説明

スペクトロメータ

【課題】複数の異なる周波数における電磁波の電力成分比を、掃引することなく、同時に計測するスペクトロメータを提供する。
【解決手段】開口端面からの距離にしたがって遮断周波数が次第に高くなる矩形導波管2に、矩形導波管2の内面に軸方向に沿って設けられた、電磁波の強度を測定するアンテナ5を複数設け、アンテナ5によって各アンテナ5の位置に対応する遮断周波数の電磁波の強度を同時に計測する。開口端面からの距離にしたがって遮断周波数が高くなる矩形導波管2として、テーパ形状やステップ形状の導波管を採用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波のスペクトル測定技術に関し、特に、広い周波数範囲にわたって電磁波のスペクトルを測定することのできる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波やそれ以下の周波数において、そのスペクトルを測定するためにはスペクトルアナライザが広く用いられている。スペクトルアナライザは、外部から入力された被測定高周波信号を、装置内の周波数が既知の局部発振器の高周波信号と、ダイオードミキサーを用いたダウンコンバータによって、差周波数の成分(通称、中間周波と呼ばれる)を取り出し、これを増幅、検波する。さらに、局部発振器の周波数を掃引することで、被測定高周波のスペクトルを測定する。スペクトルアナライザは、長年の歴史があり、周波数、電力ともに高い精度で測定する技術が確立されている。
【0003】
また、最近になって、スペクトルアナライザの局部発振器を掃引することなく、高速のデジタルAD変換器によって、中間周波信号をデジタル信号に変換し、これを連続的に高速FFT変換して、広い周波数のスペクトルを同時測定する技術が開発されている。
【0004】
一方、ミリ波からテラヘルツ波の高い周波数領域においては、上記のようなスペクトルアナライザが存在しない。このような高い周波数のスペクトルの検出は、高周波電力を空間を伝わる電磁波ビームとして取り扱い、回折格子を用いて波長分解し、ボロメータや半導体検出器によって電力を検出し、回折格子を回転して波長を掃引することによって行われている
【特許文献1】特開昭62−201373号公報
【特許文献2】特開平01−035386号公報
【特許文献3】特開平05−264609号公報
【特許文献4】特開平09−051307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術には、以下のような問題点が存在する。
【0006】
上述したスペクトルアナライザでは、掃引に時間がかかり、複数の周波数での電力を同時測定できない。特に、パルス性の電磁波のスペクトルを周波数掃引によって計測することは、きわめて効率が悪い。
【0007】
また、デジタル方式のスペクトルアナライザでは、複数の周波数のスペクトルを同時測定することができるが、1GHz以上のマイクロ波周波数を測定することは実用化されていない。
【0008】
また、回折格子を用いた方法は、入射電磁波ビームを正しい角度で回折格子に入射させる必要がある。現実の実験では、入射電磁波ビームの位置と方向を正確に決定できない場合が多く、したがって、測定が困難となる場合が多い。また、散乱波によってスペクトル測定が困難となる場合も多い。
【0009】
本発明は、上記実情を鑑みてなされてものであって、その目的とするところは、広い周波数範囲のスペクトルを同時測定可能なスペクトロメータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係るスペクトロメータは以下のような構成によって、電磁波のスペクトルを測定する。すなわち、本発明に係るスペクトロメータは、開口端面からの距離にしたがって遮断周波数が次第に高くなる導波管と、この導波管の内部に該導波管の軸方向に設けられた電磁波の強度を測定する複数の測定部とを有する。そして、これら複数の測定部によって、各測定部が設けられた位置に対応する遮断周波数の電磁波の強度を測定する。
【0011】
導波管は、開口端面からの距離にしたがって遮断周波数が次第に高くなる。これは、遮断周波数が単調増加(真の単調増加および非減少の双方を含む)するということである。このような導波管としては、断面の寸法が開口端面からの距離に応じて連続的に減少する構成を採用することができる。また、断面の寸法が開口端面からの距離に応じて段階的に減少する構成を採用することもできる。具体的には、導波管として矩形導波管を採用し、断面矩形の横幅が連続的に減少する構成や、断面矩形の横幅が段階的に減少する構成を採用することができる。ここで、矩形導波管の断面矩形において、高さを横幅の半分以下とすることで偏波面の向きを限定することができる。なお、導波管の具体的な形状は、上記以外であっても、遮断周波数が次第に高くなる構成であれば、どのような形状を採用しても構わない。
【0012】
測定部は、その測定部が設けられた位置における電磁波の強度に対応する物理量を測定可能なものであればどのようなものであっても構わない。例えば、測定部を、アンテナと、このアンテナから取得された電磁波を低い周波数の電磁波として取り出す整流検波部を有する構成とすることができる。また、測定部を、アンテナと、このアンテナから取得された電磁波を吸収するサーミスタと、サーミスタの温度を計測する温度計測部とを有する構成とし、温度計測部から計測される温度変化によって電磁波の強度を測定する構成としても良い。また、測定部を、サーミスタ薄膜と、このサーミスタ薄膜の抵抗を計測する抵抗計測部とを有する構成とし、抵抗計測部から計測される抵抗によってサーミスタの温度変化を検出し、サーミスタの温度変化によって電磁波の強度を測定する構成としても良い。
【0013】
任意の周波数成分の電磁波の群速度は、電磁波の周波数と導波管の遮断周波数が等しくなるところで理論的にゼロとなる。したがって、入力電磁波の周波数と遮断周波数が等しい位置では、その周波数成分の電磁波の電界強度がピークを取る。したがって、上記の測定部は、その測定部が設けられた位置に対応する遮断周波数の電磁波の強度を測定していることになる。このように各測定部が配置位置に応じた遮断周波数の電磁波の強度を測定するため、各測定部に対応する遮断周波数の電磁波の強度を同時に測定することが可能となる。
【0014】
また、導波管の遮断周波数によって電磁波の周波数分解を行っているため、マイクロ波からミリ波さらにはテラヘルツ波にわたる広い範囲の周波数の電磁波のスペクトルを測定することができる。
【0015】
なお、各測定部によって計測される電磁波の強度を、その測定部に対応する遮断周波数の電磁波の強度としても良いが、この計測値には他の周波数成分の電磁波の影響が含まれる。そこで、他の測定部が測定した電磁波強度に基づいて、該他の測定部に対応する遮断周波数の電磁波の影響を除去する補正を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、広い周波数範囲のスペクトルを同時測定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係るスペクトロメータの第1の実施形態の構成図である。以下の説明では、電磁波としてマイクロ波を想定しているが、これをミリ波、テラヘルツ波に置き換えても同じ原理で動作する。
【0019】
本実施形態におけるスペクトロメータは、大略、矩形導波管2とその内部に設けられた複数のアンテナ5とから構成される。なお、本実施形態ではアンテナ5は4つであるとして説明しているが、アンテナ5の数はいくつであっても構わない。
【0020】
矩形導波管2は、一方の端部のみに開口部3を有する。そして、この開口部3から、z方向に進行する被測定対象である電磁波1を導入する。矩形導波管2の他方の端部は、導入された電磁波の反射を抑制するために、無反射終端8が設けられている。なお、座標軸は図に示すように、矩形導波管2の軸方向をz軸とし、断面の長軸方向をx軸、短軸方向をy軸とする。
【0021】
図1に示すように、矩形導波管2の断面寸法は、横幅、高さともに、開口部3からの軸方向の距離zの関数になっており、開口部3からの距離にしたがって、次第に小さくなる。すなわち、矩形導波管2は、テーパ導波管となっている。
【0022】
矩形導波管2の断面の寸法の横幅をa(z)、高さをb(z)とする。ここで、高さb(z)を横幅a(z)の半分以下とすることで、矩形導波管2内を通過できる電磁波の波偏波面を、電界がy方向となるように限定することができる。したがって、a(z)とb(z)は次の式(1)の関係を満たすことが好ましい。
【0023】
【数1】

【0024】
本実施形態においては、断面寸法の横幅a(z)は直線的な関数であり、次の式(2)によって与えられる。ここで、aは入り口での横幅、aは終端での横幅、lは導波管の長さである。
【0025】
【数2】

【0026】
矩形導波管2の内面には、複数のアンテナ5が設けられている。図1では、矩形導波管2の上面に設けられているが、内面のどの部分に配置されていても構わない。また、複数のアンテナ5は、開口部3からの距離が異なる位置に配置されている。各アンテナ5は、電磁波をピックアップするピックアップ部6と、電磁波を伝搬する同軸導波管7とから構成される。そして、同軸導波管7から伝搬された電磁波を、ダイオードミキサー(不図示)によって整流し、整流された電磁波の電力を測定する。このようにして、矩形導波管2のアンテナ5が設けられた位置における電力Q1〜Q4を測定する。
【0027】
以下、本実施形態に係るスペクトロメータにおいて、複数の周波数の電磁波の強度を同時に測定できる原理を説明する。
【0028】
まず、矩形導波管2の電磁波に対する遮断波長λと遮断周波数fは、式(3)で与えられ、zの関数となっている。矩形導波管2は、開口部3からの距離にしたがって断面寸法が小さくなるテーパ導波管であるので、開口部3からの距離にしたがって遮断周波数fは次第に高くなる。なお、周波数の単位としてはヘルツ(Hz)が一般的に用いられるが、本明細書においては、電気工学でしばしば用いられる角周波数ω(rad/sec)を用いる。角周波数は式(3c)によって容易にヘルツに読み替えることができる。
【0029】
【数3】

【0030】
また、矩形導波管を伝搬する電磁波の波長と波数は、次の式で与えられる。
【0031】
【数4】

ここで、
λ:真空中または大気中での電磁波の波長。λ=c/f
:真空中または大気中での電磁波の端数。k=2π/λ
【0032】
図2は、式(4b)を図示したものであり、一般的に分散曲線と呼ばれる。図2では、矩形導波管2内の異なる位置での分散曲線を3本示しており、断面寸法の違いから異なる遮断周波数ωc1,ωc2,ωc3をとる。電磁波は、周波数が遮断周波数より低いと導波管を伝搬することができない。
【0033】
次に、電磁波のエネルギーが矩形導波管2の中を伝搬する速度、すなわち群速度は式(4b)を微分することによって式(5)のように与えられる。
【0034】
【数5】

【0035】
式(5)によると、導波管を伝搬する電磁波の群速度、すなわちエネルギーの伝搬速度は光速よりも小さく、特に遮断周波数と入力された電磁波の周波数が等しいときに群速度がゼロとなる。
【0036】
導波管を伝搬している電磁波の、ある周波数成分の単位時間あたりのエネルギー通過量、すなわち電力をPωとおく。導波管のロスを無視すると、エネルギー保存の法則から、定常状態では、Pωは導波管内の位置によらず一定となる。
【0037】
また、群速度の定義から、単位長さあたりの電磁波のエネルギー量Wω(z)は式(6a)のように与えられる。また、電界強度は式(6b)のように与えられ、エネルギー密度の平方根に比例する。図3は、式(6a)(6b)をzの関数として示したものである。
【0038】
【数6】

ここで、Cはエネルギー密度と電界強度の比例定数であり、導波管の形状から決定される。
【0039】
本実施形態に係るスペクトロメータの矩形導波管2は、テーパ形状をしており、断面寸法a(z)が矩形導波管2の開口部3からの位置zに対して単調に減少(狭義の単調減少)するので遮断周波数が式(3b)にしたがって高くなる。入力電磁波が矩形導波管2内を進入し、遮断周波数と入力電磁波の周波数とが等しくなると、遮断のため電磁波は前進できず、反射されて矩形導波管2の開口部3へと帰って行く。このため、矩形導波管2内には、定在波が発生する。なお、便宜のため、遮断周波数が入力電磁波の周波数に等しくなる位置を反射点と呼ぶ。
【0040】
電磁波の群速度は、式(5)にしたがい反射点でゼロとなる。したがって、そのエネルギー密度は式(6a)にしたがって無限大となる。ただし、これは一次元の解析解であって、実際には、近傍波が存在し、電界は反射点の周りに広がりを持ち、エネルギー密度は無限大とならずに、図3に示すように電界分布はピークを取るが有限な値となる。
【0041】
いま、図4に示すように周波数がω,ω,ω,ωの4つの電磁波を同時に入力すると、それぞれの反射点z,z,z,zで電界がピークを取る。このピーク位置に図1のアンテナ5a,5b,5c,5dを配置しておくと、同軸導波管7からそれぞれの周波数に対応する電力が検出される。
【0042】
入力周波数を掃引したときの、各アンテナ5において測定される電力の変化を図5に示す。これは、いわゆるフィルタ特性に相当し、周波数がω,ω,ω,ωの点でピークを取り、帯域通過特性を示すことが理解される。
【0043】
ここで、各アンテナ5が検出した検出電力Pω1,Pω2,Pω3,Pω4を、遮断周波数ω,ω,ω,ωの電磁波の電力とすることができる。しかしながら、上記の遮断特性は完全ではなく、各アンテナ5において検出される信号は、単一周波数の信号とはならずに、他の周波数の成分も混在する。例えば、zの位置のアンテナにはωの周波数成分だけでなく、ω,ω,ωの周波数成分の信号も混ざって出力される。そこで、各アンテナの配置された位置に対応する遮断周波数成分以外の電磁波による影響を除去する補正を行うことが好ましい。この補正は次のようにして行える。
【0044】
まず、入力電磁波の周波数ω,ω,ω,ωに対する各アンテナの結合係数をCijと記述すると、各アンテナから検出される全電力Q,Q,Q,Qは式(7)のように、マトリックスで表現される。
【0045】
【数7】

【0046】
ここで、式(7)における結合係数Cijは、矩形導波管2に基準信号発生器によって所定の強度の単一周波数の電磁波を入力して、各アンテナから出力される電力を検出することによって決定することができる。これを補正データとして計算機に保存しておき、式(7)の逆行列を計算することによって、電磁波の電力スペクトルが式(8)のように得られる。
【0047】
【数8】

【0048】
なお、近年、電磁波の伝搬を数値計算するソフトウェア技術が発達しており、数値シミュレーションにより係数行列を決定しても良い。また、数値計算によって導波管の開口部から見たインピーダンスを整合させるように、テーパの形状、すなわち関数a(z),b(z)を選択したり、適宜スタブを使用することも可能である。
【0049】
本実施形態に係るスペクトロメータによれば、マイクロ波からミリ波さらにはテラヘルツ波にわたる広い周波数範囲にわたる電磁波のスペクトルを、複数のアンテナ5によって同時に計測することができる。ここで、アンテナ5の配置数を増やすことによって、周波数分解能を向上させることができる。
【0050】
また、従来技術のような局部発振器の周波数を掃引するような構成ではないため、スペクトル計測を効率的に行うことが可能であり、特にパルス性の電磁波のスペクトル計測を効率的に行える。
【0051】
また、回折格子を用いたスペクトル測定のように測定のための細かい調整をする必要がないため、本実施形態に係るスペクトロメータによれば簡易にスペクトル計測を行うことができる。
【0052】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係るスペクトロメータの構成を示す図である。
【0053】
本実施形態では、図6に示すように、第1の実施形態におけるテーパ形状の導波管の代わりに、断面寸法が段階的に変化するステップ状の導波管を採用している。
【0054】
アンテナ5は、各ステップに1つずつ配置し、その配置場所は各ステップ内でできるだけ開口部3から離れた場所としている。第n番目のアンテナが設けられた位置における導波管の寸法を、横幅a、高さbとすると、第n番目のアンテナから出力される信号の周波数帯域幅は、式(9)のように与えられる。なお、電磁波モードの安定性のために、導波管の横幅aと高さのbの比率は、b=a/2程度とすることが好ましい。
【0055】
【数9】

【0056】
式(9)によって、アンテナから取り出す信号の周波数範囲をステップ導波管の幅aの選定によって設定できることが分かる。
【0057】
なお、各アンテナの遮断特性は完全ではないため、第1の実施形態と同様に式(8)を用いて、各アンテナからの出力電力Q,Q,Q,Qから式(9)で与えられる各周波数帯域内の電力Pω1,Pω2,Pω3,Pω4を算出することができる。
【0058】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に係るスペクトロメータの構成を示す図である。
【0059】
本実施形態では、図7に示すように、第1及び第2の実施形態において、電磁波を検出する電磁波測定部として、アンテナと同軸導波管を用いる代わりに、矩形導波管35を用いても良い。各矩形導波管35の位置と寸法は、電磁波の数値計算シミュレーションによって最適化することが望ましい。
【0060】
(第4の実施形態)
図8は、本発明の第4の実施形態に係るスペクトロメータの構成を示す図である。
【0061】
本実施形態では、第1及び第2の実施形態において使用されている電磁波検出用のアンテナの代わりに、矩形導波管2の内面に設けたサーミスタ薄膜を用いている。
【0062】
図8に示すように、矩形導波管2の内面の両側面もしくは1つの側面にサーミスタ薄膜9を設ける。矩形導波管2とサーミスタ薄膜9の間には、電気的および熱的に絶縁するような絶縁体層を設けておく。
【0063】
矩形導波管2の開口部3から導入された電磁波は、導波管の遮断周波数と入力電磁波の周波数が等しくなる位置で、前述した図3に示すように、電界強度が大きくなり、これに比例して矩形導波管2の内面を流れる壁電流密度の高くなる。
【0064】
壁電流のうちサーミスタ表面を流れる電流がサーミスタ薄膜9の電気抵抗によって発熱し、サーミスタ薄膜9の温度が上昇する。
【0065】
サーミスタ薄膜9からの引き出し線10を通してサーミスタ薄膜9の抵抗を測定し、サーミスタ薄膜9の温度係数からその温度を測定できる。そして、サーミスタ薄膜9の温度上昇から、電磁波の壁電流密度を測定することができる。
【0066】
このように、複数のサーミスタ薄膜9の温度上昇から、前述の式(8)を用いて電磁波のスペクトルを決定することができる。
【0067】
(その他)
矩形導波管内の電磁波を測定する方法は、上記で説明した以外のどのような方法によって実現されても構わない。アンテナから出力される電力Qを測定する方法としては、例えば、クリスタル検波器、ヘテロダイン受信機、サーミスタなどが挙げられるが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0068】
また、導波管の断面形状は矩形(長方形)として説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1の実施形態に係るスペクトロメータの構成を示す図である。
【図2】テーパ導波管の分散特性を示す図である。
【図3】テーパ導波管内の遮断波長、遮断周波数、群速度、定在波電界、平均電界強度の軸方向の分布を示す図である。
【図4】異なる4つの周波数に対する電界強度の軸方向の分布を示す図である。
【図5】入力周波数を掃引したときの、各アンテナにおいて測定される電力の変化を示す図である。
【図6】第2の実施形態(ステップ導波管)に係るスペクトロメータの構成を示す図である。
【図7】第3の実施形態(矩形導波管アンテナ)に係るスペクトロメータの構成を示す図である。
【図8】第4の実施形態(サーミスタ使用)に係るスペクトロメータの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
1 入力電磁波
2 矩形導波管
3 開口部
4 導波管上面
5a,5b,5c,5d アンテナ
6 ピックアップ部
7 同軸導波管
8 無反射終端部
9 サーミスタ薄膜
10 サーミスタ引き出し線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口端面からの距離にしたがって遮断周波数が次第に高くなる導波管と、
前記導波管の内面に該導波管の軸方向に複数設けられた、電磁波の強度を測定する測定部と、
を有し、
前記複数の測定部によって、各測定部が設けられた位置に対応する遮断周波数の電磁波の強度を測定することを特徴とするスペクトロメータ。
【請求項2】
前記導波管は、開口端面からの距離に応じて連続的に断面寸法が減少することを特徴とする請求項1に記載のスペクトロメータ。
【請求項3】
前記測定部は、他の測定部が測定した電磁波の強度に基づいて、該他の測定部が設けられた位置に対応する遮断周波数の電磁波の影響を除去する補正を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のスペクトロメータ。
【請求項4】
前記測定部は、
アンテナと、
前記アンテナから取得された電磁波を低周波に変換する周波数変換部と、
から構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスペクトロメータ。
【請求項5】
前記測定部は、
アンテナと、
前記アンテナから取得された電磁波を吸収するサーミスタと、
前記サーミスタの温度を計測する温度計測部と、
から構成され、
前記温度計測部から計測される温度変化によって電磁波の強度を測定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスペクトロメータ。
【請求項6】
前記測定部は、
サーミスタ薄膜と、
前記サーミスタ薄膜の抵抗を計測する抵抗計測部と、
から構成され、
前記抵抗計測部から計測される抵抗によってサーミスタの温度変化を検出し、サーミスタの温度変化によって電磁波の強度を測定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスペクトロメータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−64653(P2008−64653A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243977(P2006−243977)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【Fターム(参考)】