さく形成され、またその上部の内径は縮径され、ボール支持筒31が螺合されるねじ部が形成されている。また、ガード部材35の外周側には下側が拡径される段部が設けられ、フレーム10の段部12の下面と上下方向に当接する当接部37が形成されている。そして当接部37より下側は下方に向かって先細りのテーパ状に形成されている。このガード部材35の高さは、ボール支持筒31と螺合した際に、その下端が、可溶合金62よりも下方であって、かつ感熱板42の下部46よりも上方となるように選ばれている。さらにガード部材35は、感熱分解機構30のボール支持筒31と、ヘッド本体1に結合されたフレーム10との間に、両者のすき間を塞ぐように設けられ、つまり両者の隙間を塞げる幅を有しており、フレーム10内部を封止する。
このガード部材35の上面には、支柱23の下端が当接している。
ガード部材35の下側は、可溶合金62の周囲に空間ができるように凹部を有する形状となっている。これは、凹部内で熱気流が滞留しやすく感熱素子である可溶合金62の溶融を促進させる。
【0027】
上記のようなスプリンクラヘッドにおいては、弁体15によりヘッド本体1の放水口2を組立荷重で封止して水漏れを防止しており、この組立荷重がボール支持筒31を介してロックボール71に下向きに作用する。ロックボール71はこの荷重によりヘッド本体1の溝部8のテーパ面に圧接される。このため、ロックボール71には常にボール支持筒31の内側に入ろうとする力が作用している。しかしながら、ロックボール71はピストン63のロックボール受け部64の当接面により移動が阻止されているためその位置に保持され、ボール支持筒31をロックしている。
【0028】
次に、本実施形態の作用を説明する。
図9はスプリンクラヘッドが警戒状態にある場合を示すもので、ヘッド本体1の放水口2には加圧された消火水が供給されており、弁体15には消火水の圧力が加えられている。
【0029】
いま、火災が発生すると、天井板(図示せず)の下面を沿ってその熱気流が横方又は下方から上方に流動して感熱板42に当たって加熱され、その熱がシリンダ41へ伝播する。そしてシリンダ41内に収容された可溶合金62が周囲から加熱されて溶融し始め、溶融した可溶合金62はシリンダ41とピストン63の間から流出してその体積が減少する。
【0030】
このとき、図9の矢印で示すように、横方向からの熱気流は、感熱板42を加熱するとともに、感熱板42の下部46とガード部材35下端との間の隙間(熱気流空間)に流入し、傾斜面45の傾斜に沿って上昇してシリンダ41に直接当たってシリンダ41を加熱する。また、下方からの熱気流も傾斜面45の下面側に沿って上昇してシリンダ41の下面側を加熱する。このため、可溶合金62がガード部材35の下端部より上方に設けられ、スプリンクラヘッドの外部に突設されていなくても受熱効率が向上して、シリンダ41内の可溶合金62は短時間で溶融する。
【0031】
可溶合金62が溶融してその体積が減少すると、図10に示すように、ピストン63のロックボール受け部64が下降する。これにより、ロックボール71はヘッド本体1の溝部8から外れて、ボール支持筒31の内側に入り込みボール支持筒31のロックが解除される。
【0032】
そして、図11に示すように、感熱分解機構30は自重及び消火水の水圧により下降して、フレーム10から離脱して落下する。同時に、弁体15を含むデフレクタアッセンブリ20も自重及び消火水の水圧によって落下し、ストッパリング25がフレーム10の段部12上に着座して停止する。このとき、弁体15はボール支持筒31にガイドされて降下し、デフレクタ21上に着座する。これにより、ヘッド本体1の放水口2が開放され、消火水はデフレクタ21から散水されて火災を消火する。
【0033】
ところで、上記のようなスプリンクラヘッドにおいて、ガード部材35がない場合、可溶合金62がフレーム10又はボール支持筒31の最下端より突出することになる。このため、可溶合金62を含む感熱分解機構30に外的衝撃が加わると、感熱分解機構30が破損して誤動作や消火水が漏水することがある。また、感熱分解機構30に加わった外力が、ボール支持筒31を介して弁体15に加わり、弁体15が破損又は変形して、誤動作や消火水が漏水する恐れがある。
【0034】
本実施形態1においては、ボール支持筒31と螺合するガード部材35を設け、その下端が可溶合金62よりも下方であって、かつ可溶合金62の外周に位置して、外力を受けるようにしている。このため、可溶合金62を含む感熱分解機構30及びこれに支持される弁体15は、外力の影響を受けにくくすることができる。したがって、可溶合金62を含む感熱分解機構30及びこれに支持される弁体15の外的衝撃による破壊又は変形を防止して誤動作や漏水を生じにくくすることができる。
【0035】
また、ガード部材35に、フレーム10の段部12に当接する当接部37を設け、当該ガード部材35が受けた外力を、フレーム10に伝達するようにしている。このため、ガード部材35が受けた外力が、感熱分解機構30又は弁体15に加わりにくくなり、可溶合金62を含む感熱分解機構30及びこれに支持される弁体15の外的衝撃による破壊又は変形を防止して誤動作や漏水を生じにくくすることができる。
【0036】
また、ガード部材35は、その内周面をボール支持筒31と螺合し、外周面を当接部37によりフレーム10と当接して、感熱分解機構30とフレーム10とのすき間を塞いでフレーム10内部を封止している。このため、フレーム10(及びヘッド本体1)内部が密封構造になるため、腐食性の高い雰囲気中に設置されても、感熱分解機構30のロックボール71や可溶合金62等は腐食するおそれがない。
【0037】
また、ガード部材35をフレーム10より内側に設けることで、可溶合金62のより近傍で外力を受けることができ、可溶合金62を含む感熱分解機構30が外力を受けるのを防止することができる。
【0038】
また、上記のようなガード部材35を設けて、可溶合金62がガード部材35の下端部より上方に位置する場合であっても、感熱板42を可溶合金62に向かって傾斜する傾斜面45を有するように折曲したので、熱気流は、感熱板42の下部46とガード部材35下端との間の隙間に流入し、傾斜面45の傾斜に沿って上昇してシリンダ41に直接当たってシリンダ41を加熱することができる。したがって、可溶合金62がヘッドの外部に突設されていない場合であっても、受熱効率を向上させることができる。
【0039】
尚、本実施形態においては、ガード部材35がボール支持筒31に螺合する場合を説明したが、本発明はこれに限らず、ボール支持筒31にガード部材35を一体形成するようにしても良い。
【0040】
実施形態2.
図12は本発明の実施形態2に係る外観図である。
以下、本発明の実施形態2に係るスプリンクラヘッドを説明するが、上記実施形態1と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
図12に示すように、本実施形態2に係るガード部材35は、その下端側に内外面を連通する切り欠き38を形成している。
このような構成により、上記実施形態1と同様に、可溶合金62を含む感熱分解機構30及びこれに支持される弁体15は、外力の影響を受けにくくすることができる。さらに、切り欠き38を設けることにより、熱気流が、感熱板42とガード部材35との間に流入しやすくなり、受熱効率をさらに向上させることができる。そのため感熱板を曲げなくても良い。
【0042】
尚、上記切り欠き38に代えて、ガード部材35の下端側に内外面を連通する開口を設けるようにしても良い。これによっても同様の効果を得ることができる。
【0043】
実施形態3.
図13は本発明の実施形態3に係る外観図である。
以下、本発明の実施形態3に係るスプリンクラヘッドを説明するが、上記実施形態1と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0044】
図13に示すように、本実施形態3に係るガード部材35は、フレーム10の下端を、可溶合金62の下端位置とほぼ同じ位置まで延出して、フレーム10にガード部材35を一体形成する。
このような構成により、上記実施形態1と同様に、可溶合金62を含む感熱分解機構30及びこれに支持される弁体15は、外力の影響を受けにくくすることができ、可溶合金62を含む感熱分解機構30及びこれに支持される弁体15の外的衝撃による破壊又は変形を防止して誤動作や漏水を生じにくくすることができる。
【0045】
実施形態4.
本実施形態4では、他の形状の場合について説明する。
以下、本発明の実施形態4に係るスプリンクラヘッドを説明するが、上記実施形態1と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0046】
図14は本発明の実施形態4に係る感熱板の平面図である。
上記実施形態1では、感熱板42の傾斜面45を円錐台上に形成し、熱気流を傾斜面45の傾斜に沿って上昇させるようにしたが、その一部は外周方向に迂曲する。
本実施形態4に係る感熱板42は、図14(a)に示すように、傾斜面45を切頭四角錐状に形成する。
このような構成により、感熱板42の傾斜面45に当たった熱気流は、外周方向に迂曲しにくくなり、シリンダ41方向に上昇する熱気流が増加して、より受熱効率を向上させることができる。
【0047】
また、図14(b)に示すように、傾斜面45を切頭多角錐状(例えば六角錐)とし、その角錐面となる傾斜面45を下方側に湾曲するように形成する。
このような構成により、傾斜面45に当たった熱気流は、外周方向に迂曲しにくくなるとともに、中心方向に屈曲し、シリンダ41方向に上昇する熱気流が増加して、より受熱効率を向上させることができる。
【0048】
実施形態5.
図15は本発明の実施形態5に係る縦断面図である。
以下、本発明の実施形態5に係るスプリンクラヘッドを説明するが、上記実施形態1と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0049】
図15に示すように、本実施形態5に係る感熱部40は、感熱板42aの下方に感熱板42bを更に備えている。
このような構成により、図15の矢印で示すように、横方向から流入した熱気流は、感熱板42a及び感熱板42bを加熱するとともに、感熱板42a及び感熱板42bの傾斜面45a及び45bの傾斜に沿ってそれぞれ上昇してシリンダ41に直接当たってシリンダ41の下部にある可溶合金62を加熱する。これによって、より受熱効率を向上させることができる。
なお、各実施形態において、傾斜面を有する感熱板とガード部材とを両方備えたスプリンクラヘッド用いて説明したが、これらは、いずれか一方だけを備えておればよい。また、感熱分解機構に関してはボールを使用したもので説明したが、ボールに限定されず、一対のレバーを利用したリンク機構で感熱分解機構を構成してもよく、要は、弁体を支持し、火災時に分解または破裂する機構であれば、他の感熱分解機構を使用してもよい。
また、ガード部材は、感熱素子の外周に位置するとしたが、これは全周である必要はなく、特定方向の外周部分だけをガードするものであってもよい。また、感熱板は、感熱素子に向かって熱気流を流す傾斜面が結果として形成されていればよく、折曲でなく、例えば、平板の感熱板と傾斜面となる感熱板とを溶接などにより接合させて、一体化させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態1に係る縦断面図である。
【図2】図1のヘッド本体の縦断面図である。
【図3】図1のフレームの縦断面図である。
【図4】図1の弁体の縦断面図である。
【図5】図1のデフレクタアッセンブリを示す図である。
【図6】図1の感熱分解機構を示す図である。
【図7】図1の感熱板を示すもので、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図8】図1の外観図である。
【図9】本発明の実施形態1に係る作用説明図である。
【図10】本発明の実施形態1に係る作用説明図である。
【図11】本発明の実施形態1に係る作用説明図である。
【図12】本発明の実施形態2に係る外観図である。
【図13】本発明の実施形態3に係る外観図である。
【図14】本発明の実施形態4に係る感熱板の平面図である。
【図15】本発明の実施形態5に係る縦断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 ヘッド本体、2 放水口、3 ねじ部、4 フランジ、5 ねじ部、6 円筒部、7 孔、8 溝部、9 放水口端縁、10 フレーム、11 めねじ部、12 段部、15 弁体、20 デフレクタアッセンブリ、21 デフレクタ、23 支柱、25 ストッパリング、30 感熱分解機構、31 ボール支持筒、32 挿入穴、35 ガード部材、37 当接部、38 切り欠き、40 感熱部、41 シリンダ、42 感熱板、43 連結穴、44 上部、45 傾斜面、46 下部、51 本体部、52 頭部、53 上面、54 段部、62 可溶合金、63 ピストン、64 ロックボール受け部、71 ロックボール。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放水口を有するヘッド本体と、前記放水口を塞ぐ弁体と、該弁体を支持する感熱分解機構とを備えたスプリンクラヘッドにおいて、
前記感熱分解機構に設けられた感熱素子よりも下方であって、かつその外周に位置して、外力を受けるガード部材を設けたことを特徴とするスプリンクラヘッド。
【請求項2】
前記ヘッド本体に接続されたフレーム部を備え、
前記ガード部材は、前記フレーム部と少なくとも上下方向に当接する当接部を設け、当該ガード部材が受けた外力を、前記フレーム部に伝達することを特徴とする請求項1記載のスプリンクラヘッド。
【請求項3】
前記ガード部材を円筒状に形成し、該ガード部材の下端側に内外面を連通する開口若しくは切り欠きを設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のスプリンクラヘッド。
【請求項4】
前記ガード部材は、前記感熱分解機構と、前記ヘッド本体に接続されたフレーム部との間に、両者のすき間を塞ぐように設けられ、前記フレーム部内部を封止することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のスプリンクラヘッド。
【請求項5】
感熱素子と感熱板とからなる感熱部を備え、前記感熱板を前記感熱素子に向かって傾斜する傾斜面を有するように折曲したことを特徴とする請求項1記載のスプリンクラヘッド。
【請求項6】
少なくとも感熱素子と感熱板とからなる感熱部を有するスプリンクラヘッドにおいて、
前記感熱板を前記感熱素子に向かって傾斜する傾斜面を有するように折曲したことを特徴とするスプリンクラヘッド。
【請求項1】
放水口を有するヘッド本体と、前記放水口を塞ぐ弁体と、該弁体を支持する感熱分解機構とを備えたスプリンクラヘッドにおいて、
前記感熱分解機構に設けられた感熱素子よりも下方であって、かつその外周に位置して、外力を受けるガード部材を設けたことを特徴とするスプリンクラヘッド。
【請求項2】
前記ヘッド本体に接続されたフレーム部を備え、
前記ガード部材は、前記フレーム部と少なくとも上下方向に当接する当接部を設け、当該ガード部材が受けた外力を、前記フレーム部に伝達することを特徴とする請求項1記載のスプリンクラヘッド。
【請求項3】
前記ガード部材を円筒状に形成し、該ガード部材の下端側に内外面を連通する開口若しくは切り欠きを設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のスプリンクラヘッド。
【請求項4】
前記ガード部材は、前記感熱分解機構と、前記ヘッド本体に接続されたフレーム部との間に、両者のすき間を塞ぐように設けられ、前記フレーム部内部を封止することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のスプリンクラヘッド。
【請求項5】
感熱素子と感熱板とからなる感熱部を備え、前記感熱板を前記感熱素子に向かって傾斜する傾斜面を有するように折曲したことを特徴とする請求項1記載のスプリンクラヘッド。
【請求項6】
少なくとも感熱素子と感熱板とからなる感熱部を有するスプリンクラヘッドにおいて、
前記感熱板を前記感熱素子に向かって傾斜する傾斜面を有するように折曲したことを特徴とするスプリンクラヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−291266(P2009−291266A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145283(P2008−145283)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】
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