スプリングフィーダー
【目的】絡まり合ったスプリングをエア噴射によって分離させる手段を具備した装置において、前記エア噴射によるエアの風圧でスプリングが供給用搬送路から吹き飛ばされたり、或いは脱落を防止すること。
【構成】主容器部1と、分離用噴射部2と、主容器部1の内部から外部へスプリングを搬送するための貫通口18と、前記主容器部1の外周側に沿って形成されると共に前記スプリングを前記主容器部1の外周側に搬送する供給用搬送路4と、供給用搬送路の終端部分を除いた部分を収容する副容器部5と、前記主容器部1及び前記副容器部5のそれぞれの上面側開口部を閉鎖するカバー体19と、前記スプリングが通過不能な多数の排気孔62が形成された排気カバー部材6とから構成されること。副容器部5の一部には周状開口部55が形成され、周状開口部55に排気カバー部材6が装着されること。
【構成】主容器部1と、分離用噴射部2と、主容器部1の内部から外部へスプリングを搬送するための貫通口18と、前記主容器部1の外周側に沿って形成されると共に前記スプリングを前記主容器部1の外周側に搬送する供給用搬送路4と、供給用搬送路の終端部分を除いた部分を収容する副容器部5と、前記主容器部1及び前記副容器部5のそれぞれの上面側開口部を閉鎖するカバー体19と、前記スプリングが通過不能な多数の排気孔62が形成された排気カバー部材6とから構成されること。副容器部5の一部には周状開口部55が形成され、周状開口部55に排気カバー部材6が装着されること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内において、二つ以上のスプリングが絡まり合ったものをエア噴射によって固定壁に衝突させてその衝撃にて分離させる手段を具備し、スプリングが供給用搬送路を介して次工程に搬送される装置において、前記エア噴射によるエアの風圧でスプリングが供給用搬送路から吹き飛ばされてしまったり、或いは脱落してしまうことを防止し、次工程への搬送効率を向上させることができるスプリングフィーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コイルタイプの多数のスプリングをその伸縮方向に沿って一列に配列させて、作業員に対してスプリングを一つずつ、作業を行い易い状態で供給する役目をなすスプリングフィーダーが存在している。このようなスプリングフィーダーでは、加振器によって振動動作を行う容器内に多数のスプリングを投入し、その振動によって多数のスプリングが一列に整列されながら、容器内を移動しつつ、容器外部の供給用搬送路を介して、作業員にスプリングを一つずつ供給してゆくものである。
【0003】
ところで、前記容器内に投入された多数のスプリングの中には、2本以上のスプリングが絡まり合った状態のものが混在しているものである。そのために、これらの絡まりあった複数のスプリングを1本ずつのスプリングに分離させるための手段が具備されたスプリングフィーダーが存在している。スプリングフィーダーが扱うスプリングの種類の中には、特に、微小サイズのスプリングが存在しており、この種の微小スプリングは絡まり合い易く、さらに、変形したり、損傷し易いものであり、その扱いについては極めて困難なものである。
【0004】
そして、一旦、絡まり合ってしまった微小スプリングは、微小であるがゆえに分離させ難く、また無理に分離させようとすると、微小スプリングを前述したような状態で損傷させてしまうことになり易い。さらに、微小スプリングは、扱い方が悪いと変形してしまうおそれも十分に有り得る。このような複数のスプリング同士が絡まり合ったものを分離する手段として、容器内に形成した固定壁に2以上が絡まりあったスプリングをエア噴射により壁板に衝突させて、その衝撃にてスプリングをほとんど損傷することなく分離させ、一つ一つの微小スプリングを作業員に供給することができるようにしたものを開発している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3386401号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、分離して単体となったスプリングを容器外部の次工程に送り出して搬送するために、供給用搬送路が具備されている。該供給用搬送路は、前記容器に形成された副容器部に収納されている。副容器部は、容器に連通しており、供給用搬送路から選別手段により脱落した不具合を有するスプリングは容器の底部に戻る構成となっている。そして、供給用搬送路の終端部分の溝幅は、微小スプリングを1本ずつ供給することができるようにするために、微小スプリングが一本のみ通過することができる程度に小さく形成されている。
【0007】
このような構成としているので、前述した絡まりあったスプリングを分離するためのエア噴射によるエアが容器内と副容器部内に滞留し、その風圧によって前記供給用搬送路にて搬送移動中のスプリングが吹き飛ばされたり、脱落してしまうことがしばしば生じている。本発明の目的は、絡み合ったスプリングを分離するためのエア噴射による風圧(エアの圧力)によって、供給用搬送路上を搬送中のスプリングが吹き飛ばされたり、脱落してしまうことを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、振動が適宜に与えられる主容器部と、該主容器部の内部にて絡まり状態のスプリングをエア噴射によって分離する分離用噴射部と、前記主容器部の内部から外部へスプリングを搬送するための貫通口と、該貫通口から前記主容器部の外周側に沿って形成されると共に前記スプリングを前記主容器部の外周側に搬送する供給用搬送路と、該供給用搬送路の終端部分を除いた部分を収容すると共に前記主容器部の外周側面に形成され且つ前記貫通口から前記分離用噴射部のエア噴射時のエアが流入する副容器部と、前記主容器部及び前記副容器部のそれぞれの上面側開口部を閉鎖するカバー体と、前記スプリングが通過不能な多数の排気孔が形成された排気カバー部材とから構成され、前記副容器部の一部には周状開口部が形成され、該周状開口部に前記排気カバー部材が装着されてなるスプリングフィーダーとしたことにより、上記課題を解決した。
【0009】
請求項2の発明を、請求項1において、前記副容器部は、前記貫通口側に位置する副始端壁面部と,主容器部の外周に沿う副外周壁面及び内部に収容された前記供給用搬送路の終端側に位置する副終端壁面部とから形成され、前記周状開口部は前記副外周壁面部の副終端壁面部側寄りの部分と、該副終端壁面部の上方側に形成され、該周状開口部に前記排気カバー部材が装着されてなるスプリングフィーダーとしたことにより、上記課題を解決した。
【0010】
請求項3の発明を、請求項1又は2において、前記排気カバー部材は、金属製としてなるスプリングフィーダーとしたことにより、上記課題を解決した。請求項4の発明を、請求項1又は2において、前記排気カバー部材は、金網形状としてなるスプリングフィーダーとしたことにより、上記課題を解決した。請求項5の発明を、請求項1又は2において、前記排気カバー部材は、透明の合成樹脂製としてなるスプリングフィーダーとしたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、主容器部内で分離用噴射部によるエア噴射により、絡み合ったスプリングを主容器部内に形成した分離用の壁板に衝突させて、そのときの衝撃で前記スプリングを一つずつに分離するものである。この分離作業を行うときには、前記分離用噴射部のエア噴射が貫通口を介して副容器部に流れ込んで、該副容器部内にエアが滞留し、エアの風圧が供給用搬送路上で次工程に搬送されるスプリングを前記供給用搬送路から吹き飛ばすようにして、落としてしまうおそれが十分にある。
【0012】
しかし、副容器部には、周状開口部が形成され、該周状開口部に多数の排気孔を有する排気カバー部材が装着されているので、副容器部内のエアは、排気カバー部材の多数の排気孔から排気され、エアの圧力が減少し、供給用搬送路には大きな風圧がかからないようにすることができる。そのため、該供給用搬送路上を搬送されるスプリングの脱落を防止することができる。
【0013】
しかも、排気カバー部材に形成された排気孔は、スプリングが通過することができない程度の大きさとしたものであり、たとえスプリングが何らかの原因で供給用搬送路から脱落しても、排気カバー部材から副容器部の外部に飛び出してしまうことがない。このように、副容器部内部に収納された供給用搬送路によって搬送されているスプリングには、エア噴射による風圧が強くかかることなく、よって供給用搬送路上のスプリングは、吹き飛ばされたり或いは脱落することなく、効率良く次工程に搬送されてゆくことができる。
【0014】
請求項2の発明では、副容器部において前記周状開口部は副外周壁面部と副終端壁面部の上方にそれぞれ形成され、前記周状開口部に排気カバー部材が装着されたものである。これによって、分離用噴射部のエア噴射によるエアは、副容器部内において供給用搬送路が収納されている副外周壁面部と副終端壁面部の箇所で前記排気カバー部材から排気され、エアの流れ方向が適当に分散される。そのために、供給用搬送路にかかるエアの圧力が集中的にかかることがなく、供給用搬送路にかかるエアの圧力をより一層小さくすることができ、供給用搬送路上にて搬送されるスプリングの脱落をより一層防止することができる。
【0015】
特に、前記周状開口部及び排気カバー部材は、副容器部における供給用搬送路の終端箇所に位置させることで、分離用噴射部から噴射されたエアが主容器部から貫通口を介して副容器部に流れ込み、副終端壁面部に到達するときには、エアの損失により既に圧力は下がっているものである。このような状態に加えて排気カバー部材からのエアの排気により、前記副容器部の副終端壁面部におけるエアの圧力は極めて小さくなる。このように排気カバー部材は、前記供給用搬送路の終端部箇所に装着されることとなるので、エアが副容器部内の供給用搬送路の終端部に到達するまでに風圧はより一層、弱くなっており、供給用搬送路上を搬送されているスプリングが極めて脱落しにくい構造にすることができ、排気カバー部材については、比較的小スペースの排気カバー部材にすることも可能となる。
【0016】
請求項3の発明では、前記排気カバー部材を金属製としたので、前記副容器部の外形に対して極めて良好に密接する形状に加工することが容易にできるものである。請求項4の発明では、前記排気カバー部材は、金網形状としたことで、周状開口部に適正に対応するサイズに切り取るのみで、排気カバー部材として使用することができるものであり、その適応性は極めて高いものである。請求項5の発明では、排気カバー部材は、透明の合成樹脂製としたことにより、副容器部内部を視認することができ、供給用搬送路におけるスプリングの搬送状況の良否や、スプリングのつまり等の発生を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の斜視図である。
【図2】(A)は本発明の平面図、(B)は本発明の要部側面図である。
【図3】(A)は本発明の横断平面図、(B)はカバー体及び排気カバー部材を外した状態の要部側面図である。
【図4】(A)は本発明の要部の拡大横断平面図、(B)は排気カバー部材の第1実施形態の斜視図である。
【図5】(A)は本発明の作用を示す平面図、(B)は本発明の作用を示す要部拡大平面図である。
【図6】(A)は第2実施形態の排気カバー部材を装着した本発明の要部斜視図、(B)は第2実施形態の排気カバー部材の斜視図、(C)は第3実施形態の排気カバー部材を装着した本発明の要部斜視図、(D)は第3実施形態の排気カバー部材の斜視図。
【図7】(A)は第4実施形態の排気カバー部材を装着した本発明の要部斜視図、(B)は第4実施形態の排気カバー部材の斜視図、(C)は副容器部全体に亘って排気カバー部材を装着した斜視図である。
【図8】(A)は主容器部と副容器部とを示す要部斜視図、(B)は主容器部内部の搬送路及び選別板の構成を示す要部斜視図である。
【図9】(A)は本発明の要部縦断側面図、(B)は(A)とは異なる方向から見た要部縦断側面図。
【図10】(A)はエア圧が強なる状態のエア噴射の流れ状態を示す作用図、(B)はエア圧が弱なる状態のエア噴射の流れ状態を示す作用図、(C)はタイマー制御を示すグラフ。
【図11】(A)は第1選別搬送部の要部斜視図、(B)は第1選別搬送部の要部横断平面図、(C)は(A)のXa―Xa矢視端面図、(D)は(A)のXb―Xb矢視端面図、(E)は不具合のあるスプリングが振るい落とされる作用図。
【図12】(A)は第2選別搬送部の要部斜視図、(B)はXc―Xc矢視断面図、(C)はXd―Xd矢視断面図、(D)は不具合のあるスプリングが振るい落とされる作用図、(E)は下方から見た選別片の斜視図、(F)は選別片の正面図、(G)は(F)のXe―Xe矢視図、(H)は(F)のXf―Xf矢視断面図、(I)は(F)のXg ―Xg矢視図である。
【図13】(A)は分離用噴射部のエア噴射によって絡み合ったスプリングを分離する状態の斜視図、(B)は(A)の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、全体の構成について説明する。本発明は、図1,図2,図8等に示すように、主に、主容器部1,供給用搬送路4,副容器部5,排気カバー部材6及び加振器3等とから構成されている。主容器部1は、図1,図2,図8に示すように、略扁平円筒形状に形成されており、該主容器部1は、円周側壁11,搬送路12,選別板13等から構成されている。前記円周側壁11は、略円筒形状に形成され、該円周側壁11の内側面11aには、搬送路12が形成されている〔図2,図5(A)等参照〕。
【0019】
さらに、前記主容器部1の円周側壁11の上部1bには、選別板13が形成され、選別板13と前記搬送路12とは連通している〔図2,図5(A),図8等参照〕。また前記搬送路12及び選別板13と、前記内側面11aとのなす隅角箇所には内部搬送溝14が形成されている〔図1,図2(A),図3(A),図4(A)及び図5(A)等参照〕。また、前記主容器部1の選別板13が形成されている高さ方向の位置には貫通口18が形成されている。該貫通口18は、前記内部搬送溝14と、前記主容器部1の外部に装着された供給用搬送路4とを連通させるための開口として形成されたものである〔図1,図3,図11(A),(B)参照〕。
【0020】
前記主容器部1の外周部には、図1乃至図7,図8(A)等に示すように、副容器部5が形成されている。該副容器部5は、内部に前記供給用搬送路4が収納されるものであり、主容器部1の外周において、略半周に亘って、周方向に略半円形状の囲みを有する部屋形状として形成されたものである。副容器部5は、副外周壁面部51,副始端壁面部52,副終端壁面部53及び補助底部54とから構成されている。副外周壁面部51は、前記円周側壁11に沿って、適宜の間隔で略等間隔をおいて形成されたものであり、換言すると、前記主容器部1の円周側壁11の曲率半径よりも大きく形成された弧状壁面であり、略半円形状の壁板として形成され、主容器部1の外周側に小部屋を形成している〔図1,図2(A),図(A)等参照〕。
【0021】
前記副始端壁面部52は、前記主容器部1の円周側壁11に略直交するようにして突出形成された壁面部位であり〔図2(A),図3(A)等参照〕、副始端壁面部52の外端縁が前記副外周壁面部51の長手方向一端側に連結形成されている〔図2(A),図3(A)等参照〕。前記副始端壁面部52は、前記貫通口18を覆う位置に形成されたものであり〔図3(A)参照〕、前記副始端壁面部52は、前記副外周壁面部51と共に貫通口18をその周囲から被覆する構成となる〔図3(A)参照〕。該貫通口18によって、前記分離用噴射部2のエア噴射時のエアが主容器部1から副容器部5に流入するようになっている。また前記副終端壁面部53は、副外周壁面部51の長手方向他端から円周側壁11に対して略接線状に形成される壁面部位である〔図2(A),図3(A)等参照〕。副容器部5を平面的に見ると、副外周壁面部51と副始端壁面部52は略直角に連結する形状であり、前記副外周壁面部51と副終端壁面部53は略傾斜状に連結する形状となる。
【0022】
前記副容器部5には、図1,図2,図3,図8(A)等に示すように、周状開口部55が形成されている。該周状開口部55には、排気カバー部材6が装着される〔図1,図2,図3,図8(A)等参照〕。周状開口部55は、副外周壁面部51の副終端壁面部53側寄りの部分から前記副終端壁面部53に亘って形成されている。具体的には、前記副外周壁面部51及び副終端壁面部53の上下方向の略中央箇所よりも上方の範囲において、壁面の未形成部分として周状開口部55が形成されたものである〔図3(B),図8(A)参照〕。
【0023】
そして、該周状開口部55を覆うようにして、排気カバー部材6が装着される。該排気カバー部材6は、図1,図2,図4(A)等に示すように、前記副外周壁面部51,副始端壁面部52及び副終端壁面部53等と共に、副容器部5の全体を構成する一部材であり、分離用噴射部2から噴射されたエアを副容器部5の外部へ排気する役目をなすものである。排気カバー部材6は、前記副外周壁面部51と前記副終端壁面部53に亘って装着されるものであり、副外周壁面部51と副終端壁面部53との連結部分の角部に沿って、前記排気カバー部材6は折曲部が形成される(図1,図4参照)。そして、排気カバー部材6の長手方向に沿って、副外周壁面部51に接する部分は弧状面となり、副終端壁面部53に接する部分は平坦状面となる(図5参照)。
【0024】
前記副容器部5は、その下端部分が副底部54となっており、該副底部54の位置で、前記主容器部1と連通する構造となっている。そして、前記供給用搬送路4の選別用切欠部41bから振るい落とされた不具合を有するスプリングSdや、何らかの原因で脱落したスプリングSは、前記副容器部5の副底部54から前記主容器部1の底部1aに戻され、再度、主容器部1の底部1aから主容器部1の上方に搬送され、スプリングSの不具合が解消されるまで、前述した搬送動作が繰り返し行われる。
【0025】
前記排気カバー部材6は、主板部61に多数の排気孔62,62,…が形成されたものである。排気カバー部材6は、薄板金属材から形成されたものであり、前記排気孔62の大きさは、前記スプリングSよりも小さく形成されたり、或いは極めて細長い隙間孔として形成されたものであり、該スプリングSが排気孔62から副容器部5の外部に飛び出さないようになっている。排気カバー部材6の主板部61は、副容器部5へ装着するための取付貫通孔61a,61a,…が形成されている。
【0026】
また、前記副容器部5の副外周壁面部51及び副終端壁面部53には、螺子孔56,56,…が形成されている〔図3(B)参照〕。そして、前記取付貫通孔61a,61a,…を介して、前記副容器部5の螺子孔56,56,…にビス等の固着具7を締め付けて固着される。排気カバー部材6の多数の排気孔62,62,…は、主容器部1及び副容器部5内のエアが放出される役目をなすもので、特に、後述する分離用噴射部2から噴射されるエアが副容器部5内部に滞留することが無いようにして、該副容器部5内のエアの風圧を大幅に減少させる役目をなすものである。
【0027】
前記排気カバー部材6には、種々の実施形態が存在するものであり、その第1実施形態
としては、金属製としたものである。該排気カバー部材6が金属製によって形成されるものでは、薄板金属材が使用され、プレス加工等により、副容器部5の副外周壁面部51、副終端壁面部53箇所の形状に沿うように形成される。また、多数の排気孔62,62,…は、穿孔される場合もあるが、多数の小さい貫通孔を有するパンチングメタルが使用されることもある〔図4(A)参照〕。
【0028】
さらに、前記排気カバー部材6の第2実施形態では、透明の合成樹脂製としたものである〔図6(A),(B)参照〕。この実施形態では、比較的柔軟な薄板状のプラスチック板等の合成樹脂材が使用される。排気カバー部材6が合成樹脂から金型により成形されるときに、主板部61と共に多数の排気孔62,62,…が形成される。また排気カバー部材6は、透明の合成樹脂製としたことにより、副容器部5の内部を視認することができ、供給用搬送路4におけるスプリングSの搬送状況及び、スプリングSのつまり等の発生等を極めて容易に確認することができる。
【0029】
また、排気カバー部材6の第3実施形態では、図6(C)に示すように、金網タイプとしたものであって、金網材がそのまま使用されることもある。該排気カバー部材6を金網タイプとしたものでは、図6(D)に示すように、細い針金が交差することにより形成される網目が排気孔62,62,…となる。また、前記排気カバー部材6を薄板金属製とすることにより、前記副容器部5の外形に対して極めて良好に密接する形状に加工し易いものとなる。前記排気カバー部材6は、金網形状としたことで、周状開口部に適正に対応するサイズに切り取るのみで、適正なサイズの排気カバー部材6として使用することができるものである〔図6(C)参照〕。また、排気カバー部材6の第4実施形態として、前述した第1実施形態及び第2実施形態において、前記排気孔62,62,…の形状をスリット形状に形成されることもある〔図7(A),(B)参照〕。排気孔62がスリット形状に形成されることにより、エアの流れの通過をより一層良好にして、エアを効率良く排気することができるものである。
【0030】
前記副容器部5内部において、供給用搬送路4は前記貫通口18の位置から主容器部1の円周側壁11と、前記副容器部5の副外周壁面部51との間に周方向に沿って通路状のスペースが形成されている〔図2(A),図3(A)及び図5(A)参照〕。前記供給用搬送路4の中央部(後述する第2選別搬送部42)及び終端部(後述する接続用搬送部43)は、排気カバー部材6の装着箇所を通過している。そして、供給用搬送路4の終端部(接続用搬送部43)は、副終端壁面部53を通過すると共に前記副容器部5の外部に突出する構成となっている〔図1乃至図4(A)等参照〕。
【0031】
特に、前記周状開口部55及び排気カバー部材6は、副容器部5における供給用搬送路4の終端部(接続用搬送部43)箇所に位置することとなり、分離用噴射部2のエア噴射によるエアが副終端壁面部53の位置に到達するときには、圧力が極めて小さくなり、供給用搬送路4上を搬送されているスプリングSが極めて脱落しにくい構造にすることができる。また、前記排気カバー部材6は、前記供給用搬送路4の終端部(接続用搬送部43)箇所に装着されることとなるので、エア噴射されたエアが副容器部5内の供給用搬送路4の終端部(接続用搬送部43)に到達するまでにエア圧力は減少して弱くなっており、比較的小スペースの排気カバー部材6にすることも可能となる。
【0032】
次に、供給用搬送路4は、図5に示すように、主容器部1内で選別された適正なスプリングSを本発明のスプリングフィーダーの外部に搬送し、作業員に供給したり、或いは必要に応じて別の装置にスプリングSを供給する役目をなす部位である。供給用搬送路4は、図1,図2(A),図3(A),図4(A),図5に示すように、前記主容器部1の円周側壁11の外方側に設置され、前記円周側壁11と適宜の間隔を有しつつ、且つその長手方向は、円周側壁11に沿って略円弧状に形成されている。また、供給用搬送路4は、前記主容器部1の円周側壁11の略半周に亘って構成されている〔図1(A)参照〕。ここで、前記供給用搬送路4の長手方向とは、スプリングSが搬送される搬送方向に等しい方向である(図5参照)。スプリングSが搬送される搬送方向は、以下単に搬送方向と言う。
【0033】
次に、供給用搬送路4は、第1選別搬送部41と、第2選別搬送部42及び接続用搬送部43とから構成されている〔図2(A),図3(A),図5(A)参照〕。供給用搬送路4は、前記加振器3によって主容器部1と共に振動し、スプリングSを主容器部1内部から供給用搬送路4の第1選別搬送部41と第2選別搬送部42及び接続用搬送部43に亘って搬送させるものである。まず、前記第1選別搬送部41の始端箇所は、前記主容器部1内部の選別板13に形成された内部搬送溝14と、前記貫通口18を介して連通する構成となっている〔図3(A),図11(A),(B)等参照〕。
【0034】
第1選別搬送部41の始端箇所は、前記貫通口18から主容器部1の内部に僅かに入り込んだ状態となっている。また第1選別搬送部41は、その長手方向が前記主容器部1の外周に沿って、弧状に形成されたものである。第1選別搬送部41は、搬送溝41aが形成されたものであり、前記内部搬送溝14と前記貫通口18にて連通している〔図1乃至図3及び図11(A),(B)等参照〕。
【0035】
前記第1選別搬送部41は、図11(A)乃至(C)に示すように、帯板状に形成され、その長手方向(搬送方向)に直交する断面形状は、略長方形状であり、且つその長辺方向が上下方向となるように形成されている。前記搬送溝41aは、図11(C)に示すように、第1選別搬送部41の頂部に形成されたものであり、その断面形状は略V字形状に形成されている。第1選別搬送部41では、選別用切欠部41bが形成されている〔図11(A),(B),(D),(E)参照〕。
【0036】
該選別用切欠部41bは、前記搬送溝41aの幅方向両側のいずれか一方の斜面部が下方部分を僅かに残し、上方部分が切除されることによって形成された部分である。選別用切欠部41bが形成された搬送溝41aでは、部分的に溝幅及び溝深さが共に小さくなり、二つ以上が絡まり合って塊状となった不具合を有するスプリングSdが前記選別用切欠部41bで振るい落とされるものである〔図11(E)参照〕。
【0037】
このような選別用切欠部41bは、第1選別搬送部41に2箇所以上形成される。具体的には、搬送溝41aの溝幅方向の一端側と他端側に選別用切欠部41bが形成されるものであり、前記貫通口18箇所に位置する搬送溝41aでは、選別用切欠部41bは主容器部1の内方側に位置するように形成され、選別用切欠部41bから振るい落とされる不具合を有するスプリングSdは主容器部1内に落下するようになっている。また、その他の位置に形成される選別用切欠部41bでは、不具合を有するスプリングSdが主容器部1の外部に落下することになるが、この場合には、主容器部1の円周側壁11の外側面11bに形成された副容器部5に、不具合を有するスプリングSdが振るい落とされる。
【0038】
次に、第2選別搬送部42は、図12(A)に示すように、搬送溝42aと選別片42bとから構成されている。第2選別搬送部42は、帯板形状であり、平面的に見て弧状であり〔図2(A),図5(A)参照〕、また搬送方向に直交する断面形状では傾斜板状に形成されている〔図12(A)乃至(C)参照〕。第2選別搬送部42の高さ方向の略中央位置には搬送溝42aが形成されている。該搬送溝42aは、前記第2選別搬送部42の長手方向に直交する断面において、上下方向に対して略中央位置に段差形状として形成されたものであり、前記搬送溝42aよりも上方側が下方側よりもへこむ形状となっている〔図12(B),(C)参照〕。
【0039】
換言すると第2選別搬送部42の断面形状は、前記搬送溝42aよりも上方側の肉厚が、下方側の肉厚よりも薄くなるように形成されたものである。該搬送溝42aは、第2選別搬送部42の長手方向に直交する断面で、且つ該第2選別搬送部42の表面の上下方向の略中央箇所に突出された段差面として形成されたものである。前記搬送溝42aの段差面の第2選別搬送部42表面からの突出寸法kは、スプリングSの直径よりも小さく形成されている〔図12(D)参照〕。
【0040】
特に、スプリングSが微小スプリングである場合では、その突出量は、略1mm以下である。搬送溝42aは、スプリングSがその伸縮方向を搬送方向と一致した状態に載置された状態において、1本のみが搬送されることができる程度となっている〔図12(B),
(C)参照〕。したがって、搬送溝42aでは、原則的に2本以上が絡み合った状態の不具合を有するスプリングSdが通過するときには、この不具合を有するスプリングSdがバランスを崩して搬送溝42aから落下することになり、このような不具合のあるスプリングSdの通過を不可能としている〔図12(D)参照〕。
【0041】
第2選別搬送部42における搬送溝42a付近には、選別片42bが装着されている〔図12(A)乃至(C)参照〕。該選別片42bは、前記第2選別搬送部42の第2選別搬送部42にボルト等の固着具によって固着されている。選別片42bは、第2選別搬送部42とは別部材としたものであって、図12(E),(F)に示すように、略方形状の板片形状に形成され、その任意の一辺は選別端部42b’となっている。該選別片42bは、前記選別端部42b’が前記搬送溝42aに近接するようにして前記第2選別搬送部42に設置されている。選別端部42b’は、下方側が三角形状の斜面となるように形成された部位であって〔図12(E)参照〕、選別片42bが第2選別搬送部42に適正に装着された状態で前記選別端部42b’の断面形状は厚さの薄い部分から厚い部分に亘って傾斜状となるように形成されたものである〔図12(F)乃至(I)参照〕。
【0042】
選別端部42b’の下端は、前記搬送溝42aの搬送方向に平行となるようにセットされ〔図12(A)参照〕、且つ搬送方向に沿って前記選別端部42b’は薄い部分から厚い部分となるようにセットされるものである〔図12(A)乃至(C)参照〕。そして、前記搬送溝42aは、スプリングSがその伸縮方向を搬送方向と一致した状態に載置された状態において、1本のみが搬送されることができる程度となっている。
【0043】
次に、接続用搬送部43は、図1,図2(A)に示すように、本発明におけるスプリングフィーダーを他の作業機器100と接続する役目をなす部位であり、接続用搬送部43は、供給用搬送路4の終端部位となる。接続用搬送部43は、接続用搬送溝43aが形成されたものである〔図4(A)参照〕。接続用搬送部43には、カバー部材43bが備わっており、前記接続用搬送溝43aを溝方向の一端側から他端側に向けてその長手方向に亘って覆うものであり、溝幅方向において、接続用搬送溝43aの溝幅方向の中心位置を僅かに超えた位置まで覆い、覆われない部分は隙間jとなっている〔図3(A),図4(A)参照〕。
【0044】
接続用搬送部43には、図1,図2(A),図3(A),図4(A)等に示すように、除去用噴射部43cが装着されている。該除去用噴射部43cは、噴射ノズルと空気弁とから構成され、接続用搬送部43内に詰まったスプリングSdをエア噴射のエアによって除去するものである。供給用搬送路4は、その長手方向において始端部に相当する箇所は、前記第1選別搬送部41であり、中央部は、第2選別搬送部42であり、終端部は接続用搬送部43となる。
【0045】
次に、主容器部1内の構成について説明する。搬送路12は、緩やかな傾斜を有しながら主容器部1の内側面11aに沿って、前記主容器部1の底部1aから上部1bに向かって螺旋状に形成されている(図8,図9参照)。前記搬送路12は、帯板から形成されたものであり、前記内側面11aに対して搬送路12の内端側(前記主容器部1の中心側寄り)が上向き傾斜状となるように、適宜の角度を有している。
【0046】
該搬送路12は、スプリングSが主容器部1の底部1aから主容器部1の上方に向かって搬送させる役目をなすもので、後述する加振器3による主容器部1の振動にて、スプリング群S,S,…を移動させる。また、前記搬送路12の内側面11a寄りには、周方向に沿って内部搬送溝14が形成されている〔図1,図2(A),図3(A),図4(A)参照〕。該内部搬送溝14は、個々のスプリングSが納まり内部搬送溝14内でその伸縮方向に沿って一列に配列させることが行われ易いものにすることができる。
【0047】
その主容器部1の上部箇所には、選別板13が装着されている。該選別板13は、平面的に見て略半円形状をなし〔図1,図2(A),図3(A),図5(A)参照〕、且つ中央箇所が最も高く、その円形外周縁に向かって高さが低くなるように傾斜している(図15参照)。換言すると、前記選別板13は、略偏平円錐板において、その中心部を通過する直径線を基準にして略半割りにされたような形状としたもので、平面的に見て略半円形状としたものである。主容器部1の上部箇所では、前記選別板13にてカバーされた部分以外の部分を戻し開口部1cと称する。該戻し開口部1cも略半円状である〔図1,図2(A),図3(A),図5(A)参照〕。
【0048】
前記選別板13と内側面11aとは直角に交わるものではなく、選別板13の中心側が上向き傾斜状となるように内側面11aに交わっている(図9参照)。これによって、選別板13上のスプリングSは、選別板13と内側面11aとの交差する部分,即ち選別板13の外周側に向かって移動するようになっている。前記搬送路12の最上位置と選別板13の内側面11a寄り箇所とが連続してつながっている。そして、前記搬送路12に沿って上方に移動するスプリング群S,S,…は、選別板13に搬送される。その搬送路12の最上位置と選別板13との連続位置で且つ主容器部1の内側面11aには、絡まり合ったスプリングS,S,…を分離するための分離用噴射部として分離用噴射部2が設けられている。
【0049】
該分離用噴射部2は、噴射口21と空気弁22とから構成されており、該空気弁22は前記主容器部1の外側面11b側に装着されている〔図1乃至図3及び図5(A),図10,図13等参照〕。前記空気弁22は、主容器部1の外部に備えられた(図示しない)エアコンプレッサー等からチューブを介してエアが供給される構成となっている。そして、分離用噴射部2の噴射口21から所望の噴射圧に調整してエア噴射を行うことができるようになっている。その選別板13上で且つ前記分離用噴射部2の噴射口21付近から前記選別板13の中心方向に向かってエアガイド壁部15が形成されている。該エアガイド壁部15は、略垂直壁板状に形成され、その長手方向は、分離用噴射部2の噴射口21からのエア噴射方向に沿って形成されている(図13参照)。そのエアガイド壁部15は、対向する2つの主壁板15aと補助壁板15bとから構成されている。
【0050】
主壁板15aは、補助壁板15bより長く形成され、選別板13の直線状端縁に沿って設けられている。その主壁板15aと内側面11aとの間には、所定の間隔が設けられている。この間隔内に前記搬送路12と選別板13との連結部分が存在し、スプリング群S,S,…が搬送路12から選別板13に移動して入り込むための間隔となるものである。また、補助壁板15bは、主壁板15aと平行に配置されている。そして、分離用噴射部2からのエア噴射は、主壁板15aと補助壁板15bとの間を流れ、該エア噴射により吹き飛ばされるスプリング群S,S,…は、主壁板15aと補助壁板15bとの間を通過してゆく(図5,図10,図13参照)。
【0051】
次に、選別板13の略中心付近には、固定壁板16が設けられている(図5,図6,図10,図13参照)。具体的には、選別板13の中心位置において、その分離用噴射部2側と反対側となる位置に固定壁板16が配置され、且つそのエア噴射方向に対して適宜の傾斜角度を有して傾斜している。そして、分離用噴射部2からのエア噴射は、その固定壁板16の傾斜角度により選別板13側に噴射方向が変換するようになっている。また、固定壁板16には、エア噴射により吹き飛ばされたスプリング群S,S,…が衝突し、このときの衝撃により2つ以上の絡まり合ったスプリングS,S同士を分離させるものである(図13参照)。また、その固定壁板16には、適宜の間隔をおいて対向する副固定板17が設けられ、固定壁板16に衝突したスプリング群S,S,…のなかで、まだ絡まりが分離されないものが再度衝突して分離できる。
【0052】
主容器部1の下部には、加振器3が配置され、該加振器3により、主容器部1が振動する(図1参照)。その加振器3は電磁式による物などが使用されている。そして、主容器部1の振動により搬送路12に適正なる振動が与えられ、内部に貯蔵されたスプリング群S,S,…が搬送路12に沿って主容器部1の上方に移動し、スプリング群S,S,…を選別板13に向けて搬送することができる。主容器部1及び副容器部5の上部開口部には、カバー体19がビス等の固着具8によって、着脱自在に装着されている。該カバー体19は、アクリル,ガラス等の透明板にて形成され、螺子部材にて主容器部1の頂部に固定する。そしてカバー体19には、(図示しない)小蓋部が形成され、該小蓋部を開けることにより、主容器部1の内部に多量のスプリング群S,S,…を入れることができる。
【0053】
噴射口21からのエア噴射は、タイマー制御を介して間欠運動とすることができる。即ち、エア噴射の作動及び停止の間隔を時間的に制御して行うものである(図10参照)。このようにして、選別板13上で絡まり状態から解除され、個々に分離されたスプリングS,S,…が内部搬送溝14内で一列に配列され次工程に移動させることができる。図10(C)は、タイマーによりエア噴射の強弱のそれぞれの時間を制御する状態を示したグラフである。グラフでは、横軸がエア圧の強弱の時間であり、エア圧が強状態の時間はTLであり、エア圧が弱状態の時間はTSである。
【0054】
まず、カバー体19の小蓋部を開けて、主容器部1内に多量のスプリングS,S,…を入れ、加振器3を駆動させて、主容器部1に適正な振動を与える。主容器部1の底部1aに貯蔵されたスプリング群S,S,…は、搬送路12に沿って移動し、選別板13に向かって搬送される。搬送路12の最上位置と選別板13との連続箇所に位置する噴射口21からのエア噴射は、常時,エア圧が弱い状態で行われ、強圧なるエア噴射がタイマー制御を介して間欠運動として行われる。該エア噴射は、タイマー制御により、常時は弱なるエア圧によって、噴射口21の周辺に搬送されてきたスプリング群S,S,…が動き回り、噴射口21を塞ぐことがないようにしている。そして、一定間隔の時間をおいて、強なるエア圧によるエア噴射が行われ、噴射口21周辺に集合したスプリング群S,S,…を固定壁板16に向けて一気に吹き飛ばし、絡まり状態のスプリングS,Sが固定壁板16に衝突し、そのときに絡まり状態のスプリングS,Sが分離する。
【0055】
エア噴射のエア圧が間欠動作により再度,弱なる時間になったときに、個々のスプリングS,S,…は、選別板13の外周端縁に形成された内部搬送溝14に納まり、加振器3による振動にて内部搬送溝14に沿って貫通口18に向かって移動し、内部搬送溝14から主容器部1の外部に設けた供給用搬送路4にスプリング群S,S,…が送り出され、さらにそのスプリング群S,S,…が供給用搬送路4の搬送方向端に設けたスプリング供給装置に搬送される。
【0056】
上述したように、エア噴射のエア圧の強弱の繰り返しにおいて、エア圧が強の時間で絡まり状態のスプリングS,Sが分離される作業が行われ、エア圧が弱なる時間で、個々のスプリングSが内部搬送溝14から供給用搬送路4に搬送されるものである。上記のエア噴射のエア圧の強弱の時間は、本発明では、弱なるエア圧の時間は約7秒であり、強なるエア圧の時間は約3秒としている。しかし、これは、一つの実施例にすぎず、タイマー制御により、エア圧の強弱の時間を適宜変更しても構わない。
【0057】
また、一回目のエア噴射による固定壁板16への衝突で絡まり状態が分離されなかったスプリングS,Sは、選別板13から再び主容器部1の底部1aに戻され、この絡まり状態のスプリングS,Sが再度搬送路12から選別板13に移動し、エア噴射による同様の作動が繰り返され、絡まり状態のスプリングS,Sの分離が行われる。そして、適正なスプリングSが適正な状態で内部搬送溝14から、供給用搬送路4の第1選別搬送部41の搬送溝41aに搬送され、スプリングSは、第1選別搬送部41,第2選別搬送部42及び接続用搬送部43に搬送される〔図8(B),図9参照〕。
【0058】
前記分離用噴射部2からのエア噴射によるエアは、主容器部1内で絡まりあったスプリングS,Sを分離すると共に、そのエアは、貫通口18を通過して副容器部5内に流れ込む。そして該副容器部5内に流れ込んだエアは、副容器部5内に収納された供給用搬送路4の第1選別搬送部41,第2選別搬送部42及び接続用搬送部43に亘って流れることになるが、そのエアは、図5に示すように、前記排気カバー部材6の排気孔62,62,…からそのまま全て排気されるので、供給用搬送路4上で搬送されているスプリングS,S,…にかかる風圧を小さくし、スプリングS,S,…が供給用搬送路4から吹き飛ばされたり、脱落しないようにすることができる。
【0059】
これによって、適正状態のスプリングS,S,…のみを次工程に搬送することができ、作業の効率を向上させることができる。しかも、前記主容器部1と前記副容器部5とは、前記貫通口18を介して連通する構成としているので、前記分離用噴射部2からのエア噴射によるエアは、主容器部1内では、十分且つ適正な勢いの噴射にすることができ、絡まりあった不具合を有する小形スプリングSdを前記固定壁板16に衝突させて、絡みを解すことできるものである。
【符号の説明】
【0060】
1…主容器部、2…分離用噴射部、4…供給用搬送路、5…副容器部、
55…周状開口部、6…排気カバー部材、62…排気孔、18…貫通口、
19…カバー体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内において、二つ以上のスプリングが絡まり合ったものをエア噴射によって固定壁に衝突させてその衝撃にて分離させる手段を具備し、スプリングが供給用搬送路を介して次工程に搬送される装置において、前記エア噴射によるエアの風圧でスプリングが供給用搬送路から吹き飛ばされてしまったり、或いは脱落してしまうことを防止し、次工程への搬送効率を向上させることができるスプリングフィーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コイルタイプの多数のスプリングをその伸縮方向に沿って一列に配列させて、作業員に対してスプリングを一つずつ、作業を行い易い状態で供給する役目をなすスプリングフィーダーが存在している。このようなスプリングフィーダーでは、加振器によって振動動作を行う容器内に多数のスプリングを投入し、その振動によって多数のスプリングが一列に整列されながら、容器内を移動しつつ、容器外部の供給用搬送路を介して、作業員にスプリングを一つずつ供給してゆくものである。
【0003】
ところで、前記容器内に投入された多数のスプリングの中には、2本以上のスプリングが絡まり合った状態のものが混在しているものである。そのために、これらの絡まりあった複数のスプリングを1本ずつのスプリングに分離させるための手段が具備されたスプリングフィーダーが存在している。スプリングフィーダーが扱うスプリングの種類の中には、特に、微小サイズのスプリングが存在しており、この種の微小スプリングは絡まり合い易く、さらに、変形したり、損傷し易いものであり、その扱いについては極めて困難なものである。
【0004】
そして、一旦、絡まり合ってしまった微小スプリングは、微小であるがゆえに分離させ難く、また無理に分離させようとすると、微小スプリングを前述したような状態で損傷させてしまうことになり易い。さらに、微小スプリングは、扱い方が悪いと変形してしまうおそれも十分に有り得る。このような複数のスプリング同士が絡まり合ったものを分離する手段として、容器内に形成した固定壁に2以上が絡まりあったスプリングをエア噴射により壁板に衝突させて、その衝撃にてスプリングをほとんど損傷することなく分離させ、一つ一つの微小スプリングを作業員に供給することができるようにしたものを開発している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3386401号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、分離して単体となったスプリングを容器外部の次工程に送り出して搬送するために、供給用搬送路が具備されている。該供給用搬送路は、前記容器に形成された副容器部に収納されている。副容器部は、容器に連通しており、供給用搬送路から選別手段により脱落した不具合を有するスプリングは容器の底部に戻る構成となっている。そして、供給用搬送路の終端部分の溝幅は、微小スプリングを1本ずつ供給することができるようにするために、微小スプリングが一本のみ通過することができる程度に小さく形成されている。
【0007】
このような構成としているので、前述した絡まりあったスプリングを分離するためのエア噴射によるエアが容器内と副容器部内に滞留し、その風圧によって前記供給用搬送路にて搬送移動中のスプリングが吹き飛ばされたり、脱落してしまうことがしばしば生じている。本発明の目的は、絡み合ったスプリングを分離するためのエア噴射による風圧(エアの圧力)によって、供給用搬送路上を搬送中のスプリングが吹き飛ばされたり、脱落してしまうことを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、振動が適宜に与えられる主容器部と、該主容器部の内部にて絡まり状態のスプリングをエア噴射によって分離する分離用噴射部と、前記主容器部の内部から外部へスプリングを搬送するための貫通口と、該貫通口から前記主容器部の外周側に沿って形成されると共に前記スプリングを前記主容器部の外周側に搬送する供給用搬送路と、該供給用搬送路の終端部分を除いた部分を収容すると共に前記主容器部の外周側面に形成され且つ前記貫通口から前記分離用噴射部のエア噴射時のエアが流入する副容器部と、前記主容器部及び前記副容器部のそれぞれの上面側開口部を閉鎖するカバー体と、前記スプリングが通過不能な多数の排気孔が形成された排気カバー部材とから構成され、前記副容器部の一部には周状開口部が形成され、該周状開口部に前記排気カバー部材が装着されてなるスプリングフィーダーとしたことにより、上記課題を解決した。
【0009】
請求項2の発明を、請求項1において、前記副容器部は、前記貫通口側に位置する副始端壁面部と,主容器部の外周に沿う副外周壁面及び内部に収容された前記供給用搬送路の終端側に位置する副終端壁面部とから形成され、前記周状開口部は前記副外周壁面部の副終端壁面部側寄りの部分と、該副終端壁面部の上方側に形成され、該周状開口部に前記排気カバー部材が装着されてなるスプリングフィーダーとしたことにより、上記課題を解決した。
【0010】
請求項3の発明を、請求項1又は2において、前記排気カバー部材は、金属製としてなるスプリングフィーダーとしたことにより、上記課題を解決した。請求項4の発明を、請求項1又は2において、前記排気カバー部材は、金網形状としてなるスプリングフィーダーとしたことにより、上記課題を解決した。請求項5の発明を、請求項1又は2において、前記排気カバー部材は、透明の合成樹脂製としてなるスプリングフィーダーとしたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、主容器部内で分離用噴射部によるエア噴射により、絡み合ったスプリングを主容器部内に形成した分離用の壁板に衝突させて、そのときの衝撃で前記スプリングを一つずつに分離するものである。この分離作業を行うときには、前記分離用噴射部のエア噴射が貫通口を介して副容器部に流れ込んで、該副容器部内にエアが滞留し、エアの風圧が供給用搬送路上で次工程に搬送されるスプリングを前記供給用搬送路から吹き飛ばすようにして、落としてしまうおそれが十分にある。
【0012】
しかし、副容器部には、周状開口部が形成され、該周状開口部に多数の排気孔を有する排気カバー部材が装着されているので、副容器部内のエアは、排気カバー部材の多数の排気孔から排気され、エアの圧力が減少し、供給用搬送路には大きな風圧がかからないようにすることができる。そのため、該供給用搬送路上を搬送されるスプリングの脱落を防止することができる。
【0013】
しかも、排気カバー部材に形成された排気孔は、スプリングが通過することができない程度の大きさとしたものであり、たとえスプリングが何らかの原因で供給用搬送路から脱落しても、排気カバー部材から副容器部の外部に飛び出してしまうことがない。このように、副容器部内部に収納された供給用搬送路によって搬送されているスプリングには、エア噴射による風圧が強くかかることなく、よって供給用搬送路上のスプリングは、吹き飛ばされたり或いは脱落することなく、効率良く次工程に搬送されてゆくことができる。
【0014】
請求項2の発明では、副容器部において前記周状開口部は副外周壁面部と副終端壁面部の上方にそれぞれ形成され、前記周状開口部に排気カバー部材が装着されたものである。これによって、分離用噴射部のエア噴射によるエアは、副容器部内において供給用搬送路が収納されている副外周壁面部と副終端壁面部の箇所で前記排気カバー部材から排気され、エアの流れ方向が適当に分散される。そのために、供給用搬送路にかかるエアの圧力が集中的にかかることがなく、供給用搬送路にかかるエアの圧力をより一層小さくすることができ、供給用搬送路上にて搬送されるスプリングの脱落をより一層防止することができる。
【0015】
特に、前記周状開口部及び排気カバー部材は、副容器部における供給用搬送路の終端箇所に位置させることで、分離用噴射部から噴射されたエアが主容器部から貫通口を介して副容器部に流れ込み、副終端壁面部に到達するときには、エアの損失により既に圧力は下がっているものである。このような状態に加えて排気カバー部材からのエアの排気により、前記副容器部の副終端壁面部におけるエアの圧力は極めて小さくなる。このように排気カバー部材は、前記供給用搬送路の終端部箇所に装着されることとなるので、エアが副容器部内の供給用搬送路の終端部に到達するまでに風圧はより一層、弱くなっており、供給用搬送路上を搬送されているスプリングが極めて脱落しにくい構造にすることができ、排気カバー部材については、比較的小スペースの排気カバー部材にすることも可能となる。
【0016】
請求項3の発明では、前記排気カバー部材を金属製としたので、前記副容器部の外形に対して極めて良好に密接する形状に加工することが容易にできるものである。請求項4の発明では、前記排気カバー部材は、金網形状としたことで、周状開口部に適正に対応するサイズに切り取るのみで、排気カバー部材として使用することができるものであり、その適応性は極めて高いものである。請求項5の発明では、排気カバー部材は、透明の合成樹脂製としたことにより、副容器部内部を視認することができ、供給用搬送路におけるスプリングの搬送状況の良否や、スプリングのつまり等の発生を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の斜視図である。
【図2】(A)は本発明の平面図、(B)は本発明の要部側面図である。
【図3】(A)は本発明の横断平面図、(B)はカバー体及び排気カバー部材を外した状態の要部側面図である。
【図4】(A)は本発明の要部の拡大横断平面図、(B)は排気カバー部材の第1実施形態の斜視図である。
【図5】(A)は本発明の作用を示す平面図、(B)は本発明の作用を示す要部拡大平面図である。
【図6】(A)は第2実施形態の排気カバー部材を装着した本発明の要部斜視図、(B)は第2実施形態の排気カバー部材の斜視図、(C)は第3実施形態の排気カバー部材を装着した本発明の要部斜視図、(D)は第3実施形態の排気カバー部材の斜視図。
【図7】(A)は第4実施形態の排気カバー部材を装着した本発明の要部斜視図、(B)は第4実施形態の排気カバー部材の斜視図、(C)は副容器部全体に亘って排気カバー部材を装着した斜視図である。
【図8】(A)は主容器部と副容器部とを示す要部斜視図、(B)は主容器部内部の搬送路及び選別板の構成を示す要部斜視図である。
【図9】(A)は本発明の要部縦断側面図、(B)は(A)とは異なる方向から見た要部縦断側面図。
【図10】(A)はエア圧が強なる状態のエア噴射の流れ状態を示す作用図、(B)はエア圧が弱なる状態のエア噴射の流れ状態を示す作用図、(C)はタイマー制御を示すグラフ。
【図11】(A)は第1選別搬送部の要部斜視図、(B)は第1選別搬送部の要部横断平面図、(C)は(A)のXa―Xa矢視端面図、(D)は(A)のXb―Xb矢視端面図、(E)は不具合のあるスプリングが振るい落とされる作用図。
【図12】(A)は第2選別搬送部の要部斜視図、(B)はXc―Xc矢視断面図、(C)はXd―Xd矢視断面図、(D)は不具合のあるスプリングが振るい落とされる作用図、(E)は下方から見た選別片の斜視図、(F)は選別片の正面図、(G)は(F)のXe―Xe矢視図、(H)は(F)のXf―Xf矢視断面図、(I)は(F)のXg ―Xg矢視図である。
【図13】(A)は分離用噴射部のエア噴射によって絡み合ったスプリングを分離する状態の斜視図、(B)は(A)の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、全体の構成について説明する。本発明は、図1,図2,図8等に示すように、主に、主容器部1,供給用搬送路4,副容器部5,排気カバー部材6及び加振器3等とから構成されている。主容器部1は、図1,図2,図8に示すように、略扁平円筒形状に形成されており、該主容器部1は、円周側壁11,搬送路12,選別板13等から構成されている。前記円周側壁11は、略円筒形状に形成され、該円周側壁11の内側面11aには、搬送路12が形成されている〔図2,図5(A)等参照〕。
【0019】
さらに、前記主容器部1の円周側壁11の上部1bには、選別板13が形成され、選別板13と前記搬送路12とは連通している〔図2,図5(A),図8等参照〕。また前記搬送路12及び選別板13と、前記内側面11aとのなす隅角箇所には内部搬送溝14が形成されている〔図1,図2(A),図3(A),図4(A)及び図5(A)等参照〕。また、前記主容器部1の選別板13が形成されている高さ方向の位置には貫通口18が形成されている。該貫通口18は、前記内部搬送溝14と、前記主容器部1の外部に装着された供給用搬送路4とを連通させるための開口として形成されたものである〔図1,図3,図11(A),(B)参照〕。
【0020】
前記主容器部1の外周部には、図1乃至図7,図8(A)等に示すように、副容器部5が形成されている。該副容器部5は、内部に前記供給用搬送路4が収納されるものであり、主容器部1の外周において、略半周に亘って、周方向に略半円形状の囲みを有する部屋形状として形成されたものである。副容器部5は、副外周壁面部51,副始端壁面部52,副終端壁面部53及び補助底部54とから構成されている。副外周壁面部51は、前記円周側壁11に沿って、適宜の間隔で略等間隔をおいて形成されたものであり、換言すると、前記主容器部1の円周側壁11の曲率半径よりも大きく形成された弧状壁面であり、略半円形状の壁板として形成され、主容器部1の外周側に小部屋を形成している〔図1,図2(A),図(A)等参照〕。
【0021】
前記副始端壁面部52は、前記主容器部1の円周側壁11に略直交するようにして突出形成された壁面部位であり〔図2(A),図3(A)等参照〕、副始端壁面部52の外端縁が前記副外周壁面部51の長手方向一端側に連結形成されている〔図2(A),図3(A)等参照〕。前記副始端壁面部52は、前記貫通口18を覆う位置に形成されたものであり〔図3(A)参照〕、前記副始端壁面部52は、前記副外周壁面部51と共に貫通口18をその周囲から被覆する構成となる〔図3(A)参照〕。該貫通口18によって、前記分離用噴射部2のエア噴射時のエアが主容器部1から副容器部5に流入するようになっている。また前記副終端壁面部53は、副外周壁面部51の長手方向他端から円周側壁11に対して略接線状に形成される壁面部位である〔図2(A),図3(A)等参照〕。副容器部5を平面的に見ると、副外周壁面部51と副始端壁面部52は略直角に連結する形状であり、前記副外周壁面部51と副終端壁面部53は略傾斜状に連結する形状となる。
【0022】
前記副容器部5には、図1,図2,図3,図8(A)等に示すように、周状開口部55が形成されている。該周状開口部55には、排気カバー部材6が装着される〔図1,図2,図3,図8(A)等参照〕。周状開口部55は、副外周壁面部51の副終端壁面部53側寄りの部分から前記副終端壁面部53に亘って形成されている。具体的には、前記副外周壁面部51及び副終端壁面部53の上下方向の略中央箇所よりも上方の範囲において、壁面の未形成部分として周状開口部55が形成されたものである〔図3(B),図8(A)参照〕。
【0023】
そして、該周状開口部55を覆うようにして、排気カバー部材6が装着される。該排気カバー部材6は、図1,図2,図4(A)等に示すように、前記副外周壁面部51,副始端壁面部52及び副終端壁面部53等と共に、副容器部5の全体を構成する一部材であり、分離用噴射部2から噴射されたエアを副容器部5の外部へ排気する役目をなすものである。排気カバー部材6は、前記副外周壁面部51と前記副終端壁面部53に亘って装着されるものであり、副外周壁面部51と副終端壁面部53との連結部分の角部に沿って、前記排気カバー部材6は折曲部が形成される(図1,図4参照)。そして、排気カバー部材6の長手方向に沿って、副外周壁面部51に接する部分は弧状面となり、副終端壁面部53に接する部分は平坦状面となる(図5参照)。
【0024】
前記副容器部5は、その下端部分が副底部54となっており、該副底部54の位置で、前記主容器部1と連通する構造となっている。そして、前記供給用搬送路4の選別用切欠部41bから振るい落とされた不具合を有するスプリングSdや、何らかの原因で脱落したスプリングSは、前記副容器部5の副底部54から前記主容器部1の底部1aに戻され、再度、主容器部1の底部1aから主容器部1の上方に搬送され、スプリングSの不具合が解消されるまで、前述した搬送動作が繰り返し行われる。
【0025】
前記排気カバー部材6は、主板部61に多数の排気孔62,62,…が形成されたものである。排気カバー部材6は、薄板金属材から形成されたものであり、前記排気孔62の大きさは、前記スプリングSよりも小さく形成されたり、或いは極めて細長い隙間孔として形成されたものであり、該スプリングSが排気孔62から副容器部5の外部に飛び出さないようになっている。排気カバー部材6の主板部61は、副容器部5へ装着するための取付貫通孔61a,61a,…が形成されている。
【0026】
また、前記副容器部5の副外周壁面部51及び副終端壁面部53には、螺子孔56,56,…が形成されている〔図3(B)参照〕。そして、前記取付貫通孔61a,61a,…を介して、前記副容器部5の螺子孔56,56,…にビス等の固着具7を締め付けて固着される。排気カバー部材6の多数の排気孔62,62,…は、主容器部1及び副容器部5内のエアが放出される役目をなすもので、特に、後述する分離用噴射部2から噴射されるエアが副容器部5内部に滞留することが無いようにして、該副容器部5内のエアの風圧を大幅に減少させる役目をなすものである。
【0027】
前記排気カバー部材6には、種々の実施形態が存在するものであり、その第1実施形態
としては、金属製としたものである。該排気カバー部材6が金属製によって形成されるものでは、薄板金属材が使用され、プレス加工等により、副容器部5の副外周壁面部51、副終端壁面部53箇所の形状に沿うように形成される。また、多数の排気孔62,62,…は、穿孔される場合もあるが、多数の小さい貫通孔を有するパンチングメタルが使用されることもある〔図4(A)参照〕。
【0028】
さらに、前記排気カバー部材6の第2実施形態では、透明の合成樹脂製としたものである〔図6(A),(B)参照〕。この実施形態では、比較的柔軟な薄板状のプラスチック板等の合成樹脂材が使用される。排気カバー部材6が合成樹脂から金型により成形されるときに、主板部61と共に多数の排気孔62,62,…が形成される。また排気カバー部材6は、透明の合成樹脂製としたことにより、副容器部5の内部を視認することができ、供給用搬送路4におけるスプリングSの搬送状況及び、スプリングSのつまり等の発生等を極めて容易に確認することができる。
【0029】
また、排気カバー部材6の第3実施形態では、図6(C)に示すように、金網タイプとしたものであって、金網材がそのまま使用されることもある。該排気カバー部材6を金網タイプとしたものでは、図6(D)に示すように、細い針金が交差することにより形成される網目が排気孔62,62,…となる。また、前記排気カバー部材6を薄板金属製とすることにより、前記副容器部5の外形に対して極めて良好に密接する形状に加工し易いものとなる。前記排気カバー部材6は、金網形状としたことで、周状開口部に適正に対応するサイズに切り取るのみで、適正なサイズの排気カバー部材6として使用することができるものである〔図6(C)参照〕。また、排気カバー部材6の第4実施形態として、前述した第1実施形態及び第2実施形態において、前記排気孔62,62,…の形状をスリット形状に形成されることもある〔図7(A),(B)参照〕。排気孔62がスリット形状に形成されることにより、エアの流れの通過をより一層良好にして、エアを効率良く排気することができるものである。
【0030】
前記副容器部5内部において、供給用搬送路4は前記貫通口18の位置から主容器部1の円周側壁11と、前記副容器部5の副外周壁面部51との間に周方向に沿って通路状のスペースが形成されている〔図2(A),図3(A)及び図5(A)参照〕。前記供給用搬送路4の中央部(後述する第2選別搬送部42)及び終端部(後述する接続用搬送部43)は、排気カバー部材6の装着箇所を通過している。そして、供給用搬送路4の終端部(接続用搬送部43)は、副終端壁面部53を通過すると共に前記副容器部5の外部に突出する構成となっている〔図1乃至図4(A)等参照〕。
【0031】
特に、前記周状開口部55及び排気カバー部材6は、副容器部5における供給用搬送路4の終端部(接続用搬送部43)箇所に位置することとなり、分離用噴射部2のエア噴射によるエアが副終端壁面部53の位置に到達するときには、圧力が極めて小さくなり、供給用搬送路4上を搬送されているスプリングSが極めて脱落しにくい構造にすることができる。また、前記排気カバー部材6は、前記供給用搬送路4の終端部(接続用搬送部43)箇所に装着されることとなるので、エア噴射されたエアが副容器部5内の供給用搬送路4の終端部(接続用搬送部43)に到達するまでにエア圧力は減少して弱くなっており、比較的小スペースの排気カバー部材6にすることも可能となる。
【0032】
次に、供給用搬送路4は、図5に示すように、主容器部1内で選別された適正なスプリングSを本発明のスプリングフィーダーの外部に搬送し、作業員に供給したり、或いは必要に応じて別の装置にスプリングSを供給する役目をなす部位である。供給用搬送路4は、図1,図2(A),図3(A),図4(A),図5に示すように、前記主容器部1の円周側壁11の外方側に設置され、前記円周側壁11と適宜の間隔を有しつつ、且つその長手方向は、円周側壁11に沿って略円弧状に形成されている。また、供給用搬送路4は、前記主容器部1の円周側壁11の略半周に亘って構成されている〔図1(A)参照〕。ここで、前記供給用搬送路4の長手方向とは、スプリングSが搬送される搬送方向に等しい方向である(図5参照)。スプリングSが搬送される搬送方向は、以下単に搬送方向と言う。
【0033】
次に、供給用搬送路4は、第1選別搬送部41と、第2選別搬送部42及び接続用搬送部43とから構成されている〔図2(A),図3(A),図5(A)参照〕。供給用搬送路4は、前記加振器3によって主容器部1と共に振動し、スプリングSを主容器部1内部から供給用搬送路4の第1選別搬送部41と第2選別搬送部42及び接続用搬送部43に亘って搬送させるものである。まず、前記第1選別搬送部41の始端箇所は、前記主容器部1内部の選別板13に形成された内部搬送溝14と、前記貫通口18を介して連通する構成となっている〔図3(A),図11(A),(B)等参照〕。
【0034】
第1選別搬送部41の始端箇所は、前記貫通口18から主容器部1の内部に僅かに入り込んだ状態となっている。また第1選別搬送部41は、その長手方向が前記主容器部1の外周に沿って、弧状に形成されたものである。第1選別搬送部41は、搬送溝41aが形成されたものであり、前記内部搬送溝14と前記貫通口18にて連通している〔図1乃至図3及び図11(A),(B)等参照〕。
【0035】
前記第1選別搬送部41は、図11(A)乃至(C)に示すように、帯板状に形成され、その長手方向(搬送方向)に直交する断面形状は、略長方形状であり、且つその長辺方向が上下方向となるように形成されている。前記搬送溝41aは、図11(C)に示すように、第1選別搬送部41の頂部に形成されたものであり、その断面形状は略V字形状に形成されている。第1選別搬送部41では、選別用切欠部41bが形成されている〔図11(A),(B),(D),(E)参照〕。
【0036】
該選別用切欠部41bは、前記搬送溝41aの幅方向両側のいずれか一方の斜面部が下方部分を僅かに残し、上方部分が切除されることによって形成された部分である。選別用切欠部41bが形成された搬送溝41aでは、部分的に溝幅及び溝深さが共に小さくなり、二つ以上が絡まり合って塊状となった不具合を有するスプリングSdが前記選別用切欠部41bで振るい落とされるものである〔図11(E)参照〕。
【0037】
このような選別用切欠部41bは、第1選別搬送部41に2箇所以上形成される。具体的には、搬送溝41aの溝幅方向の一端側と他端側に選別用切欠部41bが形成されるものであり、前記貫通口18箇所に位置する搬送溝41aでは、選別用切欠部41bは主容器部1の内方側に位置するように形成され、選別用切欠部41bから振るい落とされる不具合を有するスプリングSdは主容器部1内に落下するようになっている。また、その他の位置に形成される選別用切欠部41bでは、不具合を有するスプリングSdが主容器部1の外部に落下することになるが、この場合には、主容器部1の円周側壁11の外側面11bに形成された副容器部5に、不具合を有するスプリングSdが振るい落とされる。
【0038】
次に、第2選別搬送部42は、図12(A)に示すように、搬送溝42aと選別片42bとから構成されている。第2選別搬送部42は、帯板形状であり、平面的に見て弧状であり〔図2(A),図5(A)参照〕、また搬送方向に直交する断面形状では傾斜板状に形成されている〔図12(A)乃至(C)参照〕。第2選別搬送部42の高さ方向の略中央位置には搬送溝42aが形成されている。該搬送溝42aは、前記第2選別搬送部42の長手方向に直交する断面において、上下方向に対して略中央位置に段差形状として形成されたものであり、前記搬送溝42aよりも上方側が下方側よりもへこむ形状となっている〔図12(B),(C)参照〕。
【0039】
換言すると第2選別搬送部42の断面形状は、前記搬送溝42aよりも上方側の肉厚が、下方側の肉厚よりも薄くなるように形成されたものである。該搬送溝42aは、第2選別搬送部42の長手方向に直交する断面で、且つ該第2選別搬送部42の表面の上下方向の略中央箇所に突出された段差面として形成されたものである。前記搬送溝42aの段差面の第2選別搬送部42表面からの突出寸法kは、スプリングSの直径よりも小さく形成されている〔図12(D)参照〕。
【0040】
特に、スプリングSが微小スプリングである場合では、その突出量は、略1mm以下である。搬送溝42aは、スプリングSがその伸縮方向を搬送方向と一致した状態に載置された状態において、1本のみが搬送されることができる程度となっている〔図12(B),
(C)参照〕。したがって、搬送溝42aでは、原則的に2本以上が絡み合った状態の不具合を有するスプリングSdが通過するときには、この不具合を有するスプリングSdがバランスを崩して搬送溝42aから落下することになり、このような不具合のあるスプリングSdの通過を不可能としている〔図12(D)参照〕。
【0041】
第2選別搬送部42における搬送溝42a付近には、選別片42bが装着されている〔図12(A)乃至(C)参照〕。該選別片42bは、前記第2選別搬送部42の第2選別搬送部42にボルト等の固着具によって固着されている。選別片42bは、第2選別搬送部42とは別部材としたものであって、図12(E),(F)に示すように、略方形状の板片形状に形成され、その任意の一辺は選別端部42b’となっている。該選別片42bは、前記選別端部42b’が前記搬送溝42aに近接するようにして前記第2選別搬送部42に設置されている。選別端部42b’は、下方側が三角形状の斜面となるように形成された部位であって〔図12(E)参照〕、選別片42bが第2選別搬送部42に適正に装着された状態で前記選別端部42b’の断面形状は厚さの薄い部分から厚い部分に亘って傾斜状となるように形成されたものである〔図12(F)乃至(I)参照〕。
【0042】
選別端部42b’の下端は、前記搬送溝42aの搬送方向に平行となるようにセットされ〔図12(A)参照〕、且つ搬送方向に沿って前記選別端部42b’は薄い部分から厚い部分となるようにセットされるものである〔図12(A)乃至(C)参照〕。そして、前記搬送溝42aは、スプリングSがその伸縮方向を搬送方向と一致した状態に載置された状態において、1本のみが搬送されることができる程度となっている。
【0043】
次に、接続用搬送部43は、図1,図2(A)に示すように、本発明におけるスプリングフィーダーを他の作業機器100と接続する役目をなす部位であり、接続用搬送部43は、供給用搬送路4の終端部位となる。接続用搬送部43は、接続用搬送溝43aが形成されたものである〔図4(A)参照〕。接続用搬送部43には、カバー部材43bが備わっており、前記接続用搬送溝43aを溝方向の一端側から他端側に向けてその長手方向に亘って覆うものであり、溝幅方向において、接続用搬送溝43aの溝幅方向の中心位置を僅かに超えた位置まで覆い、覆われない部分は隙間jとなっている〔図3(A),図4(A)参照〕。
【0044】
接続用搬送部43には、図1,図2(A),図3(A),図4(A)等に示すように、除去用噴射部43cが装着されている。該除去用噴射部43cは、噴射ノズルと空気弁とから構成され、接続用搬送部43内に詰まったスプリングSdをエア噴射のエアによって除去するものである。供給用搬送路4は、その長手方向において始端部に相当する箇所は、前記第1選別搬送部41であり、中央部は、第2選別搬送部42であり、終端部は接続用搬送部43となる。
【0045】
次に、主容器部1内の構成について説明する。搬送路12は、緩やかな傾斜を有しながら主容器部1の内側面11aに沿って、前記主容器部1の底部1aから上部1bに向かって螺旋状に形成されている(図8,図9参照)。前記搬送路12は、帯板から形成されたものであり、前記内側面11aに対して搬送路12の内端側(前記主容器部1の中心側寄り)が上向き傾斜状となるように、適宜の角度を有している。
【0046】
該搬送路12は、スプリングSが主容器部1の底部1aから主容器部1の上方に向かって搬送させる役目をなすもので、後述する加振器3による主容器部1の振動にて、スプリング群S,S,…を移動させる。また、前記搬送路12の内側面11a寄りには、周方向に沿って内部搬送溝14が形成されている〔図1,図2(A),図3(A),図4(A)参照〕。該内部搬送溝14は、個々のスプリングSが納まり内部搬送溝14内でその伸縮方向に沿って一列に配列させることが行われ易いものにすることができる。
【0047】
その主容器部1の上部箇所には、選別板13が装着されている。該選別板13は、平面的に見て略半円形状をなし〔図1,図2(A),図3(A),図5(A)参照〕、且つ中央箇所が最も高く、その円形外周縁に向かって高さが低くなるように傾斜している(図15参照)。換言すると、前記選別板13は、略偏平円錐板において、その中心部を通過する直径線を基準にして略半割りにされたような形状としたもので、平面的に見て略半円形状としたものである。主容器部1の上部箇所では、前記選別板13にてカバーされた部分以外の部分を戻し開口部1cと称する。該戻し開口部1cも略半円状である〔図1,図2(A),図3(A),図5(A)参照〕。
【0048】
前記選別板13と内側面11aとは直角に交わるものではなく、選別板13の中心側が上向き傾斜状となるように内側面11aに交わっている(図9参照)。これによって、選別板13上のスプリングSは、選別板13と内側面11aとの交差する部分,即ち選別板13の外周側に向かって移動するようになっている。前記搬送路12の最上位置と選別板13の内側面11a寄り箇所とが連続してつながっている。そして、前記搬送路12に沿って上方に移動するスプリング群S,S,…は、選別板13に搬送される。その搬送路12の最上位置と選別板13との連続位置で且つ主容器部1の内側面11aには、絡まり合ったスプリングS,S,…を分離するための分離用噴射部として分離用噴射部2が設けられている。
【0049】
該分離用噴射部2は、噴射口21と空気弁22とから構成されており、該空気弁22は前記主容器部1の外側面11b側に装着されている〔図1乃至図3及び図5(A),図10,図13等参照〕。前記空気弁22は、主容器部1の外部に備えられた(図示しない)エアコンプレッサー等からチューブを介してエアが供給される構成となっている。そして、分離用噴射部2の噴射口21から所望の噴射圧に調整してエア噴射を行うことができるようになっている。その選別板13上で且つ前記分離用噴射部2の噴射口21付近から前記選別板13の中心方向に向かってエアガイド壁部15が形成されている。該エアガイド壁部15は、略垂直壁板状に形成され、その長手方向は、分離用噴射部2の噴射口21からのエア噴射方向に沿って形成されている(図13参照)。そのエアガイド壁部15は、対向する2つの主壁板15aと補助壁板15bとから構成されている。
【0050】
主壁板15aは、補助壁板15bより長く形成され、選別板13の直線状端縁に沿って設けられている。その主壁板15aと内側面11aとの間には、所定の間隔が設けられている。この間隔内に前記搬送路12と選別板13との連結部分が存在し、スプリング群S,S,…が搬送路12から選別板13に移動して入り込むための間隔となるものである。また、補助壁板15bは、主壁板15aと平行に配置されている。そして、分離用噴射部2からのエア噴射は、主壁板15aと補助壁板15bとの間を流れ、該エア噴射により吹き飛ばされるスプリング群S,S,…は、主壁板15aと補助壁板15bとの間を通過してゆく(図5,図10,図13参照)。
【0051】
次に、選別板13の略中心付近には、固定壁板16が設けられている(図5,図6,図10,図13参照)。具体的には、選別板13の中心位置において、その分離用噴射部2側と反対側となる位置に固定壁板16が配置され、且つそのエア噴射方向に対して適宜の傾斜角度を有して傾斜している。そして、分離用噴射部2からのエア噴射は、その固定壁板16の傾斜角度により選別板13側に噴射方向が変換するようになっている。また、固定壁板16には、エア噴射により吹き飛ばされたスプリング群S,S,…が衝突し、このときの衝撃により2つ以上の絡まり合ったスプリングS,S同士を分離させるものである(図13参照)。また、その固定壁板16には、適宜の間隔をおいて対向する副固定板17が設けられ、固定壁板16に衝突したスプリング群S,S,…のなかで、まだ絡まりが分離されないものが再度衝突して分離できる。
【0052】
主容器部1の下部には、加振器3が配置され、該加振器3により、主容器部1が振動する(図1参照)。その加振器3は電磁式による物などが使用されている。そして、主容器部1の振動により搬送路12に適正なる振動が与えられ、内部に貯蔵されたスプリング群S,S,…が搬送路12に沿って主容器部1の上方に移動し、スプリング群S,S,…を選別板13に向けて搬送することができる。主容器部1及び副容器部5の上部開口部には、カバー体19がビス等の固着具8によって、着脱自在に装着されている。該カバー体19は、アクリル,ガラス等の透明板にて形成され、螺子部材にて主容器部1の頂部に固定する。そしてカバー体19には、(図示しない)小蓋部が形成され、該小蓋部を開けることにより、主容器部1の内部に多量のスプリング群S,S,…を入れることができる。
【0053】
噴射口21からのエア噴射は、タイマー制御を介して間欠運動とすることができる。即ち、エア噴射の作動及び停止の間隔を時間的に制御して行うものである(図10参照)。このようにして、選別板13上で絡まり状態から解除され、個々に分離されたスプリングS,S,…が内部搬送溝14内で一列に配列され次工程に移動させることができる。図10(C)は、タイマーによりエア噴射の強弱のそれぞれの時間を制御する状態を示したグラフである。グラフでは、横軸がエア圧の強弱の時間であり、エア圧が強状態の時間はTLであり、エア圧が弱状態の時間はTSである。
【0054】
まず、カバー体19の小蓋部を開けて、主容器部1内に多量のスプリングS,S,…を入れ、加振器3を駆動させて、主容器部1に適正な振動を与える。主容器部1の底部1aに貯蔵されたスプリング群S,S,…は、搬送路12に沿って移動し、選別板13に向かって搬送される。搬送路12の最上位置と選別板13との連続箇所に位置する噴射口21からのエア噴射は、常時,エア圧が弱い状態で行われ、強圧なるエア噴射がタイマー制御を介して間欠運動として行われる。該エア噴射は、タイマー制御により、常時は弱なるエア圧によって、噴射口21の周辺に搬送されてきたスプリング群S,S,…が動き回り、噴射口21を塞ぐことがないようにしている。そして、一定間隔の時間をおいて、強なるエア圧によるエア噴射が行われ、噴射口21周辺に集合したスプリング群S,S,…を固定壁板16に向けて一気に吹き飛ばし、絡まり状態のスプリングS,Sが固定壁板16に衝突し、そのときに絡まり状態のスプリングS,Sが分離する。
【0055】
エア噴射のエア圧が間欠動作により再度,弱なる時間になったときに、個々のスプリングS,S,…は、選別板13の外周端縁に形成された内部搬送溝14に納まり、加振器3による振動にて内部搬送溝14に沿って貫通口18に向かって移動し、内部搬送溝14から主容器部1の外部に設けた供給用搬送路4にスプリング群S,S,…が送り出され、さらにそのスプリング群S,S,…が供給用搬送路4の搬送方向端に設けたスプリング供給装置に搬送される。
【0056】
上述したように、エア噴射のエア圧の強弱の繰り返しにおいて、エア圧が強の時間で絡まり状態のスプリングS,Sが分離される作業が行われ、エア圧が弱なる時間で、個々のスプリングSが内部搬送溝14から供給用搬送路4に搬送されるものである。上記のエア噴射のエア圧の強弱の時間は、本発明では、弱なるエア圧の時間は約7秒であり、強なるエア圧の時間は約3秒としている。しかし、これは、一つの実施例にすぎず、タイマー制御により、エア圧の強弱の時間を適宜変更しても構わない。
【0057】
また、一回目のエア噴射による固定壁板16への衝突で絡まり状態が分離されなかったスプリングS,Sは、選別板13から再び主容器部1の底部1aに戻され、この絡まり状態のスプリングS,Sが再度搬送路12から選別板13に移動し、エア噴射による同様の作動が繰り返され、絡まり状態のスプリングS,Sの分離が行われる。そして、適正なスプリングSが適正な状態で内部搬送溝14から、供給用搬送路4の第1選別搬送部41の搬送溝41aに搬送され、スプリングSは、第1選別搬送部41,第2選別搬送部42及び接続用搬送部43に搬送される〔図8(B),図9参照〕。
【0058】
前記分離用噴射部2からのエア噴射によるエアは、主容器部1内で絡まりあったスプリングS,Sを分離すると共に、そのエアは、貫通口18を通過して副容器部5内に流れ込む。そして該副容器部5内に流れ込んだエアは、副容器部5内に収納された供給用搬送路4の第1選別搬送部41,第2選別搬送部42及び接続用搬送部43に亘って流れることになるが、そのエアは、図5に示すように、前記排気カバー部材6の排気孔62,62,…からそのまま全て排気されるので、供給用搬送路4上で搬送されているスプリングS,S,…にかかる風圧を小さくし、スプリングS,S,…が供給用搬送路4から吹き飛ばされたり、脱落しないようにすることができる。
【0059】
これによって、適正状態のスプリングS,S,…のみを次工程に搬送することができ、作業の効率を向上させることができる。しかも、前記主容器部1と前記副容器部5とは、前記貫通口18を介して連通する構成としているので、前記分離用噴射部2からのエア噴射によるエアは、主容器部1内では、十分且つ適正な勢いの噴射にすることができ、絡まりあった不具合を有する小形スプリングSdを前記固定壁板16に衝突させて、絡みを解すことできるものである。
【符号の説明】
【0060】
1…主容器部、2…分離用噴射部、4…供給用搬送路、5…副容器部、
55…周状開口部、6…排気カバー部材、62…排気孔、18…貫通口、
19…カバー体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動が適宜に与えられる主容器部と、該主容器部の内部にて絡まり状態のスプリングをエア噴射によって分離する分離用噴射部と、前記主容器部の内部から外部へスプリングを搬送するための貫通口と、該貫通口から前記主容器部の外周側に沿って形成されると共に前記スプリングを前記主容器部の外周側に搬送する供給用搬送路と、該供給用搬送路の終端部分を除いた部分を収容すると共に前記主容器部の外周側面に形成され且つ前記貫通口から前記分離用噴射部のエア噴射時のエアが流入する副容器部と、前記主容器部及び前記副容器部のそれぞれの上面側開口部を閉鎖するカバー体と、前記スプリングが通過不能な多数の排気孔が形成された排気カバー部材とから構成され、前記副容器部の一部には周状開口部が形成され、該周状開口部に前記排気カバー部材が装着されてなることを特徴とするスプリングフィーダー。
【請求項2】
請求項1において、前記副容器部は、前記貫通口側に位置する副始端壁面部と,主容器部の外周に沿う副外周壁面部及び内部に収容された前記供給用搬送路の終端側に位置する副終端壁面部とから形成され、前記周状開口部は前記副外周壁面部の副終端壁面部側寄りの部分と、該副終端壁面部の上方側に形成され、該周状開口部に前記排気カバー部材が装着されてなることを特徴とするスプリングフィーダー。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記排気カバー部材は、金属製としてなることを特徴とするスプリングフィーダー。
【請求項4】
請求項1又は2において、前記排気カバー部材は、金網形状としてなることを特徴とするスプリングフィーダー。
【請求項5】
請求項1又は2において、前記排気カバー部材は、透明の合成樹脂製としてなることを特徴とするスプリングフィーダー。
【請求項1】
振動が適宜に与えられる主容器部と、該主容器部の内部にて絡まり状態のスプリングをエア噴射によって分離する分離用噴射部と、前記主容器部の内部から外部へスプリングを搬送するための貫通口と、該貫通口から前記主容器部の外周側に沿って形成されると共に前記スプリングを前記主容器部の外周側に搬送する供給用搬送路と、該供給用搬送路の終端部分を除いた部分を収容すると共に前記主容器部の外周側面に形成され且つ前記貫通口から前記分離用噴射部のエア噴射時のエアが流入する副容器部と、前記主容器部及び前記副容器部のそれぞれの上面側開口部を閉鎖するカバー体と、前記スプリングが通過不能な多数の排気孔が形成された排気カバー部材とから構成され、前記副容器部の一部には周状開口部が形成され、該周状開口部に前記排気カバー部材が装着されてなることを特徴とするスプリングフィーダー。
【請求項2】
請求項1において、前記副容器部は、前記貫通口側に位置する副始端壁面部と,主容器部の外周に沿う副外周壁面部及び内部に収容された前記供給用搬送路の終端側に位置する副終端壁面部とから形成され、前記周状開口部は前記副外周壁面部の副終端壁面部側寄りの部分と、該副終端壁面部の上方側に形成され、該周状開口部に前記排気カバー部材が装着されてなることを特徴とするスプリングフィーダー。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記排気カバー部材は、金属製としてなることを特徴とするスプリングフィーダー。
【請求項4】
請求項1又は2において、前記排気カバー部材は、金網形状としてなることを特徴とするスプリングフィーダー。
【請求項5】
請求項1又は2において、前記排気カバー部材は、透明の合成樹脂製としてなることを特徴とするスプリングフィーダー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−1191(P2011−1191A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148132(P2009−148132)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(599028032)関東電子株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(599028032)関東電子株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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