説明

スライム性状管理方法と自動スライム処理装置

【課題】削孔屑であるスライムを含む安定液を削孔より揚泥するスライム処理において、
削孔屑が安定液と混合し、安定液中に浮遊または沈殿した固液二相状態にあるスライムを含む安定液の性状をリアルタイムに観測することで、削孔内におけるスライム分布の状況を把握しながら揚泥状況を観測し、その情報をもとに揚泥手段を制御することで置換作業の効率化と正確化を向上させることができるスライム性状管理方法を提供する。
【解決手段】削孔1内から揚泥手段9で吸引したスライムを含む安定液を揚泥経路4を通して搬送し、性状計測手段3でこの搬送中のスライムを含む安定液の密度と質量流量または体積流量のうち少なくとも密度を計測し、この性状計測情報をスライム性状管理手段7で時系列に管理・記録し、管理・記録した性状情報を管理情報出力手段8で表示・出力し、スライム処理状況を判断することで、揚泥手段9の揚泥位置を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、場所打ちコンクリート杭または地中連続壁の構築において、地中に掘削した削孔内のスライム量を把握し、この削孔内のスライムを効率よく除去して安定液と置換することにより、支持力の優れた場所打ち杭を構築することができるようにするスライム性状管理方法と自動スライム処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大型構造物の基礎杭として構築される場所打ち杭は、地中に所定の直径と支持地盤に達する深さの削孔をこの削孔内に安定液を注入しながら掘削し、掘削後にこの削孔内のスライムを含む安定液を除去してスライムと正常な安定液を置換する処理を行った後、前記削孔内にコンクリートを打設することによって構築される。
【0003】
ここで、正常な安定液とは、ベントナイト、CMC、水の組み合わせからなり、また、スライムを含む安定液とは、前記正常な安定液に削孔の掘削によって生じた掘削物であるスライムが混在したものである。
【0004】
上記削孔内に補充する安定液は、土木掘削工事一般において、孔壁の崩壊を防ぐため、また、掘削土砂の搬送を目的に利用され、安定液の品質は、その比重、粘度、PHを管理することで安定化させることが義務付けられている。
【0005】
上記のような場所打ち杭の構築において、削孔内のスライムを含む安定液を除去して正常な安定液と置換する処理時に、十分な置換が行えないと、削孔の底部にスライムが残留することになり、スライムが堆積する孔底へコンクリートを打設すると、コンクリートにスライムが混合することにより、杭底支持力を十分に得ることができず、このため、構造物の沈下等を招くという重大な事態が発生することになる。
【0006】
このため、上記のような場所打ち杭の構築において、削孔内に発生したスライムは、削孔の底部に位置するものまでできるだけ除去し、削孔内を正常な安定液と置換した状態でコンクリートを打設する必要があり、従って、削孔の内部にあるスライムを取出して正常な安定液と置換するためのスライム処理方法がすでに提案されている。
【0007】
従来のスライム処理方法は、支持部材にワイヤー等の可撓性部材を介して吊下げたサンドポンプを削孔内に挿入し、このポンプで削孔内のスライムを含む安定液を吸い上げて孔外に取出し、同時に正常な安定液を削孔内に供給し、回収したスライムを含む安定液の性状を測定することによってスライム量を判断し、この測定結果に基づいて、前記削孔内でのサンドポンプの位置を制御することにより、削孔内のスライムを含む安定液と正常な安定液との置換を行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
上記スライム処理における品質管理(処理完了目安および揚泥進捗の監視)は、主に、揚泥したスライムを含む安定液の比重を計測し、スライムを含む安定液中のスライム量を想定することで行っており、スライムを含む安定液の比重計測は、主に浮き子式の比重計を用いて行われている。
【0009】
しかし、浮き子式の比重計を用いた計測には、以下のような問題点がある。
【0010】
1)計測できる比重値は、浮き子に対して浮力を発生する浮き子周辺の液体の比重値であり、沈殿物をもつような密度均一性に乏しい物質の比重は正確に計測することが困難である。
【0011】
2)計測の応答性が遅いため即時性に欠ける。
【0012】
3)計測対象物をサンプリングして計測器へ投入する必要があり、システムへの組み込みが困難である。
【0013】
ところで、安定液に含まれるスライムは、安定液に溶解または混合するようなものばかりでなく、安定液に沈殿する比重の高い、また、粒径の大きな削孔屑もある。そのため、浮き子式の比重計を用いたスライムを含む安定液の比重計測では、安定液の中のスライム量を正確かつ応答性よく計測することが困難であった。
【0014】
また、別の従来スライム処理における応答性の高い処理状況管理手法として、電気比抵抗センサーを用いて安定液の比抵抗値を計測することで、安定液中の砂分の量を計測する手法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0015】
この手法も、削孔より揚泥するスライムを含む安定液には、削孔屑である砂や礫、シルトなど各々に異なる電気的特性を持つ固体が、その含有比率に定めなく浮遊または、沈殿する固液二相状態として存在するため、計測したスライムを含む安定液の電気比抵抗値より、安定液に含まれる削孔屑の含有比率を一対一対応で正確に計測、定義することは困難で、また、その含有量を定めることも不可能であり、スライム処理を行う土質を事前に調査した上で、近似的な想定値をもって安定液に含まれる砂分の比率を推定したうえで計測対象の安定液体積またはその流量を別途計測することで、安定液に含まれる砂分の量を推定することしか出来ないという課題がある。
【0016】
安定液の品質管理は、上述の不完全な計測要因をもつため、比重計測や電気比抵抗値の計測以外に、サンプリングしたスライムを含む安定液を濾過した際のマッドケーキの観察や、作業者が重錘を用いて、削孔底残留スライム量を手探りで感性評価するなどの、複数の観測と評価を行いながら、品質の管理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特許第4113504号公報
【特許文献2】特開2005−351121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ところで、上記したスライム処理方法は、削孔内での揚泥位置と時間的に制限された、局所的なスライムの性状によって、スライムの置換状況を判断しているため、削孔内におけるスライム分布状況を把握することができず、揚泥位置での性状判断のみにより揚泥位置の制御が場当たり式となり、スライムを含む安定液と正常な安定液との置換作業の正確性という点で改善の余地がある。
【0019】
また、スライム処理における品質評価は、スライム処理後の孔底スライム量を作業員が重錘を垂らし、その着床感触を感性評価でしか観察していないため、残留スライム量を定量的に把握できず、また、スライム処理後からコンクリート打設までの経過時間中に、削孔中に浮遊するスライムがどれだけ孔底に沈降するかも分からないため、スライム処理品質は、処理直後の残留スライム量を定性的に評価し、その後の堆積スライム量を保障できない方法となっている。
【0020】
そこで、この発明の課題は、上記のような問題点を解決するため、削孔内における固液二相状態にあるスライム分布の状況を把握しながら揚泥状況を観測し、その情報をもとに揚泥手段を制御することで置換作業の効率化と正確性を向上させることができると共に、スライム処理直後及び、その後に行うコンクリートの打設開始までの、孔底に堆積するスライム量を定量的に想定することができ、より高品質なスライム処理、つまり、場所打ちコンクリート杭の安全性が保障できるスライム性状管理方法と自動スライム処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記のような課題を解決するため、請求項1の発明は、削孔内から揚泥手段で吸引したスライムを含む安定液の密度と質量流量または体積流量のうち少なくとも密度をコリオリ式質量流量計などの性状計測手段で計測し、これら計測結果をもとに安定液及び安定液中のスライム性状または、その混合性状を逐次管理するようにしたものである。
【0022】
上記コリオリ式質量流量計は、計測応答性が高く、沈殿物や浮遊物を含む固液二相状態である揚泥中のスライムを含む安定液の密度および質量流量のオンライン計測が行え、揚泥経路外へのサンプリングが不要になる。
【0023】
また、密度計測と共に流量を計測することで、安定液の質量計測(スライム質量計測)が可能となり、より正確な削孔内からのスライム排出量が計測できると共に、削孔内のスライム残留量を想定できる。
【0024】
更に、安定液の性状を時系列に記録管理することで、スライム処理工程の施工管理が可能となり、スライム性状をリアルタイムに表示することで、作業者は、処理過程を定量的に評価判断できることになる。
【0025】
また、スライムを含む安定液の密度計測には、コリオリ式質量流量計以外にも、揚泥経路中に、体積が既知の安定液搬送経路を設け、その所定体積空間を通過するスライムを含む安定液の質量を計測し、既知である体積を用いて、計測対象の密度を測定することも考えられ、また同経路の流量を汎用流量計を用いて同時計測することも可能である。
【0026】
請求項2の発明は、上記揚泥手段による揚泥のタイミングと性状計測のタイミングに時間差が生じる場合、揚泥手段から性状計測手段までのスライムを含む安定液の搬送経路長と計測した流速からタイムラグを算出し、このタイムラグ情報と性状計測情報を対応付け、揚泥時の時系列情報とし管理・記録し、管理情報出力手段で表示・出力するようにしたものである。
【0027】
上記削孔内の安定液及び安定液中のスライム性状又は、その混合性状を計測するスライム性状管理装置は、揚泥手段とスライム性状計測手段、スライム性状管理手段、スライム性状出力手段からなり、削孔内から吸引したスライムを含む安定液の性状をリアルタイムに計測表示することにより、安定液の品質管理を即時性、簡易性の高いものにすることができる。
【0028】
ここで、揚泥手段位置でのスライム性状の挙動を時系列に把握することは、削孔内のスライム性状の変動を監視することになる。特に、揚泥するスライム性状にムラがある場合や、揚泥手段による揚泥量に変化が生じた場合に、搬送される安定液の流速にもバラツキが生じるため、計測手段位置でのスライム性状計測値の時系列的データと、揚泥位置での時系列データに差異が生じる場合があり、孔内のスライム分布を正確に把握するには、タイムラグを補正する必要がある。
【0029】
請求項3の発明は、上記揚泥手段を移動手段で移動させたときの揚泥手段の位置情報を揚泥位置情報管理手段で計測管理し、請求項1又は2に記載のスライム性状計測方法で管理されている揚泥時のスライム性状情報と揚泥位置情報を情報管理手段で対応付けて管理し、これを管理情報出力手段で併せて表示または出力するようにしたものである。
【0030】
請求項4の発明は、スライム処理を行う削孔の形状を入力することで、請求項1乃至3の何れかに記載のスライム性状管理方法で得られた、スライム性状情報を削孔内空間座標と対応付けて管理し、削孔内スライム分布状況を把握することを目的としたものである。
【0031】
請求項5の発明は、上記揚泥手段の近傍に設けた測距手段で、揚泥位置における削孔側壁などの障害物までの水平面距離を測定し、削孔内の揚泥位置を実測することで、スライム性状情報と揚泥深度及び揚泥水平面位置を対応付けて3Dスライム性状管理手段で管理するようにしたものである。
【0032】
上記超音波孔壁測定手段は、スライム性状計測手段と共に揚泥手段に一体動するよう取付けることにより、削孔内品質評価装置となり、削孔内に沈降させることにより削孔の形状を測定し、場所打ち杭工事で定式的に行なわれる品質管理工程である側壁測定工程に、スライム性状管理情報を組合わせることで、削孔内品質管理が精度よく行えることになる。
【0033】
請求項6の発明は、上記請求項1乃至5の何れかに記載のスライム性状管理手段により、計測管理されている揚泥したスライムを含む安定液量と、新たに孔内に注入する安定液性状と、その量または、孔内安定液の液面高さの何れかを計測することで、揚泥したスライム量を測定すると同時に、孔内安定液量を監視することにより、削孔の崩壊を防ぐものである。
【0034】
請求項7の発明は、上記請求項1乃至6の何れかに記載のスライム性状管理方法を用いて、揚泥手段で吸引するスライムを含む安定液の性状情報をもとにスライム処理状況を判断することで、この判断を基に移動手段を作動させて揚泥手段の揚泥位置を制御するようにしたものである。
【0035】
請求項8の発明は、スライム処理状況の判断を、削孔内3Dスライム性状分布と、スライム処理終了からコンクリート打設までの経過時間により削孔内浮遊スライム量の自然沈降量を想定することで、コンクリート打設時の孔底残留スライム量を想定し、揚泥時の揚泥スライム性状が残留スライム量を所定値以下にするスライム性状であるか否かを条件に、移動手段で揚泥手段の揚泥位置を制御するようにしたものである。
【0036】
上記スライム沈降時間は、スライム沈降量推定手段を用い、スライム処理後からコンクリート打設までのスライム自然沈降量の想定値を付加して、揚泥位置の移動経路を設計することで、コンクリート打設直前の残留スライム量を想定したスライム処理を実施するものである。
【0037】
請求項9の発明は、削孔内からスライムを含む安定液を吸引する揚泥手段と、吸引したスライムを含む安定液を搬送する搬送経路と、搬送中のスライムを含む安定液の密度と質量流量または体積流量のうち少なくとも密度を計測する性状計測手段と、計測情報を時系列に管理・記録するスライム性状管理手段と、記録・管理した性状情報を表示・出力する管理情報出力手段とを備える構造としたものである。
【0038】
請求項10の発明は、上記揚泥手段の揚泥のタイミングと性状計測のタイミングに時間差が生じる場合、揚泥手段から性状計測手段までのスライムを含む安定液の搬送経路長と流速により、揚泥と性状計測のタイムラグを算出するタイムラグ算出手段と、性状計測情報とタイムラグ情報を対応付け、揚泥の時系列情報として管理・記録するスライム性状管理手段と、管理・記録した性状情報を表示・出力する管理情報出力手段とからなる構造としたものである。
【0039】
請求項11の発明は、上記揚泥手段を移動させる移動手段と、この移動手段により移動した揚泥手段の位置情報を計測管理する揚泥位置情報管理手段と、揚泥時のスライム性状情報と揚泥位置情報を対応付けて記録・管理するスライム性状管理手段と、上記スライム性状情報と揚泥位置情報を併せて表示・出力する管理情報出力手段とを備える構造としたものである。
【0040】
請求項12の発明は、スライム処理を行う削孔の深度・孔径など、形状情報を3D入力する施工情報入力手段と、削孔内3D座標位置と削孔内各位置でのスライム性状を対応付けて削孔内のスライム分布を空間的に記録管理する3Dスライム性状管理手段を備えている構造としたものである。
【0041】
請求項13の発明は、上記揚泥手段の近傍に設けた揚泥位置における削孔側壁までの水平面距離を測定する測距手段と、計測した揚泥位置水平面距離情報および揚泥深度情報をスライム性状情報と対応付けて記録管理する3Dスライム性状管理手段を備えた構造としたものである。
【0042】
請求項14の発明は、請求項9乃至13の何れかのスライム性状管理装置により、計測管理されている揚泥したスライムを含む安定液量と、注入安定液測定手段により新たに孔内へ注入する安定液性状及びその量を測定する、もしくは、液面測定手段を用いて計測する、孔内安定液の液面高さに基づき、揚泥したスライム量を推定すると同時に、孔内安定液量を監視することで、削孔の崩壊を防ぐようにしたものである。
【0043】
請求項15の発明は、請求項9乃至14の何れかのスライム性状管理装置を用い、揚泥手段で吸引するスライムを含む安定液の性状情報をもとにスライム処理状況を判断することで、移動手段を作動させて揚泥手段の揚泥位置を制御する構造にしたものである。
【0044】
請求項16の発明は、請求項15のスライム性状管理装置におけるスライム処理状況の判断を、スライム性状管理手段とスライム沈降量推定手段を用い、削孔内3Dスライム性状分布と、スライム処理終了からコンクリート打設までの経過時間により削孔内浮遊スライム量の自然沈降量を想定することで、コンクリート打設時の孔底残留スライム量を想定し、揚泥時の揚泥スライム性状が残留スライム量を所定値以下にするスライム性状であるか否かを条件に、揚泥手段の揚泥位置を制御する構造としたものである。
【0045】
ここで、スライム性状管理装置で揚泥状況を可視化する方法は、削孔内に挿入したサンドポンプを起動させた状態で沈降させ、揚泥経路に設置した性状計測手段で吸い出したスライムを含む安定液、つまり、沈殿物を含むまたは混合状態にある固液二相状の流体の密度または、密度と質量流量または体積流量を計測することによって行うものであり、削孔に対するスライム除去前のスライムの状況を把握でき、これに基づいて、スライム除去時の揚泥手段の制御が効率よく行える。
【0046】
また、上記スライムを含む安定液の計測時に、PHや粘性を計測することにより、一般的な安定液の品質管理のパラメータをリアルタイムに計測監視することができる。
【0047】
上記のような揚泥中のスライム性状を実測した計測情報をもとに、自動制御手段と揚泥手段の移動手段を制御することにより、削孔内のスライムを含む安定液と正常な安定液の置換が自動的に効率よく行え、しかも、処理前の削孔の性状を把握することで、効果的なスライム処理工程を設計、自動制御することができる。
【0048】
また、スライム処理を行う削孔の形状と、処理中に補充する安定液と揚泥したスライムを含む安定液の物性の両方を計測することで、孔外へのスライム排出量を算定でき、また、削孔内のスライム分布状況を3D的に把握することで、スライム処理後に行うコンクリート打設までの時間などのスライム処理施工情報を自動制御手段に入力することにより、コンクリート打設時の沈降スライム量が分かり、品質の高い場所打ちコンクリート杭を構築することができる。
【発明の効果】
【0049】
この発明によると、スライムを含む安定液、つまり、沈殿物を含む固液二相状態にある安定液の密度をリアルタイムにモニタリングできるため、応答性の高い安定液の品質管理ができる。
【0050】
また、スライム物性計測手段で削孔内から吸引したスライムを含む安定液の物性を計測し、この計測したスライムを含む安定液の物性評価を基に、所望のスライム処理量を揚泥したことを評価することで、削孔内に位置する揚泥手段の揚泥位置を移動させるようにしたので、削孔内のスライム除去において、削孔内のスライムの状況を即座に判断しながら揚泥手段の揚泥位置を移動させることにより、スライムの除去が効率よく確実に行え、スライム処理直後及び、その後に行うコンクリートの打設開始までの、孔底に堆積するスライム量を定量的に想定することで、より高品質なスライム処理が実現でき、場所打ちコンクリート杭の安全性が保障できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】自動スライム処理装置の概略構造を示す説明図
【図2】スライム処理装置構成要素の概略を示すブロック図
【図3】スライム処理方法の実施状態を示す説明図
【図4】スライム性状計測手段の一例としてロードセルを用いた計測手段の斜視図
【図5】揚泥手段とその移動手段及び孔壁測定手段の関係を示す斜視図
【図6】(a)は削孔内各深度でのスライム処理前と処理後でのスライム分布性状分布図、(b)は揚泥中にしているスライム性状計測値の挙動を時系列に示す説明図
【図7】削孔内安定液の性状を事前に測定するための工程を示すフローチャート
【図8】削孔内安定液のスライム除去を行うスライム処理方法の工程を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0053】
この発明は、場所打ちコンクリート杭の構築において、削孔内におけるスライム分布の状況を把握しながら揚泥状況を観測し、その情報をもとに揚泥手段を制御することで、削孔内スライムと安定液の置換作業の効率化と正確化を向上させ、より高品質なスライム処理、つまり、場所打ちコンクリート杭の安全性が保障できるようにするスライム性状管理方法と自動スライム処理装置である。
【0054】
ここで、上記揚泥手段は、サンドポンプ(水中ポンプ)やエアーリフト方式を採用し、スライムとは、砂、シルト、礫などの削孔内に発生する削孔屑であり、また、安定液とは、ベントナイト、水、CMCなどを混合した溶液(重液)であり、削孔内に供給することにより、削孔内周面の崩落発生を防ぐものである。
【0055】
先ず、図1と図3は、場所打ちコンクリート杭等の構築のため地中を掘削した削孔と、この削孔内のスライムを除去して正常な安定液と置換する揚泥装置の一例を示し、削孔1は所定の孔径と孔底が支持地盤に達する深度を有し、上端部内周はスタンドパイプ2によって保護されている。
【0056】
上記揚泥装置において、揚泥したスライムを含む安定液の物性を測定するスライム性状計測手段(質量流量計)3は、削孔1内より揚泥したスライムを含む安定液を搬送する揚泥経路4に配置され、揚泥搬送されるスライムを含む安定液の物性をリアルタイムに計測する。
【0057】
ここで、物性計測に用いる計測手段3は、コリオリ式質量流量計や、図4の揚泥経路4となる所定配管内を通過する安定液の質量を計測するロードセル5を用い、同配管の流量を別途流量計6で計測することで、計測対象の密度および流量を同時に計測するようにし、図2のように、その計測結果を、PLCとモニターを備えた汎用計算機のようなスライム性状管理手段7を用いて時系列に対応付けて管理、記録した上で、スライム性状管理情報出力手段8に出力することで表示または紙などの媒体に出力する。
【0058】
上記スライム性状計測手段3は、削孔1内から揚泥手段9で吸引したスライムを含む安定液の密度および流速を計測することで質量流量・体積流量を算定し、これら計測結果をもとに、スライム性状管理手段7とスライム管理情報出力手段8とによって、安定液及び安定液中のスライム性状又は、その混合性状を逐次管理する。
【0059】
揚泥手段9からスライム性状計測手段3までの安定液搬送経路長をPLCへの入力装置を用いて、PLCへ入力し記憶管理する。性状計測手段3で取得した搬送安定液の流速をもとに揚泥と計測でのタイムラグを算出し、同PLCで管理する密度情報を揚泥タイミングでの時系列情報に変換し、管理記憶し、表示機に出力する。
【0060】
図1に、スライム性状管理装置を搭載したスライム自動揚泥装置を示し、図2にその構成要素をブロック図で示し、図3に揚泥手段および経路と性状計測手段の配置イメージを示す。
【0061】
図1のスライム自動揚泥装置は、スタンドパイプ2の上端部外側に、サンドポンプを用いた揚泥手段9を吊下げるワイヤー10のワイヤー巻取りウィンチ11と、揚泥手段9に給電する電線のケーブル巻取りドラム(図示省略)と、揚泥手段9の吐出口に接続したホースの巻取りリール12を設けて形成されている。
【0062】
上記スライム自動揚泥装置は、図2の構成要素を配置したベースフレーム部13を旋回することにより、揚泥手段9を水平移動させ、揚泥手段9の吊り下げワイヤー10を巻き取るウィンチ11の駆動により揚泥手段9を上下に移動させる。各駆動部のアクチュエータには、エンコーダが配置されその駆動量をリアルタイムに計測できるようになっており、これらで移動手段14が構成されている。
【0063】
上記構成により揚泥位置は、移動手段14の各アクチュエータに配置したエンコーダからの駆動信号を持って揚泥位置情報管理手段15とし、前記揚泥位置のスライム性状情報と対応付けて情報管理装置であるスライム性状管理手段7で記録管理する。
【0064】
なお、揚泥手段9の旋回や進退動からなる水平移動と上下動は、人力操作で行うことも可能であるが、電動モータとラックやピニオン等の機構を用い、自動制御によって水平移動と上下動を行わせるようにするのが望ましい。
【0065】
上記したスライム自動揚泥装置の揚泥手段9を制御して削孔1内のスライムを揚泥するこの発明のスライム性状管理方法と、これを用いた自動スライム処理方法の実施の一例を図7のフローチャートで、またスライム性状管理手法の一実施例を図6に示す。
【0066】
図2に示すように、スライム性状管理装置は、揚泥手段9と、スライム性状計測手段3と、タイムラグ算出手段16と、孔壁測定手段17と、スライム性状管理手段7と、揚泥位置情報管理手段15と、揚泥位置を移動する移動手段14と、揚泥位置を手動で操作する手動入力手段18と、揚泥位置を制御する自動制御手段19と、スライム分布推定手段20と、施工情報入力手段21と、スライム性状管理情報出力手段8と、スライム沈降量推定手段22と、液面測定手段23と、注入安定液の測定手段24とからなり、前記スライム性状計測手段3で、削孔1内から揚泥手段9で吸引したスライムを含む安定液の少なくとも密度と、流速・質量流量・体積流量の何れか一つ又は複数を計測し、これら計測結果をスライム性状管理手段7に入力するようになっている。
【0067】
上記スライム性状管理手段7は、上記スライム性状管理情報と揚泥位置情報を対応付け、削孔1内のスライム分布状況を推定し、揚泥手段9を移動させた後スライム性状情報をもとにその位置での揚泥効率を判断することで、揚泥手段9の揚泥位置を制御する。
【0068】
図5は、上記孔壁測定手段17である超音波孔壁測定機構を用いて削孔1の形状データと同時に削孔深度ごとのスライム性状情報を計測し、これを削孔品質管理情報として上記スライム性状管理手段7で管理するようにしたものである。
【0069】
上記超音波孔壁測定手段17を揚泥手段9と共に一体動するよう取付けることにより、削孔1内での揚泥水平位置を実測により把握することができる。また、同時に削孔1内の側壁および安定液の品質評価装置ともなり、削孔1内に沈降させることにより削孔1の形状を測定し、これをスライム性状管理手段7に入力することにより、場所打ち杭工事で定式的に行なわれる品質管理工程である側壁工程に、スライム性状管理を組合わせることで、削孔内品質管理が精度よく行えることになる。
【0070】
スライム処理前における削孔1内のスライム性状計測は、スライム処理前に、削孔1内に揚泥手段9であるサンドポンプを投入して沈降させながら、スライム性状計測手段3で削孔1内の深度ごとのスライムの物性を計測し、孔内スライム分布推定手段20で各深度毎のスライム性状を記録することより、図6(a)のように、スライム処理時に揚泥前の孔内スライム分布を把握しながら揚泥を行える。
【0071】
図2のように、スライム性状管理手段7からの出力は自動制御手段19に入力され、この自動制御手段19からの位置制御情報によって、揚泥手段9の移動手段14を制御することにより、揚泥手段9を移動させるようになっている。
【0072】
上記したスライムとは、削孔1の掘削によって発生した砂分、礫、粘土シルトの混合物であり、また、正常な安定液は、ベントナイト、CMC、水からなり、上記スライムを含む安定液とはスライムと安定液の混合したものであり、また、スライムを含む安定液の物性(性状)とは、スライムを含む安定液の密度・流速・質量流量・体積流量・比重・粘度である。
【0073】
上記スライム性状計測手段3は、例えば、コリオリ式質量流量計や、図4に示す物性計測センサを用い、スライムを含む安定液をスライム処理装置に向けて送る揚泥経路4の途中に設置し、削孔1の深度ごとに、揚泥手段9で吸い上げたスライムを含む安定液の物性をリアルタイムに計測し、その計測情報をスライム性状管理手段7に入力し、スライム処理での必要揚泥量を算出すると共に、スライムを含む安定液の物性評価と必要揚泥量の算出結果をもとに、揚泥手段9による揚泥深度と水平位置ごとの処理目標物性値と比較評価して、この目標値をもとに自動制御手段(PLC)19が位置制御情報を揚泥位置情報管理手段15に入力し、揚泥位置情報管理手段15の操作情報を移動手段14に入力し、揚泥手段9を移動させることになる。
【0074】
上記した処理目標物性値は、前記削孔1内のスライム分布と揚泥手段9の吐出能力により、揚泥時の効果的な揚泥手段9の揚泥位置を示す指標であり、この指標にもとづいて、揚泥手段9の上下動と水平移動を手動若しくは自動によって制御することになる。
【0075】
なお、揚泥手段9と搬送経路4内に組み込むスライム性状計測手段3の間に生じる距離は、揚泥と計測のタイムラグになるが、この距離とスライムを含む安定液の流速を計測することにより、タイムラグを補正することが可能で、削孔1内のスライム分布状況やスライム処理の状況は、これにより定量的に観測できる。
【0076】
前記削孔1内のスライム分布と揚泥手段9の吐出能力により、スライム処理工程における効果的な揚泥手段9の揚泥位置を判断するものであり、この結果にもとづいて、揚泥手段9の上下動と水平移動を手動若しくは自動によって制御することになる。
【0077】
また、スライム性状管理手段7は、処理前の削孔1の全深度のスライム物性を計測することにより算出した処理前のスライム量と、コンクリート打設時の削孔1内のスライム量、実際に削孔1内から揚泥したスライム量と、処理中に削孔1内に補充した安定液に含まれているスライム量と、揚泥手段9の引上げ時に、削孔1の全深度スライム物性を計測する処理後のスライム量と、この処理後からコンクリート打設時までの沈降スライム量を算出するものである。
【0078】
上記スライム処理後からコンクリート打設時までのスライムの自然沈降に関しては、固液二相中の固体沈殿挙動を示す数学モデルが一般的にあり(ナビエスストークス等)、これらを用いてコンクリート打設までの経過時間のスライム沈降量を算出し、スライム沈降量推定手段22で、孔1内スライム分布推定手段20を介してスライム性状管理手段7に入力する。
【0079】
図2に示した自動スライム処理装置は、孔内スライム分布を推定する孔内スライム分布推定手段20と、施工情報入力手段21を用い、施工情報を孔内スライム分布推定手段20に入力し、スライム処理施工前に、既知である施工情報(削孔形状、コンクリート打設時間、補充安定液の性状、補充流入量)と、施工対象である削孔1の深度ごとのスライム性状を実計測したスライム性状計測値をもとに、揚泥手段9の揚泥位置の移動経路を設計するようにしたものであり、揚泥効率のよい位置へ揚泥手段9を移動させる自動制御を行なうものである。
【0080】
図2に示す自動スライム処理装置のスライム沈降量推定手段は、上記孔内スライム分布推定手段20と相互に接続し、スライム処理施工前に、既知である上記施工情報に加え、スライム処理後からコンクリート打設までの時間を基に、時間経過による削孔1内の自然沈降スライム量の想定値を付加し、コンクリート打設直前の残留スライム量を想定したスライム処理を実施できるようにしている。
【0081】
次に、この発明のスライム自動揚泥装置を用いたスライムの性状管理と自動揚泥方法を、各図及び図7と図8のフローチャートを参照して説明する。
【0082】
図1と図3に示すように、地面に掘削された削孔1に対して揚泥装置をセットし、揚泥手段9の吐出口に接続したホースの吐出口と、地面上に設置されたスライム処理装置を揚泥経路4で接続し、この揚泥経路4の途中にスライム性状計測手段3を設置する。
【0083】
先ず、吊下げた揚泥手段9をウィンチ11の巻下げにより削孔1内に沈降させ、スライム性状計測手段で計測した安定液の物性値を、揚泥手段9の深度と、揚泥手段9の周辺に設けた超音波孔壁測定手段17により計測し、削孔内揚泥位置と共に管理し、スライム性状管理手段7に入力し、スライム性状管理手段7で、揚泥手段9による揚泥深度と水平位置ごとの処理目標物性値を算出する。
【0084】
次に、削孔1内スライム性状の高い深度へ揚泥手段9を移動させ、揚泥を行い、揚泥スライム性状が所定値になるまで揚泥を行い、その後スライム性状の高い揚泥位置へ揚泥手段9を移動させ再度揚泥を行うことを繰り返す。
【0085】
揚泥手段9を削孔1内の安定液中に沈降させると、スライムを含む安定液の吐出が開始され、地上に揚泥されたスライムを含む安定液は、揚泥経路4を通ってスライム処理装置に流れ、また、スライム処理装置から安定液輸送路25を介して削1孔内に新たな安定液が供給される(図3参照)。
【0086】
上記揚泥経路4を流れるスライムを含む安定液は、性状計測手段3によって密度および流速を計測すると同時に、質量流量または体積流量が計測され、この性状計測結果がスライム性状管理手段7で逐次管理される。
【0087】
また、揚泥手段9と性状計測手段3までのスライムを含む安定液の搬送経路長と流速により、揚泥と性状計測のタイムラグを算出するタイムラグ算出手段16によって、タイムラグ情報がスライム性状管理手段7に入力され、性状計測情報とタイムラグ情報を対応付け、揚泥の時系列情報として管理・記録し、これを管理情報出力手段8で表示・出力する。
【0088】
上記スライム性状管理手段7には、予め、スライム分布推定手段20で計測値に基づくスライム分布情報と、施工情報入力手段で削孔形状やコンクリート打設時間情報と、スライム沈降量推定手段22で、スライム処理終了からコンクリート打設時間のスライム沈降量情報とが入力され、更に、削孔1内液面の測定値と注入安定液の性状情報が入力される。
【0089】
このような、各種情報をもとに、スライム性状管理手段7は、揚泥手段9の揚泥位置の移動経路を算定し、その結果を自動制御手段19に入力し、自動制御手段19は揚泥位置情報管理手段15を介して移動手段14を作動させ、揚泥効率のよい位置へ揚泥手段9を移動させる自動制御を行なうことにより、削孔1内のスライムを効率よく除去し、注入安定液との置換を行うものである。
【符号の説明】
【0090】
1 削孔
2 スタンドパイプ
3 スライム性状計測手段
4 揚泥経路
5 ロードセル
6 流量計
7 スライム性状管理手段
8 スライム性状管理情報出力手段
9 揚泥手段
10 ワイヤー
11 ワイヤー巻取りウインチ
12 ホースの巻取りリール
13 ベースフレーム部
14 移動手段
15 揚泥位置情報管理手段
16 タイムラグ算出手段
17 孔壁測定手段
18 手動入力手段
19 自動制御手段
20 スライム分布推定手段
21 施工情報入力手段
22 スライム沈降量推定手段
23 液面測定手段
24 注入安定液の測定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
削孔内から揚泥手段で吸引したスライムを含む安定液を搬送経路を通して搬送し、性状計測手段でこの搬送中のスライムを含む安定液の密度と質量流量または体積流量のうち少なくとも密度を計測し、この性状計測情報をスライム性状管理手段で時系列に管理・記録し、管理・記録した性状情報を管理情報出力手段で表示・出力するようにするスライム性状管理方法。
【請求項2】
上記揚泥手段による揚泥のタイミングと性状計測のタイミングに時間差が生じる場合、揚泥手段から性状計測手段までのスライムを含む安定液の搬送経路長と計測した流速からタイムラグを算出し、このタイムラグ情報と性状計測情報を対応付け、揚泥時の時系列情報としてスライム性状管理手段で管理・記録し、管理・記録した性状情報を管理情報出力手段で表示・出力する請求項1に記載のスライム性状管理方法。
【請求項3】
上記揚泥手段を移動手段で移動させたときの揚泥手段の位置情報を揚泥位置情報管理手段で計測管理し、請求項1又は2に記載のスライム性状計測方法で管理されている揚泥時のスライム性状情報と揚泥位置情報をスライム性状管理手段で対応付けて管理し、これを管理情報出力手段で併せて表示または出力する請求項1又は2に記載のスライム性状管理方法。
【請求項4】
スライム処理を行う削孔の深度・孔径を、設計情報に基づいて3D形状情報として3Dスライム性状管理手段に入力し、この3Dスライム性状管理手段によって削孔内3D形状と削孔内各位置でのスライム性状を対応付けて記録管理する請求項1乃至3の何れかに記載のスライム性状管理方法。
【請求項5】
上記揚泥手段の近傍に設けた測距手段で、揚泥位置における削孔側壁などの障害物までの水平面距離を測定し、計測した揚泥位置水平面距離情報を、揚泥深度情報及びスライム性状情報と対応付けて3Dスライム性状管理手段で管理する請求項1乃至4の何れかに記載のスライム性状管理方法。
【請求項6】
上記請求項1乃至5の何れかに記載のスライム性状管理方法を用いて、揚泥したスライムを含む安定液量に加え、新に削孔へ注入した安定液の密度と注入した安定液量または、削孔内安定液面高さの少なくとも一方を計測することで、削孔内の安定液置換量または、揚泥スライム量の少なくとも一方を測定するスライム性状管理方法。
【請求項7】
上記請求項1乃至6の何れかに記載のスライム性状管理方法を用いて、揚泥手段で吸引するスライムを含む安定液の性状情報をもとにスライム処理状況を判断することで、この判断を基に移動手段を作動させて揚泥手段の揚泥位置を制御するスライム処理方法。
【請求項8】
スライム処理状況の判断を、削孔内3Dスライム性状分布と、スライム処理終了からコンクリート打設までの経過時間により削孔内浮遊スライム量の自然沈降量を想定することで、コンクリート打設時の孔底残留スライム量を想定し、揚泥時の揚泥スライム性状が残留スライム量を所定値以下にするスライム性状であるか否かを条件に、揚泥手段の揚泥位置を制御する請求項7に記載のスライム処理方法。
【請求項9】
削孔内からスライムを含む安定液を吸引する揚泥手段と、吸引したスライムを含む安定液を搬送する搬送経路と、搬送中のスライムを含む安定液の密度と質量流量または体積流量のうち少なくとも密度を計測する性状計測手段と、計測情報を時系列に管理・記録するスライム性状管理手段と、記録・管理した性状情報を表示・出力する管理情報出力手段とを備えるスライム性状管理装置。
【請求項10】
上記揚泥手段の揚泥のタイミングと性状計測のタイミングに時間差が生じる場合、揚泥手段から性状計測手段までのスライムを含む安定液の搬送経路長と流速により、揚泥と性状計測のタイムラグを算出するタイムラグ算出手段と、性状計測情報とタイムラグ情報を対応付け、揚泥の時系列情報として管理・記録するスライム性状管理手段と、管理・記録した性状情報を表示・出力する管理情報出力手段を備える請求項9に記載のスライム性状管理装置。
【請求項11】
上記揚泥手段を移動させる移動手段と、この移動手段により移動した揚泥手段の位置情報を計測管理する揚泥位置情報管理手段と、揚泥時のスライム性状情報と揚泥位置情報を対応付けて記録・管理するスライム性状管理手段を設け、前記スライム性状情報と揚泥位置情報を併せて表示・出力する管理情報出力手段とを備える請求項9又は10に記載のスライム性状管理装置。
【請求項12】
スライム処理を行う削孔の深度・孔径による3D形状情報を入力する施工情報入力手段と、削孔内3D形状と削孔内各位置でのスライム性状を対応付けて記録管理する3Dスライム性状管理手段を備えている請求項9乃至11の何れかに記載のスライム性状管理装置。
【請求項13】
上記揚泥手段の近傍に設けた揚泥位置における削孔側壁までの水平面距離を測定する測距手段と、計測した揚泥位置水平面距離情報および揚泥深度情報をスライム性状情報と対応付けて記録管理する3Dスライム性状管理手段を備えている請求項9乃至12の何れかに記載のスライム性状管理装置。
【請求項14】
上記請求項9乃至13の何れかに記載のスライム性状管理装置を用いて、揚泥した安定液量に加え、新に削孔へ注入した安定液の密度と注入した安定液量または、削孔内安定液面高さの少なくとも一方を計測することで、削孔内の安定液置換量または、揚泥スライム量の少なくとも一方を推定する液面測定手段と注入安定液の測定手段を備えているスライム性状管理装置。
【請求項15】
請求項9乃至14の何れかに記載のスライム性状管理装置を用い、揚泥手段で吸引するスライムを含む安定液の性状情報をもとにスライム処理状況を判断することで、揚泥手段の揚泥位置を制御するようになっているスライム処理装置。
【請求項16】
請求項15のスライム処理装置におけるスライム処理状況の判断を、削孔内3Dスライム性状分布と、スライム処理終了からコンクリート打設までの経過時間により削孔内浮遊スライム量の自然沈降量を想定することで、コンクリート打設時の孔底残留スライム量を想定し、揚泥時の揚泥スライム性状が残留スライム量を所定値以下にするスライム性状であるか否かを条件に、揚泥手段の揚泥位置を制御するようになっているスライム処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−209582(P2010−209582A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56537(P2009−56537)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(391015236)大裕株式会社 (11)
【Fターム(参考)】