説明

セキュリティシステム

【課題】利用者からプライバシーに係わる個人の属性に関するデータを受けることなく安価なセキュリティシステムを提供する。
【解決手段】セキュリティシステムは、個人識別情報を収集する個人識別情報収集手段、上記個人識別情報に基づいて個人認証を行う制御盤およびセキュリティを確保する場所の出入口に設けられた扉の電気錠を上記個人認証の結果に従って旋解錠する電気錠旋解錠装置を備えるセキュリティシステムにおいて、上記個人識別情報収集手段に内蔵または付属する撮像手段を備え、上記制御盤は、上記撮像手段で撮影された映像を解析することによりハンディキャップを有する人を判別する個人属性判別手段と、上記ハンディキャップを有する人に対して上記電気錠の解錠する時間を長くする電気錠制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、個人認証の結果に基づいて扉の電気錠の旋解錠を行うセキュリティシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のセキュリティシステムは、カードの有効・無効を判定し、カードが有効ならフラッパを開放して通行を許可し、通行後フラッパを閉鎖するカード式ゲートを備え、子供、老人または障害者など個人毎に対応を可変するために、対応のために参照する属性をカードの個人情報にあらかじめ登録し、カードのカードデータに応じて、フラッパの閉鎖速度を可変する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−15343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、個人認証の結果に基づいて扉の電気錠の旋解錠を制御するセキュリティシステムでは、個人の属性を反映して旋解錠を制御しようとすると、登録データが膨大になりシステムが高価になるという問題がある。
また、個人の属性というプライバシーに係わるデータの提供を受けなければならないというプライバシー保護の観点からも問題がある。
【0005】
この発明の目的は、利用者からプライバシーに係わる個人の属性に関するデータを受けることなく安価なセキュリティシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わるセキュリティシステムは、個人識別情報を収集する個人識別情報収集手段、上記個人識別情報に基づいて個人認証を行う制御盤およびセキュリティを確保する場所の出入口に設けられた扉の電気錠を上記個人認証の結果に従って旋解錠する電気錠旋解錠装置を備えるセキュリティシステムにおいて、上記個人識別情報収集手段に内蔵または付属する撮像手段を備え、上記制御盤は、上記撮像手段で撮影された映像を解析することによりハンディキャップを有する人を判別する個人属性判別手段と、上記ハンディキャップを有する人に対して上記電気錠の解錠する時間を長くする電気錠制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係わるセキュリティシステムの効果は、撮像手段で撮影された映像に含まれる人の姿の映像内の位置からハンディキャップを有する人を判別するので、個人のプライバシーに係わる個人情報を登録する必要がなく、プライバシーの侵害につながる恐れがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明の実施の形態を説明するとき用いる「ハンディキャップを有する人」とは、扉を開けて出入することに平均的な人より時間がかなり掛かってしまう人を意味し、例示すれば、車椅子の利用者、松葉杖の利用者、子供連れの人、子供などである。
また、ハンディキャップを有する人を区別する「ハンディキャップの特徴」とは、ハンディキャップを有する人の属性や付帯するものを意味し、例示すれば、実質的に低い身長、車椅子、松葉杖、子供などである。
また、撮影手段が内臓または付属された個人識別情報収集手段とは、個人識別情報の収集対象である人の姿を映像電子データとして取り込むことのできる撮影手段を内臓または付属された個人識別情報収集手段であり、例示すれば、電子カメラが付属されたカードリーダー、顔認証端末装置などである。
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係わるセキュリティシステムの構成を示すブロック図である。図2は、この発明の実施の形態1に係わる制御盤の機能を示すブロック図である。
この発明の実施の形態1に係わるセキュリティシステムは、図1に示すように、撮像手段として電子カメラ2が付属された個人識別情報収集手段としてカードリーダー3を備え、セキュリティの確保を必要とする場所への出入をその場所の出入口に設けられた扉4の電気錠5を制御することにより管理するシステムである。
そして、この発明の実施の形態1に係わるセキュリティシステムは、電子カメラ2が付属されたカードリーダー3、カードリーダー3で収集される個人識別情報に基づいて個人認証を行い、且つ電子カメラ2により撮像された映像電子データを分析してハンディキャップを有する人を判別して扉4の電気錠5の旋解錠を制御する制御盤6、制御盤6により制御され電気錠5を旋解錠する電気錠旋解錠装置7を備える。
【0010】
制御盤6は、図2に示すように、カードリーダー3で収集される個人識別情報を予め登録された登録情報と照合することにより個人認証処理を行う認証処理手段11、個人認証が成功したとき個人属性を解析してハンディキャップを有する人を判別する個人属性判別手段12、個人認証処理の結果と個人属性に従って電気錠5の旋解錠を制御する電気錠制御手段13を有する。
なお、認証処理手段11は、公知の手段であり、説明は省略する。
【0011】
また、制御盤6は、予め登録された登録情報が記憶されている登録情報記憶部14を有する。
この制御盤6は、CPU、ROM、RAM、インターフェース回路を有するコンピュータから構成され、ROMに格納されているプログラムに従ってCPUが入力されるデータを演算処理することにより機能が実現される。
【0012】
この発明の実施の形態1に係わる電子カメラ2は、図3(a)に示すように、平均的な身長の大人の姿が映像の中央に位置するように撮影する方向が設定されている。そして、ハンディキャップの特徴である実質的に身長の低い車椅子の利用者または子供は、図3(b)に示すように、映像の下部に姿が見出される。
この発明の実施の形態1に係わる個人属性判別手段12は、通常の方法により人の姿を映像から抽出し、次に、図3(a)、(b)に示すように、抽出した人の姿の最も上の映像内の位置Hを特定する。それから、個人属性判別手段12は、特定した位置Hが予め定めた閾値HTHより低いときハンディキャップを有する人がカードリーダー3を操作したと判別する。
【0013】
この発明の実施の形態1に係わる電気錠制御手段13は、認証処理手段11で個人認証が成功しないときには扉4の電気錠5を旋錠のまま維持するように電気錠旋解錠装置7に指令する。
また、電気錠制御手段13は、認証処理手段11で個人認証が成功し、且つ個人属性判別手段12でハンディキャップを有する人と判別しなかったとき扉4の電気錠5を所定の第1の時間の間解錠しその後旋錠するように電気錠旋解錠装置7に指令する。
また、電気錠制御手段13は、認証処理手段11で個人認証が成功し、且つ個人属性判別手段12でハンディキャップを有する人と判別したとき扉4の電気錠5を所定の第1の時間より長い所定の第2の時間の間解錠しその後旋錠するように電気錠旋解錠装置7に指令する。
この第2の時間として、ハンディキャップを有する人が余裕を持って出入口を通れるように適切に定めることができる。
【0014】
このような実施の形態1に係わるセキュリティシステムは、電子カメラ2が撮影し得た人の姿の映像内の位置からハンディキャップを有する人を判別するので、個人のプライバシーに係わる個人情報を登録する必要がなく、プライバシーの侵害につながる恐れがない。
また、個人のプライバシーに係わる個人情報を登録する必要がないので、小さい規模の制御盤6で十分な機能を発揮することができる。
【0015】
なお、実施の形態1に係わる電子カメラ2は、ハンディキャップを有する人の姿も撮影することができる視野を有しているが、ハンディキャップを有する人の姿は撮影されない視野の電子カメラ2を用いてもよい。このときには、個人属性判別手段12は、撮影された映像の中に人の姿が認められないときハンディキャップを有する人がカードリーダー3を操作したと判別する。
【0016】
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2に係わるセキュリティシステムの構成を示すブロック図である。図5は、この発明の実施の形態2に係わる制御盤の機能を示すブロック図である。
この発明の実施の形態2に係わるセキュリティシステムは、図4に示すように、撮像手段として電子カメラ22を内蔵した個人識別情報収集手段として顔認証端末装置23を備え、セキュリティの確保を必要とする場所への出入を場所の出入口に設けられた扉4の電気錠5を制御することにより管理するシステムである。
そして、この発明の実施の形態2に係わるセキュリティシステムは、電子カメラ22を内蔵した顔認証端末装置23、顔認証端末装置23で収集される顔形に基づいて個人認証を行い、且つ電子カメラ22により撮像された映像電子データを分析してハンディキャップを有する人を判別して扉4の電気錠5の旋解錠を制御する制御盤24、制御盤24により制御され電気錠5を旋解錠する電気錠旋解錠装置7を備える。
【0017】
制御盤24は、図5に示すように、顔認証端末装置23で収集される顔形を予め登録された顔形と照合することにより個人認証処理を行う認証処理手段31、個人認証が成功したとき個人属性を解析してハンディキャップを有する人を判別する個人属性判別手段32、個人認証処理の結果と個人属性に従って電気錠5の旋解錠を制御する電気錠制御手段33を有する。
なお、認証処理手段31は、公知の手段であり、説明は省略する。
【0018】
また、制御盤24は、予め登録された顔形が記憶されている顔形記憶部34、予め設定されたハンディキャップの特徴を構成するパターンが記憶されているハンディキャップ特徴記憶部35を有する。
この制御盤24は、CPU、ROM、RAM、インターフェース回路を有するコンピュータから構成され、ROMに格納されているプログラムに従ってCPUが入力されるデータを演算処理することにより機能が実現される。
【0019】
この発明の実施の形態2に係わる電子カメラ22は、顔認証端末装置23の前に進んだ人の姿が視野内に入るように撮影方向が可変される。このようにすると、顔認証端末装置23の前に進んだ人の姿を映像として取り込むことができ、顔形認証を行うことができる。
この発明の実施の形態2に係わる個人属性判別手段32は、電子カメラ22で撮影された複数のフレームの映像データから動きのある要素を抽出し、次に、動きのある要素から人の姿に該当する要素をマスキングして残された要素を抽出する。
次に、個人属性判別手段32は、残された要素が表すパターンを予め定められたハンディキャップの特徴のパターンに照合して、残された要素がハンディキャップの特徴を含んでいるか否かを判断する。そして、個人属性判別手段32は、残された要素がハンディキャップの特徴を含んでいるとき、顔認証端末装置23の前に進んだ人はハンディキャップを有する人であると判別する。
【0020】
この発明の実施の形態2に係わる電気錠制御手段33は、認証処理手段31で個人認証が成功しないときには扉4の電気錠5を旋錠のまま維持するように電気錠旋解錠装置7に指令する。
また、電気錠制御手段33は、認証処理手段31で個人認証が成功し、且つ個人属性判別手段32でハンディキャップを有する人と判別しないとき扉4の電気錠5を所定の第1の時間の間解錠しその後旋錠するように電気錠旋解錠装置7に指令する。
また、電気錠制御手段33は、認証処理手段31で個人認証が成功し、且つ個人属性判別手段32でハンディキャップを有する人と判別したとき扉4の電気錠5を所定の第1の時間より長い所定の第2の時間の間解錠しその後旋錠するように電気錠旋解錠装置7に指令する。
この第2の時間として、ハンディキャップを有する人が余裕を持って出入口を通れるように適切に定めることができる。
【0021】
ハンディキャップを有する人が車椅子の利用者のときの個人属性判別手段32の動作について説明する。
この発明の実施の形態2に係わる個人属性判別手段32は、図6(a)に示すような電子カメラ22で撮影された複数のフレームの映像データから動きのある要素を抽出する。例えば、図6(a)の車椅子の利用者だけが動きのある場合、図6(b)に示す要素が抽出される。次に、動きのある要素から人の姿に該当する要素をマスキングして残された要素を抽出する。例えば、図6(b)に示す動きのある要素から人の姿に該当する要素をマスキングすると、図6(c)に示す要素が抽出される。
図6(a)に示すような車椅子の利用者が撮影された映像から、車椅子の利用者が移動するという特徴を用いて、図6(b)に示すように人と車椅子を含んだ要素を抽出する。このとき動きのない机や椅子は除外される。
次に、人と車椅子を含んだ要素から人の姿に該当する要素をマスキングして図6(c)に示すように残された要素を抽出する。
次に、残された要素が表すパターンに予め定められたパターンを照合してパターンマッチングする。図6(c)に示すように、予め定められた車椅子のパターンを残された要素が表すパターンに照合するとマッチングがとれるので、顔認証端末装置23の前に進んだ人は車椅子の利用者であると判別する。
【0022】
ハンディキャップを有する人が子供連れの人のときの個人属性判別手段32の動作について説明する。
子供連れの人が撮影された映像から、子供も人も移動するという特徴を用いて、図7(a)に示すように人と子供を含んだ要素を抽出する。
次に、人と子供を含んだ要素から人の姿に該当する要素をマスキングして図7(b)に示すように残された要素を抽出する。
次に、残された要素が表すパターンに予め定められたパターンを照合してパターンマッチングする。図7(b)に示すように、予め定められた子供のパターンを残された要素が表すパターンに照合するとマッチングがとれるので、顔認証端末装置23の前に進んだ人は子供連れであると判別する。
【0023】
このような実施の形態2に係わるセキュリティシステムは、電子カメラ22が撮影し得た人に付属するものからハンディキャップを有する人を判別するので、個人のプライバシーに係わる個人情報を登録する必要がなく、プライバシーの侵害につながる恐れがない。
【0024】
なお、実施の形態2に係わる個人属性判別手段32は、人に付属するものを切り出して予め定められたパターンとパターンマッチングしているが、人と付属するものとをまとめたパターンを予め定められたパターンに照合してパターンマッチングしても同様な効果が得られる。
【0025】
実施の形態3.
図8は、この発明の実施の形態3に係わる制御盤の機能を示すブロック図である。
この発明の実施の形態3に係わるセキュリティシステムは、実施の形態2に係わるセキュリティシステムと制御盤24Bが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
この発明の実施の形態3に係わる制御盤24Bは、図8に示すように、実施の形態2に係わる制御盤24と個人属性判別手段32Bが異なり、それに係わりハンディキャップ特徴記憶部35が省略されているが、それ以外は同様であるので同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
【0026】
この発明の実施の形態3に係わる個人属性判別手段32Bは、複数のフレームの映像データから動きのある要素を抽出し、次に、動きのある要素の移動ベクトルを求める。
次に、個人属性判別手段32Bは、求めた移動ベクトルの大きさを予め定められた速さと比較して、移動ベクトルの大きさが予め定められた速さ以下のとき顔認証端末装置23の前に進んだ人はハンディキャップを有する人であると判別する。
【0027】
このような実施の形態3に係わるセキュリティシステムは、電子カメラ22が撮影し得た人の移動速度からハンディキャップを有する人を判別するので、パターンマッチングを行わなくても良く、小さい規模の制御盤24Bで十分な機能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の実施の形態1に係わるセキュリティシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係わる制御盤の機能を示すブロック図である。
【図3】撮影された映像からハンディキャップを有する人とそれ以外の人を判別する様子を説明するための図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係わるセキュリティシステムの構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係わる制御盤の機能を示すブロック図である。
【図6】車椅子の利用者を映像から判別する手順を説明するための図である。
【図7】子供連れの人を映像から判別する手順を説明するための図である。
【図8】この発明の実施の形態3に係わる制御盤の機能を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0029】
2、22 電子カメラ、3 カードリーダー、4 扉、5 電気錠、6、24、24B 制御盤、7 電気錠旋解錠装置、11、31 認証処理手段、12、32、32B 個人属性判別手段、13、33 電気錠制御手段、14 登録情報記憶部、23 顔認証端末装置、34 顔形記憶部、35 ハンディキャップ特徴記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人識別情報を収集する個人識別情報収集手段、上記個人識別情報に基づいて個人認証を行う制御盤およびセキュリティを確保する場所の出入口に設けられた扉の電気錠を上記個人認証の結果に従って旋解錠する電気錠旋解錠装置を備えるセキュリティシステムにおいて、
上記個人識別情報収集手段に内蔵または付属する撮像手段を備え、
上記制御盤は、
上記撮像手段で撮影された映像を解析することによりハンディキャップを有する人を判別する個人属性判別手段と、
上記ハンディキャップを有する人に対して上記電気錠の解錠する時間を長くする電気錠制御手段と、
を有することを特徴とするセキュリティシステム。
【請求項2】
上記個人属性判別手段は、上記撮影された映像に含まれる人の属性に基づいてハンディキャップを有する人を判別することを特徴とする請求項1に記載のセキュリティシステム。
【請求項3】
上記個人属性判別手段は、上記撮影された映像に含まれる人に付属する特徴がハンディキャップの特徴であるときハンディキャップを有する人と判別することを特徴とする請求項1に記載のセキュリティシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−150823(P2008−150823A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338422(P2006−338422)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】