説明

スプリンクラー配設用パネル及びスプリンクラー配設用パネルシステム

【課題】スプリンクラーの配管を設置する施工が簡略化する。
【解決手段】配管14及びスプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18をパネル12と一体化する。配管14、スプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18及びパネル12を別々に設置する必要がなく、パネル12を天井スラブ100に配置することで、スプリンクラーの配管の設置が可能となる。このため、スプリンクラーの配管を設置する施工が簡略化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリンクラー配設用パネル及びスプリンクラー配設用パネルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般建築物件においては、不燃の基準から、スプリンクラーの配管に耐火性能が必要となる。このため、スプリンクラーの配管には、鋼管が用いられている。また、鋼管は、天井の美観を確保するために、天井裏に配置されている。
【0003】
このように鋼管を用いる構成では、天井の重量が重くなる、配管工事が複雑となる、スプリンクラーの位置を変更したときに再配管が必要となるなどの欠点を有している。
これに対して、特許文献1には、樹脂配管を使用すると共に耐火性を確保するために不燃性パネルを使用する構成が開示されている。
【0004】
【特許文献1】実公平7−4824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スプリンクラーの配管を設置する施工では、特許文献1の構成においても、さらなる施工の簡略化が望まれている。
本発明は、上記事実を考慮し、スプリンクラーの配管を設置する施工が簡略化できるスプリンクラー配設用パネル及びスプリンクラー配設用パネルシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係るスプリンクラー配設用パネルは、被配置面に配置されるパネルと、前記パネルの裏面に取り付けられた配管と、前記配管の端部に設けられ、前記配管と他の配管とを接続するための接続用継ぎ手と、前記パネルに取り付けられ、前記配管と連通し、前記パネルの表面側にスプリンクラーヘッドが取付可能なスプリンクラーヘッド取付用継ぎ手と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、配管及びスプリンクラーヘッド取付用継ぎ手がパネルに取り付けられているので、配管、スプリンクラーヘッド取付用継ぎ手及びパネルを別々に設置する必要がなく、パネルを被配置面に配置することで、スプリンクラーの配管の設置が可能となる。このため、スプリンクラーの配管を設置する施工が簡略化できる。
【0008】
本発明の請求項2に係るスプリンクラー配設用パネルは、請求項1の構成において、前記配管は、樹脂材料で形成され、前記パネルは、不燃性材料から形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、配管が樹脂で形成されているので、鋼管を用いる構成に比して、スプリンクラー配設用パネルの軽量化が図れる。
このように、スプリンクラー配設用パネルの軽量化が図れるので、スプリンクラー配設用パネルの取り扱いが容易となり、スプリンクラーの配管を設置する施工が簡略化できる。
また、パネルが不燃性材料で形成されているので、不燃の基準がある一般建築向けにも、樹脂製の配管を備えたスプリンクラー配設用パネルを用いることができる。
【0009】
本発明の請求項3に係るスプリンクラー配設用パネルは、請求項1又は請求項2の構成において、前記接続用継ぎ手は、メス部とオス部を有すると共に前記オス部が前記メス部に差し込まれる一操作で接続可能なワンタッチ継ぎ手であることを特徴とする。
この構成によれば、接続用継ぎ手が、メス部とオス部を有すると共にオス部がメス部に差し込まれる一操作で接続可能なワンタッチ継ぎ手で構成されているので、配管と他の配管との接続が容易となり、スプリンクラーの配管を設置する施工が簡略化できる。
【0010】
本発明の請求項4に係るスプリンクラー配設用パネルは、請求項1〜3のいずれか1項の構成において、前記スプリンクラーヘッド取付用継ぎ手を隠蔽し、前記パネルの表面に着脱可能なカバーを備えたことを特徴とする。
この構成によれば、スプリンクラーヘッドを取り付けないスプリンクラーヘッド取付用継ぎ手を隠蔽できる。これにより、スプリンクラー配設用パネルの意匠性が向上する。
【0011】
本発明の請求項5に係るスプリンクラー配設用パネルシステムは、請求項1〜4のいずれか1項の構成において、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスプリンクラー配設用パネルを複数備え、隣接する前記スプリンクラー配設用パネルの接続用継ぎ手を接続して、前記スプリンクラー配設用パネルを前記被配置面に配置したことを特徴とする。
この構成によれば、隣接するスプリンクラー配設用パネルの接続用継ぎ手を接続して、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスプリンクラー配設用パネルが被配置面に複数配置されるので、スプリンクラーの配管を設置する施工が簡略化できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上記構成としたので、スプリンクラーの配管を設置する施工が簡略化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
(本実施形態に係るスプリンクラー配設用パネルシステムの構成)
図1は、本実施形態に係るスプリンクラー配設用パネルシステムを示す概略図である。図2は、本実施形態に係るスプリンクラー配設用パネルを天井スラブに配置した状態を示す概略図である。図3は、本実施形態に係るスプリンクラー配設用パネルを天井材に配置する場合を示す概略図である。図4は、本実施形態に係るスプリンクラー配設用パネルを天井材に配置した状態を示す概略図である。
【0014】
スプリンクラー配設用パネルシステム50は、図1に示すように、スプリンクラー配設用パネル10を複数備えている。
スプリンクラー配設用パネル10は、図2に示すように、隣接するスプリンクラー配設用パネル10の後述する接続用継ぎ手16を接続して、被配置面の一例としての天井スラブ100に配置される。
【0015】
なお、スプリンクラー配設用パネル10が配置される被配置面としては、例えば、図3及び図4に示すように、天井スラブ100に配置された天井材102であってもよい。なお、図3及び図4に示す例では、天井材102にスプリンクラー104が設置され、スプリンクラー104に水を供給する配管106が天井裏に設置されている。
【0016】
(本実施形態に係るスプリンクラー配設用パネルの構成)
ここで、スプリンクラー配設用パネル10の構成について説明する。
図5は、本実施形態に係るスプリンクラー配設用パネルの構成を示す斜視図である。図6は、図5に示すスプリンクラー配設用パネルの変形例を示す斜視図である。図7は、図5に示すスプリンクラー配設用パネルを表面側から見た斜視図である。
【0017】
スプリンクラー配設用パネル10は、図5に示すように、被配置面に配置されるパネル12を備えている。
パネル12は、板状であって、矩形状に形成されている。パネル12が配置される被配置面としては、例えば、天井スラブ100(図1及び図2参照)や天井スラブ100に配置された天井材102(図3及び図4参照)が該当し、パネル12は、天井材102に配置可能な構成とすることもできる。
【0018】
また、パネル12は、不燃性材料で形成されている。不燃性材料で形成されたパネル12としては、例えば、石膏ボード、鉄板を有するボードが用いられる。これにより、不燃の基準がある一般建築向けにも、樹脂製の配管14を備えたスプリンクラー配設用パネル10を用いることができる。また、配管14に不燃性をもたせる必要がなくなり、配管14の材料選択の幅が広がる。
また、パネル12の表面は、天井仕上げと同様な意匠とされた化粧パネルとされている。
【0019】
パネル12の裏面、すなわち被配置面に対向する面には、ポリブテン等の樹脂で形成された配管14が配置されている。
配管14は、図示しない取付部材によりパネル12に取り付けられており、パネル12と一体化されている。また、配管14は、図1に示すように、パネル12の中央部を横切るように1本配置されている。
【0020】
なお、配管14は、パネル12に取り付けられていれば、パネル12に一体化されていない構成であってもよい。
また、配管14は、図6に示すように、十字状に配置された構成であってもよい。この構成によれば、配管14内の水等の流体を、十字状に交差する方向に流通させることが可能となる。
【0021】
配管14の両端部には、配管14と他の配管14とを接続するための接続用継ぎ手16が設けられている。
配管14の一端部には、接続用継ぎ手16のオス部16Aが配置されており、配管14の他端部には、接続用継ぎ手16のメス部16Bが配置されている。オス部16Aは、他の配管14のメス部16Bに差し込まれて、配管14と他の配管14とが接続される。
【0022】
接続用継ぎ手16としては、例えば、メス部16Bにオス部16Aを差し込む一操作(ワンタッチ)で接続されるワンタッチ継ぎ手が用いられる。
パネル12の中央部には、パネル12の表面側にスプリンクラーヘッド20が取付可能なスプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18が配置されている。
【0023】
スプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18は、パネル12に取り付けられており、パネル12と一体化されている。
なお、スプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18は、パネル12に取り付けられていれば、パネル12に一体化されていない構成であってもよい。
【0024】
また、スプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18は、パネル12の裏面側で配管14と連通している。さらに、スプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18は、スプリンクラーヘッド20が取り付けられるスプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18の取り付け部としての孔18Aが、パネル12の表面側に向けて、パネル12を貫通する貫通孔23に配置されている。
この孔18Aに、パネル12の表面側から貫通孔23を通じて、スプリンクラーヘッド20を差し込んで、スプリンクラーヘッド20をパネル12の表面側に取り付けられるようになっている。
【0025】
図7に示すように、スプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18は、スプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18にスプリンクラーヘッド20を差し込む一操作(ワンタッチ)で取付可能なワンタッチ取付構造とされている。
また、貫通孔23には、スプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18を隠蔽するカバー22が着脱可能となっている。
【0026】
スプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18にスプリンクラーヘッド20を取り付けない場合に、カバー22を貫通孔23に装着して、スプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18を隠蔽することができる。
なお、カバー22で貫通孔23を隠蔽する場合には、スプリンクラーヘッド20が取り付けられるスプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18の取り付け部としての孔18Aに、孔18Aを塞ぐための図示しない蓋部が装着される。
【0027】
(本実施形態に係るスプリンクラー配設用パネルシステムの作用)
次に、本実施形態に係るスプリンクラー配設用パネルシステムについて作用を説明する。
本実施形態に係るスプリンクラー配設用パネルシステム50では、隣接するスプリンクラー配設用パネル10の接続用継ぎ手16のオス部16Aとメス部16Aとを接続して、複数のスプリンクラー配設用パネル10を天井スラブ100に配置する。
【0028】
スプリンクラーヘッド20を取り付けないスプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18が配置された貫通孔23には、カバー22を装着する。
本実施形態に係るスプリンクラー配設用パネルシステム50によれば、配管14及びスプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18がパネル12と一体化されているので、配管14、スプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18及びパネル12を別々に設置する必要がなく、パネル12を天井スラブ100に配置することで、スプリンクラーの配管の設置が可能となる。このため、スプリンクラーの配管を設置する施工が簡略化できる。
【0029】
また、配管14及びスプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18は、パネル12と一体化されているので、配管14及びスプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18をパネル12に近接して配置することにより、スプリンクラー配設用パネル10の薄型化が図れる。また、樹脂製の配管14を使用することにより、鋼管を用いる構成に比して、スプリンクラー配設用パネル10の軽量化が図れる。
【0030】
このように、スプリンクラー配設用パネル10の薄型化及びスプリンクラー配設用パネル10の軽量化が図れることにより、スプリンクラー配設用パネル10の取り扱いが容易となり、スプリンクラーの配管を設置する施工が簡略化できる。
【0031】
また、接続用継ぎ手16が、メス部16Bにオス部16Aを差し込む一操作で接続可能なワンタッチ継ぎ手で構成されているので、配管14と他の配管14との接続が容易となり、スプリンクラーの配管を設置する施工が簡略化できる。
【0032】
また、本実施形態に係るスプリンクラー配設用パネルシステム50によれば、カバー22によりスプリンクラーヘッド20を取り付けないスプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18を隠蔽できる。これにより、スプリンクラー配設用パネルの意匠性が向上する。
【0033】
また、スプリンクラーヘッド20の位置を変更する場合には、新たにスプリンクラーヘッド20を取り付けるスプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18のある貫通孔23に装着されたカバー22をはずして、このスプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18にスプリンクラーヘッド20を取り付ける。
次に、不要となったスプリンクラーヘッド20をはずし、スプリンクラーヘッド20がはずされたスプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18のある貫通孔23にカバー22を装着して、スプリンクラーヘッド取付用継ぎ手18を隠蔽する。このように、スプリンクラーヘッド20の着脱よりスプリンクラーヘッド20の位置変更ができるので、配管14の設置をやり直す必要がなくなり、スプリンクラーヘッド20の位置変更が容易となる。
【0034】
図3及び図4に示すように、天井スラブ100に天井材102が配置され、天井材102の天井裏にスプリンクラーが設置された構成においても、スプリンクラーを配置する位置の変更やスプリンクラーを追加するリフォームする場合に、スプリンクラー配設用パネルシステム50を用いることができる。
【0035】
この場合も、図1及び図2に示すのと同様に、隣接するスプリンクラー配設用パネル10の接続用継ぎ手16を接続して、複数のスプリンクラー配設用パネル10を天井材102に配置する。
【0036】
この構成によれば、天井材102をはがして、天井裏の配管を設置しなおす必要がなくなり、スプリンクラーの配管を設置する施工が簡略化できる。
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本実施形態に係るスプリンクラー配設用パネルシステムを示す概略図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るスプリンクラー配設用パネルを天井スラブに配置した状態を示す概略図である。
【図3】図3は、本実施形態に係るスプリンクラー配設用パネルを天井材に配置する場合を示す概略図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るスプリンクラー配設用パネルを天井材に配置した状態を示す概略図である。
【図5】図5は、本実施形態に係るスプリンクラー配設用パネルの構成を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5に示すスプリンクラー配設用パネルの変形例を示す斜視図である。
【図7】図7は、図5に示すスプリンクラー配設用パネルを表面側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
10 スプリンクラー配設用パネル
12 パネル
14 配管
16 接続用継ぎ手
18 スプリンクラーヘッド取付用継ぎ手
20 スプリンクラーヘッド
22 カバー
50 スプリンクラー配設用パネルシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被配置面に配置されるパネルと、
前記パネルの裏面に取り付けられた配管と、
前記配管の端部に設けられ、前記配管と他の配管とを接続するための接続用継ぎ手と、
前記パネルに取り付けられ、前記配管と連通し、前記パネルの表面側にスプリンクラーヘッドが取付可能なスプリンクラーヘッド取付用継ぎ手と、
を備えたことを特徴とするスプリンクラー配設用パネル。
【請求項2】
前記配管は、樹脂材料で形成され、
前記パネルは、不燃性材料から形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスプリンクラー配設用パネル。
【請求項3】
前記接続用継ぎ手は、メス部とオス部を有すると共に前記オス部が前記メス部に差し込まれる一操作で接続可能なワンタッチ継ぎ手であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスプリンクラー配設用パネル。
【請求項4】
前記スプリンクラーヘッド取付用継ぎ手を隠蔽し、前記パネルの表面に着脱可能なカバーを備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスプリンクラー配設用パネル。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のスプリンクラー配設用パネルを複数備え、
隣接する前記スプリンクラー配設用パネルの接続用継ぎ手を接続して、前記スプリンクラー配設用パネルを前記被配置面に配置したことを特徴とするスプリンクラー配設用パネルシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−45261(P2009−45261A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214572(P2007−214572)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】