説明

セグメント

【課題】継手板の板厚を厚くする必要のないセグメントを提供すること。
【解決手段】少なくとも2枚の主桁2の周方向端部に亘って継手板9が配置されて主桁2に固定され、継手板9に固定された継手部材又は設けられたボルト孔のいずれかの連結部4が設けられたセグメント1において、前記各主桁2はウェブ7とそのウェブ7に接続するフランジ8を備え、前記主桁2を継手板9側に投影した主桁2における、ウェブ7とフランジ8とにより溝状部が形成され、継手板9に対する前記連結部4が設けれた継手板9巾方向の位置が、前記継手部材12,13の重心又はボルト孔の中心軸線を前記溝状部内に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド工法等によりトンネル等を構築する場合に使用されるセグメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、継手板に設ける継手部材を、主桁からトンネル軸方向(継手板巾方向)に離れた位置に設ける形態とするセグメントが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−351035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トンネル周方向に隣り合うセグメント相互を連結するために継手板に固定される継手部材を、例えば、図20〜図22(a)(b)に示すように、主桁2からトンネル軸方向に距離L離れた位置における継手板9に配置するようになると仮定した場合、トンネル周方向に隣り合うセグメント26相互を、継手部材12(13)または接合用ボルトにより接合することになる。そのため、継手部材12(13)間または接合用ボルトに作用する引張力を、継手板9を介して、セグメント26の本体主要構造部分である主桁フランジ8に伝達することになり、継手板9の板厚(t1)が薄く曲げ剛性が小さいと、図22(a)に2点鎖線イあるいは同図(b)に2点鎖線で示すように継手板9はトンネル周方向に曲げ変形が大きく生じてしまい、トンネル周方向に隣り合うセグメント間の目開き量が大きくなり、継手部の止水性能に問題を生じるために、図22(c)に示すように、継手板9の板厚(t2)を極度に厚くして、継手部の剛性を高めなければならない。そのため、特に、継手板9のトンネル軸方向の巾寸法を広くした広幅セグメントにおいては、継手板9の板厚が厚くなる分、鋼材使用量が増大し、セグメントのコスト増となるという問題があった。
したがって、トンネル周方向の引張力の負担の大きい継手板9の板厚tを厚くすることなく、継手板9に作用する曲げ力の負担を格段に軽減すると共に同時に、継手板9における継手部材部材12(13)等の連結部4が設けられる部分の剛性を効率よく向上させることで、継手板9の鋼材使用量を抑え、継手板9に作用する引張力を主桁2に伝達可能なセグメントが望まれる。
本発明は、主桁を考慮して継手板に対する継手部材等の連結部の配設位置を巧みに組み込むことにより、継手板の板厚を厚くする必要のないセグメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明のセグメントでは、少なくとも2枚の主桁の周方向端部に亘って継手板が配置されて主桁に固定され、継手板に固定された継手部材又は設けられたボルト孔のいずれかの連結部が設けられたセグメントにおいて、前記各主桁はウェブとそのウェブに接続するフランジを備え、前記主桁を継手板側に投影した主桁におけるウェブとフランジとにより溝状部が形成され、継手板に対する前記連結部が設けられた継手板巾方向の位置が、前記継手部材の重心又はボルト孔の中心軸線を前記溝状部内に位置していることを特徴とする。
第2発明のセグメントでは、少なくとも2枚の主桁の周方向端部に亘って継手板が配置されて主桁に固定され、継手板に固定された継手部材又は設けられたボルト孔のいずれかの連結部が設けられたセグメントにおいて、前記各主桁はウェブとそのウェブに接続する少なくとも2枚のフランジを備え、前記主桁を継手板側に投影した主桁における、ウェブとフランジとにより溝状部が形成され、継手板に対する前記連結部が設けられた継手板巾方向の位置が、前記継手部材の重心又はボルト孔の中心軸線を前記溝状部内に位置していることを特徴とする。
第3発明のセグメントでは、少なくとも2枚の主桁の周方向端部に亘って継手板が配置されて主桁に固定され、継手板に固定された継手部材又は設けられたボルト孔のいずれかの連結部が設けられたセグメントにおいて、前記各主桁はウェブとそのウェブに接続する少なくとも2枚のフランジを備え、セグメント内において、継手板に一端側が固定された補強部材が、主桁に並行に配置されて主桁に直接または間接に固定され、前記主桁を継手板側に投影した場合に、継手板側に投影した主桁におけるウェブとフランジとにより形成される溝状部と、継手板側に投影した補強部材による部分とにより閉鎖環状部が形成され、継手板に対する前記継手部材の固定される継手板巾方向の位置が、前記継手部材の重心又はボルト孔の中心軸線を前記閉鎖環状部内に位置していることを特徴とする。
第4発明のセグメントでは、少なくとも2枚の主桁の周方向端部に亘って継手板が配置されて主桁に固定され、継手板に固定された継手部材又は設けられたボルト孔のいずれかの連結部が設けられたセグメントにおいて、前記各主桁はウェブとそのウェブに接続するフランジを備え、
セグメント内において、継手板に一端側が固定された補強部材が、主桁に並行に配置されて主桁に直接または間接に固定され、
前記主桁を継手板側に投影した場合に、継手板側に投影した主桁におけるウェブとフランジとによる部分と、継手板側に投影した補強部材による部分とにより溝状部が形成され、継手板に対する前記連結部が設けられた継手板巾方向の位置が、前記継手部材の重心又はボルト孔の中心軸線を前記溝状部内に位置していることを特徴とする。
第5発明では、第1〜第3発明のいずれかのセグメントにおいて、主桁におけるフランジは、地山側フランジまたは内空側フランジであり、地山側フランジのトンネル軸方向の先端と、内空側フランジのトンネル軸方向の先端とを結ぶ線を継手板側に投影した場合に、投影した継手板側の仮想の線またはその近傍における継手板に補強部材が接続されていることを特徴とする。
第6発明では、第5発明のセグメントにおいて、補強部材が地山側フランジの先端と内空側フランジの先端に接続されていることを特徴とする。
第7発明では、第5または第6発明のセグメントにおいて、補強部材が板状部材または棒状部材のいずれかであることを特徴とする。
第8発明では、第3〜第7発明のいずれかの発明において、補強部材が継手板に隣接する補強リブに接続されていることを特徴とする。
第9発明では、第3,5〜第8のいずれかの発明において、内空側フランジに、ボルト接合用の切り欠き部を有することを特徴とする。
第10発明では、第1〜第9発明のいずれかの発明において、セグメントにおける鋼殻の内側にコンクリートが中詰めされていることを特徴とする。
第11発明のセグメントでは、少なくとも2枚の主桁の周方向端部に亘って継手板が配置されて主桁に溶接により固定され、継手板に固定された継手部材又は設けられたボルト孔のいずれかの連結部が設けられたセグメントにおいて、前記各主桁はウェブとそのウェブに接続するフランジを備え、セグメント内において、継手板に一端側が固定された補強部材が、主桁に並行に配置され、前記主桁を継手板側に投影した主桁におけるウェブとフランジとにより形成される溝状部と、継手板側に投影した補強部材による部分とにより閉鎖環状部または溝状部が形成され、継手板に対する前記連結部が設けられる継手板巾方向の位置が、前記継手部材の重心又はボルト孔の中心軸線を前記閉鎖環状部内または溝状部内に位置するように設けられ、前記補強部材の他端側は、セグメントにおける鋼殻の内側に中詰めされたコンクリートに埋め込み固定されていることを特徴とする。
第12発明では、第1〜3、5〜11のいずれかの発明において、主桁断面が、I形またはC形のいずれかであることを特徴とする。
第13発明では、第1,4〜11のいずれかの発明において、主桁断面が、L形であることを特徴とする。
第14発明では、第10〜第13発明のいずれかの発明において、セグメントにおける鋼殻の内側に、ずれ止め部材が設置されていることを特徴とする。
第15発明では、第14発明のセグメントにおいて、フランジに設けたずれ止め部材が、主桁同士間に渡って設置された棒状部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
第1発明によると、継手板に対する前記継手部材又はボルト孔のいずれかの連結部が設けられる継手板巾方向の位置が、前記主桁を継手板側に投影した場合に、継手板側に投影した主桁におけるウェブとフランジとにより形成される溝状部内に位置するように設けるだけで、主桁におけるフランジとウェブの継手板側の接合部で周囲が拘束され、剛性が効率よく向上している範囲の継手板に連結部が配置されることになり、トンネル周方向の引っ張り力が作用した場合の継手板の変形量および曲げモーメントが従来と比べて極めて小さくなるため、従来のように、継手板の板厚を厚くすることなく、トンネル周方向に隣り合うセグメント間の目開き量を小さくし、良好な継手部の止水性能を確保することが可能となる。また、連結部と主桁のフランジあるいはウェブとの距離が小さいため、継手板に作用する引っ張り力を主桁のフランジあるいはウェブに効率的かつ確実に伝達することができ、良好な継手構造性能を確保できる。また、継手板を厚くする必要がないため、その分、鋼材使用量を抑えて、セグメントの製作コストを低減することができる。
また、第2発明のように、主桁はウェブとそのウェブに接続する少なくとも2枚のフランジを備えている形態では、主桁断面をトンネル周方向の継手板側に、確実にコ字状の溝状部を形成して、その溝状部の範囲の継手板の剛性を、従来の場合よりも格段に高めることができ、そのような部分に継手部材等の連結部を設けるので、第1発明の場合よりコ字状の溝状部内の継手板の剛性を高めることができる。
第3発明によると、前記各主桁はウェブとそのウェブに接続する少なくとも2枚のフランジを備え、しかも補強部材が、主桁に並行に配置されて主桁に直接または間接に固定されているので、主桁および補強部材をトンネル周方向継手板側に投影した場合に、矩形状あるいは台形状の閉鎖環状部を形成でき、継手板に対する前記継手部材等の連結部が設けられるトンネル軸方向である継手板巾方向の位置が、前記継手部材の重心又はボルト孔の中心軸線を閉鎖環状部内に位置しているので、前記の閉鎖環状部に位置する継手板の部分は、主桁における2枚のフランジとウェブとの継手板側の接合部および補強部材で周囲が拘束されることになり、コ字状の溝状部の場合よりもさらに継手板の剛性が効率よく向上している範囲となる。その範囲の継手板に継手部材等の連結部を設けることで、継手板の板厚を厚くすることなく、継手板に作用する引っ張り力を主桁のフランジあるいはウェブにさらに効率よく伝達することができる等の効果が得られる。
第4発明によると、各主桁はウェブとそのウェブに接続するフランジを備え、セグメント内において、継手板に一端側が固定された補強部材が、主桁に並行に配置されて主桁に直接または間接に固定され、前記主桁を継手板側に投影した主桁におけるウェブとフランジとによる部分と、継手板側に投影した補強部材による部分とにより溝状部が形成され、継手板に対する前記連結部が設けられた継手板巾方向の位置が、前記継手部材の重心又はボルト孔の中心軸線を、前記溝状部内に位置しているので、主桁がウェブとフランジとを備えた断面L形の主桁であっても、補強部材を主桁と並行に設けることで、トンネル周方向に継手板側に主桁と補強部材を投影した場合に、コ字状等の溝状部を形成して、その溝状部内の部分の継手板の剛性を高めることができる。
第5発明によると、主桁におけるフランジは、地山側フランジまたは内空側フランジであり、地山側フランジのトンネル軸方向の先端と、内空側フランジのトンネル軸方向の先端とを結ぶ線を継手板側に投影した場合に、投影した継手板側の線またはその線の近傍における継手板の部分に補強部材が接続されているので、主桁および補強部材をトンネル周方向継手板側に投影した場合に、矩形状あるいは台形状の閉鎖環状部を大きく形成でき、継手板に対する前記継手部材等の連結部が設けられるトンネル軸方向である継手板巾方向の位置が、前記継手部材の重心又はボルト孔の中心軸線を閉鎖環状部内に位置しているので、前記の閉鎖環状部に位置する継手板の部分は、主桁における2枚のフランジとウェブとの継手板側の接合部および補強部材で周囲が拘束されることになり、コ字状の溝状部の場合よりもさらに継手板の剛性を向上することができる。
第6発明によると、補強部材が地山側フランジの先端と内空側フランジの先端に接続されているので、継手板から補強部材に伝達された引っ張り力を効率的に主桁に伝達できる等の効果が得られる。
第7発明によると、補強部材が板状部材または棒状部材のいずれかであるので、市販の鋼板または鉄筋あるいは異形棒鋼あるいは棒状鋼材を用いて、トンネル周方向に継手板に投影した場合に、主桁と共同してコ字状の溝状部あるいは閉鎖環状部を形成して、継手板を補強することができる等の効果が得られる。
第8発明によると、補強部材が継手板に隣接する補強リブに接続されているので、主桁に補強部材を固定しない場合でも、継手板を補強できる補強部材を設置することができる。また、トンネル周方向から継手板側に主桁と補強部材を投影した場合に、継手板に溝状部あるいは閉鎖環状部を形成して、その溝状部内あるいは閉鎖環状部内の継手板を補強して継手板の剛性を高めることができ、また補強部材および補強リブを介して主桁に引っ張り力を伝達することも可能である等の効果が得られる。
第9発明によると、内空側フランジに、ボルト接合用の切り欠き部を有するので、継手板に継手部材を設けない形態でも、切り欠き部に接続する凹部を設けることで、前記トンネル周方向に隣り合うセグメント相互を連結することができる等の効果が得られる。
第10発明によると、セグメントにおける鋼殻の内側にコンクリートが中詰めされていると、シールド掘削推進工法におけるジャッキ反力の伝達を中詰めコンクリートを介して既設側のトンネルに伝達することができ、また、耐火性のセグメントあるいはトンネルとすることができる。また、トンネル周方向の圧縮力を伝達する場合に、補強部材の変形を防止することができ、また、補強部材を主桁あるいは補強リブに固定しない場合には、補強部材を中詰めコンクリートに定着させることで、定着主段として機能させることもできる等の効果が得られる。
第11発明によると、セグメント内において、継手板に一端側が固定された補強部材が、主桁に並行に配置され、前記主桁を継手板側に投影した主桁におけるウェブとフランジとにより形成される溝状部と、継手板側に投影した補強部材による部分とにより閉鎖環状部または溝状部が形成され、継手板に対する前記継手部材又はボルト孔のいずれかの連結部が設けられる継手板巾方向の位置が、前記継手部材の重心又はボルト孔の中心軸線を前記形成される閉鎖環状部内または溝状部内に位置するように設けられており、前記補強部材の他端側は、セグメントにおける鋼殻の内側に中詰めされたコンクリートに埋め込み固定されているので、主桁および中詰めコンクリートに固着した補強部材により、継手板の連結部の剛性を高めたセグメントとすることができる等の効果が得られる。
第12発明では、主桁断面が、I形またはC形のいずれかであるので、市販の鋼材あるいは鋼板を組み立てて安価な主桁を形成することができ、また、主桁単独あるいは補強部材と共同して、トンネル周方向に継手板側に投影した場合に、継手板側に溝状部あるいは閉鎖環状部を形成することができる等の効果が得られる。
第13発明では、主桁断面が、L形であるので、市販の鋼材あるいは鋼板を組み立てて安価な主桁を形成することができ、また、主桁単独あるいは補強部材と共同して、トンネル周方向に継手板側に投影した場合に、継手板側に溝状部を形成することができる等の効果が得られる。
第14発明では、セグメントにおける鋼殻の内側に、ずれ止め部材が設置されているので、鋼殻と中詰めコンクリートとの周方向等のずれを防止し、中詰めコンクリートと鋼殻との確実な一体化を図ることができる等の効果が得られる。
第15発明では、第14発明のセグメントにおいて、フランジに設けたずれ止め部材が、主桁同士間に渡って設置された棒状部材であると、中詰めコンクリートと鋼殻との確実な一体化を図ることができる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1実施形態のトンネル覆工用の合成構造のセグメントを示す一部切り欠き斜視図である。
【図2】(a)は図1に示すセグメントの正面図、(b)は主桁に対する継手部材からなる連結部の位置を示す断面図、(c)は一端側の横断平面図である。
【図3】継手部材からなる連結部の継手板に対する位置および継手部材からなる連結部に引っ張り力が作用した場合の継手板の変形状態を示す説明図である。
【図4】本発明の第2実施形態のトンネル覆工用の合成構造のセグメントを示す一部切り欠き斜視図である。
【図5】(a)は図4に示すセグメントの正面図、(b)は主桁に対する継手部材からなる連結部の位置および補強部材からなる連結部の位置を示す断面図、(c)はセグメントにおけるトンネル周方向一端側の横断平面図である。
【図6】本発明の第3実施形態のトンネル覆工用の合成構造のセグメントを示す一部切り欠き斜視図である。
【図7】(a)は図6に示すセグメントの正面図、(b)は主桁に対する継手部材からなる連結部の位置および補強部材の位置を示す断面図、(c)はセグメントにおけるトンネル周方向一端側の横断平面図である。
【図8】本発明の第4実施形態のトンネル覆工用の合成構造のセグメントを示す一部切り欠き斜視図である。
【図9】(a)は図8に示すセグメントの正面図、(b)は主桁に対する継手部材からなる連結部の位置および補強部材の位置を示す断面図、(c)はセグメントにおけるトンネル周方向一端側の横断平面図である。
【図10】本発明の第5実施形態のトンネル覆工用の合成構造のセグメントを示す一部切り欠き斜視図である。
【図11】(a)は図10に示すセグメントの正面図、(b)は主桁に対するボルト孔からなる連結部の位置および補強部材の位置を示す断面図、(c)はセグメントにおけるトンネル周方向一端側の横断平面図である。
【図12】継手板に設けたボルト孔およびボルトボックス並びに内空側のフランジに設けた開口部を示すために、図10に示すセグメントにおける主桁に沿った断面図である。
【図13】補強部材の他の配置形態を示す本発明の第6実施形態のセグメントの一部を示す斜視図である。
【図14】本発明の第7実施形態のトンネル覆工用の合成構造のセグメントを示す一部切り欠き斜視図である。
【図15】(a)は図14に示すセグメントの正面図、(b)は主桁に対する継手部材からなる連結部の位置および補強部材の位置を示す断面図、(c)はセグメントにおけるトンネル周方向一端側の横断平面図である。
【図16】本発明の第8実施形態のトンネル覆工用の合成構造のセグメントを示すものであって、(a)はセグメントの正面図、(b)は主桁に対する継手部材からなる連結部の位置および補強部材の位置を示す断面図である。
【図17】主桁を断面I形またはH形とした場合で、本発明の第9実施形態のトンネル覆工用の合成構造のセグメントを示すものであって、(a)はセグメントの正面図、(b)は主桁に対する継手部材からなる連結部の位置および補強部材の位置を示す断面図である。
【図18】主桁を断面L形とした場合で、本発明の第10実施形態のトンネル覆工用の合成構造のセグメントを示すものであって、(a)はセグメントの正面図、(b)は主桁に対する継手部材からなる連結部の位置および補強部材の位置を示す断面図である。
【図19】(a)は図18に示すセグメントの正面図、(b)は主桁に対する継手部材からなる連結部の位置および補強部材の位置を示す断面図、(c)はセグメントにおけるトンネル周方向一端側の横断平面図である。
【図20】従来のトンネル覆工用の合成構造のセグメントを示すものであって、(a)はセグメントの正面図、(b)は主桁に対する継手部材からなる連結部の位置を示す断面図である。
【図21】(a)は図20に示すセグメントの正面図、(b)は主桁に対する継手部材からなる連結部の位置を示す断面図である。
【図22】(a)(b)は図20に示す従来のセグメントにおける継手部材からなる連結部に引っ張り力が作用した場合に、継手板が厚板でなく薄板とされた時の曲げ変形を示すセグメントの一部の斜視図および平面図、(c)は(b)図のような継手板に曲げ変形が起こらないようにするために、継手板を厚板とした形態を示すセグメントの一部の平面図である。
【図23】本発明の第11実施形態のトンネル覆工用の合成構造のセグメントを示す一部切り欠き斜視図である。
【図24】(a)は図25に示すセグメントの正面図、(b)は主桁に対する継手部材からなる連結部の位置および補強部材の位置を示す断面図である。
【図25】本発明の第12実施形態のトンネル覆工用のセグメントを示す一部切り欠き斜視図である。
【図26】(a)は図25に示すセグメントの正面図、(b)は主桁に対する継手部材からなる連結部の位置を示す断面図、(c)はセグメントにおけるトンネル周方向一端側の横断平面図である。
【図27】周方向に隣り合うセグメント端部相互を示す横断平面図である。
【図28】セグメント相互を連結した状態を示す横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0009】
図1〜図3は、本発明の第1実施形態のトンネル覆工用の合成構造のセグメント1を示すものであって、図1はセグメント1の一部切り欠き斜視図、図2(a)は図1に示すセグメント1の正面図、図2(b)は主桁2に対する継手部材12,13からなる連結部4の位置を示す断面図、図3は、継手部材からなる連結部4の継手板9に対する位置および継手部材12に引っ張り力が作用した場合の継手板9の変形状態を示す説明図である。
【0010】
図示の形態では、中詰めコンクリート5がセグメント内に充填・硬化され、鋼殻6と中詰めコンクリート5とが合成一体化された合成セグメント1を示しているが、本発明では、トンネル覆工用のセグメント1は、中詰めコンクリート5がセグメント内に充填されていない鋼製セグメントでも、中詰めコンクリート5がセグメント内に充填・硬化されたセグメントでもよい。以下の実施形態でも同様である。
【0011】
この形態では、セグメント1におけるトンネル周方向に延長するように配置されている鋼製の主桁2は、トンネル周方向に延長するように配置されるウェブ7と、そのウェブ7に接続するように一体に固定されたフランジ8とを有する断面C字状(断面コ字状又は断面溝状あるいは断面倒凹字状を含む)の主桁2で、ウェブ7に対してフランジ8を片側(トンネル軸方向の片側)に張り出すように設けた片フランジ式の主桁2を備えたセグメント1である。
【0012】
図1〜図3に示す形態では、主桁2は、ウェブ7と、ウェブ7に一体に設けられた地山側およびトンネル内空側の各フランジ8とにより構成され、このような主桁2を2枚と、1枚の地山側のスキンプレート3と、トンネル軸方向に両端に配置され、前記各主桁2と地山側のスキンプレート3に連続した溶接により一体に固定される2枚の継手板9により、5面鋼殻6が構成されている。さらにその鋼殻6の内側に主桁2間に亘って鋼製補強リブ11が間隔おいて設けられて、適宜、継手板9および主桁2に雄継手12または雌継手13が設けられて、鋼製セグメント1が構成され、そのような鋼製セグメント1内に、中詰めコンクリート5が充填・硬化されて、鋼製セグメント1と中詰めコンクリート5とが一体化された合成構造のセグメント1とされている。
【0013】
本発明のセグメント1では、1枚のウェブ7と前記ウェブ7に固定された少なくとも1枚のフランジ8(地山側のフランジまたは内空側のフランジ)とを有する少なくとも1対の主桁2(2枚の主桁2)を備えたセグメント3であって、好ましくは地山側または内空側のいずれか一方あるいは両方にスキンプレート3を備えたセグメントであって、前記ウェブ8におけるセグメント内側面であって、前記ウェブ7に、前記フランジ8の基端側が一体に連接されている。図示の形態では、ウェブ7とフランジ8が一体に連接された形態の主桁2としているが、鋼板を用いて組み立て、フランジ8をウェブ7に、トンネル周方向に連続した溶接Wにより固定する形態の主桁2としてもよい(図13参照)。
【0014】
本発明のセグメント1では、少なくとも2枚の主桁2の周方向端部に亘って継手板9が配置されて主桁2に固定され、継手板9に継手部材12,13又はボルト孔10(図10〜図12参照)からなる連結部4が設けられて接合されるセグメント1を対象にしている。そしてそのようなセグメント1において、前記各主桁2はウェブ7とそのウェブ7に接続するフランジ8を備え、前記主桁2を継手板9側にトンネル周方向から投影した場合に、主桁2におけるウェブ7とフランジ8とにより溝状部15(図2a参照)が形成され、継手板9に対する前記連結部4が設けられる継手板巾方向の位置が、前記継手部材12,13の重心又はボルト孔10の中心軸線を前記溝状部15内に位置するように設けられている。
前記の継手部材12,13は、継手板9に溶接により固定される場合と、係止用の凹部を有する雌型の継手部材13では、継手板9に一体に設けられる場合とがある。なお、雌型の継手部材13側の継手板9には、倒T字状の開口部が設けられ、継手板9の背面側に継手部材13が設けられる。
したがって、本発明では、継手板9に設けられる継手部材12,13からなる連結部4の重心が、前記溝状部15(又は後記の実施形態では閉鎖環状部16)内に位置するように設けられる場合と、ボルト孔10の中心軸線が前記溝状部15(又は後記の実施形態では閉鎖環状部16)内に位置するように設けられる場合との二通りの場合がある。
したがって、継手部材12,13あるいはボルト孔10の連結部4の一部が前記溝状部15あるいは閉鎖環状部16からはみ出す場合もある。
【0015】
図1〜3に示す形態では、ウェブ7にトンネル半径方向地山側に位置するフランジ8とトンネル内空側に位置するフランジ8とを備えた形態のセグメント1とされている。
【0016】
そして、本発明では、前記のように主桁2の断面形態に着目し、その断面形態を継手部材12,13等の連結部4が設けられる部分の継手板9の曲げ剛性を格段に高める上で有効に活用できる点に着目している。
【0017】
トンネル周方向から見て、主桁2の断面形態を継手板9側に投影した場合、図1〜3の場合には、主桁2のウェブ7と2枚のフランジとにより、トンネル軸方向でセグメント内側に開口するC字状(コ字状)の溝状部15が形成されており、主桁2の断面形態を投影した場合にその部分の継手板9の部分は曲げ剛性が高められている部分であり、トンネル周方向から見て、継手部材12,13の重心が前記溝状部15内に位置するように、継手部材12,13は継手板9の所定の位置に設置されている。
トンネル周方向から継手板9側に投影した継手部材12,13からなる連結部4の重心位置を前記のような位置に配置することで、継手部材12,13を介してトンネル周方向に隣り合うセグメント1間での引張力F(図3参照)を伝達する場合は、前記の溝状部15内における継手板9が補強されて曲げ剛性が高められた位置で応力の伝達が行われて、継手部材12,13および継手板9から主桁2のフランジ8あるいはウェブ7に効率よく伝達することができ、また、継手板9の曲げ剛性を高めるために、継手板9の板厚を厚くすることなく、経済的なセグメント1としている。
しかも、トンネル周方向から見て、継手部材12,13が設けられている主桁2からの位置(トンネル軸方向あるいはトンネル半径方向)は、ゼロであるから、従来のように主桁2からトンネル軸方向に離れた位置に設けられる継手板9に作用する曲げ力は作用しないため、有利なセグメント1となっている。
したがって、図3に2点鎖線イで示すようなトンネル半径方向の曲げ変形、または図3に2点鎖線ロで示すようなトンネル軸方向の曲げ変形は、極めて小さな変形となり、また、継手部材12,13(連結部4)からフランジ8までの距離が太線矢印で示すように、短いため、継手板9からフランジ8に効率よく応力を伝達することができ、また、ウェブ7にも伝達することができる。
また、継手部材12,13からなる連結部4が、主桁2のフランジ8とウェブ7から短い位置で、主桁のフランジ8とウェブ7を継手板側に投影した場合の溝状部15内に位置して、主桁2のフランジ8とウェブ7が継手板9側に固定された部分を継手板側に投影した場合の溝状部15に囲まれているため、継手板9に設けられる連結部4周囲の継手板は補強されており、トンネル周方向の引張力が継手板9に作用しても継手板の変形は小さく、継手板に発生する応力は小さいため、継手板の板厚を厚くする必要がなくなっている。
継手部材12,13としては、係止突起を有する断面T字状の雄型の継手部材12でもよく、雄型の継手部材の挿入孔およびこれに接続する係止凹部を有する雌型の継手部材13でもよい。前記のような雄型あるいは雌型の継手部材12,13は適宜公知のものを用いるようにしてもよい。
以下の実施形態でも同様であるが、このような形態では、トンネル周方向の引っ張り力Fが作用した場合の継手板9の変形量および曲げモーメントが従来と比べて極めて小さくなるため、従来のように、継手板の板厚を厚くすることなく、トンネル周方向に隣り合うセグメント間の目開き量を小さくし、良好な継手部の止水性能を確保することが可能となる。また、連結部4と主桁2のフランジ8あるいはウェブ7との距離が小さいため、継手板9に作用する引っ張り力Fを主桁2のフランジ8あるいはウェブ7に効率的かつ確実に伝達することができ、良好な継手構造性能を確保できる。なお、図中、継手板9あるいはウェブ7等に設けられる止水溝あるいは止水材の図示を省略した。
【0018】
前記の形態は、継手板9に継手部材12,13を設ける場合の代表形態として示しているが、本発明においては、セグメント1は、継手部材12,13を継手板9に設ける形態以外にも、継手板9にボルトを挿通するためのボルト孔を設ける形態でも、同様であるので、このような形態について、図10〜図12を参照して簡単に説明する。
継手板9に継手部材12,13を設ける形態に代えて、図10〜図12の第5実施形態を参照して説明すると、継手板9に、ボルト孔10からなる連結部4にしてもよい。前記のボルト孔10の場合は、トンネル周方向で、ボルト孔10の中心軸線が、溝状部15内に位置するようにされていることで、前記と同様に、前記の溝状部15内における継手板9が補強されて曲げ剛性が高められた位置で応力の伝達が行われて、接合用ボルト・ナットおよび継手板9から主桁2のフランジ8あるいはウェブ7に効率よく伝達することができ、また、継手板9の曲げ剛性を高めるために、継手板9の板厚を厚くすることなく、経済的なセグメント1とすることもできる。
【0019】
本発明では、トンネル周方向から見た場合、特に、継手板9に溶接により接合されている部分の主桁2の端部の断面形態を継手板9側に投影した場合の、ウェブ7およびフランジ8により形成される溝状部15の形状としては、例えば、ウェブ7およびフランジ8により形成されるL字状部分の内側の溝の場合、好ましくはウェブ7および2枚のフランジ8により形成される倒コ字状(倒凹状)の内側の溝の場合もある。フランジ8の枚数が1枚の場合には、地山側よりのフランジ又は最も内空側よりのフランジ8のいずれか一方と、ウェブ7とにより形成される溝状部であり、好ましくはフランジ8が2枚以上となる場合には、最も地山側よりのフランジと、最も内空側よりのフランジ8と、ウェブ7とにより形成される溝状部である。
【0020】
次に、本発明の基本的な技術思想について、図3あるいは図10を参照して説明する。
【0021】
トンネル周方向に隣り合うセグメント相互を連結して構成されるセグメントリングに対して、土圧あるいは内圧により、トンネル周方向の引張力が作用した場合には、トンネル周方向に隣り合うセグメント1相互は、継手板9相互を連結している継手部材12,13からなる連結部4から継手板9を介して主桁2に伝達されていくことになる。又はボルト孔10からなる連結部4に設けられるボルト・ナットから継手板9を介して主桁2に伝達されていくことになる。そのため、継手部材12,13又はボルト孔10(図10〜図12の場合)のボルト・ナットから継手板9には、トンネル周方向外側に引張力が作用し、これに伴い継手板9には曲げ力が作用することは、図22における従来技術の説明の通りである。
継手部材12,13又はボルト孔10からなる連結部4が、主桁2からトンネル軸方向に離れた位置になるほど、トンネル周方向に隣り合うセグメント1間に引っ張り力が作用した場合に、トンネル周方向に隣り合うセグメントの継手板9相互を接合(連結)している継手部材12,13(またはボルト等の接合部材)には、引っ張り力が作用することになるから、継手板9には、主桁2付近を中心とした曲げ力が作用し、継手板9の曲げ負担は大きくなる。
【0022】
一方、トンネル周方向から見た場合の主桁2の断面を検討すると、主桁2は、トンネル半径方向に伸びるウェブ7を必ず備えている。
そして、前記ウェブ7に接続するように一体に設けられて、トンネル周方向に延長するトンネル半径方向内空側(又はトンネル半径方向地山側に)にトンネル軸方向に張り出すフランジ8を備えている場合には、トンネル周方向から見て、主桁断面を継手板9に投影した場合に、前記のウェブ7と前記フランジ8とにより、ほぼ三角形状またはコ字状(又はC字状)の溝が形成されていることになり、主桁2が固定された部分の継手板9は、その固定されている部分の付近では継手板9の曲げ剛性が高められている。
トンネル周方向から見た場合で、前記のように継手板9の剛性が高められている部分の付近、特にトンネル周方向から継手板9側に、主桁2を投影した場合の主桁断面が、断面コ字状、断面倒H字状等の形態の場合には、主桁2のウェブ7と主桁2のフランジ8とにより、三角形あるいは矩形コ字状等の溝状部15が形成され、前記の溝状部15内では、特に継手板9の剛性が高まっている。トンネル軸方向に前記の溝状部から離れた位置になるに従い、主桁に補強されていない部分になるから、継手板の剛性は、トンネル軸方向中央寄りでは、主桁側に比べて低くなる。
【0023】
本発明は、トンネル周方向から継手板9側に、主桁2を投影した場合の主桁2の断面形態により、溝状部が形成される場合に、トンネル周方向から見た場合に、前記の溝状部内に継手部材の重心を位置させるように、継手部材を継手板に設けるようにしている。このようにすることで、トンネル周方向に引っ張り力が作用するような場合に、継手板の曲げ剛性が高められている位置から主桁にトンネル周方向の引張力を主桁に合理的に、伝達することができるようにしている。
トンネル周方向から見た場合における継手部材12,13のトンネル周方向の中心軸線上またはその近傍に、継手部材12,13の重心が位置しているのが望ましい。継手部材12,13等の連結部4を前記のような位置に配置することで、継手部材12,13等から引っ張り力を継手板9が受けた場合に、継手板9がトンネル周方向外側に変形する場合の抵抗が高められて、セグメント1におけるトンネル周方向外側に変形するのを拘束されている。
【0024】
また、前記主桁2をトンネル軸方向に切断した場合の断面形態としては、前記第1実施形態のように断面溝形(略断面コ字状)でもよく、第9実施形態として示す図17に示すように、断面I字状(または断面倒H字状の形態)の主桁断面形態の場合でもよい。また、主桁2の断面形態が略断面L字状または溝部を備えた主桁断面形態である場合に、主桁2に直接または近接して並行に補強部材を設置することで、主桁2と補強部材とが共同して、ほぼ断面倒凹状(略断面コ字状)の溝状部あるいはほぼ断面閉鎖環状部となって、継手板9側に投影した場合に、ほぼ断面倒凹状(略断面コ字状)の溝状部あるいはほぼ断面閉鎖環状部を形成することができるので、以下の実施形態では、これらの形態について順次説明する。
【0025】
なお、本発明では、主桁2により、継手部材12,13が設けられる継手板9の部分の曲げ剛性が高められているため、本発明では、セグメント1内の中詰めコンクリート5を設けてもよく、あるいは設けなくてもよい。中詰めコンクリート5を設けておくと、継手部材12,13のアンカー用脚部18あるいは補強部材17との付着により、継手部材12,13及び補強部材17の中詰めコンクリート5からの抜け出しを防止し、継手板9の抵抗が高まる。以下の実施形態でも同様である。
なお、トンネル軸方向に隣り合うセグメント1同士を連結するために、セグメント1のトンネル軸方向両端部に位置する主桁2には、トンネル軸方向の継手20が設けられている。
【0026】
(第2実施形態)
図4及び図5には、本発明の第2実施形態のセグメント1が示されている。図4は本発明の第2実施形態のトンネル覆工用の合成構造のセグメントを示す一部切り欠き斜視図、図5(a)は図4に示すセグメントの正面図、図5(b)は主桁に対する継手部材の位置および補強部材の位置を示す断面図、図5(c)はセグメントにおけるトンネル周方向一端側の横断平面図である。
【0027】
この第2実施形態では、継手板9にほぼ長方形あるいは扇状の鋼板21からなる補強部材17を設けている点が主に相違しており、その他の構造は前記第1実施形態のセグメント1と同様であるので、同様な部分については、同様な符号を付して、相違する点を主に説明する。
【0028】
図4および図5に示す形態では、主桁2における各フランジ8先端部に近接した位置に配置されて継手板9に、トンネル周方向の補強部材17の基端部が溶接又はボルトにより固定されている。補強部材17は、適宜片側または両側が溶接されて固定される。前記の補強部材17は、継手板9のトンネル半径方向の巾寸法よりも小さい寸法とされている。前記の補強部材17により、補強部材17が設けられている付近の継手板9の曲げ剛性が高められ、補強部材17により継手板9の変形を拘束している。
補強部材17をボルトにより固定する場合には、適宜ボルト孔を備えた取り付け片を固定して、継手板9または主桁2あるいは補強リブ11側にボルト等により固定され、継手板9または主桁2あるいは補強リブ11側に適宜雌ねじ部材を固定しておいてもよい。
補強部材17は、トンネル周方向に延長するように配置されて、継手板9に間隔をおいて隣り合って継手板9に並行に配置されて主桁2に固定された鋼製補強リブ11に溶接又はボルト等により固定されている。
中詰めコンクリート5が充填される場合で、前記補強部材17の表面に凹凸を備えた粗面とされて中詰めコンクリート5との付着が図る場合には、補強部材17は中詰めコンクリートに固定して、鋼製補強リブ11に固定しなくてもよい(以下の実施形態でも同様である)。
補強部材17には、適宜トンネル軸方向に隣り合うセグメント相互を連結するための継手20用のアンカー脚部を挿通させるための貫通孔が適宜設けられる。
【0029】
図4及び図5に示す第2実施形態では、トンネル周方向に主桁2の断面を継手板9に投影した場合の溝状部15に加えて、補強部材17を投影した場合に、前記溝状部15の開口側を閉塞するようになり、ほぼ閉鎖環状部16(図5a参照)が形成されている。
そして、トンネル周方向の継手板9側に、トンネル周方向のほぼ長方形状の鋼板からなる補強部材17と主桁2とを投影した場合に、補強部材17と主桁2とにより、ほぼ閉鎖した矩形環状の閉鎖環状部16が形成されて、その閉鎖環状部16内の継手板9の曲げ剛性を高めている。そして、トンネル周方向の継手板9側に継手部材12,13等の連結部4の重心又はボルト孔10の中心軸線が、前記閉鎖環状部16内に位置するようにしている。
閉鎖環状部16内の継手板9の曲げ剛性は、トンネル半径方向及びトンネル軸方向に、前記第1実施形態のセグメント1の場合よりも高められている。したがって,継手部材12,13は、閉鎖環状部16内の曲げ剛性が一層高められた継手板9に固定されていることになるため、継手板9から主桁2に直接あるいは補強部材17および補強リブ11を介して間接して主桁2にトンネル周方向の引張力を効率よく、伝達することができる。
特にトンネル周方向の引張力を負担するのは、主桁2のフランジ8であるので、継手板9等を介して主桁2のフランジ8に伝達するようにさせる。
【0030】
主桁2と補強部材17とにより、継手部材12,13等の接合部が設けられる付近の継手板9の部分の曲げ剛性が高められている。第2実施形態では、継手板9と補強リブ11とが、ほぼ矩形状の鋼板からなる補強部材17により連結されていることで、継手部材12,13等の接合部を介して継手板9にトンネル周方向の引っ張り力が作用した場合に、継手板9のトンネル軸方向の曲げ変形に対して、補強部材17と補強リブ11との2部材が共同して、中詰めコンクリート5がある場合には、中詰めコンクリート5との付着を伴った補強部材17と補強リブ11との3部材が共同して抵抗する。
なお、鋼板等からなる補強部材17である場合には、適宜開口部を設けたり、下記のように複数枚とすることで開口部を形成し、主桁2と補強部材17との間のコンクリート充填性を高めるようにしてもよい。
前記の補強部材17としては、片面に凹凸を有する縞鋼板あるいは両面に凹凸を有する鋼板を用いてコンクリートとの付着を高めるようにしてもよい。
補強部材17としては、2枚または3枚等の複数枚のトンネル周方向に延長する鋼板をトンネル半径方向に間隔をおいて並行に配置する形態でもよい。
補強部材17のトンネル周方向の長さ寸法としては、補強部材17を補強リブ11に固定する場合には、継手板9から補強リブ11までの長さ寸法とすればよく、主桁2に固定する場合には前記の場合より短くてもよく、例えば継手板9から補強リブ11までの長さ寸法の1/2程度で補強リブ11から離れた状態でよい。
【0031】
図6および図7には、本発明の第3実施形態のトンネル覆工用の合成構造のセグメントが示されている。この第3実施形態では、補強部材17が、複数本の鉄筋あるいは鋼棒等からなる棒状部材19により構成した形態であり、その他の構造は、前記第2実施形態の場合と同様である。
各棒状部材19は、トンネル半径方向に同面状に配置され、かつ各棒状部材19は、フランジ8先端部を結ぶ直線に接するように、主桁2に並行に配置されて、各棒状部材19の基端側が継手板9に固定され、各棒状部材19の先端部は補強リブ11に固定されている。この形態では、トンネル半径方向に同面状に設置された棒状部材19により、あたかも1枚の鋼板からなる補強部材17と同様な作用を発揮するようにした形態である。トンネル軸方向から見た場合、複数の棒状部材19が、トンネル半径方向の各フランジ8先端部に近接した状態で、先端部間にほぼ等間隔をおいて配置されている。
そして、トンネル周方向の継手板9側に、複数の棒状部材19からなる補強部材17と主桁2とを投影した場合に、複数の棒状部材19からなる補強部材17と主桁2とにより、ほぼ閉鎖した矩形環状の閉鎖環状部16が形成されて、その閉鎖環状部16内の継手板9の曲げ剛性を高めている。そして、トンネル周方向の継手板9側に継手部材12,13等の連結部4の重心又はボルト孔10の中心軸線が、前記閉鎖環状部16内に位置するようにしている。
前記の変形形態として、中詰めコンクリート5を設ける形態では、棒状部材19の先端部を補強リブ11に固定しないで、中詰めコンクリート5に付着させることで、棒状部材19の抜け止めを図り、継手板9を補強して曲げ変形抵抗を高めるようにしてもよい。
また、中詰めコンクリート5に付着させる場合には、設計により補強リブ11までの長さ寸法より長くする必要がある場合には、補強リブ11に貫通孔を設けて、補強部材17を長くするようにしてもよい。
【0032】
図8及び図9は、本発明の第4実施形態のトンネル覆工用の合成構造のセグメント1が示されている。
この形態では、補強鋼板からなる補強部材17を主桁2にのみ固定したり、主桁2および鋼製補強リブ11に固定してもよいことを示す形態である。
図9(b)に示すように、主桁2におけるフランジ8に亘って1枚のほぼ長方形あるいは扇状の鋼板21からなる補強部材17が、フランジ8の先端部に配置されて隅肉溶接により固定されている。また、図9(c)に示すように、補強リブ11にも溶接等により固定してもよい。補強部材17を補強リブ11に固定しない場合には、主桁2と補強部材17間のコンクリートの充填性を向上させるために、補強部材17を補強リブ11から若干離れるように、トンネル周方向の寸法の短い寸法の補強部材17を設置する。
その他の構成は前記第2実施形態と同様であるので、同様な部分については、図に同様な符号を付している。
【0033】
(第5実施形態)
図10〜図12は、本発明の第5実施形態のトンネル覆工用の合成構造のセグメント1が示されている。この形態は、継手板9に、継手部材12,13からなる接合部に代えてボルト孔10からなる接合部でもよいことを示す代表形態である。
継手板9に、ボルト孔10からなる接合部を設けて、トンネル周方向に隣り合うセグメントの継手板9相互を連結するために、主桁2の内空側フランジに、ボルト接合用の切り欠き部22を設けて、トンネル内空側に開口する凹部からなり前記ボルト孔10に接続する中空のボルトボックス23を有する構造としている。ボルトボックスとしては、箱抜きとする中空部としてもよく、薄鋼板製の中空箱を継手板9に設置する形態でもよい。
前記および後記の各実施形態において、このようなボルト孔10を備えてセグメントとして、トンネル周方向に隣り合うセグメント相互をボルト・ナットにより接合するようにしてもよい。
【0034】
(第6実施形態)
図13には、本発明の第6実施形態のセグメントの一部が示されている。
この第6実施形態では、実施図13に示すように、トンネル半径方向のウェブ7の上下両端部からスキンプレート3の板厚程度離れた位置にフランジ8を配置して、トンネル周方向に連続した溶接により固定した組み立て式の主桁2とし、その主桁2の各フランジ8先端部に亘って、矩形鋼板からなる補強部材17を配置して溶接により固定する形態としてもよいことを示す代表形態である。このような形態では、トンネル半径方向のフランジ8間の寸法が小さくなる分、トンネル周方向に継手板9に投影した閉鎖環状部16のトンネル半径方向の寸法が小さくなる分、閉鎖環状部16部分の継手板9の曲げ剛性が高まり、また、補強部材17のトンネル半径方向の寸法を小さくすることができる。
この第6実施形態の変形形態として、さらに前記の補強部材17を設けない形態の鋼製セグメントあるいは合成セグメントとしてもよい。主桁2の形態として前記各実施形態および後記の各実施形態の主桁2に置き代えるようにしてもよい。
【0035】
(第7実施形態)
図14および図15には、本発明の第7実施形態のトンネル覆工用の合成構造のセグメントが示されている。
この第7実施形態では、中詰めコンクリート5を設ける場合に、セグメント1における鋼殻6と中詰めコンクリート5との一体化を確実にするために、鋼殻6と中詰めコンクリート5とのトンネル周方向のずれ止め、あるいは中詰めコンクリート5の剥離あるいはトンネル半径方向内空側へのはらみだし等を防止するために、主桁2におけるフランジ8間に渡って異形鉄筋あるいは異形棒鋼等のずれ止め部材を兼ねたトンネル軸方向の棒状部材25を設けてもよいことを示すための代表形態である。
このような主桁2間に渡って鋼製の棒状部材25を設置することで、鋼殻6と中詰めコンクリート5との一体化を高めたセグメント1とすることができ、トンネル軸方向の巾寸法を広くした広幅セグメントとする場合に有利である。
主桁2に固定された棒状部材25の部分により、主桁2と中詰めコンクリート5とのトンネル周方向のずれ止めが防止される。
【0036】
(第8実施形態)
図16には、本発明の第8実施形態のセグメント1が示されている。
この形態では、トンネル周方向のセグメント内側と中詰めコンクリート5とのずれ止めを図り、鋼殻6と中詰めコンクリート5との一体化を高めるために、主桁2およびスキンプレートのトンネル周方向に間隔をおいて多数の鋼製のずれ止め部材14を溶接により固定してもよいことを示すための代表形態である。
図示の形態では、セグメント1の主桁2のウェブ7とフランジ8の内側面と、スキンプレート3の内側面に、トンネル周方向に列をなすように多数のずれ止め部材14を間隔をおいて設けている。
各ずれ止め部材14の先端部には、セグメント内側に膨出する頭部を備えていることから、中詰めコンクリート5との一体化を確実に図り、また、スキンプレート3と中詰めコンクリート5との付着一体化、あるいはトンネル半径方向内空側へのはらみだし等を防止することができる。
【0037】
(第9実施形態)
図17は、本発明を実施する場合に、ウェブ7およびフランジ8を備えた主桁2の断面形態が、断面I形あるいは断面H形の形態でもよいことを示すための代表形態である。
ウェブ7の上下部に地山側のフランジ8とトンネル内空側のフランジ8が、ウェブ7のトンネル軸方向の両側に張り出すように設けられている形態では、トンネル軸方向の内側に位置するフランジ8の片側と、ウェブ7とにより、これらをトンネル周方向継手板側に投影した場合に溝状部15を形成したり、あるいは補強部材17と共同して閉鎖環状部16を形成できるため、このような主桁2を用いるようにしてもよく、各フランジ8の先端部付近に渡って補強部材17を配置すると共に、補強部材17の一端側(基端側)を継手板9に固定し、補強部材17の他端側を補強リブ11あるいは主桁2に溶接により固定したり、さらには中詰めコンクリート5に付着固定させるようにしてもよい。
【0038】
(第10実施形態)
図18及び図19には、本発明の第10実施形態のトンネル覆工用の合成構造のセグメントが示されている。
この第10実施形態では、ウェブ7のトンネル半径方向の一端側にトンネル内空側のフランジ8を一体に設けた主桁2とし、主桁2を断面L形とした場合で、かつ主桁2に並行に補強部材17を設けることで、トンネル周方向の継手板側に、主桁2と補強部材17を投影した場合に、継手板側に矩形あるいは台形状の溝状部15を形成した形態である。
なお、スキンプレート3の周側縁部はウェブ7および継手板9に溶接により固定されている。
この第10実施形態のように、主桁2の断面形態がL形であっても、補強部材17を主桁2に並行に設け、補強部材17の一端側(基端側)を継手板9に固定し、補強部材17の先端側を補強リブ11あるいは主桁のフランジ8あるいは中詰めコンクリート5に付着固定することでも、確実な溝状部を形成して。その溝状部15部分の継手板9の曲げ剛性を格段に高めることができる。
尤も、補強部材17を設けない形態でも、主桁2のウェブ7とフランジ8とをトンネル周方向継手板9側に投影した場合には、溝状部は形成されるが、前記溝状部の部分の曲げ剛性を高める上では、ウェブ7の上下2枚のフランジとによる溝状部であるほうが有利である。また、図示を省略するが、補強部材17が断面L形とし、主桁2に並行に配置して、基端側を継手板9に固定すると共に、主桁2あるいは補強リブ11さらには中詰めコンクリート5の少なくともいずれか1つに先端側等を固定することで、主桁2および補強部材17を継手板9側に投影した場合に、閉鎖環状部を形成することもできる。
【0039】
(第11実施形態)
図23及び図24には、本発明の第11実施形態のトンネル覆工用の合成構造のセグメント1が示されている。
この第11実施形態では、主桁2に並行に配置される補強部材17が傾斜配置されていてもよいことを示すための代表形態である。
【0040】
この第11実施形態では、主桁2は、トンネル周方向に伸びるウェブ7に、トンネル半径方向内空側のフランジ8を設けた形態の主桁2とされている。また、長方形状または扇状の鋼板からなる補強部材17は、トンネル半径方向で、内空側の基端部ではフランジ8の先端部に当接され、地山側の先端部ではウェブ7に近づくように傾斜されて配置されて、内空側の基端側がフランジ8の先端部にトンネル周方向に溶接により固定されて主桁2に固定され、地山側では、必要に応じスキンプレート3にトンネル周方向に溶接等により固定される。
また、補強部材17のトンネル周方向の基端側は、前記実施形態と同様に継手板9に溶接等により固定される。
また、前記の変形形態として、補強部材17を主桁2に固定しない場合には、補強リブ11に溶接等により固定される。また、中詰めコンクリート5を設ける場合には、補強部材17を中詰めコンクリート5に付着固定させることで、主桁2あるいは補強リブ11に固定しない形態でもよい。
【0041】
前記第11実施形態のように、トンネル半径方向で補強部材17の一端側が主桁2に接近するように傾斜配置されていると、傾斜している分、トンネル周方向継手板9側に、主桁2および補強部材17を投影した場合に形成される溝状部15が小さい面積となり、継手板9の部分の曲げ剛性が高められている。その曲げ剛性が高められている継手板9の部分に、トンネル周方向の継手板9側に投影した継手部材12,13の重心あるいはボルト孔10の中心軸線が位置するように継手部材12,13あるいはボルト孔10が設けられている。したがって、継手板9の板厚を厚くすることなく、曲げ剛性が高まった継手板9の部分(溝状部)を介して主桁2(特にフランジ8)へ引っ張り応力が伝達される。
【0042】
(第12実施形態)
図25及び図26には、本発明の第12実施形態のトンネル覆工用のセグメント1が示されている。
この形態は、本発明では、中詰めコンクリート5を設けなくてもよいことを示すための代表形態であり、図4および図5に示す第2実施形態において、中詰めコンクリート5を取り除いた状態であり、中詰めコンクリート5以外の部分は前記第2実施形態の場合と同様であるので、同様な部分には、同様な符号を付している。
このような形態においても、トンネル周方向に主桁2のウェブ7と地山側フランジ8と内空側フランジ8とを継手板9側に投影した場合に、溝状部15が形成され、その溝状部15部分の継手板9の曲げ剛性は格段に高められている。そして、そのような曲げ剛性が高められている部分に、トンネル周方向に継手板9側に投影した場合の継手部材12,13の重心あるいはボルト孔10の中心軸線が位置するようにされる。そのため、継手板9の板厚を厚くすることなく、安価な継手板9を用いた経済的なセグメント1とすることができる。
【0043】
図27および図28には、前記各実施形態の代表形態として、第1実施形態のセグメント1を用いてセグメントリングを構築する場合が示されている。なお、トンネル軸方向のセグメント相互を連結する継手は省略されている。
図27には、セグメントリングを構築する場合に、トンネル周方向に隣り合うセグメント1相互を結合する直前の状態が示され、図28には、トンネル周方向に隣り合うセグメント1相互を連結した状態が示されている。
【0044】
トンネル周方向に隣り合うセグメント1相互の継手部材12,13が連結された状態において、平面視で、連結した継手部材12,13の中心軸線上に、各継手部材12,13の重心が位置する方が、トンネル周方向の引っ張り力あるいは圧縮力が継手部材12,13に作用した場合に、継手部材12,13に偏心モーメントが作用しないので、望ましい。継手部材12の係止部を収容するための凹部を備えている継手部材13では、連結前の状態の中心軸線と、継手部材12と連結した場合の中心軸線とは、多少ずれるが、いずれの場合も、トンネル周方向から見た場合に、主桁2を継手板9側に投影した場合の溝状部15(または閉鎖環状部16)内に、継手部材12,13の重心が位置することで、継手部材12,13の連結前の状態の中心軸線と、継手部材12,13相互が連結した場合の中心軸線とは、いずれも継手板9に投影した溝状部15(または閉鎖環状部16)内に位置しており、継手板9が主桁2あるいは主桁2と補強部材17により補強された部分に位置しているため、継手板9の板厚を厚くする必要がない。
【0045】
本発明では、図示を省略するが、トンネル軸方向両端部に位置する主桁2以外にも、主桁2間に間隔をおいて中主桁を備えた形態でもよく、この場合は、中主桁の部分で、前記実施形態と同様な構造とすればよい。
【0046】
なお、図示の形態では、雄型の継手部材12(4)あるいは雌型の継手部材13(4)は、アンカー部を中詰めコンクリート5により埋め込む形態としているが、中詰めコンクリート5との付着を介して主桁2に引っ張り力を伝達は、見込んでいない。
【0047】
本発明を実施する場合、図示を省略するが、主桁2における地山側フランジ8先端部と、内空側フランジ8との先端部またはその近傍に亘って設置する補強部材17としては、鋼板に変わって、鋼棒等の棒状部材を溶接により固定するようにしてもよい。
【0048】
図示の形態の場合には、鋼殻6内に、適宜配筋して、コンクリート5を充填する形態の合成構造のセグメントを主に示したが、本発明を実施する場合に、鋼殻6内にコンクリート5を充填しない鋼製のセグメントに適用するようにしてもよく、その場合に、適宜補強リブ11を増設するようにしてもよい。
【0049】
本発明を実施する場合、図示を省略するが、トンネル内空側にスキンプレートを設ける形態の6面鋼殻形態のセグメントあるいはコンクリート中詰めセグメントとしてもよい。
【0050】
本発明を実施する場合、図示を省略するが、主桁2としては、フランジ部材とウェブ部材とを、部材長手方向に連続した溶接により接合する組み立て形態の主桁としてもよい。
【0051】
図示の形態では、5面鋼殻であるが、本発明を実施する場合、トンネル内空側にスキンプレートを設けた6面鋼殻としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 セグメント
2 主桁
3 スキンプレート
4 連結部
5 中詰めコンクリート
6 鋼殻
7 ウェブ
8 フランジ
9 継手板
10 ボルト孔
11 鋼製補強リブ
12 継手部材(雄型の)
13 継手部材(雌型の)
14 ずれ止め部材
15 溝状部
16 閉鎖環状部
17 補強部材
18 アンカー用脚部
19 棒状部材
20 継手
21 補強鋼板
22 切り欠き部
23 ボルト
24 ボルトボックス
25 棒状部材(トンネル軸方向の)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2枚の主桁の周方向端部に亘って継手板が配置されて主桁に固定され、継手板に固定された継手部材又は設けられたボルト孔のいずれかの連結部が設けられたセグメントにおいて、
前記各主桁はウェブとそのウェブに接続するフランジを備え、
前記主桁を継手板側に投影した主桁におけるウェブとフランジとにより溝状部が形成され、継手板に対する前記連結部が設けられた継手板巾方向の位置が、前記継手部材の重心又はボルト孔の中心軸線を前記溝状部内に位置していることを特徴とするセグメント。
【請求項2】
少なくとも2枚の主桁の周方向端部に亘って継手板が配置されて主桁に固定され、継手板に固定された継手部材又は設けられたボルト孔のいずれかの連結部が設けられたセグメントにおいて、
前記各主桁はウェブとそのウェブに接続する少なくとも2枚のフランジを備え、
前記主桁を継手板側に投影した主桁におけるウェブとフランジとにより溝状部が形成され、継手板に対する前記連結部が設けられた継手板巾方向の位置が、前記継手部材の重心又はボルト孔の中心軸線を前記溝状部内に位置していることを特徴とするセグメント。
【請求項3】
少なくとも2枚の主桁の周方向端部に亘って継手板が配置されて主桁に固定され、継手板に固定された継手部材又は設けられたボルト孔のいずれかの連結部が設けられたセグメントにおいて、
前記各主桁はウェブとそのウェブに接続する少なくとも2枚のフランジを備え、
セグメント内において、継手板に一端側が固定された補強部材が、主桁に並行に配置されて主桁に直接または間接に固定され、
前記主桁を継手板側に投影した主桁におけるウェブとフランジとにより形成される溝状部と、継手板側に投影した補強部材による部分とにより閉鎖環状部が形成され、継手板に対する前記連結部が設けられた継手板巾方向の位置が、前記継手部材の重心又はボルト孔の中心軸線を前記閉鎖環状部内に位置していることを特徴とするセグメント。
【請求項4】
少なくとも2枚の主桁の周方向端部に亘って継手板が配置されて主桁に固定され、継手板に固定された継手部材又は設けられたボルト孔のいずれかの連結部が設けられたセグメントにおいて、
前記各主桁はウェブとそのウェブに接続するフランジを備え、
セグメント内において、継手板に一端側が固定された補強部材が、主桁に並行に配置されて主桁に直接または間接に固定され、
前記主桁を継手板側に投影した主桁におけるウェブとフランジとによる部分と、継手板側に投影した補強部材による部分とにより溝状部が形成され、継手板に対する前記連結部が設けられた継手板巾方向の位置が、前記継手部材の重心又はボルト孔の中心軸線を前記溝状部内に位置していることを特徴とするセグメント。
【請求項5】
主桁におけるフランジは、地山側フランジまたは内空側フランジであり、地山側フランジのトンネル軸方向の先端と、内空側フランジのトンネル軸方向の先端とを結ぶ線を継手板側に投影した場合に、投影した継手板側の線またはその線の近傍における継手板の部分に補強部材が接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセグメント。
【請求項6】
補強部材が地山側フランジの先端と内空側フランジの先端に接続されていることを特徴とする請求項5に記載のセグメント。
【請求項7】
補強部材が板状部材または棒状部材のいずれかであることを特徴とする請求項5または6に記載のセグメント。
【請求項8】
補強部材が継手板に隣接する補強リブに接続されていることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載のセグメント。
【請求項9】
内空側フランジに、ボルト接合用の切り欠き部を有することを特徴とする請求項3,5〜8のいずれか1項に記載のセグメンント。
【請求項10】
セグメントにおける鋼殻の内側にコンクリートが中詰めされていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のセグメント。
【請求項11】
少なくとも2枚の主桁の周方向端部に亘って継手板が配置されて主桁に固定され、継手板に固定された継手部材又は設けられたボルト孔のいずれかの連結部が設けられたセグメントにおいて、前記各主桁はウェブとそのウェブに接続するフランジを備え、
セグメント内において、継手板に一端側が固定された補強部材が、主桁に並行に配置され、
前記主桁を継手板側に投影した主桁におけるウェブとフランジとにより形成される溝状部と、継手板側に投影した補強部材による部分とにより閉鎖環状部または溝状部が形成され、継手板に対する前記連結部が設けられた継手板巾方向の位置が、前記継手部材の重心又はボルト孔の中心軸線を、前記閉鎖環状部内または溝状部内に位置するように設けられ、前記補強部材の他端側は、セグメントにおける鋼殻の内側に中詰めされたコンクリートに埋め込み固定されていることを特徴とするセグメント。
【請求項12】
主桁断面が、I形またはC形のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3、5〜11のいずれか1項に記載のセグメント。
【請求項13】
主桁断面が、L形であることを特徴とする請求項1,4〜11のいずれか1項に記載のセグメント。
【請求項14】
セグメントにおける鋼殻の内側に、ずれ止め部材が設置されていることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載のセグメント。
【請求項15】
フランジに設けたずれ止め部材が、主桁同士間に渡って設置された棒状部材であることを特徴とする請求項14に記載のセグメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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