説明

スポット溶接装置

【課題】剛性の異なる板材を重ね合わせた板組の被溶接体をスポット溶接する場合において安定した溶接品質が得られるスポット溶接装置を提供する。
【解決手段】溶接ロボットに取り付けられるベース部3と、固定側電極12と、加圧アクチュエータ14によって往復動する可動側電極19と、副加圧付与手段20を備え、副加圧付与手段20は、副加圧付与アクチュエータ52により被溶接部材11に副加圧力を付与する副加圧部49を有する副加圧付与部40と、副加圧付与部40を副加圧部49が固定側電極12の頂端12aから突出する方向に付勢付与する副加圧付与部付勢手段37及び副加圧付与部40を選択的に固定する副加圧付与部位置固定手段34を備えた副加圧付与部位置決め部30を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポット溶接装置に関し、特に剛性の異なる板材を重ね合わせた板組みの被溶接部材をスポット溶接するスポット溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、重ね合わされた鋼板等の板材の接合には、一対の溶接電極間で挟み加圧力を与えながら両電極間に大電流を一定時間通電し、接合部をほぼ溶融温度まで上げて接合するスポット溶接が広く行われている。
【0003】
スポット溶接にあたり、両溶接電極による加圧力及び通電時間が一定の場合には、ナゲット径は電流の増加に従って徐々に増加するが、電流値が過大になると発熱量が多くなり板材間に溶融金属が飛散する散りの発生原因となる。即ち、接合部における板厚の減少と共に強度低下の要因となる。反対に電流が過少の場合にはナゲットが小さくなり十分な接合強度が得られない。また、加圧力が小さいと板材間の接触面積が少なくなり、電流密度が高くなり過熱による散り発生原因となる。一方、加圧力が大き過ぎると接合部の接触面積が大きくなり電流密度が低下して発熱量が減少し、ナゲットが小さくなり溶接強度が低下する。
【0004】
ここで、図13に示すように、剛性の低い薄板101、この薄板101より剛性が高い第1厚板102、第2厚板103の3枚を重ね合わせた被溶接部材100をスポット溶接する場合には、各板材101、102、103の間に隙間がなく密着した状態では、可動側電極111と固定側電極112により被溶接部材100を加圧して電源113により通電すると、可動側電極111と固定側電極112間の通電経路における電流密度がほぼ均一となり薄板101から第2厚板103に亘って良好なナゲットが形成されて溶接強度を得ることができる。
【0005】
しかし、実際には、可動側電極111と固定側電極112によって被溶接部材100を加圧したときに、剛性の低い薄板101と第1厚板102が上方に撓んで、薄板101と第1厚板102の間及び第1厚板102と第2厚板103との間に隙間が生じる。この場合、可動側電極111と薄板101間の接触面積は薄板101の撓みにより大きくなるのに対して、薄板101と第1厚板102間及び第1厚板102と第2厚板103間の接合部の接触面積はより小さくなる。
【0006】
このため、可動側電極111と固定側電極112間の電流密度が薄板101側に対して第2厚板103側が高くなり、薄板101と第1厚板102間よりも第1厚板102と第2厚板103間の方が局部的な発熱量が多くなる。その結果、先ず第1厚板102と第2厚板103との接合部にナゲット105が形成され、次第にナゲット105が大きくなりやがて薄板101と第1厚板102間が溶着される。しかし、この薄板101と第1厚板102との間の溶け込み量は小さく溶接強度が不安定で、薄板101の剥離が懸念され、かつ溶接品質にバラツキがある。この不具合は、特に第1厚板102及び第2厚板103が厚いほど第1厚板102と薄板101との間にナゲット105が到達しにくく、顕著である。
【0007】
この対策として、例えば特許文献1に開示されスポット溶接装置がある、このスポット溶接装置は、図14に示すように、溶接ロボット115の手首部116にスポット溶接装置120が搭載され、溶接ロボット115は、クランパ118によって支持された被溶接部材100の各打点位置にスポット溶接ガン120を移動し、被溶接部材100のスポット溶接を行う。
【0008】
スポット溶接装置120は、手首部116に取り付けられたガン支持ブラケット117に固定されたリニアガイド121によって上下動自在に支持されたベース部122を備え、ベース部122に下方に延びる固定アーム123が設けられ、固定アーム123の下端先端に固定側電極124が設けられる。また、ベース部122の上端に加圧アクチュエータ126が搭載され、加圧アクチュエータ126により上下動するロッド127の下端に可動側電極125が取り付けられる。ガン支持ブラケット117の上端にサーボモータ128が搭載され、サーボモータ128の作動によりボールねじ機構を介してベース部122が上下動する。
【0009】
ここで、図示しないコントローラに予め記憶されているティーチングデータに従って、薄板101側に位置する可動側電極125による加圧力FUを固定側電極124による加圧力FLよりも小さくする(FU<FL)。
【0010】
このように可動側電極125による加圧力FUを固定側電極124による加圧力FLより小さくするために、先ず、サーボモータ128によりベース部122を上昇させて固定側電極124を被溶接部材100の下面に当接させると共に、加圧アクチュエータ126により可動側電極125を下降させて被溶接部材100の上面に当接させて加圧する。次に、サーボモータ128によりベース部122を押し上げる。このベース部122の押し上げにより、固定側電極124の加圧力FLがベース部122の押し上げ分だけ増加し、可動側電極125による加圧力FUが固定側電極124による加圧力FLより小さくなる。
【0011】
その結果、可動側電極125と固定側電極124との間に通電したときに、薄板101と第1厚板102の接合部における電流密度が高くなり発熱量が第1厚板102と第2厚板103の接合部における発熱量に対して相対的に増加する。これにより、薄板101から第2厚板103に亘って偏りのない良好なナゲットが形成されて溶接強度を確保できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−251469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記特許文献1によると、固定側電極124の加圧力FLより可動側電極125側の加圧力FUを小さくすることで、相対的に薄板101と第1厚板102間の電流密度が高くなり、薄板101と第1厚板102の接合部における発熱量が確保でき、溶け込み量が増大して溶接強度が増加する。
【0014】
しかし、クランパ118によりクランプ保持された被溶接部材100を固定側電極124と可動側電極125によって挟持加圧した状態でベース部122を移動して固定側電極124の加圧力FLより可動側電極125による加圧力FUを小さくするには、被溶接部材100をクランプ保持するクランパ118に大きな負荷が要求される。一方、クランプ118による被溶接部材100のクランプ位置と溶接位置が大きく離間した状態では、被溶接部材100が撓み変形して固定側電極124による加圧力FLと可動側電極125による加圧力FUにバラツキが生じて安定した薄板101と第1厚板102との間の接触抵抗及び第1厚板102と第2厚板103との間の接触抵抗の確保が困難であり、接合部における電流密度にバラツキが生じてスポット溶接の品質低下が懸念される。
【0015】
従って、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、剛性の異なる板材を重ね合わせた板組みの被溶接部材をスポット溶接する場合において安定した溶接品質が得られるスポット溶接装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成する請求項1に記載の発明によるスポット溶接装置は、溶接ロボットに取り付けられるベース部と、該ベース部に基端が支持された固定アームの先端部分に支持されて被溶接部材に当接する固定側電極と、前記ベース部に搭載されて電極アームを介在して前記固定側電極の中心軸線と同軸上で可動側電極を支持すると共に該可動側電極の頂端を前記被溶接部材に当接して前記固定側電極の頂端と協働して前記被溶接部材を挟持して加圧力を付与する加圧位置と被溶接部材から離反する退避位置との間で移動せしめる加圧アクチュエータと、前記被溶接部材に前記固定側電極に隣接して副加圧力を付与する副加圧付与手段とを備え、前記被溶接部材に当接する前記可動側電極と該可動側電極と対向して前記被溶接部材に当接する前記固定側電極及び前記副加圧付与手段とによって前記被溶接部材を挟持加圧し、該挟持加圧状態で前記可動側電極と固定側電極との間で通電してスポット溶接するスポット溶接装置において、前記副加圧付与手段は、副加圧付与アクチュエータ及び該副加圧付与アクチュエータにより固定側電極の頂端に対応する前記中心軸線延在方向位置において当接する前記被溶接部材に所定の副加圧力を付与する副加圧部を有する副加圧付与部と、該副加圧付与部を前記副加圧部が前記固定側電極の頂端から突出する方向に付勢付与する副加圧付与部付勢手段及び副加圧付与部の位置を選択的に固定及び固定解除する副加圧付与部位置固定手段を備えた副加圧付与部位置決め部とを備えたことを特徴とする。
【0017】
これによれば、副加圧付与部を固定した状態で、固定側電極と可動側電極で被溶接部材を挟持し、かつ加圧アクチュエータによって加圧付与することで、可動側電極による加圧力が被溶接部材に付与され、固定側電極による加圧力及び副加圧付与アクチュエータによる副加圧部から副加圧力が被溶接部材に付与されて固定側電極による加圧力が可動側電極による加圧力より小さくなる。これにより、剛性の異なる板部材を重ねた被溶接部材の良好な溶接が得られる。
【0018】
一方、例えば電極研磨等によって固定側電極の長さが短くなると、固定側電極の頂端と副加圧部との相対位置が変位して可動側電極の加圧力に対する固定側電極の加圧力及び副加圧部による副加圧力の均衡に影響することが懸念される。
【0019】
ここで、副加圧付与部位置決め部による副加圧付与部の固定を解除すると副加圧付与部付勢手段により副加圧部が固定側電極の頂端から突出するように副加圧付与部を付勢する。この副加圧付与部位置決め部による副加圧付与部の固定が解除された状態でスポット溶接装置とは別に設けられた部材、例えば電極位置調節部材を可動側電極と固定側電極及び副加圧部によって挟持加圧することで相対的に副加圧付与部が副加圧付与部勢手段に抗して移動して固定側電極の頂端と副加圧部が共に電極位置調整部材に当接して固定電極の頂端に対する副加圧部が所期状態に移動して調整される。この調整された状態で副加圧付与部固定手段により副加圧付与部を固定することで可動側電極の加圧力に対する固定側電極による加圧力及び副加圧部による副加圧力の均衡が所期の状態に保持でき、安定した良好なスポット溶接品質が保持できる。
【0020】
即ち、固定側電極の頂端の変位が生じた際、副加圧付与部固定手段による副加圧付与部の固定を解除し、可動側電極と固定側電極及び副加圧部とにより電極位置調整部材を挟持加圧し、再び副加圧付与部固定手段により副加圧付与部を固定する簡単な作業で固定側電極の頂端と副加圧付与部との相対位置が調整できる。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスポット溶接装置において、前記副加圧付与部は、先端に前記副加圧部を支持する副加圧付与アームを備え、該副加圧付与アームに固定され、前記副加圧部の先端における前記中心軸線延在方向の位置と対応する平面状の電極検知部を有する電極位置サーチプレートを備えたことを特徴とする。
【0022】
これによると、サーチプレート及び副加圧部を電極位置調整部材等に当接することで電極位置調整部材に対するスポット溶接装置の位置決めが容易に行え、かつ固定側電極、副加圧部及び電極位置プレートの電極検知部と可動側電極とにより電極位置調整部材を挟持加圧することで容易に所期の固定側電極の頂端と副加圧部の調整が得られ、かつ副加圧部に作用する負荷が軽減できる。
【0023】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のスポット溶接装置において、前記副加圧付与部は、先端に前記副加圧部を支持する副加圧付与アームを備え、該副加圧付与アームに副加圧部検知部を有する副加圧部位置サーチプレートを備えたことを特徴とする。
【0024】
これによると、副加圧部位置サーチプレートの移動量を検知することで固定側電極の変位量が検知できる。例えば、被溶接部材のスポット溶接にあたり予め溶接ロボットを作動し、副加圧部位置サーチプレートの副加圧部検知部を電極位置調整部材に接触させ、このときのスポット溶接装置の位置を溶接初期副加圧部位置として溶接ロボットコントローラ等に記憶し、スポット溶接や電極研磨後に再びする溶接ロボットを作動し、副加圧部位置サーチプレートの副加圧部検知部を電極位置調整部材に接触させてこのとのスポット溶接装置の位置を変位後副加圧部位置とし、予め測定した初期副加圧部位置と変位後副加圧部位置の位相差により固定側電極の変位量を算出できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、副加圧付与部を固定した状態で、固定側電極と可動側電極で被溶接部材を挟持し、かつ加圧アクチュエータによって可動側電極によって加圧付与することで可動側電極による加圧力が被溶接部材に付与され、固定側電極による加圧力及び副加圧付与アクチュエータによる副加圧部からの副加圧力が被溶接部材に付与されて固定側電極による加圧力が可動側電極による加圧力より小さくすることができ、被溶接部材に対する溶接品質が向上する。
【0026】
一方、例えば電極研磨等によって固定側電極の長さが変位した際に、副加圧付与部位置決め部による副加圧付与部の固定を解除された状態で他の部材、例えば電極位置調節部材を可動側電極と固定側電極及び副加圧部によって挟持加圧することで固定側電極の頂端と副加圧部が共に電極位置調整部材に当接して固定電極の頂端に対する副加圧付与部が所期状態に調整され、この調整された状態で副加圧付与部固定手段により副加圧付与部を固定すること加圧力を所期の状態に保持でき、安定した良好なスポット溶接品質が保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施の形態におけるスポット溶接装置の構成図である。
【図2】要部を示す図である。
【図3】作動概要の説明図である。
【図4】作動概要を模式的に示す図である。
【図5】副加圧付与手段の調整作動説明図である。
【図6】副加圧部位置調整工程における固定側電極と受部との相対位置を示す説明図である。
【図7】第2実施の形態におけるスポット溶接装置の構成図である。
【図8】図7のVIII部の概要を示す要部斜視図である。
【図9】第3実施の形態におけるスポット溶接装置の構成図である。
【図10】図9のX部の概要を示す要部斜視図である。
【図11】第4実施の形態におけるスポット溶接装置の構成図である。
【図12】図11のX11部の要部を示す要部斜視図である。
【図13】従来のスポット溶接の概要を示す説明図である。
【図14】従来のスポット溶接の概要を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施の形態)
本発明の第1実施の形態について、図1乃至図7を参照して説明する。
【0029】
図1はスポット溶接装置の構成図、図2は要部を示す図、図3は作動概要の説明図、図4は模擬的に示す作動概要説明図、図5は副加圧付与手段の調整作動説明図、図6は副加圧部位置調整工程における固定側電極と副加圧部との相対位置を示す説明図である。なお、このスポット溶接装置の説明にあたり、便宜上図1における上方及び下方をスポット溶接装置における上方及び下方と称する。
【0030】
スポット溶接装置1の説明に先立って、被溶接部材100について図3を参照して説明する。被溶接部材100は、重ね合わせた2枚の厚板の一方に薄板を重ねた、例えば下側から順に剛性の低い薄板101、薄板101より剛性が高い第1厚板102及び第2厚板103を重ねた3枚重ねの板組によって構成される。
【0031】
スポット溶接装置1は、例えば多関節型ロボット等の溶接ロボットのアーム先端部に取り付けられる手首部にイコライザユニット2を介在して支持され、溶接ロボットによって三次元方向に移動可能に構成される。
【0032】
スポット溶接装置1は、溶接ロボットの手首部にイコライザユニット2を介して取り付けられる装置取付ブラケット4及び一対のガンブラケット5からなるベース部3を備える。装置取付ブラケッ4はイコライザユニット2に連結される取付基部4A及び取付基部4Aの両側から折曲して対向する一対のガン取付部4Bを有する断面コ字状に形成される。各ガン取付部4Bにそれぞれ対向してガンブラケット5が取り付けられる。この対向するガンブラケット5に固定アーム10、加圧アクチュエータ14、及び溶接トランス53が取付られる。
【0033】
固定アーム10は、基端が両ガンブラケット5の端部に掛け渡されて結合される断面略T字状で基端からL字状に折曲して水平方向に延在する基端部分10A、基端部分10Aの先端から下方に折曲して延在する垂直部分10B、垂直部分10Bの先端から折曲して基端部分10Aと対向して延在する先端部分10Cを有する略C字状に形成される。先端部分10Cの先端に形成された電極保持部11に固定側電極12が、その頂端12aを上方にして装着される。
【0034】
加圧アクチュエータ14は、サーボモータ15及びボールネジ送り機構によって構成された直動部16を有し、サーボモータ15の作動によって直動部16のロッドが昇降動する。直動部16のロッドの下端に電極アーム18が設けられ、電極アーム18の先端に固定側電極12と同軸上、即ち中心軸線L上に可動側電極19が設けられる。これにより、加圧アクチュエータ14の作動により可動側電極19が固定側電極12から離反する退避位置と、固定側電極12と協働して被溶接部材100を挟持すると共に加圧する加圧位置との間で移動する。
【0035】
また、固定アーム10には、固定側電極12と可動側電極19によって挟持加圧力が付与された被溶接部材100に、固定側電極12に隣接する位置、即ち溶接位置に近接して副加圧力を付与する副加圧付与手段20が設けられる。
【0036】
副加圧付与手段20は、図1及び図2に示すように固定アーム10の垂直部分10Bに支持された支持ブラケット21、支持ブラケット21に支持された副加圧部位置決め部30及び副加圧付与部40によって構成される。
【0037】
支持ブラケット21は、固定アーム10の垂直部分10BにUボルト22a等の固定手段によって固定される取付部22及び該取付部22から固定アーム10の先端部分10Cに沿って延在すると共に中心軸線Lと直交する断面略矩形板状の基部23を有する。基部23に中心軸線Lと平行で上面から下面に貫通する第1貫通孔24A及び第2貫通孔24Bが形成される。
【0038】
副加圧部位置決め部30は、基部23の上面に第1貫通孔24Aを貫通する第1シャフト31を軸方向に移動可能に貫通保持すると共に、任意の移動位置に選択的に固定保持するブレーキ機構を備えたスライドブレーキユニット34を有する。このスライドブレーキユニット34は、例えばエア装置からのエア供給によって第1シャフト31の軸方向移動を許容するアンロックとエア供給の停止により第1シャフト31の移動を阻止するロックとに切り換えられる。このスライドブレーキユニット34が副加圧付与部位置固定手段を構成する。
【0039】
また、第2貫通孔24Bの一端にフランジ部が嵌合すると共に第2貫通孔24Bを貫通して上面から突出する円筒状で、第2シャフト32をその軸方向に移動可能に嵌合保持するリニアブッシュ35が設けられる。
【0040】
第1シャフト31の頂端と第2シャフト32の頂端間にスプリング押さえプレート36が架設されて固定されると共に、スライドブレーキユニット34の頂端とスプリング押さえプレート36の間に第1シャフト31に巻装されたスプリング37Aが装着される。同様にリニアブッシュ35の頂端とスプリング抑えプレート36との間に第2シャフト32に巻装されたスプリング37Bが装着される。このスプリング37A、37Bが第1シャフト31及び第2シャフト32を介して副加圧付与部40を上方に付勢する副加圧付与部付勢手段を構成する。
【0041】
支持ブラケット21の基部23の下方に電極位置検知手段となる電極位置サーチプレート41及び副加圧付与アーム45を備えた副加圧付与部40が配置される。電極位置サーチプレート41は、支持ブラケット21の基部23の下面に当接可能な平面状の上面及び下面を有して基部23の下面に沿って延在する矩形断面形状のプレートで、先端部41aが基部23の先端部23aから突出すると共に、基部23の第1貫通孔24A及び第2貫通孔24Bと同軸上に第1シャフト31が嵌通する第1貫通孔42A及び第2シャフト32が貫通する第2貫通孔42Bが形成されると共に、第1シャフト31及び第2シャフト32に固定される。この電極位置サーチプレート41の先端部41aの上面41Aの範囲が電極検知部43となる。
【0042】
副加圧付与アーム45は、電極位置サーチプレート41の下面に沿って延在すると共に当接可能な基部46A、この基部46Aの先端から下方に折曲する段部を介して中心軸線L方向に延在する先端部46Bを有する上面46、この上面46の両側に沿って下方に折曲する側面47を有する断面コ字状であって、基部46Aに第1シャフト31が嵌通する第1貫通孔48A及び第2シャフト32が貫通する第2貫通孔48Bが貫通して形成される。先端部46Bに中心軸線Lと同軸で上方に突出して固定電極12の貫通を許容する筒状の副加圧部49が設けられる。この副加圧部49の先端49aは、副加圧付与アーム45が電極位置サーチプレート41の下面に当接した状態で電極検知部43の延長面の高さ、即ち中心軸線L方向において同一高さ位置に設定される。
【0043】
副加圧付与アーム45の第1貫通孔48A及び第2貫通孔48Bから突出する第1シャフト31と第2シャフト32の先端の間にスプリング押さえプレート51が架設されて固定されると共に、基部46Aとスプリング押さえプレート51の間に第1シャフト31に巻装されたスプリング52A及び第2シャフト32に巻装されたスプリング52Bが装着される。このスプリング52A、52Bによって副加圧付与アーム45を電極サーチプレート41の下面側に押圧付勢すると共に、副加圧付与アーム45を介して副加圧部49を上方に付勢する副加圧付与アクチュエータを構成する。このスプリング52A、52Bによるバネ力、即ち付勢力によって副加圧部49を上方に付勢する副加圧力Fαが設定される。
【0044】
電源となる溶接トランス53の一方の出力端子がバスバ及び固定アーム10等を介して固定側電極12に通電可能に接続され、他方の出力端子がバスバ及び電極アーム18等を介して可動側電極19に通電可能に接続される。
【0045】
一方、図5に示すように、溶接ロボットの作動エリア内に、スポット溶接装置1に設けられた副加圧付与手段20の電極サーチプレート41に形成された電極検知部43及び副加圧部49の先端49aが当接可能な平坦なサーチ面57及び可動側電極19の頂端19aが当接可能な可動側電極当接面58を備えた矩形断面形状の電極位置調整部材56を備える副加圧部位置調整装置55が配置される。また、副加圧部位置調整装置55には電極研磨機59が配置される。この電極研磨機59、例えば上下一対の刃面を有する刃具及び刃具を回転駆動させる駆動装置を備える。
【0046】
また、図示しない溶接ロボットコントローラには、溶接ロボットのティーチングデータが格納され、ティーチングデータには、被溶接部材100の各溶接打点位置を順次スポット溶接するための作動プログラム及び各溶接打点、即ち溶接位置におけるスポット溶接装置1の位置及び姿勢が含まれる。図示しない溶接コントローラには溶接装置1の作動プログラム及び加圧アクチュエータ、溶接トランス、副加圧付与手段20の作動制御が含まれる。
【0047】
次ぎに、スポット溶接装置1の作動を説明する。
【0048】
(スポット溶接工程)
被溶接部材100のスポット溶接にあたり、薄板101に当接する固定側電極12の頂端12aと副加圧部49の先端49aが同一高さに調整して副加圧付与手段20のスライドブレーキユニット34をロック状態に保持する。このスライドブレーキユニット34がロック状態では第1シャフト31及び第2シャフト32が固定状態に保持され、スプリング52A、52Bによって副加圧付与アーム45を電極位置サーチプレート41に副加圧力Fαで押圧付勢する。
【0049】
そして、固定側電極12と可動側電極19が離反した状態で、溶接ロボットコントローラは溶接ロボットを作動し、予め設定されたプログラムに従いスポット溶接装置1を被溶接部材100の打点位置に移動し、図3に示すように固定アーム10に設けた固定側電極12の頂端12a及び副加圧部49の先端49aを被溶接部材100の下面、即ち薄板101に下方から当接してスポット溶接装置1を位置決めする。このスポット溶接装置1が溶接位置に位置決めされた状態では、図4(a)に模式的に示すように被溶接部材100の薄板101の下面に固定側電極12の頂端12a及び副加圧部49の先端49aが接触する一方、可動側電極19の頂端19aが第2厚板103と間隙を有して対向する。
【0050】
次に、副加圧部49及び固定側電極12が被溶接部材100に当接した状態で加圧アクチュエータ14のサーボモータ15の作動により可動側電極19を加圧位置方向に移動させて、図4(b)のように第2厚板103に圧接させ、更に図4(c)のように可動側電極19の頂端19aと固定側電極12の頂端12aとの間で被溶接部材100の溶接部を加圧する。
【0051】
この場合、図4(c)に模式的に示すように、加圧アクチュエータ14による加圧力が電極アーム18等を介して可動側電極19に作用し、かつベース部3及び固定アーム10を介して固定側電極12に作用すると共に、副加圧付与手段20においてスプリング52A、52Bの付勢力が副加圧付与アーム45を介して副加圧部49に作用し、第2厚板103に作用する可動側電極19による加圧力FUと薄板101に作用する固定側電極12による加圧力FL及び副加圧部49による副加圧力Fαの総和が等しくなる(FU=FL+Fα)。これにより、被溶接部材100は、第2厚板103側に上方から作用する可動側電極19の加圧力FUと、薄板101側に下方から作用する固定側電極12の加圧力FL及び副加圧部49の副加圧力Fαとによって安定した状態で挟持保持される。
【0052】
一方、被溶接部材100の溶接部には、可動側電極19から第2厚板103の加圧力FUが付与され、薄板101に固定側電極12から加圧力FL及び副加圧部49から副加圧力Fαが付与されることから、固定側電極12から薄板101に作用する加圧力FLは、可動側電極19による加圧力FUから副加圧部49による副加圧力Fαを減じた大きさの加圧力が付与される(FL=FU−Fα)。
【0053】
このように薄板101側に位置する固定側電極12の加圧力FLを第2厚板103側に位置する可動側電極19の加圧力FUより小さく(FL<FU)することで、相対的に薄板101と第1厚板102間の接触抵抗が大きくなると共に、第1厚板102と第2厚板103間の接触抵抗が小さくなる。
【0054】
次に、この状態で、溶接トランス53から可動側電極19と固定側電極12との間に所定時間通電して溶接する。この可動側電極19と固定側電極12との間に通電した時に、相対的に薄板101と第1厚板102間の接合部における接触抵抗が大きく電流密度が高くなると共に、第1厚板102と第2厚板103間の接触抵抗が小さく保持される。これにより、薄板101と第1厚板102の接合部における発熱量が第1厚板102と第2厚板103の接合部における発熱量に対して相対的に増加して、薄板101から第2厚板103に亘って電流密度の偏りのない良好なナゲットが形成され、薄板101の溶接強度が確保できる。
【0055】
この溶接が完了した後、加圧アクチュエータ14の作動により可動側電極19を加圧位置からから退避位置に移動させて、可動側電極19と固定側電極12及び副加圧部49とによる被溶接部材100の挟持を開放する。
【0056】
次に、溶接ロボットを作動して、スポット溶接装置1を被溶接部材100の打点位置から退避させ、次の被溶接部材100の打点位置に移動する。
【0057】
このようなスポット溶接を繰り返し行うと、被溶接部材100に当接する固定側電極12の頂端12a及び可動側電極19の頂端19aが摩耗や変形する。この摩耗や変形した固定側電極12及び可動側電極19の頂端形状が通電路の電流密度に影響して溶接品質を決定することから、固定側電極12及び可動側電極19の頂端形状が変形する前に研磨し、電極の頂端形状を整える電極研磨工程が予め設定された打点回数毎に行われる。
【0058】
(電極研磨工程)
スポット溶接装置1においては、例えば、副加圧付与手段20のスライドブレーキユニット34をアンロックに切り換え、スプリング37A、37Bに抗して電極位置サーチプレート41を下方に押動して固定側電極12の頂端12aを副加圧部49から突出させ、その位置でスライドブレーキユニット34をロックして固定側電極12の頂端12aが副加圧部49から突出した状態に保持する。
【0059】
そして、スポット溶接装置1を電極研磨機59の位置に移動して固定側電極12と可動側電極19を刃具を介して対向させると共に、加圧アクチュエータ14で可動電極19を加圧位置方向に移動して固定側電極12の頂端12a及び可動側電極19の頂端19aによって上下から挟むように刃具に押し当て、この状態で刃具を回転駆動することにより可動側電極19の頂端19a及び固定側電極12の頂端12aが整形される。電極整形終了後、加圧アクチュエータ14で可動側電極19を退避位置に移動して固定側電極12及び可動側電極19を刃具から離反させると共に、スポット溶接装置1を電極研磨機59から退避させる。
【0060】
ここで、電極研磨に伴って固定側電極12の頂端12a及び可動側電極19の頂端19aが研削されて固定側電極12の有効長が短くなり、固定側電極12の頂端12aと副加圧部49の先端49aとの相対位置が変位してスポット溶接する際の可動側電極19の加圧力FU、固定側電極12の加圧力FL及び副加圧部49の副加圧力Fαの均衡に影響することが懸念されることから、固定側電極12の頂端12aに対する副加圧部49の相対位置を所期の状態に調整する。
【0061】
(副加圧部位置調整工程)
副加圧部49の位置調整にあたり、副加圧付手段20のスライドブレーキユニット34をアンロックに切り換える。このアンロックに伴ってスライドブレーキユニット34による第1シャフト31の固定が解除され、スライドブレーキユニット34及びリニアブッシュ35とスプリング抑えプレート36の間に装着されたスプリング37A及び37Bの付勢力により第1シャフト31及び第2シャフト32が上方に押動して、電極位置サーチプレート41が支持ブラケット21の基部23の下面に当接して停止する。
【0062】
この電極位置サーチプレート41が支持ブラケット21の基部23に当接した状態では、スプリング抑えプレート51と副加圧付与アーム45との間に装着されたスプリング52A、52Bの付勢力により副加圧付与アーム45が電極位置サーチプレート41の下面に押圧付勢された位置に保持され、副加圧付与アーム45に設けられた副加圧部49の先端49aは、図6(a)に示すように電極研磨によって短くなった固定電極12の頂端12aから突出した状態となる。
【0063】
この副加圧付与手段20のスライドブレーキユニット34がアンロック状態を維持した状態でスポット溶接装置1を副加圧部位置調整装置55側に移動し、図5に示すように電極位置サーチプレート41の電極検知部43及び副加圧部49の先端49aを共に電極位置調整部材56のサーチ面57に下方から接触させて調整位置に位置決めする。ここで、電極位置サーチプレート41及び副加圧部49を電極位置調整部材56のサーチ面57に当接することで電極位置調整部材56に対するスポット溶接装置1の位置決めが容易に行えると共に副加圧部49への負荷が軽減される。
【0064】
このスポット溶接装置1が調整位置に位置決めされた状態では、図6(b)に示すように電極位置サーチプレート41の電極検知部43及び副加圧部49の先端49aが電極位置調整部材56のサーチ面57に共に接触する一方、可動側電極19の頂端19aが可動側電極当接面58に間隙を有して対向する。また、固定側電極12はサーチ面57に間隙を有して対向した状態に維持される。
【0065】
次に、この副加圧部49及び電極サーチプレート41の電極検知部43が電極位置調整部材56のサーチ面57に下方から当接した状態で加圧アクチュエータ14のサーボモータ15の作動により可動側電極19を加圧位置方向に移動させて図6(c)に示すように可動側電極19の頂端19aを電極位置調整部材56の可動側電極当接面58に当接させる。
【0066】
続く、加圧アクチュエータ14の作動によって電極アーム18等を介して可動側電極19によって電極位置調整部材56に上方から加圧力を付与する。この可動側電極19による加圧力付与に伴い、可動側電極19に付与される電極位置調整部材56からの反力によってベース部3及び固定アーム10等が上昇移動して固定側電極12が副加圧部49内を上昇して図6(d)に示すように固定側電極12の頂端12aが電極位置調整部材56のサーチ面57に当接して可動側電極19と固定側電極12によって電極位置調整部材56を挟持する。
【0067】
この固定側電極12の上昇移動に伴って電極位置調整部材56のサーチ面57に当接して上昇移動が規制された電極サーチプレート41及び副加圧部49が支持ブラケット21の基部23に対して相対的に押し下げられ、電極サーチプレート41に結合する第1シャフト31及び第2シャフト32がスプリング37A、37Bに抗してスライドブレーキユニット34及びリニアブッシュ35に誘導されて下降して支持ブラケット21から電極サーチプレート41が離間する。
【0068】
この副加圧部49の先端49a、固定側電極12の頂端12a及び電極サーチプレート41の電極検知部43が共に電極位置調整部材56のサーチ面57に当接し、かつ可動側電極19の頂端19aが電極位置調整部材56の可動側電極当接面58に当接した状態、即ち可動側電極19と固定側電極12及び副加圧部49と可動側電極19によって電極位置調整部材56を挟持した状態でスライドブレーキユニット34をロックする。
【0069】
スライドブレーキユニット34のロックにより、第1シャフト31及び第2シャフト32の移動が規制されて該位置に電極サーチプレート41が固定保持され、固定側電極12の頂端12a及び副加圧部49の先端49aが中心軸線L方向において相対的に同一位置に保持される。即ち、電極研磨によって生じた固定側電極12の頂端12aと副加圧部49の先端49aとの変位が、中心軸線L方向において相対的に同一位置となる所期状態に調整される。
【0070】
しかる後、加圧アクチュエータ14により可動側電極19を退避位置に移動させて、可動側電極19と固定側電極12及び副加圧部49とによる電極位置調整部材56の挟持を解除し、溶接ロボットを作動してスポット溶接装置1を副加圧部位置調整装置55から退避させて副加圧部49の位置調整が終了する。
【0071】
従って、電極研磨等による固定側電極12の頂端12aに変位が生じた際、副加圧付手段20のスライドブレーキユニット34をアンロックに切り換え、加圧アクチュエータ14により可動側電極19と固定側電極12及び副加圧部49で電極位置調整部材56を挟持加圧した状態で再びスライドブレーキユニット34をロックする簡単な作動で固定側電極12と副加圧部49が所期状態に調整することができる。
【0072】
また、副加圧付与部40は、固定アーム10に支持された支持ブラケット21及び支持ブラケット21の基部22を貫通する第1シャフト31及び第2シャフト32と、先端部46Bに副加圧部49を備えた副加圧付与アーム45と、スプリング52A、52Bによる簡単な構成であり、副加圧部位置決め部30が、第1シャフト31を選択的に固定するスライドブレーキユニット34、及びスプリング37A、37B等による簡単な構成で形成できる。
【0073】
(第2実施の形態)
本発明の第2実施の形態について図7及び図8を参照して説明する。図7はスポット溶接装置の構成図であり、図8は図7のVIII部の要部斜視図である。なお、図7及び図8において図1乃至図6と対応する部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0074】
スポット溶接装置1は、溶接ロボットの手首部にイコライザユニット2を介して取り付けられるベース部3を備え、ベース部3のガンブラケット5に固定アーム10、加圧アクチュエータ14、及び溶接トランス53が取付支持される。
【0075】
固定アーム10には副加圧付与手段60が設けられる。副加圧付与手段60は、副加圧部位置決め部61及び副加圧付与部64によって構成される。
【0076】
副加圧部位置決め部61は、固定アーム10の基端部分10Aの上部にシャフト62を中心軸線Lと平行な軸方向に移動可能に貫通保持すると共に、シャフト62を任意の移動位置に固定保持するスライドブレーキユニット34を有する。シャフト62の頂端にスプリング押さえプレートが設けられ、スプリング押さえプレートとスライドブレーキユニット34との間に副加圧付与部付勢手段となるスプリング37が設けられる。
【0077】
副加圧付与部64は、固定アーム10の垂直部分10Bに設けたガイドレール66を有し、ガイドレール66にスライド可能に支持されたスライダ67に基端が支持された上面65A及び側面65Bを有する断面略コ字状で先端部分10Cに沿って延在する副加圧付与アーム65を有する。副加圧付与アーム65の上面65Aの基端側に貫通孔65Cが開口し、先端部に副加圧部49を設ける。
【0078】
図8に示すように、副加圧付与アーム65の貫通孔65Cを貫通するシャフト62の先端にスプリング押さえプレート68が設けられ、スプリング押さえプレート68と副加圧付与アーム65の間に副加圧付与アクチュエータとなるスプリング52が配置される。このスプリング52はスプリング37より大きなバネ力を有し、スプリング52の付勢力が副加圧付与アーム65を介して副加圧部49による副加圧力Fαが設定される。
【0079】
副加圧付与アーム65の上面65Aに沿って、その電極位置サーチプレート41が配置される。電極位置サーチプレート41は、基端の貫通孔にシャフト62が貫通し、周り止めピン41pによって副加圧付与アーム65に固定される。電極位置サーチプレート41の先端部41aの上面41Aが電極検知部43となり、電極検知部43と同一高さ位置に副加圧力部49の先端49aが設定される。
【0080】
このように構成されたスポット溶接装置1は、被溶接部材100の溶接にあたり、シャフト62をスライドブレーキユニット34のロックにより固定保持した状態で、固定側電極12及び副加圧部49を被溶接部材100の薄板101に当接してスポット溶接装置1を位置決めする。更に、加圧アクチュエータ14により可動側電極19を加圧位置方向に移動させて可動側電極19の頂端19aと固定側電極12の頂端12aとの間で被溶接部材100を挟持して加圧する。
【0081】
これにより、加圧アクチュエータ14による加圧力が可動側電極19及び固定側電極12に作用すると共に、スプリング52の付勢力が副加圧付与アーム65を介して副加圧部49に作用し、薄板101側に位置する固定側電極12の加圧力FLが第2厚板103側に位置する可動側電極19の加圧力FUより小さくなる。この状態で、可動側電極19と固定側電極12との間に通電して溶接する。
【0082】
電極研磨は、副加圧付与手段60のスライドブレーキユニット34をアンロックに切り換え、スプリング52の付勢力により副加圧部49を押動して固定側電極12の頂端12aを副加圧部49から突出させ、その位置で再びスライドブレーキユニット34をロックする。そして、第1実施の形態に同様に電極研磨機59により可動側電極19及び固定側電極12を整形する。
【0083】
副加圧部49の位置調整は、スライドブレーキユニット34をアンロックに切り換え、スプリング37の付勢力によりシャフト62が上方に押動されて、副加圧付与アーム65及び電極位置サーチプレート41が上昇して副加圧部49の先端49aが固定電極12の頂端12aから突出した状態となる。
【0084】
このスライドブレーキユニット34がアンロック状態で、電極サーチプレート41に形成された電極検知部43及び副加圧部49の先端49aを共に電極位置調整部材56のサーチ面57に下方から接触させ、かつサーボモータ15の作動により可動側電極19を加圧位置方向に移動させて可動側電極19及び固定側電極12で電極位置調整部材56を挟持する。この状態でスライドブレーキユニット34をロックする。このスライドブレーキユニット34のロックより、シャフト62が該位置に固定されてシャフト62に支持された副加圧付与アーム65及び電極サーチプレート41が保持され、固定側電極12の頂端12aと副加圧部49の先端49aが所期の状態に調整される。
【0085】
従って、電極研磨等による固定側電極12の頂端12aに変位が生じた際、副加圧付与手段60のスライドブレーキユニット34をアンロックにし、加圧アクチュエータ14の作動により可動側電極19と固定側電極12及び受部49で電極位置調整部材56を挟持加圧した状態で再びスライドブレーキユニット34をロックする簡単な作業で固定側電極12の頂端12a及び受部49の先端49aが所期の状態に調整される。
【0086】
また、第1実施の形態に比較して固定アーム10内にスライドブレーキユニット34等が配設されることなく、固定アーム10内の作業空間が確保され、溶接装置1の作業範囲の制限が緩和される。
【0087】
(第3実施の形態)
本発明の第3実施の形態について図9及び図10を参照して説明する。図9はスポット溶接装置の構成図であり、図10は図9のX部の要部斜視図である。なお、図9及び図10において図1乃至図7と対応する部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0088】
スポット溶接装置1は、溶接ロボットの手首部にイコライザユニット2を介して取り付けられる装置取付ブラケット4及びガンブラケット5からなるベース部3を備える。装置取付ブラケット4はイコライザユニット2に連結される取付基部4A及び一対のガン取付部4Bを有する断面コ字状に形成され、かつ副加圧付与手段取付支持部となる底部4Cを有するボックス状に形成される。各ガン取付部4Bに取り付けられたガンブラケット5に固定アーム10、加圧アクチュエータ14、及び溶接トランス53が取付支持される。
【0089】
装置取付ブラケット4及び固定アーム10に、副加圧付与手段70が設けられる。副加圧付与手段70は、装置取付ブラケット41の底部4Cに取付けられた副加圧部位置決め部71及び副加圧付与部72によって構成される。
【0090】
装置取付ブラケット41の底部4Cの下面に図示しないサーチロッド固定用ブラケットが重合して取り付けられる。これら底部4C及びサーチロッド固定用ブラケットには図示しない第1貫通孔及び第2貫通孔が形成される。
【0091】
副加圧部位置決め部71は、装置取付ブラケット41の底部4Cの上面に第1貫通孔を貫通する第1シャフト31を移動可能に貫通保持すると共に任意の移動位置に保持するスライドブレーキユニット34を有する。また、第2貫通孔を貫通する第2シャフト32を嵌合保持するリニアブッシュ35が設けられる。
【0092】
第1シャフト31と第2シャフト32の頂端間にスプリング押さえプレート36が架設され、スライドブレーキユニット34とスプリング押さえプレート36及びリニアブッシュ35とスプリング押さえプレート36との間にスプリング37A、37Bが装着される。このスプリング37A、37Bが副加圧付与部72を上方に付勢する副加圧付与部付勢手段を構成する。
【0093】
装置取付ブラケット4の底部4Cの下方に第1シャフト31及び第2シャフト32が貫通する貫通穴を有する矩形の副加圧付与アーム取付基部73が移動可能に配置され、第1シャフト31の先端と第2シャフト32の先端間にスプリング押さえプレート51が架設される。副加圧付与アーム取付ブラケット73とスプリング押さえプレート51の間に第1シャフト31及びに第2シャフト32に巻装されたスプリング52A、52Bが装着される。このスプリング52A及び52Bの付勢力によって副加圧部49による副加圧力Fαが設定される。
【0094】
副加圧付与アーム75は、基端が副加圧付与アーム取付基部73に結合されて固定アーム10に沿って延在する一対の板状の側部75Bと、両側がそれぞれ各側部75Bに接合されて固定アーム10の先端部分10C及び垂直部分10Bに対向する上面75Aを有するL字状に形成される。上面75Aの基端側に開口する貫通孔に円筒状のブッシュ76が配置され、先端側に副加圧部49が設けられる。これら第1シャフト31と第2シャフト32に架設されるスプリング押さえプレート51、スプリング52A、52B、副加圧付与アーム取付基部73、副加圧付与アーム74及び副加圧部49によって副加圧付与部72を構成する。
【0095】
一方、固定アーム10の基端部分10Aに形成された貫通孔を貫通して上端が装置ブラケット4の底部4Cに結合され、下端が副加圧付与アーム75に設けたブッシュ76を貫通して先端部分10Cに結合するサーチ用ロッド78を有する。
【0096】
副加圧付与アーム75の上面75Aに電極位置サーチプレート41が配置される。電極位置サーチプレート41は基端に形成され貫通孔42にサーチ用ロッド78が貫通し、周り止めピン41pによって副加圧付与アーム75に固定される。電極位置サーチプレート41の先端部41aの上面が電極検知部43となり、電極検知部43と対応する高さに副加圧部49の上端49aが設定される。
【0097】
このように構成された副加圧付与手段70は、スライドブレーキユニット34のロックでスプリング52A及び52Bによって副加圧付与アーム取付ブラケット73が上方に付勢され、副加圧付与アーム取付ブラケット73に結合された副加圧付与アーム75がサーチ用ロッド58に沿って上方に付勢される。また、スライドブレーキユニット34がアンロックではスプリング37A及び37Bによって副加圧付与アーム75が上方に付勢される。
【0098】
このように構成されたスポット溶接装置1は、被溶接部材100のスポット溶接にあたり、スライドブレーキユニット34のロックにより第1シャフト31を固定保持した状態で、固定側電極12及び副加圧部49を被溶接部材100の薄板101に当接してたスポット溶接装置1を位置決めする。この状態で、加圧アクチュエータ14のサーボモータ15の作動により可動側電極19を加圧位置方向に移動させて可動側電極19の頂端19aと固定側電極12の頂端12aとの間で被溶接部材100を挟持すると共に加圧する。
【0099】
これにより、加圧アクチュエータ14の加圧力が可動側電極19と固定側電極12に作用し、かつスプリング52A、52Bの付勢力が副加圧付与アーム75を介して副加圧部49に作用して薄板101側に位置する固定側電極12の加圧力FLが第2厚板103側に位置する可動側電極19の加圧力FUより小さくなる。この状態で、可動側電極19と固定側電極12との間に通電して溶接する。
【0100】
電極研磨は、副加圧付与手段70のスライドブレーキユニット34をアンロックに切り換えて、固定側電極12の頂端12aを副加圧部49から突出させ、再びスライドブレーキユニット34をロックして固定側電極12の頂部12aが副加圧部49から突出した状態に保持する。そして、第1実施の形態と同様に電極研磨機59により可動側電極19及び固定側電極12を整形する。
【0101】
副加圧部49の位置調整は、スライドブレーキユニット34をアンロックする。これによりスプリング37A、37Bの付勢力により第1シャフト31及び第2シャフト32が押動されて制御加圧付与アーム75及び電極位置サーチプレート41が上昇して副加圧部49の先端49aが固定電極12の頂端12aから突出した状態となる。
【0102】
このスライドブレーキユニット34がアンロック状態で、電極サーチプレート41の上面41Aに形成された電極検知部43及副加圧部49の先端49aを共に電極位置調整部材56のサーチ面57に接触させ、かつサーボモータ15の作動により可動側電極19を加圧位置方向に移動させて可動側電極19と固定側電極12によって電極位置調整部材56を挟持する。この状態でスライドブレーキユニット34をロックする。このスライドブレーキユニット34のロックへの切り換えにより、第1シャフト31及び第2シャフト32の移動が規制されてスプリング52A及び52B等を介して支持された副加圧付与アーム75及び電極サーチプレート41が所期状態に保持される。
【0103】
従って、電極研磨等による固定側電極12の頂端12aに変位が生じた際、副加圧付手段70のスライドブレーキユニット34をアンロックに切り換え、加圧アクチュエータ14の作動により可動側電極19と固定側電極12及び副加圧部49で電極位置調整部材56を挟持加圧した状態で再びスライドブレーキユニット34をロックする簡単な動作で固定側電極12及び副加圧部49が所期の状態に調整できる。
【0104】
また、第1実施の形態に比較して固定アーム10内にスライドブレーキユニット34等が配設されることなく、固定アーム10内の作業空間が確保され、溶接装置1の作業範囲の制限が緩和される。
【0105】
(第4実施の形態)
本発明の第4実施の形態について図11及び図12を参照して説明する。
【0106】
図11はスポット溶接装置の構成図であり、図12は図11のXII部の要部斜視図である。なお、図11及び図12において図1乃至図7と対応する部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0107】
スポット溶接装置1は、溶接ロボットの手首部にイコライザユニット2を介して取り付けられる装置取付ブラケット4及びガンブラケット5からなるベース部3を備える。装置取付ブラケット4はイコライザユニット2に連結される取付基部4A及び一対のガン取付部4Bを有する断面コ字状に形成され、更に、副加圧付与手段支持部となる矩形板状の底部4Cを有するボックス状に形成される。
【0108】
装置取付ブラケット4及び固定アーム10には、副加圧付与手段80が設けられる。副加圧付与手段80は、装置取付ブラケット4の底部4Cに取付けられた昇降位置決め部81及び副加圧付与部82によって構成される。
【0109】
昇降位置決め部81は装置取付ブラケット4の底部4Cに第1貫通孔を貫通する第1シャフト31を移動可能に貫通保持すると共に、任意の移動位置に保持するスライドブレーキユニット34を有する。また第2貫通孔を貫通する第2シャフト32を移動可能に嵌合保持するリニアブッシュ35が設けられる。
【0110】
第1シャフト31と第2シャフト32の頂端間にスプリング押さえプレート36が架設され、スライドブレーキユニット34とスプリング押さえプレート36との間及びリニアブッシュ35とスプリング押さえプレート36との間にスプリング37A、37Bが装着される。このスプリング37A、37Bが制御加圧付与部82を上方に付勢する副加圧付与部付勢手段を構成する。
【0111】
装置取付ブラケット4の底部4Cの下方において第1シャフト31及び第2シャフト32が貫通する貫通穴を有する矩形の副加圧付与アーム取付ブラケット83及び副加圧付与アーム取付ブラケット83に設けられたサーチプレート固定用プレート84が移動可能に配置され、第1シャフト31の先端と第2シャフト32の先端間にスプリング押さえプレート51が架設される。
【0112】
副加圧付与アーム取付ブラケット83とスプリング押さえプレート51の間に第1シャフト31に巻装されたスプリング52A及び第2シャフト32に巻装されたスプリング52Bが装着される。このスプリング52A及び52Bによって副加圧付与アーム85を介して副加圧部49による副加圧力Fαが設定される。
【0113】
副加圧付与アーム85は、基端が副加圧付与アーム取付ブラケット83に結合されて固定アーム10の両側に沿って延在する一対の側部85Bと、各側部85Bに接合されて固定アーム10の先端部分10Cの上面及び垂直部分10Bに対向する上面85Aを有するL字状に形成される。この副加圧付与アーム85の先端側の上面85Aに副加圧部49が設けられる。また、上面85Aに固定アーム10の直線部分10Bに当接して転動する支持ローラ86が設けられる。
【0114】
更に、副加圧付与アーム取付ブラケット83に設けられたサーチプレート固定用プレート84に、副加圧部位置サーチプレート87が設けられる。副加圧部位置サーチプレート87はサーチプレート固定用プレート84に取り付けられる基部87A及び基部87Aの下縁から外方に折曲するサーチ部87Bを有する断面L字状であって、サーチ部87Bの上面が平面状の副加圧部検知部88となる。
【0115】
これら第1シャフト31の先端と第2シャフト32の先端間に架設されるスプリング押さえプレート51、スプリング52A、52B、副加圧付与アーム取付ブラケット85、副加圧部49及び副加圧部位置サーチプレート87等によって副加圧付与部82を構成する。
【0116】
このように構成された副加圧付与手段80は、スライドブレーキユニット34がロックでスプリング52A、52Bによって副加圧付与アーム取付ブラケット83が上方に付勢され、副加圧付与アーム取付ブラケット83に基端が結合された副加圧付与アーム85が上方に付勢される。また、スライドブレーキユニット34がアンロック状態ではスプリング37A、37Bによって副加圧付与アーム85が上方に付勢される。この副加圧付与アーム85の移動に連動して副加圧部49と副加圧部位置サーチプレート87が中心軸線Lと平行に移動する。
【0117】
このように構成されたスポット溶接装置1は、被溶接部材100のスポット溶接にあたり、溶接ロボットコントローラは溶接ロボットを作動し、スポット溶接装置1を副加圧部位置調整装置55に移動し、スポット溶接装置1に設けられた副加圧部位置サーチプレート87の受部検知部88を電極位置調整部材56の可動側電極当接面58に接触する。この副加圧部検知部88が可動側電極当接面58に接触した状態におけるスポット溶接装置1の位置を初期受部位置P0としてロボットコントローラのティーチングデータに記憶する。
【0118】
次に、スポット溶接装置1を被溶接部材100の打点位置に移動し、固定アーム10に設けられた固定側電極12及び副加圧部49を被溶接部材100の薄板101に当接すると共に、加圧アクチュエータ14の作動により可動側電極19を加圧位置方向に移動させて第2厚板103に圧接させて被溶接部材100を挟持すると共に加圧付与する。
【0119】
ここで、加圧アクチュエータ14による加圧力が可動側電極19及び固定側電極12に作用すると共に、スプリング52A、52Bの付勢力が副加圧付与アーム63を介して副加圧部49に作用し、薄板101側に位置する固定側電極12の加圧力FLが第2厚板103側の可動側電極19の加圧力FUより小さくなる、この状態で可動側電極19と固定側電極12との間に通電して溶接する。
【0120】
電極研磨においては、例えば、副加圧付与手段80のスライドブレーキユニット34をアンロックに切り換えて、固定側電極14の頂端14aを副加圧部49から突出させ、その位置でスライドブレーキユニット34をロックして固定側電極14の頂部14aが副加圧部49から突出した状態に保持する。そして、第1実施の形態と同様に電極研磨機59で可動側電極19及び固定側電極12を整形する。
【0121】
電極研磨後の副加圧部位置調整は、スライドブレーキユニット34をアンロックに切り換え、スプリング37A、37Bの付勢力により第1シャフト31及び第2シャフト32が上方に押動されて、副加圧付与アーム85が上昇し、副加圧部49の上端49aが固定電極12の頂端12aから突出した状態となる。
【0122】
このスライドブレーキユニット34がアンロック状態で、加圧アクチュエータ14により可動側電極19を加圧位置方向に移動させて可動側電極19と固定側電極12で電極位置調整部材56を挟持する。
【0123】
これにより、副加圧部49の先端49a及び固定側電極12の頂端12aと可動側電極19の頂端19aが共に電極位置調整部材56に当接した状態でスライドブレーキユニット34をロックする。このスライドブレーキユニット34のロックにより、第1シャフト31及び第2シャフト32の移動が規制されて副加圧部加圧付与アーム85が所期の状態に調整される。
【0124】
この副加圧部位置を調整した後、溶接ロボットコントローラは溶接ロボットを作動してスポット溶接装置1を移動して副加圧部位置サーチプレート87の副加圧部検知部88を副加圧部位置調整装置55の電極位置調整部材56の可動側電極当接面58に接触する。
【0125】
この副加圧部位置サーチプレート87の副加圧部検知部88が可動側電極当接面58に接触した状態におけるスポット溶接装置1の位置を変位後副加圧部位置P1としてティーチングデータに記憶する。この変位後副加圧部位置P1と予め測定した初期副加圧部位置P0による中心軸L方向の位相差分LI(L1=P0−P1)が電極研磨等による固定側電極12の短縮変位量であり、電極研磨に伴う副加圧部49の位置調整量となる。これにより固定側電極12の管理が容易になると共に、副加圧部49の変位が容易に把握でき、安定した副加圧力Fαの調整管理が容易になり安定したスポット溶接品質が確保できる。
【0126】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更することができる。例えば、前記各実施の形態では副加圧部49を円筒状に形成したが、半割り状や断面円弧状の板材等を円筒状に配置して形成することも、また突起によって形成することもできる。また、第1実施の形態乃至第3実施の形態においても、第4実施の形態と同様に、副加圧付与アームに副加圧部検知部を有する副加圧部位置サーチプレートを配設することができる。
【符号の説明】
【0127】
1 スポット溶接装置
3 ベース部
10 固定アーム
12 固定側電極
12a 頂端
14 加圧アクチュエータ
19 可動側電極
19a 頂端
20、60、70,80 副加圧付与手段
30、61、71、81 副加圧付与部位置決め部
34 スライドブレーキユニット(副加圧付与部位置固定手段)
37、37A、37B スプリング(副加圧付与部付勢手段)
40、64、72、82 副加圧付与部
41 電極位置サーチプレート(電極位置検知手段)
43 電極検知部
45、65、75、85 副加圧付与アーム
49 副加圧部
52、52A、52B スプリング(副加圧付与アクチュエータ)
87 副加圧部位置サーチプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接ロボットに取り付けられるベース部と、
該ベース部に基端が支持された固定アームの先端部分に支持されて被溶接部材に当接する固定側電極と、
前記ベース部に搭載されて電極アームを介在して前記固定側電極の中心軸線と同軸上で可動側電極を支持すると共に該可動側電極の頂端を前記被溶接部材に当接して前記固定側電極の頂端と協働して前記被溶接部材を挟持して加圧力を付与する加圧位置と被溶接部材から離反する退避位置との間で移動せしめる加圧アクチュエータと、
前記被溶接部材に前記固定側電極に隣接して副加圧力を付与する副加圧付与手段とを備え、
前記被溶接部材に当接する前記可動側電極と該可動側電極と対向して前記被溶接部材に当接する前記固定側電極及び前記副加圧付与手段とによって前記被溶接部材を挟持加圧し、該挟持加圧状態で前記可動側電極と固定側電極との間で通電してスポット溶接するスポット溶接装置において、
前記副加圧付与手段は
副加圧力付与アクチュエータ及び該副加圧付与アクチュエータにより固定側電極の頂端に対応する前記中心軸線延在方向において当接する前記被溶接部材に所定の副加圧力を付与する副加圧部を有する副加圧付与部と、
該副加圧付与部を前記副加圧部が前記固定側電極の頂端から突出する方向に付勢付与する副加圧付与部付勢手段及び副加圧付与部の位置を選択的に固定及び固定解除する副加圧付与部位置固定手段を備えた副加圧付与部位置決め部とを備えた、ことを特徴とするスポット溶接装置。
【請求項2】
前記副加圧付与部は、先端に前記副加圧部を支持する副加圧付与アームを備え、
該副加圧付与アームに固定され、前記副加圧部の先端における前記中心軸線延在方向の位置と対応する平面状の電極検知部を有する電極位置サーチプレートを備えたことを特徴とする請求項1に記載のスポット溶接装置。
【請求項3】
前記副加圧付与部は、先端に前記副加圧部を支持する副加圧付与アームを備え、
該副加圧付与アームに副加圧部検知部を有する副加圧部位置サーチプレートを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のスポット溶接装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−86178(P2013−86178A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232436(P2011−232436)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】