説明

セグメント及びセグメント接合構造

【課題】 セグメント同士をボルト及びナットにより接合する従来技術では、トンネル壁体の内面となるセグメントの内面に形成されたボルトボックスを埋める後作業が必要となるので、工事が煩雑となる。
【解決手段】 本発明のセグメント2は、トンネル壁体の内面を形成する内面6とトンネル壁体の外面を形成する外面7と内面6と外面7とを繋ぐ側面とボルト貫通部15とボルト締結部16とを備え、側面が、切羽側に向けられる切羽側側面9と、坑口側に向けられる坑口側側面8と、切羽側側面の一端と坑口側側面の一端とを繋ぐ一側面10と、切羽側側面の他端と坑口側側面の他端とを繋ぐ他側面11とで形成され、ボルト貫通部15が、切羽側側面9と一側面10とに跨って直線状に貫通されて形成され、ボルト締結部16が、他側面11にボルト挿入入口を有してセグメント2の内部に設けられたナット25により形成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル工事の工事費を削減可能とするセグメント及びセグメント接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
シールドトンネルのトンネル壁体を形成するセグメントは、トンネル壁体の内面を形成する内面とトンネル壁体の外面を形成する外面と内面と外面とを繋ぐ側面とを備え、側面が、切羽側に向けられる切羽側側面と、坑口側に向けられる坑口側側面と、切羽側側面の一端と坑口側側面の一端とを繋ぐ一側面と、切羽側側面の他端と坑口側側面の他端とを繋ぐ他側面とで形成されるものである。セグメント同士は、構築するトンネルの周方向に沿ってセグメント同士を接合するセグメント間接合部と、トンネルの構築進行方向に沿ってセグメント同士を接合するリング間接合部とにより接合される。すなわち、セグメント間接合部は、一方のセグメントの一側面と他方のセグメントの他側面との接合部であり、リング間接合部は、一方のセグメントの切羽側側面と他方のセグメントの坑口側側面との接合部である。リング間接合部の継手(接合手段)としてピン継手を用いた場合、セグメント間接合部の継手としては、例えば、一方のセグメントの一側面にトンネルの構築進行方向に沿って延長するレール係合具を設け、他方のセグメントの他側面にはレール係合具内をスライドしてレール係合具に係合する係合部材を設ける。しかし、このようなレール係合具と係合部材とからなる継手は高価であり、コストが嵩む。そこで、セグメント同士を安価なボルト及びナットにより接合する接合構造が知られている。これはトンネル壁体の内側となるセグメントの内面にボルトボックスが形成され、ボルトボックスよりセグメントの側面に貫通したボルト貫通孔が形成され、当該セグメントに接合されるセグメントにナットが設けられた構成であり、ボルトを貫通孔に通してナットに締結することでセグメント同士を接合する(例えば、特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開平10−266790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、セグメント同士をボルト及びナットにより接合する従来技術では、トンネル壁体の内面となるセグメントの内面に形成されたボルトボックスを埋める後作業が必要となるので、工事が煩雑となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のセグメントは、トンネル壁体の内面を形成する内面とトンネル壁体の外面を形成する外面と内面と外面とを繋ぐ側面とボルト貫通部とボルト締結部とを備え、側面が、切羽側に向けられる切羽側側面と、坑口側に向けられる坑口側側面と、切羽側側面の一端と坑口側側面の一端とを繋ぐ一側面と、切羽側側面の他端と坑口側側面の他端とを繋ぐ他側面とで形成され、ボルト貫通部が、切羽側側面と一側面とに跨って直線状に貫通されて形成され、ボルト締結部が、他側面にボルト挿入入口を有してセグメントの内部に設けられたナットにより形成されたことを特徴とする。上記ボルト貫通部とは別のボルト貫通部と上記ボルト締結部とは別のボルト締結部とを備え、別のボルト貫通部が、他側面と坑口側側面とに跨って直線状に貫通されて形成され、別のボルト締結部が、切羽側側面にボルト挿入入口を有してセグメントの内部に設けられたナットにより形成されたことも特徴とする。ボルト貫通部の切羽側側面、あるいは、ボルト貫通部の切羽側側面及び別のボルト貫通部の他側面には、ボルトの頭を収納するボルトボックスが設けられたことも特徴とする。
本発明のセグメント接合構造は、上述のセグメントを用い、相対するセグメントの他側面とセグメントの一側面とが、ボルト貫通部を経由してボルト締結部のナットに締結されたボルトにより接合されたことを特徴とする。相対するセグメントの他側面とセグメントの一側面とが、ボルト貫通部を経由してボルト締結部のナットに締結されたボルトにより接合され、相対するセグメントの切羽側側面とセグメントの坑口側側面とが、別のボルト貫通部を経由して別のボルト締結部のナットに締結されたボルトにより接合されたことも特徴とする。ピン継手により、相対するセグメントの切羽側側面とセグメントの坑口側側面とが接合されたことも特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、安価なボルト継手を用いてセグメント間接合部の接合を実現できるとともにトンネル壁体の内面にボルトボックスを無くすことができてボルトボックスを埋めるような煩雑な後作業を不要とできるセグメントを得ることができる。加えて、ボルト継手によりリング間接合部の接合をも強固にできるセグメントを得ることができる。よって、トンネル工事の工事費を削減できるセグメントを得ることができる。セグメントのボルト貫通部の切羽側側面にボルトボックスを備えたので、セグメントの切羽側側面より切羽側に突出する突出物を無くせ、リング間接合部の接合作業をスムーズに行えるセグメントを得ることができる。セグメントの別のボルト貫通部の他側面にボルトボックスを備えたので、セグメントの他側面より突出する突出物を無くせ、セグメント間接合部の接合作業をスムーズに行えるセグメントを得ることができる。
本発明のセグメント接合構造によれば、相対するセグメントの他側面とセグメントの一側面との接合、即ち、セグメント間接合部の接合が、安価なボルト継手により実現されて、かつ、トンネル壁体の内面にボルトボックスを無くすことができてボルトボックスを埋めるような煩雑な後作業を不要とできるので、トンネル工事の工事費を削減できる。さらに、別のボルト継手により、相対するセグメントの切羽側側面とセグメントの坑口側側面との接合、即ち、リング間接合部の接合を実現できて、リング間接合部の接合を強固にできる。リング間接合部の接合に、ピン継手を用いることで、リング間接合部の接合作業をスムーズにできるとともにリング間接合部の接合を強固にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
最良の形態1
図1乃至図3は本発明の最良の形態1を示し、図1はセグメント同士の接合構造を示し、図2はセグメント間接合部の断面を示し、図3はシールド工法によるシールドトンネルの構築方法の概要を示す。
【0007】
図3に示すように、シールド工事は、シールドマシン1の後方に複数のセグメント2を接合していって、シールドマシン1の推進方向に沿った方向の長さが一定幅の円筒壁体3を組立て、組立てた円筒壁体3の前面4でシールドマシン1の推進ジャッキ5の反力をとってシールドマシン1を推進させて地山100を掘進してから上記円筒壁体3の前面4に新しい円筒壁体3を組立て、以後、シールドマシン1の推進と円筒壁体3の組立てとを繰り返してシールドトンネルのトンネル壁体50を構築する。
【0008】
1つ1つのセグメント2は、円筒壁体3の筒の中心を基準として円筒壁体3を所定の角度間隔で分割した板状のコンクリート製品である。つまり、図1に示すように、円筒壁体3の内周面及び外周面の一部に相当する弧状の内面6と内面6に平行な外面7を備えた均一厚さの板状のコンクリート製品であって、トンネル壁体を構成する部品である。セグメント2は、内面6に相対して内面6を見た場合、外面7に相対して外面7を見た場合には、当該内面6や外面7は矩形であり、この矩形で弧状の内面6と外面7とを繋ぐ4つの側面を備える。
【0009】
図1に示すように、セグメント2の4つの側面は、坑口側に向けられる坑口側側面8、切羽側に向けられる切羽側側面9、一側面10、他側面11である。坑口側側面8、切羽側側面9、一側面10、他側面11はそれぞれ平面である。坑口側側面8に相対して坑口側側面8を見た場合、切羽側側面9に相対して切羽側側面9を見た場合には、当該坑口側側面8や切羽側側面9は弧状に延長する面である。一側面10に相対して一側面10を見た場合、他側面11に相対して他側面11を見た場合には、当該一側面10や他側面11は矩形面である。坑口側側面8と切羽側側面9とが互いに平行である。当該一側面10や他側面11は、円筒壁体3の円筒の中心線に沿って円筒の一端から他端に延長する平面である。
【0010】
セグメント2は、ボルト貫通部15、ボルト締結部16、ピン17、ピン結合孔18を備える。ボルト貫通部15は、セグメント2の切羽側側面9と一側面10とがなす角部の近傍における切羽側側面9の一端21側に形成されたボルトボックス22と、ボルトボックス22の底面23とセグメント2の一側面10とに跨って直線状に貫通するボルト貫通孔24とにより形成される。つまり、切羽側側面9にはボルト貫通孔24を貫通するボルト30の頭を収納するボルトボックス22が設けられる。ボルト貫通孔24は、切羽側側面9に対して坑口側側面8の方向に垂直に延長する貫通孔ではなく、切羽側側面9から一側面10の方向に傾斜し、一側面10の方向に斜めに延長して一側面10に到達する貫通孔である。ボルト締結部16は、セグメント2の切羽側側面9と他側面11とがなす角部の近傍における他側面11の切羽側側面9側を入口としてセグメント2の内側に埋め込まれたナット25とナット25が固定状態に収納される収納孔26とにより形成される。つまり、他側面11にボルト挿入入口27を有してセグメント2の内部に設けられたナット25により形成されたボルト締結部16を備える。既に固定されたセグメント2の他側面11と別のセグメント2の一側面10とが互いに取付状態に付き合わされた場合において、ボルト貫通孔24の出口24aとナット25の挿入入口27とが連接されて、ボルト貫通孔24の孔の中心線とナット25の孔の中心線とが一致し、これら孔の中心線24Yが、別のセグメント2の切羽側側面9に対して斜めに延長する。すなわち、連接されるボルト貫通孔24の孔とナット25の孔とが、別のセグメント2の切羽側側面9に対して垂直に延長するように設けられるのではなく、別のセグメント2の切羽側側面9に対して斜めに延長するように設けられる。尚、ボルト貫通部15がセグメント2の切羽側側面9に設けられ、ボルト締結部16がセグメント2の他側面11に設けられた構成であればよいが、ボルト貫通部15をセグメント2の切羽側側面9における一端21に近い部位に形成し、ボルト締結部16をセグメント2の他側面11における切羽側端21aに近い部位に形成すれば、長さの短いボルト貫通部15、ボルト締結部16、ボルト30により形成されるボルト継手37によりセグメント間接合部35を接合できるので、ボルト30、ナット25のコストを抑えることができるとともに施工性の良いセグメント2を得ることができる。ピン17は、一端側が坑口側側面8よりセグメント2の内側に埋め込まれて、他端側が坑口側側面8より坑口側に突出する。ピン結合孔18は、切羽側側面9よりセグメント2の内側に向けて坑口側方向に延長する孔である。
【0011】
ボルト貫通部15の作成方法について説明する。ボルトボックス22とボルト貫通孔24とを成型するための図外の中子を図外のセグメント成形型の切羽側側面成形面と一側面成形面とに跨るように設置し、セグメント成形型内にコンクリートを流し込んで固めた後に中子を取り除くことで、セグメント2にボルト貫通部15を形成できる。
ボルト締結部16の作成方法について説明する。セグメント成形型の他側面成形面の外側から図外の貫通孔を経由させて図外のボルト体をセグメント成形型の内側の突出させ、セグメント成形型の内側に突出したボルト体にナット25を締結した後にナット25の斜めに形成された一端面28(図2参照)で貫通孔を塞ぎ、この状態でボルト体をセグメント成形型の外面に固定して、セグメント成形型内にコンクリートを流し込んで固めた後に、ボルト体を取り除くことによって、セグメント2にナット25(インサートナット)によるボルト締結部16を形成できる。
【0012】
セグメント2同士は、構築するトンネルの周方向に沿ってセグメント2同士を接合するセグメント間接合部35と、トンネルの構築進行方向に沿ってセグメント2と既設の円筒壁体3の一部を構成するセグメント2とを接合するリング間接合部36とにより接合される。セグメント間接合部35は、接合する一対のセグメント2;2のうちの、一方のセグメント2のボルト貫通部15と、他方のセグメント2のボルト締結部16と、ボルト30とにより形成され、ボルト30がボルト貫通部15に挿入されてボルト締結部16に締結されることでセグメント2同士を接合する。つまり、セグメント間接合部35は、ボルト30とナット25からなるボルト継手37により接合される。リング間接合部36は、既設の円筒壁体3の一部を構成するセグメント2の切羽側側面9のピン結合孔18と、既設の円筒壁体3に接合するセグメント2の坑口側側面8のピン17とにより形成され、ピン17がピン結合孔18内に結合されることでセグメント2と既設の円筒壁体3の一部を構成するセグメント2とを接合する。つまり、リング間接合部36は、ピン17とピン結合孔18とからなるピン継手38により接合される。
【0013】
シールドトンネルのトンネル壁体50の構築方法を説明する。まず、坑口において、構築するトンネルの周方向に沿ってセグメント2同士をセグメント間接合部35により接合していって円筒壁体3を組立てる。その後、組立てた円筒壁体3の前面4でシールドマシン1の推進ジャッキ5の反力をとってシールドマシン1を推進させて地山100を掘進してから円筒壁体3の前面4に新しい円筒壁体3を順次組立てていくことでシールドトンネルのトンネル壁体50を構築する。
【0014】
図1に示すように、円筒壁体3の2つのセグメント2;2の切羽側側面9に1つのセグメント2A(以下、先行セグメント2Aという)を接合した後において、次のセグメント2B(以下、後行セグメント2Bという)を円筒壁体3の一部を構成する2つのセグメント2;2と既に円筒壁体3に接合された先行セグメント2Aとに接合する場合、後行セグメント2Bの坑口側側面8の複数のピン17を円筒壁体3の2つのセグメント2;2の切羽側側面9のそれぞれ対応する複数のピン結合孔18内に結合した後に、先行セグメント2Aの他側面11のナット25のボルト挿入入口27と後行セグメント2Bの一側面10のボルト貫通孔24の出口24aとを合わせ、ボルト30を切羽側側面9よりボルト貫通孔24に挿入してボルト締結部16のナット25に締結する。以上により、後行セグメント2Bが、円筒壁体3の2つのセグメント2;2の切羽側側面9にピン継手38により接合され、先行セグメント2Aの他側面11にボルト継手37により接合される。即ち、相対するセグメント2の他側面11とセグメント2の一側面10とが、ボルト貫通部15を経由してボルト締結部16のナット25に締結されたボルト30により接合され、相対するセグメント2の切羽側側面9とセグメント2の坑口側側面8とが、ピン17とピン結合孔18との結合により接合される。このようにして、既設の円筒壁体3の円状の切羽側側面9にセグメント2を順次接合していくことで既設の円筒壁体3の切羽側にさらなる円筒壁体3を構築できる。
【0015】
本形態によれば、トンネル壁体50の内面にボルトボックスを無くすことができるので、ボルトボックスを埋めるような煩雑な後作業を不要とでき、さらに、セグメント間接合部35の継手(接合手段)としてボルト継手37を用いたので例えばレール係合具と係合部材とからなるような特殊で高価な継手を用いる場合と比べて継手のコストを安くできる。従って、トンネル工事の工事費を削減できる。セグメントの切羽側側面9にボルトボックス22を備え、ボルトボックス22内にボルト30の頭31を収納できて、セグメント2の切羽側側面9より切羽側に突出する突出物を無くせるので、リング間接合部36の接合作業をスムーズに行える。尚、セグメント2の切羽側側面9よりボルト30の頭31を突出させ、セグメント2の切羽側側面9にボルトボックス22を設けずに、セグメント2の坑口側側面8にボルト30の頭31を収納する図外の収納孔を形成するようにしてもよい。この場合は、ボルト締結部16に締結したボルト30の安定のために特殊な座金を用いたり、セグメント2の坑口側側面8の収納孔内にボルト30の頭を入れるための位置合わせ作業が必要となる。したがって、セグメントの切羽側側面9にボルトボックス22を設けた場合の方が、部品数や作業手間などの観点からして好ましい。リング間接合部36の継手(接合手段)としてピン継手38を用いたので、継手のコストを安くでき、経済的に有利である。また、ピン17をピン結合孔18内に挿入して結合する作業も容易であり、リング間接合部36の接合作業をスムーズに行える。
【0016】
最良の形態2
図4;図5は本発明の最良の形態2を示し、図4はセグメント同士の接合構造を示し、図5はリング間接合部の断面を示す。尚、図4;図5において、最良の形態1の図1〜3と同一部分は同一符号を付して詳細説明を省略する。
【0017】
図4に示すように、本形態のセグメント2は、上述のボルト貫通部15とボルト締結部16とは別に、ボルト貫通部40とボルト締結部41を備える。ボルト貫通部40は、セグメント2の他側面11と坑口側側面8とがなす角部の近傍における他側面11の坑口側端42に近い部位に形成されたボルトボックス43と、ボルトボックス43の底面44とセグメント2の坑口側側面8とに跨って直線状に貫通するボルト貫通孔45とにより形成される。つまり、ボルト貫通孔45の他側面11にはボルト貫通孔45を貫通するボルト60の頭61を収納するボルトボックス43が設けられる。ボルト貫通孔45は、他側面11に対して一側面10の方向に垂直に延長する貫通孔ではなく、他側面11から坑口側側面8の方向に傾斜し、坑口側側面8の方向に斜めに延長して坑口側側面8に到達する貫通孔である。ボルト締結部41は、セグメント2の切羽側側面9側を入口としてセグメント2の内側に埋め込まれたナット51とナット51が固定状態に収納される収納孔52とにより形成される。つまり、他側面11にボルト挿入入口53を有してセグメント2の内部に設けられたナット51により形成されたボルト締結部41を備える。即ち、別のボルト貫通部40が、他側面11と坑口側側面8とに跨って直線状に貫通されて形成され、別のボルト締結部41が、切羽側側面9にボルト挿入入口53を有してセグメント2の内部に設けられたナット51により形成される。既に固定されたセグメント2の他側面11と別のセグメント2の一側面10とが互いに取付状態に付き合わされ、かつ、別のセグメント2の坑口側側面8と円筒壁体3の切羽側側面9とが互いに取付状態に付き合わされた場合において、ボルト貫通孔45の出口45aとナット51の挿入入口53とが連接されて、ボルト貫通孔45の孔の中心線とナット51の孔の中心線とが一致し、これら孔の中心線45Yが、別のセグメント2の他側面11に対して斜めに延長する。すなわち、連接されるボルト貫通孔45の孔とナット51の孔とが、別のセグメント2の他側面11に対して垂直に延長するように設けられるのではなく、別のセグメント2の切羽側側面9に対して斜めに延長するように設けられる。尚、ボルト貫通部40がセグメント2の他側面11に設けられ、ボルト締結部41がセグメント2の切羽側側面9に設けられた構成であればよいが、ボルト貫通部40をセグメント2の他側面11における坑口側端42に近い部位に形成すれば、長さの短いボルト貫通部40、ボルト締結部41、ボルト60により形成されるボルト継手65によりリング間接合部36を接合できるので、ボルト60、ナット51のコストを抑えることができるとともに施工性の良いセグメント2を得ることができる。
【0018】
ボルト貫通部40は、上述したボルト貫通部15の作成方法と同様の方法で形成できることは容易に理解できるであろう。ボルト締結部41も、上述したボルト締結部16の作成方法と同様の方法で形成できることは容易に理解できるであろう。
【0019】
図4;図5のように、ボルト貫通孔45から挿入されてボルト締結部41のナット51に締結されたボルト60により、セグメント2の切羽側側面9とセグメント2の坑口側側面8とが接合される。すなわち、相対するセグメント2の切羽側側面9とセグメント2の坑口側側面8とが、ボルト貫通孔45を経由してボルト締結部41のナット51に締結されたボルト60により接合される。つまり、リング間接合部36が、別のボルト貫通部40と別のボルト締結部41とボルト60とで形成されるボルト継手65とピン継手38とにより接合されることが容易に理解できるであろう。
【0020】
本形態によれば、形態1による効果の他に、ボルト継手65によりリング間接合部36の接合を強固にできる。また、セグメント2の他側面11より突出する突出物を無くせ、セグメント間接合部の接合作業をスムーズに行える。リング間接合部36の接合に、ピン継手38も用いたので、リング間接合部36の接合作業をスムーズにできる。リング間接合部36の接合が、ボルト継手65とピン継手38とにより接合されることで、リング間接合部36の接合をより強固にできる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
図6に示すように、ボルト継手37やボルト継手65を、セグメント2の厚さ方向に沿って複数設けるようにしてもよい。このようにすることで、施工時におけるセグメント2;2間の目違い(リング間接合部36においてセグメント2の内面6とセグメント2の内面との位置がずれることで段差を生じること)や目開き(セグメント間接合部35においてセグメント2の一側面10とセグメント2の他側面11の間に隙間を生じること)を、より効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】セグメント同士の接合構造を示す斜視図(最良の形態1)。
【図2】セグメント間接合部の断面図(最良の形態1)。
【図3】シールドトンネルの構築方法を示す断面図(最良の形態1)。
【図4】セグメント同士の接合構造を示す斜視図(最良の形態2)。
【図5】リング間接合部の断面図(最良の形態2)。
【図6】セグメント同士の接合構造の他例を示す図。
【符号の説明】
【0023】
1 シールドマシン、2 セグメント、6 内面、7 外面、8 坑口側側面、
9 切羽側側面、10 一側面、11 他側面、15 ボルト貫通部、
16 ボルト締結部、22 ボルトボックス、24 ボルト貫通孔、25 ナット、
27 ボルト挿入入口、30 ボルト、37 ボルト継手、38 ピン継手、
40 ボルト貫通部(別のボルト貫通部)、41 ボルト締結部(別のボルト貫通部)、43 ボルトボックス、45 貫通孔、50 トンネル壁体、51 ナット、
53 ボルト挿入入口、60 ボルト、65 ボルト継手。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル壁体を形成するセグメントにおいて、トンネル壁体の内面を形成する内面とトンネル壁体の外面を形成する外面と内面と外面とを繋ぐ側面とボルト貫通部とボルト締結部とを備え、側面が、切羽側に向けられる切羽側側面と、坑口側に向けられる坑口側側面と、切羽側側面の一端と坑口側側面の一端とを繋ぐ一側面と、切羽側側面の他端と坑口側側面の他端とを繋ぐ他側面とで形成され、ボルト貫通部が、切羽側側面と一側面とに跨って直線状に貫通されて形成され、ボルト締結部が、他側面にボルト挿入入口を有してセグメントの内部に設けられたナットにより形成されたことを特徴とするセグメント。
【請求項2】
上記ボルト貫通部とは別のボルト貫通部と上記ボルト締結部とは別のボルト締結部とを備え、別のボルト貫通部が、他側面と坑口側側面とに跨って直線状に貫通されて形成され、別のボルト締結部が、切羽側側面にボルト挿入入口を有してセグメントの内部に設けられたナットにより形成されたことを特徴とする請求項1に記載のセグメント。
【請求項3】
ボルト貫通部の切羽側側面、あるいは、ボルト貫通部の切羽側側面及び別のボルト貫通部の他側面には、ボルトの頭を収納するボルトボックスが設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセグメント。
【請求項4】
請求項1の記載のセグメントを用いたセグメント接合構造であって、相対するセグメントの他側面とセグメントの一側面とが、ボルト貫通部を経由してボルト締結部のナットに締結されたボルトにより接合されたことを特徴とするセグメント接合構造。
【請求項5】
請求項2の記載のセグメントを用いたセグメント接合構造であって、相対するセグメントの他側面とセグメントの一側面とが、ボルト貫通部を経由してボルト締結部のナットに締結されたボルトにより接合され、相対するセグメントの切羽側側面とセグメントの坑口側側面とが、別のボルト貫通部を経由して別のボルト締結部のナットに締結されたボルトにより接合されたことを特徴とするセグメント接合構造。
【請求項6】
ピン継手により、相対するセグメントの切羽側側面とセグメントの坑口側側面とが接合されたことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のセグメント接合構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−316590(P2006−316590A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−143178(P2005−143178)
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【出願人】(000230010)ジオスター株式会社 (77)
【Fターム(参考)】