説明

スライド機構および昇降装置

【課題】がたつきを抑制することができるスライド機構およびそれを用いた昇降装置を提供する。
【解決手段】スライド機構10は、固定プレート1と、固定プレート1に対して相対的に移動可能な可動プレート2と、固定プレート1と可動プレート2とを相対的に移動させるように構成されたスライダ3とを備えている。スライダ3は、固定プレート1と可動プレート2との間に配置され、固定プレート2および/または可動プレート1に転動可能な転動体4と、転動体4を転動可能に保持する転動体保持部材5と、転動体保持部材5に保持された転動体4が転動可能となるように固定プレート1と可動プレート2との間隔を保持可能な間隔保持部材6とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスライド機構および昇降装置に関し、特に、固定プレートと可動プレートとを相対的に移動させるように構成されたスライダを備えたスライド機構およびそれを用いた昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スライド部材を備えた昇降装置が提案されている。たとえば、特開平8−280581号公報(特許文献1)には、スライド部材が昇降自在に設けられた便座の昇降傾動装置が提案されている。この公報に記載されたスライド部材は、スライドプレートに取り付けられたキャリアプレートがガイドレールに沿って上下に移動し、スライドプレートの外面がガイドフレームに案内されることで昇降自在に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−280581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このスライド部材では、スライドプレートが板状であり、ある程度の面積を有しているため、スライドプレートがガイドレールおよびガイドフレームに対して傾きやすくなる。スライドプレートがガイドレール等に対して傾くことで、スライドプレートがガイドレールおよびガイドフレームに対してがたつくこととなる。この結果、スライド部材の昇降姿勢が安定しないという問題が生じる。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、がたつきを抑制することができるスライド機構およびそれを用いた昇降装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスライド機構は、固定プレートと、固定プレートに対して相対的に移動可能な可動プレートと、固定プレートと可動プレートとを相対的に移動させるように構成されたスライダとを備えている。スライダは、固定プレートと可動プレートとの間に配置され、固定プレートおよび/または可動プレートに摩擦低減可能に接する摩擦低減手段と、摩擦低減手段を摩擦低減可能に保持する摩擦低減手段保持部材と、摩擦低減手段保持部材に保持された摩擦低減手段が摩擦低減可能となるように固定プレートと可動プレートとの間隔を保持可能な間隔保持部材とを含んでいる。
【0007】
本発明のスライド機構によれば、摩擦低減手段保持部材に保持された摩擦低減手段が、転動または摺動可能となるように、摩擦低減可能に固定プレートと可動プレートとの間隔を保持可能に間隔保持部材が設けられているため、固定プレートと可動プレートとの間隔が保持される。このため、可動プレートがある程度の面積を有している場合でも可動プレートが固定プレートに対して傾くことを抑制することができる。これにより、可動プレートが固定プレートに対してがたつくことを抑制することができる。
【0008】
上記のスライド機構において好ましくは、摩擦低減手段保持部材は、第1および第2の保持プレートを含んでいる。第1の保持プレートが固定プレート側に配置され、第2の保持プレートが可動プレート側に配置されている。このように、摩擦低減手段保持部材は摩擦低減手段を可動プレート側および固定プレート側の両側から挟むように保持することができる。そのため、摩擦低減手段保持部材は摩擦低減手段を容易かつ確実に保持することができる。つまり、摩擦低減手段保持部材は、摩擦低減手段がたとえば球状または円筒状の形状を有している場合でも、両側から挟むことで摩擦低減手段を容易かつ確実に保持することができる。
【0009】
上記のスライド機構において好ましくは、間隔保持部材は、カラーであり、カラーを固定プレートおよび可動プレートとの間に介在させる取付部材をさらに備えている。カラーは、可動プレートに取付部材で取り付けられている。これにより、間隔保持部材を可動プレートに容易かつ確実に固定することができる。このため、容易かつ確実に可動プレートが固定プレートに対してがたつくことを抑制することができる。
【0010】
上記のスライド機構において好ましくは、間隔保持部材は、複数であり、複数の間隔保持部材の間に摩擦低減手段が配置されている。複数の間隔保持部材によって広範囲において固定プレートと可動プレートとの間隔がさらに確実に保持される。そして、固定プレートと可動プレートとの間隔がさらに確実に保持された状態で摩擦低減手段を固定プレートおよび可動プレートの少なくともいずれかに対して摩擦低減が可能な状態で移動させることができる。
【0011】
本発明の昇降装置は、駆動部および上記のスライド機構を含み、駆動部の駆動により可動プレートを固定プレートに対して相対移動させ、可動プレートに昇降対象物を取り付けている。上記のスライド機構によって可動プレートが固定プレートに対してがたつくことを抑制することができるため、可動プレートに取り付けられた昇降対象物を固定プレートに対してがたつきを抑制しつつ昇降させることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明によれば、可動プレートがある程度の面積を有していても、該プレートに精緻な寸法が要求されないので、がたつきを抑制することができるスライド機構およびそれを用いた昇降装置を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1におけるスライド機構を示す概略平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う概略断面図である。
【図3】本発明の実施の形態2におけるスライド機構を用いた昇降装置を示す概略平面図である。
【図4】図3に示される昇降装置の裏面側を示す概略平面図である。
【図5】本発明の実施の形態2におけるスライド機構を用いた昇降装置を示す概略側面図である。
【図6】本発明の実施の形態2におけるスライド機構を用いた昇降装置において、可動プレートが上昇した状態を示す概略平面図である。
【図7】本発明の実施の形態2におけるスライド機構を用いた昇降装置において、便座取付部材が傾斜した状態を示す概略平面図である。
【図8】本発明の実施の形態3におけるスライド機構を用いたスライド装置を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
最初に本発明の実施の形態1のスライド機構の構成について説明する。
【0015】
図1および図2を参照して、本実施の形態のスライド機構10は、固定プレート1と、可動プレート2と、スライダ3とを主に有している。固定プレート1は、位置を固定可能に設けられている。可動プレート2は、固定プレート1に対して相対的に移動可能に設けられている。スライダ3は、固定プレート1と可動プレート2とを相対的に移動させるように構成されている。
【0016】
スライダ3は、前記摩擦低減手段である転動体4と、前記摩擦低減手段保持部材である転動体保持部材5と、間隔保持部材6とを有している。転動体4は、固定プレート1と可動プレート2との間に配置され、固定プレート1および/または可動プレート2に摺動可能に設けられている。前記摩擦低減手段は、固定プレート1と可動プレート2とが相対的に滑動できるものであれば、転動体であっても、摺動体であってもよい。転動体4は、球状(玉)の形状を有していてもよく、また円柱状(ころ)の形状を有していてもよい。転動体4は、固定プレート1および可動プレート2の少なくともいずれかに転動するように設けられている。なお、前記摩擦低減手段が摺動体である場合には、プレートに対して転接触するなどの固定プレート1および可動プレート2の少なくともいずれかに摺動可能な形状であればよく、球状、円柱状、円筒状などの公知の形状であってもよい。
【0017】
転動体保持部材5は、転動体4を転動可能に保持するように設けられている。転動体保持部材5は、固定プレート1と可動プレート2との間に配置されている。転動体保持部材5は転動体4を保持しつつ固定プレート1に対して相対的に移動可能に設けられている。転動体保持部材5は、間隔保持部材6に固定されていてもよく、また間隔保持部材6に固定されていなくてもよい。なお、前記摩擦低減手段が摺動体である場合には、前記摩擦低減手段保持部材は、前記摺動体を摩擦低減可能、すなわち摺動可能に保持するように摺動体保持部材として設けられていればよい。
【0018】
転動体保持部材5は、第1の保持プレート5aおよび第2の保持プレート5bを有していてもよい。第1の保持プレート5aが固定プレート1側に配置され、第2の保持プレート5bが可動プレート2側に配置されている。第1の保持プレート5aおよび第2の保持プレート5bの転動体4を保持する部分はそれぞれ転動体4の外周面に沿うように形成されている。第1の保持プレート5aおよび第2の保持プレート5bによって、固定プレート1側および可動プレート2側から転動体4が挟み込まれている。これにより、第1の保持プレート5aおよび第2の保持プレート5bによって、転動体4が保持されている。
【0019】
間隔保持部材6は、転動体保持部材5に保持された転動体4が転動可能となるように固定プレート1と可動プレート2との間隔を保持可能に設けられている。間隔保持部材6は固定プレート1と可動プレート2との間隔を保持するように設けられている。固定プレート1と可動プレート2との間隔が保持された状態で固定プレート1に対して相対的に移動するように間隔保持部材6は設けられている。なお、前記摩擦低減手段が摺動体である場合には、前記間隔保持部材は、前記摺動体が摩擦低減可能、すなわち摺動可能となるように設けられていればよい。
【0020】
間隔保持部材6は、筒状のカラーであっても良く、取付部材であるねじ7が取り付けられても良い。ねじ7はカラーの内周側に挿入され、固定プレート1および可動プレート2を貫通するように構成されている。カラーは、可動プレート2にねじ7でねじ止めされている。ねじ7はワッシャ8を介して固定プレート1に取り付けられている。固定プレート1は摺動溝9を有している。摺動溝9は、カラーが摺動溝9の内周側を移動可能に設けられている。つまり摺動溝9の幅はカラーの直径より大きい寸法を有している。そして、摺動溝9の幅よりワッシャ8の直径は大きい寸法を有している。このため、ワッシャ8および摺動溝9によって摺動溝9に沿って移動可能に間隔保持部材6は保持されている。
【0021】
これにより、カラーは固定プレート1および可動プレート2との間に介在されて固定プレート1と可動プレート2との間隔が保持されることとなる。なお、カラーは間隔保持部材として機能すればよいので、少なくとも一部が固定プレートおよび可動プレートとの間に介在されていればよい。また、本実施例では取付部材としてねじを用いているが、カラーを可動プレートに取り付けることができるものであればよい。例えば、取付部材として端部にフランジの付いたシャフトを用い、当該シャフトをかしめることによりカラーを可動プレートに取り付けてもよい。カラーは、間隔保持部材として機能すればよいために、取付部材と一体化されていてもよい。例えば、前記カラーが柱状であって、カラーの両端から端部にフランジを有する取付部が延在する構成を採用することもできる。カラーの形状は、外観として概略形状で柱状とすることが可能であり、内部にねじやシャフトを挿入する場合は筒状とすることができ、取付部材とカラーとを一体化する場合には、カラーに該当する部分は柱状とすることができる。
【0022】
また、間隔保持部材6は、複数であってもよい。複数の間隔保持部材6の間に転動体4が配置されている。複数の間隔保持部材6のそれぞれは、転動体4に対して略等間隔となる位置に配置されていることが好ましい。
【0023】
次に、本実施の形態のスライド機構の動作について説明する。
本実施の形態のスライド機構10では、間隔保持部材6によって固定プレート1と可動プレート2との間隔が保持される。この状態で転動体保持部材5によって保持された転動体4が固定プレート1および可動プレート2の少なくともいずれかに対して転動する。これにより、固定プレート1と可動プレート2との間隔が保持された状態で、固定プレート1に対して可動プレート2が相対的に移動する。このため、可動プレート2が固定プレート1に対して傾くことを抑制される。したがって、可動プレート2が固定プレート1に対してがたつくことが抑制される。
【0024】
また、ねじ7で可動プレート2に固定されたカラーが摺動溝9の内周側を移動することで摺動溝9の伸びる方向に可動プレート2が移動する。カラーは摺動溝9の幅より大きい寸法を有するワッシャ8によって固定プレート1に保持されている。そのため、摺動溝9からカラーが脱落することなく、カラーは摺動溝9の内周側を移動する。
【0025】
次に、本実施の形態のスライド機構の作用効果について説明する。
本実施の形態のスライド機構10によれば、転動体保持部材5に保持された転動体4が転動可能となるように固定プレート1と可動プレート2との間隔を保持可能に間隔保持部材6が設けられているため、固定プレート1と可動プレート2との間隔が保持される。このため、可動プレート2がある程度の面積を有している場合でも可動プレート2が固定プレート1に対して傾くことを抑制することができる。これにより、可動プレート2が固定プレート1に対してがたつくことを抑制することができる。
【0026】
また、本実施の形態のスライド機構10によれば、第1の保持プレート5aが固定プレート1側に配置され、第2の保持プレート5bが可動プレート2側に配置されている。このように、転動体保持部材5は転動体4を可動プレート2側および固定プレート1側の両側から挟むように保持することができる。そのため、転動体保持部材5は転動体4を容易かつ確実に保持することができる。つまり、転動体保持部材5は、転動体4がたとえば球状または円筒状の形状を有している場合でも、両側から挟むことで転動体4を容易かつ確実に保持することができる。
【0027】
また、本実施の形態のスライド機構10によれば、カラーは、可動プレート2にねじ7でねじ止めされている。これにより、間隔保持部材6を可動プレート2に容易かつ確実に固定することができる。このため、容易かつ確実に可動プレート2が固定プレート1に対してがたつくことを抑制することができる。
【0028】
また、本実施の形態のスライド機構10によれば、複数の間隔保持部材6の間に転動体4が配置されている。複数の間隔保持部材6によって広範囲において固定プレート1と可動プレート2との間隔がさらに確実に保持される。そして、固定プレート1と可動プレート2との間隔がさらに確実に保持された状態で転動体4を固定プレート1および可動プレート2の少なくともいずれかに転動させることができる。
【0029】
(実施の形態2)
最初に本発明の実施の形態2のスライド機構が用いられた昇降装置の構成について説明する。本実施の形態では、本発明が適用される一例として、スライド機構が昇降装置に用いられている。そして、スライド機構が用いられた昇降装置の用途の一例として、昇降装置が昇降便座に適用された場合について説明する。なお、図3〜図7では、見やすくするため、背後に位置する各部材についても実線で示されている。
【0030】
図3〜図5を参照して、本実施の形態のスライド機構10が用いられた昇降装置20は、スライド機構10と、昇降用モータ(駆動部)11と、ワイヤ(ケーブル)巻取ドラム12と、ワイヤ(ケーブル)13と、動滑車14と、ワイヤ(ケーブル)固定部材15と、便座取付部材16と、動力伝達機構17と、傾斜用モータ18とを主に有している。また、昇降装置20が適用された昇降便座は、昇降装置20と、便座21と、便器22とを主に有している。なお、昇降便座のタンクなどの他の部品は図示されていない。
【0031】
スライド機構10は、固定プレート1と、可動プレート2と、スライダ3とを有している。固定プレート1に昇降用モータ11と、ワイヤ巻取ドラム12と、ワイヤ固定部材15が取り付けられている。可動プレート2に動滑車14と、便座取付部材16と、動力伝達機構17と、傾斜用モータ18とが取り付けられている。スライダ3は、図示しない転動体4と、転動体保持部材5と、間隔保持部材6とを主に有しており、可動プレート2を固定プレート1に対して昇降可能に設けられている。
【0032】
昇降用モータ11は、駆動により可動プレート2を固定プレート1に対して相対移動させるように構成されている。昇降用モータ11は、ワイヤ巻取ドラム12を回転可能に設けられている。ワイヤ巻取ドラム12はワイヤ13の一端に接続されており、ワイヤ13を巻き取りおよび繰り出し可能に設けられている。動滑車14はワイヤ13が巻きかけられるように設けられている。動滑車14はワイヤ13によって回動するように設けられている。動滑車14はワイヤ13の方向を転換するように設けられている。ワイヤ固定部材15はワイヤ13の他端に接続されている。
【0033】
可動プレート2の上端に便座取付部材16が取り付けられている。便座取付部材16は可動プレート2の昇降に伴って昇降可能に設けられている。また、便座取付部材16は動力伝達機構17を介して傾斜用モータ18によって傾斜されるように設けられている。動力伝達機構17は、傾斜用モータ18の駆動力を便座取付部材16に伝達可能に設けられている。たとえば、動力伝達機構17は内周側と外周側とにそれぞれ歯車を有していてもよい。この場合、内周側の歯車がたとえば便座取付部材16に設けられたギアと係合し、外周側の歯車が傾斜用モータ18に設けられたギアと係合することで、動力伝達機構17は、傾斜用モータ18の駆動力を便座取付部材16に伝達可能に設けられている。傾斜用モータ18は、動力伝達機構17を介して便座取付部材16を傾斜可能に設けられている。便座取付部材16は、たとえば、傾斜用モータ18によって可動プレート2の上端の一部を支点として30°の角度で傾斜されるように設けられている。
【0034】
便座取付部材16に昇降対象物としての便座21が取り付けられている。固定プレート1は便器22に取り付けられている。なお、固定プレート1が取り付けられる固定側対象物は便器22に限定されず、たとえば床等であってもよい。可動プレート2が固定プレート1に対して昇降することによって便座取付部材16に取り付けられた便座21は便器22に対して昇降するように設けられている。また、便座取付部材16が傾斜することによって便座21は傾斜するように設けられている。
【0035】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0036】
次に、本実施の形態の昇降装置の動作について説明する。
図6を参照して、昇降用モータ11の駆動によってワイヤ巻取ドラム12が回転される。ワイヤ巻取ドラム12が回転することによって、ワイヤ13が巻き取りおよび繰り出される。ワイヤ巻取ドラム12にワイヤ13の一端が接続されており、動滑車14を介してワイヤ固定部材15にワイヤ13の他端が固定されている。そのため、ワイヤ巻取ドラム12が回転することによってワイヤ13が巻き取られるとワイヤ13のワイヤ巻取ドラム12からワイヤ固定部材15までの長さが短くなる。この場合、ワイヤ13によって動滑車14が持ち上げられることで動滑車14が上昇する。これによって、可動プレート2が上昇する。
【0037】
一方、ワイヤ巻取ドラム12が回転することによってワイヤ13が繰り出されるとワイヤ13のワイヤ巻取ドラム12からワイヤ固定部材15までの長さが長くなる。この場合、ワイヤ13の長さに応じて動滑車14が下降する。これによって、可動プレート2が下降する。つまり、図6中の矢印D1で示されるように、ワイヤ巻取ドラム12からワイヤ固定部材15までのワイヤ13の長さが短くなることで動滑車14を介して可動プレート2は固定プレート1に対して上昇し、ワイヤ巻取ドラム12からワイヤ固定部材15までのワイヤ13の長さが長くなることで動滑車14を介して可動プレート2は固定プレート1に対して下降する。可動プレート2が固定プレート1に対して昇降することで、便座21が便器22に対して昇降する。
【0038】
また、図7を参照して、傾斜用モータ18の駆動によって、動力伝達機構17を介して便座取付部材16が図7中の矢印D2で示されるように傾斜される。便座取付部材16は、たとえば、傾斜用モータ18によって可動プレート2の上端の一部を支点として30°の角度で傾斜される。これにより、便座21が30°の角度で傾斜される。つまり、図6及び図7の実施形態においては、上述のように、可動プレート2が固定プレート1に対して昇降することで便座21が便器22に対して昇降し、さらに、傾斜用モータ18によって可動プレート2の上端の一部を支点として30°の角度で傾斜されるので、本実施形態の昇降装置においては、昇降と傾斜の2段階の動作をすることができる。
【0039】
スライド機構10によって可動プレート2が固定プレート1に対してがたつくことが抑制されるため、可動プレート2に取り付けられた便座21が固定プレート1に対してがたつきを抑制しつつ相対的に移動される。
【0040】
なお、上記では、固定プレート1に昇降用モータ11と、ワイヤ巻取ドラム12と、ワイヤ固定部材15が取り付けられており、可動プレート2に動滑車14が取り付けられている場合について説明した。しかし、これに限定されず、可動プレート2に昇降用モータ11と、ワイヤ巻取ドラム12と、ワイヤ固定部材15が取り付けられており、固定プレート1に動滑車14が取り付けられていてもよい。この場合でも昇降装置20は上記と同様に動作することができる。
【0041】
次に、本実施の形態の昇降装置の作用効果について説明する。
本実施の形態の昇降装置20によれば、上記のスライド機構10によって可動プレート2が固定プレート1に対してがたつくことを抑制することができるため、可動プレート2に取り付けられた昇降対象物である便座21を固定プレートに対してがたつきを抑制しつつ昇降させることができる。これにより、便座21を便器22に対してがたつきを抑制しつつ昇降させることができる。
【0042】
(実施の形態3)
最初に本発明の実施の形態3のスライド機構を用いたスライド装置の構成について説明する。本実施の形態では、スライド機構が横型(横向き)に用いられている。
【0043】
図8を参照して、本実施の形態のスライド機構10が用いられたスライド装置は、スライド機構10と、支持部材30とを主に有している。スライド機構10は、横型(横向き)に配置されている。スライド機構10の固定プレート1は横型(横向き)に配置されるように支持部材30に支持されている。このため、可動プレート2が固定プレート1に対して相対的に移動することによって、可動プレート2は横方向、たとえば略水平方向に移動する。
【0044】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0045】
本実施の形態のスライド機構によれば、スライド機構が横型(横向き)であっても、可動プレート2が固定プレート1に対してがたつくことを抑制することができる。このため、可動プレート2を横方向にもがたつきを抑制しつつ移動させることができる。
【0046】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、固定プレートと可動プレートとを相対的に移動させるように構成されたスライダを備えたスライド機構およびそれを含む昇降装置に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0048】
1 固定プレート、2 可動プレート、3 スライダ、4 転動体、5 転動体保持部材、5a 第1の保持プレート、5b 第2の保持プレート、6 間隔保持部材、7 ねじ、8 ワッシャ、9 摺動溝、10 スライド機構、11 昇降用モータ、12 ワイヤ巻取ドラム、13 ワイヤ、14 動滑車、15 ワイヤ固定部材、16 便座取付部材、17 動力伝達機構、18 傾斜用モータ、20 昇降装置、21 便座、22 便器、30 支持部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定プレートと、
前記固定プレートに対して相対的に移動可能な可動プレートと、
前記固定プレートと前記可動プレートとを相対的に移動させるように構成されたスライダとを備え、
前記スライダは、
前記固定プレートと前記可動プレートとの間に配置され、前記固定プレートおよび/または前記可動プレートに摩擦低減可能に接する摩擦低減手段と、
前記摩擦低減手段を摩擦低減可能に保持する摩擦低減手段保持部材と、
前記摩擦低減手段保持部材に保持された前記摩擦低減手段が摩擦低減可能となるように前記固定プレートと前記可動プレートとの間隔を保持可能な間隔保持部材とを含む、スライド機構。
【請求項2】
前記摩擦低減手段保持部材は、第1および第2の保持プレートを含み、
前記第1の保持プレートが前記固定プレート側に配置され、前記第2の保持プレートが前記可動プレート側に配置されている、請求項1に記載のスライド機構。
【請求項3】
前記間隔保持部材は、カラーであり、
前記カラーを前記固定プレートおよび前記可動プレートとの間に介在させ、前記カラーを前記可動プレートに取り付ける取付部材を備えた、請求項1または2に記載のスライド機構。
【請求項4】
前記間隔保持部材は、複数であり、
前記複数の間隔保持部材の間に前記摩擦低減手段が配置されている、請求項1〜3のいずれかに記載のスライド機構。
【請求項5】
前記摩擦低減手段が、摺動体または転動体である請求項1〜4のいずれかに記載のスライド機構。
【請求項6】
駆動部および請求項1〜5のいずれかに記載のスライド機構を含み、前記駆動部の駆動により前記可動プレートを前記固定プレートに対して相対移動させ、前記可動プレートに昇降対象物を取り付けた昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−44385(P2013−44385A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182359(P2011−182359)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(390000996)株式会社ハイレックスコーポレーション (362)
【Fターム(参考)】