説明

スルホベタイン型両性イオン化合物、帯電防止剤及び帯電防止性樹脂組成物

【課題】 従来に比べて、樹脂組成物の表面抵抗値をより低下させ得る、新規なスルホベタイン型両性イオン化合物、それを有効成分として含む帯電防止剤及び該帯電防止剤を含む帯電防止性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 式(1):
【化1】


[式中、R、R及びRは互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基又は式(2):
−CHCHOCHCHOR (2)
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で示されるアルコキシエトキシエチル基を示し、R、R及びRのいずれか二つが末端で互いに結合して窒素原子と共に環を形成してもよい。但し、R、R及びRの少なくとも一つは、式(2)で示されるアルコキシエトキシエチル基である。nは3又は4の整数を示す。]で表されるスルホベタイン型両性イオン化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なスルホベタイン型両性イオン化合物、それを有効成分として含む帯電防止剤及び該帯電防止剤を含む帯電防止性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スルホベタイン型両性イオン化合物類は樹脂組成物等の帯電防止剤として知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、本発明者が従来のスルホベタイン型両性イオン化合物を樹脂組成物の帯電防止剤として用いたところ、樹脂組成物の表面抵抗値は1013Ω以上であり、用途によっては、樹脂組成物の表面抵抗値をさらに低下できる帯電防止剤が望まれている。
【特許文献1】特開2005−272316
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来に比べて、樹脂組成物の表面抵抗値をより低下させ得る、新規なスルホベタイン型両性イオン化合物、それを有効成分として含む帯電防止剤及び該帯電防止剤を含む帯電防止性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、式(1):
【0005】
【化1】

[式中、R、R及びRは互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基又は式(2):
−CHCHOCHCHOR (2)
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で示されるアルコキシエトキシエチル基を示し、R、R及びRのいずれか二つが末端で互いに結合して窒素原子と共に環を形成してもよい。但し、R、R及びRの少なくとも一つは、式(2)で示されるアルコキシエトキシエチル基である。nは3又は4の整数を示す。]で表されるスルホベタイン型両性イオン化合物(以下、スルホベタイン型両性イオン化合物(1)という。)、該スルホベタイン型両性イオン化合物を含有することを特徴とする帯電防止剤並びに該帯電防止剤を含有することを特徴とする帯電防止性樹脂組成物に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のスルホベタイン型両性イオン化合物(1)を有効成分として含有する帯電防止剤は、樹脂組成物に用いることで、従来のスルホベタイン型両性イオン化合物と比べて、より表面抵抗値を低下させた樹脂組成物を製造でき得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を具体的に説明する。
式(1)中、R、R及びRで示される炭素数1〜8のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜8のアルキル基が挙げられ、好ましくは直鎖状の炭素数1〜8のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。R、R及びRのいずれか二つが末端で互いに結合して窒素原子と共に形成される環としては、ピロリジン環、ピペリジン環等が挙げられる。R、R及びRの少なくとも一つは、式(2)で示されるアルコキシエトキシエチル基であり、好ましくは、R、R及びRのいずれか一つが式(2)で示されるアルコキシエトキシエチル基である。
【0008】
式(2)中、Rで示される炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基が挙げられる。
【0009】
スルホベタイン型両性イオン化合物(1)の具体例としては、例えば、3−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジメチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジエチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジプロピル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジブチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジペンチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジヘキシル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジヘプチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジオクチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](エチル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](プロピル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ブチル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ペンチル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ヘキシル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ヘプチル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](オクチル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]ピロリジニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]ピペリジニオ]−1−プロパンスルホナート、
【0010】
3−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ジメチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ジエチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ジプロピル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ジブチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ジペンチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ジヘキシル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ジヘプチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ジオクチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](エチル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](プロピル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ブチル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ペンチル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ヘキシル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ヘプチル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](オクチル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]ピロリジニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]ピペリジニオ]−1−プロパンスルホナート、
【0011】
3−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ジメチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ジエチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ジプロピル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ジブチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ジペンチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ジヘキシル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ジヘプチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ジオクチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](エチル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](プロピル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ブチル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ペンチル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ヘキシル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ヘプチル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](オクチル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]ピロリジニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]ピペリジニオ]−1−プロパンスルホナート、
【0012】
3−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ジメチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ジエチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ジプロピル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ジブチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ジペンチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ジヘキシル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ジヘプチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ジオクチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](エチル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](プロピル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ブチル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ペンチル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ヘキシル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ヘプチル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](オクチル)(メチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]ピロリジニオ]−1−プロパンスルホナート、3−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]ピペリジニオ]−1−プロパンスルホナート、
【0013】
4−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジメチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジエチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジプロピル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジブチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジペンチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジヘキシル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジヘプチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジオクチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](エチル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](プロピル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ブチル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ペンチル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ヘキシル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ヘプチル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](オクチル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]ピロリジニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]ピペリジニオ]−1−ブタンスルホナート、
【0014】
4−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ジメチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ジエチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ジプロピル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ジブチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ジペンチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ジヘキシル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ジヘプチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ジオクチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](エチル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](プロピル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ブチル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ペンチル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ヘキシル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](ヘプチル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル](オクチル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]ピロリジニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]ピペリジニオ]−1−ブタンスルホナート、
【0015】
4−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ジメチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ジエチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ジプロピル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ジブチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ジペンチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ジヘキシル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ジヘプチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ジオクチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](エチル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](プロピル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ブチル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ペンチル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ヘキシル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](ヘプチル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル](オクチル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]ピロリジニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]ピペリジニオ]−1−ブタンスルホナート、
【0016】
4−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ジメチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ジエチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ジプロピル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ジブチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ジペンチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ジヘキシル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ジヘプチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ジオクチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](エチル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](プロピル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ブチル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ペンチル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ヘキシル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](ヘプチル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル](オクチル)(メチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]ピロリジニオ]−1−ブタンスルホナート、4−[[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]ピペリジニオ]−1−ブタンスルホナート等が挙げられる。
【0017】
本発明のスルホベタイン型両性イオン化合物(1)は、例えば以下の製造方法等によって製造できる。Rが式(2)で示されるアルコキシエトキシエチル基である場合を例に挙げて説明すると、具体的には、塩基の存在下で、式(3):
【0018】
【化2】

(式中、R及びRは前記に同じ。)で表される第三級アミノアルコール類(以下、第三級アミノアルコール類(3)という。)を式(4):
−X (4)
(式中、Rは前記に同じ。Xはハロゲン原子を示す。)で表されるアルキルハライド類(以下、アルキルハライド類(4)という)と反応させて式(5):
【0019】
【化3】

(式中、R、R及びRは前記に同じ。)で表される第三級アミン類(以下、第三級アミン類(5)という。)を製造し(以下、第一工程という。)、次いで得られた第三級アミン類(5)を、1,3−プロパンスルトン又は1,4−ブタンスルトン(以下、総称してスルトン類という。)と反応させて、スルホベタイン型両性イオン化合物(1)を製造する(以下、第二工程という。)方法である。
【0020】
まず、第一工程について説明する。原料の混合順序については特に限定されないが、例えば第三級アミノアルコール類(3)、或いは溶媒を用いる場合は第三級アミノアルコール類(3)と溶媒の混合物に、アルキルハライド類(4)を供給する方法等が挙げられる。
【0021】
第三級アミノアルコール類(3)の具体例としては、2−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール、2−[2−(N,N−ジエチルアミノ)エトキシ]エタノール、2−[2−(N,N−ジプロピルアミノ)エトキシ]エタノール、2−[2−(N,N−ジブチルアミノ)エトキシ]エタノール、2−[2−(N,N−ジペンチルアミノ)エトキシ]エタノール、2−[2−(N,N−ジヘキシルアミノ)エトキシ]エタノール、2−[2−(N,N−ジヘプチルアミノ)エトキシ]エタノール、2−[2−(N,N−ジオクチルアミノ)エトキシ]エタノール、2−[2−(N−メチル−N−エチルアミノ)エトキシ]エタノール、2−[2−(N−メチル−N−プロピルアミノ)エトキシ]エタノール、2−[2−(N−メチル−N−ブチルアミノ)エトキシ]エタノール、2−[2−(N−メチル−N−ペンチルアミノ)エトキシ]エタノール、2−[2−(N−メチル−N−ヘキシルアミノ)エトキシ]エタノール、2−[2−(N−メチル−N−ヘプチルアミノ)エトキシ]エタノール、2−[2−(N−メチル−N−オクチルアミノ)エトキシ]エタノール、2−[2−(ヒドロキシエトキシ)エチル]ピロリジン、2−[2−(ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペリジン等が挙げられる。
【0022】
アルキルハライド類(4)の具体例としては、メチルクロリド、エチルクロリド、プロピルクロリド、ブチルクロリド、メチルブロミド、エチルブロミド、プロピルブロミド、ブチルブロミド、メチルヨージド、エチルヨージド、プロピルヨージド、ブチルヨージド等が挙げられる。アルキルハライド類(4)の使用量は、第三級アミノアルコール類(3)1モルに対して、通常0.5モル〜1.5モル、好ましくは0.8〜1.3モル、より好ましくは0.9〜1.2モルである。
【0023】
塩基としては、アルカリ金属及び塩基性アルカリ金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物が挙げられ、好ましくは塩基性アルカリ金属化合物である。
【0024】
アルカリ金属としては、例えば金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム等が挙げられる。塩基性アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属水素化物及びアルカリ金属水酸化物が挙げられ、好ましくはアルカリ金属水酸化物である。具体的には、アルカリ金属アルコキシドとしては、例えばリチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムブトキシド、リチウムtert−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド等、アルカリ金属水素化物としては、例えば水素化リチウム、水素化カリウム、水素化ナトリウム等、アルカリ金属水酸化物としては、例えば水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
【0025】
かかる塩基の使用量は、第三級アミノアルコール類(3)1モルに対して、通常0.5モル〜5.5モル、好ましくは0.8〜3.0モル、より好ましくは1.0〜2.5モルである。
【0026】
該反応は、必要に応じて溶媒を用いることができる。かかる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等の脂肪族又は脂環式炭化水素系溶媒、水等が挙げられる。溶媒の使用量は特に制限はないが、第三級アミノアルコール類(3)1重量部に対して、通常10.0重量部以下、好ましくは0.5〜5.0重量部であり、より好ましくは1.0〜3.0重量部である。
【0027】
また、反応促進のため反応系に第四級塩を添加しても良い。第四級塩としては、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩等があり、例えば、テトラブチルアンモニウム=クロリド、テトラブチルアンモニウム=ブロミド、トリメチルベンジルアンモニウム=クロリド、トリメチルベンジルアンモニウム=ブロミド、トリエチルベンジルアンモニウム=クロリド、トリエチルベンジルアンモニウム=ブロミド、トリブチルベンジルアンモニウム=クロリド、トリブチルベンジルアンモニウム=ブロミド、トリオクチルメチルアンモニウム=クロリド、トリオクチルメチルアンモニウム=ブロミド、テトラブチルホスホニウム=クロリド、テトラブチルホスホニウム=ブロミド等が挙げられ、中でも好ましくはテトラブチルアンモニウム=ブロミドである。第四級塩の使用量は、第三級アミノアルコール類(3)1重量部に対して、通常0.005〜0.5重量部、好ましくは0.01〜0.3重量部、より好ましくは0.02〜0.1重量部である。
【0028】
反応温度は、反応に使用する溶媒の種類にもよるが、通常10〜100℃、好ましくは20℃〜50℃である。
【0029】
反応終了後、濃縮、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の所望の単離精製手段により、反応混合物から第三級アミン類(5)を得ることができる。
【0030】
第三級アミン類(5)の具体例としては、N−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジメチルアミン、N−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジエチルアミン、N−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジプロピルアミン、N−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジブチルアミン、N−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジペンチルアミン、N−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジヘキシルアミン、N−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジヘプチルアミン、N−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジオクチルアミン、N−[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジメチルアミン、N−[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジエチルアミン、N−[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジプロピルアミン、N−[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジブチルアミン、N−[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジペンチルアミン、N−[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジヘキシルアミン、N−[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジヘプチルアミン、N−[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジオクチルアミン、N−[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]−N,N−ジメチルアミン、N−[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]−N,N−ジエチルアミン、N−[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]−N,N−ジプロピルアミン、N−[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]−N,N−ジブチルアミン、N−[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]−N,N−ジペンチルアミン、N−[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]−N,N−ジヘキシルアミン、N−[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]−N,N−ジヘプチルアミン、N−[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]−N,N−ジオクチルアミン、N−[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジメチルアミン、N−[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジエチルアミン、N−[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジプロピルアミン、N−[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジブチルアミン、N−[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジペンチルアミン、N−[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジヘキシルアミン、N−[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジヘプチルアミン、N−[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジオクチルアミン、N−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]ピロリジン、N−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]ピペリジン、N−[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]ピロリジン、N−[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]ピペリジン、N−[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]ピロリジン、N−[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]ピペリジン、N−[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]ピロリジン、N−[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]ピペリジン、
【0031】
N−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]−N−エチル−N−メチルアミン、N−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]−N−プロピル−N−メチルアミン、N−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]−N−ブチル−N−メチルアミン、N−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]−N−ペンチル−N−メチルアミン、N−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]−N−ヘキシル−N−メチルアミン、N−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]−N−ヘプチル−N−メチルアミン、N−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]−N−オクチル−N−メチル−アミン、N−[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]−N−エチル−N−メチルアミン、N−[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]−N−プロピル−N−メチルアミン、N−[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]−N−ブチル−N−メチルアミン、N−[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]−N−ペンチル−N−メチルアミン、N−[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]−N−ヘキシル−N−メチルアミン、N−[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]−N−ヘプチル−N−メチルアミン、N−[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]−N−オクチル−N−メチル−アミン、N−[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]−N−エチル−N−メチルアミン、N−[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]−N−プロピル−N−メチルアミン、N−[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]−N−ブチル−N−メチルアミン、N−[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]−N−ペンチル−N−メチルアミン、N−[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]−N−ヘキシル−N−メチルアミン、N−[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]−N−ヘプチル−N−メチルアミン、N−[2−(2−プロポキシエトキシ)エチル]−N−オクチル−N−メチル−アミン、N−[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]−N−エチル−N−メチルアミン、N−[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]−N−プロピル−N−メチルアミン、N−[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]−N−ブチル−N−メチルアミン、N−[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]−N−ペンチル−N−メチルアミン、N−[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]−N−ヘキシル−N−メチルアミン、N−[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]−N−ヘプチル−N−メチルアミン、N−[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]−N−オクチル−N−メチル−アミン等が挙げられる。
【0032】
次に第二工程について説明する。
スルトン類の使用量は、第三級アミン類(5)1モルに対して通常0.7〜3.0モル、好ましくは0.8〜2.0モル、特に好ましくは0.9〜1.5モルである。
【0033】
反応は通常溶媒中で行われる。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等の脂肪族又は脂環式炭化水素系溶媒、水等が挙げられ、好ましくはケトン系溶媒である。溶媒の使用量は特に制限はないが、第三級アミン類(5)1重量部に対して、通常0.5〜20.0重量部、好ましくは1.0〜10.0重量部、特に好ましくは3.0〜6.0重量部である。
【0034】
反応温度は、通常10〜100℃、好ましくは15℃〜80℃、特に好ましくは20℃〜60℃である。
【0035】
反応終了後、ろ過、濃縮、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の所望の分離精製手段により、反応混合物からスルホベタイン型両性イオン化合物(1)を得ることができる。
【0036】
本発明の帯電防止剤は、スルホベタイン型両性イオン化合物(1)を有効成分として含有するものであり、スルホベタイン型両性イオン化合物(1)単独であっても帯電防止剤として用いることができるが、必要に応じて安定化剤等の添加剤又は溶媒等を混合して用いることもできる。かかる帯電防止剤を、樹脂組成物製造時に樹脂組成物材料に添加する等の方法で、樹脂組成物に含有させることで、従来のスルホベタイン型両性イオン化合物を含有する樹脂組成物に比べて、より表面抵抗値を低下させた樹脂組成物を製造することができる。
【0037】
本発明の帯電防止性樹脂組成物としては、合成樹脂又は天然樹脂を樹脂基材とするものであれば特に限定されないが、例えば、塗料、インキ、接着剤、粘着剤、フィルム、断熱材、エレクトロニクス用プリント基板、表面保護材(ハードコート等)等が挙げられる。かかる樹脂組成物には、樹脂基材の他に溶剤、水等の媒体や染料、顔料、充填剤(フィラー)、酸化防止剤、重合開始剤、離型剤等の添加剤が含まれていても何ら差し支えない。
【0038】
合成樹脂としては、通常、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂が挙げられ、具体的には、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂等が例示でき、中でも好ましくはエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂及びポリエステル系樹脂である。
【0039】
オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィンモノマーの単独重合体のほか、エチレンやプロピレン等のオレフィン系モノマーと他のモノマー、例えば酢酸ビニル、α−オレフィン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アルキルビニルエーテル、アクリロニトリル等との共重合体のほか、これらオレフィン系樹脂を主成分とする他のポリマーとの混合物が挙げられる。塩化ビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと他のモノマー、例えば酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル等との共重合体のほか、塩化ビニル系樹脂を主成分とする他のポリマーとの混合物が挙げられる。
【0040】
ポリウレタン系樹脂としては、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステル・エーテルジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリメチルバレロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール等のポリマージオールから選ばれる1種以上のポリオールと、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートから選ばれる1種以上のポリイソシアネートと、活性水素原子を少なくとも2個有する低分子化合物、例えば脂肪族ジオール、脂環式ジオール、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、ヒドラジン誘導体等の群から選ばれる1種以上の触媒とを反応させて得られる1液型又は2液型ポリウレタン樹脂が挙げられる。
【0041】
ポリアミド系樹脂としては、一般的にナイロンと称されるものが使用でき、具体的には、ナイロン4,ナイロン6,ナイロン8,ナイロン11,ナイロン12,ナイロン66,ナイロン69,ナイロン610,ナイロン611,ナイロン6T等が挙げられ、これらは単独若しくは2種以上を混合して使用することもできる。ポリスチレン系樹脂としては、スチレンモノマーの単独重合体のほか、スチレンモノマーと他のモノマー、例えば、ブタジエンモノマーやイソプレンモノマーとの共重合体等が挙げられる。
【0042】
ポリエステル系樹脂としては、飽和ポリエステル系樹脂及び不飽和ポリエステル系樹脂が挙げられ、テレフタル酸やイソフタル酸と、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、芳香族ジオールから選ばれる1種以上のジオールとを重合させたものが使用できる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)、テレフタル酸とエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールとの共重合体(PET−G)、イソフタル酸とネオペンチルグリコールとシクロヘキサンジオールとを共重合したもの等が挙げられる。
【0043】
エポキシ系樹脂としては、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、水添ビスフェノールA型、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0044】
フェノール系樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。メラミン系樹脂としては、メラミンとホルムアルデヒドの付加・縮合で得られるメラミン樹脂やユリアとホルムアルデヒドの付加・縮合で得られるユリア樹脂が挙げられる。
【0045】
本発明における樹脂組成物への本発明の帯電防止剤の含有量は、樹脂基材に対して0.1〜30重量%であり、好ましくは1〜25重量%、特に好ましくは2〜20重量%である。
【実施例】
【0046】
つぎに、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はなんらこれらに限定されるものではないことはいうまでもない。なお、以下の実施例中、表面抵抗値は三菱化学株式会社製ヒレスタHT−210を用い、印加電圧500Vにて測定した。
【0047】
実施例1
1Lガラス製オートクレーブに2−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール153.2g(1.15モル)、水酸化ナトリウム(顆粒)92.1g(2.30モル)、テトラブチルアンモニウム=ブロミド4.6g及びトルエン229.8gの混合物を仕込み、30℃でメチルクロリドガス63.9g(1.27モル)を2時間かけて吹き込んだ後、4時間反応した。反応終了後、得られた反応混合物に水306.4gを添加し、有機層を分離した。水層にトルエン229.8gを加えて抽出を行い、得られたトルエン層を先の有機層とあわせて濃縮し、濃縮残渣を蒸留してN−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジメチルアミン119.5g(収率70.6%、GC純度99.9%)を得た。
【0048】
実施例2
3−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジメチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナートの製造
【0049】
【化4】

実施例1で得られたN−[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]−N,N−ジメチルアミン7.36g(0.05モル)及びアセトン40.4gの混合物に、室温(25℃)で1,3−プロパンスルトン6.11g(0.05モル)を添加し、15時間反応した。反応終了後、反応混合物中に析出した結晶を濾別し、得られた結晶をアセトン20.2gで2回洗浄した。得られた結晶を減圧下で乾燥し、3−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジメチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナート11.47gを得た(収率85.2%)。以下に、3−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジメチル)アンモニオ]−1−プロパンスルホナートのH−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルを示す。
【0050】
H−NMR(400MHz,DMSO−d) δ(ppm):1.94〜2.02(m,2H)、2.45(t,2H)、3.06(s,6H)、3.26(s,3H)、3.44〜3.48(m,4H)、3.51〜3.54(m,2H)、3.56〜3.59(m,2H)、3.83(bm,2H)
13C−NMR(400MHz,CDCl) δ(ppm):19.2、47.9、51.1、58.3、62.2、63.3、64.1、69.5、71.2
【0051】
実施例3
4−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジメチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナートの製造
【0052】
【化5】

実施例2の1,3−プロパンスルトンに代えて1,4−ブタンスルトンを用いた以外は実施例2と同様にして反応を行い、4−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジメチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナートを得た(収率53.0%)。以下に、4−[[2−(2−メトキシエトキシ)エチル](ジメチル)アンモニオ]−1−ブタンスルホナートのH−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルを示す。
【0053】
H−NMR(400MHz,DMSO−d) δ(ppm):1.55〜1.62(m,2H)、1.72〜1.80(m,2H)、2.50(t,2H)、3.04(s,6H)、3.26(s,3H)、3.31〜3.36(m,2H)、3.43〜3.51(m,4H)、3.56〜3.59(m,2H)、3.82(bm,2H)
13C−NMR(400MHz,CDCl) δ(ppm):21.2、22.4、50.6、50.9、58.3、62.4、64.0、64.1、69.5、71.2
【0054】
実施例4及び5、比較例1〜3
エポキシ樹脂としてエピコート828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量186g/eq、登録商標、ジャパンエポキシレジン株式会社製)100重量部、硬化剤としてイミノビスプロピルアミンを14.1重量部並びに表1に示すスルホベタイン型両性イオン化合物5.7重量部(樹脂基材に対して5重量%)を混合し、エポキシ系樹脂組成物とした。かかるエポキシ系樹脂組成物を直径50mm×深さ5mmの円形金型に流し込み、50℃で1時間、さらに100℃で6時間保持し、熱硬化させて評価用サンプルを作成し、23℃、65%RHで2日間保持した後、かかる評価用サンプルの表面抵抗値の測定結果を表1に示す。
【0055】
【表1】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

[式中、R、R及びRは互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基又は式(2):
−CHCHOCHCHOR (2)
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で示されるアルコキシエトキシエチル基を示し、R、R及びRのいずれか二つが末端で互いに結合して窒素原子と共に環を形成してもよい。但し、R、R及びRの少なくとも一つは、式(2)で示されるアルコキシエトキシエチル基である。nは3又は4の整数を示す。]で表されるスルホベタイン型両性イオン化合物。
【請求項2】
式(1)で表されるスルホベタイン型両性イオン化合物を含有することを特徴とする帯電防止剤。
【請求項3】
請求項2記載の帯電防止剤を含有することを特徴とする帯電防止性樹脂組成物。

【公開番号】特開2008−63225(P2008−63225A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−239151(P2006−239151)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(000167646)広栄化学工業株式会社 (114)
【Fターム(参考)】