説明

セファロスポリンCの製造方法

本発明は、アクレモニウム・クリソゲヌム(Acremonium chrysogenum)から得られる新しいタンパク質をコードする単離された核酸分子、そのような核酸分子を含むベクター、そのようなベクターで形質転換されているアクレモニウム・クリソゲヌム宿主細胞、および、そのような形質転換された宿主細胞を使用してセファロスポリンCを製造するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクレモニウム・クリソゲヌム(Acremonium chrysogenum)から得られる新しいタンパク質をコードする単離された核酸分子、そのような核酸分子を含むベクター、そのようなベクターで形質転換されているアクレモニウム・クリソゲヌム宿主細胞、および、そのような形質転換された宿主細胞を使用してセファロスポリンCを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セファロスポリンCは、糸状菌アクレモニウム・クリソゲヌム(本明細書中下記ではA.chrysogenumとして示される)の工業的規模での発酵によって得られる天然の代謝産物である。この物質は、数多くの半合成セファロスポリン抗生物質のための重要な前駆体である。セファロスポリン物質クラスは非常に治療的に重要である。工業的セファロスポリン発酵の収率の増大は、本質的には、プロセス技術の改善に加えて、絶え間ない遺伝的な菌株改良に依存する。前記菌株改良の現代の方法でのますます重要になっているのは、産生を増大させる潜在的可能性を有する特定の遺伝子による産生菌株の形質転換である。知られているセファロスポリン生合成遺伝子の小さい一群が、セファロスポリン生合成の生化学的関係の知識により、菌株改良の潜在的可能性を有するのではないかと考えられ得る。増幅、すなわち、そのような既知遺伝子のコピー数を増大させることは、実際に、実験的には部分的ではあるが、産生菌生物の生産性の著しい改善を示している。しかしながら、菌株改良の潜在的可能性が科学的な妥当性評価から予測され得る既知遺伝子の群は非常に小さい。しかしながら、これらの既知の生合成遺伝子に加えて、産生を増大させる潜在的可能性を増幅によって同様に生じさせる未知の数多くのさらなる遺伝子が推測され得る。現在、セファロスポリン生合成に影響を及ぼす細胞プロセスの全体は依然としてほとんど理解されていないので、多くの場合、そのような遺伝子の機能は知られていない。従って、産生を増大させる潜在的可能性を有するさらなる遺伝子を同定するための方法は非常に重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、これまで知られていないそのようなさらなる遺伝子を発見することが本発明の主要な目的である。従って、A.chrysogenumから得られる新しいタンパク質をコードし、A.chrysogenum宿主細胞の形質転換のために使用することができ、その結果、この宿主細胞が良好な収率でセファロスポリンCをもたらすことができる核酸およびベクターを提供することが本発明の目的である。そのような形質転換された宿主細胞を提供することが本発明の別の目的である。最後に、前記形質転換された宿主細胞を使用するセファロスポリンCの製造方法を提供することが本発明の別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
A.chrysogenumにおける新しい遺伝子(これは、A.chrysogenumにおけるこれまでに知られていないタンパク質をコードする)が本発明の枠組みにおいて見出された。この新しい遺伝子は、その生来的な状態では、A.chrysogenumのゲノムにおいて同じ染色体に存在するA.chrysogenumの既知のcefEF遺伝子(S.E.Samson他、Biotechnology、5(1987)、1207〜1214)の(翻訳方向で読んだとき)約5.5kb(キロベース)下流に存在する。
【0005】
この新しい遺伝子はA.chrysogenum菌株ATCC48272において見出された(これはATCC(American Type Culture Collection、PO Box 1549、Manassas、VA 20108、米国)からこの番号で得ることができる)。
【0006】
この菌株は、例えば、下記の産生菌として既に詳しく特徴づけられている:種々のセファロスポリン、特に、セファロスポリンC(L.H.MalmbergおよびW.S.Hu、Appl.Microbiol.Biotechnol.、38(1992)、122〜128;Y.Q.Shen他、Bio−Technology、4(1986)、61〜64)、イソペニシリンNシンセターゼ(I.J.Hollander他、Science、224(1984)、610〜612;J.M.Luengo他、Bio−Technology、4(1986)、44〜47)、デアセトキシ−セファロスポリンCシンセターゼ(Y.Q.Shen他、Enzyme Microb.Technol.、6(1984)、402〜404)、および、ACVシンセターゼ(J.Zhang他、Curr.Microbiol.18(1989)、361〜367;J.ZhangおよびA.L.Demain、Arch.Microbiol.158(1992)、364〜369)。
【0007】
しかしながら、この新しい遺伝子はまた、他のA.chrysogenum菌株においても見出され、それらからも単離され得る。あるいは、本明細書中に示される核酸配列およびアミノ酸配列または核酸分子およびアミノ酸分子は合成(特に化学合成)することができる。
【0008】
遺伝子は、長さが526アミノ酸のタンパク質をコードする(図1を参照のこと、配列番号1)。アミノ酸配列が図1に示される。遺伝子におけるコード領域は、図2および図4に示されるように、3つのイントロンによって遮られている。
【0009】
従って、本発明は、配列番号1に示されるアミノ酸配列(図1参照)を含むタンパク質をコードする単離された核酸分子に関する。
【0010】
従って、このタイプの核酸分子は、例えば、示されたアミノ酸配列(配列番号1)に加えて、さらにさらなるアミノ酸を含むタンパク質、例えば、融合タンパク質をコードすることができる。そのような融合タンパク質は、例えば、単離された形態での新しいタンパク質の調製が所望される場合、一定の役割を果たし得る。融合部分は、例えば、安定性を増大させ得るか、または、精製を容易にし得る。
【0011】
本発明の枠組み内において、本発明の核酸分子は、配列番号1に示されるアミノ酸配列のみをコードする核酸分子、または、配列番号1に示されるアミノ酸配列をもっぱらコードする核酸分子が好ましい。このタイプの核酸分子は、本明細書中下記に記載される、セファロスポリンCを製造する目的のために都合良く用いることができる。従って、本発明はさらに、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする本発明の核酸分子に関する。
【0012】
本発明の核酸分子は、好ましくはDNA分子であり、特に、単離されたゲノムDNA分子または対応するcDNA分子である。cDNA分子は、例えば、対応するmRNA分子の逆転写によって調製することができ、または合成することができる。あるいは、核酸分子はRNA分子(特にmRNA分子)であり得る。
【0013】
本発明のDNA分子は、例えば、前記A.chrysogenum菌株ATCC48272のゲノムのゲノムDNAライブラリーを作製することにより調製することができる。A.chrysogenumの既知cefEF遺伝子と、さらには、cefEF遺伝子の下流側の少なくとも約10kbの配列とを含有するゲノムクローンが同定される。これは、cefEF遺伝子の知られている核酸配列(S.E.samson他、上記参照)からその構造が推定され得る相同的プローブを用いたスクリーニングによって行うことができる。様々な適切な技術が文献から(例えば、T.Maniatis他、Molecular Cloning−A Laboratory Manual(1982、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、New York、米国)において)知られている。所望のDNA分子は、そのようなクローンの約2.5kbのEcoRI/BamHIフラグメントに存在しており、そのようなフラグメントは、古典的な技術を使用して単離または調製することができる。図4には、そのようなフラグメントが示される。従って、本発明の好ましい実施態様は、配列番号4に示される塩基配列、または、遺伝暗号の縮重性のためだけにより配列番号4に示される配列と異なる塩基配列を含む本発明の核酸分子に関する。すなわち、本発明によれば、本発明はまた、示されたコドンの1つまたは複数が、コードされるタンパク質のアミノ酸配列(配列番号1)が変化しないような様式で1つまたは複数の他のコドンにより置換されることによって、具体的に示された配列とは異なるそのような核酸分子に関する。これはまた、下記に記載されるさらなる核酸分子にも適用される。配列番号4に示される核酸分子は、調節配列(例えば、プロモーターおよび停止コドンなど)を含有しており、A.chrysogenumの形質転換のために、従って、セファロスポリンCを製造するために、特にベクターにおいて都合良く使用することができる。
【0014】
2.5kbの言及されたEcoRI/BamHIフラグメントは、具体的には、新しい遺伝子のコード部分を含む。この部分が図2に示されており、この部分は3つのイントロンを含む。従って、本発明はさらに、上記で議論されたように、配列番号2に示される塩基配列、または、遺伝暗号の縮重性のためだけにより配列番号2に示される配列と異なる塩基配列を含む本発明の核酸分子に関する。従って、このタイプの核酸分子は、新しい遺伝子のコード部分のゲノムDNA配列に対応する。本発明のさらなる好ましい実施態様は、1つ、2つまたは3つすべてのイントロンの非存在によって配列番号2の核酸分子とは異なるそのような核酸分子である。
【0015】
従って、さらに、本発明の核酸分子は、上記で議論されたように、配列番号3に示される塩基配列、または、遺伝暗号の縮重性のためだけにより配列番号3に示される配列と異なる塩基配列を含む核酸分子が好ましい。このタイプの核酸分子は、言及されたイントロンのいずれをもはや含まず、そのため、対応するcDNA配列と同等と見なすことができる。
【0016】
さらに、本発明の核酸分子は、言及されたcDNA分子を含めて、例えば、全体または一部を合成することができる。本発明のRNA分子またはmRNA分子は、標準的な技術によって微生物A.chrysogenumから単離することができ、または、合成的に製造することができる。適切なmRNAから、標準的な技術を使用して、対応するcDNA分子を調製することが可能である。
【0017】
前記核酸分子が、(例えば、融合タンパク質をコードするために)さらなる塩基配列を含有することは完全に可能であるが、好ましい実施態様は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、および、上記で議論されたように、遺伝暗号の縮重性のためだけにより前記配列のいずれかと異なる塩基配列からなる群から選択される塩基配列からもっぱらなるか、またはそのような塩基配列のみからなる本発明の核酸分子に関する。
【0018】
別の実施態様において、本発明の核酸分子は、(コードされるタンパク質のC末端に対応する)コード領域の終端のすぐ後に、1つ以上の停止コドンをさらに含む。TAAとして同定されている天然に存在する停止コドンが好ましい。しかしながら、それ以外の停止コドンもまた使用することができる。
【0019】
他の知られているタンパク質配列との類似性のために、本発明の核酸分子によりコードされるタンパク質(配列番号1)は、ヒドロラーゼとして、具体的にはアセチル−CoAヒドロラーゼとして特徴づけることができる。だが、このことは限定であるとして解釈すべきではない。しかしながら、本発明の主たる事柄は、新しいタンパク質の機能を記載することではなく、特に、好ましくはA.chrysogenum宿主菌株を、特に、セファロスポリンCを製造する目的のために形質転換するための、新しいタンパク質をコードする本発明の新しい遺伝子の使用または核酸分子の使用である(これはより詳しくは下記において例示される)。
【0020】
本発明はさらに、本発明の言及された核酸分子のいずれかを含むベクターに関する。好ましくは、そのようなベクターは、宿主細胞を形質転換するために好適である。そのような宿主細胞は、特に微生物であり、特にA.chrysogenumである。そのようなベクターは、例えば、プラスミドの形態であり得るが、必要な場合には、本発明の核酸分子に加えて、さらなる配列、例えば、複製起点およびさらなる調節エレメント(プロモーター、転写終結シグナル、翻訳開始シグナル、翻訳終結シグナルなど)を含有し、その結果、形質転換が行われた後、本発明の核酸分子の発現を行わせることができる。形質転換が行われた後、本発明の核酸分子および同様に他のベクターエレメントは宿主細胞のゲノムに組み込まれ、新しい遺伝子のコード部分の増幅をもたらし得る。本発明のベクターは、好都合には、配列番号4に示される塩基配列を含む核酸分子を含む。そのような塩基配列は、言及されたEcoRI/BamHIフラグメントに対応し、調節配列(例えば、対応するプロモーターなど)を既に含んでいる。
【0021】
このタイプのベクターは、本発明の核酸分子を好適な標準的なベクターにクローン化することによって、標準的な技術に従って作製することができる。
【0022】
新しく見出された遺伝子に由来する記載された核酸分子に加えて、本発明のベクターは特に、既に知られ、かつ、A.chrysogenumにおけるセファロスポリン生合成に関与する遺伝子に由来する1つ以上のさらなる核酸分子を含有することができ、そのような核酸分子として、特に、pcbAB(S.Gutierrez、J.Bacteriol.、173(1991)、pp.2354〜2365)、pcbC(S.Gutierrez、J.Bacteriol.、173(1991)、pp.2354〜2365)、cefD1(R.V.Ullan他、J.Biol.Chem.、277(2002)、pp.46216〜46225)、cefD2(R.V.Ullan他、J.Biol.Chem.、277(2002)、pp.46216〜46225)、cefEF(S.Gutierrez、J.Bacteriol.、174(1992)、pp.3056〜3064)、およびcefG(S.Gutierrez、J.Bacteriol.、174(1992)、pp.3056〜3064)が挙げられる。
【0023】
従って、別の好ましい実施態様において、本発明のベクターは、上記で記載されたように、pcbAB、pcbC、cefD1、cefD2、cefEFおよびcefGのアクレモニウム・クリソゲヌム遺伝子によりコードされるタンパク質からなる群から選択されるタンパク質をコードする少なくとも1つのさらなる核酸分子をさらに含む。
【0024】
好ましくは、本発明のベクターは、アクレモニウム・クリソゲヌムのpcbAB遺伝子およびpcbC遺伝子によりそれぞれ対応してコードされるタンパク質をコードする2つのさらなる核酸分子をさらに含む。
【0025】
さらに、本発明のベクターは、好ましくは、アクレモニウム・クリソゲヌムのcefD1遺伝子およびcefD2遺伝子によりそれぞれ対応してコードされるタンパク質をコードする2つのさらなる核酸分子をさらに含む。
【0026】
さらに、本発明のベクターは、好ましくは、アクレモニウム・クリソゲヌムのcefEF遺伝子およびcefG遺伝子によりそれぞれ対応してコードされるタンパク質をコードする2つのさらなる核酸分子をさらに含む。
【0027】
使用されるpcbAB配列は、好ましくは、図5に見出されるヌクレオチド配列に対応する。使用されるpcbC配列は、好ましくは、図5に同様に見出されるヌクレオチド配列に対応する。使用されるcefD1配列は、好ましくは、図6に見出されるヌクレオチド配列に対応する。使用されるcefD2配列は、好ましくは、図6に同様に見出されるヌクレオチド配列に対応する。使用されるcefEF配列は、好ましくは、図7に見出されるヌクレオチド配列に対応する。使用されるcefG配列は、好ましくは、図7に同様に見出されるヌクレオチド配列に対応する。
【0028】
本発明はさらに、本発明のベクターで形質転換されている宿主細胞に関する。この場合、そのようなベクターは、上記で記載されたように、本発明の新しい核酸分子と、さらには、適する場合、さらなる核酸分子とを含む。宿主細胞は、好ましくは微生物であり、特にA.chrysogenumである。
【0029】
このタイプの宿主細胞(特に、A.chrysogenumの宿主細胞)は、標準的な方法に従って本発明のベクターで形質転換される。そのような方法が、例えば、C.NowakおよびU.Kuck、Curr.Genet.、25(1994)、pp.34〜34に記載される。
【0030】
好都合には、本発明の形質転換されたA.chrysogenum宿主細胞は、セファロスポリンCを製造するために使用することができる。従って、本発明はまた、本発明のA.chrysogenum宿主細胞を、宿主細胞によるセファロスポリンCの産生を行わせるために好適な条件のもとで培養することを含むセファロスポリンCの製造方法に関する。
【0031】
様々な好適な培養/発酵技術が、例えば、特にA.chrysogenumについて、抗生物質の分野の当業者には知られており、長い間、セファロスポリンCの製造において用いられている。
【0032】
好ましい実施態様において、本発明のプロセスはさらに、産生されたセファロスポリンCを単離することを含む。本発明の形質転換されたA.chrysogenum宿主細胞により産生されるセファロスポリンCは、通常、微生物によって分泌され、様々な知られている技術によって、例えば、クロマトグラフィー技術によって培養上清から精製または単離することができる。
【0033】
本発明により得られるセファロスポリンCは、好ましくは、抗生物質特性を有するさらなる誘導体を得るために反応させることができる。
【0034】
本発明の別の適用は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む単離されたタンパク質に関する。そのようなタンパク質にはまた、述べられたように、所望される場合には、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する成熟タンパク質を切断によって得ることができる対応する融合タンパク質が含まれる。本発明のタンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列からもっぱらなるタンパク質、または、配列番号1に示されるアミノ酸配列のみからなるタンパク質が好ましい。
【0035】
本発明のタンパク質は、前記タンパク質をコードする核酸分子を含む本発明の好適な発現ベクターを含有する好適な原核生物宿主細胞または真核生物宿主細胞を、前記タンパク質の発現をもたらす条件のもとで培養することによって製造することができる。タンパク質は、様々な一般的な技術を使用して精製および単離することができる。特に本発明のcDNAが使用される好適な原核生物宿主細胞の例として、細菌細胞(例えば、大腸菌)がある。好適な真核生物宿主細胞の例として、CHO細胞またはBHK細胞などの哺乳動物細胞がある。
【0036】
本発明のそのようなタンパク質は、単離された形態で、例えば、セファロスポリンCまたはその誘導体の合成的製造または半合成的製造において使用することができる。一般的な実施の一例として、反応が行われる合成カラムにおける固定化がある。
【0037】
本明細書中で言及された参考文献は、本明細書とともに、参照してその全体が組み込まれる。
【0038】
本発明は、下記の実施例によってより詳しく例示されるが、そのような実施例に限定されない。実施例は、特に、本発明の好ましい実施態様に関する。
【0039】
(実施例)
本実施例において示される材料および試薬は、当業者には熟知のものであり、市販されているか、または容易に得ることができ、そして、製造者の説明書に従って使用することができる。
【実施例1】
【0040】
A.chrysogenumからの新しい遺伝子および新しいタンパク質の単離
セファロスポリン生合成遺伝子および隣接配列に対するDNA配列を、λクローンの助けをかりて構築することができる。そのようなλクローンは、A.chrysogenum ATCC48272のDNAインサートを含有するλ遺伝子バンクから単離することができる。λ遺伝子バンクの構築は、λプラークハイブリダイゼーションによるλ遺伝子バンクのスクリーニングが述べられているように、例えば、T.Maniatis他(上記参照)に述べられている。A.chrysogenumから得られるセファロスポリン生合成遺伝子に関するDNA配列情報(これはこのスクリーニングのために要求される)を、データベース検索(例えば、GENBANK)によって得ることができる。このデータベース要求のために好適な検索項目の例には、検索されるクローンに存在するはずである適切な生合成遺伝子(cefEF)に対する名称がある。本発明の枠組みにおいて見出される遺伝子のクローニングを、cefEF遺伝子の配列情報を使用してプラークハイブリダイゼーションによって同定されるλクローンから始めることができる。ただし、この場合、このクローンは、cefEF遺伝子の停止コドンから下流側の少なくとも約10kbのDNA配列のDNAインサートを含有しなければならない。本発明の遺伝子、従って、特に、配列番号2および配列番号4に示される本発明の核酸分子を完全に含む約2.5kbのBamHI/EcoRI制限フラグメントが、その後のクローニングのためには不可欠である。このフラグメントは、例えば、下記の配列によって規定されるプライマーPCR1fおよびプライマーPCR1rを使用してPCRによって確認することができる。
【0041】
【化1】

【0042】
本発明の新しく発見された遺伝子または核酸分子をクローン化するために、約2.5kbのBamHI/EcoRI制限フラグメントが、(NowakおよびKuck(上記参照)に記載される)ベクターpCN3にクローン化される。このベクターは、アクレモニウム形質転換体の選択を可能にする改変されたチューブリン抵抗性遺伝子(NowakおよびKuck(上記参照))によって識別される。pCN3上の1個だけのEcoRI切断部位がクローン化のために利用される。連結は下記の3段階で行われる:
1)適合性のEcoRI切断部位を介してそれぞれの場合において2つのDNA分子を連結する。
2)突出端をクレノウ酵素で処理する。
3)改変された端部をさらなる連結によって連結する。
【0043】
連結生成物は大腸菌(例えば、DH5α株)に形質転換され、さらなる形質転換工程のために十分な量を大腸菌において産生させられ、精製される。構築様式により、核酸分子を逆向きで含有するプラスミドを得ることもまた可能であり、しかしながら、原理的には、これらの構造は同じ機能性を有する。所望のプラスミドを含有する大腸菌クローンを、述べられたPCRプライマー(PCR1fおよびPCR1r)を使用してPCRによって確認することができる。得られるPCR産物は長さが2.5kbである。これらのPCR分析は、Roche Applied Scienceから得られるExpand High Fidelity PCRシステムを使用して、同様に提供されるPCR反応のための説明書に従って行うことができる。その後の配列決定および評価により、図2(配列番号2)および図4(配列番号4)に示される核酸配列がもたらされる。その後、図3(配列番号3)に示されるcDNA配列、および同様に、図1(配列番号1)に示されるコードされるタンパク質のアミノ酸配列をその核酸配列から推定することができる。原理的には、配列決定、ならびに、図2および図4に示されるDNA配列との配列比較によって、クローニング産物を最終的に確認することが可能である。EcoRI/BamHIフラグメントを有するプラスミドはプラスミド1として示され、下記において使用される。
【実施例2】
【0044】
A.chrysogenumの形質転換
プラスミド1が、プロトプラスト形質転換のための標準的な手法によってA.chrysogenum ATCC48272(上記参照)に形質転換される。これらの方法は、例えば、NowakおよびKuck(上記参照)に記載され、ベノミル含有栄養寒天における形質転換体の選択を伴う。この選択のために使用されるプラスミド1およびpCN3にそれぞれ存在する改変されたチューブリン遺伝子CA_Tubulin(Tyr)の性質は、選択のために要求されるベノミル含有栄養寒天が記載されるように、NowakおよびKuck(上記参照)に記載される。このタイプの実験から得られる形質転換体は、例えば、プラスミド1の必須部分の存在について、PCRによってアッセイすることができる。下記のPCRプライマーにより、そのようなアッセイが可能である:
【0045】
【化2】

【0046】
得られるPCR産物は長さが8279bpである。PCR分析は、例えば、Roche Applied Scienceから得られるExpand Long Template PCRシステムによって、同様に提供されるPCR反応のための説明書に従って行うことができる。
【0047】
実際的には、pCN3を有する形質転換体の集団が、プラスミド1を有する形質転換体の集団に加えて、コントロール目的のために提供される。これらの形質転換体は、下記のPCRプライマーを使用してPCR反応混合物において分析することができる:
【0048】
【化3】

【0049】
得られるPCR産物は長さが2290bpである。
【実施例3】
【0050】
セファロスポリンCの製造および単離
実施例2で得られた形質転換体は、フラスコでの発酵実験においてセファロスポリン産生について試験される。実際的には、それぞれの場合において、プラスミド1を有する約500個の形質転換体のほぼ同じサイズの集団、および、pCN3を有するコントロール形質転換体のほぼ同じサイズの集団が並行して比較される。この目的のために、これらのフラスコ発酵物の上清がHPLC分析によって評価される。対応する方法が、その付随する分析を含めて、例えば、L.Karaffa他、Appl.Microbiol.Biotechnol.、51(1999)、633〜638に記載される。統計学的に関係のある量のデータを得るために、これらの分析は数回(例えば、6回)繰り返され、この場合、それぞれの繰り返しは、それぞれの場合、個々に試験されている各菌株の数個(例えば、4個)の並行したフラスコ発酵物を含む。結果的には、このようにして、プラスミド1による形質転換に由来する菌株で、それと比較されているpCN3コントロール形質転換体の集団よりも明確に大きいセファロスポリン生産性を再現良く有する菌株を同定することが可能になる。
【0051】
前記分析において使用されるHPLCカラムはまた、産生されたセファロスポリンCの精製および単離において使用することができる。
【実施例4】
【0052】
A.chrysogenumのcefD1遺伝子およびcefD2遺伝子を含むプラスミド2の構築
実施例1のプラスミド1は、続いて、cefD1およびcefD2の2つのセファロスポリン生合成遺伝子によって拡張される。これらの遺伝子はR.V.Ullan、J.Biol.Chem.、277(2002)、pp.46212〜46225に記載される。両遺伝子は、5.8kbのEcoRV/BamHIフラグメントにおいて非常に接近して存在しており、好適なλクローンの助けをかりて提供される。そのようなλクローンは、アクレモニウム・クリソゲヌムATCC48272のDNAインサートを含有するλ遺伝子バンクから単離される。λ遺伝子バンクの構築は、λプラークハイブリダイゼーションによるλ遺伝子バンクのスクリーニングが述べれているように、例えば、T.Maniatis他(上記参照)に述べられている。生合成遺伝子のcefD1およびcefD2のDNA配列情報(これはこのスクリーニングのために要求される)を、例えば、データベース要求(例えば、GENBANK)によって得ることができる。このデータベース要求のために好適な検索項目の例には、これら2つの生合成遺伝子(cefD1およびcefD2)の名称がある。これら2つの生合成遺伝子のクローニングが、cefD1遺伝子およびcefD2遺伝子の配列情報を使用してプラークハイブリダイゼーションによって同定されるλクローンから始められる。ただし、この場合、前記クローンは少なくとも6kbのDNA配列のDNAインサートを含有する。これら2つの完全な生合成遺伝子(cefD1およびcefD2)を含む約5.8kbのBamHI/EcoRV制限フラグメントが、その後のクローニングのためには不可欠である。このフラグメントは、下記の配列によって規定されるプライマーPCR4fおよびプライマーPCR4rを使用してPCRによって確認することができる:
【0053】
【化4】

【0054】
実施例1のプラスミド1は、これら2つの生合成遺伝子(cefD1およびcefD2)を含有する、配列番号6に示される約5.8kbのBamHI/EcoRV制限フラグメントをプラスミド1にクローン化することによって拡張される。プラスミド1における1個だけのSmaI切断部位がクローン化のために利用される。5.8kbのBamHI/EcoRV制限フラグメントの2つの突出端はクレノウ酵素で処理され、SmaI切断のプラスミド1と連結される。
【0055】
連結生成物は大腸菌(例えば、DH5α株)に形質転換され、さらなる形質転換工程のために十分な量を大腸菌において産生させられ、精製される。構築様式により、核酸分子を逆向きで含有するプラスミドを得ることも可能であり、しかしながら、原理的には、これらの構造は同じ機能性を有する。所望のプラスミドを含有する大腸菌クローンを、述べられたPCRプライマー(PCR4fおよびPCR4r)を使用してPCRによって確認することができる。得られるPCR産物は長さが5.5kbである。これらのPCR分析は、Roche Applied Scienceから得られるExpand High Fidelity PCRシステムを使用して、同様に提供されるPCR反応のための説明書に従って行うことができる。原理的には、配列決定、および、図6に示されるDNA配列との配列比較によって、クローニング産物を最終的に確認することが可能である。BamHI/EcoRVフラグメントを有するプラスミドはプラスミド2として示され、下記において使用される。
【実施例5】
【0056】
A.chrysogenumのpcbAB遺伝子およびpcbC遺伝子を含むプラスミド3の構築
実施例1のプラスミド1は、続いて、プラスミド3を得るために、pcbABおよびpcbCの2つのセファロスポリン生合成遺伝子によって拡張される。現実には、pcbAB遺伝子およびpcbC遺伝子は、生合成遺伝子クラスターIとして遺伝子的に密接に共役した形態で存在し、S.Gutierrez、J.Bacteriol.173(1991)、pp.2354〜2365に記載される。両遺伝子は、約16kbのSnaBI/BfrIフラグメントにおいて非常に接近して存在しており、好適なλクローンの助けをかりて提供される。そのようなλクローンは、アクレモニウム・クリソゲヌムATCC48272のDNAインサートを含有するλ遺伝子バンクから単離される。λ遺伝子バンクの構築は、λプラークハイブリダイゼーションによるλ遺伝子バンクのスクリーニングが述べれているように、例えば、T.Maniatis他(上記参照)に述べられている。生合成遺伝子のpcbABおよびpcbCのDNA配列情報(これはこのスクリーニングのために要求される)を、例えば、データベース要求(例えば、GENBANK)によって得ることができる。このデータベース要求のために好適な検索項目の例には、これら2つの生合成遺伝子(pcbABおよびpcbC)の名称がある。これら2つの生合成遺伝子のクローニングが、pcbAB遺伝子およびpcbC遺伝子の配列情報を使用してプラークハイブリダイゼーションによって同定されるλクローンから始められる。ただし、この場合、前記クローンは少なくとも16kbのDNA配列のDNAインサートを含有する。これら2つの完全な生合成遺伝子(pcbABおよびpcbC)を含む約16kbのSnaBI/BfrI制限フラグメントが、その後のクローニングのためには不可欠である。このフラグメントは、下記の配列によって規定されるプライマーPCR5fおよびプライマーPCR5rを使用してPCRによって確認することができる:
【0057】
【化5】

【0058】
実施例1のプラスミド1は、これら2つの生合成遺伝子(pcbABおよびpcbC)を含有する、配列番号5に示される約16kbのSnaBI/BfrI制限フラグメントをプラスミド1にクローン化することによって拡張される。プラスミド1における1個だけのSmaI切断部位がクローン化のために利用される。約16kbのSnaBI/BfrI制限フラグメントの2つの突出端はクレノウ酵素で処理され、SmaI切断のプラスミド1と連結される。
【0059】
連結生成物は大腸菌(例えば、DH5α株)に形質転換され、さらなる形質転換工程のために十分な量を大腸菌において産生させられ、精製される。構築様式により、核酸分子を逆向きで含有するプラスミドを得ることも可能であり、しかしながら、原理的には、これらの構造は同じ機能性を有する。所望のプラスミドを含有する大腸菌クローンを、述べられたPCRプライマー(PCR5fおよびPCR5r)を使用してPCRによって確認することができる。得られるPCR産物は長さが10.5kbである。これらのPCR分析は、Roche Applied Scienceから得られるExpand High Fidelity PCRシステムを使用して、同様に提供されるPCR反応のための説明書に従って行うことができる。原理的には、配列決定、および、図5に示されるDNA配列との配列比較によって、クローニング産物を最終的に確認することが可能である。SnaBI/BfrIフラグメントを有するプラスミドはプラスミド3として示され、下記において使用される。
【実施例6】
【0060】
A.chrysogenumのcefEF遺伝子およびcefG遺伝子を含むプラスミド4の構築
実施例1のプラスミド1は、続いて、プラスミド4を得るために、cefEFおよびcefGのつのセファロスポリン生合成遺伝子によって拡張される。現実には、cefEF遺伝子およびcefG遺伝子は、生合成遺伝子クラスターIIとして遺伝子的に密接に共役した形態で存在し、S.Gutierrez、J.Bacteriol.174(1992)、pp.3056〜3064に記載される。両遺伝子は、約4.6kbのXbaI/SgrAIフラグメントにおいて非常に接近して存在しており、好適なλクローンの助けをかりて提供される。そのようなλクローンは、アクレモニウム・クリソゲヌムATCC48272のDNAインサートを含有するλ遺伝子バンクから単離される。λ遺伝子バンクの構築は、λプラークハイブリダイゼーションによるλ遺伝子バンクのスクリーニングが述べれているように、例えば、T.Maniatis他(上記参照)に述べられている。生合成遺伝子のcefEFおよびcefGのDNA配列情報(これはこのスクリーニングのために要求される)を、例えば、データベース要求(例えば、GENBANK)によって得ることができる。このデータベース要求のために好適な検索項目の例には、これら2つの生合成遺伝子(cefEFおよびcefG)の名称がある。これら2つの生合成遺伝子のクローニングが、cefEF遺伝子およびcefG遺伝子の配列情報を使用してプラークハイブリダイゼーションによって同定されるλクローンから始められる。ただし、この場合、前記クローンは少なくとも4.6kbのDNA配列のDNAインサートを含有する。これら2つの完全な生合成遺伝子(cefEFおよびcefG)を含む約4.6kbのXbaI/SgrAI制限フラグメントが、その後のクローニングのためには不可欠である。このフラグメントは、下記の配列によって規定されるプライマーPCR6fおよびプライマーPCR6rを使用してPCRによって確認することができる:
【0061】
【化6】

【0062】
実施例1のプラスミド1は、これら2つの生合成遺伝子(cefEFおよびcefG)を含有する約4.6kbのXbaI/SgrAI制限フラグメントをプラスミド1にクローン化することによって拡張される。プラスミド1における1個だけのSmaI切断部位がクローン化のために利用される。4.6kbのXbaI/SgrAI制限フラグメントの2つの突出端はクレノウ酵素で処理され、SmaI切断のプラスミド1と連結される。
【0063】
連結生成物は大腸菌(例えば、DH5α株)に形質転換され、さらなる形質転換工程のために十分な量を大腸菌において産生させられ、精製される。構築様式により、核酸分子を逆向きで含有するプラスミドを得ることも可能であり、しかしながら、原理的には、これらの構造は同じ機能性を有する。所望のプラスミドを含有する大腸菌クローンを、述べられたPCRプライマー(PCR6fおよびPCR6r)を使用してPCRによって確認することができる。得られるPCR産物は長さが2.5kbである。これらのPCR分析は、Roche Applied Scienceから得られるExpand High Fidelity PCRシステムを使用して、同様に提供されるPCR反応のための説明書に従って行うことができる。原理的には、配列決定、および、図7に示されるDNA配列との配列比較によって、クローニング産物を最終的に確認することが可能である。XbaI/SgrAIフラグメントを有するプラスミドはプラスミド4として示され、下記において使用される。
【実施例7】
【0064】
プラスミド2によるA.chrysogenumの形質転換
プラスミド2による形質転換が下記に例示される。しかしながら、プラスミド3およびプラスミド4をそれに従って使用することもまた可能であり、匹敵し得る結果が得られる(実施例9および実施例10を参照のこと)。
【0065】
プラスミド2が、プロトプラスト形質転換のための標準的な手法によってA.chrysogenum菌株(CEF−67605)に形質転換される。ATCC48272(上記参照)などの利用可能なA.chrysogenum菌株を代替として使用することもまた可能である。これらの方法は、例えば、NowakおよびKuck(上記参照)に記載され、ベノミル含有栄養寒天における形質転換体の選択を伴う。NowakおよびKuck(上記参照)は、プラスミド1およびpCN3にそれぞれ存在する、この選択のために使用される改変されたチューブリン遺伝子CA_Tubulin(Tyr)の性質、そしてまた、選択のために要求されるベノミル含有栄養寒天を記載する。そのような実験から得られる形質転換体は、プラスミド2の必須部分の存在について、PCRによってアッセイされる。下記のPCRプライマーにより、そのようなアッセイが可能である:
【0066】
【化7】

【0067】
得られるPCR産物は長さが9001bpである。PCR分析は、例えば、Roche Applied Scienceから得られるExpand Long Template PCRシステムによって、同様に提供されるPCR反応のための説明書に従って行うことができる。
【0068】
実際的には、pCN3を有する形質転換体の集団が、プラスミド2を有する形質転換体の集団に加えて、コントロール目的のために提供される。これらの形質転換体は、下記のPCRプライマーを使用してPCR反応混合物において分析することができる:
【0069】
【化8】

【0070】
得られるPCR産物は長さが2290bpである。
【実施例8】
【0071】
実施例7による形質転換菌株からのセファロスポリンCの製造および単離
実施例7で得られた形質転換体は、実施例3における記載のようにアッセイされ、セファロスポリンCがそれに従って精製される。
【0072】
アッセイされた550個の形質転換体の中で、7つの菌株(例えば、CET−98118株)が、そのセファロスポリンC力価が、形質転換されていない出発株と比較して、10%まで増大していることが見出された。そのような菌株は、工業的規模での製造目的のために使用することができる。
【実施例9】
【0073】
プラスミド3によるA.chrysogenumの形質転換、ならびにその後のセファロスポリンCの製造および単離
実施例7と同様に、A.chrysogenum菌株(CEF−67605)がプラスミド3で形質転換される。ATCC48272などの利用可能なA.chrysogenum菌株を代替として使用することもまた可能である。
【0074】
このようにして作製された形質転換体は実施例3の記載のようにアッセイされ、セファロスポリンCがそれに従って精製される。形質転換されていない出発株と比較して増大したセファロスポリンCの力価を有する菌株を、工業的規模での製造目的のために使用することができる。
【実施例10】
【0075】
プラスミド4によるA.chrysogenumの形質転換、ならびにその後のセファロスポリンCの製造および単離
実施例7と同様に、A.chrysogenum菌株(CEF−67605)がプラスミド4で形質転換される。ATCC48272(上記参照)などの利用可能なA.chrysogenum菌株を代替として使用することもまた可能である。
【0076】
このようにして作製された形質転換体は実施例3の記載のようにアッセイされ、セファロスポリンCがそれに従って精製される。形質転換されていない出発株と比較して増大したセファロスポリンCの力価を有する菌株を、工業的規模での製造目的のために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の核酸分子(図2または図4に示される核酸配列)から推定されるA.chrysogenumの新規なタンパク質のアミノ酸配列(配列番号1)を示す。配列はN末端からC末端に示される。
【図2】翻訳開始コドン(ATG)から最後のコードコドン(TGG)までの、本発明の枠組みにおいて見出されるA.chrysogenum遺伝子のゲノムクローンのコード領域の3つのイントロンを含むゲノムDNA配列を示す(配列番号2)。配列は5’から3’の向きで一本鎖の形態で示される。
【図3】翻訳開始コドン(ATG)から最後のコードコドン(TGG)までの、新しい遺伝子のコード領域のcDNA配列を示す(配列番号3)。配列は5’から3’の向きで一本鎖の形態で示される。
【図4−A】新しい遺伝子のゲノムクローンのBamHI/EcoRIフラグメントのゲノムDNA配列を示す(配列番号4)(配列は5’から3’の向きで一本鎖の形態で示される)。コード領域の翻訳開始コドン(ATG)および翻訳停止コドン(TAA)が、下線を付して太字で示される。イントロンが下線を付して示される。
【図4−B】新しい遺伝子のゲノムクローンのBamHI/EcoRIフラグメントのゲノムDNA配列を示す(配列番号4)(配列は5’から3’の向きで一本鎖の形態で示される)。コード領域の翻訳開始コドン(ATG)および翻訳停止コドン(TAA)が、下線を付して太字で示される。イントロンが下線を付して示される。
【図5−A】生合成遺伝子のpcbC(1366位から350位、逆向き配置)およびpcbAB(2598位から13517位)を含む、SnaB1およびBfr1に対する切断部位により特徴づけられる約16kb領域のA.chrysogenumゲノムDNA配列を示す(配列番号5)。配列は5’から3’の向きで一本鎖の形態で示される。対応するコード領域の個々の翻訳開始コドンおよび個々の翻訳停止コドンが、下線を付して太字で示される。言及された切断部位が下線を付して示される。
【図5−B】生合成遺伝子のpcbC(1366位から350位、逆向き配置)およびpcbAB(2598位から13517位)を含む、SnaB1およびBfr1に対する切断部位により特徴づけられる約16kb領域のA.chrysogenumゲノムDNA配列を示す(配列番号5)。配列は5’から3’の向きで一本鎖の形態で示される。対応するコード領域の個々の翻訳開始コドンおよび個々の翻訳停止コドンが、下線を付して太字で示される。言及された切断部位が下線を付して示される。
【図5−C】生合成遺伝子のpcbC(1366位から350位、逆向き配置)およびpcbAB(2598位から13517位)を含む、SnaB1およびBfr1に対する切断部位により特徴づけられる約16kb領域のA.chrysogenumゲノムDNA配列を示す(配列番号5)。配列は5’から3’の向きで一本鎖の形態で示される。対応するコード領域の個々の翻訳開始コドンおよび個々の翻訳停止コドンが、下線を付して太字で示される。言及された切断部位が下線を付して示される。
【図5−D】生合成遺伝子のpcbC(1366位から350位、逆向き配置)およびpcbAB(2598位から13517位)を含む、SnaB1およびBfr1に対する切断部位により特徴づけられる約16kb領域のA.chrysogenumゲノムDNA配列を示す(配列番号5)。配列は5’から3’の向きで一本鎖の形態で示される。対応するコード領域の個々の翻訳開始コドンおよび個々の翻訳停止コドンが、下線を付して太字で示される。言及された切断部位が下線を付して示される。
【図5−E】生合成遺伝子のpcbC(1366位から350位、逆向き配置)およびpcbAB(2598位から13517位)を含む、SnaB1およびBfr1に対する切断部位により特徴づけられる約16kb領域のA.chrysogenumゲノムDNA配列を示す(配列番号5)。配列は5’から3’の向きで一本鎖の形態で示される。対応するコード領域の個々の翻訳開始コドンおよび個々の翻訳停止コドンが、下線を付して太字で示される。言及された切断部位が下線を付して示される。
【図5−F】生合成遺伝子のpcbC(1366位から350位、逆向き配置)およびpcbAB(2598位から13517位)を含む、SnaB1およびBfr1に対する切断部位により特徴づけられる約16kb領域のA.chrysogenumゲノムDNA配列を示す(配列番号5)。配列は5’から3’の向きで一本鎖の形態で示される。対応するコード領域の個々の翻訳開始コドンおよび個々の翻訳停止コドンが、下線を付して太字で示される。言及された切断部位が下線を付して示される。
【図5−G】生合成遺伝子のpcbC(1366位から350位、逆向き配置)およびpcbAB(2598位から13517位)を含む、SnaB1およびBfr1に対する切断部位により特徴づけられる約16kb領域のA.chrysogenumゲノムDNA配列を示す(配列番号5)。配列は5’から3’の向きで一本鎖の形態で示される。対応するコード領域の個々の翻訳開始コドンおよび個々の翻訳停止コドンが、下線を付して太字で示される。言及された切断部位が下線を付して示される。
【図6−A】生合成遺伝子のcefD1(2372位から180位、逆向き配置)およびcefD2(3888位から5133位)を含む、EcoRVおよびBamHIに対する切断部位により特徴づけられる約5.8kb領域のA.chrysogenumゲノムDNA配列を示す(配列番号6)。配列は5’から3’の向きで一本鎖の形態で示される。対応するコード領域の個々の翻訳開始コドンおよび個々の翻訳停止コドンが、下線を付して太字で示される。cefD2内のイントロン、および言及された切断部位が下線を付して示される。
【図6−B】生合成遺伝子のcefD1(2372位から180位、逆向き配置)およびcefD2(3888位から5133位)を含む、EcoRVおよびBamHIに対する切断部位により特徴づけられる約5.8kb領域のA.chrysogenumゲノムDNA配列を示す(配列番号6)。配列は5’から3’の向きで一本鎖の形態で示される。対応するコード領域の個々の翻訳開始コドンおよび個々の翻訳停止コドンが、下線を付して太字で示される。cefD2内のイントロン、および言及された切断部位が下線を付して示される。
【図6−C】生合成遺伝子のcefD1(2372位から180位、逆向き配置)およびcefD2(3888位から5133位)を含む、EcoRVおよびBamHIに対する切断部位により特徴づけられる約5.8kb領域のA.chrysogenumゲノムDNA配列を示す(配列番号6)。配列は5’から3’の向きで一本鎖の形態で示される。対応するコード領域の個々の翻訳開始コドンおよび個々の翻訳停止コドンが、下線を付して太字で示される。cefD2内のイントロン、および言及された切断部位が下線を付して示される。
【図7−A】生合成遺伝子のcefEF(1118位から122位、逆向き配置)およびcefG(2058位から3534位)を含む、Xba1およびSgrAIに対する切断部位により特徴づけられる約4.6kb領域のA.chrysogenumゲノムDNA配列を示す(配列番号7)。配列は5’から3’の向きで一本鎖の形態で示される。対応するコード領域の個々の翻訳開始コドンおよび個々の翻訳停止コドンが、下線を付して太字で示される。cefG内の2つのイントロン、および言及された切断部位が下線を付して示される。
【図7−B】生合成遺伝子のcefEF(1118位から122位、逆向き配置)およびcefG(2058位から3534位)を含む、Xba1およびSgrAIに対する切断部位により特徴づけられる約4.6kb領域のA.chrysogenumゲノムDNA配列を示す(配列番号7)。配列は5’から3’の向きで一本鎖の形態で示される。対応するコード領域の個々の翻訳開始コドンおよび個々の翻訳停止コドンが、下線を付して太字で示される。cefG内の2つのイントロン、および言及された切断部位が下線を付して示される。
【図7−C】生合成遺伝子のcefEF(1118位から122位、逆向き配置)およびcefG(2058位から3534位)を含む、Xba1およびSgrAIに対する切断部位により特徴づけられる約4.6kb領域のA.chrysogenumゲノムDNA配列を示す(配列番号7)。配列は5’から3’の向きで一本鎖の形態で示される。対応するコード領域の個々の翻訳開始コドンおよび個々の翻訳停止コドンが、下線を付して太字で示される。cefG内の2つのイントロン、および言及された切断部位が下線を付して示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする単離された核酸分子。
【請求項2】
配列番号1に示されるアミノ酸配列のみからなるタンパク質をコードする、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項3】
DNA分子である、請求項1または請求項2に記載の核酸分子。
【請求項4】
配列番号2に示される塩基配列、または、遺伝暗号の縮重性のためだけにより配列番号2に示される配列と異なる塩基配列を含む、請求項3に記載の核酸分子。
【請求項5】
配列番号3に示される塩基配列、または、遺伝暗号の縮重性のためだけにより配列番号3に示される配列と異なる塩基配列を含む、請求項3に記載の核酸分子。
【請求項6】
配列番号4に示される塩基配列、または、遺伝暗号の縮重性のためだけにより配列番号4に示される配列と異なる塩基配列を含む、請求項3に記載の核酸分子。
【請求項7】
配列番号2、配列番号3、配列番号4の塩基配列、および、遺伝暗号の縮重性のためだけにより前記塩基配列のいずれかと異なる塩基配列からなる群から選択される塩基配列のみからなる、請求項3に記載の核酸分子。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載される核酸分子を含むベクター。
【請求項9】
アクレモニウム・クリソゲヌム(Acremonium chrysogenum)のpcbAB遺伝子、pcbC遺伝子、cefD1遺伝子、cefD2遺伝子、cefEF遺伝子およびcefG遺伝子によりコードされるタンパク質からなる群から選択されるタンパク質をコードする少なくとも1つのさらなる核酸分子をさらに含む、請求項8に記載のベクター。
【請求項10】
アクレモニウム・クリソゲヌムのpcbAB遺伝子およびpcbC遺伝子によりそれぞれコードされるタンパク質をコードする2つのさらなる核酸分子をさらに含む、請求項8に記載のベクター。
【請求項11】
アクレモニウム・クリソゲヌムのcefD1遺伝子およびcefD2遺伝子によりそれぞれコードされるタンパク質をコードする2つのさらなる核酸分子をさらに含む、請求項8に記載のベクター。
【請求項12】
アクレモニウム・クリソゲヌムのcefEF遺伝子およびcefG遺伝子によりそれぞれコードされるタンパク質をコードする2つのさらなる核酸分子をさらに含む、請求項8に記載のベクター。
【請求項13】
宿主細胞を形質転換するために好適な、請求項8から12のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項14】
宿主細胞が微生物である、請求項13に記載のベクター。
【請求項15】
微生物がアクレモニウム・クリソゲヌムである、請求項14に記載のベクター。
【請求項16】
請求項8から15のいずれか一項に記載されるベクターで形質転換されている宿主細胞。
【請求項17】
微生物である、請求項16に記載の宿主細胞。
【請求項18】
微生物がアクレモニウム・クリソゲヌムである、請求項17に記載の宿主細胞。
【請求項19】
宿主細胞によるセファロスポリンCの産生を行わせるために好適な条件のもとで請求項18に記載の宿主細胞を培養することを含むセファロスポリンCの製造方法。
【請求項20】
産生されたセファロスポリンCを単離することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項22】
配列番号1に示されるアミノ酸配列のみからなる、請求項21に記載のタンパク質。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−A】
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【図4−B】
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【図5−A】
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【図5−B】
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【図5−C】
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【図5−D】
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【図5−E】
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【図5−F】
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【図5−G】
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【図6−A】
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【図6−B】
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【図6−C】
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【図7−A】
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【図7−B】
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【図7−C】
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【公表番号】特表2006−514542(P2006−514542A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−537101(P2004−537101)
【出願日】平成15年9月16日(2003.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010289
【国際公開番号】WO2004/026902
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(305008042)サンド・アクチエンゲゼルシヤフト (54)
【Fターム(参考)】