説明

スライドシート用給電装置

【課題】本発明は、小型化、及び軽量化を図るとともに、電気的な接続をより確実に維持することができる給電装置10を提供することを目的とする。
【解決手段】車体側と車体に対して前後方向にスライド動作可能なスライドシート2側とを電気的に接続して給電する給電装置10であって、スライド方向に対して平行に配置したケース20と、スライドシート2側及び車体側を電気的に接続するとともに、ケース20の内部に収容した帯状のフラットケーブル60と、フラットケーブル60の一端を固定するとともにケース20の内部に収容したケーブル固定部53とを備え、フラットケーブル60をケーブル固定部53から略直線的に配置した可動側直線部63と、可動側直線部63の先端から略U字状に反転した反転部62と、反転部62の先端から略直線的に配置した固定側直線部61とで、スライド動作に追従可能な余長を有して摺動可能に配索したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、自動車などの車両において車体側と、車両前後方向に移動するスライドシート側とを電気的に接続するようなスライドシート用給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両において、衝突時の乗員保護のために、車体構造により衝撃荷重を吸収するなど様々工夫がなされている。また、衝突時の乗員保護は、車体構造だけでなく、法整備によっても進められている。
【0003】
例えば、シートベルトの着用が義務付けられている運転席において、シートベルトの非着用をドライバーに警告する「座席ベルト非装着時警報装置」や「再警報装置(シートベルト・リマインダー)」の設置が義務付けられている。これら装置は、全席シートベルト着用義務化に伴い、自動車メーカーが自主的に運転席以外の座席にも設置する傾向にある。
【0004】
しかし、助手席や後部座席は、運転席と異なり乗員が着座しないことがある。そこで、助手席や後部座席においては、乗員が着座している事を検出するセンサーを設置している。そして、このセンサーと車体側に固定したECUとを電線を介して電気的に接続し、センサーが乗員の着座を検出すると、ECUの制御によりシートベルト非着用の警報を発している。
【0005】
ところで、昨今、ミニバンやSUV等の車両において、車両前後方向に大きく移動する座席、所謂、スライドシートが設定され、スライドシートの折り畳み機構と併せて多彩なシートアレンジを実現している。
【0006】
このスライドシートのスライド量が大きくなるほど、センサーとECUとを接続する電線は、スライド動作に追従可能な十分な長さが必要となる。このため、スライドシートのスライド位置によってはスライドシート下から電線が露出する、あるいは露出した電線に乗員が足を引っ掛けるという問題があった。
そこで、スライドシートのスライド動作に追従するとともに、余分な電線が露出しないスライドシート用給電装置が提案されている。
【0007】
例えば、特許文献1では、スライドシートのスライド方向と略平行なスリットを有するレールと、レールのスリットに沿って移動するスライダと、一端をスライダに固定し他端を車体側に固定するとともに車両前後方向に略U字状に配置した電線を備えている。そして、車両の床面に固定したケースに、レール、スライダ、及び電線が収容されている。
【0008】
また、スライダは、ケースに設けたスリットから外部に導出してスライドシートに固定している。そして、ケース内の電線は、スライダに固定された導出用電線に接続することで、スライドシートがスライドしても外部に余分な電線が露出しないとされている。
【0009】
このように乗員保護にかかる装置があっても見栄えを損なうことなく多彩なシートアレンジを実現する一方、自動車業界では、車室の低床化による乗降性向上、及び省エネ化を図るため、車両を構成する部品の小型化・軽量化が求められている。
【0010】
しかしながら、特許文献1では、略U字状に配置された電線がスライドシートに追従して移動するため、略U字状の屈曲部分にストレスが加わり易く、電線の屈曲半径を小さくすることが難しい。このため、略U字状に屈曲した電線を収容するケースが車幅方向に大きくなり、スライドシート用給電装置の小型化、軽量化が難しいという問題がある。加えて、スライドシート用給電装置は、粉塵などの異物が多い車室内の足元に固定されるため、異物が内部に侵入することによる電線の損傷を防止する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−35962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述の問題に鑑み、小型化、及び軽量化を図るとともに、電気的な接続をより確実に維持することができるスライドシート用給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、車両の車体側と、前記車体に対して所定の方向にスライド動作可能なスライドシート側とを電気的に接続して給電するスライドシート用給電装置であって、前記スライドシートのスライド方向に対して平行に配置するとともに、少なくとも前記スライド方向を長手方向とする略平板状の基面、及び該基面の短手方向両端から立設した略平板状の2つの起立面を備えたケースと、前記スライドシート側、及び前記車体側を電気的に接続するとともに、幅方向を前記基面に対して略垂直にして、前記ケースの内部に収容した少なくとも1本の帯状のフラットケーブルと、該フラットケーブルの一端を固定するとともに、前記スライドシートのスライド動作に追従可能にして、前記ケースの内部に収容した少なくとも1つのケーブル固定部とを備え、前記フラットケーブルを、前記ケーブル固定部から前記長手方向に略直線的に配置した第1直線部と、該第1直線部の先端から前記フラットケーブルの厚み方向に略U字状に反転した反転部と、該反転部の先端から長手方向に略直線的に配置した第2直線部とで、前記スライド動作に追従可能な余長を有して摺動可能に配索したことを特徴とする。
【0014】
上記所定の方向は、車両の前後方向、あるいは左右方向とすることができる。
上記基面は、ケースにおける上面、側面、及び底面などとすることができる。
【0015】
この発明により、小型化、及び軽量化を図るとともに、電気的な接続をより確実に維持することができるスライドシート用給電装置を構成することができる。
具体的には、車体側とスライドシート側との電気的な接続にフラットケーブルを用いることで、導体を束ねた電線に対して軽量化を図ることができる。また、フラットケーブルは、導体を束ねた電線に対して屈曲半径を小さくすることができる。すなわち、略U字状に反転したフラットケーブルを収容するケースの短手方向幅をより小さくすることができる。
【0016】
さらに、フラットケーブルの幅方向を基面に対して略垂直して配置したことにより、フラットケーブルと基面との接触面積を極端に小さくすることができる。これにより、侵入した異物をフラットケーブルが噛み込むことを抑制でき、フラットケーブルの損傷や断線を防止することができる。
【0017】
加えて、スライドシート用給電装置は、ケースを小型化することにより、特別な補強をすることなくケース剛性の向上を図ることができる。そして、スライドシート用給電装置は、小型化による軽量化を実現することができるため、省エネ化、及びコスト低減を図ることができる。
【0018】
従って、スライドシート用給電装置は、小型化、及び軽量化を図るとともに、電気的な接続をより確実に維持することができる。
【0019】
また、この発明の態様として、前記ケーブル固定部と、前記ケーブル固定部から立設するとともに、前記フラットケーブルを前記長手方向で対向する一方の面に固定して上方に導出する導出部と、該導出部の上端に形成するとともに、前記スライドシートに固定するシート固定部とで構成したスライダを備えることができる。
【0020】
この発明により、スライドシートのスライド動作に追従可能な余長を有するフラットケーブルを、スライドシートに直接固定することなく、ケースの外部に導出することができる。
【0021】
また、フラットケーブルを導出部に固定することで、余分なフラットケーブルがケース外部に露出することを防止できる。これにより、フラットケーブルに乗員が足を引っ掛けるなどするおそれがなく、ケースの外部におけるフラットケーブルの損傷や断線を防止することができる。
【0022】
さらに、フラットケーブルを導出部においてスライド方向に対向する面の一方に固定しているため、導出部のフラットケーブルがケースなどと摺動するおそれがない。これにより、フラットケーブルの破損や断線を防止することができる。
【0023】
従って、スライドシート用給電装置は、小型化、及び軽量化しても電気的な接続をより確実に維持することができる。
【0024】
また、この発明の態様として、前記ケーブル固定部を、前記スライドシートから釣止した状態で前記ケースの内部に収容することができる。
この発明により、ケーブル固定部は、ケースの内面、及びフラットケーブルで支持することなくケースの内部に収容できる。つまり、ケーブル固定部は、スライドシートから宙吊り状態でケースの内部に収容することができる。これにより、ケーブル固定部がスライドシートのスライド動作に追従してスライド方向に移動しても、フラットケーブルの第2直線部と摺動するおそれがないため、フラットケーブルの損傷や断線を防止することができる。
【0025】
また、ケースの内部において、ケーブル固定部がケースの内面、及びフラットケーブルと接触しないため、スライド動作にかかる抵抗を極端に小さくすることができる。つまり、スライドシートとケーブル固定部を連結する部材を強固に形成する必要がないため、小型化や軽量化を図ることができる。
【0026】
さらに、ケースの内部に異物が侵入しても、ケースの内面、及びフラットケーブルと、ケーブル固定部に適度な隙間があるため、ケーブル固定部が異物を噛み込んでスライド方向に移動するおそれがなく、ケーブル固定部は、スライドシートのスライド動作にスムーズに追従することができる。
【0027】
加えて、スライドシートがスライド動作する際、万一、ケーブル固定部がスライド方向に傾くようなことがあっても、ケーブル固定部は、ケースの内部と干渉するおそれがない。
【0028】
従って、スライドシート用給電装置は、小型化、及び軽量化を図るとともに、電気的な接続をより確実に維持しながらも、スムーズなスライド動作を実現することができる。
【0029】
また、この発明の態様として、前記ケースに、前記長手方向に延在して、前記ケーブル固定部と前記スライドシートとの連結が貫通するスリット状のスリット開口部を短手方向略中央に有するとともに、前記基面に対向する対向面を備えることができる。
【0030】
この発明により、基面に対向する対向面における開口率を最低限に抑えることができる。また、スリット開口部により、スライドシートのスライド動作を阻害することなく、対向面からケースの内部に異物が侵入することを抑制できる。
従って、スライドシート用給電装置は、小型化、及び軽量化しても電気的な接続をより確実に維持することができる。
【0031】
また、この発明の態様として、前記ケースの前記基面上において、前記フラットケーブルの第1直線部、及び第2直線部が摺動する摺動部を、前記スリット開口部に対向する位置より前記ケースの短手方向外側に設けることができる。
【0032】
この発明により、スリット開口部から侵入した異物が、直接、摺動部に付着するおそれを防止することができる。すなわち、異物を噛み込むことによるフラットケーブルの損傷や断線を防止することができる。
従って、スライドシート用給電装置は、小型化、及び軽量化しても電気的な接続をより確実に維持することができる。
【0033】
また、この発明の態様として、前記スリット開口部に対向する前記基面に、前記スリット開口部の前記短手方向幅より大きく、かつ前記フラットケーブルの第1直線部、及び第2直線部間における前記短手方向幅より小さい短手方向幅で略凹状に形成した底溝部を備えることができる。
【0034】
この発明により、スリット開口部から侵入した異物を底溝部で受け止めることができる。さらに、底溝部を略凹状に形成しているため、受け止めた異物が容易に飛び出すことを防止できる。これにより、基面上に異物が付着し難くなるため、フラットケーブルの損傷や断線をより確実に防止することできる。
【0035】
また、万一、基面上に異物が付着しても、フラットケーブルの反転部がスライド方向に摺動する際、基面上の異物を底溝部に払い落とすことができる。
従って、スライドシート用給電装置は、小型化、及び軽量化しても電気的な接続をより確実に維持することができる。
【0036】
また、この発明の態様として、前記ケースの長手方向を前後方向として、相対的に前下がりに配置し、前記ケースの後部端における開口を閉塞する後部カバー部と、前記ケースの前部端において前記基面、前記対向面、及び2つの前記起立面による開口を閉塞する前部カバー部とを備えることができる。
【0037】
この発明により、ケースの内部に異物が侵入することをさらに抑制するとともに、底溝部で受け止めた異物を排出することができる。
具体的には、相対的に前下がりに配置したケースの後部端における開口を後部カバー部で閉塞することで、足元あるいは荷室からケースの内部に異物が侵入することを抑制できる。
【0038】
特に、スライドシートのスライド方向は、車両の前後方向であることが多い。加えて、車両の車室を構成する床面は、一般的に僅かに前下がりに形成していることが多い。すなわち、ケースを床面に沿って配置すると、必然的に前下がりとなるため、ケースの後部端に後部カバー部を備えることにより、床面の傾斜に沿ってケースの内部に異物が侵入することを防止できる。
【0039】
一方、ケースの前部端において基面、対向面、及び2つの起立面による開口を閉塞する前部カバー部により、前部端には底溝部による開口を形成することができる。そして、ケースの後部端に対して前部端は相対的に低い位置となるため、底溝部で受け止めた異物を底溝部による開口から排出することができる。
【0040】
つまり、相対的に前下がりに配置したケースにおいて、前部カバー部、及び後部カバー部を備えたことにより、ケースの内部に異物が侵入することを抑制するとともに、侵入した異物をスムーズに排出することができる。
従って、スライドシート用給電装置は、小型化、及び軽量化しても電気的な接続をより確実に維持することができる。
【0041】
また、この発明の態様として、前記前部カバー部、及び前記後部カバー部における前記長手方向の端部に、前記ケースを前記車体に固定するケース固定部を一体で形成することができる。
【0042】
この発明により、スライドシートのスライド方向に対して、ケース固定部を形成することにより、ケースに伝達したスライドシートのスライド動作による抵抗を確実に受け止めることができる。さらに、ケースの短手方向幅を抑えることができるため、ケースの短手方向を小型化することができる。
【0043】
また、ケースの内部においてケーブル固定部を宙吊り状態で収容することで、スライド動作による抵抗がより小さくなるため、車体との固定箇所をさらに削減することができる。すなわち、スライドシート用給電装置は、車体と固定する固定箇所を必要最低限にすることができる。これにより、スライドシート用給電装置は、部品点数を削減して、より一層の軽量化、コスト低減を図ることができる。
【0044】
従って、スライドシート用給電装置は、スライド動作による抵抗を確実に受け止めながら、より小型化、及び軽量化を図ることができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明により、小型化、及び軽量化を図るとともに、電気的な接続をより確実に維持できるスライドシート用給電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】車室内における給電装置を示す車両左方向からの側面図。
【図2】給電装置の外観を示す上方からの外観斜視図。
【図3】図1中のA−A矢視断面図。
【図4】ケースの内部構造を示す部分断面図。
【図5】図2における前部カバー部を示す拡大斜視図。
【図6】図2における前部カバー部を示す下方からの拡大斜視図。
【図7】図2における後部カバー部を示す上方からの拡大斜視図。
【図8】図2におけるスライダを示す拡大斜視図。
【図9】ケースの収容空間におけるスライダとフラットケーブルを示す上方からの外観斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0047】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
なお、本明細書中における前方向(前部)とは車両前方側を示し、後方向(後部)とは車両後方側を示している。
【0048】
また、図1は車室内における給電装置10の車両左方向からの側面図を示し、図2は給電装置10の上方からの外観斜視図を示し、図3は図1中のA−A矢視断面図を示し、図4はケース20の内部構造を示す部分断面図を示している。図5は図2における前部カバー部30の拡大斜視図を示し、図6は図2における前部カバー部30の下方からの拡大斜視図を示し、図7は図2における後部カバー部40の上方からの拡大斜視図を示し、図8は図2におけるスライダ50の拡大斜視図を示し、図9はケース20の収容空間Xにおけるスライダ50とフラットケーブル60の上方からの外観斜視図を示している。
【0049】
さらに、図1、図2、及び図9において、二点鎖線で図示したスライドシート2がスライド可能な範囲の最前端に位置する状態におけるスライダ50の位置を実線で図示している。そして、スライドシート2がスライド可能な範囲の最後端に位置する状態におけるスライダ50を二点鎖線で図示している。加えて、図5、及び図8において、ケース20の図示を省略している。
【0050】
車両の車室内には、図1に示すように、前下がりの床面1に設置した図示しないスライド機構によって、車両の前後方向にスライド動作するスライドシート2を備えている。そして、このスライドシート2の下方向における床面1には、スライドシート2のスライド方向に対して平行に固定した給電装置10を備えている。
【0051】
この給電装置10は、スライドシート2のスライド動作に追従して前後方向に移動しながら、車体側とスライドシート2側とを電気的に接続して給電可能に構成している。
【0052】
具体的には、給電装置10は、図1、及び図2に示すように、前後方向に長尺枠状に形成したケース20、ケース20の上面に形成したスリット状の開口を前後方向に移動するスライダ50、ケース20の前部端を車体に固定する前部カバー部30、及び後部端を車体に固定する後部カバー部40を備えている。
【0053】
また、スライダ50の上端には、乗員がスライドシート2に着座したことを検出するセンサー4を備えている。さらに、センサー4の検出信号に基づいてシートベルト非着用の警告を制御するECUに接続する電線3が、ケース20から外部へ導出している。
【0054】
ケース20は、図2から図4に示すように、スライドシート2の底部と上下方向で対向する上面21と、上面21の車幅方向外側の両端から下方向に形成した右側面22、及び左側面23と、右側面22、及び左側面23の下端を繋ぐ底面24とで形成している。
【0055】
上面21は、図2、及び図3に示すように、車幅方向略中央において前後方向に延在するスリット状のスリット開口部25を形成するように、略同幅に形成した平板状の右上面部21a、及び左上面部21bを車幅方向に所定の間隔をあけて平行に配置して形成している。
【0056】
右側面22、及び左側面23は、図3に示すように、それぞれ右上面部21a、及び左上面部21bの車幅方向外側端部から略直角で下方向に垂設して形成している。なお、左側面23の前部、及び後部には、前部カバー部30、及び後部カバー部をケース20に固定するネジ6を挿入するネジ孔(図示省略)を開口している。
【0057】
底面24は、図3、及び図4に示すように、略平板状であって、上面21に上下方向で対向するとともに、右側面22、及び左側面23の下端を繋ぐように形成している。さらに、底面24には、車幅方向略中央を掘り下げた底溝部26を形成している。
【0058】
この底溝部26は、図3に示すように、スリット開口部25の車幅方向における開口幅より大きく、かつ後述するフラットケーブル60間の幅より小さい車幅方向幅で、スリット開口部25に対向する底面24を略凹状に形成している。なお、底溝部26は、底溝部26に侵入した異物が車両の旋回時の遠心力や振動により、底面24上に飛び出さない程度の深さの略凹状に形成している。
【0059】
このように、上面21、右側面22、左側面23、底面24、及び底溝部26により、中空の収容空間Xを形成するとともに、前後方向の端部に開口を有するケース20を構成している。
【0060】
また、ケース20を床面1に固定する前部カバー部30、及び後部カバー部40は、それぞれケース20の前部端、及び後部端における開口に挿入して、ネジ6でケース20に固定している。
【0061】
具体的には、前部カバー部30は、図5、及び図6に示すように、ケース20の前部端における開口に前方向から挿入して閉塞する前部カバー本体部31、及び前部カバー本体部31から前方向に形成するとともに、床面1に固定する前部固定部32で構成している。
【0062】
前部カバー本体部31は、図5、及び図6に示すように、右上面部21a、右側面22、及び右上面部21aに対向する底面24による開口に挿入する本体右部31aと、左上面部21b、左側面23、及び左上面21aに対向する底面24による開口に挿入する本体左部31bと、下端を本体右部31a、及び本体左部31bの下端と同じくして、上端をスリット開口部25に挿入する本体中央部31cとで、車幅方向における略垂直断面形状が略凸状の形状に形成している。
【0063】
本体右部31aには、後述するフラットケーブル60を接続するとともに、電線3を接続した固定側導出部33を保持可能に形成している。さらに、本体右部31aには、ケース20の収容空間Xにおいて、フラットケーブル60の一端を固定する導出側固定部34を後方向に向けて形成している。
【0064】
本体左部31bには、ネジ6のネジ山が貫通するネジ貫通部35を車幅方向に形成している。
本体中央部31cには、ネジ6と螺合することで前部カバー部30をケース20に固定する螺合体(図示省略)を挿入許容する螺合体挿入部36を、上部中央を上下方向に平面視略矩形で開口して形成している。
【0065】
前部固定部32は、前部カバー本体部31の車幅方向略中央から前方向に延出するとともに、下方向に向けて湾曲した湾曲部32aと、湾曲部32aの下端から前方向に延出するとともに、床面1に当接する前部固定部32bとで形成している。また、前部固定部32bの略中央には、前部カバー部30を車体に固定するネジ(図示省略)が貫通するネジ孔部37を形成している。
【0066】
なお、前部カバー部30をケース20の前部端に挿入することで、ケース20の前部端には、図6に示すように、底溝部26による底溝開口部27が形成される。
【0067】
後部カバー部40は、図7に示すように、ケース20の後部端における開口に後方向から挿入して閉塞する後部カバー本体部41、及び後部カバー本体部41から前方向に形成するとともに、床面1に固定する後部固定部42で構成している。
【0068】
後部カバー本体部41は、前部カバー本体部31と同様に、本体右部41a、本体左部41b、及び本体中央部41cで形成しているが、前部カバー本体部31に対してケース20の底溝部26を閉塞する形状に形成している点が異なる。なお、後部カバー本体部41の本体右部41aは、前部カバー本体部31の右挿入部31aのように固定側導出部33を保持する形状に形成していないものとする。
【0069】
後部固定部42は、後部カバー本体部41の車幅方向略中央における下端から、後方向に向けて延出するとともに、床面1に当接する形状に形成している。さらに、後部固定部42の略中央には、後部カバー部40を車体に固定するネジ(図示省略)が貫通するネジ孔部47を形成している。
【0070】
また、スライダ50は、図3、及び図8に示すように、スライドシート2に固定するシート固定部51、シート固定部51から下方に延びる可動側導出部52、及び可動側導出部52の下端に形成したケーブル固定部53で構成している。
【0071】
シート固定部51は、車幅方向に長い略平板状で形成するとともに、板面を略垂直に配置している。そして、シート固定部51の板面には、スライドシート2に固定するネジ(図示省略)が貫通するネジ孔51aを車幅方向に所定の間隔を開けて左右に各1箇所ずつ形成している。
【0072】
可動側導出部52は、略水平方向の断面形状が略矩形で、シート固定部51の車幅方向略中央から下方向に延出したのち斜め後方向に屈曲して、さらに下方向に延出した形状に形成している。
【0073】
ケーブル固定部53は、平面視において前後方向に長い略矩形と、略矩形の後部縁辺を後方向に突出した半円を組み合わせた形状であって、上下方向に所定の厚みを有する形状に形成している。そして、ケーブル固定部53は、車幅方向略中央、かつ前部において可動側導出部52の下端と一体に形成している。
【0074】
なお、スライダ50は、図3に示すように、可動側導出部52がスリット開口部25を貫通するようにケース20に収容している。さらに、ケース20の収容空間Xにおいて、スライダ50は、ケーブル固定部53がケース20の上面21、底面24、及び後述するフラットケーブル60のいずれとも接触しない状態で、スライドシート2に釣止している。
【0075】
このようにスライダ50をスライドシート2に釣り下げた状態で固定することで、スライドシート2のスライド動作に追従することを実現している。そして、ケース20の収容空間Xには、車体側とスライドシート2側とを電気的に接続するとともに、スライド動作に追従して摺動するフラットケーブル60を収容している。
【0076】
具体的には、フラットケーブル60は、図9に示すように、ケース20の収容空間Xにおいて、スライドシート2のスライド動作に追従可能な余長を有して、前後方向にUターンするように配索している。
【0077】
なお、フラットケーブル60は、複数の扁平な導体を、フラットケーブル60の幅方向に所定のピッチで平行に配列し、絶縁被覆体で被覆した可撓性を有する帯状の伝送線である。
【0078】
フラットケーブル60の一端は、図5に示すように、幅方向を略垂直にして固定側導出部33に接続するとともに、導出側固定部34に粘着テープ5で固定している。そして、フラットケーブル60は、収容空間Xにおいて、図9に示すように、幅方向を略垂直にして後方向に略直線的に配置した固定側直線部61、固定側直線部61の先端をフラットケーブル60の厚み方向、すなわち車幅方向に略U字状に反転した反転部62、及び反転部62の先端から前方向に向かって直線的に配置した可動側直線部63を構成している。
【0079】
なお、図9に示すように、スライドシート2が最前端に位置した状態において、フラットケーブル60は、固定側直線部61、及び可動側直線部63の長さが略同等になるとともに、反転部62がケース20の前後方向略中央に位置している。
【0080】
また、ケース20の収容空間Xにおいて、フラットケーブル60の固定側直線部61、及び可動側直線部63は、図3、及び図4に示すように、右側面22、及び左側面23の前後方向に沿うように底面24に載置している。つまり、底面24において、固定側直線部61、及び可動側直線部63が接触摺動する部分を摺動部Tとすると、摺動部Tは、スリット開口部25より車幅方向外側に位置している。
【0081】
一方、フラットケーブル60の他端となる可動側直線部63の先端は、図8に示すように、スライダ50のケーブル固定部53の左側面に粘着テープ5で固定している。
【0082】
そして、フラットケーブル60は、ケーブル固定部53の側面に沿って前方向に取り回したのち、可動側導出部52の前面に沿って上方向に導出したケーブル導出部64を構成している。なお、ケーブル導出部64は、可動側導出部52における前面の適宜の位置に粘着テープ5で固定している。また、ケーブル導出部64の先端は、センサー4に接続している。
【0083】
次に、スライドシート2のスライド動作に追従して、スライダ50、及びフラットケーブル60がスライド方向へ自在に移動する動作について、図1、及び図9を用いて説明する。
【0084】
図1に示すように、最前端に位置するスライドシート2が後方向に移動すると、スライドシート2に固定したスライダ50は、スライドシート2のスライド動作に追従して後方向に移動する。
【0085】
この際、スライダ50の可動側導出部52がスリット開口部25に沿って後方向に移動するとともに、スライダ50のスライド固定部53がケース20の収容空間Xをスライドシート2の動作に遅れることなく後方向に移動する。
【0086】
また、ケーブル固定部53が後方向に移動すると、図9に示すように、フラットケーブル60の可動側直線部63には、ケーブル固定部53により後方向に向かって押す力が加わる。これにより、フラットケーブル60の反転部62は、ケーブル固定部53の移動量に応じた長さの可動側直線部63を、固定側直線部61へ送り出しながら後方向に移動する。
【0087】
そして、スライドシート2が最後端に移動すると、図9に示すように、フラットケーブル60は、反転部62がケーブル固定部53の後端と近接するとともに、固定側直線部61の長さがスライドシート2の移動量と略同等になり、固定側直線部61と可動側直線部63との長さバランスが変化する。
【0088】
一方、最後端に位置するスライドシート2を前方向に移動した場合、ケース20の収容空間Xにおけるフラットケーブル60の可動側直線部63には、スライダ50のケーブル固定部53により前方向に向かって引く力が加わる。これにより、フラットケーブル60の反転部62は、ケーブル固定部53の移動量に応じた長さの固定側直線部61を、可動側直線部63へ送り出しながら前方向に移動する。
【0089】
以上のような動作を実現できる上述の構成の給電装置10は、小型化、及び軽量化を図るとともに、電気的な接続をより確実に維持することができる。
【0090】
具体的には、車体側とスライドシート2側との電気的な接続にフラットケーブル60を用いることで、導体を束ねた電線に対して軽量化を図ることができる。また、フラットケーブル60は、導体を束ねた電線に対して屈曲半径を小さくすることができる。すなわち、略U字状に反転したフラットケーブル60を収容するケース20の車幅方向幅をより小さくすることができる。
【0091】
さらに、フラットケーブル60の幅方向を底面24に対して略垂直して配置したことにより、フラットケーブル60と底面24との接触面積を極端に小さくすることができる。これにより、侵入した異物をフラットケーブル60が噛み込むことを抑制でき、フラットケーブル60の損傷や断線を防止することができる。
【0092】
加えて、給電装置10は、ケース20を小型化することにより、特別な補強をすることなくケース剛性の向上を図ることができる。そして、給電装置10は、小型化による軽量化を実現することができるため、省エネ化、及びコスト低減を図ることができる。
【0093】
従って、給電装置10は、小型化、及び軽量化を図るとともに、電気的な接続をより確実に維持することができる。
【0094】
また、ケーブル固定部53と、フラットケーブル60のケーブル導出部64を固定する可動側導出部52と、シート固定部51とでスライダ50を構成することにより、スライドシート2のスライド動作に追従可能な余長を有するフラットケーブル60を、スライドシート2に直接固定することなく、ケース20の外部に導出することができる。
【0095】
さらに、フラットケーブル60を可動側導出部52に固定することで、スライド動作により、余分なフラットケーブル60がケース20外部に露出することを防止できる。これにより、フラットケーブル60に乗員が足を引っ掛けるなどするおそれがなく、ケース20の外部におけるフラットケーブル60の損傷や断線を防止することができる。
【0096】
加えて、フラットケーブル60のケーブル導出部64を可動側導出部52の前面に固定しているため、ケーブル導出部64がケース20のスリット開口部25などと摺動するおそれがない。これにより、フラットケーブル60の破損や断線を防止することができる。
【0097】
従って、給電装置10は、小型化、及び軽量化しても電気的な接続をより確実に維持することができる。
【0098】
また、ケーブル固定部53をスライドシート2から釣止した状態でケース20の収容空間Xに収容することにより、ケーブル固定部53は、ケース20の収容空間Xにおいて、ケース20の内面、及びフラットケーブル60で支持することなく収容できる。つまり、ケーブル固定部53は、スライドシート2から宙吊り状態でケース20の収容空間Xに収容することができる。これにより、ケーブル固定部53がスライドシート2のスライド動作に追従してスライド方向に移動しても、フラットケーブル60の固定側直線部61と摺動するおそれがないため、フラットケーブル60の損傷や断線を防止することができる。
【0099】
さらに、ケース20の収容空間Xにおいて、ケーブル固定部53がケース20の内面、及びフラットケーブル60と接触しないため、スライド動作にかかる抵抗を極端に小さくすることができる。つまり、スライドシート2に追従してスライド方向に移動するスライダ50を構成するシート固定部51や可動側導出部52を強固に形成する必要がなく、スライダ50の小型化、軽量化を図ることができる。
【0100】
加えて、ケース20の収容空間Xに異物が侵入しても、ケース20の内面、及びフラットケーブル60と、ケーブル固定部53に適度な隙間があるため、ケーブル固定部53が異物を噛み込んでスライド方向に移動するおそれがない。すなわち、ケーブル固定部53は、スライドシート2のスライド動作にスムーズに追従することができる。
【0101】
万一、スライドシート2がスライド動作する際、スライダ50がスライド方向に傾くようなことがあっても、ケーブル固定部53は、ケース20の内面と干渉するおそれがない。
従って、給電装置10は、小型化、及び軽量化を図るとともに、電気的な接続をより確実に維持しながらも、スムーズなスライド動作を実現することができる。
【0102】
また、スリット開口部25を上面21に形成することにより、上面21における開口率を最低限に抑えることができる。また、スリット開口部25により、スライドシート2、及びスライダ50のスライド動作を阻害することなく、上面21からケース20の収容空間Xに異物が侵入することを抑制できる。
従って、給電装置10は、小型化、及び軽量化しても電気的な接続をより確実に維持することができる。
【0103】
また、ケース20の底面24上において、フラットケーブル60の可動側直線部63、及び固定側直線部61が摺動する摺動部Tを、スリット開口部25に対向する位置よりケース20の車幅方向外側に設けることにより、スリット開口部25から侵入した異物が、直接、摺動部Tに付着するおそれを防止することができる。すなわち、異物を噛み込むことによるフラットケーブル60の損傷や断線を防止することができる。
従って、給電装置10は、小型化、及び軽量化しても電気的な接続をより確実に維持することができる。
【0104】
また、底面24に底溝部26を形成することにより、スリット開口部25から侵入した異物を底溝部26で受け止めることができる。さらに、底溝部26を略凹状に形成しているため、受け止めた異物が容易に飛び出すことを防止できる。これにより、底面24上に異物が付着し難くなるため、フラットケーブル60の損傷や断線をより確実に防止することできる。
【0105】
万一、底面24上に異物が付着しても、フラットケーブル60の反転部62がスライド方向に摺動する際、底面24上の異物を底溝部26に払い落とすことができる。
従って、給電装置10は、小型化、及び軽量化しても電気的な接続をより確実に維持することができる。
【0106】
また、ケース20に前部カバー部30、及び後部カバー部40を備えたことにより、ケース20の収容空間Xに異物が侵入することを抑制するとともに、底溝部26で受け止めた異物を排出することができる。
【0107】
具体的には、後部カバー部40により、前下がりの床面1に固定したケース20の後部端における開口から、ケース20の収容空間Xに異物が侵入することを抑制できる。
【0108】
一方、前部カバー部30により、ケース20の前部端には底溝部26による底溝開口部27を形成することができる。そして、ケース20の後部端に対して前部端は相対的に低い位置となるため、底溝部26で受け止めた異物を底溝開口部27から排出することができる。
【0109】
つまり、相対的に前下がりに配置したケース20において、前部カバー部30、及び後部カバー部40を備えたことにより、ケース20の収容空間Xに異物が侵入することを抑制するとともに、侵入した異物をスムーズに排出することができる。
従って、給電装置10は、小型化、及び軽量化しても電気的な接続をより確実に維持することができる。
【0110】
また、スライドシート2のスライド方向に対して、前部固定部32、及び後部固定部42を形成したことにより、ケース20に伝達したスライドシート2のスライド動作による抵抗を確実に受け止めることができる。さらに、ケース20の車幅方向における幅を抑えることができるため、ケース20を小型化することができる。
【0111】
また、ケース20の収容空間Xにおいてケーブル固定部53を宙吊り状態で収容することで、スライド動作による抵抗がより小さくなるため、車体との固定箇所を削減することができる。すなわち、給電装置10は、車体と固定する固定箇所を必要最低限にすることができる。これにより、給電装置10は、部品点数を削減して、より一層の軽量化、コスト低減を図ることができる。
従って、給電装置10は、スライド動作による抵抗を確実に受け止めながら、より小型化、及び軽量化を図ることができる。
【0112】
また、フラットケーブル60は、センサー4と接続しているため、導体を2本程度にして構成することができる。すなわち、フラットケーブル60の幅方向を小さくできるため、ケース20は、上下方向においても小型化を図ることができる。
【0113】
なお、本実施例において、スライドシート2のスライド方向を、車両の前後方向としたが、車両の左右方向としてもよい。
【0114】
また、給電装置10をスライドシート2のスライド機構とは別に設けたが、給電装置10をスライドシート2のスライド機構と一体に構成してもよい。例えば、スライド機構のスライドレールに収容固定にしてもよい。
【0115】
また、ケース20を床面1に固定し、スライダ50をスライドシート2に固定したが、スライダ50を床面1に固定し、ケース20をスライドシート2の底部に固定してもよい。
【0116】
また、ケース20に対してスライダ50を1つ備えた給電装置10としたが、ケース20に2つ以上のスライダ50、及びをスライダ50に対応する本数のフラットケーブル60を備えた給電装置10としてもよい。これにより、1つの給電装置10で、ミニバンなどにおける2列目、及び3列目のスライドシート2と車体側とを電気的に接続することができる。
【0117】
また、フラットケーブル60を粘着テープ5で固定したが、これに限定せず結束バンド、あるいはケーブル固定部53、及び導出側固定部34に係止部を形成してもよい。
【0118】
また、フラットケーブル60を、可撓性を有する外装材で包囲してもよい。例えば、網目状に形成した樹脂製の外装材、あるいは可撓性を有する樹脂製の外装材で包囲してもよい。これにより、フラットケーブル60がスライド動作による摺動や異物により損傷や断線することをより確実に抑制できる。
【0119】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のスライドシート用給電装置は、実施形態の給電装置10に対応し、
以下同様に、
スライド方向は、前後方向に対応し、
基面は、底面24に対応し、
起立面は、右側面22、左側面23に対応し、
第1直線部は、可動側直線部63に対応し、
第2直線部は、固定側直線部61に対応し、
導出部は、可動側導出部52に対応し、
対向面は、上面21に対応し、
ケース固定部は、前部固定部32、後部固定部42に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、相対体的にスライド動作する機構において、双方を電気的に接続して給電するような装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0121】
2…スライドシート
10…給電装置
20…ケース
21…上面
22…右側面
23…左側面
24…底面
25…スリット開口部
26…底溝部
30…前部カバー部
32…前部固定部
40…後部カバー部
42…前部固定部
50…スライダ
51…シート固定部
52…可動側導出部
53…ケーブル固定部
60…フラットケーブル
61…固定側直線部
62…反転部
63…可動側直線部
T…摺動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体側と、前記車体に対して所定の方向にスライド動作可能なスライドシート側とを電気的に接続して給電するスライドシート用給電装置であって、
前記スライドシートのスライド方向に対して平行に配置するとともに、少なくとも前記スライド方向を長手方向とする略平板状の基面、及び該基面の短手方向両端から立設した略平板状の2つの起立面を備えたケースと、
前記スライドシート側、及び前記車体側を電気的に接続するとともに、幅方向を前記基面に対して略垂直にして、前記ケースの内部に収容した少なくとも1本の帯状のフラットケーブルと、
該フラットケーブルの一端を固定するとともに、前記スライドシートのスライド動作に追従可能にして、前記ケースの内部に収容した少なくとも1つのケーブル固定部とを備え、
前記フラットケーブルを、
前記ケーブル固定部から前記長手方向に略直線的に配置した第1直線部と、該第1直線部の先端から前記フラットケーブルの厚み方向に略U字状に反転した反転部と、該反転部の先端から長手方向に略直線的に配置した第2直線部とで、前記スライド動作に追従可能な余長を有して摺動可能に配索した
スライドシート用給電装置。
【請求項2】
前記ケーブル固定部と、
前記ケーブル固定部から立設するとともに、前記フラットケーブルを前記長手方向で対向する一方の面に固定して上方に導出する導出部と、
該導出部の上端に形成するとともに、前記スライドシートに固定するシート固定部とで構成したスライダを備えた
請求項1に記載のスライドシート用給電装置。
【請求項3】
前記ケーブル固定部を、
前記スライドシートから釣止した状態で前記ケースの内部に収容した
請求項1または2に記載のスライドシート用給電装置。
【請求項4】
前記ケースに、
前記長手方向に延在して、前記ケーブル固定部と前記スライドシートとの連結が貫通するスリット状のスリット開口部を短手方向略中央に有するとともに、前記基面に対向する対向面を備えた
請求項3に記載のスライドシート用給電装置。
【請求項5】
前記ケースの前記基面上において、前記フラットケーブルの第1直線部、及び第2直線部が摺動する摺動部を、
前記スリット開口部に対向する位置より前記ケースの短手方向外側に設けた
請求項4に記載のスライドシート用給電装置。
【請求項6】
前記スリット開口部に対向する前記基面に、
前記スリット開口部の前記短手方向幅より大きく、かつ前記フラットケーブルの第1直線部、及び第2直線部間における前記短手方向幅より小さい短手方向幅で略凹状に形成した底溝部を備えた
請求項4または5に記載のスライドシート用給電装置。
【請求項7】
前記ケースの長手方向を前後方向として、相対的に前下がりに配置し、
前記ケースの後部端における開口を閉塞する後部カバー部と、
前記ケースの前部端において前記基面、前記対向面、及び2つの前記起立面による開口を閉塞する前部カバー部とを備えた
請求項6に記載のスライドシート用給電装置。
【請求項8】
前記前部カバー部、及び前記後部カバー部における前記長手方向の端部に、
前記ケースを前記車体に固定するケース固定部を一体で形成した
請求項7に記載のスライドシート用給電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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