スライド操作式スイッチ
【課題】 部品点数が少なく、薄型に構成可能なスライド操作式スイッチを提供する。
【解決手段】 ケース1に対してスライド移動自在に収められたスライド部材5と、スライド部材5を中立位置に付勢する付勢部材3とを備えるスライド操作式スイッチであって、ケース1を底部1Fに第一電極対1Aと第二電極対1Cを備えて構成し、付勢部材3を背壁部3Bと背壁部3Bとは反対側に備えられた第一導電体3Aとを有する突出部3Pを床部3Fの一方の面の側に備えて構成する。床部3Fの他方の面の側に第二導電体2を備え、スライド部材5が付勢力に抗して突出部3Pの方向へ操作された場合には、突出部3Pが弾性変形して、第一導電体3Aを介して第一電極対1Aの各電極同士が導通し、スライド部材5が中立位置において付勢部材3の床部方向に押圧された場合には、第二導電体2を介して第二電極対1Cの各電極同士が導通する。
【解決手段】 ケース1に対してスライド移動自在に収められたスライド部材5と、スライド部材5を中立位置に付勢する付勢部材3とを備えるスライド操作式スイッチであって、ケース1を底部1Fに第一電極対1Aと第二電極対1Cを備えて構成し、付勢部材3を背壁部3Bと背壁部3Bとは反対側に備えられた第一導電体3Aとを有する突出部3Pを床部3Fの一方の面の側に備えて構成する。床部3Fの他方の面の側に第二導電体2を備え、スライド部材5が付勢力に抗して突出部3Pの方向へ操作された場合には、突出部3Pが弾性変形して、第一導電体3Aを介して第一電極対1Aの各電極同士が導通し、スライド部材5が中立位置において付勢部材3の床部方向に押圧された場合には、第二導電体2を介して第二電極対1Cの各電極同士が導通する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースに対してスライド移動自在に収められたスライド部材と、このスライド部材を中立位置に付勢する付勢部材と、この付勢部材の付勢力に抗して前記スライド部材を操作した際に電気的な導通状態を生じるスライド操作式スイッチに関する。また、さらにこのスライド部材を押し込み操作した際にも電気的な導通状態を生じる多接点のスライド操作式スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなスライド操作式スイッチとして、下記に示す特許文献1には操作部材の押し込み動作を通じて動作される第1スイッチと操作部材の揺動動作を通じて動作される複数の第2スイッチとを備えた多接点入力装置の発明が記載されている。
この第1スイッチは、操作部材の押し込み動作により金属ドームを押圧し、これにより生じるスナップ動作を通じて開閉されるものである。第2スイッチは、第1スイッチから等間隔を隔てた周囲の複数箇所に配備され、操作部材の揺動動作によりアーチ状のスナップ板を押圧し、これにより生じるスナップ動作を通じて開閉されるものである。
特許文献1には好適な実施形態としては、第1スイッチを中心に備え、第1スイッチから等間隔を隔てた周囲にそれぞれ90度ずつ離れて4つの第2スイッチを備える構成が示されている。操作部材の揺動により、1つの第2スイッチを開閉するが、同時に2つの第2スイッチを開閉操作することがないように突起を設けて一定の方向への揺動の移動量を規制している。
【0003】
また、下記に示す特許文献2には、スライド部材を中立位置に付勢する付勢部材の付勢力に抗してスライド部材を操作した際に電気的な導通状態を生じるスライド操作式スイッチの発明が記載されている。
付勢部材は、正方形状のスライド部材の周壁部を嵌め込み支持する正方形の開口を形成した保持部を有してスライド部材を中立位置に付勢する。付勢部材が収納されるケースは、スライド部材よりも大きい正方形状の底壁とこの底壁の周囲を取り囲む状態で底壁から立ち上がる壁部を有している。付勢部材は、この壁部の角部に向けて正方形状の開口部の角部から突設した突出部を有している。この突出部は開口部の角部から突出部の形成方向に向かって切り開いた状態となるスリットを形成している。スライド部材をスライドさせるとスリットが開き、付勢部材の開口の外側に設けたられた導電体がケースの壁部に設けられた対となる電極間を導通させる。
また、特許文献2には、さらにこのスライド部材を押し込み操作した際にも電気的な導通状態を生じる多接点のスライド操作式スイッチの発明が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−111119号公報(第21〜26段落、第31段落、第2図、第4〜6図、第8〜11図)
【特許文献2】特開2002−140960号公報(第6〜11段落、第23〜30段落、第2〜6図、第10図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1にスイッチでは、周辺部の4つの第2スイッチを操作部材の揺動操作により開閉するため、操作部材を押して傾けるという動作を伴う。第2スイッチの複数が同時に入力されることを想定して操作部材を規制する機構は備えているが、第1スイッチと第2スイッチとが同時に入力される可能性は完全には排除されていない。
【0006】
特許文献2のスイッチは、周辺部のスイッチはスライド部材のスライド操作で開閉し、中心部のスイッチはスライド部材の押し込み操作で開閉する。両スイッチを操作する動作が異なるため、両スイッチが同時に入力される可能性は特許文献1の構成よりも低くなる。また、特許文献1の4つのスナップ板に対し、特許文献2では1つの付勢部材を利用して周辺部のスライドスイッチを開閉する。従って、特許文献2のスイッチは、より少ない部品点数で構成できる。しかし、特許文献2のスイッチは、スライド方式のスイッチだけを有する場合には薄く構成できる(特許文献2第3図参照)が、押し込み操作した場合のスイッチも有するとその分だけ厚みを増す構成となる(特許文献2第10図参照)。つまり、スライド方式のスイッチの下部に中間作動部材(特許文献2第10図符号15参照)を備え、この中間作動部材のさらに下部に押し込み操作した場合のスイッチを有する構造である。従って、スイッチ全体の厚みが増し、中間作動部材を必要とする分、部品点数の増化を招く。
【0007】
本願発明は上記課題に鑑みてなされたもので、部品点数が少なく、薄型に構成可能なスライド操作式スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するための本発明に係るスライド操作式スイッチの特徴構成は、ケースに対してスライド移動自在に収められたスライド部材と、このスライド部材を中立位置に付勢する付勢部材と、この付勢部材の付勢力に抗して前記スライド部材を操作した際に電気的な導通状態を生じるものであって、
前記ケースを、底部に少なくとも1対の電極対を備えて構成し、前記付勢部材を、前記スライド部材を前記中立位置に付勢する背壁部と、この背壁部とは反対側に備えられた導電体とを有する突出部を備えて構成して、前記スライド部材が付勢力に抗して前記突出部の方向へ操作された場合には、この突出部が弾性変形して前記導電体を介して前記電極対の各電極同士が導通する点にある。
【0009】
この特徴構成によれば、付勢部材に突出部を備え、この突出部が有する背壁によってスライド部材を中立位置に付勢する。そして、スライド部材が付勢力に抗して突出部の方向へ操作されると、突出部が弾性変形する。突出部の背壁とは反対側には導電体が備えられており、突出部の弾性変形に伴ってこの導電体がケースの底部に備えられた電極対の各電極同士を導通させる。このように電極対を導通させる導電体が付勢部材に一体化されているため、少ない部品点数でスライド操作式スイッチを構成することができる。
上述した特許文献2の構成においても付勢部材に導電体を備えているが、電極はケースの底から立ち上がる壁面に備えられている。このため、電極の高さ分の壁面がケースに必要となり、これがスライド操作式スイッチの薄型化の限界となる。本発明の構成では、電極対がケースの底部に備えられるため、ケースの壁面は電極に依存されず、薄型化が容易となる。
このように本特徴構成によれば、部品点数が少なく、薄型に構成可能はスライド操作式スイッチを得ることができる。
【0010】
また、前記電極対及び前記突出部を、方形状の前記ケースの前記底部の四方の外周側にそれぞれ備え、前記付勢力に抗して前記スライド部材が何れか一つ又は二つの前記突出部の方向へ操作された場合は、当該一つ又は二つの突出部が有する前記導電体を介して前記電極対の各電極同士が導通するものであると好適である。
【0011】
電極対を方形状のケースの底部の四方の外周側にそれぞれ備え、突出部を方形状の付勢部材の四方の外周にそれぞれ備えて構成すると、それぞれの突出部の背壁は方形状の付勢部材の中心に向いて互いに対向する。そして、ケースや付勢部材と相似形の方形状に構成されたスライド部材は、その四方を4つの背壁部によって良好に支持される。その結果、スライド部材は良好に中立位置に付勢され、多数の接点を有するスライド操作式スイッチを得ることができる。
【0012】
また、本発明に係るスライド操作式スイッチの別の特徴構成は、ケースに対してスライド移動自在に収められたスライド部材と、このスライド部材を中立位置に付勢する付勢部材と、この付勢部材の付勢力に抗して前記スライド部材を操作した際に電気的な導通状態を生じるスライド操作式スイッチであって、
前記ケースを、底部に少なくとも1対の第一電極対と、1対の第二電極対とを備えて構成し、前記付勢部材を、平坦な床部の一方の面の側に立ち上がり前記スライド部材を前記中立位置に付勢する背壁部と、この背壁部とは反対側に備えられた第一導電体とを有する突出部を備えて構成すると共に、前記床部の他方の面の側に第二導電体を備え、
前記スライド部材が付勢力に抗して前記突出部の方向へ操作された場合には、この突出部が弾性変形して、前記第一導電体を介して前記第一電極対の各電極同士が導通し、前記スライド部材が前記中立位置において前記床部の方向に押圧された場合には、前記第二導電体を介して前記第二電極対の各電極同士が導通する点にある。
【0013】
この特徴構成によれば、付勢部材に突出部を備え、この突出部が有する背壁によってスライド部材を中立位置に付勢する。そして、スライド部材が付勢力に抗して突出部の方向へ操作されると、突出部が弾性変形する。突出部の背壁とは反対側には第一導電体が備えられており、突出部の弾性変形に伴ってこの第一導電体がケースの底部に備えられた第一電極対の各電極同士を導通させる。さらに、スライド部材が中立位置において付勢部材の床部方向に押圧された場合は、第二導電体が前記第二電極対の各電極対同士を導通させる。このように少なくとも第一電極対を導通させる第一導電体が付勢部材に一体化されており、第二導電体は別部品であっても1つの部品であるため、少ない部品点数でスライド操作式スイッチを構成することができる。もちろん、第二導電体が付勢部材の他方の面の側に一体化されていれば、さらに少ない部品点数で構成することができる。
【0014】
上述した特許文献2の構成においても付勢部材に第一導電体に相当する導電体を備えている。しかし、第一導電体に相当する導電体はケースの底から立ち上がる壁面に備えられており、第一導電体に相当する導電体の高さ分の壁面がケースに必要となる。これはスライド操作式スイッチの薄型化の限界となる。
また、特許文献2の構成では付勢部材が環状に構成されており、中立位置に付勢されたスライド部材の下方(ケースの方向)には付勢部材が存在しない。このため、第二導電体を付勢部材と一体化することはできない。さらに、第一導電体と第一電極対とによるスライド操作式スイッチの下部に、第二導電体と第二電極対とを備えた2階建て構造となって薄型化の妨げとなっている。また、この2階建て構造に起因して、第二導電体に相当する導電体と付勢部材との間には中間作動部材を必要している。
本発明の構成では、第一電極対及び第二電極対が共に同じケースの底部に備えられるため、ケースの壁面は電極に依存されず、薄型化が容易となる。また、スライド操作によるスイッチと押し込み操作によるスイッチとを2階建て構造にしたものではなく、一層構造であるので、良好に薄型化が図れる。中間作動部材も必要としないので、より少ない部品点数でスライド操作式スイッチを得ることができる。
このように本特徴構成によれば、部品点数が少なく、薄型に構成可能なスライド操作式スイッチを得ることができる。
【0015】
また、前記第一電極対及び前記突出部を、方形状の前記ケースの前記底部の四方の外周側にそれぞれ備え、前記付勢力に抗して前記スライド部材が何れか一つ又は二つの前記突出部の方向へ操作された場合は、当該一つ又は二つの突出部が有する前記第一導電体を介して前記第一電極対の各電極同士が導通するものであると好適である。
【0016】
第一電極対を方形状のケースの底部の四方の外周側にそれぞれ備え、突出部を方形状の付勢部材の四方の外周にそれぞれ備えて構成すると、それぞれの突出部の背壁は方形状の付勢部材の中心に向いて互いに対向する。好適にはケースや付勢部材と相似形の方形状に構成されたスライド部材は、その四方を4つの背壁によって良好に支持される。その結果、スライド部材は良好に中立位置に付勢される。スライド部材は、方形状の付勢部材の中心部を中立位置とするので、この中立位置の下部に位置する第二電極対及び第二導電体との位置決め精度を向上することができる。
【0017】
ここで、前記第二電極対を同心円状に構成し、前記第二導電体を金属ドームで構成すると好適である。
【0018】
上述したように、突出部を方形状の付勢部材の四方の外周にそれぞれ備えて構成すると、それぞれの突出部の背壁部は方形状の付勢部材の中心に向いて互いに対向する。スライド部材は、方形状の付勢部材の中心部を中立位置とする。従って方形状の付勢部材の中心部を中心とする同心円状に第二電極対を構成すると、四方に備えられた第一電極対の全てと均等な位置に第二電極対を設けることができる。その結果、スライド操作によるスイッチと押し込み操作によるスイッチとの両機能を安定して発揮することのできるスライド操作式スイッチを得ることができる。
この同心円状の第二電極対を導通させる第二導電体を金属ドームで構成すると、同心円状の外側の第二電極は常に第二導電体と接触し、押し込み操作に従って同心円状の内側の第二電極を第二導電体に接触させることができる。その結果、押し込み方向に偏りが生じた場合でも良好に第二電極対を導通させることができる。また、金属ドームの中央部を押し込み操作によってへこませ、押し込み操作の解除にともなって復帰させるので、押し込み操作によるクリック感を操作者に与えることができる。
【0019】
また、前記第二電極対の外周に前記金属ドームを規制する複数の突起を有すると好適である。
【0020】
第二導電体を別部品である金属ドームで構成する場合、金属ドームが所定の位置からずれる可能性がある。しかし、上記のように第二電極対の外周に金属ドームを規制するための突起を設けると、このずれを抑制することができて好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るスライド操作式スイッチの分解斜視図である。図1に示すようにケース1、金属ドーム2、付勢部材3、シート4、スライダー5、カバー6、キートップ7を順次重ね合わせてスライド操作式スイッチを構成する。
【0022】
ケース1は、例えばLCP樹脂(液晶ポリエステル樹脂)などを用いて成形されるものである。LCP樹脂は、耐熱性と成形性に優れた樹脂材料である。近年、環境問題に鑑みて鉛フリー半田の導入が急速に進んでいるが、一般に鉛フリー半田は鉛を含有する半田に比べて融点が高い。そのため、電子部品を基板に半田付けする際のリフロー温度を従来よりも摂氏10〜25度程度高温にする必要が生じる。その影響により、コネクタやスイッチといった成形品に金属端子を有する表面実装部品に対しても耐熱性の向上が望まれている。そのため、本実施形態のように耐熱性に優れた樹脂材料を用いて最も基板に近い場所に配置されるケース1を成形することは好ましいことである。
【0023】
本例においてケース1は、方形(本例では正方形)の底部1Fと、この底部1Fの周部を取り囲む状態で底部1Fから垂直に立ち上がる4辺の壁とを有した箱型形状である。底部1Fの各辺の中央部には、1対の第一電極対1A(本発明の電極対及び第一電極対に相当する)が、各辺に沿って並列に備えられている。底部1Fの中心部には、第二電極対1Cが、底部1Fの中心を中心とする同心円状に備えられている。ケース1の各壁の中央部外側下方には、第一電極対1Aのそれぞれの電極に対応して第一端子対1Tが突出している。本例では、図1に示すように4辺の第一電極対1Aに対応して4つの第一端子対1Tを有している。また、ケース1の対向する壁の一方の組の端部外側下方には、第二電極対1Cのそれぞれの電極に対応して第二端子対1Zが点対称に突出している。これらの電極や端子は、リン青銅などの導電性材料を用いて構成される。
【0024】
第二電極対1Cは、図1に示すように少しケース1の底部1Fを円形に掘り下げて(凹部を設けて)備えられている。この円形の凹部に例えばりん青銅やステンレス等の金材料属を用いて、中心部が盛り上がった形状の金属ドーム2を設置する。この金属ドーム2は、本発明の第二導電体に相当するものである。金属ドーム2は、同心円状の第二電極対1Cの外側の電極との間で常閉接点を構成する。詳細は後述するが、金属ドーム2の中心部は、第二電極対1Cの内側の電極との間で常開接点を構成する。金属ドーム2の中心部が押圧され、第二電極対1Cの内側の電極と接触すると、第二電極対1Cの2つの電極が金属ドーム2によって導通する。この金属ドーム2の変形及び復元により、押し込み操作時のクリック感を使用者に与えることができる。また、金属ドーム2は押し込み操作の方向において、後述する付勢部材3の床部3Fと共にスライダー5を中立位置に付勢する機能を分担することもできる。また、付勢部材3が床部3Fを有さないような場合は金属ドーム2が単独で押し込み操作の方向における付勢手段として機能してもよい。
【0025】
付勢部材3は、シリコーンラバー、EPDM(エチレンプロピレンゴム:Ethylene Propylene Diene Monomer)、ポリエステルエラストマー(Polyethylene elastomer)等の電気的に絶縁性を有し、柔軟に弾性変形する材料を用いて成形される。図1に示すように、付勢部材3の外形は、上面視がケース1の底部1Fとほぼ同程度の方形(本例では正方形)であり、ケース1の4辺の壁の内側に良好に収納される。
【0026】
付勢部材3は、各辺の中央部に、床部3Fの外周側に開口した開口部を有する突出部3Pを備えている。この突出部3Pは、平坦な床部3Fよりほぼ垂直に立ち上がる背壁部3Bと、この背壁部3Bの両端の側壁部3Sと、これらの壁部(背壁部3B及び側壁部3S)に支持されて底部1Fにほぼ平行する天井部3Rとを有している。そして、これら壁部及び天井部3Rに囲まれて床部3Fの外周側に開口した開口部とを有している。側壁部3Sは、天井部3Rから床部3Fに向かってやや広がりをもっている。天井部3Rは、辺方向にケース1に備えられた第一電極対1Aの2つの電極間よりも長い長さを有している。そして、天井部3Rの裏側、即ち開口部の内側には、やはり第一電極対1Aの2つの電極間よりも長い長さの第一導電体3Aを有している。この第一導電体3Aは、樹脂等に炭素を含有させるなどした導電性材料を用いて付勢部材3と一体成形される。
【0027】
詳細は後述するが、この第一導電体3Aは、第一電極対1Aの両電極との間で常開接点を構成する。突出部3Pが弾性変形して第一電極対1Aの両電極と接触することにより、第一電極対1Aの2つの電極が導通する。尚、第二電極対1Cを金属ドーム2により導通させる構成について上述したが、剛性の高い金属ドーム2のクリック感を要しないような場合、下記のように構成することができる。つまり、付勢部材3の中心部裏面側、即ち突出部3Pが突出する面とは反対の面に導電体を一体成形してもよい。この場合、スライダー5の押し込み操作方向における単独の付勢手段として付勢部材3が機能する。
【0028】
スライダー5は、本発明のスライド部材に相当する。スライダー5は、その本体部分が付勢部材3の突出部3Pの背壁部3Bによって囲まれた方形(本例では正方形)にほぼ一致する方形に構成されている。付勢部材3の床部3Fにスライダー5とほぼ同じ大きさのシート4を敷き、その上にスライダー5が背壁部3Bに囲まれるように収納される。スライダー5は、その本体部分の四方を背壁部3Bによって付勢され、ケース1及び付勢部材3の中心部を中立位置として付勢される。詳細は後述するが、この中立位置よりスライダー5をスライド操作することにより、スライド操作式スイッチを作動させる。付勢部材3は上述したようにゴムなどの弾性材料からなり、一般に摩擦係数が高い。シート4は、摩擦係数の高い付勢部材3の床部3Fにおいてスライダー5が良好な滑動性を得られるように設けられている。このため、シート4には摩擦係数の低いPET(ポリエチレンテレフタレート:Polyethylene Terephthalate)やポリイミド(Polyimide)などを用いるとよい。スライダー5は、摩擦磨耗特性に優れ、騒音が発生しにくく安定した摺動が得られるポリアミド(Polyamide)などを用いるとよい。スライダー5の本体部分の下面側(図1では不可視)には、本体部分よりも小さい突出面を有している(図3参照)。スライダー5は、この突出面とシート4との間で摺動する。
【0029】
ケース1、金属ドーム2、付勢部材3、シート4、スライダー5を順次重ね合わせ、さらにカバー6を重ねる。カバー6は、ケース1の外形とほぼ同等の方形(本例では正方形)の外形を有し、平坦な天井部から各辺垂直に垂れ下がる壁部を有した蓋状の形態である。カバー6は、リン青銅やステンレス等の剛性のある金属材料を用いて薄く形成される。スライド操作式スイッチに対する外来ノイズを防止すると共に、スイッチの強度を保持する役割を担っている。
【0030】
カバー6の天井部にはスライダー5の外形よりも小さな方形(本例では正方形)の窓部6Wが設けられている。スライダー5の中央部には、中央に切り欠きを有した係合突起5Pが備えられている。窓部6Wは、この係合突起5Pが良好に延出可能で、スライド操作に伴う移動が可能な広さを有している。
【0031】
カバー6の壁部の内、対向する一方の2辺にはそれぞれ1つの係合穴6Dを有している。また、他方の2辺には係合穴6Dとは形状の異なる係合穴6Eを各辺に2つずつ有している。ケース1の対向する一方の2辺の壁部の外側には、それぞれ係合穴6Dに対応する係合突起1Dが形成されている。また、他方の2辺の壁部の外側には、それぞれ係合穴6Eに対応する係合突起1Eが形成されている。ケース1、金属ドーム2、付勢部材3、シート4、スライダー5を順次重ね合わせ、さらにカバー6を重ねて押圧すると、係合突起1Dと係合穴6Dとが係合し、係合突起1Eと係合穴6Eとが係合する。こうして、ケース1とカバー6とが固定される。そして、ケース1とカバー6との間で金属ドーム2、付勢部材3、シート4、スライダー5が所定位置(中立位置)に保持される。
【0032】
キートップ7は、平坦部と、平坦部から立ち上がる突起部7Pと、突起部7Pの底に係合穴7Hとを有している。上述したように、ケース1、金属ドーム2、付勢部材3、シート4、スライダー5、カバー6が重ねあわされた状態において、カバー6の窓部6Wからは、スライダー5の係合突起5Pが延出している。スライダー5の係合突起5Pにキートップ7の係合穴7Hを係合させ、スライダー5とキートップ7とを固定すると、キートップ7の操作によりスライダー5が操作可能となる。詳細は後述するが、キートップ7を図1に示す矢印X1、X2、Y1、Y2方向にスライドさせることにより、このスライド操作がスライダー5、付勢部材3を介してスライド操作式スイッチを作動させる。また、キートップ7を矢印Z方向に押し込み操作することにより、スライダー5、付勢部材3、金属ドーム2を介してスライド操作式スイッチを作動させる。このため、キートップ7とカバー6との間には上記操作を円滑に行うための所定の隙間が設けられている。尚、キートップ7は、樹脂材料からなり、使用者によって直接操作される。
【0033】
図2は、図1に示すスライド操作式スイッチの横断平面図である。図3は、図1に示すスライド操作式スイッチの縦断平面図(図2のA−A断面図)である。共に非操作状態の中立位置での平面図である。また、理解を容易にするために、ケース1に設けた係合突起1D、1Eや、カバー6は図示を省略している。図2及び図3に示すように、付勢部材3はケース1の壁に接するように収納される。スライダー5は付勢部材3の突出部3Pの背壁部3Bに四方から支持されて中立位置に付勢される。この中立位置において、突出部3Pの天井部3Rの開口部側に備えられた第一導電体3Aは、第一電極対1Aと離間している。また、ケース1の底部1Fの窪みに設けられた第二電極対1Cの上には金属ドーム2が備えられ、図示上方向への付勢力によって付勢部材3の床部3Fの中央を支持している。同心円状の第二電極対1Cの外側の電極は第二導電体としての金属ドーム2と接触しているが、内側の電極は金属ドーム2と離間している。従って、図2及び図3に示した状態では、スライド操作式スイッチは何れの接点も非作動状態である。
【0034】
図4は、図1に示すスライド操作式スイッチのスライダー5(キートップ7)を付勢部材3の付勢力に抗して矢印X1方向へスライド操作した状態の横断平面図である。図5はその縦断平面図(図4のB−B断面図)である。上述したように、付勢部材3は弾性力に優れた材料により構成されているため、スライダー5により背壁部3Bを押されると、突出部3Pが弾性変形する。本例の構造では、側壁部3Sがそれぞれ側方に広がるように座屈し、これに連動して背壁部3Bもスライダー5の移動方向へ倒れ、これら壁部に支持される天井部3Rも床部3Fの方向へ(図5の矢印D方向へ)倒れ込む。天井部3Rが倒れ込む方向は開口しているので床部3Fは存在せず、天井部3Rの開口部側に設けた第一導電体3Aがケース1の底部1Fに備えた第一電極対1Aに接触する。上述したように第一導電体3Aは第一電極対1Aの2つの電極間よりも長く構成されているので、第一電極対1Aの2つの電極が導通する。尚、この突出部3Pが弾性変形する際には弾性変形の反作用が操作者に伝達され、クリック感を与える。従って、付勢部材3の材料や厚みなどを適宜変更することで、所望のクリック感を得るようにすることができる。
【0035】
また、特許文献2に記載されているように積極的に複数の第一電極対1Aを同時に導通状態にすることもできる。例えば矢印X1と矢印Y2との中間の方向、方形の床部3Fの角方向にスライダー5をスライド操作すると2ケ所の突出部3Pを同時に弾性変形させることができる。特許文献1に記載されているような揺動操作を伴うスイッチの場合には、各辺へ直交する方向への操作であるか、斜めへの操作であるかが判りにくいため、同時に複数の第一電極対1Aが導通することを抑制している。しかし、本実施形態のようにスライド操作により各辺に直交する方向への操作であるか、斜めへの操作であるかが明確な場合には積極的に斜め方向への操作を活用することができる。斜め方向(角方向)へのスライド操作も加えると4つの第一電極対1Aを用いて、8つの状態を検出することができる。図10は、本発明に係るスライド操作式スイッチの端子接続の一例を示す配線図である。図に示すように、4つの第一電極対1Aと第一導電体3Aとによって、4つの導通状態を検出できる。これに加えて、4つのうちの隣合う2つが同時に導通した状態の4つを検出できるので、合計8つの導通状態を検出することができる。
【0036】
図6は、図1に示すスライド操作式スイッチのスライダー5を矢印Z方向へ押し込み操作した状態の縦断平面図である。スライダー5の押し込み操作に伴い、シート4、付勢部材3、金属ドーム2が弾性変形する。上述したように金属ドーム2の周辺部は、同心円状の第二電極対1Cの外側の電極との間で常閉接点を構成している。金属ドーム2の中心部は同心円状の第二電極対1Cの内側の電極との間で常開接点を構成しているが、この弾性変形により内側の電極に接触する。このようにして、第二電極対1Cの2つの電極が導通する。このとき付勢部材3の突出部3Pにはスライド操作が加えられないので、各突出部3Pに備えられた第一導電体3Aは第一電極対1Aを導通させない。つまり、スライド操作と押し込み操作とが明確に区別可能であるので、第一電極対1A及び第二電極対1Cの導通を明確に切り分けることができる。
【0037】
また、上述したように本例の構成では、特許文献2に記載したようにスライダー5の押し込み操作力を伝達するための中間作動部材は不要である。また、第一電極対1Aと、第二電極対1Cとをほぼ同一平面上(底部1F)に備えており、従来のスイッチと比較して薄型に構成できている。つまり、部品点数が少なく、薄型に構成可能なスライド操作式スイッチを提供することができる。
【0038】
以上、本発明を好適且つ技術思想の理解が容易な実施形態を用いて説明したが、勿論上記実施形態に限定されることはない。下記に他の実施形態について簡単に説明を加える。
【0039】
〔第一別実施形態〕
図7は、本発明の第一別実施形態に係るスライド操作式スイッチの分解斜視図である。図に示すように、ケース11、第二導電体としての金属ドーム12、付勢部材13、シート14、スライド部材としてのスライダー15、カバー16、キートップ17を順次重ね合わせることによりスライド操作式スイッチを構成する。本実施形態では、付勢部材13に2つの突出部13Pを有しており、スライダー15はこの2つの突出部13Pに挟まれて中立位置に付勢される。スライダー15は、突出部13Pの付勢力に抗して図示矢印X1方向及びX2方向にスライド移動する。カバー16が有する窓部16Wは、スライダー15の係合突起15Pの矢印X1及びX2の方向へ移動を妨げず、矢印X1、X2、Z方向に直行する方向(例えば図1に示す矢印Y1及びY2方向)への移動を規制するように長方形状の形状を有している。
【0040】
さらに、カバー16が有する窓部16Wを、矢印X1方向あるいはX2方向の何れか一方の側への移動を規制するように縮めることもできる。つまり、係合突起15Pが中立位置において、窓部16Wの短辺の何れか一方がほぼ接触し、窓部16Wの一方の短辺と、付勢部材13の突出部13Pとによってスライダー15を中立位置に付勢してもよい。このようにすると、スライダー15は矢印X1あるいはX2方向の何れか一方へのスライド移動と、矢印Z方向への押し込み移動を行うものとなる。この場合、スライド操作式スイッチは以下のような構成となる。
【0041】
つまり、ケース11は、底部に1対の第一電極対11Aと、1対の第二電極対11Cとを備えて構成する。付勢部材13を、平坦な床部より立ち上がりスライダー15を中立位置に付勢する背壁部と、この背壁部とは反対側に備えられた第一導電体13Aとを有する突出部13Pを備えて構成する。また、付勢部材13の突出部13Pを有する面とは反対側の面に第二導電体としての金属ドーム12を備える。ケース11と付勢部材13とを、第一電極対11Aと第一導電体13Aとが対向するように且つ第二電極対11Cと金属ドーム12とが対向するように設置する。スライダー15が付勢力に抗して突出部13Pの方向へ操作された場合は、突出部13Pが弾性変形して第一導電体13Aが対向する第一電極対11Aを導通状態とする。スライダー15が中立位置において付勢部材13材の床部方向に押圧された場合は、床部が弾性変形して第二導電体としての金属ドーム12が第二電極対11Cを導通状態とする。
【0042】
〔第二別実施形態〕
本発明は、スライド操作と押し込み操作との2つの操作を伴うスイッチに限らず、押し込み操作を伴わないスライド操作式スイッチにも、もちろん適用することができる。図8は、本発明の第二別実施形態に係るスライド操作式スイッチの分解斜視図である。図に示すように、ケース21、付勢部材23、シート24、スライド部材としてのスライダー25、カバー26、キートップ27を順次重ね合わせることによりスライド操作式スイッチを構成する。ケース21は、底部に少なくとも1対の電極対21Aを備えて構成する。付勢部材23は、平坦な床部より立ち上がりスライダー25を中立位置に付勢する背壁部と、この背壁部とは反対側に備えられた導電体23Aとを有する突出部23Pを備えて構成する。図8に示した例では、電極対21Aを方形状のケース21の底部の四方の外周側にそれぞれ備え、突出部23Pを方形状の付勢部材23の四方の外周にそれぞれ備えて構成している。そして、ケース21と付勢部材23とを電極対21Aと導電体23Aとが対向するように設置する。付勢部材23の突出部23Pの付勢力に抗してスライダー25が、何れか一つ又は二つの突出部23Pの方向へ操作された場合は、図2〜5に示した場合と同様に、これ又はこれらの突出部23Pが弾性変形する。そして、弾性変形した突出部23Pが有する導電体23Aが対向する電極対21Aを導通状態とする。
【0043】
〔第三別実施形態〕
図9は、本発明の第三別実施形態に係るスライド操作式スイッチの分解斜視図である。図に示すように、ケース31、付勢部材33、シート34、スライド部材としてのスライダー35、カバー36、キートップ37を順次重ね合わせることによりスライド操作式スイッチを構成する。本実施形態では、付勢部材33に2つの突出部33Pを有しており、スライダー35はこの2つの突出部33Pに挟まれて中立位置に付勢される。スライダー35は、突出部33Pの付勢力に抗して図示矢印X1方向及びX2方向にスライド移動する。カバー36が有する窓部36Wは、スライダー35の係合突起35Pの矢印X1及びX2の方向へ移動を妨げず、矢印X1、X2、Z方向に直行する方向(例えば図1に示す矢印Y1及びY2方向)への移動を規制するように長方形状の形状を有している。
【0044】
さらに、カバー36が有する窓部36Wを、矢印X1方向あるいはX2方向の何れか一方の側への移動を規制するように縮めることもできる。つまり、係合突起35Pが中立位置において、窓部36Wの短辺の何れか一方がほぼ接触し、窓部36Wの一方の短辺と、付勢部材33の突出部33Pとによってスライダー35を中立位置に付勢してもよい。このようにすると、スライダー35は矢印X1あるいはX2方向の何れか一方へのスライド移動のみを行うものとなる。この場合、スライド操作式スイッチは以下のような構成となる。つまり、ケース31は底部に1対の電極対31Aを備えて構成する。付勢部材33を、平坦な床部より立ち上がりスライダー15を中立位置に付勢する背壁部と、この背壁部とは反対側に備えられた導電体33Aとを有する突出部33Pを備えて構成する。ケース31と付勢部材33とを電極対31Aと導電体33Aとが対向するように設置し、スライダー15が付勢力に抗して突出部13Pの方向へ操作された場合は、突出部13Pが弾性変形して第一導電体13Aが対向する第一電極対11Aを導通状態とする。
【0045】
〔第四別実施形態〕
また、端子接続についても、図1〜図10に示した形態に限定されることはない。図10には、図1に示した構成のスライド操作式スイッチに対応した端子接続を示している。つまり、第一電極対1A及び第二電極対1Cのそれぞれの電極対を構成する2つの電極の導通を独立して検出する端子接続を示している。図10に示したように4つの第一電極対1Aと、1つの第二電極対1Cとを有する場合、5つの閉回路を独立して構成できるような端子接続である。
【0046】
図11には、4つの第一電極対1Aと、1つの第二電極対1Cとを有する場合であっても、それぞれの電極対の一方の電極を全てに共通な端子(コモン端子CMN)とする例を示している。この場合、スライド操作式スイッチの外部へ出る端子としての第一端子対1Tは、1つの端子で構成される第一端子41Tとなる。図11に示した例では、第二端子対1Zは、図10と同様に2つの端子で構成されるが、一方の端子はコモン端子CMNとなる。
【0047】
このようにコモン端子CMNを設けると、例えば次のような利用をする場合に有益である。図4及び図5を用いて説明したように、スライダー5は各辺に垂直な方向へのスライド操作に留まらず、各角の方向へのスライド操作も可能である。そして、角方向へスライド操作した場合には、隣合う2つの第一電極対1Aが導通する。2つの第一電極対1Aが同時に導通したことを確認するためには、それぞれの第一電極対1Aの導通を確認する必要がある。しかし、図11のようにコモン端子を設けると、一つの第一端子41Tとこれに隣合う第一端子41Tとの間の導通を検出すれば、2つの第一電極対1Aが同時に導通したことを確認することができる。従って、このスライド操作式スイッチを利用した周辺回路を簡潔にすることができる。もちろん、端子接続は、図10及び図11に示したものに限ることなく、適宜種々の変更が可能である。
【0048】
〔第五別実施形態〕
本発明の特徴のひとつとして、図1〜図7に示したように第一電極対1Aと、第二電極対1Cとをほぼ同一平面上(底部1F)に備えており、従来のスイッチと比較して薄型に構成できている点が挙げられる。上述したように第二電極対1Cに対応する第二導電体としての金属ドーム2を所定位置に留めるために、ケース1の底部1Fの中心部に窪みを設け、この窪みに第二電極対1Cを形成している。そして、この窪みに金属ドーム2が留まるように構成している。しかし、この形態に限定することなく、例えば図12のように構成してもよい。即ち、ケース1の底部1Fの中央部には窪みを設けず、第一電極対1Aと第二電極対1Cとを同一平面上に構成する。そして、金属ドーム2を所定の位置に留めるための突起1Pを設けてもよい。
【0049】
以上、本発明によって、部品点数が少なく、薄型に構成可能なスライド操作式スイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係るスライド操作式スイッチの分解斜視図
【図2】図1に示すスライド操作式スイッチの横断平面図
【図3】図1に示すスライド操作式スイッチの縦断平面図
【図4】図1に示すスライド操作式スイッチのスライド部材をスライド操作した状態の横断平面図
【図5】図1に示すスライド操作式スイッチのスライド部材をスライド操作した状態の縦断平面図
【図6】図1に示すスライド操作式スイッチのスライド部材を押し込み操作した状態の縦断平面図
【図7】本発明の第一別実施形態に係るスライド操作式スイッチの分解斜視図
【図8】本発明の第二別実施形態に係るスライド操作式スイッチの分解斜視図
【図9】本発明の第三別実施形態に係るスライド操作式スイッチの分解斜視図
【図10】本発明に係るスライド操作式スイッチの端子接続の一例を示す配線図
【図11】本発明に係るスライド操作式スイッチの端子接続の他の例を示す配線図
【図12】本発明の第五別実施形態に係るスライド操作式スイッチの分解斜視図
【符号の説明】
【0051】
1 ケース
1A 第一電極対(電極対)
1C 第二電極対
1F 底部
1P 突起
2 金属ドーム(第二導電体)
3 付勢部材
3A 第一導電体(導電体)
3B 背壁部
3F 床部
3P 突起部
5 スライダー(スライド部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースに対してスライド移動自在に収められたスライド部材と、このスライド部材を中立位置に付勢する付勢部材と、この付勢部材の付勢力に抗して前記スライド部材を操作した際に電気的な導通状態を生じるスライド操作式スイッチに関する。また、さらにこのスライド部材を押し込み操作した際にも電気的な導通状態を生じる多接点のスライド操作式スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなスライド操作式スイッチとして、下記に示す特許文献1には操作部材の押し込み動作を通じて動作される第1スイッチと操作部材の揺動動作を通じて動作される複数の第2スイッチとを備えた多接点入力装置の発明が記載されている。
この第1スイッチは、操作部材の押し込み動作により金属ドームを押圧し、これにより生じるスナップ動作を通じて開閉されるものである。第2スイッチは、第1スイッチから等間隔を隔てた周囲の複数箇所に配備され、操作部材の揺動動作によりアーチ状のスナップ板を押圧し、これにより生じるスナップ動作を通じて開閉されるものである。
特許文献1には好適な実施形態としては、第1スイッチを中心に備え、第1スイッチから等間隔を隔てた周囲にそれぞれ90度ずつ離れて4つの第2スイッチを備える構成が示されている。操作部材の揺動により、1つの第2スイッチを開閉するが、同時に2つの第2スイッチを開閉操作することがないように突起を設けて一定の方向への揺動の移動量を規制している。
【0003】
また、下記に示す特許文献2には、スライド部材を中立位置に付勢する付勢部材の付勢力に抗してスライド部材を操作した際に電気的な導通状態を生じるスライド操作式スイッチの発明が記載されている。
付勢部材は、正方形状のスライド部材の周壁部を嵌め込み支持する正方形の開口を形成した保持部を有してスライド部材を中立位置に付勢する。付勢部材が収納されるケースは、スライド部材よりも大きい正方形状の底壁とこの底壁の周囲を取り囲む状態で底壁から立ち上がる壁部を有している。付勢部材は、この壁部の角部に向けて正方形状の開口部の角部から突設した突出部を有している。この突出部は開口部の角部から突出部の形成方向に向かって切り開いた状態となるスリットを形成している。スライド部材をスライドさせるとスリットが開き、付勢部材の開口の外側に設けたられた導電体がケースの壁部に設けられた対となる電極間を導通させる。
また、特許文献2には、さらにこのスライド部材を押し込み操作した際にも電気的な導通状態を生じる多接点のスライド操作式スイッチの発明が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−111119号公報(第21〜26段落、第31段落、第2図、第4〜6図、第8〜11図)
【特許文献2】特開2002−140960号公報(第6〜11段落、第23〜30段落、第2〜6図、第10図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1にスイッチでは、周辺部の4つの第2スイッチを操作部材の揺動操作により開閉するため、操作部材を押して傾けるという動作を伴う。第2スイッチの複数が同時に入力されることを想定して操作部材を規制する機構は備えているが、第1スイッチと第2スイッチとが同時に入力される可能性は完全には排除されていない。
【0006】
特許文献2のスイッチは、周辺部のスイッチはスライド部材のスライド操作で開閉し、中心部のスイッチはスライド部材の押し込み操作で開閉する。両スイッチを操作する動作が異なるため、両スイッチが同時に入力される可能性は特許文献1の構成よりも低くなる。また、特許文献1の4つのスナップ板に対し、特許文献2では1つの付勢部材を利用して周辺部のスライドスイッチを開閉する。従って、特許文献2のスイッチは、より少ない部品点数で構成できる。しかし、特許文献2のスイッチは、スライド方式のスイッチだけを有する場合には薄く構成できる(特許文献2第3図参照)が、押し込み操作した場合のスイッチも有するとその分だけ厚みを増す構成となる(特許文献2第10図参照)。つまり、スライド方式のスイッチの下部に中間作動部材(特許文献2第10図符号15参照)を備え、この中間作動部材のさらに下部に押し込み操作した場合のスイッチを有する構造である。従って、スイッチ全体の厚みが増し、中間作動部材を必要とする分、部品点数の増化を招く。
【0007】
本願発明は上記課題に鑑みてなされたもので、部品点数が少なく、薄型に構成可能なスライド操作式スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するための本発明に係るスライド操作式スイッチの特徴構成は、ケースに対してスライド移動自在に収められたスライド部材と、このスライド部材を中立位置に付勢する付勢部材と、この付勢部材の付勢力に抗して前記スライド部材を操作した際に電気的な導通状態を生じるものであって、
前記ケースを、底部に少なくとも1対の電極対を備えて構成し、前記付勢部材を、前記スライド部材を前記中立位置に付勢する背壁部と、この背壁部とは反対側に備えられた導電体とを有する突出部を備えて構成して、前記スライド部材が付勢力に抗して前記突出部の方向へ操作された場合には、この突出部が弾性変形して前記導電体を介して前記電極対の各電極同士が導通する点にある。
【0009】
この特徴構成によれば、付勢部材に突出部を備え、この突出部が有する背壁によってスライド部材を中立位置に付勢する。そして、スライド部材が付勢力に抗して突出部の方向へ操作されると、突出部が弾性変形する。突出部の背壁とは反対側には導電体が備えられており、突出部の弾性変形に伴ってこの導電体がケースの底部に備えられた電極対の各電極同士を導通させる。このように電極対を導通させる導電体が付勢部材に一体化されているため、少ない部品点数でスライド操作式スイッチを構成することができる。
上述した特許文献2の構成においても付勢部材に導電体を備えているが、電極はケースの底から立ち上がる壁面に備えられている。このため、電極の高さ分の壁面がケースに必要となり、これがスライド操作式スイッチの薄型化の限界となる。本発明の構成では、電極対がケースの底部に備えられるため、ケースの壁面は電極に依存されず、薄型化が容易となる。
このように本特徴構成によれば、部品点数が少なく、薄型に構成可能はスライド操作式スイッチを得ることができる。
【0010】
また、前記電極対及び前記突出部を、方形状の前記ケースの前記底部の四方の外周側にそれぞれ備え、前記付勢力に抗して前記スライド部材が何れか一つ又は二つの前記突出部の方向へ操作された場合は、当該一つ又は二つの突出部が有する前記導電体を介して前記電極対の各電極同士が導通するものであると好適である。
【0011】
電極対を方形状のケースの底部の四方の外周側にそれぞれ備え、突出部を方形状の付勢部材の四方の外周にそれぞれ備えて構成すると、それぞれの突出部の背壁は方形状の付勢部材の中心に向いて互いに対向する。そして、ケースや付勢部材と相似形の方形状に構成されたスライド部材は、その四方を4つの背壁部によって良好に支持される。その結果、スライド部材は良好に中立位置に付勢され、多数の接点を有するスライド操作式スイッチを得ることができる。
【0012】
また、本発明に係るスライド操作式スイッチの別の特徴構成は、ケースに対してスライド移動自在に収められたスライド部材と、このスライド部材を中立位置に付勢する付勢部材と、この付勢部材の付勢力に抗して前記スライド部材を操作した際に電気的な導通状態を生じるスライド操作式スイッチであって、
前記ケースを、底部に少なくとも1対の第一電極対と、1対の第二電極対とを備えて構成し、前記付勢部材を、平坦な床部の一方の面の側に立ち上がり前記スライド部材を前記中立位置に付勢する背壁部と、この背壁部とは反対側に備えられた第一導電体とを有する突出部を備えて構成すると共に、前記床部の他方の面の側に第二導電体を備え、
前記スライド部材が付勢力に抗して前記突出部の方向へ操作された場合には、この突出部が弾性変形して、前記第一導電体を介して前記第一電極対の各電極同士が導通し、前記スライド部材が前記中立位置において前記床部の方向に押圧された場合には、前記第二導電体を介して前記第二電極対の各電極同士が導通する点にある。
【0013】
この特徴構成によれば、付勢部材に突出部を備え、この突出部が有する背壁によってスライド部材を中立位置に付勢する。そして、スライド部材が付勢力に抗して突出部の方向へ操作されると、突出部が弾性変形する。突出部の背壁とは反対側には第一導電体が備えられており、突出部の弾性変形に伴ってこの第一導電体がケースの底部に備えられた第一電極対の各電極同士を導通させる。さらに、スライド部材が中立位置において付勢部材の床部方向に押圧された場合は、第二導電体が前記第二電極対の各電極対同士を導通させる。このように少なくとも第一電極対を導通させる第一導電体が付勢部材に一体化されており、第二導電体は別部品であっても1つの部品であるため、少ない部品点数でスライド操作式スイッチを構成することができる。もちろん、第二導電体が付勢部材の他方の面の側に一体化されていれば、さらに少ない部品点数で構成することができる。
【0014】
上述した特許文献2の構成においても付勢部材に第一導電体に相当する導電体を備えている。しかし、第一導電体に相当する導電体はケースの底から立ち上がる壁面に備えられており、第一導電体に相当する導電体の高さ分の壁面がケースに必要となる。これはスライド操作式スイッチの薄型化の限界となる。
また、特許文献2の構成では付勢部材が環状に構成されており、中立位置に付勢されたスライド部材の下方(ケースの方向)には付勢部材が存在しない。このため、第二導電体を付勢部材と一体化することはできない。さらに、第一導電体と第一電極対とによるスライド操作式スイッチの下部に、第二導電体と第二電極対とを備えた2階建て構造となって薄型化の妨げとなっている。また、この2階建て構造に起因して、第二導電体に相当する導電体と付勢部材との間には中間作動部材を必要している。
本発明の構成では、第一電極対及び第二電極対が共に同じケースの底部に備えられるため、ケースの壁面は電極に依存されず、薄型化が容易となる。また、スライド操作によるスイッチと押し込み操作によるスイッチとを2階建て構造にしたものではなく、一層構造であるので、良好に薄型化が図れる。中間作動部材も必要としないので、より少ない部品点数でスライド操作式スイッチを得ることができる。
このように本特徴構成によれば、部品点数が少なく、薄型に構成可能なスライド操作式スイッチを得ることができる。
【0015】
また、前記第一電極対及び前記突出部を、方形状の前記ケースの前記底部の四方の外周側にそれぞれ備え、前記付勢力に抗して前記スライド部材が何れか一つ又は二つの前記突出部の方向へ操作された場合は、当該一つ又は二つの突出部が有する前記第一導電体を介して前記第一電極対の各電極同士が導通するものであると好適である。
【0016】
第一電極対を方形状のケースの底部の四方の外周側にそれぞれ備え、突出部を方形状の付勢部材の四方の外周にそれぞれ備えて構成すると、それぞれの突出部の背壁は方形状の付勢部材の中心に向いて互いに対向する。好適にはケースや付勢部材と相似形の方形状に構成されたスライド部材は、その四方を4つの背壁によって良好に支持される。その結果、スライド部材は良好に中立位置に付勢される。スライド部材は、方形状の付勢部材の中心部を中立位置とするので、この中立位置の下部に位置する第二電極対及び第二導電体との位置決め精度を向上することができる。
【0017】
ここで、前記第二電極対を同心円状に構成し、前記第二導電体を金属ドームで構成すると好適である。
【0018】
上述したように、突出部を方形状の付勢部材の四方の外周にそれぞれ備えて構成すると、それぞれの突出部の背壁部は方形状の付勢部材の中心に向いて互いに対向する。スライド部材は、方形状の付勢部材の中心部を中立位置とする。従って方形状の付勢部材の中心部を中心とする同心円状に第二電極対を構成すると、四方に備えられた第一電極対の全てと均等な位置に第二電極対を設けることができる。その結果、スライド操作によるスイッチと押し込み操作によるスイッチとの両機能を安定して発揮することのできるスライド操作式スイッチを得ることができる。
この同心円状の第二電極対を導通させる第二導電体を金属ドームで構成すると、同心円状の外側の第二電極は常に第二導電体と接触し、押し込み操作に従って同心円状の内側の第二電極を第二導電体に接触させることができる。その結果、押し込み方向に偏りが生じた場合でも良好に第二電極対を導通させることができる。また、金属ドームの中央部を押し込み操作によってへこませ、押し込み操作の解除にともなって復帰させるので、押し込み操作によるクリック感を操作者に与えることができる。
【0019】
また、前記第二電極対の外周に前記金属ドームを規制する複数の突起を有すると好適である。
【0020】
第二導電体を別部品である金属ドームで構成する場合、金属ドームが所定の位置からずれる可能性がある。しかし、上記のように第二電極対の外周に金属ドームを規制するための突起を設けると、このずれを抑制することができて好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るスライド操作式スイッチの分解斜視図である。図1に示すようにケース1、金属ドーム2、付勢部材3、シート4、スライダー5、カバー6、キートップ7を順次重ね合わせてスライド操作式スイッチを構成する。
【0022】
ケース1は、例えばLCP樹脂(液晶ポリエステル樹脂)などを用いて成形されるものである。LCP樹脂は、耐熱性と成形性に優れた樹脂材料である。近年、環境問題に鑑みて鉛フリー半田の導入が急速に進んでいるが、一般に鉛フリー半田は鉛を含有する半田に比べて融点が高い。そのため、電子部品を基板に半田付けする際のリフロー温度を従来よりも摂氏10〜25度程度高温にする必要が生じる。その影響により、コネクタやスイッチといった成形品に金属端子を有する表面実装部品に対しても耐熱性の向上が望まれている。そのため、本実施形態のように耐熱性に優れた樹脂材料を用いて最も基板に近い場所に配置されるケース1を成形することは好ましいことである。
【0023】
本例においてケース1は、方形(本例では正方形)の底部1Fと、この底部1Fの周部を取り囲む状態で底部1Fから垂直に立ち上がる4辺の壁とを有した箱型形状である。底部1Fの各辺の中央部には、1対の第一電極対1A(本発明の電極対及び第一電極対に相当する)が、各辺に沿って並列に備えられている。底部1Fの中心部には、第二電極対1Cが、底部1Fの中心を中心とする同心円状に備えられている。ケース1の各壁の中央部外側下方には、第一電極対1Aのそれぞれの電極に対応して第一端子対1Tが突出している。本例では、図1に示すように4辺の第一電極対1Aに対応して4つの第一端子対1Tを有している。また、ケース1の対向する壁の一方の組の端部外側下方には、第二電極対1Cのそれぞれの電極に対応して第二端子対1Zが点対称に突出している。これらの電極や端子は、リン青銅などの導電性材料を用いて構成される。
【0024】
第二電極対1Cは、図1に示すように少しケース1の底部1Fを円形に掘り下げて(凹部を設けて)備えられている。この円形の凹部に例えばりん青銅やステンレス等の金材料属を用いて、中心部が盛り上がった形状の金属ドーム2を設置する。この金属ドーム2は、本発明の第二導電体に相当するものである。金属ドーム2は、同心円状の第二電極対1Cの外側の電極との間で常閉接点を構成する。詳細は後述するが、金属ドーム2の中心部は、第二電極対1Cの内側の電極との間で常開接点を構成する。金属ドーム2の中心部が押圧され、第二電極対1Cの内側の電極と接触すると、第二電極対1Cの2つの電極が金属ドーム2によって導通する。この金属ドーム2の変形及び復元により、押し込み操作時のクリック感を使用者に与えることができる。また、金属ドーム2は押し込み操作の方向において、後述する付勢部材3の床部3Fと共にスライダー5を中立位置に付勢する機能を分担することもできる。また、付勢部材3が床部3Fを有さないような場合は金属ドーム2が単独で押し込み操作の方向における付勢手段として機能してもよい。
【0025】
付勢部材3は、シリコーンラバー、EPDM(エチレンプロピレンゴム:Ethylene Propylene Diene Monomer)、ポリエステルエラストマー(Polyethylene elastomer)等の電気的に絶縁性を有し、柔軟に弾性変形する材料を用いて成形される。図1に示すように、付勢部材3の外形は、上面視がケース1の底部1Fとほぼ同程度の方形(本例では正方形)であり、ケース1の4辺の壁の内側に良好に収納される。
【0026】
付勢部材3は、各辺の中央部に、床部3Fの外周側に開口した開口部を有する突出部3Pを備えている。この突出部3Pは、平坦な床部3Fよりほぼ垂直に立ち上がる背壁部3Bと、この背壁部3Bの両端の側壁部3Sと、これらの壁部(背壁部3B及び側壁部3S)に支持されて底部1Fにほぼ平行する天井部3Rとを有している。そして、これら壁部及び天井部3Rに囲まれて床部3Fの外周側に開口した開口部とを有している。側壁部3Sは、天井部3Rから床部3Fに向かってやや広がりをもっている。天井部3Rは、辺方向にケース1に備えられた第一電極対1Aの2つの電極間よりも長い長さを有している。そして、天井部3Rの裏側、即ち開口部の内側には、やはり第一電極対1Aの2つの電極間よりも長い長さの第一導電体3Aを有している。この第一導電体3Aは、樹脂等に炭素を含有させるなどした導電性材料を用いて付勢部材3と一体成形される。
【0027】
詳細は後述するが、この第一導電体3Aは、第一電極対1Aの両電極との間で常開接点を構成する。突出部3Pが弾性変形して第一電極対1Aの両電極と接触することにより、第一電極対1Aの2つの電極が導通する。尚、第二電極対1Cを金属ドーム2により導通させる構成について上述したが、剛性の高い金属ドーム2のクリック感を要しないような場合、下記のように構成することができる。つまり、付勢部材3の中心部裏面側、即ち突出部3Pが突出する面とは反対の面に導電体を一体成形してもよい。この場合、スライダー5の押し込み操作方向における単独の付勢手段として付勢部材3が機能する。
【0028】
スライダー5は、本発明のスライド部材に相当する。スライダー5は、その本体部分が付勢部材3の突出部3Pの背壁部3Bによって囲まれた方形(本例では正方形)にほぼ一致する方形に構成されている。付勢部材3の床部3Fにスライダー5とほぼ同じ大きさのシート4を敷き、その上にスライダー5が背壁部3Bに囲まれるように収納される。スライダー5は、その本体部分の四方を背壁部3Bによって付勢され、ケース1及び付勢部材3の中心部を中立位置として付勢される。詳細は後述するが、この中立位置よりスライダー5をスライド操作することにより、スライド操作式スイッチを作動させる。付勢部材3は上述したようにゴムなどの弾性材料からなり、一般に摩擦係数が高い。シート4は、摩擦係数の高い付勢部材3の床部3Fにおいてスライダー5が良好な滑動性を得られるように設けられている。このため、シート4には摩擦係数の低いPET(ポリエチレンテレフタレート:Polyethylene Terephthalate)やポリイミド(Polyimide)などを用いるとよい。スライダー5は、摩擦磨耗特性に優れ、騒音が発生しにくく安定した摺動が得られるポリアミド(Polyamide)などを用いるとよい。スライダー5の本体部分の下面側(図1では不可視)には、本体部分よりも小さい突出面を有している(図3参照)。スライダー5は、この突出面とシート4との間で摺動する。
【0029】
ケース1、金属ドーム2、付勢部材3、シート4、スライダー5を順次重ね合わせ、さらにカバー6を重ねる。カバー6は、ケース1の外形とほぼ同等の方形(本例では正方形)の外形を有し、平坦な天井部から各辺垂直に垂れ下がる壁部を有した蓋状の形態である。カバー6は、リン青銅やステンレス等の剛性のある金属材料を用いて薄く形成される。スライド操作式スイッチに対する外来ノイズを防止すると共に、スイッチの強度を保持する役割を担っている。
【0030】
カバー6の天井部にはスライダー5の外形よりも小さな方形(本例では正方形)の窓部6Wが設けられている。スライダー5の中央部には、中央に切り欠きを有した係合突起5Pが備えられている。窓部6Wは、この係合突起5Pが良好に延出可能で、スライド操作に伴う移動が可能な広さを有している。
【0031】
カバー6の壁部の内、対向する一方の2辺にはそれぞれ1つの係合穴6Dを有している。また、他方の2辺には係合穴6Dとは形状の異なる係合穴6Eを各辺に2つずつ有している。ケース1の対向する一方の2辺の壁部の外側には、それぞれ係合穴6Dに対応する係合突起1Dが形成されている。また、他方の2辺の壁部の外側には、それぞれ係合穴6Eに対応する係合突起1Eが形成されている。ケース1、金属ドーム2、付勢部材3、シート4、スライダー5を順次重ね合わせ、さらにカバー6を重ねて押圧すると、係合突起1Dと係合穴6Dとが係合し、係合突起1Eと係合穴6Eとが係合する。こうして、ケース1とカバー6とが固定される。そして、ケース1とカバー6との間で金属ドーム2、付勢部材3、シート4、スライダー5が所定位置(中立位置)に保持される。
【0032】
キートップ7は、平坦部と、平坦部から立ち上がる突起部7Pと、突起部7Pの底に係合穴7Hとを有している。上述したように、ケース1、金属ドーム2、付勢部材3、シート4、スライダー5、カバー6が重ねあわされた状態において、カバー6の窓部6Wからは、スライダー5の係合突起5Pが延出している。スライダー5の係合突起5Pにキートップ7の係合穴7Hを係合させ、スライダー5とキートップ7とを固定すると、キートップ7の操作によりスライダー5が操作可能となる。詳細は後述するが、キートップ7を図1に示す矢印X1、X2、Y1、Y2方向にスライドさせることにより、このスライド操作がスライダー5、付勢部材3を介してスライド操作式スイッチを作動させる。また、キートップ7を矢印Z方向に押し込み操作することにより、スライダー5、付勢部材3、金属ドーム2を介してスライド操作式スイッチを作動させる。このため、キートップ7とカバー6との間には上記操作を円滑に行うための所定の隙間が設けられている。尚、キートップ7は、樹脂材料からなり、使用者によって直接操作される。
【0033】
図2は、図1に示すスライド操作式スイッチの横断平面図である。図3は、図1に示すスライド操作式スイッチの縦断平面図(図2のA−A断面図)である。共に非操作状態の中立位置での平面図である。また、理解を容易にするために、ケース1に設けた係合突起1D、1Eや、カバー6は図示を省略している。図2及び図3に示すように、付勢部材3はケース1の壁に接するように収納される。スライダー5は付勢部材3の突出部3Pの背壁部3Bに四方から支持されて中立位置に付勢される。この中立位置において、突出部3Pの天井部3Rの開口部側に備えられた第一導電体3Aは、第一電極対1Aと離間している。また、ケース1の底部1Fの窪みに設けられた第二電極対1Cの上には金属ドーム2が備えられ、図示上方向への付勢力によって付勢部材3の床部3Fの中央を支持している。同心円状の第二電極対1Cの外側の電極は第二導電体としての金属ドーム2と接触しているが、内側の電極は金属ドーム2と離間している。従って、図2及び図3に示した状態では、スライド操作式スイッチは何れの接点も非作動状態である。
【0034】
図4は、図1に示すスライド操作式スイッチのスライダー5(キートップ7)を付勢部材3の付勢力に抗して矢印X1方向へスライド操作した状態の横断平面図である。図5はその縦断平面図(図4のB−B断面図)である。上述したように、付勢部材3は弾性力に優れた材料により構成されているため、スライダー5により背壁部3Bを押されると、突出部3Pが弾性変形する。本例の構造では、側壁部3Sがそれぞれ側方に広がるように座屈し、これに連動して背壁部3Bもスライダー5の移動方向へ倒れ、これら壁部に支持される天井部3Rも床部3Fの方向へ(図5の矢印D方向へ)倒れ込む。天井部3Rが倒れ込む方向は開口しているので床部3Fは存在せず、天井部3Rの開口部側に設けた第一導電体3Aがケース1の底部1Fに備えた第一電極対1Aに接触する。上述したように第一導電体3Aは第一電極対1Aの2つの電極間よりも長く構成されているので、第一電極対1Aの2つの電極が導通する。尚、この突出部3Pが弾性変形する際には弾性変形の反作用が操作者に伝達され、クリック感を与える。従って、付勢部材3の材料や厚みなどを適宜変更することで、所望のクリック感を得るようにすることができる。
【0035】
また、特許文献2に記載されているように積極的に複数の第一電極対1Aを同時に導通状態にすることもできる。例えば矢印X1と矢印Y2との中間の方向、方形の床部3Fの角方向にスライダー5をスライド操作すると2ケ所の突出部3Pを同時に弾性変形させることができる。特許文献1に記載されているような揺動操作を伴うスイッチの場合には、各辺へ直交する方向への操作であるか、斜めへの操作であるかが判りにくいため、同時に複数の第一電極対1Aが導通することを抑制している。しかし、本実施形態のようにスライド操作により各辺に直交する方向への操作であるか、斜めへの操作であるかが明確な場合には積極的に斜め方向への操作を活用することができる。斜め方向(角方向)へのスライド操作も加えると4つの第一電極対1Aを用いて、8つの状態を検出することができる。図10は、本発明に係るスライド操作式スイッチの端子接続の一例を示す配線図である。図に示すように、4つの第一電極対1Aと第一導電体3Aとによって、4つの導通状態を検出できる。これに加えて、4つのうちの隣合う2つが同時に導通した状態の4つを検出できるので、合計8つの導通状態を検出することができる。
【0036】
図6は、図1に示すスライド操作式スイッチのスライダー5を矢印Z方向へ押し込み操作した状態の縦断平面図である。スライダー5の押し込み操作に伴い、シート4、付勢部材3、金属ドーム2が弾性変形する。上述したように金属ドーム2の周辺部は、同心円状の第二電極対1Cの外側の電極との間で常閉接点を構成している。金属ドーム2の中心部は同心円状の第二電極対1Cの内側の電極との間で常開接点を構成しているが、この弾性変形により内側の電極に接触する。このようにして、第二電極対1Cの2つの電極が導通する。このとき付勢部材3の突出部3Pにはスライド操作が加えられないので、各突出部3Pに備えられた第一導電体3Aは第一電極対1Aを導通させない。つまり、スライド操作と押し込み操作とが明確に区別可能であるので、第一電極対1A及び第二電極対1Cの導通を明確に切り分けることができる。
【0037】
また、上述したように本例の構成では、特許文献2に記載したようにスライダー5の押し込み操作力を伝達するための中間作動部材は不要である。また、第一電極対1Aと、第二電極対1Cとをほぼ同一平面上(底部1F)に備えており、従来のスイッチと比較して薄型に構成できている。つまり、部品点数が少なく、薄型に構成可能なスライド操作式スイッチを提供することができる。
【0038】
以上、本発明を好適且つ技術思想の理解が容易な実施形態を用いて説明したが、勿論上記実施形態に限定されることはない。下記に他の実施形態について簡単に説明を加える。
【0039】
〔第一別実施形態〕
図7は、本発明の第一別実施形態に係るスライド操作式スイッチの分解斜視図である。図に示すように、ケース11、第二導電体としての金属ドーム12、付勢部材13、シート14、スライド部材としてのスライダー15、カバー16、キートップ17を順次重ね合わせることによりスライド操作式スイッチを構成する。本実施形態では、付勢部材13に2つの突出部13Pを有しており、スライダー15はこの2つの突出部13Pに挟まれて中立位置に付勢される。スライダー15は、突出部13Pの付勢力に抗して図示矢印X1方向及びX2方向にスライド移動する。カバー16が有する窓部16Wは、スライダー15の係合突起15Pの矢印X1及びX2の方向へ移動を妨げず、矢印X1、X2、Z方向に直行する方向(例えば図1に示す矢印Y1及びY2方向)への移動を規制するように長方形状の形状を有している。
【0040】
さらに、カバー16が有する窓部16Wを、矢印X1方向あるいはX2方向の何れか一方の側への移動を規制するように縮めることもできる。つまり、係合突起15Pが中立位置において、窓部16Wの短辺の何れか一方がほぼ接触し、窓部16Wの一方の短辺と、付勢部材13の突出部13Pとによってスライダー15を中立位置に付勢してもよい。このようにすると、スライダー15は矢印X1あるいはX2方向の何れか一方へのスライド移動と、矢印Z方向への押し込み移動を行うものとなる。この場合、スライド操作式スイッチは以下のような構成となる。
【0041】
つまり、ケース11は、底部に1対の第一電極対11Aと、1対の第二電極対11Cとを備えて構成する。付勢部材13を、平坦な床部より立ち上がりスライダー15を中立位置に付勢する背壁部と、この背壁部とは反対側に備えられた第一導電体13Aとを有する突出部13Pを備えて構成する。また、付勢部材13の突出部13Pを有する面とは反対側の面に第二導電体としての金属ドーム12を備える。ケース11と付勢部材13とを、第一電極対11Aと第一導電体13Aとが対向するように且つ第二電極対11Cと金属ドーム12とが対向するように設置する。スライダー15が付勢力に抗して突出部13Pの方向へ操作された場合は、突出部13Pが弾性変形して第一導電体13Aが対向する第一電極対11Aを導通状態とする。スライダー15が中立位置において付勢部材13材の床部方向に押圧された場合は、床部が弾性変形して第二導電体としての金属ドーム12が第二電極対11Cを導通状態とする。
【0042】
〔第二別実施形態〕
本発明は、スライド操作と押し込み操作との2つの操作を伴うスイッチに限らず、押し込み操作を伴わないスライド操作式スイッチにも、もちろん適用することができる。図8は、本発明の第二別実施形態に係るスライド操作式スイッチの分解斜視図である。図に示すように、ケース21、付勢部材23、シート24、スライド部材としてのスライダー25、カバー26、キートップ27を順次重ね合わせることによりスライド操作式スイッチを構成する。ケース21は、底部に少なくとも1対の電極対21Aを備えて構成する。付勢部材23は、平坦な床部より立ち上がりスライダー25を中立位置に付勢する背壁部と、この背壁部とは反対側に備えられた導電体23Aとを有する突出部23Pを備えて構成する。図8に示した例では、電極対21Aを方形状のケース21の底部の四方の外周側にそれぞれ備え、突出部23Pを方形状の付勢部材23の四方の外周にそれぞれ備えて構成している。そして、ケース21と付勢部材23とを電極対21Aと導電体23Aとが対向するように設置する。付勢部材23の突出部23Pの付勢力に抗してスライダー25が、何れか一つ又は二つの突出部23Pの方向へ操作された場合は、図2〜5に示した場合と同様に、これ又はこれらの突出部23Pが弾性変形する。そして、弾性変形した突出部23Pが有する導電体23Aが対向する電極対21Aを導通状態とする。
【0043】
〔第三別実施形態〕
図9は、本発明の第三別実施形態に係るスライド操作式スイッチの分解斜視図である。図に示すように、ケース31、付勢部材33、シート34、スライド部材としてのスライダー35、カバー36、キートップ37を順次重ね合わせることによりスライド操作式スイッチを構成する。本実施形態では、付勢部材33に2つの突出部33Pを有しており、スライダー35はこの2つの突出部33Pに挟まれて中立位置に付勢される。スライダー35は、突出部33Pの付勢力に抗して図示矢印X1方向及びX2方向にスライド移動する。カバー36が有する窓部36Wは、スライダー35の係合突起35Pの矢印X1及びX2の方向へ移動を妨げず、矢印X1、X2、Z方向に直行する方向(例えば図1に示す矢印Y1及びY2方向)への移動を規制するように長方形状の形状を有している。
【0044】
さらに、カバー36が有する窓部36Wを、矢印X1方向あるいはX2方向の何れか一方の側への移動を規制するように縮めることもできる。つまり、係合突起35Pが中立位置において、窓部36Wの短辺の何れか一方がほぼ接触し、窓部36Wの一方の短辺と、付勢部材33の突出部33Pとによってスライダー35を中立位置に付勢してもよい。このようにすると、スライダー35は矢印X1あるいはX2方向の何れか一方へのスライド移動のみを行うものとなる。この場合、スライド操作式スイッチは以下のような構成となる。つまり、ケース31は底部に1対の電極対31Aを備えて構成する。付勢部材33を、平坦な床部より立ち上がりスライダー15を中立位置に付勢する背壁部と、この背壁部とは反対側に備えられた導電体33Aとを有する突出部33Pを備えて構成する。ケース31と付勢部材33とを電極対31Aと導電体33Aとが対向するように設置し、スライダー15が付勢力に抗して突出部13Pの方向へ操作された場合は、突出部13Pが弾性変形して第一導電体13Aが対向する第一電極対11Aを導通状態とする。
【0045】
〔第四別実施形態〕
また、端子接続についても、図1〜図10に示した形態に限定されることはない。図10には、図1に示した構成のスライド操作式スイッチに対応した端子接続を示している。つまり、第一電極対1A及び第二電極対1Cのそれぞれの電極対を構成する2つの電極の導通を独立して検出する端子接続を示している。図10に示したように4つの第一電極対1Aと、1つの第二電極対1Cとを有する場合、5つの閉回路を独立して構成できるような端子接続である。
【0046】
図11には、4つの第一電極対1Aと、1つの第二電極対1Cとを有する場合であっても、それぞれの電極対の一方の電極を全てに共通な端子(コモン端子CMN)とする例を示している。この場合、スライド操作式スイッチの外部へ出る端子としての第一端子対1Tは、1つの端子で構成される第一端子41Tとなる。図11に示した例では、第二端子対1Zは、図10と同様に2つの端子で構成されるが、一方の端子はコモン端子CMNとなる。
【0047】
このようにコモン端子CMNを設けると、例えば次のような利用をする場合に有益である。図4及び図5を用いて説明したように、スライダー5は各辺に垂直な方向へのスライド操作に留まらず、各角の方向へのスライド操作も可能である。そして、角方向へスライド操作した場合には、隣合う2つの第一電極対1Aが導通する。2つの第一電極対1Aが同時に導通したことを確認するためには、それぞれの第一電極対1Aの導通を確認する必要がある。しかし、図11のようにコモン端子を設けると、一つの第一端子41Tとこれに隣合う第一端子41Tとの間の導通を検出すれば、2つの第一電極対1Aが同時に導通したことを確認することができる。従って、このスライド操作式スイッチを利用した周辺回路を簡潔にすることができる。もちろん、端子接続は、図10及び図11に示したものに限ることなく、適宜種々の変更が可能である。
【0048】
〔第五別実施形態〕
本発明の特徴のひとつとして、図1〜図7に示したように第一電極対1Aと、第二電極対1Cとをほぼ同一平面上(底部1F)に備えており、従来のスイッチと比較して薄型に構成できている点が挙げられる。上述したように第二電極対1Cに対応する第二導電体としての金属ドーム2を所定位置に留めるために、ケース1の底部1Fの中心部に窪みを設け、この窪みに第二電極対1Cを形成している。そして、この窪みに金属ドーム2が留まるように構成している。しかし、この形態に限定することなく、例えば図12のように構成してもよい。即ち、ケース1の底部1Fの中央部には窪みを設けず、第一電極対1Aと第二電極対1Cとを同一平面上に構成する。そして、金属ドーム2を所定の位置に留めるための突起1Pを設けてもよい。
【0049】
以上、本発明によって、部品点数が少なく、薄型に構成可能なスライド操作式スイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係るスライド操作式スイッチの分解斜視図
【図2】図1に示すスライド操作式スイッチの横断平面図
【図3】図1に示すスライド操作式スイッチの縦断平面図
【図4】図1に示すスライド操作式スイッチのスライド部材をスライド操作した状態の横断平面図
【図5】図1に示すスライド操作式スイッチのスライド部材をスライド操作した状態の縦断平面図
【図6】図1に示すスライド操作式スイッチのスライド部材を押し込み操作した状態の縦断平面図
【図7】本発明の第一別実施形態に係るスライド操作式スイッチの分解斜視図
【図8】本発明の第二別実施形態に係るスライド操作式スイッチの分解斜視図
【図9】本発明の第三別実施形態に係るスライド操作式スイッチの分解斜視図
【図10】本発明に係るスライド操作式スイッチの端子接続の一例を示す配線図
【図11】本発明に係るスライド操作式スイッチの端子接続の他の例を示す配線図
【図12】本発明の第五別実施形態に係るスライド操作式スイッチの分解斜視図
【符号の説明】
【0051】
1 ケース
1A 第一電極対(電極対)
1C 第二電極対
1F 底部
1P 突起
2 金属ドーム(第二導電体)
3 付勢部材
3A 第一導電体(導電体)
3B 背壁部
3F 床部
3P 突起部
5 スライダー(スライド部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに対してスライド移動自在に収められたスライド部材と、このスライド部材を中立位置に付勢する付勢部材と、この付勢部材の付勢力に抗して前記スライド部材を操作した際に電気的な導通状態を生じるスライド操作式スイッチであって、
前記ケースを、底部に少なくとも1対の電極対を備えて構成し、前記付勢部材を、前記スライド部材を前記中立位置に付勢する背壁部と、この背壁部とは反対側に備えられた導電体とを有する突出部を備えて構成して、
前記スライド部材が付勢力に抗して前記突出部の方向へ操作された場合には、この突出部が弾性変形して前記導電体を介して前記電極対の各電極同士が導通するスライド操作式スイッチ。
【請求項2】
前記電極対及び前記突出部を、方形状の前記ケースの前記底部の四方の外周側にそれぞれ備え、
前記付勢力に抗して前記スライド部材が何れか一つ又は二つの前記突出部の方向へ操作された場合は、当該一つ又は二つの突出部が有する前記導電体を介して前記電極対の各電極同士が導通する請求項1に記載のスライド操作式スイッチ。
【請求項3】
ケースに対してスライド移動自在に収められたスライド部材と、このスライド部材を中立位置に付勢する付勢部材と、この付勢部材の付勢力に抗して前記スライド部材を操作した際に電気的な導通状態を生じるスライド操作式スイッチであって、
前記ケースを、底部に少なくとも1対の第一電極対と、1対の第二電極対とを備えて構成し、
前記付勢部材を、平坦な床部の一方の面の側に立ち上がり前記スライド部材を前記中立位置に付勢する背壁部と、この背壁部とは反対側に備えられた第一導電体とを有する突出部を備えて構成すると共に、前記床部の他方の面の側に第二導電体を備え、
前記スライド部材が付勢力に抗して前記突出部の方向へ操作された場合には、この突出部が弾性変形して、前記第一導電体を介して前記第一電極対の各電極同士が導通し、前記スライド部材が前記中立位置において前記床部の方向に押圧された場合には、前記第二導電体を介して前記第二電極対の各電極同士が導通するスライド操作式スイッチ。
【請求項4】
前記第一電極対及び前記突出部を、方形状の前記ケースの前記底部の四方の外周側にそれぞれ備え、
前記付勢力に抗して前記スライド部材が何れか一つ又は二つの前記突出部の方向へ操作された場合は、当該一つ又は二つの突出部が有する前記第一導電体を介して前記第一電極対の各電極同士が導通する請求項3に記載のスライド操作式スイッチ。
【請求項5】
前記第二電極対を同心円状に構成し、前記第二導電体を金属ドームで構成する請求項3又は4に記載のスライド操作式スイッチ。
【請求項6】
前記第二電極対の外周に前記金属ドームを規制する複数の突起を有する請求項5に記載のスライド操作式スイッチ。
【請求項1】
ケースに対してスライド移動自在に収められたスライド部材と、このスライド部材を中立位置に付勢する付勢部材と、この付勢部材の付勢力に抗して前記スライド部材を操作した際に電気的な導通状態を生じるスライド操作式スイッチであって、
前記ケースを、底部に少なくとも1対の電極対を備えて構成し、前記付勢部材を、前記スライド部材を前記中立位置に付勢する背壁部と、この背壁部とは反対側に備えられた導電体とを有する突出部を備えて構成して、
前記スライド部材が付勢力に抗して前記突出部の方向へ操作された場合には、この突出部が弾性変形して前記導電体を介して前記電極対の各電極同士が導通するスライド操作式スイッチ。
【請求項2】
前記電極対及び前記突出部を、方形状の前記ケースの前記底部の四方の外周側にそれぞれ備え、
前記付勢力に抗して前記スライド部材が何れか一つ又は二つの前記突出部の方向へ操作された場合は、当該一つ又は二つの突出部が有する前記導電体を介して前記電極対の各電極同士が導通する請求項1に記載のスライド操作式スイッチ。
【請求項3】
ケースに対してスライド移動自在に収められたスライド部材と、このスライド部材を中立位置に付勢する付勢部材と、この付勢部材の付勢力に抗して前記スライド部材を操作した際に電気的な導通状態を生じるスライド操作式スイッチであって、
前記ケースを、底部に少なくとも1対の第一電極対と、1対の第二電極対とを備えて構成し、
前記付勢部材を、平坦な床部の一方の面の側に立ち上がり前記スライド部材を前記中立位置に付勢する背壁部と、この背壁部とは反対側に備えられた第一導電体とを有する突出部を備えて構成すると共に、前記床部の他方の面の側に第二導電体を備え、
前記スライド部材が付勢力に抗して前記突出部の方向へ操作された場合には、この突出部が弾性変形して、前記第一導電体を介して前記第一電極対の各電極同士が導通し、前記スライド部材が前記中立位置において前記床部の方向に押圧された場合には、前記第二導電体を介して前記第二電極対の各電極同士が導通するスライド操作式スイッチ。
【請求項4】
前記第一電極対及び前記突出部を、方形状の前記ケースの前記底部の四方の外周側にそれぞれ備え、
前記付勢力に抗して前記スライド部材が何れか一つ又は二つの前記突出部の方向へ操作された場合は、当該一つ又は二つの突出部が有する前記第一導電体を介して前記第一電極対の各電極同士が導通する請求項3に記載のスライド操作式スイッチ。
【請求項5】
前記第二電極対を同心円状に構成し、前記第二導電体を金属ドームで構成する請求項3又は4に記載のスライド操作式スイッチ。
【請求項6】
前記第二電極対の外周に前記金属ドームを規制する複数の突起を有する請求項5に記載のスライド操作式スイッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−310179(P2006−310179A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−133129(P2005−133129)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】
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