説明

スマートカードを作る方法、この方法により作られたスマートカード、及びかかるスマートカードで特に使用するためのLCD

【課題】 印刷回路板(PCB)を持ち、その上に液晶ディスプレイ(LCD)を含む薄い柔軟なスマートカードであって、このPCBとLCDがプラスチックの積層体内に埋め込まれているものを作る方法を提供する。
【解決手段】 この方法は、複数のプラスチック層を比較的長時間の間、比較的高い温度及び圧力にさらすことにより初期積層体を作ること;前記初期積層体の一方の面に、反対の面に及ばないように終わるくぼみを作ること、但し、前記くぼみは前記PCB及びその上のLCDを収容する形状と寸法をしている;前記反対の面にLCDを面するように初期積層体の前記一方の面から前記くぼみ中に前記PCB及び前記LCDを導入すること、初期積層体の前記一方の面の上に一つ以上のさらなるプラスチック層を付与して前記くぼみ中の前記PCBを覆うこと;そして前記初期積層体及び前記一つ以上のさらなるプラスチック層を、初期積層体を作る際に使用されたものより低い圧力でかつ短い時間の間、前記さらなるプラスチック層の側に付与された低い温度にさらし、前記PCB及びLCDを埋め込まれたプラスチック層の前記積層体を作ること、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、LCDを上に含むPCBを持つ薄い柔軟なスマートカードを作る方法に関し、これらLCDとPCBの両者はプラスチック層の積層体内に埋め込まれている。本発明はまた、上記方法により作られたスマートカード、及びさらにかかるスマートカードで特に有用なLCDに関する。
【0002】
スマートカードまたはIDカードは、金融取引をするために、家屋へのアクセスを保障するために、及び個人情報を統合するためにますます使用されている。現在、スマートカードは接触タイプと非接触タイプの二つのグループに分割される。両グループは一般的に、読み/書き工程のため及び身分照合工程のためにエネルギー源を必要とする受動的内蔵フラッシュメモリーを持つ集積回路を含む。接触タイプのカードでは、エネルギー源は、接触によって、内蔵フラッシュメモリーを含む電子構成要素を起動する外部静止エネルギー源であり、一方、非接触タイプのカードは、カードの電子構成要素を起動するためのRFID(無線自動識別)装置に加えてアンテナを含む。
【0003】
二つの異なるタイプのスマートカードのために、種々の規格が、ISO規格と呼ばれる国際標準化機構により開発された。例えば、ISO−7816が接点を持つ集積回路を含むスマートカードのために開発され、ISO−14443が接点を持つ集積回路を含むスマートカードのために開発されている。ISO規格は、それぞれのカードのための厳しい構造的及び性能的条件、特に寸法許容度を特定し、それらは、特にスマートカードを大量にかつ比較的低コストで作ることができる方法において満たすことが極めて困難である。
【0004】
例えば、ISO規格を満たすスマートカード中に電子回路(PCB)を埋め込む際の既知の問題としては、次の困難性が挙げられる:
1.PVC板の互いの積層;
2.はんだ付けマスクのその油性特性による結合(はんだ付けマスクは、PCB上の銅電導体を不動体化しかつはんだごてがPCBの上部で広がるのを拒絶するために使用される);
3.製造されたカード内の空隙及び空気ポケットを防ぐ;
4.熱積層後のカードを平坦かつ柔軟に保つ;
5.ワイヤー結合により連結されることがある電子構成要素を損傷することなくPCB表面を平坦化する(75gr.引裂力ISO−9002及びISO−14001);及び
6.貫通穴において必要な柔軟性及び剪断力によるPCBの電導体への電池接点の結合。
【0005】
かかるカードを作るための通常の積層工程で用いられる高い温度と圧力に対するLCD(液晶ディスプレイ)の過敏性のため、LCDを含む満足なスマートカードを作ることが特に困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一つの目的は上記の点の一つ以上で利点を持つ薄い柔軟なスマートカードを作る方法を提供することである。本発明の別の目的は新規なLCDを含むスマートカードを提供することであり、本発明のさらなる目的はスマートカードで特に有用な新規なLCDを提供することである。
【0007】
本発明の一態様によれば、液晶ディスプレイ(LCD)を上に含む印刷回路板(PCB)を持つ薄い柔軟なスマートカードを作る方法であって、前記PCB及びその上のLCDはプラスチック層の積層体内に埋め込まれており、その方法が:
複数のプラスチック層を比較的長時間の間、比較的高い温度及び圧力にさらすことにより初期積層体を作ること;
前記初期積層体の一方の面に、反対の面に及ばないように終わるくぼみを作ること、但し、前記くぼみは前記PCB及びその上に含まれるLCDを収容する形状と寸法をしている;
前記反対の面にLCDを面するように初期積層体の前記一方の面から前記くぼみ中に前記PCB及び前記LCDを導入すること、
初期積層体の前記一方の面の上に一つ以上のさらなるプラスチック層を付与して前記くぼみ中の前記PCBを覆うこと;そして
前記初期積層体及び前記一つ以上のさらなるプラスチック層を、初期積層体を作る際に使用されたものより低い圧力でかつ短い時間の間、前記さらなるプラスチック層の側に付与された低い温度にさらし、前記PCB及びLCDを埋め込まれたプラスチック層の前記積層体を作ること、
を含む方法が提供される。
【0008】
従って、この方法が二工程の積層工程を含むことが分かるであろう。そこでは、第一工程は、PCB及び温度に過敏なLCDを含む初期積層体を作るために比較的高い温度と圧力、及び比較的長い時間を利用し;一方、PCBとLCDが初期積層体中に導入された後に付与される第二積層工程は、PCB及びLCDが損傷なしに良好に耐えることができる、低い温度、低い圧力、及び短い時間を利用する。
【0009】
述べられた好適な実施態様でのさらなる特徴によれば、固体接着剤のフィルムは、PCB及びLCDがくぼみ中に導入される前に、初期積層体の一方の面に付与され、そこに導入されるときその表面とPCB及びLCDの間のくぼみ中に及び;この固体接着剤のフィルムは、一つ以上のプラスチック層を初期積層体の一方の面に結合し、かつ初期積層体及び一つ以上のさらなるプラスチック層が短い時間の間、低い温度と圧力にさらされるとき、PCBとLCDとくぼみの表面の間の空隙を満たす厚さのものである。
【0010】
好ましくは、述べられた好適な実施態様では、固体接着剤の二枚のかかるフィルムが付与され、一方はPCBとLCDの上にあり、他方はPCBの下にあり、それらはプラスチック層をそこに埋め込まれたPCB及びLCDと一緒にしっかりと結合するだけでなく、PCBとLCDとくぼみの表面の間の全ての空隙も満たし、それにより閉じ込められた気泡の形成を防ぐために効果的である。上述のように、かかる固体接着剤の一枚または二枚のフィルムの使用は、腐食の可能性を減らすこと(不動態化)、及びPCB及びLCDを埋め込んで含むスマートカードの柔軟性を強化することがさらに見出された。固体接着剤の好ましいフィルムは、J.Huerta,China,Adhesive PLJ−BOND DESIGN 1000,Catalog No.LNR−RR#101005A−l ADH−RR#091505I−1により供給されるもののようなアクリル樹脂の一つである。
【0011】
述べられた好適な実施態様では、プラスチック層はポリ塩化ビニルからなるものである。初期積層体は、30〜50ミクロン、好ましくは40ミクロンの第一プラスチック層;135〜165ミクロン、好ましくは150ミクロンの第二プラスチック層;225〜275ミクロン、好ましくは250ミクロンの第三プラスチック層;及び225〜275ミクロン、好ましくは250ミクロンの第四プラスチック層から構成される。また、一つ以上のさらなるプラスチック層は、105〜135ミクロン、好ましくは120ミクロンの第五層;及び30〜50ミクロン、好ましくは40ミクロンの第六プラスチック層を含む。
【0012】
以下に述べられる本発明の好適な実施態様のさらなる特徴によれば、初期積層体を作るために使用される比較的高い温度は、好ましくは110〜135℃、最も好ましくは120℃であり;初期積層体を作るための比較的高い圧力は、好ましくは12〜16kg/cm、最も好ましくは14kg/cmであり;そして初期積層工程で使用される比較的長い時間は、好ましくは25〜35分、最も好ましくは30分である。加えて、第二積層工程で使用されるより低い温度は、好ましくは90〜105℃、最も好ましくは100℃であり;圧力は、好ましくは0.3〜0.8kg/cm、最も好ましくは0.5kg/cmであり;そして時間は、好ましくは0.3〜0.8分、最も好ましくは0.5分である。
【0013】
以下に述べられる本発明の好適な実施態様の別の特徴によれば、PCBとLCDを埋め込まれた製造されたプラスチック層の積層体は、PCBとミル連通する一方の面上をミル加工され;電導性接着剤を被覆された電気接点ストリップがミル加工溝内に付与され、かつ電導性接着剤を介してPCBに電気的に接続される。
【0014】
さらなる特徴によれば、PCBは、PCBに電気的に接続されかつ積層体内にそれと共に埋め込まれたスマートチップ及びボタンスイッチをさらに含む。
【0015】
述べられた好適な実施態様でのさらなる特徴によれば、PCB上に含まれるLCDは、二つのPET(ポリエチレンテレフタレート)層、酸化インジウムスズ(ITO)ポリエステルフィルム上の二つの光学的に透明な(OC)被膜(50〜100オーム/平方の抵抗及び光学的異方性を持つ)、及び一つの反射層を含む。
【0016】
本発明の別の態様によれば、プラスチック層の積層体、及びLCDを上に含むPCBを含み、LCDとPCBの両方がプラスチック層の積層体内に埋め込まれ、LCDが二つのPET(ポリエチレンテレフタレート)層、酸化インジウムスズ(ITO)ポリエステルフィルム上の二つの光学的に透明な(OC)被膜、及び反射層を含む薄い柔軟なスマートカードが提供される。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、二つのPET(ポリエチレンテレフタレート)層、酸化インジウムスズ(ITO)ポリエステルフィルム上の二つの光学的に透明な(OC)被膜、及び反射層を含むLCDが提供される。
【0018】
本発明のさらなる特徴及び利点は以下の説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、本明細書において添付図面を参照しながら例示目的のみで説明される。
【図1】本発明により構成されたスマートカードの一つの形を部分的に分解して概略的に示す側面図である。
【図2】図1のスマートカード中にPCB(印刷回路板)により担持されたLCD(液晶ディスプレイ)を概略的に示す側面図である。
【図3】図1のスマートカード中の種々の層を示す分解した3次元図である。
【0020】
上述の図及び以下の説明は、好適な実施態様であると現在考えられるものを含む、本発明の概念上の態様及びその可能な実施態様の理解を容易にする目的のために主として提供されることは理解されるべきである。明解さと簡潔さのために、述べられた発明を通常の技術と設計を使用して当業者が理解しかつ実施することを可能とするために必要なものより詳細に提供するつもりはない。述べられた実施態様が例としてのみの目的のためであること、及び本発明がここに述べられたもの以外の形及び用途で具体化されることができることはさらに理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面に示されたスマートカードは、ISO−7816規格を受けた接触タイプのカードである。以下に説明されるように、示されたスマートカードは、ISO−7816に特定されるような、厳しい構造的及び性能的要求、特に寸法的許容度を満たすことができる。
【0022】
図1と3に示すように、示されたスマートカードは、以下により詳細に述べられるように、同じ外側寸法であるが異なる厚さを持つポリ塩化ビニルからなる六つの層1〜6を含む。このスマートカードは、六つの積層プラスチック層内に全て埋め込まれた別個の電気構成要素及び電池に加えて、LCDを上に持つPCBをさらに含む。また、六つの積層体内に埋め込まれているのは、スマートチップ(SC)及びPCBに電気的に接続されたボタンスイッチ(BS)である。電気接点ECISO−7816はカードの外表面の上に付与されている。
【0023】
以下に述べられる本発明の好適な実施態様では、層1は、40ミクロンの厚さを有し、デジタル印刷を保護するためにかつ光沢を与えるために透明であり;層2は、150ミクロンの厚さを有し、LCDディスプレイ及び上部デジタル印刷のために透明であり;層3は、250ミクロンの厚さを有し、PCB及びそのLCDディスプレイの上部を受けるためのくぼみを持って形成されており;層4はまた、250ミクロンの厚さを有し、白色であり、かつPCBの下部を受けるためのくぼみを持って形成されており;層5は、120ミクロンの厚さを有し、白色であり、スマートカードの下面上のデジタル印刷を受けるためであり;そして層6は、40ミクロンの厚さを有し、カードの下面の層5上のデジタル印刷を保護するために透明である。
【0024】
六つの上記層は、以下により詳細に述べられるように、二工程の積層工程で一緒に積層される。完成したスマートカード中に全ての層が一緒に積層されるとき、完成したスマートカードの全厚さは六層のそれぞれの厚さの合計に等しく、すなわち850ミクロンであり、それはISO−7816規格の厚さ許容度の範囲内にある。
【0025】
図1と3に示された六つのプラスチック層1〜6は、以下のように、二工程の積層法において、PCBとLCD、並びにそこに埋め込まれたスマートチップSC及びボタンスイッチBSを持つスマートカード積層体の完成品を形成するために一緒に積層される。
【0026】
最初に、初期積層体は、プラスチック層1〜4を比較的高い温度と圧力に比較的長い時間さらすことにより作られる。以下に述べられる本発明の好適な実施態様では、比較的高い温度は好ましくは110〜135℃、より好ましくは120℃であり;比較的高い圧力は12〜15kg/cm、より好ましくは14kg/cmであり;そして比較的長い時間は好ましくは25〜35分、より好ましくは30分である。
【0027】
次に、くぼみが、初期積層体の一方の面に、すなわち図1に示されるように、層4の外面から出発しかつ層4と3を通ってわずかに層2中に延びるように、作られる。このくぼみはPCB及びPCBにより担持されるLCDを収容する形状と寸法をしている。
【0028】
PCB及びそのLCDが層4,層3及び部分的に層2中に形成されたくぼみ中に導入される前に、固体接着剤のフィルムAFが、層4の外面を覆いかつくぼみ内に延びるように付与される。
【0029】
次いで、PCB及びそのLCDが、くぼみ中に導入され、PCB及びLCDの全ての外表面としっかり係合するように接着剤フィルムAFに対して押圧される。好ましくは、固体接着剤の第二フィルムAFが次いで第一接着フィルムAFの外表面を覆いかつPCBの下にあるように付与される。二つのプラスチック層5と6が次いで初期積層体の二つの接着剤フィルムAF,AFの上に付与される。
【0030】
初期積層体の層1〜4の上に付与されたプラスチック層5と6では、プラスチック層5と6は次いで層1〜4の初期積層体に熱と圧力を付与することにより積層され、それによりPCBとLCDを埋め込まれた六層積層体を持つ完成されたスマートカードを作る。層5と6を層1〜4の初期積層体に結合するためのこの第二積層工程は、層1〜4の初期積層体を作るために使用されたものより低い温度で、低い圧力で、及び短い時間の間、熱を層6に付与することにより達成される。述べられた好適な実施態様では、層1〜4の初期積層体に層5と6を積層する、この低い温度は好ましくは90〜105℃、より好ましくは100℃であり;低い圧力は好ましくは0.3〜0.8kg/cm、より好ましくは0.5kg/cmであり;そして時間は好ましくは0.3〜0.8分、より好ましくは0.5分である。
【0031】
従って、上述の二工程の積層法は熱に過敏なLCDを通常の積層工程で必要であるものより有意に低い温度に、低い圧力に、そして短い時間の間、さらし、それにより熱に過敏なLCDを損傷または破壊する可能性を実質的に減らすことが認識されるであろう。LCDを損傷する可能性は、層1〜4の初期積層体に層5と6を結合する第二積層工程で付与される熱がLCDを担持するPCBの反対側に付与されるということによりさらに減らされる。
【0032】
二つの接着剤フィルム層AF,AFの厚さは各々、好ましくは40〜60ミクロン、より好ましくは50ミクロンであり、それは、プラスチック層を互いに結合し、かつまたPCB及びLCDの周りの空隙を満たし、それにより気泡のない完成積層体を作るために十分である。
【0033】
印刷された情報は、層2の外面に印刷してから、層1〜4の初期積層体を作る第一積層操作で層1をそれらの上に結合することにより製造されたスマートカード中に組入れられることができる。従って、初期積層体の層1は層2の外面上の印刷を保護するように作用する。
【0034】
加えて、情報はまた、層5が層6と共に第二積層工程で初期積層体に結合される前に層5の外面上に印刷されることができ、かくして層6は層5の外面上に見える印刷を保護する。
【0035】
上述の二工程の積層法で六つの層1〜6が一緒に積層された後、スマートカードの電気接点ECとしての役目をする電導性ストリップを受けるために層1,2及び3を通して溝または凹所が切られることができる。これは、完成した積層体をPCBの電導性表面までミル加工し、電気接点ECに、少なくともPCBと係合する部分に電導性接着剤を付与し、そして電気接点をこのように形成された溝中に挿入して、接点とPCBとの間に電導性接着剤を介して電気的連続性を確立することによってなされることができる。
【0036】
図2は、LCDディスプレイの構成を示し、そこでは、それは二つのPET(ポリエチレンテレフタレート)層、酸化インジウムスズ(ITO)ポリエステルフィルム上の二つの光学的に透明な(OC)被膜、(50〜100オーム/平方の抵抗及び光学的異方性を持つ)、及び一つの反射層を含むことが分かるであろう。かかるLCD構造は、上述のスマートカードで特に有用であり、かつPCBとLCDを埋め込まれた先に積層された層1〜4に層5と6が積層される第二積層操作で用いられる温度と圧力に耐えることができることが見出された。上述のように、LCDは、初期積層体を作る第一積層工程時の高い温度と圧力にさらされず、層5と6が層1〜4の初期積層体に積層される第二積層操作に含まれた低い温度と圧力、並びに実質的に短い時間にのみさらされる。加えて、第二積層操作で用いられる熱はPCBの下面、すなわちLCDから遠い面に付与されるので、この第二積層操作時にLCDを損傷または破壊する機会はより少ない。
【0037】
上述の方法は次の表により特徴付けられる。

【0038】
本発明を幾つかの好適な実施態様に関して述べたが、これらは単に例示目的のために記載されていること、及び本発明の多くの他の変更、修正及び応用がなされうることが認識されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ディスプレイ(LCD)を上に含む印刷回路板(PCB)を持つ薄い柔軟なスマートカードを作る方法であって、前記PCB及びその上のLCDがプラスチック層の積層体内に埋め込まれており、その方法が:
複数のプラスチック層を比較的長時間の間、比較的高い温度及び圧力にさらすことにより初期積層体を作ること;
前記初期積層体の一方の面に、反対の面に及ばないように終わるくぼみを作ること、但し、前記くぼみは前記PCB及びその上のLCDを収容する形状と寸法をしている;
前記反対の面にLCDを面するように初期積層体の前記一方の面から前記くぼみ中に前記PCB及び前記LCDを導入すること、
初期積層体の前記一方の面の上に一つ以上のさらなるプラスチック層を付与して前記くぼみ中の前記PCBを覆うこと;そして
前記初期積層体及び前記一つ以上のさらなるプラスチック層を、初期積層体を作る際に使用されたものより低い圧力でかつ短い時間の間、前記さらなるプラスチック層の側に付与された低い温度にさらし、前記PCB及びLCDを埋め込まれたプラスチック層の前記積層体を作ること、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
固体接着剤のフィルムが、前記PCB及びLCDが前記くぼみ中に導入される前に、初期積層体の前記一方の面に付与され、そこに導入されるときその表面と前記PCB及びLCDの間の前記くぼみ中に及び;前記固体接着剤のフィルムが、前記一つ以上のプラスチック層を初期積層体の前記一方の面に結合し、かつ前記初期積層体及び前記一つ以上のさらなるプラスチック層が前記短い時間の間、前記低い温度と圧力にさらされるとき、前記PCBとLCDと前記くぼみの表面の間の空隙を満たす厚さのものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
固体接着剤の第二フィルムが、前記PCB及びLCDが前記くぼみ中に導入される前に、初期積層体の前記一方の面に付与され、前記PCBの外表面と前記一つ以上のさらなるプラスチック層との間に及び、前記固体接着剤の第二フィルムが、前記一つ以上のプラスチック層を初期積層体の前記一方の面に結合し、かつ初期積層体及び前記一つ以上のさらなるプラスチック層が前記短い時間の間、前記低い温度と圧力にさらされるとき、前記PCBと前記一つ以上のさらなるプラスチック層の間の空隙を満たす厚さのものであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記固体接着剤のフィルムがアクリル樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記プラスチック層がポリ塩化ビニルであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記初期積層体が、30〜50ミクロンの第一プラスチック層、135〜165ミクロンの第二プラスチック層、225〜275ミクロンの第三プラスチック層、及び225〜275ミクロンの第四プラスチック層から構成され;
さらに前記一つ以上のさらなるプラスチック層が、105〜135ミクロンの第五層、及び30〜50ミクロンの第六層を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記初期積層体が、40ミクロンの第一プラスチック層、150ミクロンの第二プラスチック層、250ミクロンの第三プラスチック層、及び250ミクロンの第四プラスチック層から構成され;
さらに前記一つ以上のさらなるプラスチック層が、120ミクロンの第五層、及び40ミクロンの第六層を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記比較的高い温度が110〜135℃であり、前記比較的高い圧力が12〜16kg/cmであり、そして前記比較的長い時間が25〜35分であり;
さらに前記低い温度が90〜105℃であり、前記低い圧力が0.3〜0.8kg/cmであり、そして前記短い時間が0.3〜0.8分であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記比較的高い温度が120℃であり、前記比較的高い圧力が14kg/cmであり、そして前記比較的長い時間が30分であり;
さらに前記低い温度が100℃であり、前記低い圧力が0.5kg/cmであり、そして前記短い時間が0.5分であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記PCBとLCDを埋め込まれた前記製造されたプラスチック層の積層体が、前記PCBとミル連通する一方の面上をミル加工され;電導性接着剤を被覆された電気接点ストリップが前記ミル加工部内に付与され、かつ前記電導性接着剤を介して前記PCBに電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記PCBが、前記PCBに電気的に接続されかつ前記製造された積層体内にそれと共に埋め込まれたボタンスイッチをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記PCBが、前記PCBに電気的に接続されかつ前記製造された積層体内にそれと共に埋め込まれたスマートチップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記PCB上に含まれる前記LCDが、二つのPET(ポリエチレンテレフタレート)層、酸化インジウムスズ(ITO)ポリエステルフィルム上の二つの光学的に透明な(OC)被膜(50〜100オーム/平方の抵抗、及び光学的異方性を持つ)、及び一つの反射層を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
薄い柔軟なスマートカードであって、それが:
プラスチック層の積層体、及びLCDを上に含むPCBを含み、LCDとPCBの両方がプラスチック層の前記積層体内に埋め込まれ;
前記LCDが:二つのPET(ポリエチレンテレフタレート)層、50〜100オーム/平方の抵抗及び光学的異方性を持つ、酸化インジウムスズ(ITO)ポリエステルフィルム上の二つの光学的に透明な(OC)被膜、及び一つの反射層を含む
ことを特徴とする薄い柔軟なスマートカード。
【請求項15】
二つのPET(ポリエチレンテレフタレート)層、50〜100オーム/平方の抵抗及び光学的異方性を持つ、酸化インジウムスズ(ITO)ポリエステルフィルム上の二つの光学的に透明な(OC)被膜、及び一つの反射層を含むことを特徴とするLCD。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−545801(P2009−545801A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522417(P2009−522417)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【国際出願番号】PCT/IL2007/000960
【国際公開番号】WO2008/015676
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(509032461)マイクロ−ディー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】