説明

スプリンクラーヘッド用の止水機能付着脱継手、及び消火用のスプリンクラー設備

【課題】水が充満された配管とスプリンクラーヘッドとを、これらの間を止水した状態で着脱することを可能にするスプリンクラーヘッド用の継手を提供する。
【解決手段】スプリンクラーヘッド100と結合されるプラグ50と、配管4と結合され、プラグ50が着脱されるソケット20とを備えるスプリンクラーヘッド用の継手10であって、ソケット20は、プラグ50が装着された状態では流路を開放し、プラグ50が離脱した状態では流路を閉塞する止水機構21を備える。この止水機構21は、プラグ50がソケット20から離脱した状態において、配管4の側への押し込み操作をされた場合に、流路を開放する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリンクラーヘッド用の止水機能付着脱継手、及び消火用のスプリンクラー設備に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル等の建築物に設置される消火用のスプリンクラー設備において、スプリンクラーヘッドの交換等のメンテナンスを可能とするために、スプリンクラーヘッドを配管に対して着脱可能に接続する継手を用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009―142376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スプリンクラー設備は、スプリンクラーヘッドの感熱部である可溶片が熱で溶けると、配管内に充満された水が、スプリンクラーヘッド側へ流れてスプリンクラーヘッドから放出される。ここで、当該スプリンクラー設備では、火災発生時に瞬時に放水できるように、常時、配管内に水が充満されている。これに対し、特許文献1に記載の継手は、継手内の流路を開閉する止水機構を備えておらず、スプリンクラーヘッドを取り外した際に止水することができない。従って、特許文献1に記載の継手を閉鎖型で湿式のスプリンクラー設備で用いた場合には、スプリンクラーヘッドを継手から取り外した際に配管内の水が継手から放出されてしまう。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、水が充満された配管とスプリンクラーヘッドとを、これらの間を止水した状態で着脱することを可能にするスプリンクラーヘッド用の継手を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るスプリンクラーヘッド用の継手は、スプリンクラーヘッドが結合されるプラグと、内部に水が供給される配管と結合され、前記プラグが着脱可能に取り付けられるソケットとを備えるスプリンクラーヘッド用の継手であって、前記ソケットは、前記プラグが取り付けられた状態では、前記配管から前記スプリンクラーヘッドに水を供給するための流路を開放し、前記プラグが取り外された状態では、前記流路を閉塞する止水機構を備える。
【0007】
上記スプリンクラーヘッド用の継手において、前記止水機構は、前記プラグが前記ソケットから取り外された状態において、前記配管の側への押し込み操作をされた場合に、前記流路を開放してもよい。
【0008】
上記スプリンクラーヘッド用の継手において、前記止水機構は、前記ソケットの内部に固定された固定部と、前記固定部と嵌合して流路を閉塞する位置と、前記固定部から前記配管の側に離間して流路を開放する位置との間で移動可能に配され、前記プラグが着脱する移動部と、前記移動部よりも前記配管の側に配され、前記移動部を前記スプリンクラーヘッドの側へ付勢する付勢部材と、を備えてもよい。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る消火用のスプリンクラー設備は、上記のスプリンクラーヘッド用の継手と、水が充満されている配管と、前記継手により前記配管に接続されたスプリンクラーヘッドと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水が充満された配管とスプリンクラーヘッドとを、これらの間を止水した状態で着脱することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態に係るスプリンクラーヘッド用の継手を備える消火用のスプリンクラー設備の概略構成を示す図である。
【図2】スプリンクラーヘッドを結合した状態の継手を示す片側断面図である。
【図3】図2の要部を拡大して示す片側断面図である。
【図4】スプリンクラーヘッドを取り外した状態の継手の要部を拡大して示す片側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態に係るスプリンクラーヘッド用の継手10を備える消火用のスプリンクラー設備1の概略構成を示す図である。この図に示すように、スプリンクラー設備1は、ビル等の建物の天井2等に設置された複数のスプリンクラーヘッド100と、地下や屋上等に設置された水槽3からスプリンクラーヘッド100に給水する配管4と、配管4に設けられたポンプ5、流水検知装置6及び複数の継手10とを備えている。
【0013】
スプリンクラー設備1では、配管4内に水が充満しており、スプリンクラーヘッド100の感熱部である可溶片が熱で溶けると、直ちに、配管4内の水がスプリンクラーヘッド100側へ流れてスプリンクラーヘッド100から放出される。また、配管4内で流水が起こると、流水検知装置6により検知され、不図示の警報装置が作動する。
【0014】
配管4は、主配管4Aと、主配管4Aから分岐した、複数の接続配管4Bとを備えている。各接続配管4Bの先端には、継手10を介してスプリンクラーヘッド100が接続されている。また、ポンプ5は、水槽3内の水を配管4へ供給する。
【0015】
図2は、スプリンクラーヘッド100を結合した状態の継手10を示す片側断面図であり、図3は、図2の要部を拡大して示す片側断面図である。また、図4は、スプリンクラーヘッド100を取り外した状態の継手10の要部を拡大して示す片側断面図である。これらの図に示すように、継手10は、接続配管4Bに結合されるソケット20と、スプリンクラーヘッド100が結合されソケット20に着脱可能に結合されるプラグ50とを備えている。
【0016】
ソケット20は、プラグ50が着脱されるソケット本体22と、ソケット本体22内に配された止水機構21と、一端(図2での下端)がソケット本体22に他端(図2での上端)が接続配管4Bに結合されるユニオン28と、ソケット本体22の一端(プラグ50側)が挿入されたスリーブ30とを備えている。これらの部材は、樹脂材料または金属材料により形成されている。なお、以下の説明では、継手10のプラグ50側またはスプリンクラーヘッド100側を先端側と称し、その反対側、即ち継手10の接続配管4B側を基端側と称する。また、先端側の端部を先端部と称し、基端側の端部を基端部と称する。
【0017】
図3及び図4に示すように、ソケット本体22及びユニオン28は、円筒形状の部材であり、ソケット本体22の基端部の内周に形成されたネジ穴22Aと、ユニオン28の先端部の外周に形成されたネジ部28Aとが螺合することにより結合している。また、ユニオン28のネジ部28Aより基端側には六角ナット部28Bが形成されており、六角ナット部28Bとネジ部28Aとの間の段差部には、Oリング32が嵌合している。ここで、Oリング32は、ソケット本体22の基端部とユニオン28の上記段差部との間で押圧されている。
【0018】
また、図2に示すように、ユニオン28の基端部の外周にはネジ部28Cが形成されており、このネジ部28Cが接続配管4Bに形成されたネジ穴と螺合することにより、ユニオン28の基端部と接続配管4Bと結合される。
【0019】
また、止水機構21は、バルブカラー26とピストン24とを備える。バルブカラー26は、円環状の部材であり、ソケット本体22内においてユニオン28より先端側に配されている。
【0020】
図3及び図4に示すように、ソケット本体22の内周面におけるネジ部22Aの近傍には、ソケット本体22の内径が縮小することにより段差部22Bが形成されている。また、バルブカラー26の外周面の基端部には、外径側に突出した凸部26Aが形成されている。この凸部26Aは、ユニオン28Aの先端部とソケット本体22の段差部22Bとの間に嵌り込んでいる。また、バルブカラー26の外周面には溝が形成されており、この溝にシールOリング34が嵌め込まれている。このシールOリング34は、バルブカラー26の外周面とソケット本体22の内周面との間で止水している。また、バルブカラー26の内径は、基端側から先端側へかけて縮小しており、バルブカラー26の先端部には、最小径部26Bが形成されている。なお、バルブカラー26の基端部の内径は、ユニオン28の先端部の内径と同一である。
【0021】
ピストン24は、ソケット本体22内に継手10の軸方向に移動可能に配された部材であり、その基端側のバルブ部24Cは、バルブカラー26内およびユニオン28内に配され、その先端側のピストン部24Pは、ソケット本体22内におけるバルブカラー26より先端側に配されている。ピストン部24Pは、円環状に形成されており、ソケット本体22内にその軸方向に摺動自在に嵌り込んでいる。また、ピストン部24Pの外周面には溝が形成されており、この溝にシールOリング36が嵌め込まれている。このシールOリング36は、ピストン部24Pの外周面とソケット本体22の内周面との間で止水している。また、ピストン部24Pの外周面とソケット本体22の内周面とには、それぞれ、互に係合する係合部24B、22Cが形成されており、これらにより、ピストン24の先端側への移動量が制限される。
【0022】
また、バルブ部24Cは、円板状に形成されており、その軸心に対して対称に配された柱状の連結部分24Dによりピストン部24Pに連結されている。ここで、ピストン部24Pの係合部24Bとソケット本体22の係合部22Cとが係合した状態で、バルブ部24Cは、バルブカラー26の最小径部26Bに嵌りこむ。また、バルブ部24Cの外周面には溝が形成されており、この溝にシールOリング38が嵌め込まれている。このシールOリング38は、バルブ部24Cの外周面とバルブカラー26の最小径部26Bとの間で止水する。
【0023】
また、バルブ部24Cの外径は、ユニオン28の内径より小さいことから、バルブ部24Cがユニオン28内に位置する状態(バルブ部24Cが最小径部26Bに嵌り込んでいない状態)では、ピストン部24Pの内部とバルブカラー26の内部とユニオン28の内部とが連通する。
【0024】
また、ユニオン28内にはピストンスプリング40が配されている。ピストンスプリング40は、圧縮コイルバネである。バルブ部24Cにはピストンスプリング40の先端部と係合する凹部24Fが形成され、ユニオン28の内周面にはピストンスプリング40の基端部と係合する段差部28Dが形成されている。ここで、ピストンスプリング40は、弾性力によりピストン24を先端側へ付勢している。
【0025】
プラグ50は、円筒形状の部材であり、その先端側には六角ナット部50Aが形成されている。この六角ナット部50Aにはネジ穴50Bが形成され、スプリンクラーヘッド100の基端側にはネジ部100Aが形成されており、これらが螺合することにより、プラグ50とスプリンクラーヘッド100とが結合している。また、プラグ50の基端側とピストン部24Pの内周面とにはそれぞれ係合部50C、24Gが形成されており、これらが係合する。また、ピストン部24Pの内周面には溝が形成されており、この溝にはシールOリング42が嵌め込まれている。このシールOリング42は、プラグ50の係合部50Cとピストン部24Pの係合部24Gとの間で止水する。
【0026】
スリーブ30は、円環状の部材であり、ソケット本体22の先端側に摺動自在に取り付けられている。ソケット本体22の先端部にはストップリング44が取り付けられており、このストップリング44により、スリーブ30の先端側への移動量が制限される。また、スリーブ30の内部にはスリーブスプリング46が配されている。このスリーブスプリング46は圧縮コイルバネであり、その内側にはソケット本体22の先端側が挿通されている。スリーブ30とソケット本体22との間にはスリーブスプリング46を収容する収容部30Aが形成されている。ここで、スリーブスプリング46は、弾性力でスリーブ30を先端側へ付勢している。
【0027】
また、ソケット本体22の先端部(ストップリング44より基端側)には、複数(例えば、8個)のボール48が、ソケット本体22の周方向に所定間隔(例えば、45°間隔)おきに配されている。各ボール48は、ソケット本体22の先端部を貫通する円孔22E内に配されている。また、プラグ50の外周面には、ボール48が係合する溝50Dが形成されている。また、スリーブ30の先端部にはストップリング44と係合する係合部30Bが形成されている。
【0028】
図3に示すように、プラグ50がソケット20に装着された状態では、スリーブ30の係合部30Bがストップリング44と係合する。また、ボール48が、プラグ50の溝50Dとソケット本体22の円孔22Eとスリーブ30の内周面とに囲まれた空間に収容されて、溝50Dと係合する。この状態では、スリーブ30がスリーブスプリング46によりストップリング44に圧接され、ボール48が溝50Dに嵌った状態で拘束されることにより、プラグ50がソケット本体22に固定される。
【0029】
また、プラグ50がソケット本体22に固定された状態では、ピストン24のピストン部24Pが、プラグ50により、ピストンスプリング40の付勢力に抗して基端側へ押し上げられる。この状態で、ピストン部24Pは、プラグ50とバルブカラー26とに挟み込まれ、バルブ部24Cは、バルブカラー26の最小径部26Bに嵌りこんだ状態から基端側へ後退する。これにより、ユニオン28の内部と、バルブカラー26の内部とピストン部24Pの内部とプラグ50の内部と、そしてスプリンクラーヘッド100の内部とが連通する。
【0030】
一方、図4に示すように、プラグ50がソケット20から取り外された状態では、ボール48が、ピストン部24Pの外周面とソケット本体22の円孔22Eとスリーブ30の係合部30Bとに囲まれた空間に収容されて、スリーブ30の係合部30Bと係合する。この状態では、スリーブ30がスリーブスプリング46によりボール48に圧接され、ボール48が係合部30Bに嵌った状態で拘束されることにより、スリーブ30がソケット本体22に固定される。
【0031】
また、スリーブ30がソケット本体22に固定された状態では、ピストンスプリング40により、ピストン部24Pの係合部24Bとソケット本体22の係合部22Cとが係合する。この状態で、バルブ部24CのシールOリング38が、バルブカラー26の内周面に圧接する。これにより、バルブ部24Cとバルブカラー26とシールOリング38とによって、接続配管4Bからスプリンクラーヘッド100へ延びる流路が閉塞され、止水機能が発揮される。
【0032】
ここで、スプリンクラーヘッド100及びプラグ50をソケット20に対して着脱する方法について説明する。スプリンクラーヘッド100及びプラグ50をソケット20から取り外す際には、スリーブ30を、スリーブスプリング46の付勢力に抗して、基端側に移動させる。これにより、スリーブ30とプラグ50とによるボール48の拘束が開放されることによって、ボール48とプラグ50との係合が解除され、ピストン24、プラグ50及びスプリンクラーヘッド100が、ピストンスプリング40の付勢力により先端側へ移動し、スプリンクラーヘッド100及びプラグ50が、ソケット20から離脱する。
【0033】
この状態では、図4に示すように、ピストン24のバルブ部24C及びシールOリング38が、バルブカラー26の最小径部26Bと嵌合することによって、接続配管4Bからスプリンクラーヘッド100へ延びる流路が閉塞され、止水機能が発揮される。また、スリーブ30は、スリーブスプリング46によりボール48に圧接された状態で固定される。
【0034】
また、スプリンクラーヘッド100及びプラグ50をソケット20に装着する際には、プラグ50を、ソケット20の先端部に挿入してピストン部24Pと結合させる。そして、プラグ50及びピストン24を、ピストンスプリング40の付勢力に抗して基端側へ押し込む。これにより、スリーブ30とピストン部24Pとによるボール48の拘束が開放され、ボール48がプラグ50の溝50Dに係合し、スプリンクラーヘッド100及びプラグ50が、ソケット20に装着される。
【0035】
この状態では、図3に示すように、バルブ部24C及びシールOリング38が、バルブカラー26の最小径部26Bから基端側へ離間することによって、接続配管4Bからスプリンクラーヘッド100へ延びる流路が開放される。また、スリーブ30がスリーブスプリング46の付勢力によりストップリング44に圧接された状態で固定される。
【0036】
ところで、本実施形態のスプリンクラー設備1では、主配管4Aから分岐した接続配管4Bの先端にスプリンクラーヘッド100が設けられているが、接続配管4Bの屈曲部には空気が溜まり易くなっている。ここで、接続配管4B内に空気が溜まっていると、接続配管4B内の水圧が低下することにより、主配管4Aから接続配管4Bへ水が流れ、流水検知装置6が流水を検知する場合がある。この場合、警報装置が誤作動してしまう。
【0037】
このため、配管4内の空気を抜くために配管4内の水を排出する作業をする必要がある。以下、当該作業について説明する。
まず、スプリンクラーヘッド100及びプラグ50をソケット20から取り外す。この作業の方法は上述したとおりであり、この作業を行った段階では、ソケット20内において止水機構21により止水されることから、配管4内の水がソケット20から放出されることはない。
【0038】
次に、止水機構21の止水機能を解除する作業を行う。この作業では、ソケット20の先端からピストン24の内部に棒状の冶工具を挿入し、該冶工具により、ピストン24をピストンスプリング40の付勢力に抗して配管4の側に押し込む。これにより、バルブ部24Cがバルブカラー26から配管4の側に離間し、止水機構21の止水機能が解除される。
【0039】
以上により、配管4内の水が、ソケット20から排出されると共に、配管4内に溜まった空気が抜ける。なお、当該作業は、ソケット20の下方にソケット20からの排水を受ける容器を置いて行えばよい。そして、空気が十分に抜けたと判断されたら、冶工具をソケット20から抜き出して、再びソケット20を止水状態とすればよい。
【0040】
以上、本実施形態に係る継手10では、止水機構21が、プラグ50が装着された状態では、接続配管4Bからスプリンクラーヘッド100へ延びる流路を開放し、プラグ50が離脱した状態では当該流路を閉塞する。これにより、スプリンクラーヘッド100を、水が充満している配管4から、これらの間を止水した状態で取り外すことができる。従って、スプリンクラー設備1の竣工後であっても、容易にスプリンクラーヘッド100を取り外して交換等のメンテナンスをすることができる。
【0041】
また、本実施形態に係る継手10では、止水機構21が、プラグ50がソケット20から離脱した状態において、配管4の側へ押し込み操作をされた場合に、流路を開放する。これにより、配管4内の水を、ソケット20から排出して、配管4内に溜まった空気を抜くことができる。
【0042】
また、本実施形態に係る継手10では、止水機構21が、バルブカラー26と、ピストン24と、ピストンスプリング40とを備える。バルブカラー26は、ソケット20の内部に固定されている。また、ピストン24は、バルブカラー26と嵌合して流路を閉塞する位置と、バルブカラー26から配管4の側に離間して流路を開放する位置との間で移動可能に配されており、プラグ50が着脱される。さらに、ピストンスプリング40は、ピストン24よりも配管4の側に配され、ピストン24をスプリンクラーヘッド100の側へ付勢する。
【0043】
以上のような構成の止水機構21では、プラグ50がソケット20に押し込まれたり上述の棒状の冶工具による配管4の側への押し込み操作がされたりすると、ピストン24が、ピストンスプリング40の付勢力に抗して配管4の側に押し込まれることにより、流路が開放される。一方、プラグ50がソケット20から抜き出されたり冶工具による配管4の側への押し込み操作が解除されたりすると、ピストン24が、ピストンスプリング40の付勢力でバルブカラー26に圧接されることにより、流路が閉塞される。
【0044】
従って、プラグ50や冶工具を、ソケット20に対して押し込んだり抜き出したりする操作によって、流路を開閉でき、以って、水が充満された配管4とスプリンクラーヘッド100とをこれらの間を止水した状態で着脱したり、配管4内から水を排出したりする作業を、容易に行うことができる。ここで、継手10では、スリーブ30を動かすのみでプラグ50をソケット20から離脱させ、プラグ50を押し込むのみでプラグ50をソケット20に装着させることができる。即ち、ワンタッチでスプリンクラーヘッド100を配管4に対して着脱できるので、取付けや交換が容易になり省力化が図れて、作業性が特に優れている。
【0045】
ここで、本実施形態に係る継手10を、現段階ではスプリンクラーヘッド100を設置する予定が無い接続配管4Bに予備的に設置しておくことで、将来、スプリンクラーヘッド100を増設する必要が生じた際に、容易に対応することができる。
【0046】
なお、本実施形態に係る継手10では、スリーブ30やボール48等によりプラグ50をソケット本体22に対して係合させる構造を用いたが、プラグ50をソケット本体22に対して螺合させる構造を用いてもよい。
【0047】
また、本実施形態に係る継手10では、プラグ50をソケット20から取り外した際に配管4からスプリンクラーヘッド100へ水を供給するための流路を閉鎖する止水機構21を、ソケット20側にのみ設けたが、プラグ50側にも設置してよい。この場合、プラグ50をソケット20から取り外した際に、プラグ50側でも止水機能が発揮されることから、プラグ50内に溜まった高圧の水がプラグ50の上流端(係合部50C)から噴出することを防止できる。特に、スプリンクラーヘッド100の配置の変更等により、プラグ50に配管を介してスプリンクラーヘッド100を取付ける場合、プラグ50に止水機構を設けていなければ、プラグ50をソケット20から取り外した際に、上記配管内の水が多量に噴出することになるが、プラグ50に止水機構を設けることで、そのような事態になることを防止できる。
【符号の説明】
【0048】
1 スプリンクラー設備、2 天井、3 水槽、4 配管、4A 主配管、4B 接続配管、5ポンプ、6 流水検知装置、10 継手、20 ソケット、21 止水機構、22 ソケット本体、24 ピストン(移動部)、26 バルブカラー(固定部)、28 ユニオン、30 スリーブ、32 Oリング、34,36,38,42 シールOリング、40 ピストンスプリング(付勢部材)、44 ストッパリング、46 スリーブスプリング、48 ボール、50 プラグ、100 スプリンクラーヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリンクラーヘッドが結合されるプラグと、内部に水が供給される配管と結合され、前記プラグが着脱可能に取り付けられるソケットとを備えるスプリンクラーヘッド用の継手であって、
前記ソケットは、前記プラグが取り付けられた状態では、前記配管から前記スプリンクラーヘッドに水を供給するための流路を開放し、前記プラグが取り外された状態では、前記流路を閉塞する止水機構を備えるスプリンクラーヘッド用の継手。
【請求項2】
前記止水機構は、前記プラグが前記ソケットから取り外された状態において、前記配管の側への押し込み操作をされた場合に、前記流路を開放する請求項1に記載のスプリンクラーヘッド用の継手。
【請求項3】
前記止水機構は、
前記ソケットの内部に固定された固定部と、
前記固定部と嵌合して流路を閉塞する位置と、前記固定部から前記配管の側に離間して流路を開放する位置との間で移動可能に配され、前記プラグが着脱する移動部と、
前記移動部よりも前記配管の側に配され、前記移動部を前記スプリンクラーヘッドの側へ付勢する付勢部材と、
を備える請求項2に記載のスプリンクラーヘッド用の継手。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか1項に記載のスプリンクラーヘッド用の継手と、
水が充満されている配管と、
前記継手により前記配管に接続されたスプリンクラーヘッドと、
を備える消火用のスプリンクラー設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−85749(P2012−85749A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233895(P2010−233895)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】