説明

スポーツウェア用テキスタイルの持続的機能化のためのシリコーン配合物の使用

本発明の本質的な目的は、(i)テキスタイル材料並びに/又は該テキスタイル材料を構成する糸、ファイバー及び/若しくはフィラメントを、前記テキスタイル材料を構成する前記糸、ファイバー及び/又はフィラメントの周りで架橋するシリコーン配合物でコーティングして、それらの周りで架橋したシリコーンコーティングを形成させること;並びに(ii)前記テキスタイル材料に、このテキスタイル材料の固有の呼吸能力に実質的に影響を及ぼすことなく、撥水性及び不浸透性を持続的な態様で付与すること、を可能にする処理にある。この目的は、少なくとも1種の架橋性シリコーン配合物を、スポーツウェアの製造のために用いることができるテキスタイル材料のコーティング用のベースとして用いる本発明によって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、多くのテキスタイル材料、特にスポーツウェアの分野において用いられるもの)に持続的な(即ち持続性のある)機能を付与することができるコーティングを形成させるために用いることができる架橋性(即ち架橋可能な)液状シリコーン配合物の分野である。
【背景技術】
【0002】
テキスタイル材料には多くの処理が施され、これらの処理はテキスタイル材料に特に柔軟性、親水性、疎水性、疎油性のような追加の機能を付与する。これらの処理は、テキスタイル表面上にポリマー、主としてシリコーンタイプのポリマーを付着させることから成ることが多い。柔軟性のためには、これらは長鎖ポリジメチルシロキサンオイル(又はさらにはポリオルガノシロキサンガム)である。親水性のためには、これらはアミノ化シリコーンオイル又はポリエーテル基を有するシリコーンオイルである。疎油性を付与することが求められる場合には、有機ケイ素又は純粋有機フッ素化化合物が添加される。
【0003】
ある種の用途、例えば衣類の防水性の用途のために求められる1つの特徴は、その処理の恒久性である。数多くの従来の配合物では満足できる持続性を達成することができないことが実際に観察されている。
【0004】
スポーツウェア用に用いられるテキスタイルに関して要求される主な特徴は、次のようなものである:快適性、呼吸性、撥水性及びある程度の不浸透性。
【0005】
快適性は、主として用いるテキスタイルの性状及びタイプによって与えられる。さらに、これらのテキスタイルには、伸縮特性を付与することができる。
【0006】
呼吸性は、主としてテキスタイルの構造、特にその開放気孔率によって提供される。防水−通気性(防雨性及び呼吸性)膜を用いると、テキスタイルの固有の呼吸性がかなりの程度低下し、中ぐらい又は激しい動き〜非常に激しい動きの場合(これはスポーツをやる際の場合である)にはもはや熱及び水を放出させることができなくなるということに注目すべきである。
【0007】
撥水性は、テキスタイルの表面の特徴である。これは、中程度の散水(小雨を象徴する)下では水はテキスタイル上に留まらず、その結果としてまあまあ乾いたままとなるという事実に対応する。
【0008】
液状水不浸透性は、水はテキスタイル表面の孔に侵入して通り抜けなければならないという意味で、むしろテキスタイルの「マスタイプの」特徴である。孔の数及び大きさ、並びに孔の表面の処理(織布又は編布の表面)を考慮すべきである。不浸透性は、水がテキスタイルを通り抜けるようにするために加えなければならない圧力によって測定される。通常は、臨界水圧が1mの水の圧力に等しくなった時に、「不浸透性である」と言われる。実際上は、かかる保護はその10%の状況(非常に激しい雨、濡れた表面との継続した接触等)だけでも有用である。約10cmの水圧が140km/時間の風によって加えられる圧力に等しいということを心に留めておくとよい。
【0009】
テキスタイル材料に前記の機能を全部付与することは、それ自体で技術上の偉業(とされるほど困難なこと)である。撥水性及び不浸透性を呼吸性と組み合わせ(て達成す)るのが特に困難であるのは、周知のことである。
【0010】
テキスタイル材料に持続的な機能を付与するのは、さらに技術的に困難なことである。定着性を改善するためには、支持体とテキスタイル表面上に付着させることが望まれる化合物との間の共有化学結合を提供するのが望ましいということが知られている(ドイツ国特許第2822393号明細書を参照されたい)。しかしながら、テキスタイル材料を製造するために用いられるポリマーの性状及び多様性から考えると、この選択は常に可能なわけではなく、可能な場合にも特定タイプのテキスタイル支持体材料にとって特有なものにとどまる。
【0011】
スポーツウェア用の上記の特性、特に非常に良好な呼吸性と強い撥水性及び水数十cmに相当する不浸透性との組合せを、持続的な態様で有するテキスタイルを得ることは、スポーツウェア市場にとって非常に魅力的なことであることがわかる。かかる衣類であって素早く乾燥させることができるものが得られれば、追加の利点があるだろう。また、このタイプの用途のためには、湿った状態で擦られる状況下(より特定的には洗浄の間)において特性を維持することが最も重要であるという事実も強調されるだろう。
【特許文献1】ドイツ国特許第2822393号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、テキスタイル材料に持続的な機能、特にスポーツウェアの分野に適した機能を付与する処理を提供することにある。
【0013】
本発明は特に、テキスタイル材料に非常に良好な呼吸性及び/又は強い撥水性及び/又は強い不浸透性(好ましくは少なくとも10cmの水、さらにより一層良好には数十cmの水に相当する不浸透性)を持続的な態様で付与するための処理を提供することを目的とする。
【0014】
より特定的には、本発明は、テキスタイル材料固有の呼吸特性を実質的に損なうことなく、テキスタイル材料に強い撥水性及び強い不浸透性(好ましくは少なくとも10cmの水、さらにより一層良好には数十cmの水に相当する不浸透性)を持続的な態様で付与するための処理を提供することを目的とする。
【0015】
本発明の別の目的は、テキスタイルに素早い乾燥能力及び/又は低い吸水性(水分取込み)を持続的な態様で追加的に付与するための処理を提供することにある。
【0016】
本発明の別の目的は、湿った状態で擦られる状況下(より特定的には洗浄の間)において持続するこのような特性をテキスタイルに付与するための処理を提供することにある。
【0017】
従って、本発明の別の目的は、持続的な防水−通気性の特性を有し、特に顕著な洗浄耐性及びより一般的には使用の制約に対する顕著な耐性を示すテキスタイル材料及びそれらを組み込んだ物品(例えば衣類)を製造するための方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これらの目的及びその他の目的は、本発明によって達成される。本発明は、テキスタイル材料(好ましくはスポーツウェアの製造用に予定されるもの)のベースコートとして少なくとも1種の架橋性液状シリコーン配合物を、以下の目的で用いることに関する。
・テキスタイル材料を構成する糸、ファイバー及び/又はフィラメントの周りで架橋することによってテキスタイル材料の保護のための広い被覆であって固定点を殆ど又は全く必要としないという事実によりその保護が該材料の性状にそれほど依存しないものを提供するため;
・化学的に架橋するシリコーン鞘を作って、テキスタイル材料の使用の際に遭遇する攻撃に対する優れた耐性を付与することによって、テキスタイル材料の持続的な保護を提供するため(「持続的な保護」という表現は、特に熱処理及び熱硬化処理、染色処理のようなテキスタイルの処置によって課される制約に対する保護、並びに特に着衣の際の摩擦や水性洗剤媒体中での洗浄、溶剤媒体中におけるドライクリーニングのようなテキスタイル材料(例えば衣類)が寿命を迎えるまでに受ける攻撃に対する保護を意味するために用いられる);
・疎水性機能を付与することによって、テキスタイル材料に呼吸性、撥水性及び不浸透性(好ましくは少なくとも10cmの水、さらにより一層良好には数十cmの水に相当する不浸透性)並びにさらに随意に有利な素早い乾燥能力を付与するため;
・配合物の成分の特別な性状故に、テキスタイル材料の製造及び/又は修復及び/又は手入れのためのプロセスにおける任意の時点で液状配合物又はその成分を付着させるための操作及びこれを架橋させるための操作を実施できるようにするため。
【0019】
本発明はまた、1つ又はそれより多くの疎水性官能基を含む架橋性液状シリコーン配合物を、次の目的で使用することにも関する:
(i)スポーツウェアの製造に用いることができるテキスタイル材料並びに/又は該テキスタイル材料を構成する糸、ファイバー及び/若しくはフィラメントをコーティングし、前記テキスタイル材料を構成する前記糸、ファイバー及び/又はフィラメントの周りで前記シリコーン配合物を架橋させて、架橋したシリコーン鞘を形成させるため、並びに
(ii)前記テキスタイル材料に(好ましくはこのテキスタイル材料の固有の呼吸能力に実質的に影響を及ぼすことなく)撥水性及び不浸透性を持続的な態様で付与するため。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
処理及び上記特性の持続性は、最も重要なことである。この持続性は、テキスタイル材料の洗浄を含む状況において評価することができる。本出願人が激しい洗浄条件において実施した試験は、シリコーン処理の顕著な有効性を特性の持続性との相関関係において示した。この持続性は、被処理テキスタイル材料を激しい洗浄操作、例えば例4に記載したもの(50℃において8時間の水による連続的な洗浄)に付す前及び後における結果を比較することによって判定することができる。なお、特性についての試験操作を行う前に前記材料を絞って乾燥させる。
【0021】
水滴形成(beading)効果(撥水特性)は、AATC試験法22−1996の「スプレー試験」法によって判定することができる。この方法は、実施例で説明するが、試験片の濡れた外観を目で見て評価することから成る。この試験は、テキスタイル物品の試験片に所定容量の水を散布し、次いで試験片の外観を目で見て評価し、随意に標準物と比較し、吸収された水の量の関数として0〜100%の評点を与えることから成る。試験片が完全に濡れている場合には0%、試験片が完全に乾いている場合には100%とする。また、吸収された水の量を測定するために試験片を計量することも可能である。本発明に従えば、水滴形成効果は、好ましくは少なくとも80%、より一層好ましくは少なくとも90%、良好には100%の評点(80〜100%の範囲)に相当する。水滴形成効果の持続性とは、好ましくは、洗浄処理の後にも評点が70〜100%、好ましくは80〜100%のままであることを意味する。
【0022】
液状水に対する不浸透性は、SCHMERBER試験(ISO試験法811−1981)によって判定することができ、これは、水柱によってテキスタイルに水圧を加え、水がテキスタイルを通り抜けるのに必要な最小高さを測定することから成る。本発明に従えば、目指される不浸透性は、この試験に従って好ましくは水柱高さが10cm又はそれを超えるもの、より一層好ましくは15cm又はそれを超えるもの、さらにより一層良好には20cm又はそれを超えるものである。この不浸透性の持続性とは、洗浄処理の後にも不浸透性が実質的に影響を受けず、水柱高さが10、15若しくは20cm又はそれを超えるままであることを意味する。
【0023】
撥水性及び不浸透性の特性の持続性の測定は、本発明に従うシリコーン処理の持続性を評価することを可能にする。テキスタイル、これを構成する糸、ファイバー又はフィラメントとシリコーン処理との組合せによって付与されるその他の特性も、この持続性から利益を得る。
【0024】
「固有の」呼吸性とは、処理なしでのテキスタイル材料の呼吸性を意味する。本発明は、固有の呼吸性を実質的に損なうことなく、上記の撥水性及び不浸透性の特性を有するテキスタイル材料を製造することを可能にする。「(固有の呼吸性を)実質的に(損なうことなく)」とは、被処理材料の呼吸性が固有の呼吸性の少なくとも90%を占めることを意味する。(ASTM法E96B−水蒸気の拡散)
【0025】
これもまた有利なことに、前記の処理は、被処理テキスタイルの水の吸収若しくは水分取込み(吸収水の重量)の抑制及び/又は被処理テキスタイルへの素早い乾燥能力の付与を持続的態様で可能にする。テキスタイル材料の水分吸収及びその乾燥速度は、動的濡らしの前後においてテキスタイル材料の試験片を計量することによって測定することができ、得られた値は乾燥試験片の重量と比較した重量百分率で表わされる。観察された水分吸収レベルが低ければ、「フリーズ作用」、即ち湿った衣類との接触の際の熱交換からもたらされる冷たい感じを抑制することができるということである。この特性は、次の態様で評価することができる。即ち、試験用の布帛の試験片を、前もって乾燥状態で計量してから、動的濡らし操作に付す(水を満たした瓶中に入れて、1時間激しく撹拌する;より正確な条件は例5に与える)。次いで試験片を計量し(濡らす前後の重量の比較が水分吸収の情報を与える)、温度23℃、相対湿度50%に状態調節された室内で秤の上で乾燥させ、重量変化からそれらの乾燥能力を評価することが可能になる。観察される値は、テキスタイル材料の性状に依存する。しかしながら、この処理は、被処理テキスタイル材料の試験片の重量が未処理の参照用試験片の重量より少なくとも50%、好ましくは少なくとも60又は70%少なくとどまるように水分吸収を抑制することを目指すものであると述べることができる。
【0026】
本発明に従う使用は、好ましくは、テキスタイル材料に、持続的な態様で呼吸性、撥水性及び不浸透性の3つの特性を、好ましくはさらに持続的な低い水分吸収能力(かくして水分が蒸発することによる熱の損失を抑制することによって着衣快適性を付与する)及び持続的な素早い乾燥と組み合わせて提供することを目指す。
【0027】
本明細書において、用語「テキスタイル材料」とは、一方でテキスタイル物品の製造に用いられる合成及び/又は天然材料の糸、ファイバー及び/又はフィラメントを、他方で前記の糸、ファイバー及び/又はフィラメントから作られたテキスタイル物品であって少なくとも1つのテキスタイル表面を含み且つ例えば織、不織及び/又は編物品から成る前記テキスタイル物品を示し、ここで、「作られたテキスタイル物品」は、布帛及び衣類の両方、例えばジャケット及びズボンを包含する。
【0028】
かくして、前記配合物を使用することにより、テキスタイル表面への官能性シロキサン網状構造の持続的な定着が達成され、こうして施された処理は上記の様々な有利な特性を首尾よく得ることを可能にする。また、場合によっては、こうして施された処理は、その後のテキスタイル材料の染色を何ら邪魔しないばかりでなく、洗浄に対する染色の堅牢度の改善効果を生み出すことも観察された。
【0029】
本発明の好ましい特徴に従えば、テキスタイル材料のベースコートとして用いられる架橋性液状シリコーン配合物は、以下のA〜Eを含む。
【0030】
A:M、D、T及びQタイプのものから選択される少なくとも2つの異なるシロキシ単位(これらの単位の内の少なくとも1つはT単位又はQ単位である)とOH及び/又はOR1(ここで、R1はC1〜C6、好ましくはC1〜C3の直鎖状又は分枝鎖状アルキル基である)タイプの少なくとも3つの加水分解/縮合し得る基とを1分子中に有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(POS)樹脂を含有する、フィルム形成性シリコーン網状構造を発生させるための系。
【0031】
B:前記テキスタイル材料の表面への前記網状構造の固定(定着)を促進するための、以下のものから成る系:
・B−1: 次の一般式の少なくとも1種の金属アルコキシド:
M[(OCH2CH2)aOR2]n (I)
{ここで、MはTi、Zr、Ge、Si、Mn及びAlより成る群から選択される金属であり;
nはMの原子価であり;
置換基R2は同一であっても異なっていてもよく、それぞれC1〜C12直鎖状又は分枝鎖状アルキル基を表わし;
aは0、1又は2を表わし;
記号aが0である場合にはアルキル基R2は2〜12個の炭素原子を有し、記号aが1又は2である場合にはアルキル基R2は1〜4個の炭素原子を有し;
金属Mにはさらに1種又はそれより多くのリガンド、例えばより特定的にはβ−ジケトン、β−ケトエステル及びマロン酸エステル(例えばアセチルアセトン)又はトリエタノールアミンによって得られるものが随意に結合していてもよい};
・B−2: 上記の式(I)において記号R2がaが0である場合の上記の意味を有するモノマー状アルコキシドの部分加水分解の結果として得られる少なくとも1種の金属ポリアルコキシド;
・B−1とB−2との組合せ物;或は
・B−3: B−1並びに/又はB−2と次のB−3/1並びに/又はB−3/2との組合せ物:
・・B−3/1: 1分子当たり少なくとも1個のC2〜C6アルケニル基を含有する少なくとも1種の随意にアルコキシル化されたオルガノシラン、
・・B−3/2: 少なくとも1個のエポキシ、アミノ、ウレイド、イソシアナト及び/若しくはイソシアヌレート基を含有する少なくとも1種の有機ケイ素化合物。
【0032】
C:以下のものから成る機能性添加剤:
・C−1: 少なくとも1種のシラン及び/又は少なくとも1種の本質的に線状のPOS及び/又は少なくとも1種のPOS樹脂(これらの有機ケイ素化合物はそれぞれ、A及び/若しくはBと反応することができる固定用(結合用)官能基(AF)又はA及び/若しくはBと反応することができる官能基をその場で発生させることができる固定用官能基(AF)並びに該AFと同一であっても異なっていてもよい疎水性官能基(HF)を1分子中に備えたものである);或は
・C−2: 少なくとも1つの直鎖状又は分枝鎖状の飽和又は不飽和炭化水素基を含み且つ随意にSi以外の1個又はそれより多くのヘテロ原子(例えば酸素、フッ素又は窒素原子)を有し、モノマー、オリゴマー(線状、環状若しくは分岐状)又はポリマー(線状、環状若しくは分岐状)構造の形で存在する少なくとも1種の炭化水素化合物(この炭化水素化合物は、A及び/若しくはBと反応することができる固定用官能基又はA及び/若しくはBと反応することができる官能基をその場で発生させることができる固定用官能基(AF)並びに該AFと同一であっても異なっていてもよい疎水性官能基(HF)を1分子中に備えたものである);或は
・C−1とC−2との混合物。
【0033】
D:随意としての以下のものから成る非反応性添加剤系:
(i)少なくとも1種の有機溶剤/希釈剤及び/若しくは少なくとも1種の非反応性有機ケイ素化合物;並びに/又は
(2i)水(水性分散体若しくはエマルションとして液状シリコーン配合物を用いる場合)。
【0034】
E:要求される場合に、特に本発明に従って処理されたテキスタイル材料が用いられる用途に応じて選択される、随意としての当業者に周知のD以外の少なくとも1種の補助剤。
【0035】
上記A〜Eの割合は、次の通りとする(これらの部は重量によって与えられる):
・成分A 100部当たりに
・成分B 0.5〜200部、好ましくは0.5〜100部、より一層好ましくは1〜70部、
・成分C 1〜1000部、好ましくは1〜300部、
・成分D 0〜10000部、好ましくは0〜5000部、及び
・成分E 0〜100部。
【0036】
別々に又は混合物として用いることができる成分Aは、慣用のフィルム形成性樹脂であり、その中では、以下のものを挙げることができる:
【0037】
A−1: 式(R3)3SiCl、(R3)2Si(Cl)2、R3Si(Cl)3及びSi(Cl)4のものより成る群から選択されるクロロシラン類の共加水分解及び共縮合によって調製される少なくとも1種の有機ケイ素樹脂。これらの樹脂は、よく知られており且つ商品として入手できる分枝鎖状オルガノポリシロキサンオリゴマー又はポリマーである。これらは、それらの構造中に、式(R3)3SiO0.5(単位M)、(R3)2SiO(単位D)、R3SiO1.5(単位T)及びSiO2(単位Q)のものから選択される少なくとも2つの異なるシロキシ単位を有し、これらの単位の内の少なくとも1つはT又はQ単位である。R3基は樹脂がケイ素原子1個当たりに約0.8〜1.8個のR3基を含むように分布される。さらに、これらの樹脂は、完全に縮合してはいないものであり、ケイ素原子1個当たりに約0.001〜1.5個のOH基及び/又はOR1アルコキシル基を依然として有する。
【0038】
3基は同一であっても異なっていてもよく、直鎖状若しくは分枝鎖状のC1〜C6アルキル基、C2〜C4アルケニル基、フェニル基又は3,3,3−トリフルオロプロピル基から選択される。R3アルキル基としては、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル及びn−ヘキシル基を挙げることができる。
【0039】
分枝鎖状オルガノポリシロキサンオリゴマー及びポリマーの例としては、MQ樹脂、MDQ樹脂、TD樹脂及びMDT樹脂を挙げることができ、M、D及び/又はT単位が前記OH及び/又はOR1基を有することができ、OH及び/又はOR1基の重量含有率は0.2〜10重量%の範囲である。
【0040】
A−2: 上に挙げた有機ケイ素樹脂A−1と慣用の有機ポリマー(例えば、オレイン酸、リノール酸若しくはリシノール酸のような脂肪酸によって又はひまし油若しくは獣脂のような脂肪酸と脂肪族ポリオールとのエステルによって変性された又は変性されていないポリエステル及びアルキド樹脂;脂肪酸によって変性された又は変性されていないエポキシド樹脂;フェノール、アクリル又はメラミン−ホルムアルデヒド樹脂;ポリアミド;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリ尿素;ポリウレタン;ポリエーテル;ポリカーボネート;或はポリフェノール)との共縮合によって調製される少なくとも1種の混合樹脂。
【0041】
好ましい成分Aの特定的な例としては、次のものの混合物A−3を挙げることができる:
・その構造中に式(R3)3SiO0.5(単位M)、(R3)2SiO(単位D)及びR3SiO1.5(単位T)のものから選択される少なくとも2つの異なるシロキシ単位を有し、これらの単位の内の少なくとも1つがT単位であり、M、D及び/又はT単位が前記OH及び/又はOR1基を有することができ、OH及び/又はOR1基の重量含有率が0.2〜10重量%の範囲である少なくとも1種のA−1タイプの樹脂(樹脂A−1/1)、並びに
・その構造中に式(R3)3SiO0.5(単位M)、(R3)2SiO(単位D)及びR3SiO1.5(単位T)及びSiO2(単位Q)のものから選択される少なくとも2つの異なるシロキシ単位を有し、これらの単位の内の少なくとも1つがQ単位であり、M、D及び/又はT単位が前記OH及び/又はOR1基を有することができ、OH及び/又はOR1基の重量含有率が0.2〜10重量%の範囲である少なくとも1種のA−1タイプの別の樹脂(樹脂A−1/2)。
【0042】
非常に好適な成分Aの特定的な例としては、次のものの混合物A−3を挙げることができる:
・OH基の重量含有率が0.2〜10重量%の範囲である少なくとも1種のヒドロキシル化MDT樹脂、及び
・OH基の重量含有率が0.2〜10重量%の範囲である少なくとも1種のヒドロキシル化MQ樹脂。
【0043】
混合物A−3において、各成分のそれぞれの割合は臨界的ではなく、広い範囲内で変えることができる。これらの混合物は、例えば、樹脂A−1/1を60〜90重量%、樹脂A−1/2を40〜10重量%含有する。
【0044】
成分B−1に関しては、式(I)の金属Mの有機誘導体中の記号R2の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル及びドデシル基を挙げることができる。
【0045】
好ましい成分B−1の特定的な例としては、チタン酸エチル、チタン酸プロピル、チタン酸イソプロピル、チタン酸ブチル、チタン酸2−エチルヘキシル、チタン酸オクチル、チタン酸デシル、チタン酸ドデシル、チタン酸β−メトキシエチル、チタン酸β−エトキシエチル、チタン酸β−プロポキシエチル、式Ti[(OCH2CH2)2OCH3]4のチタネートのようなチタン酸アルキル又はそれらの内の少なくとも2種の混合物;ジルコン酸プロピル、ジルコン酸ブチルのようなジルコン酸アルキル又はそれらの内の少なくとも2種の混合物;ケイ酸メチル、ケイ酸エチル、ケイ酸イソプロピル、ケイ酸n−プロピルのようなケイ酸アルキル又はそれらの内の少なくとも2種の混合物;及びこれらの物質の内の少なくとも2種の混合物を挙げることができる。
【0046】
モノマー状チタネート、ジルコネート及びシリケートの部分加水分解によって製造されるポリアルコキシドB−2の好ましいものの特定的な例としては、チタン酸イソプロピル、チタン酸ブチル又はチタン酸2−エチルヘキシルの部分加水分解によって製造されるポリチタネートB−2;ジルコン酸プロピル又はジルコン酸ブチルの部分加水分解によって製造されるポリジルコネートB−2;ケイ酸エチル又はケイ酸イソプロピルの部分加水分解によって製造されるポリシリケートB−2;及びこれらの物質の内の少なくとも2種の混合物を挙げることができる。
【0047】
好ましい成分B−3/1の特定的な例としては、次の一般式の物質から選択される随意にアルコキシル化されたオルガノシランを挙げることができる。
【化1】

(ここで、R4、R5及びR6は水素又は互いに同一の若しくは異なる炭化水素基であり、好ましくは水素、直鎖状若しくは分枝鎖状C1〜C4アルキル又は随意に少なくとも1つのC1〜C3アルキルで置換されていてもよいフェニルを表わし、
Uは直鎖状若しくは分枝鎖状C1〜C4アルキレン又は式−CO−O−アルキレン−の二価基(ここで、アルキレン基は上に与えた定義を有し、右側の自由原子価はWを介してSiに結合する)であり、
Wは原子価結合であり、
7及びR8は同一の又は異なる基であり、直鎖状又は分枝鎖状C1〜C4アルキルを表わし、
x'は0又は1であり、
xは0〜2、好ましくは0又は1、より一層好ましくは0である。)
【0048】
これは限定となるものではないが、ビニルトリメトキシシランやγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは、特に好適な化合物B−3/1と見なすことができる。
【0049】
好ましい成分B−3/2の特定的な例としては、トリス[(トリアルコキシシリル)アルキル]イソシアヌレート(ここで、アルキル基は1〜4個の炭素原子を有する)、及び下記のB−3/2−a又はB−3/2−bから選択される有機ケイ素化合物を挙げることができる。
・B−3/2−a:次の一般式に相当する物質:
【化2】

[ここで、R9は直鎖状又は分枝鎖状C1〜C4アルキル基であり、
10は直鎖状又は分枝鎖状アルキル基であり、
yは0、1、2又は3、好ましくは0又は1、より一層好ましくは0であり、
Xは次の意味:
【化3】

(ここで、E及びDは、直鎖状又は分枝鎖状C1〜C4アルキルから選択される同一の又は異なる基であり、
zは0又は1であり、
11、R12及びR13は水素又は直鎖状若しくは分枝鎖状C1〜C4アルキルを表わす同一の又は異なる基であり、水素であるのが特に好ましく、
11、R12及びR13はまた、それら及びこのエポキシを有する2個の炭素と共に5〜7員のアルキル環を形成することもできる)
を有する];
又は
・B−3/2−b:下記の単位を含むエポキシ官能性ポリジオルガノシロキサンから成る物質:
(i)次式の少なくとも1つのシロキシ単位:
【化4】

[ここで、Xは式(B−3/2−a)について上で定義した通りの基であり、
Gは触媒の活性に対して好ましくない影響を持たない一価の炭化水素基であり、1〜8個の炭素原子を有し且つ随意に少なくとも1個のハロゲン原子で置換されたアルキル基(有利にはメチル、エチル、プロピル及び3,3,3−トリフルオロプロピル基)並びにアリール基(有利にはキシリル及びトリル及びフェニル基)から選択されるのが好ましく、
pは1又は2であり、
qは0、1又は2であり、
p+qは1、2又は3である];
及び
(2i)随意としての次式の少なくとも1つのシロキシ単位:
【化5】

(ここで、Gは上記と同じ意味を持ち、
rは0〜3の範囲の値、例えば1〜3の範囲の値を有する)。
【0050】
化合物B−3/2は、トリス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート及びエポキシアルコキシモノシランB−3/2−aであるのが好ましい。
【0051】
かかる化合物B−3/2−aの例としては、
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO)
・3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン
を挙げることができる。
【0052】
本発明の実施のためには、成分Bとして次のチタネート、ジルコネート及びシリケートB−1を単独で又は互いの混合物として用いるのがより一層好ましい:チタン酸エチル、チタン酸プロピル、チタン酸イソプロピル、チタン酸ブチル(n−ブチル)、ジルコン酸プロピル、ジルコン酸ブチル、ケイ酸エチル、ケイ酸プロピル及びケイ酸イソプロピル。
【0053】
B−1とB−3/1との組合せ又はB−1とB−3/2との組合せを用いる場合、B−1とB−3/1又はB−3/2との合計に対するB−1の重量割合は、特に5〜100%、好ましくは8〜80%にする。
【0054】
定量的には、B−1とB−3/1とB−3/2との組合せを用いる場合、B−1、B−3/1及びB−3/2の間の重量割合は、これら3種の合計に対する重量百分率として表わして、次のようにする:
B−1が1重量%以上、好ましくは5〜25重量%の範囲、
B−3/1が10重量%以上、好ましくは15〜70重量%の範囲、
B−3/2が90重量%以下、好ましくは70〜15重量%の範囲
(B−1、B−3/1及びB−3/2のこれらの割合の合計が100重量%になるようにする)。
【0055】
成分Cは、これをシリコーン鞘にくっつけることができる官能基及び被処理テキスタイル材料に疎水性を付与するHF官能基を含有する。
【0056】
別々に又は混合物として用いることができるC−1成分は、シラン、本質的に線状のPOS及びPOS樹脂であって、それらの分子中にケイ素原子に結合した2つの官能基AF及びHFを有するものである。
【0057】
AF官能基は、より特定的には、OH及び/若しくはOR1に相当する縮合性/加水分解性官能基(縮合/加水分解し得る官能基)又はその場でOH及び/若しくはOR1基を発生することができる官能基である。
【0058】
HF官能基は、任意の既知の疎水性基又は既知の疎水性基の任意の組合せ物を含有することができる。好ましくは、この基は、アルキル基、シリコーン基、フッ素化基及びそれらの様々な組合せから選択される。この基は、さらに柔軟化特性を発揮することができる。
【0059】
好ましい具体例に従えば、この基は、M、D及び/又はT単位を含有するシロキサン連鎖、好ましくはA−1成分に関して上で定義したものである。
【0060】
別の具体例に従えば、この基は、C1〜C50、より特定的にはC1〜C30の直鎖状又は分枝鎖状アルキル連鎖である。
【0061】
さらに別の具体例に従えば、この基は、次の一般式のフッ素化基である。
−Z−(−RF)k
{ここで、Zは1〜30個の炭素原子を有する炭化水素性状の二価又は三価の結合用単位を表わし、これは、飽和又は不飽和の環状又は非環状脂肪族、芳香族又は混合脂肪族/芳香族基であることができ、1個以上の酸素化されたヘテロ原子を含むことができ、
kは1又は2であり、
Fは−Cs2s−CF3基(ここで、sは0と同じ若しくは0とは異なる)又はCs2sH基(ここで、sは1又はそれより大きい)を表わす}
【0062】
好ましい成分C−1の特定的な例としては、以下に列挙する有機ケイ素化合物を挙げることができる。
【0063】
(i) 次式の、鎖の各末端にヒドロキシル基を含む本質的に線状のジオルガノポリシロキサン。
【化6】

(ここで、置換基R18は同一であっても異なっていてもよく、それぞれC1〜C13の飽和又は不飽和の置換又は非置換脂肪族、環状脂肪族又は芳香族一価炭化水素質基を表わし、
jは式(III)のジオルガノポリシロキサンに25℃において50〜10000000mPa・sの範囲の動的粘度を付与するのに充分な値を有する)
{本発明の範囲内で、式(III)のヒドロキシル化POSとして、粘度の値及び/又はケイ素原子に結合した置換基の性状が互いに異なる数種のヒドロキシル化ポリマーから成る混合物を用いることもできるということを理解すべきであり、さらに、式(III)のPOSは式R18SiO3/2のT単位及び/又は式SiO2のQ単位を1%以下の割合(これらの百分率はケイ素原子100個当たりのT及び/又はQ単位の数を表わす)で随意に含有することができるということを理解すべきである。}
【0064】
(ii)樹脂A−1に関して上で定義した通りのシロキシ単位T及び随意としてのM及び/又は随意としてのDを構造中に含有するヒドロキシル化POS樹脂。
【0065】
(iii)特に
・HFで置換されたアルコキシシランSの加水分解{例えばHF置換トリアルコキシシランを用いることができ、これはT単位を含むヒドロキシル化樹脂(T(OH)樹脂とも称される)を得ることを可能にする};
・加水分解されたシランSのホモ縮合;及び
・HFから誘導された加水分解物のストリッピング(水蒸気と共に飛沫同伴):
によって得られたヒドロキシル化POS樹脂。
【0066】
(iv)上記の少なくとも2種の有機ケイ素化合物の混合物。
【0067】
非常に好適な成分C−1の特定的な例としては、OH基の重量含有率が0.2〜10重量%の範囲であるヒドロキシル化MDT樹脂(単独のもの又は式(III)のヒドロキシル化シリコーンオイルとの混合物として)を挙げることができる。
【0068】
成分C−1の使用割合に関しては、上で説明したように成分A100重量部当たりに1〜1000重量部の範囲内の成分C−1が用いられ、望まれるHFに依存する。例えば、HFが疎水性をもたらすものである場合には、一般的に2〜30重量部の成分C−1が用いられる。
【0069】
上に与えた定義からわかるように、成分AがT単位及び随意としてのM単位及び/又は随意としてのD単位を有するPOS樹脂である場合、この樹脂は、AとC−1との組合せに相当する合計割合に等しい充分な割合で用いられた場合には、機能性防水用添加剤C−1としての働きをすることもできる。
【0070】
別々に又は混合物として用いることができる成分C−2は、分子中に炭素原子に結合した2つの官能基AF及びHFを有する炭化水素化合物である。
【0071】
このAF官能基は、より正確には、OH及び/若しくはOR1に相当する縮合性/加水分解性官能基又はその場でOH及び/若しくはOR1基を発生することができる官能基である。
【0072】
好ましい成分C−2の特定的な例としては、次式のフッ素化アルコール、好ましくはペルフッ素化アルコールを挙げることができる:
19−OH (IV)
(ここで、R19は2〜20個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状脂肪族基を表わし、前記炭素原子は少なくとも1個のフッ素基で置換され且つ随意に少なくとも1個の水素原子で置換されている)。
【0073】
非常に好適な成分C−2の特定的な例としては、式RF−(CH2)m−OH(ここで、RFは上で定義した通りであり、mは0〜10の範囲の数である)のペルフッ素化アルコールを挙げることができる。
【0074】
成分C−2の使用割合に関しては、上で説明したように成分A100重量部当たりに1〜1000重量部の範囲内の成分C−2が用いられる。
【0075】
好ましい随意成分Dの特定的な例としては、水に加えて、以下に列挙する化合物を挙げることができる。
【0076】
◆以下のものより成る群から選択される慣用の有機溶剤(その内のいくつかは希釈剤としての働きをすることができる):
・ヘキサン、ヘプタン、ホワイトスピリット、オクタン又はドデカンのような5〜20個の炭素原子を有する脂肪族溶剤、及びシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン又はデカリンのような環状脂肪族溶剤;
・トリクロロエチレン、トリクロロエタン、ペルクロロエチレン、ペルクロロエタン又はジクロロメタンのような塩素化溶剤;
・トルエン又はキシレンのような芳香族溶剤;
・エタノール、イソプロパノール、ブタノール又はオクタノールのようなアルカノール類;
・アセトン、メチルエチルケトン又はメチルブチルケトンのような脂肪族ケトン類、及びシクロペンタノン又はシクロヘキサノンのような環状脂肪族ケトン類;
・酢酸エチル、酢酸ブチル又は酢酸ペンチルのような、非脂肪質カルボン酸とアルカノールとのエステル;
・C10〜C16、好ましくはC12〜C14飽和脂肪酸とアルカノールとから誘導される、ミリスチン酸エステル(C14)、ラウリン酸エステル(C12)及び混合物のようなエステル類;
・ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル又はジエチレングリコールモノブチルエーテルのようなエーテル類。
【0077】
◆次式の非反応性線状ジオルガノポリシロキサン:
【化7】

(ここで、置換基R21成分は同一であっても異なっていてもよく、式(III)の反応性ジオルガノポリシロキサンについて上で与えたものと同じ意味を有し、
j'は式(VI)のポリマーに25℃において10〜200000mPa・sの範囲の動的粘度を付与するのに充分な値を有する)。
【0078】
◆成分Aについて上で与えたものと同じ意味を有ししかしここではOH及び/又はOR1タイプの官能基を何ら持たないPOS樹脂。用いることができる樹脂の具体的な例としては、MQ、MDQ、TD及びMDT樹脂を挙げることができる。
【0079】
好ましい随意としての補助成分Eの特定的な例としては、以下に列挙する化合物を挙げることができる。
【0080】
◆一般的にスズ、チタン及びジルコニウムから選択される金属の化合物である重縮合触媒;かくして、ヨーロッパ特許公開第0367696号公報に記載されたもののような、スズのモノカルボキシレート及びジカルボキシレート、例えば2−エチルヘキサン酸スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、原子価IVの六配位スズキレート等を用いることができる。
【0081】
◆好適な充填剤。その中でも、特に次のものが挙げられる:
・亜鉛粉末、アルミニウム粉末又はマグネシウム粉末のような金属粉末;
・シリカ、粉砕石英、アルミナ、ジルコニウム、チタン、亜鉛若しくはマンガンの酸化物又は鉄、セリウム、ランタン、プラセオジム若しくはネオジムの酸化物のような酸化物;
・マイカ、タルク、バーミキュライト、カオリン、長石又はゼオライトのようなケイ酸塩;
・炭酸カルシウム、メタホウ酸バリウム、鉄、亜鉛若しくはカルシウムのピロリン酸塩、リン酸亜鉛又はカーボンブラック;
・フタロシアニン、酸化クロム、硫化カドミウム及びスルホセレン化カドミウムのような顔料;
・有機又はポリマー粒子(架橋したもの又はしていないもの)
【0082】
◆当業者に周知の殺真菌剤又は殺菌剤。
【0083】
◆当業者に周知のチキソトロープ剤。
【0084】
◆架橋性液状シリコーン配合物を水性分散体又はエマルションとして用いる場合の、ノニオン性、イオン性又は両性界面活性剤。
【0085】
充填剤は、疎水性を付与することができ、且つ撥水性及び不浸透性のさらなる改善に貢献することができる。
【0086】
本発明においてテキスタイルコーティングベースとして用いられる液状シリコーン配合物は、周囲温度において成分A、B、C、D(随意)及びE(随意)を任意の導入順序で単純に混合することによって調製される。使用量は上に示したようにはっきり規定される。
【0087】
これらの成分は任意の順序で添加することができるが、しかしながら、固体状物質が沈殿したりゲルが形成したりする危険性を回避するためには、成分Aを溶剤/希釈剤成分D中の溶液の形で又は成分Dが水を含有する場合には水性エマルション/分散体の形で添加するのが好ましい。
【0088】
随意としての充填剤Eを用いる場合、この随意の充填剤Eの導入並びにこれと成分A、B、C及び随意としてのDとの緊密混合は、テキスタイル配合物製造業者に採用されている慣用のプロセスによって実施される。例えばペブルミルやタービンミルをこの混合のために用いることができる。
【0089】
こうして調製されるテキスタイルコーティングベース配合物は、単純に空気中で所定時間(これは数十分〜数時間又は必要ならば数十時間の範囲であることができる)乾燥させることによって硬化するという利点を有する。この時間は、50℃〜180℃の範囲内の温度に加熱することによって、短縮することができる。
【0090】
こうして調製されたテキスタイルコーティングベースは、優れた貯蔵時安定性を有し、硬化後に非常に良好な物理的特徴を有する持続性コーティングが存在することを必要とするすべてのテキスタイル用途において用いることができる。
【0091】
1つの有利な特徴に従えば、テキスタイル用コーティングベースとして用いられる架橋性液状シリコーン配合物は濃厚な形で調製することができ(例えば成分A100重量部当たりに0〜100部の成分Dが用いられる)、次いで使用時に有機希釈剤、有機溶剤又は水で、溶剤、希釈剤又は水100重量部当たりに配合物1〜30重量部の割合で希釈することができる。
【0092】
第1の一般的な処理方法に従えば、本発明に従う使用は、糸、ファイバー及び/又はフィラメントから作られ、テキスタイル表面を少なくとも1つ含み且つ例えば織物品、不織物品及び/又は編物品から成るテキスタイル物品に対して、テキスタイル材料を製造するため(布帛について)及び/又は修繕するため及び/又は手入れするため(衣類について)のプロセスの任意の時点において、直接実施することができる。
【0093】
テキスタイル表面とは、例えば接着結合、フェルト化、織り(tissage)、編み(tressge)(ブレーディング)、フロック加工又は編成(ニッティング)(tricotage)のような任意のプロセスによって糸、ファイバー及び/又はフィラメントを組み立てることによって得られる表面を意味するものとする。
【0094】
これらのテキスタイル物品の製造に用いられる糸、ファイバー及び/又はフィラメントは、ポリアミド類、ポリオレフィン類、ポリ塩化ビニリデン類、ポリエステル類、ポリウレタン類、アクリロニトリル類、(メタ)アクリレート−ブタジエン−スチレンコポリマー、それらのコポリマー及びそれらのブレンドより成る群から選択される少なくとも1種の熱可塑性ポリマーから成る合成熱可塑性マトリックスを加工することによって得ることができる。前記熱可塑性マトリックスには、顔料、艶消剤、マット剤(matifiants)、触媒、熱及び/若しくは光安定剤、殺菌剤、殺真菌剤並びに/又は殺ダニ剤のような添加剤を含ませることができる。例えば、二酸化チタン粒子及び/又は硫化亜鉛粒子から選択されるマット剤であることができる。
【0095】
前記糸、ファイバー及び/又はフィラメントはまた、特に綿、亜麻又は羊毛のような天然材料から、当業者に周知の加工方法に従って得ることもできる。もちろん、合成材料と天然材料との混合物を用いることもできる。
【0096】
本発明に従う使用において、処理すべき物品に前記テキスタイルコーティングベースを塗布するためには、テキスタイル産業の慣用の技術、特に「パディング」と称される含浸技術を利用することによるものを用いることができる。
【0097】
有機希釈剤又は溶剤を含有する配合物でテキスタイル物品を処理する場合には、その後に例えばこの物品を熱処理に付して前記希釈剤又は溶剤を蒸気の形で追い払うことによって除去するのが望ましい。
【0098】
一般的に、テキスタイル物品上のテキスタイルベースコーティングの塗布量は、被処理テキスタイル物品の乾燥重量に対して0.1〜10重量%の範囲の量に相当する。
【0099】
第2の一般的処理方法に従えば、テキスタイル材料を製造するためのプロセスの任意の時点において糸、ファイバー及び/又はフィラメントをテキスタイルベースコーティングと接触させることもできる。
【0100】
糸とは、例えば連続マルチフィラメント物体、いくつかの糸を組み合わせることによって得られる連続糸、又は単独のタイプのファイバーから若しくはファイバーの混合物から得られた連続ファイバー紡績糸を意味するものとする。ファイバーとは、例えば短ファイバー若しくは長ファイバー、紡績によって若しくは不織物品の製造のために加工されることが予定されるファイバー、又は短ファイバーを形成させるために細断されることが予定されるロープを意味するものとする。
【0101】
糸、ファイバー及び/又はフィラメントを製造するための方法は一般的に、熱可塑性マトリックスをダイに通すことによって始まり、テキスタイル表面の製造工程の前で終わる。
【0102】
糸、ファイバー及び/又はフィラメントを製造するための方法は、より特定的には紡糸工程を含む。紡糸工程とは、糸、ファイバー及び/又はフィラメントを得ることから成る特定の操作を意味するものとする。紡糸工程は、熱可塑性マトリックスを1つ又はそれより多くのダイに通す際に始まり、得られた糸、ファイバー及び/又はフィラメントを(糸若しくはフィラメントについては)ボビン上又は(ファイバーについては)ポット中に移す(巻き上げとも称される)ことによって終わる。紡糸工程はまた、ダイに通す工程と巻取り工程との間に実施される工程群を含むこともできる。かかる工程群は例えば、サイジング、フィラメントの(1つ若しくはそれより多くの引張地点又は収束ガイドによる)再統合、延伸、フィラメントの再加熱、防縮仕上げ及び熱固定の工程であることができる。
【0103】
かくして、糸、ファイバー及び/又はフィラメント上への本発明に従うテキスタイルベースコーティングの付着は、例えば、糸、ファイバー及び/若しくはフィラメントの収束の後並びに/又は糸、ファイバー及び/若しくはフィラメントの延伸工程の際に実施することができる。この付着はまた、これら2つの工程の間に実施することもできる。本発明に従うテキスタイルベースコーティングは、サイジング工程の際に糸、ファイバー及び/又はフィラメント上に付着させるのが好ましい。
【0104】
本発明の別の好ましい主題に従えば、本発明に従う少なくとも1種のテキスタイルベースコーティングを含有させたサイジング用組成物を糸、ファイバー及び/又はフィラメント上に付着させる。
【0105】
本発明に従うテキスタイルベースコーティングはまた、糸、ファイバー及び/又はフィラメントの巻き取り(reprise)の時の処理工程の際に糸、ファイバー及び/又はフィラメント上に付着させることもできる。処理工程とは、糸、ファイバー及び/又はフィラメントを巻き取った後のテキスチャリング、延伸、延伸−テキスチャリング、サイジング、防縮仕上げ、熱固定、撚糸、固定、捲縮(frisage)、洗浄及び/又は染色工程のような処理工程を意味するものとする。より特定的には、本発明に従うテキスタイルベースコーティングは、糸、ファイバー及び/又はフィラメントの防縮仕上げ、撚糸、固定、捲縮、延伸及び/又はテキスチャリングより成る群から選択される操作の際に、糸、ファイバー及び/又はフィラメント上に付着させることができる。
【0106】
また、本発明に従う少なくとも1種のテキスタイルベースコーティングを含有させたサイジング用組成物も、特に糸、ファイバー及び/又はフィラメントの巻き取りの時の処理工程の際に、糸、ファイバー及び/又はフィラメント上に付着させることができる。
【0107】
また、本発明に従う少なくとも1種のテキスタイルベースコーティングを含有させた洗浄及び/又は染色用組成物中に前記ヤーン、ファイバー及び/又はフィラメントを入れることもできる。
【0108】
第3の一般的処理方法に従えば、本発明に従う使用は、次の2つの工程で実施することができる:
・最初の工程において、テキスタイル材料を製造するためのプロセスの任意の時点において糸、ファイバー及び/又はフィラメントをテキスタイルベースコーティングと接触させ、
・第2の工程において、被処理の糸、ファイバー及び/又はフィラメントから作られたテキスタイル物品を、テキスタイル材料を製造するため(布帛について)及び/又は修繕するため及び/又は手入れするため(衣類について)のプロセスの任意の時点において接触させる。
【0109】
テキスタイルベースコーティングによる処理は、部分的態様で又は完全態様で、一方で糸、ファイバー及び/又はフィラメントに対して実施することができ、次いで他方で被処理の糸、ファイバー及び/又はフィラメントから作られたテキスタイル物品に対して実施することができる。
【0110】
「部分的態様」という表現は、特に糸、ファイバー及び/又はフィラメントをテキスタイルベースコーティングの構成成分の一部で処理し、被処理の糸、ファイバー及び/又はフィラメントから作られたテキスタイル物品の処理の際に残りの部分を導入することから成る実施を定義するものとする。例えば、固定を促進するための系(成分B)は、糸、ファイバー及び/又はフィラメントの処理の時点で添加することができ、他方、網状構造を生じさせるための系(成分A)及び機能性添加剤(成分C)は物品の処理の時点で添加される。
【0111】
「完全態様」という表現は、一方で糸、ファイバー及び/又はフィラメントを、他方でこれらの糸、ファイバー及び/又はフィラメントから作られたテキスタイル物品を、それぞれの場合について、すべての構成成分を含有するテキスタイルベースコーティングでそれぞれ処理する実施を定義するものとする。ここで、前記構成成分は、糸、ファイバー及び/又はフィラメントの処理の時点と続いての前記物品の処理の時点とで必ずしも同じ割合で存在しなくてもよい。
【0112】
また、前記ヤーン、ファイバー及び/若しくはフィラメント並びに/又は前記テキスタイル物品上への前記テキスタイルベースコーティング(全部又は一部)の付着を1回又はそれより多く実施することもできる。
【実施例】
【0113】
以下、実施例によって本発明に従うテキスタイルコーティングベースとしての架橋性液状シリコーン配合物の使用を例示する。
【0114】
例1:持続性疎水性
【0115】
(1)本発明に従う架橋性液状シリコーン配合物(組成物C1):
これは以下の構成を有する(部は重量によって与えられる):
A:次のものの混合物:
・CH3SiO3/2単位62重量%、(CH3)2SiO2/2単位24重量%及び(CH3)3SiO1/2単位14重量%から成り且つOHを0.5重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:47部、並びに
・SiO4/2単位45重量%及び(CH3)3SiO1/2単位55重量%から成り且つOHを2重量%有するヒドロキシル化MQ樹脂:7部;
B:次のものの混合物:
・式Ti(OBu)4のチタン酸n−ブチル(Bu):2部、及び
・式Si(OEt)4のケイ酸エチル(Et):4部;
C:CH3SiO3/2単位62重量%、(CH3)2SiO2/2単位24重量%及び(CH3)3SiO1/2単位14重量%から成り且つOHを0.5重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:10部;
D:ホワイトスピリット:30部。
この組成物は、塗布する前に溶剤中に再希釈される。
【0116】
(2)比較用配合物(組成物C2):
組成物C1の性能を、防水特性が優れたことが知られている市販の製品である従来の組成物C2(Scotch Guard)の性能と比較する。これは、供給元が推奨するプロトコルに従ってスプレーすることによって塗布する。
【0117】
(3)恒久的防水性の試験:
用いた被処理テキスタイル物品は、インターロック編みタイプのポリアミド−6,6製のトリコット(編布)であり、78dtexのストランド68本及び78dtexのストランド23本のテキスチャーのポリアミド−6,6糸を用いてダブル針床丸編機によって製造されたものである。
【0118】
このテキスタイル物品を、ヘプタン中の組成物C1の5重量%溶液及び10重量%溶液を用いてパディングすることによって処理する。これを周囲温度(23℃)において12時間乾燥に付し、次いで随意に150℃において3分間熱処理する。
【0119】
水滴形成効果の測定は、「スプレー試験」の名前で知られている既知の標準化された撥水性試験(AATC試験法22−1996)によって実施する:
・この試験は、テキスタイル物品の試験片に所定容量の水を散布することから成る。次いで試験片の外観を目で見て評価し、標準物と比較する。保持された水の量の関数として、0〜100%の評点を与える。0はサンプルが全体的に湿っていること、100%はサンプルが完全に乾いていることを意味する。
・撥水効果の持続性性能のより一層定量的な尺度を得るためには、散水する前及び後に試験片を計量し、その差によってテキスタイル物品に保持される水の量を測定する。この量を次いで未洗浄テキスタイル試験片に最初に保持された水の量と関連づける。
【0120】
処理の持続性を試験するためには、GIROWASH試験機(通常は洗浄に対する色の安定性を研究するために用いられ、ISO規格105C06に記載されている)を用いた。このシステムは、次のことを可能にする機械装置を含む:水平軸上に置かれて少なくとも半分が所望の温度(この場合には50℃)に加熱された浴中に浸漬されたホイールが40回転/分で回転すること;このホイールにそれぞれが550mlの容量、75mmの直径、125mmの高さを有するステンレス鋼製の密閉容器群(これらの容器の底はシャフトの軸から45mmである)を取り付けること。これらの容器群は、回転軸に対して垂直になるように取り付けられる;これらの小さい容器中に水を存在させ、テキスタイル試験片を並べる。洗浄の際の乱流及び摩擦を増加させるために直径6mmの選別した鋼製ボールを添加する。所定の撹拌時間の後に、試験片を取り出し、乾燥させ(23℃の周囲温度において12時間)、上に記載した試験によって水滴形成効果を測定する。次いで同じ試験片をGIROWASH試験機中に戻して、実験を続ける。
【0121】
実験結果:
結果は、本発明に従う組成物C1で処理されたテキスタイル物品はその防水特性を長時間維持するのに対して、従来技術に従う組成物C2を用いた慣用の処理では洗浄操作の間にその性能が有意に低下することをはっきり示した。
【0122】
(x時間の洗浄後のテキスタイル試験片上に保持された量)/(洗浄前に保持された量)の比
【表1】

【0123】
スプレー試験において与えられた評点(%)
【表2】

【0124】
例2:持続性疎水性及び染色
【0125】
同じ組成物C1をここではヘプタン中で14重量%に希釈したものから出発する。
【0126】
用いたテキスタイルは、ピケ編みタイプのポリアミド−6,6製のトリコットであり、一方の切れ目を編んだ140dtexのストランド102本のポリアミド−6,6糸を用いてシングル針床丸編機によって製造されたものである。
【0127】
この例においては、染色に対する耐性の試験を実施する。処理プロトコルは次の通りである:含浸、脱水、周囲温度(23℃)における乾燥及び続いての150℃において10分間の熱処理。
【0128】
試験結果:
【0129】
組成物C1で処理されたテキスタイル物品の試験片を、Mathis Labomat実験室用染色機を用いて染色した。浴比は1/50とし、次の補助用物質を用いた:酢酸ナトリウム0.5g/リットル;Sandogene CN 1%、Sandogene NH 1%。染料のBleu Nylosan N5GLを1.2%の量で用いた。浴温度を1.5℃/分の速度で上昇させ、到達最高温度は98℃だった。全染色時間は45分間だった。
【0130】
浴から取り出された試験片は、完全に染色されていた。これはその撥水特性を概ね維持していた(スプレー試験におけるその評点は90%から80%に変化した)。
【0131】
この試験片を次いで洗濯機中で50℃において合計8時間の一連の洗浄サイクルに付す。この時間の終わりに、この試験片は撥水特性を維持し、スプレー試験における評点は80%だった。
【0132】
例3:持続性疎水性:工業用機械における洗浄に対する性能
【0133】
(1)本発明に従う架橋性液状シリコーン配合物(組成物C3):
これは以下の構成を有する(部は重量によって与えられる):
A:次のものの混合物:
・CH3SiO3/2単位62重量%、(CH3)2SiO2/2単位24重量%及び(CH3)3SiO1/2単位14重量%から成り且つOHを0.5重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:47部、並びに
・SiO4/2単位45重量%及び(CH3)3SiO1/2単位55重量%から成り且つOHを2重量%有するヒドロキシル化MQ樹脂:7部;
B:次のものの混合物:
・トリス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート:7部
・式Zr(OPr)4のジルコン酸n−プロピル(Pr):20部
・式Ti(OBu)4のチタン酸n−ブチル(Bu):2部、及び
・式Si(OEt)4のケイ酸エチル(Et):4部;
C−1:次のものの混合物:
・CH3SiO3/2単位62重量%、(CH3)2SiO2/2単位24重量%及び(CH3)3SiO1/2単位14重量%から成り且つOHを0.5重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:10部、並びに
・(CH3)2SiO2/2単位100重量%から成り且つOHを約0.01重量%有する粘度4000000mPa・sのヒドロキシル化線状シリコーンオイル:20部;
D:ホワイトスピリット:883部。
【0134】
(2)本発明に従う架橋性液状シリコーン配合物(組成物C4):
これは以下の構成を有する(部は重量によって与えられる):
A:次のものの混合物:
・CH3SiO3/2単位62重量%、(CH3)2SiO2/2単位24重量%及び(CH3)3SiO1/2単位14重量%から成り且つOHを0.5重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:95部、並びに
・SiO4/2単位45重量%及び(CH3)3SiO1/2単位55重量%から成り且つOHを2重量%有するヒドロキシル化MQ樹脂:14部;
B:次のものの混合物:
・トリス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート:11部
・式Zr(OPr)4のジルコン酸n−プロピル(Pr):41部
・式Ti(OBu)4のチタン酸n−ブチル(Bu):4部、及び
・式Si(OEt)4のケイ酸エチル(Et):8部;
C−1:次のものの混合物:
・CH3SiO3/2単位62重量%、(CH3)2SiO2/2単位24重量%及び(CH3)3SiO1/2単位14重量%から成り且つOHを0.5重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:20部、並びに
・(CH3)2SiO2/2単位100重量%から成り且つOHを約0.01重量%有する粘度4000000mPa・sのヒドロキシル化線状シリコーンオイル:80部;
D:ホワイトスピリット:727部。
【0135】
(3)本発明に従う架橋性液状シリコーン配合物(組成物C5):
これは以下の構成を有する(部は重量によって与えられる):
A:次のものの混合物:
・CH3SiO3/2単位62重量%、(CH3)2SiO2/2単位24重量%及び(CH3)3SiO1/2単位14重量%から成り且つOHを0.5重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:40部、並びに
・SiO4/2単位45重量%及び(CH3)3SiO1/2単位55重量%から成り且つOHを2重量%有するヒドロキシル化MQ樹脂:6部;
B:次のものの混合物:
・(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン:8部
・式Zr(OPr)4のジルコン酸n−プロピル(Pr):18部
・式Ti(OBu)4のチタン酸n−ブチル(Bu):2部、及び
・式Si(OEt)4のケイ酸エチル(Et):3部;
C−1:次のものの混合物:
・CH3SiO3/2単位62重量%、(CH3)2SiO2/2単位24重量%及び(CH3)3SiO1/2単位14重量%から成り且つOHを0.5重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:10部、並びに
・(CH3)2SiO2/2単位100重量%から成り且つOHを約0.01重量%有する粘度4000000mPa・sのヒドロキシル化線状シリコーンオイル:18部;
D:ホワイトスピリット:895部。
【0136】
(4)本発明に従う架橋性液状シリコーン配合物(組成物C6):
これは以下の構成を有する(部は重量によって与えられる):
A:CH3SiO3/2単位23重量%、(CH3)2SiO2/2単位75重量%及び(CH3)3SiO1/2単位2重量%から成り且つOHを0.8重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:58部;
B:次のものの混合物:
・(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン:8部、及び
・式Zr(OPr)4のジルコン酸n−プロピル(Pr):18部;
C−1:次のものの混合物:
・CH3SiO3/2単位23重量%、(CH3)2SiO2/2単位75重量%及び(CH3)3SiO1/2単位2重量%から成り且つOHを0.8重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:20部、並びに
・(CH3)2SiO2/2単位100重量%から成り且つOHを約0.01重量%有する粘度4000000mPa・sのヒドロキシル化線状シリコーンオイル:25部;
D:ホワイトスピリット:871部。
【0137】
(5)本発明に従う架橋性液状シリコーン配合物(組成物C7):
これは以下の構成を有する(部は重量によって与えられる):
A:CH3SiO3/2単位62重量%、(CH3)2SiO2/2単位24重量%及び(CH3)3SiO1/2単位14重量%から成り且つOHを0.5重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:100部;
B:次のものの混合物:
・トリス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート:13部、及び
・式Zr(OPr)4のジルコン酸n−プロピル(Pr):41部;
C−1:次のものの混合物:
・CH3SiO3/2単位62重量%、(CH3)2SiO2/2単位24重量%及び(CH3)3SiO1/2単位14重量%から成り且つOHを0.5重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:41部、並びに
・(CH3)2SiO2/2単位100重量%から成り且つOHを約0.01重量%有する粘度4000000mPa・sのヒドロキシル化線状シリコーンオイル:62部;
D:ホワイトスピリット:743部。
【0138】
(6)比較用配合物(組成物C8):
組成物C3〜C7の性能を、防水特性が優れていることで知られている従来の組成物C8(「Scotch Guard」又は「Teflon」の商品名で知られていて販売されている処理)のものと比較する。これは、供給元が推奨する方法に従って溶剤を用いて塗布する。
【0139】
(7)恒久的防水性の試験:
用いた被処理テキスタイル物品は、ポリアミド−6,6(80重量%)及びELASTHANNE(20%)をベースとする二方向伸縮性布帛である。このテキスタイル表面は、ELASTHANNEの44dtexの1本のストランド及びポリアミド−6,6の44dtexの34本のストランドを編んだ糸から、交差状に(経糸緯糸として)織られている。得られたテキスタイル表面の伸縮性はそれぞれの方向において100%であり、比重量(単位表面積当たりの重量)は約130g/m2である。
【0140】
このテキスタイル物品を、組成物C3〜C8を用いてパディングすることによって処理する。これを150℃において2分間の熱処理に付し、次いで試験の前に周囲温度において8時間貯蔵する。
【0141】
・水滴形成効果の測定は、撥水性試験「スプレー試験」(AATC試験法22−1996)によって行う。
・処理の持続性を試験するためには、WASHCATORタイプの工業用洗濯機(Electrolux)を用い、8時間、16時間及び24時間の様々な時間、50℃における連続洗浄を行った。
【0142】
試験結果:
試験結果は、本発明に従うC3〜C7組成物で処理されたテキスタイル物品は、長時間にわたり、そして湿った媒体中で苛酷な摩擦条件下で50℃において洗浄した際に、その防水特性を維持するのに対して、従来技術に従う組成物C8による慣用の処理では、その性能が洗浄の最初の数時間で急落するということを、はっきり示した。
【0143】
スプレー試験においてx時間の洗浄後に与えられた評点(%)
【表3】

【0144】
x時間の洗浄後にテキスタイル試験片上に保持された水の量(g)
【表4】

【0145】
例4:
【0146】
(1)本発明に従う架橋性液状シリコーン配合物(組成物A):
これは以下の構成を有する(百分率は組成物全体の重量に対して与えられる):
A:次のものの混合物:
・CH3SiO3/2単位23重量%、(CH3)2SiO2/2単位75重量%及び(CH3)3SiO1/2単位2重量%から成り且つOHを0.8重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:1.63%、
・CH3SiO3/2単位62重量%、(CH3)2SiO2/2単位24重量%及び(CH3)3SiO1/2単位14重量%から成り且つOHを0.5重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:4.66%、並びに
・SiO4/2単位45重量%及び(CH3)3SiO1/2単位55重量%から成り且つOHを2重量%有するヒドロキシル化MQ樹脂:0.57%;
B:次のものの混合物:
・式Ti(OBu)4のチタン酸n−ブチル(Bu):0.16%、
・式Zr(OPr)4のジルコン酸プロピル:1.6%、
・式Si(OEt)4のケイ酸エチル(Et):0.33%、及び
・アミノプロピルトリエトキシシラン:0.8%;
C:(CH3)2SiO2/2単位100重量%から成り且つOHを約0.01重量%有する粘度4000000mPa・sのヒドロキシル化線状シリコーンゴム:2.48%、並びに
D:ホワイトスピリット:100%になる残りの量。
【0147】
(2)本発明に従う架橋性液状シリコーン配合物(組成物B):
これは以下の構成を有する(百分率は組成物全体の重量に対して与えられる):
A:次のものの混合物:
・CH3SiO3/2単位23重量%、(CH3)2SiO2/2単位75重量%及び(CH3)3SiO1/2単位2重量%から成り且つOHを0.8重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:4.56%、
・CH3SiO3/2単位62重量%、(CH3)2SiO2/2単位24重量%及び(CH3)3SiO1/2単位14重量%から成り且つOHを0.5重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:2.70%、並びに
・SiO4/2単位45重量%及び(CH3)3SiO1/2単位55重量%から成り且つOHを2重量%有するヒドロキシル化MQ樹脂:0.33%;
B:次のものの混合物:
・式Ti(OBu)4のチタン酸n−ブチル(Bu):0.09%、
・式Zr(OPr)4のジルコン酸プロピル:1.8%、
・式Si(OEt)4のケイ酸エチル(Et):0.20%、及び
・アミノプロピルトリエトキシシラン:0.86%;
C:(CH3)2SiO2/2単位100重量%から成り且つOHを約0.01重量%有する粘度4000000mPa・sのヒドロキシル化線状シリコーンゴム:2.94%、並びに
D:ホワイトスピリット:100%になる残りの量。
【0148】
(3)本発明に従う架橋性液状シリコーン配合物(組成物C):
これは以下の構成を有する(百分率は組成物全体の重量に対して与えられる):
A:次のものの混合物:
・CH3SiO3/2単位23重量%、(CH3)2SiO2/2単位75重量%及び(CH3)3SiO1/2単位2重量%から成り且つOHを0.8重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:4.0%、
・CH3SiO3/2単位62重量%、(CH3)2SiO2/2単位24重量%及び(CH3)3SiO1/2単位14重量%から成り且つOHを0.5重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:2.24%、並びに
・SiO4/2単位45重量%及び(CH3)3SiO1/2単位55重量%から成り且つOHを2重量%有するヒドロキシル化MQ樹脂:0.28%;
B:次のものの混合物:
・式Ti(OBu)4のチタン酸n−ブチル(Bu):0.08%、
・式Zr(OPr)4のジルコン酸プロピル:1.6%、
・式Si(OEt)4のケイ酸エチル(Et):0.16%、及び
・アミノプロピルトリエトキシシラン:0.8%;
C:(CH3)2SiO2/2単位100重量%から成り且つOHを約0.01重量%有する粘度4000000mPa・sのヒドロキシル化線状シリコーンゴム:3.35%、並びに
D:ホワイトスピリット:100%になる残りの量。
【0149】
(4)比較用配合物(組成物D):
本発明に従う組成物A、B及びCについての結果を、防水特性が優れたことが知られている市販の製品である従来の従来の組成物D(「Scotch Guard」)についての結果と比較する。これは酢酸ブチル中のフッ素化アクリレートである。
【0150】
(5)比較用試験片(試験片E):
また、本発明に従う組成物A、B及びCについての結果を、呼吸性及び不浸透性の特性が優れていることが知られている市販のテキスタイルについての結果とも比較する。このテキスタイルは、NEXTEC社よりEPICの名称で販売されているものであり、ポリアミド−6,6及びELASTHANNEから成り、緯糸方向に約50%の伸縮性を示す。その比重量は約160g/m2である。この伸縮性布帛は、米国特許第5876792号明細書に記載されたようなシリコーン処理による処理に付されたものである。
【0151】
(6)組成物A、B、C及びDによるテキスタイルの処理:
このテキスタイルは、ポリアミド−6,6及びELASTHANNE(80/20%)の織られたテキスタイルである。これは、44dtexのELASTHANNEがポリアミド−6,6の44dtexの34本のストランドと共に編まれたものをベースとする交差状の伸縮性糸から成る。前記テキスタイルの表面は、大きい二方向伸縮性(両方向において100%の伸び)、及び130g/m2の比重量を有する。
【0152】
このテキスタイルを、前記組成物を用いてパディングすることによって処理する。これを周囲温度において数分間乾燥させ、次いで180℃に2分間加熱する。
【0153】
(7)水滴形成効果の測定:
水滴形成効果の測定は、上記の撥水性試験「スプレー試験」(AATC試験法22−1996)によって行う。
【0154】
水滴形成効果の持続性のより一層定量的な尺度を得るためには、サンプルを下記の方法に従って洗浄し、散水の前後に計量し、その差によってテキスタイルに保持された水の量を測定する。この量を次いで最初に未洗浄テキスタイルに保持される水の量と関連づける。
【0155】
(8)液状水に対する不浸透性の測定:
不浸透性の測定は、「SCHMERBER試験」の名前の不浸透性試験(ISO試験法811−1981)によって行う。
【0156】
この試験は、水柱によってテキスタイルに水圧を加え、水がテキスタイルを通り抜けるようになるのに必要な最小高さを測定することから成る。
【0157】
また、処理の持続性を試験するために、下記の方法に従って洗浄したテキスタイルも試験し、得られた結果を洗浄前のテキスタイルのものと比較する。
【0158】
(9)洗浄方法:
処理の持続性を試験するために、工業用洗濯機(WASCATOR−Electrolux)を用いる。観察されたサイクルは次の通りである:飲料水中で50℃において連続的に8時間洗浄。かかる処理は、現実の状況におけるテキスタイルの寿命を象徴するものと考えられる(家庭用の機械における洗浄サイクルにおいては、洗浄時間は最大でも15分程度ということがしばしばあり、もたらされる摩擦の度合いは工業用洗濯機におけるものよりかなり低い)。
【0159】
(10)試験結果:
結果は、本発明に従う組成物A、B及びCで処理されたテキスタイルはそれらの撥水性及び不浸透性の特性を長時間にわたり維持するのに対して、市場に出回っているフッ素化物質又はシリコーンをベースとする従来の処理は洗浄の間に有意に性能が劣化するということを、はっきり示した。
【0160】
本発明に従って処理されたテキスタイルの場合にはSCHMERBERについて特に優れた結果が得られ、これは、本発明に従って処理されたテキスタイルが長時間の使用の後にも非常に満足できる程度の不浸透性を保つことができるということを示す。
【0161】
【表5】

【0162】
例5:素早い乾燥−家庭用洗濯機における洗浄についての結果
【0163】
(1)本発明に従う架橋性液状シリコーン配合物 (組成物F):
これは以下の構成を有する(部は重量で与えられる):
A:次のものの混合物:
・CH3SiO3/2単位62重量%、(CH3)2SiO2/2単位24重量%及び(CH3)3SiO1/2単位14重量%から成り且つOHを0.5重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:47部、並びに
・SiO4/2単位45重量%及び(CH3)3SiO1/2単位55重量%から成り且つOHを2重量%有するヒドロキシル化MQ樹脂:7部;
B:次のものの混合物:
・トリス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート:7部
・式Zr(OPr)4のジルコン酸n−プロピル(Pr):20部
・式Ti(OBu)4のチタン酸n−ブチル(Bu):2部、及び
・式Si(OEt)4のケイ酸エチル(Et):4部;
C:次のものの混合物:
・CH3SiO3/2単位62重量%、(CH3)2SiO2/2単位24重量%及び(CH3)3SiO1/2単位14重量%から成り且つOHを0.5重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:10部、並びに
・(CH3)2SiO2/2単位100重量%から成り且つOHを約0.01重量%有するヒドロキシル化シリコーンガム(単位D):20部;
D:ホワイトスピリット:883部。
【0164】
(2)迅速乾燥試験
用いた被処理物品は、以下のものである:
・ポリアミド−6,6(80重量%)及びELASTHANNE(20%)をベースとする二方向伸縮性布帛。このテキスタイル表面は、ELASTHANNEの44dtexの1本のストランド及びポリアミド−6,6の44dtexの34本のストランドを編んだ糸から、交差状に(経糸緯糸として)織られている。得られたテキスタイル表面の伸縮性はそれぞれの方向において100%であり、比重量は約130g/m2である。
・ポリアミド−6.6(100重量%)をベースとするトリコット。これは、78dtexの68本のストランドのテキスチャーのポリアミド−6,6糸を用いてダブル針床丸編機によって実施されるインターロック編みによって得られる。その伸縮性は両方向において約100%であり、その比重量は約130g/m2である。
【0165】
これらのテキスタイル物品を、組成物Fを用いてパディングすることによって処理する。これらを150℃において3分間熱処理し、その後にそれらを周囲温度及び湿度(23℃、相対湿度50%)において8時間貯蔵後に試験する。
【0166】
乾燥速度の改善を明らかにするために、被処理テキスタイルを対応する未処理テキスタイルと体系的に比較する。直径8cmの円形試験片を作る。濡らし操作は、最初に状態調節された(23℃、相対湿度50%)室内で8時間平衡状態に保った後に計量し、次いでOSCILL 12シェーカー実験室用かき混ぜ機(Prolabo社)によって動的濡らし工程を実施することから成る。蒸留水125ミリリットルを含有させた250ミリリットルの瓶中に試験片を並べる、これを前記かき混ぜ機に取り付ける。次いでこのかき混ぜ機に対して5.5/10の頻度で1時間のかき混ぜ時間を設定して、テキスタイルを濡らす動的条件(圧力変動等)をシミュレートすることを可能にする。
【0167】
・水滴形成効果の測定は、「スプレー試験」という撥水性試験(AATC試験法22−1996)によって実施する。
【0168】
・液状水に対する不浸透性の測定は、「SCHMERBER試験」という不浸透性試験(ISO試験法811−1981)によって実施する。
【0169】
・水分吸収又は取込みは、動的濡らしの前後に試験片を計量することによって判定され、得られた値は乾燥試験片の重量と比較した重量百分率で表わされる。
【0170】
・乾燥の判定及び監視は、特殊装備のMettler秤(1分ごとに重量を自動的に記録)を用い、その上に円形の8cmの試験片を並べて(サンプルの一方の面を周囲空気にさらし、かくして衣類を着ている状態をシミュレートする)行う。前記の秤を、温度23℃、相対湿度50%に状態調節した室内に配置させる。
【0171】
・処理の持続性を試験するためには、NOVOTRONIC W 824(Miele)タイプの家庭用洗濯機を、50℃において8時間の連続洗浄のために用いた。
【0172】
・試験結果:
結果は、本発明に従う組成物Fで処理されたテキスタイル物品は撥水性及びSCHMERBER 不浸透性に関する品質を50℃において8時間の洗浄(これは、湿った媒体中での非常に強い摩擦応力をシミュレートする条件に相当し、その時間の終わりにはほとんどの慣用の処理は完全に無効になる)の後にも維持することをはっきり示した。
【0173】
組成物Fで処理されたテキスタイル物品はさらに、50℃において8時間の洗濯機中における滞在の前及び後の両方において、対照例よりはるかに少ない水分吸収(上記の条件におけるもの)を示す。水分吸収度合いが低いことは、快適性の改善にとって必須である。何故ならば、ここに記載したものよりはるかに穏和な濡らし条件においては明らかに、布帛が吸収する水の量が多くなればなるほど、山岳スポーツをやっている人によく知られている「フリーズ作用」がより強くなるからである。
【0174】
さらに、本発明に従う組成物Fで処理した後に、2つのテキスタイルの表面{布帛(織布)及びトリコット(編布)}がはるかに素早い乾燥速度を示すことを観察することができた。この乾燥速度は、50℃において8時間洗浄したサンプルの場合にも早いままだった。
【0175】
【表6】

【0176】
例6:洗剤による洗浄及びドライクリーニング−持続性
【0177】
(1)本発明に従う架橋性液状シリコーン配合物:
これは以下の構成を有する(部は重量によって与えられる):
A:次のものの混合物:
・CH3SiO3/2単位62重量%、(CH3)2SiO2/2単位24重量%及び(CH3)3SiO1/2単位14重量%から成り且つOHを0.5重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:47部、並びに
・SiO4/2単位45重量%及び(CH3)3SiO1/2単位55重量%から成り且つOHを2重量%有するヒドロキシル化MQ樹脂:7部;
B:次のものの混合物:
・トリス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート:7部
・式Zr(OPr)4のジルコン酸n−プロピル(Pr):20部
・式Ti(OBu)4のチタン酸n−ブチル(Bu):2部、及び
・式Si(OEt)4のケイ酸エチル(Et):4部;
C:次のものの混合物:
・CH3SiO3/2単位62重量%、(CH3)2SiO2/2単位24重量%及び(CH3)3SiO1/2単位14重量%から成り且つOHを0.5重量%有するヒドロキシル化MDT樹脂:10部、並びに
・(CH3)2SiO2/2単位100重量%から成り且つOHを約0.01重量%有するヒドロキシル化シリコーンガム(単位D):20部。
【0178】
(2)家庭用洗濯機中での洗剤による洗浄:
洗濯機による洗浄を繰り返し、それぞれのサイクルに対してスプレー試験(AATC規格22−1996)の結果を調べた。用いた家庭用洗濯機は、CANDY AQUAMATIC 3という洗濯機(40℃、脱水サイクルあり)である。洗剤使用量は4g/リットルであり、約35g/サイクルに相当するものだった。観察された乾燥条件は、23℃、相対湿度50%において3時間だった。
【0179】
(3)ドライクリーニングテスト:
ドライクリーニングを繰り返し、それぞれのサイクルに対してスプレー試験(AATC規格22−1996)の結果を調べた。同じ特徴が測定された。この試験は、パークロロエチレンで働くBOWE P 250という機械による工業用ドライクリーナーを用いて実施した。この試験に付したテキスタイル表面は、両方向に約60%の伸び率を有する120g/m2の二方向伸縮性布帛だった。
【0180】
(4)試験結果:
下記の2つの表の結果は、施された処理が洗剤を用いた家庭での一連の洗浄や一連のドライクリーニングの後にも維持されることをはっきり示している。
【表7】

【0181】
【表8】

【0182】
添付された特許請求の範囲に規定される発明は上記の説明に与えた特定具体例に限定されず、本発明の範囲や技術思想を越えない別態様を包含するということが、強調されなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)テキスタイル材料並びに/又は該テキスタイル材料を構成する糸、ファイバー及び/若しくはフィラメントを、前記テキスタイル材料を構成する前記糸、ファイバー及び/又はフィラメントの周りでシリコーン配合物が架橋して該糸、ファイバー及び/又はフィラメントを覆う架橋したシリコーン鞘を形成する態様でコーティングするため、並びに
(ii)前記テキスタイル材料に、このテキスタイル材料の固有の呼吸能力に実質的に影響を及ぼすことなく、撥水性及び不浸透性を持続的な態様で付与するため
の、次のA、B、C及びD:
A:M、D、T及びQタイプのものから選択される少なくとも2つの異なるシロキシ単位(これらの単位の内の少なくとも1つはT単位又はQ単位である)とOH及び/又はOR1(ここで、R1はC1〜C6の直鎖状又は分枝鎖状アルキル基である)タイプの少なくとも3つの加水分解/縮合し得る基とを1分子中に有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(POS)樹脂を含有する、フィルム形成性シリコーン網状構造を発生させるための系;
B:前記テキスタイル材料の表面への前記網状構造の固定を促進するための、以下のものから成る系:
・B−1: 次の一般式の少なくとも1種の金属アルコキシド:
M[(OCH2CH2)aOR2]n (I)
(ここで、MはTi、Zr、Ge、Si、Mn及びAlより成る群から選択される金属であり;
nはMの原子価であり;
置換基R2は同一であっても異なっていてもよく、それぞれC1〜C12直鎖状又は分枝鎖状アルキル基を表わし;
aは0、1又は2を表わし;
記号aが0である場合にはアルキル基R2は2〜12個の炭素原子を有し、記号aが1又は2である場合にはアルキル基R2は1〜4個の炭素原子を有し;
金属Mにはさらにリガンドが随意に結合していてもよい);
・B−2: 上記の式(I)において記号R2がaが0である場合の上記の意味を有するモノマー状アルコキシドの部分加水分解の結果として得られる少なくとも1種の金属ポリアルコキシド;
・B−1とB−2との組合せ物;或は
・B−3: B−1並びに/又はB−2と次のB−3/1並びに/又はB−3/2との組合せ物:
・・B−3/1: 1分子当たり少なくとも1個のC2〜C6アルケニル基を含有する少なくとも1種の随意にアルコキシル化されたオルガノシラン、
・・B−3/2: 少なくとも1個のエポキシ、アミノ、ウレイド、イソシアナト及び/若しくはイソシアヌレート基を含有する少なくとも1種の有機ケイ素化合物;
C:以下のものから成る機能性添加剤:
・C−1: 1分子中に
・・A及び/若しくはBと反応することができる固定用(結合用)官能基(AF)又はA及び/若しくはBと反応することができる官能基をその場で発生させることができる固定用官能基(AF);並びに
・・該AFと同一であっても異なっていてもよい疎水性官能基(HF):
を備えた少なくとも1種のシラン並びに/又は少なくとも1種の本質的に線状のPOS並びに/又は少なくとも1種のPOS樹脂;或は
・C−2: 少なくとも1つの直鎖状又は分枝鎖状の飽和又は不飽和炭化水素基を含有し且つSi以外の1個又はそれより多くのヘテロ原子を随意に有し且つ1分子中に
・・A及び/若しくはBと反応することができる固定用(結合用)官能基(AF)又はA及び/若しくはBと反応することができる官能基をその場で発生させることができる固定用官能基(AF);並びに
・・該AFと同一であっても異なっていてもよい疎水性官能基(HF):
を備えた、モノマー、オリゴマー又はポリマー構造の形で存在する少なくとも1種の炭化水素化合物;或は
・C−1とC−2との混合物;
D:随意としての以下のものから成る非反応性添加剤系:
(i)少なくとも1種の有機溶剤及び/若しくは少なくとも1種の非反応性有機ケイ素化合物;並びに/又は
(2i)水;
を、
・成分A 100重量部当たりに
・成分B 0.5〜200重量部、
・成分C 1〜1000重量部、及び
・成分D 0〜10000重量部
の割合で含む架橋性液状シリコーン配合物の使用。
【請求項2】
AATC試験法22−1996のスプレー試験法に従って80〜100%の範囲の水滴形成効果をテキスタイル材料に付与するための、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
AATC試験法22−1996のスプレー試験法に従って80〜100%の範囲の水滴形成効果をテキスタイル材料に付与し、この水滴形成効果が洗濯機を用いて50℃の水で8時間連続的に洗浄した後に70〜100%の範囲の値に保たれるための、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
ISO試験法811−1981のSCHMERBER試験によって測定して水10cm又はそれを超える、好ましくは15cm又はそれを超える、より一層好ましくは20cm又はそれを超える水柱に相当する液状水に対する不浸透性をテキスタイル材料に付与するための、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項5】
ISO試験法811−1981のSCHMERBER試験によって測定して水10cm又はそれを超える、好ましくは15cm又はそれを超える、より一層好ましくは20cm又はそれを超える水柱に相当する液状水に対する不浸透性をテキスタイル材料に付与し、この不浸透性が洗濯機を用いて50℃の水で8時間連続的に洗浄した後に水10cm又はそれを超える値、好ましくは15cm又はそれを超える値、より一層好ましくは20cm又はそれを超える値に保たれるための、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項6】
追加的に低減された水吸収特性をテキスタイル材料に付与するための、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
追加的に素早い乾燥性をテキスタイル材料に付与するための、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
前記テキスタイル材料がスポーツウェアの製造に用いることができるものである、請求項1〜7のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
成分Aの基R1がC1〜C3直鎖状又は分枝鎖状アルキル基である、請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
成分Aとして次のもの
・その構造中に式(R3)3SiO0.5(単位M)、(R3)2SiO(単位D)及びR3SiO1.5(単位T)のものから選択される少なくとも2つの異なるシロキシ単位を有し、これらの単位の内の少なくとも1つがT単位であり、M、D及び/又はT単位が前記OH及び/又はOR1基を有することができ、OH及び/又はOR1基の重量含有率が0.2〜10重量%の範囲である少なくとも1種の樹脂、並びに
・その構造中に式(R3)3SiO0.5(単位M)、(R3)2SiO(単位D)及びR3SiO1.5(単位T)及びSiO2(単位Q)のものから選択される少なくとも2つの異なるシロキシ単位を有し、これらの単位の内の少なくとも1つがQ単位であり、M、D及び/又はT単位が前記OH及び/又はOR1基を有することができ、OH及び/又はOR1基の重量含有率が0.2〜10重量%の範囲である少なくとも1種の別の樹脂:
(ここで、これら樹脂中に存在するR3基は同一であっても異なっていてもよく、C1〜C6直鎖状又は分枝鎖状アルキル基、C2〜C4アルケニル、フェニル及び3,3,3−トリフルオロプロピル基から選択される)
の混合物A−3を用いる、請求項1〜9のいずれかに記載の使用。
【請求項11】
用いられる成分B−1がチタン酸アルキル、ジルコン酸アルキル、ケイ酸アルキル又はそれらの内の少なくも2種の混合物を含み、且つ/或は成分B−2としてチタン酸イソプロピル、チタン酸ブチル若しくはチタン酸2−エチルヘキシルの部分加水分解によって製造されるポリチタネートB−2、ジルコン酸プロピル若しくはジルコン酸ブチルの部分加水分解によって製造されるポリジルコネートB−2、ケイ酸エチル若しくはケイ酸イソプロピルの部分加水分解によって製造されるポリシリケートB−2、又はこれらの物質の内の少なくとも2種の混合物を用いる、請求項1〜10のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
成分B−1がチタン酸エチル、チタン酸プロピル、チタン酸イソプロピル、チタン酸ブチル、チタン酸2−エチルヘキシル、チタン酸オクチル、チタン酸デシル、チタン酸ドデシル、チタン酸β−メトキシエチル、チタン酸β−エトキシエチル、チタン酸β−プロポキシエチル、式Ti[(OCH2CH2)2OCH3]4のチタネート、ジルコン酸プロピル、ジルコン酸ブチル、ケイ酸メチル、ケイ酸エチル、ケイ酸イソプロピル、ケイ酸n−プロピル及びこれらの物質の内の少なくとも2種の混合物から選択される化合物を含む、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
用いられる成分C−1が、
(i) 次式:
【化1】

の、鎖の各末端にヒドロキシル基を含む本質的に線状のジオルガノポリシロキサン
(ここで、置換基R18は同一であっても異なっていてもよく、それぞれC1〜C13の飽和又は不飽和の置換又は非置換脂肪族、環状脂肪族又は芳香族一価炭化水素質基を表わし、
jは式(III)のジオルガノポリシロキサンに25℃において50〜10000000mPa・sの範囲の動的粘度を付与するのに充分な値を有する);
(ii)シロキシ単位T及び随意としてのM及び/又は随意としてのDを構造中に含有するヒドロキシル化POS樹脂;
(iii)次の工程:
・HFで置換されたアルコキシシランSの加水分解;
・加水分解されたシランSのホモ縮合;及び
・HFから誘導された加水分解物のストリッピング:
によって得られるヒドロキシル化POS樹脂;或いは
(iv)成分(i)、(ii)及び(iii)の内の少なくとも2種の混合物:
を含む、請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
OH基の重量含有率が0.2〜10重量%の範囲であるヒドロキシル化MDT樹脂を用いる、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
成分C−2としてフッ素化アルコールを用いる、請求項1〜14のいずれかに記載の使用。
【請求項16】
次式:
19−OH (IV)
(ここで、R19は2〜20個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状脂肪族基を表わし、前記炭素原子は少なくとも1個のフッ素基で置換され且つ随意に少なくとも1個の水素原子で置換されている)
のペルフッ素化アルコールを用いる、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
次式:
F−(CH2)mOH
{ここで、RFは−Cs2s−CF3基(ここで、sは0と同じ若しくは0とは異なる)又はCs2sH基(ここで、sは1又はそれより大きい)を表わし、
mは0〜10の範囲の数である}
のペルフッ素化アルコールを用いる、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記液状シリコーン配合物が重縮合触媒をも含む、請求項1〜17のいずれかに記載の使用。
【請求項19】
前記液状シリコーン配合物が充填剤をも含む、請求項1〜18のいずれかに記載の使用。
【請求項20】
前記液状シリコーン配合物が濃厚な形で調製され、次いで使用時に有機希釈剤、有機溶剤又は水100重量部当たり配合物1〜30重量部の割合で有機希釈剤、有機溶剤又は水で希釈される、請求項1〜19のいずれかに記載の使用。
【請求項21】
少なくとも1つのテキスタイル表面を含むテキスタイル物品に直接組成物を塗布するための、請求項1〜20のいずれかに記載の使用。
【請求項22】
テキスタイル材料の製造プロセスの際に糸、ファイバー及び/又はフィラメントに組成物を塗布するための、請求項1〜21のいずれかに記載の使用。

【公表番号】特表2007−523267(P2007−523267A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550239(P2006−550239)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000147
【国際公開番号】WO2005/080666
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【氏名又は名称原語表記】RHONE−POULENC CHIMIE
【Fターム(参考)】