説明

セメント添加剤およびそれを用いたセメント組成物

【解決すべき課題】
超高強度領域におけるコンクリートの自己収縮低減効果とコンクリートの低粘性化に優れたセメント添加剤を提供する。
【解決手段】
請求項1に記載のポリカルボン酸系共重合体である化合物Aとエーテル系化合物である化合物Bを必須成分とするセメント添加剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセメント用添加剤およびそれを用いたセメント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物に用いられるコンクリートとして、近年、目覚しく高強度コンクリートや超高強度コンクリートなどの高性能コンクリートが普及している。この背景としては、構造物の高層化や高耐久化などの技術が飛躍的に向上したことと、その必要性が高まっていることにある。これらの高性能コンクリートに求められている性能としては、現場施工時の取扱い易さ、長期耐久性、強度特性と経済性が挙げられる。
【0003】
現場施工時の取扱い易さとは、コンクリートを打設する際の作業性(ポンプ圧送性や締固め性)であり、コンクリートの粘性が過度に大きくないことが重要である。高強度コンクリートや超高強度コンクリートなどの高性能コンクリートは、コンクリートの調合上、水結合材比が著しく小さく、かつ、単位結合材量が多いため、コンクリートの粘性が非常に大きくなり、現場施工時に、取扱いが困難となり、ポンプ圧送や締固め作業に支障をきたす問題を抱えており、低い水結合材比で、かつ、単位結合材量が多い調合のコンクリートでも、現場施工時で取扱い易く、作業性に優れる方法が求められている。
【0004】
また、長期耐久性とは、コンクリートの長期にわたる品質確保であり、特に高強度コンクリートや超高強度コンクリートは、従来ではあまり大きな問題とならなかった自己収縮の低減が新しい課題として問題を抱えている。その主たる要因としては、高強度コンクリートや超高強度コンクリートは、調合上、水結合材比が著しく小さく、硬化過程において結合材であるセメントや鉱物質微粉末の水和反応によって体積が小さくなり、乾燥条件下でなくとも収縮が生じる現象、すなわち、自己収縮が発生し、この自己収縮がコンクリートのひび割れを誘発し、さらには、このひび割れによってコンクリート構造物の長期耐久性に大きく影響を及ぼしている。
【0005】
強度特性と経済性とは、設計上のコンクリート強度をどの様にして確保するかであり、強度低下を引き起こす原因を無くすか、より水結合材比を小さくして強度レベルを事前に上げることで所望の強度以上に調整しておく手法とがある。前者の原因としては、連行空気量の増加による強度低下と自己収縮を低減するために用いられる収縮低減剤の混入による強度低下が問題となっている。ここで連行空気量が増加する要因としては、使用される減水剤や収縮低減剤の使用にあり、前記の高性能コンクリートにおいては、これら減水剤や収縮低減剤の添加量が多いため、過剰に空気量を連行してしまうため、強度低下を引起こす問題を抱えており、煩雑ではあるが空気量を低減するために消泡剤を多量に使用して空気量を制御する方法がとられている。そして、もう一つの要因である収縮低減剤の混入による強度低下は、収縮低減剤が水和生成物の結晶成長を阻害することに起因している。したがって、コンクリートの連行空気量を厳しく管理すると共に、使用する収縮低減剤を少なくする方法が必要であった。一方、後者の手法では、使用材料費の高騰による経済性の面で好ましくない。
【0006】
従来、高強度コンクリートや超高強度コンクリートなどの自己収縮を抑制するセメント添加剤として、無水マレイン酸とポリオキシアルキレン誘導体が付加されたアリルエーテルとの共重合体にポリオキシアルキレン誘導体をさらにグラフト重合させたポリカルボン酸系化合物が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このようなポリカルボン酸系化合物は、その共重合体の構成モノマーとしてポリアルキレンイミン誘導体が付加されたメタクリル酸やアリルエーテルを用いるものではなく、当該セメント添加剤を用いた場合、自己収縮低減効果を十分に得られなかったり、満足な自己収縮低減効果を得るためには多量にセメント添加剤を使用する必要性があった。自己収縮低減効果に合わせてセメント添加剤を多量に使用した場合、コンクリートの流動性をコントロールするには非常に困難な問題を抱えていた。さらに、コンクリートの粘性も大きく、施工時に取扱い難いコンクリート、作業性の低下があり、連行空気量の調整には、多量の消泡剤を必要としていた。
【0007】
また、モノまたはジカルボン酸とポリオキシアルキレン誘導体が付加されたアリルエーテルまたはメタクリル酸の共重合体であるポリカルボン酸系化合物に対して比較的多量のエーテル系化合物を収縮低減成分として併用したセメント添加剤が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしこのセメント添加剤に使用されるポリカルボン酸系化合物は、その共重合体の構成モノマーとしてポリアルキレンイミン誘導体が付加されたメタクリル酸やアリルエーテルを用いるものではなく、また、ポリカルボン酸化合物に対して比較的多量のエーテル系化合物を収縮低減成分として併用しているため、連行空気量の増加と収縮低減剤の多量使用による強度低下を引起こす問題を抱えていた。また、減水性が十分でない場合、さらに、セメント添加剤の使用が余儀なくされ、更なる強度低下を引起こす問題も抱えていた。さらに、高強度コンクリートや超高強度コンクリートの取扱い易さ・作業性の観点から、いずれも満足するものではなかった。
一方、減水剤としてポリアルキレンイミン系単量体を構成要素とするポリカルボン酸系共重合体が知られているが(例えば、特許文献3参照)、水セメント比が小さいセメント組成物において流動性、取扱い性が向上できる旨記載されているものの、高強度コンクリートの自己収縮性の低減について何ら開示するものではなく、単独では自己収縮低減効果は得られないことは明白であるが、自己収縮低減剤との併用について何ら記載も示唆もなされていない。
このように、前記問題を一剤で解消するセメント添加剤は得られていないのが現状である。
【0008】
【特許文献1】特開2004−292283号公報
【特許文献2】特開2001−302307号公報
【特許文献3】特開2004−67934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、セメント組成物である高強度コンクリートや超高強度コンクリートなどの高性能コンクリートに求められている自己収縮低減性と強度特性に優れ、かつ、コンクリートの取扱いが容易となる低粘性を付与させることが可能となり、かつ、連行空気量の調整が容易で、経済性に優れたセメント添加剤ならびにセメント組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリアルキレンイミン誘導体を側鎖に有するアリルエーテルまたはメタクリル酸等のモノマーをポリカルボン酸系共重合体の構成成分として採用した共重合体と、自己収縮低減特性を有するエーテル系化合物と組み合わせることにより、減水性、強度特性が向上するだけでなく、エーテル系化合物の単独使用よりその収縮特性が相乗的に増大することを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、低添加量で満足な自己収縮低減性が得られ、強度特性の低下を引起こすことなく、コンクリートの粘性が小さく取扱い易いコンクリートを調製することができ、かつ、過剰な空気量を連行しない。
【0011】
すなわち、本発明は、高強度コンクリートや超高強度コンクリートなどの自己収縮を低減し、強度特性の低下を解消し、かつ、コンクリートの粘性を小さくして作業性を向上させ、かつ、連行空気量の調整を容易とさせるためのセメント添加剤に関するものである。
本発明は、ポリカルボン酸系共重合体(化合物A)とエーテル系化合物(化合物B)を必須成分とするセメント添加剤であって、前記化合物Aが式(1)に示される不飽和カルボン酸系単量体(I)、式(2)および/または式(3)に示される不飽和基を有するポリオキシアルキレン付加物系単量体(II)および式(4)および/または式(5)に示される不飽和基を有するポリアルキレンイミン系単量体(III)を必須構成単位とするポリカルボン酸系共重合体A−1であり、前記化合物Bが式(6)で表されるオキシアルキレン基を有するエーテル化合物である、前記セメント添加剤に関する。
【0012】
【化1】

(式中、R 、R 及びR は、それぞれ独立して、水素、メチル基または−(CH )p COOX基を表し、YおよびXは、それぞれ独立して水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウムまたは炭素数1〜30のアルキル基を表し、pは、0〜2の整数である。)
【0013】
【化2】

(式中、R 、R 及びR は、それぞれ独立して、水素またはメチル基を表し、sは、0〜2の整数であり、ROは、炭素数2〜18のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物を表し、uは、オキシアルキレン基(RO)の平均付加モル数を表し、1〜100の数であり、Rは、水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【0014】
−O−(A1)n−(R10O)u−R11 (3)
(式中、R は炭素数2〜5のアルケニル基を表し、Aは炭素数1〜4のアルキレン基を表し、nは0〜30の数であり、R10Oは炭素数2〜3のオキシアルキレン基を表し、u はオキシアルキレン基(R10O)の平均付加モル数を表し、1〜100の数であり、R11は水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【0015】
【化3】

(式中、R12 、R13 及びR14 は、それぞれ独立して、水素またはメチル基を表し、sは、0〜2の整数であり、Aは、炭素数2〜4のアルキレンイミン基を表し、nは1〜30の整数であり、R15Oは、炭素数2〜18のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物を表し、uは、オキシアルキレン基(R15O)の平均付加モル数を表し、1〜100の数であり、R16は、水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【0016】
17−O−(A3)n−(A)n(R18O)u−R19 (5)
(式中、R17 は炭素数2〜5のアルケニル基を表し、Aは炭素数1〜4のアルキレン基を表し、nは0〜2の整数であり、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基を表し、n は1〜30、R18Oは炭素数2〜3のオキシアルキレン基を表し、u はオキシアルキレン基(R18O)の平均付加モル数を表し、1〜100であり、R19は水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【0017】
20O(R21O)nH (6)
(式中、R20 は水素または炭素数1〜8のアルキル基を表し、R21Oは炭素数2〜3のオキシアルキレン基を表し、n はオキシアルキレン基(R21O)の平均付加モル数を表し、1〜10の数である。)
【0018】
また、本発明は、ポリカルボン酸系共重合体(化合物A)が、式(1)に示される不飽和カルボン酸系単量体(I)、式(2)および/または式(3)に示される不飽和基を有するポリオキシアルキレン付加物系単量体(II)を必須構成単位とするポリカルボン酸系共重合体A−2をさらに含む、前記セメント添加剤に関する。
本発明は、さらに共重合体A−1および共重合体A−2の配合比が、ポリカルボン酸系共重合体(化合物A)中、質量%でA−1:A−2=100〜50:0〜50である、前記セメント添加剤に関する。
【0019】
本発明は、共重合体A−1およびA−2の必須構成単位である不飽和カルボン酸系単量体(I)の含有量が、各共重合体中、質量%で15〜50%である、前記セメント添加剤に関する。
本発明はまた、化合物AとBの配合比が、質量%で化合物A:化合物B=60〜95:40〜5である、前記セメント添加剤に関する。
さらに本発明は、共重合体A−1および共重合体A−2の平均分子量がそれぞれ5000〜50000である、前記セメント添加剤に関する。
【0020】
本発明は、共重合体A−1および/またはA−2において、不飽和カルボン酸系単量体(I)がメタクリル酸および/またはその塩、不飽和ポリオキシアルキレン付加物系単量体(II)がメタクリル酸のポリオキシアルキレンエステル化物である、前記セメント添加剤に関する。
【0021】
本発明はまた、式(6)で表される化合物Bが、R20が水素または炭素数2〜4のアルキル基であり、ただし、R20が水素の場合、R21Oはプロピレンオキサイド、nは2〜9であり、R20が炭素数2〜4のアルキル基の場合、R21Oがエチレンオキサイドおよびnが1〜4であるか、R21Oがプロピレンオキサイドおよびnが2〜9であるか、またはR21Oがエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの混合物であって、nが2〜9である、前記セメント添加剤に関する。
【0022】
さらに、本発明は、水、結合材および前記セメント添加剤を含有し、水結合材比が30%以下のセメント組成物であって、前記結合材がセメントまたはセメントと水硬性微粉末の混合物であり、前記セメント添加剤の添加量が結合材質量に対して0.1%〜1.5%であるセメント組成物に関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明のセメント添加剤は、高強度コンクリートならびに超高強度コンクリートに要求されている現場施工時の取扱い易さ、長期耐久性、強度特性と経済性に関して、コンクリートの粘性の低減化を図ることで作業性を改善し、強度特性を損なうことなく、自己収縮低減性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明のセメント添加剤は、平均分子量がそれぞれ5000〜50000である共重合体A−1およびA−2を配合してなるポリカルボン酸系共重合体(化合物A)と、エーテル系化合物(化合物B)を必須成分とするものであり、その構成比は質量%で化合物A:化合物B=60〜95:40〜5である。さらに前記化合物AはA−1:A−2=100〜50:0〜50の質量%で配合され、前記共重合体A−1は式(1)に示される不飽和カルボン酸系単量体(I)と式(2)および/または式(3)に示される不飽和ポリオキシアルキレン付加物系単量体(II)と式(4)および/または式(5)に示される不飽和基を有するポリアルキレンイミン系単量体(III)を必須構成単位とするポリカルボン酸系共重合体であり、共重合体A−2は式(1)に示される不飽和カルボン酸系単量体(I)と式(2)および/または式(3)に示される不飽和基を有するポリオキシアルキレン付加物系単量体(II)を必須構成単位とするポリカルボン酸系共重合体である。前記共重合体A−1およびA−2において、共重合体に対する不飽和カルボン酸系単量体(I)の含有量が質量%で15〜50%であり、前記化合物Bが式(6)で表されるオキシアルキレン基を有するエーテル化合物である。
【0025】
前記の化合物A−1および/またはA−2の不飽和カルボン酸系単量体(I)がメタクリル酸および/またはその塩であって、化合物A−1および/またはA−2の不飽和ポリオキシアルキレン付加物系単量体(II)がメタクリル酸のポリオキシアルキレンエステル化物であり、前記の化合物Bが式(7)で表されるオキシアルキレン基を有するエーテル化合物であることを特徴とし、前記の化合物A−1および/またはA−2の不飽和カルボン酸系単量体(I)がメタクリル酸および/またはその塩であって、化合物A−1および/またはA−2の不飽和ポリオキシアルキレン付加物系単量体(II)がメタクリル酸のポリオキシアルキレンエステル化物であり、前記の化合物Bが式(6)で表されるオキシアルキレン基を有するエーテル化合物であって、R20が水素または炭素数2〜4のアルキル基であり、ただし、R20が水素の場合、R21Oはプロピレンオキサイド、nは2〜9であり、R20が炭素数2〜4のアルキル基の場合、R21Oがエチレンオキサイドおよびnが1〜4であるか、R21Oがプロレンオキサイドおよびnが2〜9であるか、またはR21Oがエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの混合物であって、nが2〜9であることを特徴とするセメント添加剤である。さらに、水、結合材および前記セメント添加剤を含有し、水結合材比が30%以下であり、結合材がセメントおよび/またはセメントと水硬性微粉末であり、前記のセメント添加剤の添加量が結合材質量に対して0.1%〜1.5%であることを特徴とするセメント組成物である。
【0026】
【化4】

(式中、R 、R 及びR は、それぞれ独立して、水素、メチル基または−(CH )p COOX基を表し、YおよびXは、それぞれ独立して水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウムまたは炭素数1〜30のアルキル基を表し、pは、0〜2の整数である。)
【0027】
【化5】

(式中、R 、R 及びR は、それぞれ独立して、水素またはメチル基を表し、sは、0〜2の整数であり、ROは、炭素数2〜18のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物を表し、uは、オキシアルキレン基(RO)の平均付加モル数を表し、1〜100の数であり、Rは、水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【0028】
−O−(A1)n−(R10O)u−R11 (3)
(R は炭素数2〜5のアルケニル基を表し、Aは炭素数1〜4のアルキレン基を表し、nは0〜30、R10Oは炭素数2〜3のオキシアルキレン基を表し、u はオキシアルキレン基(R10O)の平均付加モル数を表し、1〜100であり、R11は水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【0029】
【化6】

(式中、R12 、R13 及びR14 は、それぞれ独立して、水素またはメチル基を表し、sは、0〜2の整数であり、Aは、炭素数2〜4のアルキレンイミン基を表し、nは、1〜30の整数であり、R15Oは、炭素数2〜18のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物を表し、uは、オキシアルキレン基(R15O)の平均付加モル数を表し、1〜100の数であり、R16は、水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【0030】
17−O−(A3)n−(A)n(R18O)u−R19 (5)
(ただし、R17 は炭素数2〜5のアルケニル基を表し、Aは炭素数1〜4のアルキレン基を表し、nは0〜2の整数であり、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基を表し、n は1〜30、R18Oは炭素数2〜3のオキシアルキレン基を表し、u はオキシアルキレン基(R18O)の平均付加モル数を表し、1〜100であり、R19は水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【0031】
20O(R21O)nH (6)
(ただし、R20 は水素または炭素数1〜8のアルキル基、R21Oは炭素数2〜3のオキシアルキレン基であり、n はオキシアルキレン基(R21O)の平均付加モル数を表し、1〜10の数である。)
【0032】
本発明の共重合体A−1およびA−2に用いられる不飽和カルボン酸系単量体(I)は、同一又は異なっていてもよく、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸またはこれらのアルキルエーテル、アルカリ金属、アルカリ土類金、アンモニウムまたはアルキルアンモニウム塩が挙げられ、好ましくは、メタクリル酸、アクリル酸またはこれらの塩であり、特に好ましくはメタクリル酸またはその塩である。
【0033】
共重合体A−1およびA−2において、共重合体に対する不飽和カルボン酸系単量体(I)の含有量は質量%で15〜50%が好ましく、20〜40%が特に好ましい。不飽和カルボン酸系単量体(I)の含有量が15質量%以上であると、低水結合材比における減水性が十分に発揮され、所定の流動性を有するコンクリートの製造が可能となり、50質量%以下であると、凝結時間の遅延、および強度発現性の低下を抑制し、所望のコンクリートの製造が可能になることから好ましい。
【0034】
本発明の共重合体A−1およびA−2に用いられる不飽和基を有するポリオキシアルキレン付加物系単量体(II)は、アクリル酸のポリオキシアルキレン付加物、メタクリル酸のポリオキシアルキレン付加物、マレイン酸のポリオキシアルキレン付加物、ポリオキシアルキレンアリルエーテルが挙げられる。側鎖に付加されるポリオキシアルキレン誘導体として好ましいものは、式(2)で表される化合物では炭素数2〜18のオキシアルキレン誘導体であり、異なる炭素数のオキシアルキレン基を付加するものであってもよい。好ましくは炭素数2〜3のオキシアルキレン誘導体であり、オキシエチレン基が最も好ましい。付加数は1〜100であり、好ましくは5〜50である。式(3)で表される化合物では炭素数2〜3のオキシアルキレン誘導体が付加物として好ましく、オキシエチレン基が好ましい。付加数は1〜100であり、好ましくは5〜50である。具体的には、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(6EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(12EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(25EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(50EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(85EO)、メトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールメタクリレート(12EO・2PO)、メトキシポリエチレングリコール−メタリルカルボン酸エステル(25EO)、ブトキシポリエチレングリコールメタクリレート(30EO)、ブトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(30EO)、ブトキシポリエチレングリコール(20EO)ビニルエーテル、メトキシポリプロピレングリコールメタクリレート(6EO)、メトキシプロピレングリコールアリルエーテル(6EO)の中から1種以上が挙げられ、好ましくは、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(12EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(25EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(50EO)の中から1種以上である。
【0035】
本発明の共重合体A−1に用いられる不飽和基を有するポリアルキレンイミン系単量体(III)は、アクリル酸のポリアルキレンイミン誘導体付加物、メタクリル酸のポリアルキレンイミン誘導体付加物、マレイン酸のポリアルキレンイミン誘導体付加物、ポリアルキレンイミン誘導体アリルエーテルが挙げられる。
【0036】
側鎖に付加されるポリアルキレンイミン誘導体として好ましいものは、式(4)で表される化合物では、炭素数2〜4のアルキレンイミン基および炭素数2〜18のオキシアルキレン基を有するものである。アルキレンイミン基は、炭素数2〜3のものが好ましく、オキシアルキレン基は、炭素数2〜3のものが好ましい。エチレンイミン基およびオキシエチレン基の組み合わせが最も好ましい。アルキレンイミン基の付加数は1〜30であり、オキシアルキレン基の付加数は1〜100である。好ましくは、アルキレンイミン基の付加数は5〜15であり、オキシアルキレン基の付加数は5〜50である。式(5)で表される化合物では、炭素数2〜4のアルキレンイミン基および炭素数2〜3のオキシアルキレン基をそれぞれ有するものである。エチレンイミン基およびオキシエチレン基が好ましい。アルキレンイミン基の付加数は1〜30であり、オキシアルキレン基の付加数は1〜100であり、好ましいアルキレンイミン基の付加数は5〜15、オキシアルキレン基の付加数は5〜50である。
【0037】
具体的には、メトキシポリエチレングリコール(4)−ポリエチレンイミン(10)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(4)−ポリエチレンイミン(10)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(6)−ポリエチレンイミン(10)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(8)−ポリエチレンイミン(25)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(6)−ポリエチレンイミン(10)アリルエーテルが挙げられ、好ましくは、メトキシポリエチレングリコール(4)−ポリエチレンイミン(10)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(6)−ポリエチレンイミン(10)メタクリレートである。
【0038】
共重合体A−1およびA−2の平均分子量はそれぞれ5000〜50000が好ましい。平均分子量が5000以上であれば、低水結合材比における減水性が十分に発揮され、所定の流動性を有するコンクリートの製造が可能となり、50000以下であれば、コンクリートの粘性が低粘性となり、現場での作業性に優れるコンクリートの製造が可能となるので好ましい。
【0039】
共重合体A−1およびA−2の配合比は、質量%で100〜50:0〜50が好ましい。A−1が50質量%を下回ると、コンクリートの粘性を低粘性に維持することが困難となるため、50質量%以上配合されることが好ましい。
【0040】
本発明の化合物Bは、ポリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールのアルキルエーテルであり、オキシアルキレン基は、炭素数2〜3のものであり、異なる炭素数のオキシアルキレン基を有するものであっても良い。オキシアルキレン基の付加数は、1〜10であり、オキシプロピレン基の場合は2〜9、オキシエチレン基の場合は1〜4が特に好ましい。オキシプロピレン基エーテルとして付加するアルキル基は炭素数1〜8のものであり、好ましくは炭素数2〜5である。具体的には、ポリエチレンオキサイド(1EO)エチルエーテル、ポリエチレンオキサイド(2EO)ブチルエーテル、ポリエチレンオキサイド(5EO)ブチルエーテル、ポリエチレンオキサイド(7EO)エチルエーテル、ポリエチレンオキサイド(5EO)ポリプロピレンオキサイド(2PO)ブチルエーテル、ポリエチレンオキサイド(2EO)ポリプロピレンオキサイド(2PO)ブチルエーテル、ポリプロピレングリコール(5PO)、ポリプロピレングリコール(8PO)が挙げられ、好ましくは、ポリエチレンオキサイド(1EO)エチルエーテル、ポリエチレンオキサイド(2EO)ブチルエーテル、ポリプロピレングリコール(5PO)、ポリプロピレングリコール(8PO)、ポリエチレンオキサイド(2EO)ポリプロピレンオキサイド(2PO)ブチルエーテルである。
【0041】
化合物AとBの配合比は、質量%で60〜95:40〜5であり、特に70〜85:30〜15が好ましい。化合物Aを60%以上配合すると、低粘性で所定の流動性を有した作業性に優れるコンクリートの製造が可能となるので好ましく、化合物Bを5%以上配合とすると低水結合材比においても自己収縮低減効果を発揮するので好ましい。
【0042】
本発明のセメント組成物は、水、結合材およびセメント添加剤を含有し、水結合材比が30%以下であり、具体的には、特に自己収縮低減効果とコンクリートの低粘性化が求められるコンクリートであって、特に、水結合材比が25%以下、さらに20%以下のものに好適に用いられる。単位結合材量は少なくとも600kg/m以上、特に結合材がセメントまたはセメントと水硬性微粉末であり、セメントは、通常の水硬性セメントである。すなわち、普通、早強、超早強、低熱、中庸熱、耐硫酸塩、白色などのポルトランドセメントや、混合セメント、アルミナセメント、焼却灰を原料として製造されるセメントなどが挙げられる。水硬性微粉末はシリカフューム、高炉やゴミ溶融スラグなどの微粉末、石灰石微粉末、フライアッシュ、石膏などの鉱物質微粉末(好ましくは粒径が0.1μm〜300μm)であり、水は、コンクリートを製造する際に通常使用されるものであればよく、特に限定されない。このような水としては、例えば、JIS A 5308付属書9に規定される水[上水道水、上水道水以外の水(河川水、湖沼水、井戸水など)、回収水]等がある。使用される骨材は、コンクリートを製造する際に通常使用されるものであればよく、特に限定されない。このような骨材としては、例えば、川砂、陸砂、山砂、海砂、砕砂、川砂利、陸砂利、山砂利、砕石、軽量骨材、重量骨材、スラグ骨材等が挙げられる。本発明の組成物において、コンクリート1m 中の骨材の配合量は特に限定されないが、例えば一般的な、川砂、陸砂、山砂、海砂、砕砂、川砂利、陸砂利、山砂利および砕石については、600〜3000kgが好ましい。
【0043】
セメント添加剤の添加量は結合材総質量に対して0.1%〜1.5質量%であることを特徴とする。添加剤の添加量が0.1%質量%以上で有れば、施工時の取扱い性および強度特性、さらに自己収縮低減性に優れるセメント組成物とすることができ、1.5質量%以上ではそれ以上の性能の向上をもたらし得ないため、経済性の観点から1.5質量%以下とすることが好ましい。
【0044】
またコンクリート組成物の製造方法、運搬方法、打設方法、養生方法などは通常行われる方法でよく、特に制限されるものではない。
【0045】
本発明のセメント添加剤は、多様性を持たせるために、他の添加剤を所望により配合させることもできる。他の添加剤として、慣用の遅延剤、防錆剤、遅延剤、促進剤、急結剤、設計空気量によってはAE剤などを例示することができる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが本発明はこれらの実施態様例によって限定されるものではない。
【0047】
以下に、本発明および比較として用いられる化合物A−1を表1に示す。
【表1】

【0048】
備考
1)単量体(I)、単量体(II)および単量体(III)との質量比で表した。
2)質量平均分子量は、GPC分析によってポリエチレングリコール換算によって算出した。ただし、本発明の平均分子量の測定に当たっては、以下に示される範囲に限定されるものではないが、カラムはshodex OHパック SB−804x2、移動相は0.1mol NaSO、メタノール/水=20wt%/80wt%、温度:60℃、送液速度:0.8ml/minの測定条件で行ったものである。
【0049】
以下に、本発明および比較として用いられる化合物A−2を表2に示す。
【表2】

【0050】
備考
1)単量体(I)と単量体(II)との質量比で表した。
2)平均分子量は、GPC分析によってポリエチレングリコール換算によって算出した。ただし、本発明の平均分子量の測定に当たっては、以下に示される範囲に限定されるものではないが、カラムはshodex OHパック SB−804x2、移動相は0.1mol NaSO、メタノール/水=20wt%/80wt%、温度:60℃、送液速度:0.8ml/minの測定条件で行ったものである。
【0051】
以下に、本発明および比較として用いられる化合物Bを表3に示す。
【表3】

【0052】
以下に、実施例および比較例として用いたセメント添加剤の化合物Aと化合物Bの質量%による構成比を表4に示す。
【表4】

【0053】
本発明の効果を確認するために、調製したコンクリートの調合を表5〜表7に示す。
【0054】
【表5】

セメントは低熱ポルトランドセメント
【0055】
【表6】

セメントは低熱ポルトランドセメント
【0056】
【表7】

セメントは低熱ポルトランドセメント
【0057】
(コンクリートの調製)
目標スランプフロー65±1.5cm、目標空気量2.0±0.3%のコンクリートの調製に当たっては、練混ぜるコンクリートの容量を80リットルとして、表5のコンクリートの調合に準じて材料をそれぞれ計量した。練混ぜには、100リットルパン型強制ミキサを用い、これに、全材料を投入後120秒間練混ぜて、コンクリートを調製した。
【0058】
スランプフローの測定:JIS A 1101に準じて測定した。
空気量の測定:JIS A 1118に準じて測定した。
圧縮強度:φ10×20cmの供試体を作製し、JIS A 1108に準じて測定した。養生は所定の材齢まで標準水中養生を行った。
自己収縮ひずみ量の測定:所定の流動性が得られたコンクリートについて、10×10×40cmの鋼製型枠にコンクリートを、自己収縮研究委員会報告書(日本コンクリート工学協会、1996)の方法に従って自己収縮量を材齢28日で測定した。
【0059】
(コンクリートの粘性低減化の評価)
所望のスランプフロー(65±1.5cm)において、50cmフローに到達する時間を測定し、
A(優れる):50cmに到達する時間が、7秒以内
B(普通):50cmに到達する時間が、7〜15秒
C(悪い):50cmに到達する時間が、15秒以上
【0060】
(空気連行性の評価)
収縮低減成分を含まない減水剤を用いた場合の規準コンクリートと比較して、
A(非常に優れる):連行空気量の増加量が1%以上
B(優れる):連行空気量の増加量が1〜2%
C(普通):連行空気量の増加量が2〜5%
D(悪い):連行空気量の増加量が5%以上
【0061】
(強度特性の評価)
収縮低減成分を含まない減水剤を用いた場合の規準コンクリートと比較して、
A(優れる):基準コンクリートとの圧縮強度比が100%以上
B(悪い):基準コンクリートとの圧縮強度比が80〜100%
C(かなり悪い):基準コンクリートとの圧縮強度比が80%未満
【0062】
(自己収縮低減性の評価)
収縮低減成分を含まない減水剤を用いた場合の規準コンクリートと比較して、
A(非常に優れる):自己収縮量の低減比が50%以上
B(優れる):自己収縮量の低減比が25〜50%
C(普通):自己収縮量の低減比が10〜25%
D(悪い):自己収縮量の低減比が10%未満
【0063】
以下に、コンクリートによる本発明の効果の確認を行った結果を表8、10および11に示す。
【0064】
【表8】

【0065】
なお、添加剤の使用量は、結合材(セメント+フライアッシュ)の総質量に対する固形分の質量百分率として、0.35%を添加した。
備考
1)基準コンクリートには、添加剤A−2−2を用いた。
2)基準コンクリートの材齢28日の圧縮強度は、105N/mm
3)基準コンクリートの自己収縮量は、560μm
【0066】
また、添加剤B、添加剤Cおよび添加剤Dを表9に示した化合物を使用した。
【表9】

【0067】
【表10】

【0068】
なお、添加剤の使用量は、結合材(セメント+シリカヒューム)の総質量に対する固形分の質量百分率として、0.45%を添加した。
備考
1)基準コンクリートには、添加剤A−2−2を用いた。
2)基準コンクリートの材齢28日の圧縮強度は、135N/mm
3)基準コンクリートの自己収縮量は、675μm
【0069】
【表11】

【0070】
なお、添加剤の使用量は、結合材(セメント+シリカヒューム)の総質量に対する固形分の質量百分率として、0.60%を添加した。
備考
1)基準コンクリートには、添加剤A−2−2を用いた。
2)基準コンクリートの材齢28日の圧縮強度は、153N/mm
3)基準コンクリートの自己収縮量は、773μm
【0071】
水結合材比が15〜25%の領域における、コンクリートの粘性、空気連行性、強度特性ならびに自己収縮低減性は、本発明のセメント添加剤を用いることで全てに優れることが確認できる。特に自己収縮低減性に関しては、比較例4、比較例5、比較例10、比較例11、比較例16および比較例17と本実施例を比較すると、相乗的な自己収縮低減効果が認められる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明のセメント分散剤は、低添加量で、施工時の取扱い性を向上し、強度特性の低下を引き起こすことなく、高強度コンクリートの自己収縮を大きく低減することができるものであり、高強度領域、すなわち水結合材比が非常に低いコンクリートにおいて好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカルボン酸系共重合体(化合物A)とエーテル系化合物(化合物B)を必須成分とするセメント添加剤であって、前記化合物Aが式(1)に示される不飽和カルボン酸系単量体(I)、式(2)および/または式(3)に示される不飽和基を有するポリオキシアルキレン付加物系単量体(II)および式(4)および/または式(5)に示される不飽和基を有するポリアルキレンイミン系単量体(III)を必須構成単位とするポリカルボン酸系共重合体A−1であり、前記化合物Bが式(6)で表されるオキシアルキレン基を有するエーテル化合物である、前記セメント添加剤。
【化1】

(式中、R 、R 及びR は、それぞれ独立して、水素、メチル基または−(CH )p COOX基を表し、YおよびXは、それぞれ独立して水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウムまたは炭素数1〜30のアルキル基を表し、pは、0〜2の整数である。)
【化2】

(式中、R 、R 及びR は、それぞれ独立して、水素またはメチル基を表し、sは、0〜2の整数であり、ROは、炭素数2〜18のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物を表し、uは、オキシアルキレン基(RO)の平均付加モル数を表し、1〜100の数であり、Rは、水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
−O−(A1)n−(R10O)u−R11 (3)
(式中、R は炭素数2〜5のアルケニル基を表し、Aは炭素数1〜4のアルキレン基を表し、nは0〜30の数であり、R10Oは炭素数2〜3のオキシアルキレン基を表し、u はオキシアルキレン基(R10O)の平均付加モル数を表し、1〜100の数であり、R11は水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【化3】

(式中、R12 、R13 及びR14 は、それぞれ独立して、水素またはメチル基を表し、sは、0〜2の整数であり、Aは、炭素数2〜4のアルキレンイミン基を表し、nは1〜30の整数であり、R15Oは、炭素数2〜18のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物を表し、uは、オキシアルキレン基(R15O)の平均付加モル数を表し、1〜100の数であり、R16は、水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
17−O−(A3)n−(A)n(R18O)u−R19 (5)
(式中、R17 は炭素数2〜5のアルケニル基を表し、Aは炭素数1〜4のアルキレン基を表し、nは0〜2の整数であり、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基を表し、n は1〜30、R18Oは炭素数2〜3のオキシアルキレン基を表し、u はオキシアルキレン基(R18O)の平均付加モル数を表し、1〜100であり、R19は水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
20O(R21O)nH (6)
(式中、R20 は水素または炭素数1〜8のアルキル基を表し、R21Oは炭素数2〜3のオキシアルキレン基を表し、n はオキシアルキレン基(R21O)の平均付加モル数を表し、1〜10の数である。)
【請求項2】
ポリカルボン酸系共重合体(化合物A)が、式(1)に示される不飽和カルボン酸系単量体(I)、式(2)および/または式(3)に示される不飽和基を有するポリオキシアルキレン付加物系単量体(II)を必須構成単位とするポリカルボン酸系共重合体A−2をさらに含む、請求項1に記載のセメント添加剤。
【請求項3】
共重合体A−1および共重合体A−2の配合比が、ポリカルボン酸系共重合体(化合物A)中、質量%でA−1:A−2=100〜50:0〜50である、請求項1または2に記載のセメント添加剤。
【請求項4】
共重合体A−1およびA−2の必須構成単位である不飽和カルボン酸系単量体(I)の含有量が、各共重合体中、質量%で15〜50%である、請求項1〜3のいずれかに記載のセメント添加剤。
【請求項5】
化合物AとBの配合比が、質量%で化合物A:化合物B=60〜95:40〜5である、請求項1〜4のいずれかに記載のセメント添加剤。
【請求項6】
共重合体A−1および共重合体A−2の平均分子量がそれぞれ5000〜50000である、請求項1〜5のいずれかに記載のセメント添加剤。
【請求項7】
共重合体A−1および/またはA−2において、不飽和カルボン酸系単量体(I)がメタクリル酸および/またはその塩、不飽和ポリオキシアルキレン付加物系単量体(II)がメタクリル酸のポリオキシアルキレンエステル化物である、請求項1〜6のいずれかに記載のセメント添加剤。
【請求項8】
式(6)で表される化合物Bが、R20が水素または炭素数2〜4のアルキル基であり、ただし、R20が水素の場合、R21Oはプロピレンオキサイド、nは2〜9であり、R20が炭素数2〜4のアルキル基の場合、R21Oがエチレンオキサイドおよびnが1〜4であるか、R21Oがプロレンオキサイドおよびnが2〜9であるか、またはR21Oがエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの混合物であって、nが2〜9である、請求項1〜7に記載のセメント添加剤。
【請求項9】
水、結合材および請求項1〜8のいずれかに記載のセメント添加剤を含有し、水結合材比が30%以下のセメント組成物であって、前記結合材がセメントまたはセメントと水硬性微粉末の混合物であり、前記セメント添加剤の添加量が結合材質量に対して0.1%〜1.5%である、前記セメント組成物。

【公開番号】特開2007−153641(P2007−153641A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−348253(P2005−348253)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Strasse 32, D−83308 Trostberg, Germany
【Fターム(参考)】