説明

スポンジケーキの製造方法

【課題】 そこで、本発明の目的は、窯落ちが防止されたスポンジケーキの製造方法を提供するものである。
【解決手段】
予め植物ステロール類と卵黄とを混合した混合物を調製し、当該混合物を添加するスポンジケーキの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窯落ちが防止されたスポンジケーキの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スポンジケーキは、小麦粉、卵、砂糖等の糖類を主原料として起泡させた生地を焼成した焼き菓子であり、キメが細かく、ふんわりした食感が好まれている食品である。
【0003】
しかしながら、スポンジケーキを食品工業的に大量生産する場合には、製造条件の微調整が難しいことから、生地を起泡させる際の攪拌の過不足等により、小麦粉等からなる気泡の膜がつぶれてしまい、その結果、得られたスポンジケーキ全体がしぼんだり、上面が陥没したりする、いわゆる窯落ちと呼ばれる現象がおこり、商品価値が失われてしまうことがあった。
【0004】
上述の問題点を解決する手段としては、特許文献1(特開2006−34284号公報)には、タマリンドガム、サイリウムシードガム及びデキストリンからなる起泡性向上剤を含有させたスポンジケーキは焼成後にしぼまなくなることが記載されているが、この製造方法によれば、スポンジケーキ生地に粘りがでて攪拌しにくくなる場合があり好ましくない。また、特許文献2(特開2000−4771号公報)には、強力粉又は中力粉から得られた粒径が53μm以下の微粉粒子と薄力粉を配合したスポンジケーキは、焼成後に窪まないことが記載されているが、この製造方法によれば、スポンジケーキの窯落ちを十分に防止できるものではなかった。
【0005】
一方、本発明の課題とは異なるが、特許文献3(特開2003−259794号公報)には、血中の総コレステロール濃度を低下させる機能を有する植物ステロール類をスポンジケーキ等の加工食品に添加することが提案されている。この特許文献には、小麦粉に対する植物ステロールの含有割合を特定量とし、小麦粉の存在下で加熱処理を施して遊離型植物ステロールを減少させることにより、添加した植物ステロールに由来する食感の悪化が防止された加工食品、具体的には、ザラザラ感のないスポンジケーキ等が得られると記載されている。また、特許文献4(特開2002−84962号公報)には、植物ステロールを品質改良剤としてスポンジケーキに添加することが提案されている。この特許文献には、乳化剤として植物ステロール及びレシチンを併用することにより、ソフトで軽い食感のスポンジケーキが得られると記載されている。しかしながら、これらの特許文献においては、窯落ちに関することは、一切開示も示唆もされていない。
【0006】
上記特許文献においては植物ステロールを配合してスポンジケーキを製造することが検討されているが、いずれも粉体の植物ステロールを、単に一般的な粉体原料の配合方法、つまり小麦粉等の粉体原料と粉体混合して配合することのみ検討している。後述の比較例で示すとおり、このように粉体の植物ステロール類を単に一般的な粉体原料の配合方法によりスポンジケーキに配合しても窯落ち防止するといった本発明の効果を奏することができないものである。
【0007】
【特許文献1】特開2006−34284号公報
【特許文献2】特開2000−4771号公報
【特許文献3】特開2003−259794号公報
【特許文献4】特開2002−84962号公報
【特許文献5】WO2005/041692
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、窯落ちが防止されたスポンジケーキの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するため、鋭意研究を行った結果、予め植物ステロール類と卵黄とを混合した混合物を調製し、当該混合物を添加してスポンジケーキを製造すると、意外にも得られたスポンジケーキは窯落ちが防止されることを見出し、遂に本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、(1)予め植物ステロール類と卵黄とを混合した混合物を調製し、当該混合物を添加するスポンジケーキの製造方法、(2)前記混合物が植物ステロール類100部に対し卵黄を固形分換算で0.54部以上混合する(1)記載のスポンジケーキの製造方法、(3)植物ステロール類の配合量が、小麦粉に対して0.05〜10%である(1)又は(2)記載のスポンジケーキの製造方法、である。
【0011】
なお、本出願人は、既に植物ステロール類と卵黄を混合することにより調製した植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体に関する出願をしており(特許文献5:WO2005/041692)、当該出願には、前記複合体をケーキに配合してもよいことが記載されている。しかしながら、スポンジケーキに配合することやその場合にスポンジケーキに与える影響については一切検討されていない。
【発明の効果】
【0012】
本発明のスポンジケーキの製造方法によれば、食品工業的に大量生産する場合であっても、窯落ちが防止された好ましいスポンジケーキを製造することができる。したがって、スポンジケーキ市場の拡大を期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ意味する。
【0014】
本発明は、小麦粉、卵、砂糖等の糖類を主原料とし、共立て法、別立て法、オールインミックス法等に準じて起泡させた生地を型に流し込みオーブン等で焼成する従来の一般的なスポンジケーキの製造方法において、生地を調製する際に、予め植物ステロール類と卵黄とを混合した混合物を調製し、当該混合物を添加することを特徴とする。
【0015】
ここで、本発明の植物ステロール類とは、コレステロール又は当該飽和型であるコレスタノールに類似した構造をもつ植物の脂溶性画分より得られる植物ステロール又は植物スタノール、あるいはこれらの構成成分のことであり、植物ステロール類は、植物の脂溶性画分に合計で数%存在する。また、市販の植物ステロール又は植物スタノールは、融点が約140℃前後で、常温で固体であり、これらの主な構成成分としては、例えば、β−シトステロール、β−シトスタノール、スチグマステロール、スチグマスタノール、カンペステロール、カンペスタノール、ブラシカステロール、ブラシカスタノール等が挙げられる。また、植物スタノールについては、天然物の他、植物ステロールを水素添加により飽和させたものも使用することができる。なお、本発明において植物ステロール類は、いわゆる遊離体を主成分とするが、若干量のエステル体を含有していてもよい。
【0016】
また、本発明で用いる植物ステロール類としては、市販されている粉体あるいはフレーク状のものを用いることができるが、平均粒子径が50μm以下、特に10μm以下の粉体を使用すると、スポンジケーキに配合したとき食感に影響を与え難くすることができ好ましい。
【0017】
一方、本発明の卵黄としては、特に限定するものではなく、例えば、生卵黄をはじめ、殺菌卵黄、酵素処理卵黄、脱糖処理卵黄、脱コレステロール処理卵黄、加塩又は加糖卵黄、冷凍卵黄を解凍したもの、乾燥卵黄を水戻ししたもの等を用いればよい。また、本発明で卵黄を用いる際には、卵黄が含まれている生全卵、殺菌全卵、酵素処理全卵、脱糖処理全卵、脱コレステロール処理全卵、加塩又は加糖全卵、冷凍全卵を解凍したもの、乾燥全卵を水戻ししたもの等を用いてもよい。
【0018】
上述した植物ステロール類と卵黄とを混合して混合物を調製するには、具体的には、工業的規模での製造のし易さを考慮して、これら植物ステロール類及び卵黄を、ホバートミキサー等の攪拌機やホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモゲナイザー、T.K.マイコロイダー(プライミクス社製)等の均質機等を用いて、全体が均一になるまで攪拌混合して混合物を調製すればよい。なお、混合物を調製する際には、小麦粉等が配合されていると、植物ステロール類が後述するように卵黄の主成分である卵黄リポ蛋白質と複合体を形成し難いためか、本発明の効果が得られ難くなる。このため、混合物を調製する際の原料として、植物ステロール類及び卵黄に加えて小麦粉等のその他の配合原料を用いる場合には、当該植物ステロール類及び卵黄を除くその他配合原料の合計配合量が、固形分換算した卵黄配合量100部に対して50部以下となるようにすることが好ましい。
【0019】
本発明においては、生地を調製する際に、予め上述したように植物ステロール類と卵黄とを混合した混合物を調製し、当該混合物を添加するものであるが、このようにして生地を調製する方法としては、例えば、卵黄と植物ステロール類とを攪拌混合して混合物を調製し、得られた混合物、小麦粉、卵及び砂糖等を用いて常法により生地を調製する方法、あるいは、卵黄と植物ステロール類とを攪拌混合して混合物を調製した後に、得られた混合物を噴霧乾燥、凍結乾燥等の乾燥処理を施して乾燥混合物を調製し、当該乾燥混合物、小麦粉、卵及び砂糖等を用いて常法により生地を調製する方法等が挙げられる。なお、これらの方法において、起泡生地の調製は、一般的な共立て法、別立て法、オールインミックス法等に準じて行えばよい。
【0020】
本発明においては、上述したように、生地を調製する際に、予め植物ステロール類と卵黄とを混合した混合物を調製し、当該混合物を添加することにより、はじめて窯落ちが防止されたスポンジケーキを製造することができる。これに対して、後述の比較例に示すように、予め植物ステロール類と卵黄とを混合した混合物を調製することなく、一般的な粉体原料の配合方法により植物ステロール類を配合して生地を調製した場合、つまり、植物ステロール類をそのまま小麦粉等の粉体原料と粉体混合して生地を調製した場合は、窯落ちが防止されたスポンジケーキが得られない。
【0021】
このように、窯落ちが防止される理由は定かではないが、以下のように推察される。まず、植物ステロール類は、水への分散処理を施しても、その後、水面に浮いてしまう性質を有する。これに対し、上述した混合物における植物ステロール類は、後述で示すように水に分散する性質を有する。これは、植物ステロール類と卵黄とが水系中で混合されることにより、卵黄の主成分であり両親媒性を有する卵黄リポ蛋白質が、当該疎水部分を疎水物である植物ステロール類の表面側に、親水部分を外側に向けて植物ステロール類の表面に付着した状態で複合体を形成するためであると推察される。また、このような複合体は、表面が親水化されていることにより、小麦粉や卵から形成される生地中の気泡の膜に入り込んでその膜の構造を強化するため、焼成後の窯落ちが防止されるのではないかと推察される。
【0022】
本発明において、植物ステロール類と卵黄とを混合した混合物を調製する際には、植物ステロール類100部に対し卵黄を固形分換算で0.54部以上混合することが好ましい。前記範囲よりも卵黄を混合する量が少ないと、後述に示すように、植物ステロール類が卵黄の主成分である卵黄リポ蛋白質と水分散性を有する複合体を形成しないで小麦粉等との親和性が低下するためか、窯落ちが防止され難く好ましくない。
【0023】
また、本発明における上記植物ステロール類の配合量は、小麦粉に対して0.05〜10%が好ましく、0.2〜5%がより好ましい。植物ステロール類の配合量が前記範囲より少ないと、窯落ちが防止された品質のよいスポンジケーキを得られ難くなり好ましくなく、一方、前記範囲より多いと、スポンジケーキが粉っぽくなる傾向があり好ましくない。
【0024】
本発明のスポンジケーキの製造方法は、上述したように生地を調製する他は、従来のスポンジケーキの製造方法に準じて製造すればよい。つまり、上述したようにして調製した生地を気泡がつぶれないようにスポンジケーキ型等に流し込み、160〜200℃のオーブン等で15〜30分間焼成し、あら熱をとってから、型からはずし、スポンジケーキを製造すればよい。
【0025】
本発明のスポンジケーキには、小麦粉、卵、糖類等の一般的なスポンジケーキの配合原料以外に、本発明の効果を損なわない範囲で食材、調味料、品質改良剤等の各種原料を適宜選択し配合することができる。例えば、レーズン、アンズ、ブルーベリー、クランベリー等の果実類、人参、トマト、ホウレンソウ等の野菜類、カカオマス、カカオバター、ココア等のカカオ類、紅茶、抹茶、緑茶等の茶葉類、菜種油、卵黄油、ショートニング、バター、マーガリン、起泡性乳化油脂等の油脂類、粉乳、生乳、練乳、生クリーム等の乳製品、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤、ベーキングパウダー、重曹等の膨張剤、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、ヘム鉄、亜鉛、銅、等のミネラル類等を配合してもよい。
【0026】
以下、本発明のスポンジケーキの製造方法について、実施例等に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
【実施例】
【0027】
[調製例1]:植物ステロール類と卵黄固形分との割合
鶏卵を工業的に割卵して得られた生卵黄(卵黄固形分45%)と清水と植物ステロールの量を表1の通りに変更して混合物を調製し、この混合物における植物ステロールの分散性から、植物ステロールに水分散性を付与するための卵黄固形分の量を検討した。
【0028】
すなわち、鶏卵を割卵して取り出した生卵黄(卵黄固形分45%)に清水を加え、均質機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpm、1分間攪拌した後、45℃に加温し、次に5000rpmで攪拌しながら植物ステロール(遊離体97.8%、エステル体2.2%、平均粒子径約3μm)を除々に添加し、添加し終えたところで、さらに10000rpmで攪拌して混合物を得た。
【0029】
また、混合物における植物ステロールの分散性に関しては、得られた混合物0.5gを試験管(内径1.6cm、高さ17.5cm)にとり、0.9%食塩水10mLで希釈し、試験管ミキサー(IWAKI GLASS MODEL−TM−151)で10秒間撹拌することにより振盪し、その後1時間室温で静置し、さらに真空乾燥機(東京理化器械社製、VOS−450D)に入れ、真空度を10mmHg以下にして室温(20℃)で脱気を行い、脱気後に浮上物が見られない場合を○、浮上物が見られた場合を×と判定した。これらの結果を表1に示す。
【0030】
なお、植物ステロールを加熱溶解し、冷却し、比重の異なるエタノール液に浸けて浮き沈みによりその比重を求めたところ、0.98であったことから、上述の分散性の試験での浮上物は植物ステロールであると考えられる。
【0031】
【表1】

【0032】
表1より、植物ステロール類100部に対し卵黄を固形分換算で0.54部以上混合すると、当該混合物における植物ステロール類が水に分散する、つまり、植物ステロール類に水分散性が付与されたことがわかる。
【0033】
[実施例1]スポンジケーキ<別立て法>
生卵黄(卵黄固形分45%)300部を均質機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で5000rpmの条件で攪拌しながら、植物ステロール(調製例1と同じもの)40部を除々に添加し、添加し終えたところで、さらに同回転数で30分間攪拌して、植物ステロール類と卵黄とを混合した混合物を得た。なお、植物ステロールと卵黄の混合割合は、植物ステロール100部に対し卵黄が固形分換算で338部である。
【0034】
次に、得られた植物ステロールと卵黄との混合物に砂糖375部を加えて攪拌機(HOBART社製、C-100-T)に投入して中速で攪拌して、持ち上げて垂らしたときにリボン状の痕跡が残るまで十分に起泡させた。また、これとは別に、生卵白700部に砂糖375部を加えて同様に攪拌機で起泡させた。続いて、これらの起泡物と小麦粉(薄力粉)750部を気泡をつぶさないように混合機でさっくりと混ぜて生地を調製した。得られた生地を直径18cmのスポンジケーキ用の丸型に流し込み、170℃のオーブンで30分間焼成し、室温にてあら熱をとり、型からはずし、スポンジケーキを得た。なお、植物ステロールの配合量は、小麦粉に対して5%であった。
【0035】
得られたスポンジケーキの観察を行ったところ、窯落ちしておらず美味しそうであった。
【0036】
[実施例2]スポンジケーキ<オールインミックス法>
まず、清水17.5kgに殺菌卵黄(固形分45%、キユーピー(株)製)0.5kgを加え、均質機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpm、1分間攪拌した後、50℃に加温し、次に5000rpmで攪拌及び真空度350mmHgで脱気しながら植物ステロール(調製例1と同じもの)2kgを除々に添加し、添加し終えたところで、さらに同回転数で30分間攪拌して植物ステロール類と卵黄とを混合した混合物を得た。なお、植物ステロールと卵黄の混合割合は、植物ステロール100部に対し卵黄が固形分換算で11部である。得られた植物ステロールと卵黄とを混合した混合物を噴霧乾燥機を用いて、送風温度170℃、排風温度70〜75℃の条件で乾燥し、乾燥混合物を得た。
【0037】
次に、乾燥混合物70部、生全卵1000部、砂糖750部、小麦粉(薄力粉)750部及び起泡性乳化油脂60部を攪拌機(HOBART社製、C-100-T)に投入し、中速で5分間攪拌して起泡させて生地を得た。得られた生地を直径18cmのスポンジケーキ用の丸型に流し込み、170℃のオーブンで30分間焼成し、室温にてあら熱をとり、型からはずし、スポンジケーキを得た。なお、植物ステロールの配合量は、小麦粉に対して8%であった。
【0038】
得られたスポンジケーキの観察を行ったところ、窯落ちしておらず美味しそうであった。
【0039】
[比較例1]
植物ステロールを配合しない他は、実施例1に準じて、スポンジケーキを得た。すなわち、生卵黄300部と砂糖375部を攪拌機で起泡させた。また、これとは別に、生卵白700部と砂糖375部を同様に攪拌機で起泡させた。続いて、これらの起泡物と小麦粉(薄力粉)750部を混合機で混ぜて生地を調製した後、焼成してスポンジケーキを得た。
【0040】
得られたスポンジケーキを観察したところ、スポンジケーキの上面の一部が陥没して窯落ちが生じており、美味しそうに見えなかった。
【0041】
[比較例2]
実施例1において、植物ステロールと卵黄とを混合して混合物を調製せずに、植物ステロールを小麦粉と粉体混合して配合した他は、実施例1に準じてスポンジケーキを得た。すなわち、生卵黄300部と砂糖375部を攪拌機で起泡させた。また、これとは別に、生卵白700部と砂糖375部を同様に攪拌機で起泡させた。続いて、これらの起泡物に、粉体混合した小麦粉(薄力粉)750部及び植物ステロール40部を加えて、混合機でさっくりと混ぜて生地を調製した後、焼成してスポンジケーキを得た。
【0042】
得られたスポンジケーキを観察したところ、スポンジケーキの上面の一部が陥没して窯落ちが生じており、美味しそうに見えなかった。
【0043】
以上より、植物ステロール無添加の比較例1のスポンジケーキ、及び植物ステロールを単に小麦粉等と粉体混合して配合した比較例2のスポンジケーキは、窯落ちが生じているのに対し、予め植物ステロールと卵黄とを混合物を調製し、当該混合物を添加して製造した本発明の実施例1〜3のスポンジケーキは、窯落ちが防止されていることが理解できる。なお、植物ステロールを植物スタノールに変更した場合も同様な結果となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め植物ステロール類と卵黄とを混合した混合物を調製し、該混合物を添加することを特徴とするスポンジケーキの製造方法。
【請求項2】
前記混合物が植物ステロール類100部に対し卵黄を固形分換算で0.54部以上混合する請求項1記載のスポンジケーキの製造方法。
【請求項3】
植物ステロール類の配合量が、小麦粉に対して0.05〜10%である請求項1又は2記載のスポンジケーキの製造方法。

【公開番号】特開2007−267715(P2007−267715A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100869(P2006−100869)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】