説明

スペクトルドップラー超音波撮像装置及び当該装置を自動制御するための方法

スペクトル−ライブドップラー測定モードS3及び画像−ライブ測定モードS1、S6の両方で動作するのに適したスペクトルドップラー超音波撮像装置を制御するための方法が提案されている。本発明によれば、前記方法は、サンプル領域の変更を検出するとS5、前記画像−ライブ測定モードS6に自動的に切り換わるステップを有する。サンプル領域の変更は、例えばトラックボール、角度調整ノブ又はサンプルゲート制御器のようなサンプル領域制御装置を稼働させることによって、オペレータにより示されてもよく、このような稼働の際、前記スペクトルドップラー超音波撮像装置は、前記サンプル領域の位置及び/又は方位を適合させる又は訂正することを可能にするために、前記画像−ライブ測定モードS6に自動的に切り換わってもよい。前記サンプル領域が既定の期間、位置に関して安定していた後、前記スペクトルドップラー超音波撮像装置は、前記スペクトル−ライブ測定モードS3に切り換わるS7。それにより、異なる測定モード間の不要な手動のトグリングが避けられ、定量的なスペクトル−ライブドップラー測定S3は、必要なときだけ、すなわちサンプル領域が変更されるときにのみ中断されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペクトル−ライブドップラー測定モード又は画像−ライブ測定モードの両方で動作するのに適したスペクトルドップラー超音波撮像装置を制御するための方法に関する。さらに、本発明は、本発明の方法を行うのに適している上記スペクトルドップラー超音波撮像装置、コンピュータ上で実施されるとき、スペクトルドップラー超音波測定装置をそれに応じて制御するためのコンピュータプログラムプロダクト、及び上記コンピュータプログラムプロダクトが記憶されるコンピュータ読み取り可能媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
サンプル領域内の静的構造及びサンプル領域内の動的運動の両方を定性的且つ定量的に撮像するための超音波撮像装置が開発されてきた。そこで、サンプル領域に向けて超音波が放出され、このサンプル領域内で反射したエコーが検出される。時には関心領域とも呼ばれる前記サンプル領域は、患者の身体の一部でもよい。このサンプル領域内の動的運動は、例えば患者の体内にある血管内の血流でもよい。
【0003】
第1の測定モードにおいて、超音波撮像装置は、サンプル領域のグレイスケール又はカラーの2D画像を取得するのに適している。このような2D画像は好ましくはリアルタイムで取得される。この測定モードはここでは、"画像−ライブ測定モード"とも呼ばれる。
【0004】
第2の測定モードにおいて、超音波撮像装置は、サンプル領域内の運動の定量分析に適している。このような運動は、血管内の血流から頻繁に生じ、血管構造又は心臓構造の特徴を示すのに使用されてもよい。そこで、サンプル領域に向けて超音波が放出され、このサンプル領域内における静的な撮像装置に対する相対運動から結果生じるドップラー効果が検出される。このようなスペクトルドップラー測定から、サンプル領域内の運動の速度の定量分析が得られる。このような測定モードはここでは、"スペクトル−ライブドップラー測定モード"とも呼ばれる。
【0005】
これら画像−ライブ及びスペクトル−ライブ測定モードの両方において、表示されるフィーチャ(feature)(画像又はスペクトル)の対応する部分は、例えば10Hzよりも早い速度で連続して更新される。
【0006】
スペクトル及び音響ドップラー超音波のために、サンプル領域に向けて放出される超音波の位置並びに角度は、ほとんどの場合、グレイ又はカラーの2D画像に基づいて手動で調節される。この目的のために、超音波トランスデューサの位置を維持しようと故意に動かす若しくは維持しようとすること、患者の呼吸及び/又は拡張した血管若しくは心臓のスキャンにおいて複数の血管若しくは位置を測定することは一般的に、例えば超音波撮像装置上に設けられるトラックボール又は角度調整ノブを用いて前記サンプル領域の位置を調節するために、ENTERキー又はUPDATEキーを繰り返し用いてスペクトル−ライブモードと画像−ライブモードとの間を手動でトグリング(toggle)する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スペクトル−ライブモードと画像−ライブモードとの間のトグリングは、サンプル領域の位置又は角度を調節するためにスペクトル−ライブモードと画像−ライブモードとの間を手動でトグリングするのに従来必要なENTER/UPDATEキーの繰り返しの使用によって、超音波検査のドップラー部分の間のユーザのワークフローを複雑にする。
【0008】
このようなスペクトル−ライブモードと画像−ライブモードとの間の頻繁なトグリングを取り除くための従来の手法において、ソフトウェアのタイマー、ECGトリガ又はユーザ制御の調節により、単一フレームの画像更新が開始されてもよい。しかしながら、これは、流動力学を示さない、ジェット若しくは収縮期パルスを捕捉するのは難しい又はその見込みがない、ドップラースペクトル測定に必要な数秒を中断する、送信電圧をスルーイング(slewing)及びセトリング(settling)することで更新時間の殆どを浪費する。それ故に、多くのユーザは、このスペクトル−ライブモードと画像−ライブモードとの間の手動のトグリングを好む。
【0009】
他の手法において、ラインインタリーブ(トリプレックス(triplex))及びフレームインタリーブ(ギャップフィル(gap-fill))技術は、画像−ライブ及びスペクトル−ライブ測定の結果を同時に表示するのに使用されることができる。しかしながら、これら技術は、速度スケール、フレームレート、感度、アーチファクト及び/又は測定精度の妥協を必然的に含んでいる。血管及び心臓応用のような、ドップラー超音波撮像を最も定性的且つ定量的に使用する臨床応用は、スペクトルドップラー超音波撮像に関する妥協に対して最も寛容さがない応用でもある。
【0010】
他の手法において、自動的なサンプル領域の検出技術が開発されてきた。しかしながら、このような技術は画像−ライブ測定の取得に依存しているので、これら技術は、上述したようなスペクトル−ライブモードと画像−ライブモードとの間の切り換わりに関する同様な問題を有し、これら両方を妥協する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、スペクトル−ライブドップラー測定モード及び画像−ライブ測定モードの両方で動作するのに適したスペクトルドップラー超音波撮像装置を制御するための方法を提供することであり、ここで前記方法は、スペクトルドップラー超音波撮像装置の使用を簡単にする。本発明の他の目的は、上記簡単にする方法に従って動作するのに適したスペクトルドップラー超音波撮像装置、コンピュータ上で実施されるとき、上記簡単にする方法に従ってスペクトルドップラー超音波撮像装置を制御するのに適したコンピュータプログラムプロダクト、及び上記コンピュータプログラムプロダクトが記憶されるコンピュータ読み取り可能媒体を提供することである。
【0012】
本発明は、独立請求項により規定される。有利な実施例は、従属請求項に規定されている。
【0013】
本発明の第1の態様によれば、スペクトル−ライブドップラー測定モード及び画像−ライブ測定モードの両方で動作するのに適したスペクトルドップラー超音波撮像装置を制御するための方法が提案されている。この方法は、サンプル領域の変更を検出すると、画像−ライブ測定モードに自動的に切り換わるステップを有する。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様に従う方法を行うのに適したスペクトルドップラー撮像装置が提案されている。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、コンピュータ上で実施されるとき、本発明の第1の態様の方法に従ってスペクトルドップラー超音波撮像装置を制御するのに適したプログラムコードを有するコンピュータプログラムプロダクトが提案されている。
【0016】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第3の態様に従うコンピュータプログラムプロダクトを有するコンピュータ読み取り可能媒体が提案されている。
【0017】
本発明は以下の考えに基づいていることが分かる。
【0018】
本発明の実施例は、スペクトルドップラー超音波撮像を扱っている。このようなスペクトルドップラー超音波撮像は、他の種類の撮像モダリティに比べ、例えば血流の速度の正確な定量的測定を可能にする。
【0019】
このような定量的測定を行うために、ここでは時にゲート又はサンブルボリューム若しくはサンプルゲートとも呼ばれるサンプル領域は、医療診断用超音波ライブ−画像内の関心領域に正確に位置決められなければならない。代替えのモードは、連続波(CW)ドップラーであり、ここでサンプル領域は、パルス波(PW)ドップラーと同様にサンプルゲートではなくトランスデューサ面からの全直線である。両方のドップラーモードは本発明に応用可能である。
【0020】
幾つかの従来のスペクトルドップラー超音波撮像システムは、位置決めのタスクを行うオペレータに依存し、幾つかの他のシステムは、このタスクの半自動又は全自動化を提案している。何れにしても、これらシステムの一般的な目的は、スペクトル−ライブドップラー超音波画像及び画像−ライブカラー又はグレイスケール超音波画像をリアルタイムで示すことである。しかしながら、これは、両方の測定モードは、異なる形式の超音波の発射(firing)を必要とするので、非常に難しい。ライン−インタリーブ及びフレーム−インタリーブ技術は、画像及びスペクトル表示の両方を連続且つ迅速に更新するために、十分な速さの速度及びインタリーブを用いて、1つ以上のドップラーライン間に1つ以上の画像ラインをインタリーブするのと一緒に論じられることができる。ラインインタリーブ、すなわちスペクトルカラードップラーのラインを交互に発射すること、及びフレームインタリーブは、リアルタイムで供給されず、妥協が行われなければならない。しかしながら、半自動又は全自動のドップラー超音波撮像を実現するのに必要な上記妥協は、ある医療応用にとって許容できない。
【0021】
超音波撮像システムがオペレータの助けに依存している場合、サンプルゲートの位置及び/又は角度は、グレイ及び/又はカラー2D画像に基づいて手動で調節される。しかしながら、一般的に、患者は少なくとも僅かに動いているため、又は患者の呼吸運動、超音波トランスデューサの位置若しくは角度の意図的ではないドリフト(drift)のために、又は患者の身体の多数の位置における血流の動きを測定する必要がある場合、オペレータは、スペクトル−ライブと画像−ライブとの間を手動でトグリングするためにENTER又はUPDATEキーを繰り返し使用しなければならず、それ故に例えばトラックボール又は角度調整ノブを用いて前記サンプルゲートを調節する。この手動の方法で正確な測定が行われたとしても、これら2つの撮像モード間をトグリングする手順は、時間がかかり、退屈である。
【0022】
従来のスペクトルドップラー超音波撮像装置の上記欠陥を理解した場合、この装置が例えば画像−ライブにおいて、トラックボール、角度調整ノブ又はサンプルゲートの稼働によるサンプル領域の変更を検出するとすぐに、装置が画像−ライブ測定モード、好ましくはフルフレームレート並びにリアルタイム及び最大解像度で自動的に切り換わるような装置に適しているとここで提案される。この装置は次いで、既定の期間の後又はサンブル領域が変化していないと検出し、故に既定の期間安定した後に、スペクトル−ライブ測定モード、好ましくはフルフレームレート並びにリアルタイム及び最大解像度で切り換わる。
【0023】
言い換えると、提案する超音波撮像システムは、ユーザがカラー又はグレイスケール2D画像−ライブを必要とする瞬間、すなわちユーザが関心領域に対応するサンブル領域を変更したい瞬間に、画像−ライブ測定モードに好ましくは正確に切り換わる。それに応じて、ユーザは、サンプル領域の所望する変更を、例えば上記変更をトラックボール又は角度調整ノブで示すことにより、又は撮像装置の超音波トランスデューサを移動させることにより、積極的に示し、この撮像装置は、上記示される変更を検出し、ユーザが見ているような画像−ライブ測定モードに自動的に切り換わり、必要ならば、2D超音波画像内のサンプル領域の位置又は角度を訂正する。これにより、画像−ライブ測定モードとスペクトル−ライブ測定モードとの間を繰り返しトグリングするうんざりする努力は、超音波撮像装置の使用を簡単にする妨げとなる。その上、前記撮像装置は、その時間のほとんどを、高品質のスペクトル分析を可能にする、スペクトル−ライブ測定モードであり、サンプル領域の変更が検出される場合の画像−ライブ測定モードに切り換わることにより単に中断される。
【0024】
本発明の実施例によれば、前記方法はさらに、サンプル領域の変更を検出した後、既定の期間でスペクトル−ライブドップラー測定モードに自動的に切り換わるステップを有する。例えば、上記既定の期間は1秒でもよい。言い換えると、サンプル領域の変更を検出すると、前記装置はスペクトル−ライブ測定モードから画像−ライブ測定モードに自動的に切り換わり、次いで例えば1秒後、スペクトル−ライブ測定モードに切り換わる。それに応じて、前記撮像装置は、その時間のほとんどをスペクトル−ライブ測定モード内にあり、短い時間期間、画像−ライブ測定モードによって単に中断されるだけである。これは、スペクトル−ライブ測定の品質を向上させる。
【0025】
本発明の他の実施例によれば、前記方法はさらに、既定の期間、位置に関して安定しているサンプル領域を検出すると、スペクトル−ライブドップラー測定モードに自動的に切り換わるステップを有する。言い換えると、前記撮像装置は、サンプル領域の変更を検出すると、画像−ライブ測定モードに自動的に切り換わり、次いでこのサンプル領域が引き続き変更される限り、画像−ライブ測定モード内に留まる。この装置は、サンプル領域がこれ以上変化しなくなるまで待ち、例えば1秒のような既定の期間、位置に関して安定している。オペレータが新しい所望する関心領域と対応するように、明らかにサンプル領域を変更したときにのみ、前記装置はスペクトル−ライブドップラー測定モードに戻る。
【0026】
本発明の他の実施例によれば、ドップラー超音波撮像装置は、フルフレームレートモードで、スペクトル−ライブドップラー測定モード及び画像−ライブ測定モードの少なくとも一方で動作するように制御される。好ましくは、前記装置は、フルフレームレートモードにおいて、スペクトル−ライブ及び画像−ライブ測定モードの両方で動作する。ここで、"フルフレームレートモード"という用語は、画像又はスペクトルがサンプル領域の各変更に対し、連続して取得され、単なる単一フレームの更新として取得されないことを示す。さらに、前記撮像装置は好ましくは、リアルタイムモードにおいて、スペクトル−ライブ及び画像−ライブ測定モードの両方で動作する。ここで、"リアルタイム"という用語は、サンプル領域における実際の運動と撮像装置によるこの動きの取得及び表示との間の無視できるほど小さな時間の遅延だけが存在していることを示す。それに応じて、これら両方の測定モードにおいて、前記装置は、最高の起こりえる撮像品質で動作し、妥協が回避される。
【0027】
本発明の他の実施例によれば、サンプル領域の変更は、このサンプル領域の位置、角度、形状、大きさ及び流れ方向のカーソル角度の少なくとも1つを制御するのに適したサンプル領域制御装置の作動に基づいて検出される。このようなサンプル領域制御装置は、例えばトラックボール、角度調整ノブ又は超音波撮像装置に接続若しくはこの装置に設けられるサンプルゲート制御器でもよい。言い換えると、前記撮像装置は、オペレータが例えばトラックボール、角度調整ノブ又はサンプルゲート制御器を作動させ、次いで画像−ライブ測定モードに自動的に切り換わるという事実により、サンプル領域が変更されなければならないことを検出してもよい。
【0028】
本発明の他の実施例によれば、ドップラー超音波撮像装置は、ユーザが画像−ライブ測定モードを手動で選択すると、このユーザがスペクトル−ライブ測定モードを手動で選択するまで画像−ライブ測定モードのままでいるように制御される。言い換えると、ドップラー超音波撮像装置は、オペレータにより作動する例えばスイッチ又はスタイラスを持ってもよい。これにより、オペレータは、この撮像装置を制御して、画像−ライブ測定モードに切り換わったり、オペレータの他のアクションがあるまでそのままでいたりしてもよい。オペレータは次いで、同じスイッチ若しくはスタイラス、又は代わりに例えば追加のスイッチ若しくはスタイラスを使用して、この装置がスペクトル−ライブドップラー測定モードに戻ることが可能であることを示してもよい。このような手動の選択のオプションは、サンプル領域が実際に変更されなくても、オペレータが撮像装置を画像−ライブ測定モードに切り換わることを可能にする。
【0029】
本発明の前記態様及び実施例は、スペクトルドップラー超音波撮像装置を制御するための前記提案した方法を参照して主に説明されていることに注意すべきである。本発明の上記第2の態様に従うスペクトルドップラー超音波撮像装置、並びに本発明の上記第3及び第4の態様のコンピュータプログラムプロダクト並びにコンピュータ読み取り可能媒体に対する、対応する特徴及び特性が理解されると、当業者は理解するだろう。上記及び以下の説明から、他に通知しない限り、ある形式の内容に属する特徴の如何なる組み合わせに加え、異なる内容に関連する特徴の間、特に装置形式の請求項の特徴と方法形式の請求項の特徴の間の如何なる組み合わせにも本出願を用いて説明されると考えられると、当業者は推論する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例によるスペクトルドップラー超音波撮像装置を概略的に示す。
【図2】本発明の実施例によるスペクトルドップラー超音波撮像装置を制御する方法を説明するためのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の特徴及び利点は、添付の図面に示されるような特定の実施例であるが、本発明がそれに限定されない特定の実施例に関してさらに開示される。
【0032】
図面は単なる概略図であり、正確な縮尺ではない。
【0033】
図1において、本発明の実施例によるスペクトルドップラー超音波撮像装置1が概略的に描かれている。超音波トランスデューサ3は、超音波がそこから患者の体内に放射されることができ、次いで反射したエコーを検出する超音波トランシーバー面5を有する。このトランスデューサ3は制御装置7に接続されている。制御装置7は、トランスデューサ3から前記検出したエコー信号を受信し、この信号に基づいて、対応する超音波画像をディスプレイ9に表示してもよい。第1の動作モードにおいて、制御装置7は、ディスプレイ9上に表示されるべきカラー若しくはグレイスケールの二次元(2D)又は三次元(3D)の超音波画像を供給するために、画像−ライブ測定モードで動作するようにトランスデューサ3を制御する。第2のモードにおいて、前記制御装置7は、スペクトル−ライブドップラー測定モードで動作するようにトランスデューサ3を制御して、例えばサンプル領域内の運動速度の定量分析は、このような測定から得られてもよい。この定量分析は、例えば時間に依存する速度を示すグラフ11の形式でディスプレイ9上に表示されてもよい。ここで、ドップラースペクトル−ライブ表示は、一般に連続して更新される細長い一片(strip)であり、ここで水平なx軸は時間を示し、垂直なy軸は速度又はドップラー周波数を示し、グレイレベルはエコー強度(echo power)に関連してもよい。それがピーク及び平均速度の線グラフと重畳されてもよい。
【0034】
ユーザがサンプル領域を変更したい場合、このことは、トラックボール13を稼働させることにより制御装置7に示されてもよい。このような稼働の際、制御装置7は、トランスデューサ3により供給される画像の位置及び角度がオペレータにより正しく選択されるように、撮像装置1が画像−ライブ測定モードに切り換わってもよい。代わりに、オペレータがスイッチ15を稼働させ、撮像装置1に画像−ライブ測定モードに切り換わらせてもよい。
【0035】
図2のフローチャートは、本発明の実施例によるスペクトルドップラー超音波撮像装置を制御するための方法の一連のステップS1からS7までを説明する。
【0036】
前記撮像装置を開始した後、第1のステップS1において、この装置は画像−ライブ測定モードである。
【0037】
ステップS2において、例えば夫々のスイッチ15を稼働させることにより、スペクトル−ライブ測定モードに切り換わるようにオペレータが手動で選択したか判断される。選択した場合、撮像装置はステップS3においてスペクトル−ライブ測定モードに設定される。選択していない場合、撮像装置はステップS1の画像−ライブ測定モードのままでいる。
【0038】
ステップS3において、前記撮像装置がスペクトル−ライブモードに切り換わったとき、ステップS4において、例えば夫々のスイッチ15を稼働させることにより、画像−ライブ測定モードに切り換わるようにオペレータが手動で選択したか判断される。選択した場合、撮像装置はステップS1の画像−ライブ測定モードに設定される。
【0039】
選択していない場合、ステップS5において、サンプル領域が変更されたかどうか判断され、これはユーザがトラックボール13を稼働することで示される。変更された場合、撮像装置は、ステップS6の画像−ライブ測定モードに設定される。変更されていない場合、撮像装置は、ステップS3のスペクトル−ライブ測定モードのままでいる。
【0040】
ステップS6において、画像−ライブ測定モードに設定された後、ステップS7において、サンプル領域が既定の時間、位置に関して安定していたか、すなわちユーザがサンプル領域の位置若しくは角度又は形状を変更するのを終了したか判断される。安定(終了)している場合、撮像装置はステップS3のスペクトル−ライブ測定モードに切り換わる。安定(終了)していない場合、撮像装置はステップS6の画像−ライブ測定モードのままでいる。
【0041】
本発明の特徴は、以下の通り要約される。スペクトル−ライブドップラー測定モード(S3)及び画像−ライブ測定モード(S1、S6)の両方で動作するのに適したスペクトルドップラー超音波撮像装置を制御するための方法が提案されている。本発明によれば、前記方法は、サンプル領域の変更を検出すると(S5)、画像−ライブ測定モード(S6)に自動的に切り換わるステップを有する。サンプル領域の変更は、例えばトラックボール、角度調整ノブ又はサンプルゲート制御器のようなサンプル領域制御装置13を稼働させることによって、オペレータにより示されてよく、このような稼働の際、スペクトルドップラー超音波撮像装置は、このサンプル領域の位置及び/又は方位を適合させる又は訂正することを可能にするために、画像−ライブ測定モード(S6)に自動的に切り換わってもよい。例えば、サンプル領域が既定の期間、位置に関して安定していた後、スペクトルドップラー超音波撮像装置は、スペクトル−ライブ測定モード(S3)に切り換わる(S7)。それにより、異なる測定モード間における不要な手動のトグリングが避けられ、定量的なスペクトル−ライブドップラー測定(S3)は、必要な時だけ、すなわちサンプル領域の位置、ビーム操舵角、流れ方向のカーソル角度又はサンプル領域の大きさにより、とりわけ示されるこのサンプル領域が変更されるときにのみ中断されることができる。
【0042】
上述した実施例は、本発明を制限するのではなく、説明するものであり、当業者は、付随する請求項の範囲から外れることなく、多くの代替の実施例を設計することができることに注意すべきである。"有する"という用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、要素が複数あることを述べないことが、要素が複数あることを排除するものではない。請求項における参照符号は、これら請求項の範囲を制限するとは考えるべきではないことにも注意すべきである。本発明は、幾つかの個別の要素を有するハードウェアを用いて及び/又は適切にプログラミングされた処理器を用いて、実施されてもよい。幾つかの手段を列挙している装置の請求項において、これら手段の幾つかがハードウェアの同じアイテムによって具現化されてもよい。ある方法が互いに異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら方法の組み合わせは有利に使用されることができないことを示しているのではない。
【符号の説明】
【0043】
1 ドップラー超音波撮像装置
3 超音波トランスデューサ
5 超音波トランシーバー面
7 制御装置
9 ディスプレイ
11 グラフ
13 トラックボール
15 スイッチ
S1 撮像装置は画像−ライブ測定モードである
S2 スペクトル−ライブ測定モードに切り換わるようにオペレータが手動で選択したか判断
S3 撮像装置はスペクトル−ライブ測定モードである
S4 画像−ライブ測定モードに切り換わるようにオペレータが手動で選択したか判断
S5 サンプル領域が変更されたか判断
S6 撮像装置は画像−ライブ測定モードである
S7 サンプル領域が既定の期間、位置に関して安定していたか判断

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペクトル−ライブドップラー測定モード及び画像−ライブ測定モードの両方で動作するのに適したスペクトルドップラー超音波撮像装置を制御するための方法において、
サンプル領域の変更を検出すると、前記画像−ライブ測定モードに自動的に切り換わるステップ、
を有する方法。
【請求項2】
前記サンプル領域の前記変更を検出した後、既定の期間で前記スペクトル−ライブドップラー測定モードに自動的に切り換わるステップをさらに有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
既定の期間、位置に関して安定している前記サンプル領域を検出すると、前記スペクトル−ライブドップラー測定モードに自動的に切り換わるステップをさらに有する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記スペクトルドップラー超音波撮像装置は、フルフレームレートモードで、前記スペクトル−ライブドップラー測定モード及び前記画像−ライブ測定モードの少なくとも一方で動作するように制御される請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記スペクトルドップラー超音波撮像装置は、リアルタイムモードで、前記スペクトル−ライブドップラー測定モード及び前記画像−ライブ測定モードの両方で動作するように制御される請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記サンプル領域の前記変更は、当該サンプル領域の位置、角度、形状及び大きさ、並びに流れ方向のカーソル角度の少なくとも1つを制御するためのサンプル領域制御装置の稼働に基づいて検出される請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記サンプル領域制御装置は、トラックボール、角度調整ノブ及びサンプルゲート制御器の少なくとも1つを有する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記スペクトルドップラー超音波撮像装置は、ユーザが前記画像−ライブ測定モードを手動で選択すると、前記ユーザが前記スペクトル−ライブドップラー測定モードを手動で選択するまで画像−ライブ測定モードのままでいるように制御される請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
スペクトル−ライブドップラー測定モード及び画像−ライブ測定モードの両方で動作するのに適したスペクトルドップラー超音波撮像装置において、サンプル領域の変更を検出すると、前記画像−ライブ測定モードに自動的に切り換わる制御装置を有するスペクトルドップラー超音波撮像装置。
【請求項10】
コンピュータ上で実施されるとき、請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法に従って、スペクトルドップラー超音波撮像装置を制御するのに適するプログラムコードを有するコンピュータプログラムプロダクト。
【請求項11】
請求項10に記載のコンピュータプログラムプロダクトが記憶されるコンピュータ読み取り可能媒体。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−525191(P2012−525191A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507864(P2012−507864)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051773
【国際公開番号】WO2010/125504
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】